(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電磁コイルの端部に閉鎖状に固定鉄心が配置され、電磁コイルを励磁した際に振動子を固定鉄心側に移動させるソレノイド機構が構成されたことを特徴とする請求項1記載の振動覚検査装置。
間隙調整手段は、電磁コイルと固定鉄心を一体的に組み付け、それらを振動子の振動方向に沿ってスライド可能に設け所定位置で固定することで、固定鉄心と振動子との間隙を調整することを特徴とする請求項3又は4記載の振動覚検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の振動感覚計では、圧電素子を利用して振動を発生させる構成であるので、振動覚を検査するのに必要な振動力や周波数を得るために比較的大きな電源が必要であった。したがって、電源装置を含む装置全体が大型化・重量化し、使用場所の確保、携帯や保管に不便で、使い勝手が悪く、医療やリハビリテーションの現場では実用性に劣る問題があった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、定量的な振動を発生して客観的な振動覚の検査を行えると同時に、小型で使い勝手が良い振動覚検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、人体表面に交差する一方向に往復振動する振動子12と、通電時に励磁して振動子12を該一方向に移動させる電磁コイル14と、振動子12の移動方向に沿って伸縮し、電磁コイル14と協働して振動子12の振動を維持する弾性体16と、振動子12自体又は振動子12と人体表面に介在して設けられ、人体表面に当てられる接触部18と、を含
み、振動子12と電磁コイル14と弾性体16を内部に設置する筐体20を有し、電磁コイル14は、筐体20内部の端部側に配置され、振動子12の中間位置には、振動方向に直交する方向に突出した突出部30が設けられ、弾性体16が、振動子12の突出部30と電磁コイル14の間、及び振動子12の突出部30と筐体20の端部内壁の間、にそれぞれ介設される振動覚検査装置10から構成される。
【0007】
また、電磁コイル14の端部に閉鎖状に固定鉄心34が配置され、電磁コイル14を励磁した際に振動子14を固定鉄心34側に移動させるソレノイド機構36が構成されたこととしてもよい。
【0008】
また、ソレノイド機構36の固定鉄心34と振動子12との間隙Hを調整する間隙調整手段50を含むこととしてもよい。
【0009】
さらに、本発明は、人体表面に交差する一方向に往復振動する振動子12と、通電時に励磁して振動子12を該一方向に移動させる電磁コイル14と、振動子12の移動方向に沿って伸縮し、電磁コイル14と協働して振動子12の振動を維持する弾性体16と、振動子12自体又は振動子12と人体表面に介在して設けられ、人体表面に当てられる接触部18と、を含み、電磁コイル14の端部に閉鎖状に固定鉄心34が配置され、電磁コイル14を励磁した際に振動子14を固定鉄心34側に移動させるソレノイド機構36が構成され、ソレノイド機構36の固定鉄心34と振動子12との間隙Hを調整する間隙調整手段50を含む振動覚検査装置10から構成される。
【0010】
また、間隙調整手段50は、電磁コイル14と固定鉄心34を一体的に組み付け、それらを振動子12の振動方向に沿ってスライド可能に設け所定位置で固定することで、固定鉄心34と振動子12との間隙Hを調整することとしてもよい。
【0011】
また、弾性体16は、ゲル状の衝撃吸収材からなることとしてもよい。
【0012】
また、接触部18は、振動子12と電磁コイル14と弾性体16とを収容する筐体20を介して振動が伝達されるように設けられたこととしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の振動覚検査装置によれば、人体表面に交差する一方向に往復振動する振動子と、通電時に励磁して振動子を該一方向に移動させる電磁コイルと、振動子の移動方向に沿って伸縮し、電磁コイルと協働して振動子の振動を維持する弾性体と、振動子自体又は振動子と人体表面に介在して設けられ、人体表面に当てられる接触部と、を含むことから、電磁コイルと弾性体を協働して振動子を効率良く振動させることにより比較的小型な電源であっても振動覚検査に必要な振動を発生でき、装置全体の小型化、軽量化を実現することができる。その結果、携帯に便利で使い勝手が良く、客観的な振動覚の検査を簡便に行え、実用性が高い検査装置を提供できる。
【0014】
また、振動子と電磁コイルと弾性体を内部に設置する筐体を有し、電磁コイルは、筐体内部の端部側に配置され、電磁コイルを励磁した際に振動子を前記一方向に移動させる構成とすることにより、電磁コイルで励磁した磁束を効率的に振動子に作用することができ、比較的小さな電源でも振動覚検査に必要な振動を発生できるので装置全体をより小型化することができる。
【0015】
また、電磁コイルの端部に閉鎖状に固定鉄心が配置され、電磁コイルを励磁した際に振動子を固定鉄心側に移動させるソレノイド機構が構成されたことにより、電磁コイルで励磁した磁束を効率的に振動子に作用することができ、比較的小さな電源でも振動覚検査に必要な振動を発生できるので装置全体をより小型化することができる。また、市販のソレノイドを利用して簡単に製造することができ、低コストで製造できる。
【0016】
また、振動子の中間位置には、振動方向に直交する方向に突出した突出部が設けられ、弾性体が、振動子の突出部と電磁コイルの間、及び振動子の突出部と筐体の端部内壁の間、にそれぞれ介設される構成とすることにより、2個の弾性体と電磁コイルとが協働して振動子を効率良く振動させることができる。さらに、弾性体を筐体や振動子等に固着させる等の煩雑な工程が不要であり、小型化して各部材が小さくなっても簡単に組み付けて製造できる。
【0017】
また、ソレノイド機構の固定鉄心と振動子との間隙を調整する間隙調整手段を含む構成とすることにより、振動子と固定鉄心との間隙の微調整を簡単に行って、振動子と固定鉄心との衝突による騒音の発生を防止したり、電磁コイルが振動子に作用する磁力の強さを適度に調整することができる。
【0018】
また、間隙調整手段は、電磁コイルと固定鉄心を一体的に組み付け、それらを振動子の振動方向に沿ってスライド可能に設け所定位置で固定することで、固定鉄心と振動子との間隙を調整する構成とすることにより、簡単な構成で間隙調整手段を具現でき、簡単な操作で該間隙を微調整することができる。
【0019】
また、弾性体は、ゲル状の衝撃吸収材からなる構成とすることにより、簡単な構造で振動時に発生する騒音を抑えることができ、振動音による錯誤や不快感を防止できる。
【0020】
また、接触部は、振動子と電磁コイルと弾性体とを収容する筐体を介して振動が伝達されるように設けられた構成とすることにより、振動子の振動を筐体を介して人体に効率良く付与することができる。また、振動子や弾性体等で筐体内に閉鎖して、騒音低減を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下添付図面を参照しつつ本発明の振動覚検査装置の実施形態について説明する。本発明に係る振動覚検査装置は、機械的に振動を発生して被験者に定量的な振動を与えて振動感覚を検査する感覚検査装置である。
図1ないし
図4は、本発明の振動覚検査装置の一実施形態を示している。
図1、
図2に示すように、本実施形態において、振動覚検査装置10は、振動子12と、電磁コイル14と、弾性体16と、人体に当てられる接触部18と、を含む。
【0023】
図1、
図2に示すように、本実施形態では、振動覚検査装置10は、振動子12、電磁コイル14、弾性体
16等の構成要素を収容する筐体20を有する。筐体20は、例えば、プラスチック等の合成樹脂で略円筒形状に形成されており、内部に中空空間22を有している。筐体20は、例えば、7〜8cm程度の長さで、径が1〜3cm程度に設けられている。なお、筐体の大きさは、任意に設定できる。筐体20は、例えば、長手方向に分割された2つの部材を組み付けて構成されており、内部に中空空間22が形成された筒状基部24と、筒状基部24の端部に連結される先端部26と、を有している。なお、筐体20は、筒状基部24と先端部26とは、例えば、それらの連結端部にネジ山、ネジ溝等を設け、連結分割可能に設けられていてもよく、修理やメンテナンス等しやすい。筐体20の先端部26の外面側端部に被験者の人体に当てられる接触部18を形成したプローブ部201が設けられている。筐体20の先端部26には、中空空間22に臨む内壁側20Aから中心軸方向に沿って穿穴された小径のガイド穴28が設けられ、振動子12の一部分がスライド自在に嵌挿されている。
【0024】
図2、
図4に示すように、振動子12は、一方向に直線状に往復振動する振動部材である。振動子12は、少なくとも一部が磁性体で形成されており、電磁コイル14と弾性体16によって振動させられる。本実施形態では、振動子12は、例えば、鉄等の磁性体金属からなり、一方向に長い略円柱状の棒体で設けられている。振動子12は、円筒状の筐体20の略中心軸に沿って長く配置されるとともに一端部が筐体20のガイド穴28に挿入されており、ガイド穴28にガイドされながら長手方向に沿って直線的にスライド移動して往復振動する。振動子12の振動方向Vは、接触部18を人体表面に接触した際に該人体表面に交差する方向に設定される。振動子12の他端部は、電磁コイル14内に挿入される。なお、振動子12は、全体を磁性体で形成してもよいし、電磁コイル14と作用する一部分のみを磁性体としその他の部分とプラスチック等の非金属で形成しそれらを組み付けて一体化した構成としても良い。
【0025】
振動子12の筐体20の中空空間22内部分の長手方向中間位置には、該振動子12の振動方向Vとは直交する方向に突出した突出部30が設けられている。突出部30は、振動子12において弾性体16との係合部となる。突出部30は、例えば、振動子12の径方向にフランジ状又は鍔状に張り出して形成されている。本実施形態では、例えば、径が大きな円柱状の磁性体金属を削り出して振動子12と突出部30が一体的に設けられている。
【0026】
電磁コイル14は、振動子12を振動させる要素の一つであり、通電時に励磁して振動子12を振動方向である前記一方向に沿って移動させる。電磁コイル14は、例えば、複数巻きコイルで筒状に形成されその中心軸を振動子12の中心軸と一致させており、筐体20の中空空間22内の端部側に配置されている。すなわち、電磁コイル14は、振動子12の磁性体の端部部分に磁力を作用させるように配置されている。
図2に示すように、本実施形態では、電磁コイル14は、筐体20の接触部18が設けられる先端部とは反対側の基端部側に寄せて収容配置されている。電磁コイル14は、例えば、ボビンに銅線が巻かれて筒状に保持されるとともに内部に磁性体が挿入され、金属製のコイルケーシング32に収容されている。電磁コイル14の端部を閉鎖するように磁性体からなる固定鉄心34が配置され、コイル内部に挿入された振動子12の先端との間に所定の間隙Hを設定している。電磁コイル14と振動子12は、振動子12を可動鉄心として電気エネルギーを直線運動に変換するソレノイド機構36を構成している。電磁コイル14のコイルケーシング32の外側にはプラスチック等の合成樹脂製ケース又はフレームからなるアタッチメント38が設けられ、アタッチメント38を介して筐体20の内部に固定されている。なお、電磁コイル14のコイルケーシング32を直接筐体20に取り付けることとしてもよい。電磁コイル14は、例えば、リード線が筐体20外部に引き出されて電源装置40に電気的に接続され、電源装置40から電力を得て通電又は電流が切断されて、励磁、消磁が切り替えられる。電磁コイル14に電流を流すと磁界を発生し、
図4(a)に示すように、磁性体を有する振動子12を固定鉄心34側に吸引移動させる。電流を切断すると磁束が消失し、前記吸引力は消滅する。
【0027】
弾性体16は、振動子12を振動させる要素の一つであり、電磁コイル14と協働して振動子12の振動を維持する。本実施形態では、弾性体16は、例えば、金属製又はプラスチック製のコイルバネからなり、その伸縮方向が振動子12の振動方向Vに沿って設置され、伸張・圧縮による弾性変形・復元により、振動子12を振動方向に沿って直線的に付勢する。
図2に示すように、振動子12の突出部30と電磁コイル14のケーシングの先端面との間に介設された第1弾性体161と、振動子12の突出部30と筐体20の先端部26の内壁20Aとの間に介設された第2弾性体162と、の2個が設けられている。すなわち、弾性体16は、突出部30を挟んで両側に2個配置され、振動子12を内部に貫通させながら、振動子12とコイルケーシング32との間及び振動子12と筐体内壁20Aとの間にそれぞれ挟持されている。さらに、弾性体16は、電磁コイル14のコイルケーシング32、振動子12の突出部30及び筐体20内壁のそれぞれとは、単に弾性体自身の弾性力により当着して係止しているだけであり、非固着状態となっている。したがって、製造工程において、弾性体端部の溶着や接着等といった固着作業が不要であり、単に弾性体16を所定位置に入れるだけで振動を効率良く維持することができ、各構成要素が小さな部材となる小型構造であっても簡単に製作できる。
【0028】
弾性体16は、電磁コイル14の励磁により固定鉄心34側に振動子12が吸引移動された状態(
図4(a)の状態)で電磁コイル14が消磁されると、
図4(b)に示すように、第1弾性体161の復元力による付勢力により、振動子12を固定鉄心34から離隔する方向(図上、右方向)に移動させる。その際、第2弾性体162は、圧縮されるので振動子12を再び固定鉄心34側に付勢し、2個の弾性体16で互いに付勢する。上述のような通電時の電磁コイル14の励磁による振動子12の往移動と、電磁コイル14の非通電時の弾性体16による振動子12の復移動と、が繰り返されることにより、振動子12の往復振動が維持される。また、2個の弾性体16は、突出部30がコイルケーシング32や筐体20内壁に衝突するのを防止して装置からの騒音の発生を抑制する。なお、弾性体16は、ゴムやゲル状の衝撃吸収材で形成してもよい。
【0029】
接触部18は、振動子12で発生した振動を人体に付与するように人体表面に当てられる部位である。本実施形態では、接触部18は、振動子12と人体表面に介在するように筐体20に取り付けられた棒状のプローブ部201の先端に設けられている。プローブ部201は、例えば、プラスチック等の合成樹脂製で筐体20より小径で該筐体の中心軸方向に沿って長く形成され、基端を筐体20の先端部26に固定し、先端が接触部18となっている。接触部18は、振動子12の振動方向Vに沿った方向の一端部に設けられる。上述のような構成により振動子12の振動が筐体20全体を振動させ、該筐体20からプローブ部201先端に設けた接触部18を介して振動を人体に付与する。接触部18は、例えば、人体表面に当てられる接触面が振動子の振動方向に略交差する平面又は半球状の曲面で形成される。なお、接触部18は、筐体20に設ける構成に限らず、振動子12に設けたり、筐体20自体に設ける構成としてもよい。
【0030】
電源装置40は、電磁コイル14と電気的に接続され、
図3に示すように所定時間幅で電圧のオンオフを繰り返すパルス電圧を電磁コイル14に加えて、該電磁コイル14に通電して磁束を発生する状態と、電流を切断して磁束を消失させる状態と、を切り替えるように制御回路やスイッチ等が組み込まれている。電源装置40は、例えば、乾電池やリチウムイオン充電池等の小型の内蔵電池で駆動する。なお、電源装置40を家庭用100V電源で駆動するようにしてもよい。電源装置40は、電磁コイル14に印加する電圧の大きさ、パルス幅や周波数を変更することにより振動子12の振動すなわち人体に与える振動の強さや周波数を変更できるようになっており、振動の強さや周波数は被験者の病状やリハビリテーションの状態に応じて段階的又は連続的に変更される。電源装置40は、例えば、接触部18を介して人体に付与する振動の周波数が128Hz、256Hz等、数十Hz〜数百Hz程度の比較的低い周波数となるようにパルス電圧で設定される。
【0031】
次に、本実施形態にかかる振動覚検査装置10の作用について説明する。振動覚検査装10は、電源装置40によって電磁コイル14に
図3に示すようなパルス状に電圧が印加されると、電圧が加わり電磁コイル14が通電された状態では、
図4(a)に示すように、電磁コイル14が励磁して振動子12を電磁コイル14の端部の固定鉄心34側(
図4(a)上、左側)に吸引して移動させる。電圧が切れて電磁コイル14の電流が切断されて消磁すると、
図4(b)に示すように、弾性体16(第1弾性体161)により、振動子12を固定鉄心34から離隔するように(
図4(a)上、右側)移動させる。
図4(a)と
図4(b)の動作を交互に繰り返して、振動子12を往復振動させる。振動子12が往復振動することにより、先端側の接触部18を含む筐体20全体が振動し、プローブ部201を検査者が持って、先端の接触部18を被験者の手の尺状突起や足の踝等の人体表面の受容部位に接触させて、被験者に振動を与える。これにより、安定的な一定の強さで振動を発生し振動覚検査において客観的な感覚診断を行うことができる。必要に応じて、電磁コイル14に印加する電圧の大きさや電圧のパルス幅等を変化させて発生する振動力の大きさを変化させながら、被験者が振動を感じなくなる閾値を検査していく。本実施形態では、電磁コイル14を筐体20の端部に設置し電磁コイル14の端部に固定鉄心34を設置したソレノイド機構36を利用するとともに、2つの弾性体16と協働して振動させることから、電磁コイルで発生した磁力を振動子12に効率良く作用させ、振動子12を振動させることができる。さらに、比較的小さな電気量で振動覚検査装置として実用的な振動を発生することができ、装置全体の小型化及び軽量化を実現できる。その結果、携帯に便利であり、客観的な振動覚の検査や診断を簡便に行うことができ、実用性が高い。
【0032】
次に
図5、
図6を参照しつつ本発明の振動覚検査装置の第2の実施形態を説明する。上記した第1実施形態と同一構成、同一部材には、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図5に示すように、本実施形態に係る振動覚検査装置10−2では、第1実施形態同様に振動子12と電磁コイル14と弾性体16と接触部18等を有するが、筐体20の構造や接触部18が振動子12自体に直接設けられている点が異なっている。
図6に示すように、筐体20は、一端を閉鎖し、他端を開口した筒状基部42と、筒状基部42の開口を閉鎖する先端蓋部44と、を組み付けて設けられている。筐体20の先端蓋部44には、筒の中心軸方向に沿って貫通する貫通孔46が形成されている。振動子12は、一端部は貫通孔46を貫通して筐体外部まで長く延設され、他端部は上記実施形態同様に電磁コイル14に挿入されており、筐体20の貫通孔でガイドされて長手方向に沿って往復振動する。振動子12の先端側に人体に当てがわれる接触部18が設けられている。振動子12は、電磁コイル14と作用する部分は磁性体で形成されており、接触部18が形成される部分はプラスチック等の合成樹脂で形成されている。本実施形態でも、定量的な振動を発生できる、装置を小型化、軽量化できる、振動効率が良い等の上記実施形態同様の作用効果を奏することができる。
【0033】
次に
図7を参照しつつ本発明の振動覚検査装置の第3の実施形態を説明する。上記した第1実施形態と同一構成、同一部材には、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図7に示すように、本実施形態に係る振動覚検査装置10−3では、第1実施形態同様に振動子12と電磁コイル14と弾性体16と接触部18等を有するが、さらに、固定鉄心34と振動子12の端部との間隙Hを調整する間隙調整手段50を備えている。固定鉄心34と振動子12との間隙Hが狭いと電磁コイル14を励磁した際に吸引した振動子12が衝突して騒音が発生する。逆に間隙Hを大きくとると電磁コイル14を励磁した際に振動子12に作用する磁力が弱くなり、振動の強さの低下を招いて効率が悪くなる。間隙調整手段50によって固定鉄心34と振動子12との間隙Hを微調整することで、効率良い振動と騒音対策を簡便に実現できる。
【0034】
図7に示すように、第3実施形態では、間隙調整手段50は、例えば、電磁コイル14と固定鉄心34を一体的に組み付けたコイルケーシング32がアタッチメント38を介して筐体20に対して振動子12の振動方向Vに沿ってスライド可能に設けられている。アタッチメント38ごとコイルケーシング32をスライド移動することにより、振動子12の端部と固定鉄心34との間隙Hの幅を変更できる。筐体20には、コイルケーシング32を所定位置で固定する固定装置52が設けられている。固定装置52は、例えば、ネジ等を含む締結装置からなり、緩めた状態ではコイルケーシング32をスライド自在として、締結することで該コイルケーシング32を位置固定する。さらに、筐体20の端部壁20Eには、位置調整ネジ54が該端部壁20Eを貫通して螺合しており、ネジ先端をアタッチメント38に係合させている。筐体20外部からの操作で位置調整ネジ54を回すことで、筐体20内部のコイルケーシング32を直線的に微動させながら前記間隙Hの微調整を行える。さらに、間隙調整手段50は、停止状態での振動子12の位置をスライド移動することによっても、間隙Hの幅を調整できるようになっている。例えば、筐体20の筒状基部24と先端部26との連結部にネジ山、ネジ溝が設けられ、互いに螺進退自在に設けられ、筐体全長が伸縮するようになっている。間隙調整手段50は、筐体20の筒状基部24と先端部26とを螺進退させて内壁20Aを電磁コイル14側に進退することにより、弾性体16を介して振動子12を振動方向に沿ってスライドさせて振動子12と固定鉄心34との間隙Hを微調整することができる。筐体20には、筒状基部24と先端部26とを所定の位置で固定する第2の固定装置53が設けられている。固定装置53は、例えば、ネジ等を含む締結装置からなり、緩めた状態では筒状基部24と先端部26とを螺進退自在とし、締結することでそれらを固定する。すなわち、本実施形態では、間隙調整手段50は、電磁コイル14と固定鉄心34の移動と、筐体20の螺進退による振動子12の停止位置の調整と、の両方又はいずれか一方を行って間隙Hを微調整できる。本実施形態でも、定量的な振動を発生できる、装置を小型化、軽量化できる、振動効率が良い等の上記実施形態同様の作用効果を奏することができる。
【0035】
次に
図8を参照しつつ本発明の振動覚検査装置の第4の実施形態を説明する。上記した第1実施形態と同一構成、同一部材には、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図8に示すように、本実施形態に係る振動覚検査装置10−4では、第1実施形態同様に振動子12と電磁コイル14と弾性体16と接触部18等を有するが、弾性体16がゲル状の衝撃吸収材からなる点が異なっている。弾性体16は、例えば、シリコンやウレタン、高分子等を原料としたゲル状素材からなり、円柱状に形成され、中心に振動子12を貫通させる孔48が設けられている。弾性体16がゲル状の衝撃吸収材からなるので、振動時の騒音を低減できる。本実施形態でも、定量的な振動を発生できる、装置を小型化、軽量化できる、振動効率が良い等の上記実施形態同様の作用効果を奏することができる。
【0036】
次に
図9を参照しつつ振動覚検査装置の
参考例を説明する。上記した実施形態と同一構成、同一部材には、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図9に示すように、本
参考例に係る振動覚検査装置10−5では、振動子12と電磁コイル14と弾性体16と接触部18とを備えている。本
参考例では、筐体20は、例えば、筒状本体42と貫通孔46が設けられた先端蓋部44とを組み付けて設けられている。振動子12は、一方向に向けて円柱状に長い棒状の部材からなり、一端部に磁性体からなる磁性体部12Mが設けられ、該磁性体部に延設してプラスチック等の合成樹脂からなるプローブ部12Pが設けられている。振動子12のプローブ部12Pの先端に接触部18が設けられており、該プローブ部12Lが筐体20の先端蓋部44の貫通孔46でガイドされている。電磁コイル14は、筐体20の中空空間22内において先端蓋部44寄りの端部に設置され、コイル内部に振動子12のプローブ部12Pを貫通させている。電磁コイル14は、振動子12の磁性体部12Mの端部に磁力が作用するように配置される。弾性体16は、例えば、一端が振動子12の
磁性体部12Mに固定されているとともに、他端部が筐体20の端壁部20Eに固定されている。電磁コイル14は電源装置に接続されており、電磁コイル14に通電して励磁すると振動子12の磁性体からなる端部12Mを電磁コイル14内部に吸引して振動子12全体を図上、右側に移動させる。電磁コイル14の電流を切断して消磁すると、弾性体16の付勢力により上記とは逆方向に図上、左側に該振動子12全体を移動させる。これを繰り返して振動子を往復振動させる。本
参考例でも、定量的な振動を発生できる、装置を小型化、軽量化できる等の作用効果を奏することができる。
【0037】
次に
図10を参照しつつ振動覚検査装置の
他の参考例を説明する。上記した実施形態と同一構成、同一部材には、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図10に示すように、本
参考例に係る振動覚検査装置10−6では、振動子12と電磁コイル14と弾性体16と接触部18とを備えている。振動子12は、円柱状に形成された磁性体からなり、筐体20の中空空間22内に、一方向(図上、左右方向)を振動方向Vとして往復振動自在に設置されている。電磁コイル14は、筐体20の中空空間22内の一端部に設置され、振動子12の端部に磁力が作用するようになっている。弾性体16は、振動子12の振動方向の両側にそれぞれ配置され、2個の弾性体により振動子12を付勢している。各弾性体16は、一端が振動子12に固定され、他端が筐体20の端壁に固定されている。筐体20の外側には、振動子12の振動方向Vに沿って一方向に長い棒状部材56が固定されている。振動子12と人体表面との間に介在することとなる棒状部材56の先端に接触部18が設けられている。本
参考例では、電磁コイル14に接続された電源装置により、電磁コイル14に通電して励磁すると振動子12を吸引して図上、右側に移動させる。電磁コイル14の電流を切断して消磁すると、弾性体16の付勢力により上記とは逆方向に振動子12を移動させる。これを繰り返して振動子12を往復振動させて筐体20を振動させ、筐体20に取り付けられた棒状部材56の先端の接触部18を介して人体に振動を付与する。本
参考例でも、定量的な振動を発生できる、装置を小型化、軽量化できる等の作用効果を奏することができる。
【0038】
以上説明した本発明の振動覚検査装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。