【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明は、連結される2本の配管のフランジ同士を正対させてフランジ外周面を面一にするフランジ外周面位置合わせ治具であって、
該2本の配管それぞれに取り付けられた2個のフランジを挟む板材A及び板材Bと、
該板材Aに取り付けられ、該2個のフランジのいずれかの1個のボルト穴に挿入される円柱状の突出部と、
該突出部に平行して設けられた2個の反力受け材であって、それぞれが該板材Aと該板材Bの両方に固定されることができ、該突出部が該2個のフランジのいずれか1個のボルト穴に挿入された際に、該2個のフランジの外周面の外側の近傍の位置で、かつ、該突出部を頂点とするほぼ二等辺三角形を形成する位置に設けられた該2個の反力受け材とから成るフランジ外周面位置合わせ治具である。
【0010】
本治具を用いてフランジ外周面位置合わせを行うには、まず接続すべき2個のフランジの外周面のずれ具合を見て、どちらのフランジのどのポイントを押せば両フランジが正対し外周面が面一になるかを考える。押すべきフランジBの相手側のフランジAのボルト穴のうち、もっともフランジの外周面のずれが大きい場所に近い1個のボルト穴を選んで、そこに板材Aに取り付けられた突出部を挿入しながら板材AをフランジAの配管側に添える。さらに、板材BをフランジBの配管側に添えて、板材Aと共に両フランジを挟み込む形に置き両板材を繋ぐ形で2個の反力受け材を固定する。
【0011】
突出部をフランジAのボルト穴に挿入したこの状態で、本治具に設けられた2個の反力受け材は、フランジの外周面の外側の近傍の位置に設けられているので、フランジBの外周面といずれか1個の反力受け材Aとの間に金矢を打ち込んで力を与えれば、フランジBをフランジAに近づける方向に移動することができる。
【0012】
2個の反力受け材はいずれも、突出部をフランジAのボルト穴に挿入したこの状態でフランジの外周面の外側の近傍の位置に設けられているので、金矢を打ち込む反力受け材Aと異なる反力受け材Bもまた、フランジ外周面の外側の近傍にある。したがって、反力受け材AとフランジBの外周面の間に金矢を打ち込んだ際に、反力受け材BがフランジBの外周面に接触して止まるところまで2枚の板材は突出部を中心にわずかに回転して固定される。
【0013】
この状態で、金矢を打ち込んだときの反力は、反力受け材Aから板材Aを介して突出部に伝わり、フランジAをフランジBに近づける方向に移動させ、きわめて効果的にフランジAとフランジBを正対させ、それらの外周面を面一にすることができる。
【0014】
さらに、2個の反力受け材は、固定軸を頂点とするほぼ二等辺三角形を形成する位置に設けられているので、必要に応じて、反力受け材AとフランジBの外周面、及び、反力受け材BとフランジBの外周面の両方にそれぞれ金矢を打ち込んでフランジBをフランジAに対して動かすこともできる。
【0015】
上記の使用状況から考えて、突出部は強度が許す範囲で対応するフランジのボルト穴の径より細ければよく、また、2個の反力受け材は対応するフランジの外周面の外側の近傍に位置すれば良いので厳密にその位置の精度を要求されるものではないから、一台の本発明のフランジ外周面位置合わせ治具を制作しておけば、対応する配管の径が多少変わっても、あるいは、フランジの形状が多少変わってもで対応が可能であり、本治具は広い適応性を有する。なお、突出部は円柱状をなしているので、それが挿入されるボルト穴の内面に順応しやすい。
【0016】
本発明のフランジ外周面位置合わせ治具は、極めて小型の治具であり、別途レバーブロック(登録商標)やジャッキを必要としないので、狭隘部に持ち込むことも、狭隘部で設置することも容易である。さらに、後の操作は金矢を打ち込むことだけであるから、多くの作業員にとって慣れた作業であり、安全、かつ、短時間で作業が行える。
【0017】
さらに、上記課題を解決する本発明は、請求項1記載のフランジ外周面位置合わせ治具であって、前記2個の反力受け材が、前記板材Aに取り付けられた円柱部と該円柱部の頂部に設けられたスタッドボルト、及び、ナットから成り、かつ、前記2枚の板材の間隔を調整するスペーサ機能を有するフランジ外周面位置合わせ治具である。
【0018】
反力受け材を、板材Aに取り付けられた円柱部とその円柱部の頂部に設けられたスタッドボルト、及び、ナットにより構成することにより、反力受け材は、当初より板材Aに固定されたことになり、あとは、そのボルトとナットを用いて板材Bに固定すればよい。また、金矢を打ち込む部分やフランジBに接触して板材の回転を止める部分は、その円柱部が対応するので、全体をボルト状にするよりも強い力に対応でき、変形の恐れも少ない。スタッドボルトは板材Bに設けられたボルト穴に挿入され、ナットを締めて2個の反力受け材は板材Bに容易に固定できる。
【0019】
2個の反力受け材に2枚の板材の間隔を調整するスペーサ機能を持たせることにより、反力受け材部分の両板材の間隔を、突出部付近の両板材の間隔にほぼ等しく維持することができる。2個の反力受け材は突出部を頂点とするほぼ二等辺三角形を形成する位置に置かれているので、3点で両板材をしっかりと平行に保つことができ、金矢を打ち込んだときの衝撃をあたえられても、板材が倒れ込んだり、フランジからはずれることが無く、安定して作業をすることができる。
【0020】
本発明のフランジ外周面位置合わせ治具は、板材、円柱部材、スタッドボルト、ナット等、工事の現場で容易に手に入れられるものを使って、容易に組み立てることができる。したがって、それぞれの現場で、そこの状況に応じて制作し、使用することができる。
【0021】
また、上記課題を解決する本発明は請求項1または請求項2に記載のフランジ外周面位置合わせ治具を用いて前記2本の配管のフランジ面を正対させ、それらの外周面を面一にするフランジ外周面位置合わせ方法である。
【0022】
本フランジ外周面位置合わせ治具を用いてフランジ外周面の位置合わせを行うには、まず接続すべき2個のフランジの外周面のずれ具合を見て、どちらのフランジのどのポイントを押せば両フランジが正対し外周面が面一になるかを考える。押すべきフランジBの相手側のフランジAのボルト穴のうち、もっともフランジの外周面のずれが大きい場所に近い1個のボルト穴を選んで、そこに板材Aに取り付けられた突出部を挿入しながら板材AをフランジAの配管側に添える。さらに、前述の通り板材BをフランジBの配管側に添えて、両板材を繋ぐ形で2個の反力受け材を固定する。
【0023】
この時、2個の反力受け材の有するスペーサ機能を活用して両板材が平行に保つように固定すると、金矢を打ち込んだときの衝撃をあたえられても、板材が倒れ込んだり、フランジからはずれることが無く、安定して作業をすることができる。
【0024】
前述の通り、この状態で本治具に設けられた2個の反力受け材は、フランジの外周面の外側の近傍の位置に設けられているので、フランジBの外周面といずれか1個の反力受け材Aとの間に金矢を打ち込んで力を与えれば、フランジBをフランジAに近づける方向に移動することができる。また、金矢を打ち込んだときの反力は、反力受け材Aから板材Aを介して突出部に伝わり、フランジAをフランジBに近づける方向に移動させ、きわめて効果的にフランジAとフランジBを正対させ、それらの外周面を面一にすることができる。
【0025】
さらに、必要に応じて、反力受け材AとフランジBの外周面、及び、反力受け材BとフランジBの外周面の両方にそれぞれ金矢を打ち込んでフランジBをフランジAに対して動かすこともできる。
【0026】
この操作により、別途レバーブロック(登録商標)やジャッキの助けを借りること無く、フランジ同士を容易に正対させ、それらの外周面を面一にすることができる。また、この操作は、狭隘部でも安全に、かつ、短時間で行うことができる。