【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、冷却要素が筐体に関して検出器を電気的に絶縁するか、または冷却要素が筐体に関して検出器を電気的に絶縁する絶縁体の少なくとも一部である点を特徴とする検出装置によって達成される。
そして、冷却要素は、その中を検出対象の光が通過してセンサへと進む通路、特に貫通穴を備える。ここで、特に、通路を円錐形に、および/または傾斜した壁を有するように具現化して、光センサの表面に斜めに入射した光であっても、妨害されずに冷却要素を通って光センサへと進める。
【0009】
特に、光センサおよび/または光センサを備える検出器が危険電圧で作動される実施形態のため、さらに光センサおよび/または下流の電子部品を保護するために、検出器を筐体内に配置して、検出器を少なくとも部分的に、電気絶縁体として具現化された冷却要素によって筐体内に保持できることが有利である。
【0010】
更に、追加の冷却要素
が筐体内に設置される。特に、冷却要素と熱伝導的に接触する追加の冷却要素を有利な態様として設けることができる。
【0011】
また、冷却要素と追加の冷却要素が機械的および/または熱的に直列に配置され、一体で検出器を筐体に関して絶縁するようになすことができる。
【0012】
特に有効な冷却は
、追加の冷却要素を通る光路を検出対象の光のために画定することにより、特に有利な態様として実現できる。特に
、追加の冷却要素が、たとえば円形で、検出対象の光が到達できるセンサ表面を取り囲むようになすことができる。
【0013】
たとえば
、追加の冷却要素が、その中を検出対象の光が通過してセンサへと進む通路、特に貫通穴を備えるようになすことができる。ここで、特に、
開口部(通路)を円錐形に、および/または傾斜した壁を有するように具現化して、光センサの表面に斜めに入射した光であっても、妨害されず
に追加の冷却要素を通って光センサへと進めるようになすことができる。
【0014】
しかしながら、冷却要素および/または追加の冷却要素が、2つの部品または複数の部品により構成されるようになすこともでき、これらの部品が相互に関して、検出対象の光のための光路がそこを通って延びる隙間ができるように配置される。
【0015】
追加の冷却要素はまた、熱伝導性と電気絶縁性を有する中間素子として、有利な態様として具現化できる。特に、詳しくは後述するように、追加の冷却要素は、受動的冷却要素として、特に放熱リングとして具現化することができ、これは検出器と能動的冷却要素、たとえばペルティエ素子との間に配置される。
【0016】
特別な実施形態において、冷却要素は、熱伝導性と電気絶縁性を有する中間素子として具現化される。このような実施形態は、センサがたとえばそれを取り囲む筐体に関して異なる電圧レベル、特に1000Vを超える、特に2000Vを超える、特に4000Vを超える、特に約8000Vの電圧レベルであっても、熱を光センサから遠くへ向けて伝導できるという点で特に有利である。この種の熱伝導性と電気絶縁性を有する中間素子は、特に、たとえば熱がその中を伝導されるような受動的冷却要素として具現化できる。
【0017】
有利な実施形態において、追加の冷却要素もまた、それが検出器の光センサ、たとえば光電陰極と直接接触するように配置できる。また、その代わりに、またはそれに加えて、追加の冷却要素を光センサ、たとえば光電陰極を担持する基板と直接接触するようになすことができる。
【0018】
特に有効な冷却は、冷却要素および/または追加の冷却要素を検出器の光センサおよび/または光センサを担持する基板と直接接触させることによって実現される。このような実施形態は、特に、実際に温度依存性のノイズ挙動を示す要素だけが冷却されるという利点を有する。
【0019】
これに加えて、有利な態様として、このような実施形態では必要な冷却出力が実質的に小さくてよく、これは冷却要素および/または追加の冷却要素が能動的冷却要素、たとえばペルティエ素子として具現化されている時に特に有利である。冷却要素および/または追加の冷却要素が能動的冷却要素として具現化されている場合、有利な結果として、外側に伝送しなければならない廃熱も減少する。
【0020】
光センサと筐体が冷却要素
および追加の冷却要素によって熱伝導的に接続され、冷却要素および/または追加の冷却要素の光センサとの接触面積が、冷却要素および/または追加の冷却要素と筐体との接触面積より小さいようになされる。このような実施形態は、一方で、確実に熱センサから熱が特に良好に遠くへ伝送され、もう一方で、検出対象の光が光センサの受光面へ自由に到達することが、最大でもわずかしか限定されないという、非常に特別な利点を有する。
【0021】
前述のように、冷却要素および/または追加の冷却要素は、有利な態様として、能動的冷却要素として、特にペルティエ素子として、またはヒートポンプとしてまたはヒートパイプとして具現化できる。1つの特に有利な実施形態において、冷却要素は環状のペルティエ要素として具現化される。このような実施形態により、検出対象の光のための光路がリングの中心を通って延びることができ、それによって、環状のペルティエ素子を通過する際、光路が環状のペルティエ素子の回転対称軸と実質的に同軸に配置されるという利点が得られる。
【0022】
非常に特に有利な変化型において、冷却要素および/または追加の冷却要素は、冷却要素および/または追加の冷却要素からの廃熱が筐体の少なくとも1つの入射窓および/または筐体の入射光学系を加熱できるように配置される。このような実施形態は、入射窓の表面上または入射光学系、たとえばレンズまたは複数のレンズの配列等の表面上に結露が付着しないという非常に特別な利点を有する。これは、特に、廃熱を利用して、入射窓の、または光学系の表面の温度を露点以上に保持することによって確実となる。
【0023】
特に有利な方法では、その中を熱が流れるような受動的冷却要素として、冷却要素および/または追加の冷却要素が具現化されるようになすことができる。急速な熱伝達が確実に行われるように、受動的冷却要素および/または追加の受動的冷却要素の熱伝導率が良好であれば特に有利である。この点において、有利な態様として、冷却要素および/または追加の冷却要素の熱伝導率が1W/mKより高く、特に10W/mKより高く、特に100W/mKより高く、非常に特別に500W/mKより高くなるようになすことができる。
【0024】
非常に特別に有利な実施形態において、受動的冷却要素および/または追加の受動的冷却要素は、それが正確にフィットする状態で、できるだけ大きな面積にわたって、冷却対象の検出装置の構成要素に、特に光センサに、および/または光センサを担持する基板に適合できるような形状および寸法とされる。それによって特に良好な冷却が可能となる。同じことが、冷却要素が能動的冷却要素として具現化され、および/または追加の冷却要素が追加の能動的冷却要素として具現化された場合にも同様に当てはまる。しかしながら、冷却要素の、または追加の冷却要素の構成は常に、たとえば光路の遮蔽によって検出器の機能および/または検出器の部品の機能が不利に損なわれることがないように実行される。
【0025】
特に検出器および/または検出器の部品が筐体とは異なる電位レベルにある時に使用可能な非常に特別に有利な実施形態において、冷却要素および/または追加の冷却要素は、電気的に大きく絶縁する状態で具現化される。特に、冷却要素および/または追加の冷却要素の導電率が10
−7S/m未満、特に10
−8S/m未満となるようになすことができる。
【0026】
このような実施形態は、検出器を、冷却要素または追加の冷却要素を介して筐体と機械的に接触させることができ、その一方で、検出器をそれでもなお、少なくともこれが必要な電位レベルで動作できる程度まで電気的に絶縁させるという点で、特に有利である。たとえば、検出器が光電陰極によって生成された電子を加速させるための加速装置を備えるようになすことができ、これに関して、加速された電子は、たとえばアバランシェダイオードへと向けることができる。あるいは、検出器が二次電子増倍管を含むようになすこともできる。その点で、数千ボルトの電圧差を検出器または検出器の部品と筐体との間に印加しなければならないことがありうる。
【0027】
特に、このような電位差に耐えるために、検出器の具体的な実施形態において、冷却要素および/または追加の冷却要素が、少なくとも部分的に、電気絶縁性と熱伝導性を有する材料、特に窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、ダイヤモンド、人工ダイヤモンドまたは前記材料の組み合わせで作製される。これらの物質は、一方で高い熱伝導率、他方で非常に低い導電率で知られている。これに加えて、これらの材料は、たとえば粉砕、旋回またはフライス加工によって容易かつ正確に機械加工できるという利点を提供する。
【0028】
すでに説明したように、有利な態様として、冷却要素および/または追加の冷却要素は、電気絶縁体であり、かつ熱伝導体であるようになすことができる。特に、これを実現するために、冷却要素および/または追加の冷却要素は、少なくとも部分的に複合的な材料で作製することができる。たとえば、冷却要素および/または追加の冷却要素にはそれぞれ、熱伝導材料、たとえば、例としてアルミニウムまたは銅等の金属で作製したコアを少なくとも部分的に電気絶縁体によって取り囲んだものを含めることができる。特に、周囲の電気絶縁体は、熱伝導方向に関して、コアより薄くなるようになすことができる。コアの厚さは、特に、数ミリメートル、さらには数センチメートルとすることができる。
【0029】
特に、たとえば金属コアの容易な機械加工性から、冷却要素および/または追加の冷却要素は、特殊な形状であっても、複合的な構成要素としてそれほど複雑なものとならずに製造できる。
【0030】
一方で、コアは、たとえば光センサと筐体との間または、たとえば光センサと冷却要素および/または、特にペルティエ素子として具現化された追加の冷却要素との間のスペーサとして機能する。このブロックの良好な熱伝導性がさらに利用される。電気的に絶縁するために、このブロックを電気絶縁体で取り囲む。特定の実施形態において、電気絶縁体は絶縁膜として、特にプラスチック膜として具現化される。たとえばカプトンフィルムの使用が適切である。好適なプラスチック膜、特にカプトンフィルムは、1ミリメートルの何分の1かの厚さであっても、すでに非常に高い誘電強度を示すことができるため、電気絶縁膜をコアより実質的に薄くすることができる。その結果、特に、電気絶縁膜にはほとんど断熱効果がなくなる。熱伝導性コアと、より薄い電気絶縁フォイルとの特定の組み合わせにより、冷却要素および/または追加の冷却要素が電気絶縁性と熱伝導性の両方を持ち合わせることになる。
【0031】
周囲を取り囲む電気絶縁体はまた、当初は液体である材料を、たとえば塗布、噴霧または浸漬によってコアの上に付着させ、その上で硬化させることによって作製できる。
【0032】
特に、大きな電位差が存在する実施形態については、冷却要素および/または追加の冷却要素のいずれの具体的な構成とも別に実現可能な独立した発明的着想によれば、有利な態様として、冷却要素および/または追加の冷却要素が、外面のリーク電流に対する抵抗を高めるために、ラビリンスにより、および/または隆起部により、および/または少なくとも1つの溝により、および/または少なくとも1つの突出部により長くされたリーク経路を有するようになすことができる。
【0033】
非常に特別な実施形態では、冷却要素および/または追加の冷却要素が、特にリーク電流に対する抵抗を高めるために、少なくとも1つの周縁突出部または少なくとも1つの周縁溝を有するようになされる。このような実施形態は、冷却要素の、または追加の冷却要素の表面に沿ったリーク経路が長くなり、それによって電気フラッシュオーバの危険性が少なくとも低減されるという点で特に有利である。
【0034】
特に、大きな電位差が存在する実施形態について、冷却要素および/または追加の冷却要素のいずれの具体的な構成とも別に実現可能な独立した発明的着想によれば、有利な態様として、冷却要素および/または追加の冷却要素の隙間が電気絶縁材料で充填されるようになすことができる。特に、熱電コンバータ、特にペルティア素子を使用する場合、さらに有利な態様として、充填材料が電気絶縁性と断熱性を兼ね備えるものとして具現化されるようになすことができる。特定の実施形態において、冷却要素および/または追加の冷却要素は熱電コンバータとして、特にペルティエ素子として具現化し、その隙間をエポキシ樹脂またはシリコーンで充填し、特に封入する。
【0035】
不要な電圧フラッシュオーバは、冷却要素および/または追加の冷却要素の隙間を電気絶縁材料で充填することによって、有効に避けることができる。電気絶縁材料による充填は、内部の構成要素、たとえば、ペルティエ素子の一般的に円柱状の半導体素子等の表面に沿ったスパークのフラッシュオーバを有効に抑制する。
【0036】
冷却要素
および追加の冷却要素は、実質的に環状または円筒状に
構成される。前述のように、これによって、有効な冷却にとって有利なやり方で、冷却要素または追加の冷却要素をたとえば光センサまたは光センサを担持する基板と接触させるという点での特別な利点と、他方で、検出対象の光の光路のために開口部が存在するという別の利点の両方が得られる。
【0037】
特に有効に、かつ高い信頼性で機能する実施形態において、冷却要素および追加の冷却要素は熱的に直列に接続される。特に、非常に有利な態様として、冷却要素を受動的冷却要素として、たとえば窒化ホウ素のリングとして具現化し、またこれを光センサおよび/または光センサを担持する基板と直接接触させるようになすことができる。
【0038】
これに加えて、有利な態様として、前記冷却要素を、能動的冷却要素として、たとえば環状のペルティエ素子として具現化された追加の冷却要素と、熱的に接触させるようになすことができる。
【0039】
環状の冷却要素および環状の追加の冷却要素は
、互いに同軸に配置され、検出対象の光のための光路が、冷却要素および追加の冷却要素の回転対称軸に沿って延びる。これに加えて、有利な態様として、追加の能動的冷却要素、たとえばペルティエ素子の高温側を筐体の入射窓または入射光学系と接触させるようになすことができる。このような構成は、検出器の光センサを特に有効に冷却できるという事実から重要であり、これは、光センサまたはその基板から受動的冷却要素を通って能動的冷却要素へと熱が直接伝達されるからである。これに加えて、能動的冷却要素の廃熱は、有利な態様として、入射窓または入射光学系の結露の発生を防止するために使用される。電気的絶縁性の高い材料、たとえば窒化ホウ素をこの構成の冷却要素として使用すれば、非常に有利な態様として、検出器を筐体の電位レベルとは異なる電位レベルで動作させることが可能となる。
【0040】
特に、結露の発生を防止するために、有利な態様として、筐体が気密となり、および/または筐体内が真空となるようになすことができる。たとえば、気密筐体に露点が特に低いガス、好ましくは乾性ガスを充填するようになすことができる。たとえば、筐体内に乾燥剤を導入することも有利である。これは、依然として存在しているかもしれない残留水分を除去し、またはその中に浸透する水分を吸収する役割を果たす。
【0041】
特に効率的に冷却する実施形態において、冷却要素は、光センサから、および/または光センサの基板から、光センサとも、または光センサの基板とも直接接触していない他の能動的冷却要素、特にペルティエ素子へと、熱を伝達する受動的冷却要素である。さらに、追加の能動的冷却要素が熱を筐体へと放出するようになされる。このような特定の順序の構成の結果として、能動的冷却要素の付加的な処理熱を、受動的冷却要素を通じて伝達させる必要がない。
【0042】
非常に特に好ましくは、本発明による検出装置は、顕微鏡、特に走査顕微鏡または共焦点顕微鏡とともに、またはその中で使用することができる。共焦点走査顕微鏡の非常に特に有利な実施形態において、この顕微鏡は本発明による検出装置を複数有する。たとえば、異なる検出スペクトル領域を個々の検出装置に割り当てるように、および/または割り当てることができるようになしてもよい。
【0043】
本発明の他の目的、利点、特徴および考えられる応用は、図面に関する例示的実施形態の以下の説明から明らかとなるかもしれない。これに関して、説明または図示された特徴はすべて、単独でも、いずれの有益な組み合わせでも、またそれらが特許請求の範囲またはその中での言及における組み合わせに関係なく、本発明の趣旨をなす。