特許第6244092号(P6244092)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244092
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】光学材料およびその用途
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/04 20060101AFI20171127BHJP
   G02C 7/00 20060101ALI20171127BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   G02B1/04
   G02C7/00
   G02B5/00
【請求項の数】14
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-36701(P2013-36701)
(22)【出願日】2013年2月27日
(65)【公開番号】特開2014-164208(P2014-164208A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】小島 甲也
(72)【発明者】
【氏名】龍 昭憲
【審査官】 後藤 亮治
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0035441(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/022744(WO,A2)
【文献】 国際公開第2013/179543(WO,A1)
【文献】 特開2006−330596(JP,A)
【文献】 特開昭55−108603(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/134674(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0099858(US,A1)
【文献】 特開2008−218406(JP,A)
【文献】 特開2009−251093(JP,A)
【文献】 特表2011−511330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/00 − 1/08
3/00 − 3/14
G02C 1/00 − 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ基材と、必要に応じて積層されるフィルム層とコーティング層とを備え、
前記レンズ基材、前記フィルム層および前記コーティング層の少なくとも一つにルブレンを含み、かつ
前記レンズ基材および前記フィルム層の少なくとも一方が、ルブレンと、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリスルフィド、ポリ(メタ)アクリレートまたはポリオレフィンとを含む、光学材料。
【請求項2】
前記レンズ基材および前記フィルム層の少なくとも一方が、ルブレンと、ポリチオウレタンとを含む、請求項に記載の光学材料。
【請求項3】
前記ポリチオウレタンは、下記ポリイソシアネート化合物および下記ポリチオール化合物を重合して得られた、請求項1または2に記載の光学材料;
前記ポリイソシアネート化合物:ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)ナフタリン、メシチリレントリイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)スルフィド、ビス(イソシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソシアナトメチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトエチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)エタン、ビス(イソシアナトメチルチオ)エタン、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンイソシアネート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、3,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、ジフェニルスルフィド−4,4−ジイソシアネート、2,5−ジイソシアナトチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)チオフェン、2,5−ジイソシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、3,4−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、2,5−ジイソシアナト−1,4−ジチアン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,4−ジチアン、4,5−ジイソシアナト−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,3−ジチオランから選択される少なくとも1種。
前記ポリチオール化合物:メタンジチオール、1,2-エタンジチオール、1,2,3-プロパントリチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2-メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3-メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)エタン、1,2-ビス(3-メルカプトプロピルチオ)エタン、1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2-メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3-メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3-ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5-ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、2,5-ジメルカプト-1,4-ジチアン、2,5-ジメルカプトメチル-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン、及びこれらのチオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピネート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(2-メルカプトアセテート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(3-メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2-テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、トリス(メルカプトメチルチオ)メタン、トリス(メルカプトエチルチオ)メタン、1,2-ジメルカプトベンゼン、1,3-ジメルカプトベンゼン、1,4-ジメルカプトベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,5-トルエンジチオール、3,4-トルエンジチオール、1,5-ナフタレンジチオール、2,6-ナフタレンジチオール、2-メチルアミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、3,4-チオフェンジチオール、ビスムチオール、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタンから選択される少なくとも1種。
【請求項4】
請求項1乃至のいずれかに記載の光学材料からなるプラスチック眼鏡レンズ。
【請求項5】
ルブレンと、光学材料用樹脂または樹脂モノマーとを含み、
前記光学材料用樹脂がポリスルフィド、またはポリオレフィンであり、
前記樹脂モノマーは、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との組み合わせ、またはポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物との組み合わせである、光学材料用組成物。
【請求項6】
前記樹脂モノマーから得られる樹脂が、ポリチオウレタンである、請求項に記載の光学材料用組成物。
【請求項7】
前記ポリイソシアネート化合物は下記化合物を含み、前記ポリチオール化合物は下記化合物を含む、請求項に記載の光学材料用組成物;
ポリイソシアネート化合物:ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)ナフタリン、メシチリレントリイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)スルフィド、ビス(イソシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソシアナトメチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトエチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)エタン、ビス(イソシアナトメチルチオ)エタン、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンイソシアネート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、3,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、ジフェニルスルフィド−4,4−ジイソシアネート、2,5−ジイソシアナトチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)チオフェン、2,5−ジイソシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、3,4−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、2,5−ジイソシアナト−1,4−ジチアン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,4−ジチアン、4,5−ジイソシアナト−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,3−ジチオランから選択される少なくとも1種。
ポリチオール化合物:メタンジチオール、1,2-エタンジチオール、1,2,3-プロパントリチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2-メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3-メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)エタン、1,2-ビス(3-メルカプトプロピルチオ)エタン、1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2-メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3-メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3-ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5-ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、2,5-ジメルカプト-1,4-ジチアン、2,5-ジメルカプトメチル-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン、及びこれらのチオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピネート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(2-メルカプトアセテート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(3-メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2-テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、トリス(メルカプトメチルチオ)メタン、トリス(メルカプトエチルチオ)メタン、1,2-ジメルカプトベンゼン、1,3-ジメルカプトベンゼン、1,4-ジメルカプトベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,5-トルエンジチオール、3,4-トルエンジチオール、1,5-ナフタレンジチオール、2,6-ナフタレンジチオール、2-メチルアミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、3,4-チオフェンジチオール、ビスムチオール、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタンから選択される少なくとも1種。
【請求項8】
請求項乃至のいずれかに記載の組成物からなる成形体。
【請求項9】
ルブレンと、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリスルフィド、ポリ(メタ)アクリレートまたはポリオレフィンとを含んでなる、成形体。
【請求項10】
請求項またはに記載の成形体からなる光学材料。
【請求項11】
請求項またはに記載の成形体からなるレンズ基材を備える、プラスチック眼鏡レンズ。
【請求項12】
請求項またはに記載の成形体からなるフィルム。
【請求項13】
レンズ基材表面の少なくとも一方の上に、請求項12に記載のフィルムからなる層を備える、プラスチック眼鏡レンズ。
【請求項14】
請求項12に記載のフィルムの両面上にレンズ基材層を備える、プラスチック眼鏡レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学材料およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
夜間、さらには降雨時における夜間の歩行時や車両の運転時には、障害物等の物体が暗がりや乱反射光に紛れることにより判別がつきにくく、相当な注意が必要である。
【0003】
特許文献1には偏光フィルタと着色シートを組み合わせて用いた明視装置が記載されている。当該文献には、降雨時における夜間の視認性を向上させることができると記載されている。
【0004】
特許文献2には眼鏡フレームに照明を装着した、照明付き眼鏡フレームが記載されている。当該文献には、照明で目の前を照らすことにより、夜間や暗所における物体の視認性を向上させることができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−72151号公報
【特許文献2】特開2004−163839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の明視装置は、入射光を吸収する偏光シートと色素とを組み合わせて用いているため、暗く見えてしまう課題があった。これは黄色系の色素を用いたとしても、作用機構上、不可避の課題である。
【0007】
特許文献2に記載の眼鏡フレームは、フレーム上に電池とランプからなる照明装置を有しており、重くなるため、長時間使用する際には、疲労を感じるなどの使用感が悪い課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下に示すことができる。
[1] レンズ基材と、必要に応じて積層されるフィルム層とコーティング層とを備え、
前記レンズ基材、前記フィルム層および前記コーティング層の少なくとも一つにルブレンを含み、かつ
前記レンズ基材および前記フィルム層の少なくとも一方が、ルブレンと、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリスルフィド、ポリ(メタ)アクリレートまたはポリオレフィンとを含む、光学材料。
[2] 前記レンズ基材および前記フィルム層の少なくとも一方が、ルブレンと、ポリチオウレタンとを含む、[]に記載の光学材料。
[3] 前記ポリチオウレタンは、下記ポリイソシアネート化合物および下記ポリチオール化合物を重合して得られた[1]または[2]に記載の光学材料;
前記ポリイソシアネート化合物:ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)ナフタリン、メシチリレントリイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)スルフィド、ビス(イソシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソシアナトメチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトエチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)エタン、ビス(イソシアナトメチルチオ)エタン、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンイソシアネート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、3,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、ジフェニルスルフィド−4,4−ジイソシアネート、2,5−ジイソシアナトチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)チオフェン、2,5−ジイソシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、3,4−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、2,5−ジイソシアナト−1,4−ジチアン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,4−ジチアン、4,5−ジイソシアナト−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,3−ジチオランから選択される少なくとも1種。
前記ポリチオール化合物:メタンジチオール、1,2-エタンジチオール、1,2,3-プロパントリチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2-メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3-メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)エタン、1,2-ビス(3-メルカプトプロピルチオ)エタン、1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2-メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3-メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3-ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5-ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、2,5-ジメルカプト-1,4-ジチアン、2,5-ジメルカプトメチル-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン、及びこれらのチオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピネート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(2-メルカプトアセテート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(3-メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2-テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、トリス(メルカプトメチルチオ)メタン、トリス(メルカプトエチルチオ)メタン、1,2-ジメルカプトベンゼン、1,3-ジメルカプトベンゼン、1,4-ジメルカプトベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,5-トルエンジチオール、3,4-トルエンジチオール、1,5-ナフタレンジチオール、2,6-ナフタレンジチオール、2-メチルアミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、3,4-チオフェンジチオール、ビスムチオール、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタンから選択される少なくとも1種。
[4] [1]乃至[]のいずれかに記載の光学材料からなるプラスチック眼鏡レンズ。
[5] ルブレンと、光学材料用樹脂または樹脂モノマーとを含み、
前記光学材料用樹脂がポリスルフィド、またはポリオレフィンであり、
前記樹脂モノマーは、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との組み合わせ、またはポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物との組み合わせである、光学材料用組成物。
[6] 前記樹脂モノマーから得られる樹脂が、ポリチオウレタンである、[]に記載の光学材料用組成物。
[7] 前記ポリイソシアネート化合物は下記化合物を含み、前記ポリチオール化合物は下記化合物を含む、[]に記載の光学材料用組成物;
ポリイソシアネート化合物:ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)ナフタリン、メシチリレントリイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)スルフィド、ビス(イソシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソシアナトメチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトエチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)エタン、ビス(イソシアナトメチルチオ)エタン、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンイソシアネート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、3,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、ジフェニルスルフィド−4,4−ジイソシアネート、2,5−ジイソシアナトチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)チオフェン、2,5−ジイソシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、3,4−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、2,5−ジイソシアナト−1,4−ジチアン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,4−ジチアン、4,5−ジイソシアナト−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,3−ジチオランから選択される少なくとも1種。
ポリチオール化合物:メタンジチオール、1,2-エタンジチオール、1,2,3-プロパントリチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2-メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3-メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)エタン、1,2-ビス(3-メルカプトプロピルチオ)エタン、1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2-メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3-メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3-ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5-ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、2,5-ジメルカプト-1,4-ジチアン、2,5-ジメルカプトメチル-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン、及びこれらのチオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピネート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(2-メルカプトアセテート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(3-メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2-テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、トリス(メルカプトメチルチオ)メタン、トリス(メルカプトエチルチオ)メタン、1,2-ジメルカプトベンゼン、1,3-ジメルカプトベンゼン、1,4-ジメルカプトベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,5-トルエンジチオール、3,4-トルエンジチオール、1,5-ナフタレンジチオール、2,6-ナフタレンジチオール、2-メチルアミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、3,4-チオフェンジチオール、ビスムチオール、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタンから選択される少なくとも1種。
[8] []乃至[]のいずれかに記載の組成物からなる成形体。
[9] ルブレンと、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリスルフィド、ポリ(メタ)アクリレートまたはポリオレフィンとを含んでなる、成形体。
[10] []または[]に記載の成形体からなる光学材料。
[11] []または[]に記載の成形体からなるレンズ基材を備える、プラスチック眼鏡レンズ。
[12] []または]に記載の成形体からなるフィルム。
[13] レンズ基材表面の少なくとも一方の上に、[12]に記載のフィルムからなる層を備える、プラスチック眼鏡レンズ。
[14] [12]に記載のフィルムの両面上にレンズ基材層を備える、プラスチック眼鏡レンズ。
【発明の効果】
【0009】
本発明の光学材料によれば、降雨の有無に関わらず、夜間における物体の視認性に優れ、特にプラスチック眼鏡レンズとして好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の光学材料は、280〜600nmに励起波長、450〜750nmに蛍光波長を有し、且つ500〜600nmに最大蛍光波長を有する蛍光体を含む。
以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
なお、本実施形態においては、蛍光体を含む光学材料用組成物を用いて光学材料を調製する態様を説明する。
【0011】
本実施形態の光学材料用組成物は、280〜600nmに励起波長、450〜750nmに蛍光波長を有し、且つ500〜600nmに最大蛍光波長を有する蛍光体と、光学材料用樹脂または樹脂モノマーとを含有する。
以下、詳細に説明する。
【0012】
[蛍光体]
本実施形態に使用される蛍光体は、280〜600nmの波長領域に励起波長を有する。さらに吸収された光は450〜750nmの波長領域に蛍光発光し、最大蛍光波長500〜600nmである。蛍光体は、蛍光物質を含んでなる。蛍光体は、蛍光物質そのものであってもよく、蛍光物質を他の物質と混合したものでもよく、蛍光物質を他の粒子状の物質に付着させたものであってもよい。粒子状物質は、特に限定されないが、ポリウレタン樹脂、ラテックス樹脂、ポオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂等の粒子状有機ポリマーであっても良いし、アルミナ、シリカ、ガラス、ジルコニア等の粒子状無機物質であっても良い。
【0013】
蛍光物質は、上記蛍光特性を満足する色素であれば特に限定されないが、蛍光発光の鮮明性の観点から、ルブレン、ローダミン類を挙げることができ、組み合わせて用いることもできる。
ルブレンは、280〜580nmの波長領域に励起波長を有する。さらに吸収された光は505〜720nmの波長領域に蛍光発光し、最大蛍光波長540〜580nmである。
ローダミン類は、420〜580nmの波長領域に励起波長を有する。さらに吸収された光は490〜680nmの波長領域に蛍光発光し、最大蛍光波長530〜570nmである。
ローダミン類は、側鎖の違いによりローダミンB、ローダミン6G、ローダミン123等、多数種が知られているが、本発明の波長特性を有するものであれば、すべて使用可能である。
【0014】
蛍光体は、後述するレンズ基材中や光学フィルム中に含有させることができる。さらに、コーティング層中に含有させても良い。
【0015】
[光学材料用樹脂または樹脂モノマー]
本実施形態において、光学材料用樹脂、または樹脂モノマーから得られる光学材料用樹脂は、透明性樹脂であれば特に限定されず使用することができる。透明性樹脂として、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリスルフィド、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、ポリアリル、ポリウレタンウレア、ポリエン-ポリチオール重合体、開環メタセシス重合体、ポリエステル、エポキシ樹脂を好ましく用いることができる。これらの材料は透明性が高い材料であり、光学材料用途に好適に用いることが出来る。なお、これらの材料は単独であっても、これらの複合材料であっても良い。
【0016】
ポリウレタンは、樹脂モノマーである、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とから得られる。ポリチオウレタンは、ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物とから得られる。光学材料用組成物には、これらの樹脂を構成する樹脂モノマーを含むことができる。
【0017】
ポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)ナフタリン、メシチリレントリイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)スルフィド、ビス(イソシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソシアナトメチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトエチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)エタン、ビス(イソシアナトメチルチオ)エタン等の脂肪族ポリイソシアネート化合物;
イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンイソシアネート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−[2.2.1]−ヘプタン、3,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン等の脂環族ポリイソシアネート化合物;
ジフェニルスルフィド−4,4−ジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;
2,5−ジイソシアナトチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)チオフェン、2,5−ジイソシアナトテトラヒドロチオフェン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、3,4−ビス(イソシアナトメチル)テトラヒドロチオフェン、2,5−ジイソシアナト−1,4−ジチアン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,4−ジチアン、4,5−ジイソシアナト−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,3−ジチオラン等の複素環ポリイソシアネート化合物等を挙げることができる。
【0018】
ポリオール化合物は、1種以上の脂肪族または脂環族アルコールであり、具体的には、直鎖または分枝鎖の脂肪族アルコール、脂環族アルコール、これらアルコールとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ε-カプロラクトンを付加させたアルコール等が挙げられる。
【0019】
直鎖または分枝鎖の脂肪族アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオ-ル、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、グリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジ(トリメチロールプロパン)等が挙げられる。
【0020】
脂環族アルコールとしては、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、3−メチル−1,2−シクロペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、4,4'−ビシクロヘキサノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
【0021】
これらアルコールとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ε-カプロラクトンを付加させた化合物でもよい。例えば、グリセロールのエチレンオキサイド付加体、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加体、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加体、グリセロールのプロピレンオキサイド付加体、トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド付加体、ペンタエリスリトールのプロピレンオキサイド付加体、カプロラクトン変性グリセロール、カプロラクトン変性トリメチロールプロパン、カプロラクトン変性ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0022】
ポリチオール化合物としては、メタンジチオール、1,2-エタンジチオール、1,2,3-プロパントリチオール、1,2-シクロヘキサンジチオール、ビス(2-メルカプトエチル)エーテル、テトラキス(メルカプトメチル)メタン、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ビス(メルカプトメチル)スルフィド、ビス(メルカプトメチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトエチル)スルフィド、ビス(メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス(メルカプトプロピル)スルフィド、ビス(メルカプトメチルチオ)メタン、ビス(2-メルカプトエチルチオ)メタン、ビス(3-メルカプトプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(メルカプトメチルチオ)エタン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)エタン、1,2-ビス(3-メルカプトプロピルチオ)エタン、1,2,3-トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、テトラキス(メルカプトメチルチオメチル)メタン、テトラキス(2-メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3-メルカプトプロピルチオメチル)メタン、ビス(2,3-ジメルカプトプロピル)スルフィド、2,5-ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、25-ジメルカプト-1,4-ジチアン、2,5-ジメルカプトメチル-2,5-ジメチル-1,4-ジチアン、及びこれらのチオグリコール酸およびメルカプトプロピオン酸のエステル、ヒドロキシメチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(2-メルカプトアセテート)、ヒドロキシメチルジスルフィドビス(3-メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(2―メルカプトアセテート)、ヒドロキシエチルジスルフィドビス(3―メルカプトプロピネート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(2-メルカプトアセテート)、2-メルカプトエチルエーテルビス(3-メルカプトプロピオネート)、チオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、チオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジグリコール酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、ジチオジプロピオン酸ビス(2-メルカプトエチルエステル)、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,1,2,2-テトラキス(メルカプトメチルチオ)エタン、4,6-ビス(メルカプトメチルチオ)-1,3-ジチアン、トリス(メルカプトメチルチオ)メタン、トリス(メルカプトエチルチオ)メタン等の脂肪族ポリチオール化合物;
1,2-ジメルカプトベンゼン、1,3-ジメルカプトベンゼン、1,4-ジメルカプトベンゼン、1,2-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,4-ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチレンオキシ)ベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、2,5-トルエンジチオール、3,4-トルエンジチオール、1,5-ナフタレンジチオール、2,6-ナフタレンジチオール等の芳香族ポリチオール化合物;
2-メチルアミノ-4,6-ジチオール-sym-トリアジン、3,4-チオフェンジチオール、ビスムチオール、4,6−ビス(メルカプトメチルチオ)−1,3−ジチアン、2−(2,2−ビス(メルカプトメチルチオ)エチル)−1,3−ジチエタン等の複素環ポリチオール化合物等を挙げることができる。
【0023】
本実施形態において、ポリウレタンおよびポリチオウレタンは、重合触媒を用いても良いし、用いなくてもよい。また、内部離型剤、ブルーイング剤、などの任意添加剤を用いても構わない。UV吸収剤は、多量に添加すると蛍光物質の蛍光性能を損なうため、使用する場合は、蛍光性能を確認しながら、必要最低限度の量を添加するのが好ましい。
【0024】
ポリスルフィドは、樹脂モノマーである、ポリエピチオ化合物やポリチエタン化合物の開環重合による方法により得ることができる。光学材料用組成物には、これらの樹脂を構成する樹脂モノマーを含むことができる。
【0025】
ポリエピチオ化合物としては、ビス(1,2−エピチオエチル)スルフィド、ビス(1,2−エピチオエチル)ジスルフィド、ビス(エピチオエチルチオ)メタン、ビス(エピチオエチルチオ)ベンゼン、ビス[4−(エピチオエチルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(エピチオエチルチオ)フェニル]メタン等のエピチオエチルチオ化合物;
ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)エタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルプロパン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルブタン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−3−チアペンタン、1,6−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1,6−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−メチルヘキサン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−3,6−ジチアオクタン、1,2,3−トリス(2,3−エピチオプロピルチオ)プロパン、2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)プロパン、2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−1−(2,3−エピチオプロピルチオ)ブタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2−(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアペンタン、1−(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4−(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4−(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−2,4,5−トリス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,1,1−トリス[[2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エチル]チオメチル]−2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エタン、1,1,2,2−テトラキス[[2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エチル]チオメチル]エタン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,8−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−4,7−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)−5,7−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン等の鎖状脂肪族の2,3−エピチオプロピルチオ化合物;
1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス[[2−(2,3−エピチオプロピルチオ)エチル]チオメチル]−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)−2,5−ジメチル−1,4−ジチアン等の環状脂肪族の2,3−エピチオプロピルチオ化合物;
1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]スルホン、4,4'−ビス(2,3−エピチオプロピルチオ)ビフェニル等の芳香族の2,3−エピチオプロピルチオ化合物;
ビス(2,3−エピチオプロピル)エーテル、ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)メタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)エタン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)プロパン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)プロパン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2−メチルプロパン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ブタン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2−メチルブタン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ブタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2−メチルペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−3−チアペンタン、1,6−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ヘキサン、1,6−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2−メチルヘキサン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−3,6−ジチアオクタン、1,2,3−トリス(2,3−エピチオプロピルオキシ)プロパン、2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)プロパン、2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−1−(2,3−エピチオプロピルオキシ)ブタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2−(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアペンタン、1,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアペンタン、1−(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−4−(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3−チアヘキサン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−4−(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−4,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−4,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−2,4,5−トリス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6−ジチアオクタン、1,1,1−トリス[[2−(2,3−エピチオプロピルオキシ)エチル]チオメチル]−2−(2,3−エピチオプロピルオキシ)エタン、1,1,2,2−テトラキス[[2−(2,3−エピチオプロピルオキシ)エチル]チオメチル]エタン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−4,8−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−4,7−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン、1,11−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)−5,7−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン等の鎖状脂肪族の2,3−エピチオプロピルオキシ化合物;
1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)シクロヘキサン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−1,4−ジチアン、2,5−ビス[[2−(2,3−エピチオプロピルオキシ)エチル]チオメチル]−1,4−ジチアン、2,5−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)−2,5−ジメチル−1,4−ジチアン等の環状脂肪族の2,3−エピチオプロピルオキシ化合物;および、
1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシメチル)ベンゼン、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルオキシ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4−(2,3−エピチオプロピルオキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルオキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルオキシ)フェニル]スルホン、4,4'−ビス(2,3−エピチオプロピルオキシ)ビフェニル等の芳香族の2,3−エピチオプロピルオキシ化合物等を挙げることができる。
【0026】
ポリチエタン化合物としては、金属含有チエタン化合物または非金属チエタン化合物を用いることができる。
これらのポリチエタン化合物は、WO2005-95490や特開2003-327583に開示されるように、分子内に1つ以上のチエタニル基を含有する。好ましくはチエタニル基を合計2つ以上含有する化合物である。例えば、ビスチエタニルスルフィド、ビス(3−チエタニルチオ)ジスルフィド、ビス(3−チエタニルチオ)メタン、3−(((3'−チエタニルチオ)メチルチオ)メチルチオ)チエタン等のスルフィド系チエタン化合物:ビス(3−チエタニル)ジスルフィド、ビス(3−チエタニル)トリスルフィド、ビス(3−チエタニル)テトラスルフィド、ビス(3−チエタニル)ペンタスルフィド等のポリスルフィド系チエタン化合物等が挙げられる。
【0027】
ポリカーボネートは、アルコールとホスゲンの反応、またはアルコールとクロロホーメートを反応させる方法、または炭酸ジエステル化合物のエステル交換反応をすることにより得ることができるが、一般的に入手可能な市販品ポリカーボネート樹脂を用いることも可能である。市販品としては帝人化成株式会社製のパンライトシリーズなどを用いることができる。本実施形態の光学材料用組成物には、ポリカーボネートを光学材料用樹脂として含むことができる。
【0028】
ポリ(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロープロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のアルカンポリオールのポリ(メタ)アクリレート、
ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート、
等を挙げることができる。
本実施形態の光学材料用組成物には、ポリ(メタ)アクリレートを光学材料用樹脂として含むことができる。
【0029】
ポリオレフィンは、チーグラー・ナッタ触媒、メタロセン触媒やいわゆるポストメタロセン触媒などの公知のオレフィン重合用触媒の存在下で、α−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンを重合することにより製造される。α−オレフィンモノマーは単一成分であっても、複合成分を共重合させても構わない。
【0030】
ポリオレフィンの製造におけるオレフィンの重合反応は、溶液重合、懸濁重合、バルク重合法などの液相重合法や、気相重合法や、その他公知の重合方法で行うことができる。好ましくは、ポリオレフィンの製造は、溶解重合および懸濁重合(スラリー重合)などの液相重合法が用いられ、さらに好ましくは懸濁重合(スラリー重合)法が用いられる。重合の温度や圧力条件は、公知の条件が適用できる。
本実施形態の光学材料用組成物には、ポリオレフィンを光学材料用樹脂として含むことができる。
【0031】
環状ポリオレフィンは、公知のオレフィン重合触媒の存在下で環状オレフィンから選ばれる少なくとも1種の環状オレフィンを重合させることにより製造される。環状オレフィンモノマーは単一成分であっても、複合成分を共重合させても構わない。環状ポリオレフィンとしては、三井化学株式会社製 商標アペルが透明性が高く、好適に使用することができる。
【0032】
ポリアリルは、公知のラジカル発生性の重合触媒の存在下に、アリル基含有モノマーから選ばれる少なくとも1種のアリル基含有モノマーを重合させることにより製造される。アリル基含有モノマーとしては、アリルジグリコールカーボネートやジアリルフタレートが一般的に市販されており、これらは好適に使用することができる。
【0033】
ポリウレタンウレアは、ポリウレタンプレポリマーおよびジアミン硬化剤による反応正成物であり、商標TRIVEXとしてPPGIndustries,Inc.から販売されているものが代表例である。ポリウレタンポリウレアは透明性の高い材料であり、好適に使用することができる。
【0034】
ポリエン-ポリチオール重合体は、1分子中に2個以上のエチレン性官能基を有するポリエン化合物と、1分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物からなる付加重合並びにエチレン鎖状重合による高分子生成物である。
【0035】
ポリエン-ポリチオール重合体における、ポリエン化合物としては、アリルアルコール誘導体、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル類、ウレタンアクリレート及びジビニルベンゼン等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。アリルアルコール誘導体としては、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルアジペート、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、テトラアリルピロメリテート、グリセリンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル及びソルビトールジアリルエーテル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル類の中で、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びソルビトール等が挙げられる。
【0036】
開環メタセシス重合体は、触媒を用いて環状オレフィン類を開環重合させてなる高分子である。開環重合させることのできる環状オレフィン類としては、環状構造を有するオレフィン類であれば特に制限はないが、通常は炭素原子数340の単環式シクロアルケン類、単環式シクロアルカジエン類、多環式シクロアルケン類、多環式シクロアルカジエン類が挙げられる。単環式シクロアルケン類の具体例としては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテンなどが挙げられる。単環式シクロアルカジエン類の具体例としては、例えば、シクロブタジエン、1,3シクロペンタジエン、1,3シクロヘキサジエン、1,4シクロヘキサジエン、1,5シクロオクタジエンなどが挙げられる。多環式シクロアルケン類としては、例えば、ノルボルネン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカエンなどが挙げられる。多環式シクロアルカジエン類としては、例えば、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。これらは、酸素や硫黄、ハロゲンなどと置換していても良い。さらに水素化して用いても良い。例えば、JSR社ARTON(商標)などが好適な例としてあげることができる。
【0037】
ポリエステルは、アンチモンやゲルマニウム化合物に代表されるルイス酸触媒や、有機酸、無機酸などの公知のポリエステル製造触媒の存在下に縮合重合される。具体的には、ジカルボン酸を含む多価カルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる一種または二種以上とグリコールを含む多価アルコールから選ばれる一種または二種以上とから成るもの、またはヒドロキシカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から成るもの、または環状エステルから成るものをいう。
【0038】
ジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、1,3-シクロブタンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2,5-ノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸などに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5-(アルカリ金属)スルホイソフタル酸、ジフェニン酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、44'-ビフェニルジカルボン酸、44'-ビフェニルスルホンジカルボン酸、44'-ビフェニルエーテルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p'-ジカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸などに例示される芳香族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらのジカルボン酸のうちテレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸とくに2,6−ナフタレンジカルボン酸が、得られるポリエステルの物性等の点で好ましく、必要に応じて他のジカルボン酸を構成成分とする。これらジカルボン酸以外の多価カルボン酸として、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、33'4'-ビフェニルテトラカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0039】
グリコールとしてはエチレングリコール、12-プロピレングリコール、13-プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、12-ブチレングリコール、13-ブチレングリコール、23-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、15-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオー ル、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジエタノール、1,10-デカメチレングリコール、112-ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリコール、ヒドロキノン、4,4'-ジヒドロキシビスフェノール、1,4-ビス(βーヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(βーヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、12-ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,5-ナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコール、などに例示される芳香族グリコールが挙げられる。
これらのグリコールのうちエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。これらグリコール以外の多価アルコールとして、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオールなどが挙げられる。
【0040】
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレートおよびこれらの共重合体が好ましい。
【0041】
エポキシ樹脂としては、エポキシ化合物を開環重合してなる樹脂であるり、エポキシ化合物としては、ビスフェノールAグリシジルエーテル、ビスフェノールFグリシジルエーテル等の多価フェノール化合物とエピハロヒドリン化合物との縮合反応により得られるフェノール系エポキシ化合物;
水添ビスフェノールAグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノール等の多価アルコール化合物とエピハロヒドリン化合物との縮合により得られるアルコール系エポキシ化合物;
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートや1,2−ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等の多価有機酸化合物とエピハロヒドリン化合物との縮合により得られるグリシジルエステル系エポキシ化合物;
一級および二級アミン化合物とエピハロヒドリン化合物との縮合により得られるアミン系エポキシ化合物等が挙げられる。また、その他、4−ビニル−1−シクロヘキサンジエポキシドなどのビニルシクロヘキセンジエポキシド等脂肪族多価エポキシ化合物等を挙げることができる。
【0042】
<光学材料用組成物>
本実施形態の光学材料用組成物は、蛍光体と、光学材料用樹脂または樹脂モノマーとを含む。さらに、その他の成分として、樹脂改質剤等を含んでいてもよい。光学材料用組成物は、これらの成分を所定の方法で混合することにより得ることができる。
本実施形態の光学材料用組成物においては、上記効果の観点から、蛍光体を、光学材料用樹脂または樹脂モノマー100重量部に対して、0.00001〜1重量部、好ましくは0.0001〜0.1重量部となる量で含むことができる。
樹脂成形体に蛍光体を含有させるには、蛍光体と光学材料用樹脂モノマーとを含む光学材料用組成物を混合し、重合させる方法や、蛍光体と光学材料用樹脂とを含む光学材料用組成物を硬化させる方法により行うことができる。
【0043】
<用途>
本実施形態の成形体は、蛍光体と光学材料用樹脂とを含み、光学材料として使用することができる。光学材料としては、プラスチック眼鏡レンズ、ゴーグル、視力矯正用眼鏡レンズ、撮像機器用レンズ、液晶プロジェクター用フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、コンタクトレンズなどの各種プラスチックレンズ、発光ダイオード(LED)用封止材、光導波路、光学レンズや光導波路の接合に用いる光学用接着剤、光学レンズなどに用いる反射防止膜、液晶表示装置部材(基板、導光板、フィルム、シートなど)に用いる透明性コーティングまたは透明性基板等を挙げることができる。当該成形体は、本実施形態の光学材料用組成物から得ることができる。なお、本実施形態の光学材料は、紫外線吸収剤を含まない。
【0044】
蛍光体と光学材料用樹脂からなる本実施形態のプラスチック眼鏡レンズを通して、夜間の暗所を観察すると、降雨の有無に関わらず、視認性が改善され、良好な視界を得ることができる。夜間の街灯や車両のヘッドライトには散乱性の高い短波長の可視光を多く含んでおり、折角照らされた対象物がちらつき、見え難くなる。当該プラスチック眼鏡レンズは、短波長可視光を蛍光体が吸収し、かつ視認性の高い波長の光を蛍光発光するため、ちらつきを抑制しながら明度の高い映像を得ることができる。
【0045】
本実施形態の光学材料は、レンズ基材と、必要に応じて積層されるフィルム層とコーティング層とを備えるプラスチックレンズとして好適に用いることができる。前述の蛍光体は、前記レンズ基材または前記フィルム層のいずれかに含まれ、さらに前記コーティング層に前記蛍光体を含むことができる。蛍光体は、上記効果の観点から、光学材料100重量部に対して、0.00001〜1重量部、好ましくは0.0001〜0.1重量部となる量で含むことができる。
【0046】
本実施形態のプラスチックレンズとしては、以下の構成を挙げることができる。
プラスチックレンズA:光学材料用組成物からなるレンズ基材を備える。
プラスチックレンズB:レンズ基材(光学材料用組成物から得られるレンズ基材を除く)表面の少なくとも一方の面上に、光学材料用組成物からなるフィルムまたは層を備える。
プラスチックレンズC:光学材料用組成物からなるフィルムの両面上に、レンズ基材(光学材料用組成物から得られるレンズ基材を除く)が積層されている。
光学材料は、プラスチック眼鏡レンズに好適に用いることができる。
【0047】
(プラスチックレンズA)
光学材料用組成物からなるレンズ基材を備えるプラスチックレンズAを製造する方法は、特に限定されないが、好ましい製造方法としてレンズ注型用鋳型を用いた注型重合が挙げられる。レンズ基材は、ポリウレタン、ポリチオウレタン、ポリスルフィド、ポリ(メタ)アクリレート等から構成することができ、蛍光体と、これらの樹脂のモノマー(光学材料用樹脂モノマー)とを含む光学材料用組成物を用いることができる。
【0048】
具体的には、ガスケットまたはテープ等で保持された成型モールドのキャビティ内に光学材料用組成物を注入する。この時、得られるプラスチックレンズに要求される物性によっては、必要に応じて、減圧下での脱泡処理や加圧、減圧等の濾過処理等を行うことが好ましい場合が多い。
【0049】
そして、組成物が注入された後、レンズ注型用鋳型をオーブン中または水中等の加熱可能装置内で所定の温度プログラムにて加熱して硬化成型する。樹脂成形体は、必要に応じて、アニール等の処理を行ってもよい。
【0050】
本実施形態において、樹脂を成形する際には、上記「その他の成分」に加えて、目的に応じて公知の成形法と同様に、鎖延長剤、架橋剤、光安定剤、酸化防止剤、ブルーイング剤、油溶染料、充填剤、密着性向上剤などの種々の添加剤を加えてもよい。
また、本実施形態におけるプラスチックレンズAは、その目的や用途に合わせて、光学材料用組成物からなるレンズ基材上に種々のコーティング層を有していてもよい。コーティング層には蛍光体を含むことができる。蛍光体を含むコーティング層は、蛍光体を含むコーティング材料(組成物)を用いて調製することができ、またはコーティング層を形成した後、蛍光体を水または溶媒中に分散させて得られた分散液に、コーティング層付きプラスチックレンズを浸漬して蛍光体をコーティング層中に含浸させることにより調製することができる。
【0051】
(プラスチックレンズB)
本実施形態におけるプラスチックレンズBは、レンズ基材表面の少なくとも一方の面上に、光学材料用組成物からなるフィルムまたは層を備える。レンズ基材は、本実施形態の光学材料用組成物から形成されたものではない。
プラスチックレンズBの製造方法としては、(1)レンズ基材を製造し、次いで当該レンズ基材の少なくとも一方の面上に、光学材料用組成物からなるフィルムまたはシートを貼り合わせる方法、(2)後述のようなガスケットまたはテープ等で保持された成型モールドのキャビティ内において、光学材料用組成物からなるフィルムまたはシートをモールドの一方の内壁に沿って配置し、次いでキャビティ内に重合性組成物を注入し、硬化させる方法等を挙げることができる。
【0052】
前記(1)の方法において用いられる、光学材料用組成物からなるフィルムまたはシートは、特に限定されないが、溶融混練や含浸等により得られた光学材料用組成物のペレットを、従来種々公知の方法、具体的には、例えば、射出成形法、異形押出成形法、パイプ成形法、チューブ成形法、異種成形体の被覆成形法、インジェクションブロー成形法、ダイレクトブロー成形法、Tダイシートまたはフィルム成形法、インフレーションフィルム成形法、プレス成形法などの成形方法により得ることができる。得られるフィルムまたはシートは、ポリカーボネート、またはポリオレフィン等を含んでなる。
レンズ基材は、公知の光学用樹脂から得ることができ、光学用樹脂としては、(チオ)ウレタン、ポリスルフィド等を挙げることができる。
光学材料用組成物からなるフィルムまたはシートを、レンズ基材の面上に貼り合わせる方法は公知の方法を用いることができる。
【0053】
前記(2)の方法における注型重合は、プラスチックレンズAの方法と同様に行うことができ、注型重合に用いる組成物としては、光学材料用樹脂モノマーを含む組成物(蛍光体を含まない)を挙げることができる。
また、本実施形態におけるプラスチックレンズBは、その目的や用途に合わせて、光学材料用組成物からなるレンズ基材上または「フィルムまたは層」上に種々のコーティング層を有していてもよい。プラスチックレンズAと同様に、コーティング層には蛍光体を含むことができる。
【0054】
(プラスチックレンズC)
本実施形態におけるプラスチックレンズCは、光学材料用組成物からなるフィルムの両面上に、レンズ基材(光学材料用組成物から得られるレンズ基材を除く)が積層されている。
プラスチックレンズCの製造方法としては、(1)レンズ基材を製造し、光学材料用組成物からなるフィルムまたはシートの両面上に貼り合わせる方法、(2)ガスケットまたはテープ等で保持された成型モールドのキャビティ内において、光学材料用組成物からなるフィルムまたはシートを、モールドの内壁から離間した状態で配置し、次いでキャビティ内に重合性組成物を注入し、硬化させる方法等を挙げることができる。
【0055】
前記(1)の方法において用いられる、光学材料用組成物からなるフィルムまたはシートおよびレンズ基材は、プラスチックレンズBの(1)の方法と同様のものを用いることができる。光学材料用組成物からなるフィルムまたはシートを、レンズ基材の面上に貼り合わせる方法は公知の方法を用いることができる。
【0056】
前記(2)の方法は具体的に以下のように行うことができる。
プラスチックレンズAの製造方法で用いた、レンズ注型用鋳型の空間内に、光学材料用組成物からなるフィルムまたはシートを、この両面が、対向するフロント側のモールド内面と並行となるように設置する。
次いで、レンズ注型用鋳型の空間内において、モールドと偏光フィルムとの間の2つの空隙部に、所定の注入手段により、光学材料用樹脂モノマーを含む組成物(蛍光体を含まない)を注入する。
【0057】
そして、組成物が注入された後、レンズ注型用鋳型をオーブン中または水中等の加熱可能装置内で所定の温度プログラムにて加熱して硬化成型する。樹脂成形体は、必要に応じて、アニール等の処理を行ってもよい。
また、本実施形態におけるプラスチックレンズCは、その目的や用途に合わせて、レンズ基材上に種々のコーティング層を有していてもよい。プラスチックレンズAと同様に、コーティング層には蛍光体を含むことができる。
【0058】
[プラスチック眼鏡レンズ]
本実施形態のプラスチックレンズを用いて、プラスチック眼鏡レンズを得ることができる。なお、必要に応じて、片面又は両面にコーティング層を施して用いてもよい。
【0059】
コーティング層として、具体的には、プライマー層、ハードコート層、反射防止層、防曇コート層、防汚染層、撥水層等が挙げられる。これらのコーティング層はそれぞれ単独で用いることも複数のコーティング層を多層化して使用することもできる。両面にコーティング層を施す場合、それぞれの面に同様なコーティング層を施しても、異なるコーティング層を施してもよい。
【0060】
これらのコーティング層はそれぞれ、本実施形態において用いられる蛍光体、赤外線から目を守る目的で赤外線吸収剤、レンズの耐候性を向上する目的で光安定剤や酸化防止剤、レンズのファッション性を高める目的で染料や顔料、さらにフォトクロミック染料やフォトクロミック顔料、帯電防止剤、その他、レンズの性能を高めるための公知の添加剤を併用してもよい。塗布によるコーティングを行う層に関しては塗布性の改善を目的とした各種レベリング剤を使用してもよい。
【0061】
プライマー層は通常、後述するハードコート層とレンズとの間に形成される。プライマー層は、その上に形成するハードコート層とレンズとの密着性を向上させることを目的とするコーティング層であり、場合により耐衝撃性を向上させることも可能である。プライマー層には得られたレンズに対する密着性の高いものであればいかなる素材でも使用できるが、通常、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂、ポリビニルアセタールを主成分とするプライマー組成物などが使用される。プライマー組成物は組成物の粘度を調整する目的でレンズに影響を及ぼさない適当な溶剤を用いてもよい。無論、無溶剤で使用してもよい。
【0062】
プライマー層は塗布法、乾式法のいずれの方法によっても形成することができる。塗布法を用いる場合、プライマー組成物を、スピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法でレンズに塗布した後、固化することによりプライマー層が形成される。乾式法で行う場合は、CVD法や真空蒸着法などの公知の乾式法で形成される。プライマー層を形成するに際し、密着性の向上を目的として、必要に応じてレンズの表面は、アルカリ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの前処理を行っておいてもよい。
ハードコート層は、レンズ表面に耐擦傷性、耐摩耗性、耐湿性、耐温水性、耐熱性、耐候性等機能を与えることを目的としたコーティング層である。
【0063】
ハードコート層は、一般的には硬化性を有する有機ケイ素化合物とSi,Al,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In及びTiの元素群から選ばれる元素の酸化物微粒子の1種以上および/またはこれら元素群から選ばれる2種以上の元素の複合酸化物から構成される微粒子の1種以上を含むハードコート組成物が使用される。
【0064】
ハードコート組成物には上記成分以外にアミン類、アミノ酸類、金属アセチルアセトネート錯体、有機酸金属塩、過塩素酸類、過塩素酸類の塩、酸類、金属塩化物および多官能性エポキシ化合物の少なくともいずれかを含むことが好ましい。ハードコート組成物にはレンズに影響を及ぼさない適当な溶剤を用いてもよいし、無溶剤で用いてもよい。
【0065】
ハードコート層は、通常、ハードコート組成物をスピンコート、ディップコートなど公知の塗布方法で塗布した後、硬化して形成される。硬化方法としては、熱硬化、紫外線や可視光線などのエネルギー線照射による硬化方法等が挙げられる。干渉縞の発生を抑制するため、ハードコート層の屈折率は、レンズとの屈折率の差が±0.1の範囲にあるのが好ましい。
【0066】
反射防止層は、通常、必要に応じて前記ハードコート層の上に形成される。反射防止層には無機系および有機系があり、無機系の場合、SiO、TiO等の無機酸化物を用い、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビ−ムアシスト法、CVD法などの乾式法により形成される。有機系の場合、有機ケイ素化合物と、内部空洞を有するシリカ系微粒子とを含む組成物を用い、湿式により形成される。
【0067】
反射防止層は単層および多層があり、単層で用いる場合はハードコート層の屈折率よりも屈折率が少なくとも0.1以上低くなることが好ましい。効果的に反射防止機能を発現するには多層膜反射防止膜とすることが好ましく、その場合、低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に積層する。この場合も低屈折率膜と高屈折率膜との屈折率差は0.1以上であることが好ましい。高屈折率膜としては、ZnO、TiO、CeO、Sb、SnO、ZrO、Ta等の膜があり、低屈折率膜としては、SiO膜等が挙げられる。
【0068】
反射防止膜層の上には、必要に応じて防曇層、防汚染層、撥水層を形成させてもよい。防曇層、防汚染層、撥水層を形成する方法としては、反射防止機能に悪影響をもたらすものでなければ、その処理方法、処理材料等については特に限定されずに、公知の防曇処理方法、防汚染処理方法、撥水処理方法、材料を使用することができる。例えば、防曇処理方法、防汚染処理方法では、表面を界面活性剤で覆う方法、表面に親水性の膜を付加して吸水性にする方法、表面を微細な凹凸で覆い吸水性を高める方法、光触媒活性を利用して吸水性にする方法、超撥水性処理を施して水滴の付着を防ぐ方法などが挙げられる。また、撥水処理方法では、フッ素含有シラン化合物等を蒸着やスパッタによって撥水処理層を形成する方法や、フッ素含有シラン化合物を溶媒に溶解したあと、コーティングして撥水処理層を形成する方法等が挙げられる。
【0069】
本実施形態の光学樹脂組成物は、シートまたはフィルムとして、ヘルメット等の風防や車両等のフロントガラスに貼り合わせることができる。
【0070】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の効果を損なわない範囲で様々な態様を取り得ることができる。
例えば、前述の実施形態の「蛍光体を含む光学材料用組成物」を用いることなく光学材料を得ることができる。なお、蛍光体を含まなければ、前述の実施形態の「光学材料用組成物」を用いることができ、同様の構成を採用することができる。この態様について以下に説明する。なお、前述の実施形態と同様である場合は適宜説明を省略する。
【0071】
当該態様における光学材料は、レンズ基材と、必要に応じて積層されるフィルム層とコーティング層とを備えるプラスチックレンズとして用いることができる。蛍光体は、レンズ基材、フィルム層およびコーティング層の少なくとも一つに含んでいればよい。
【0072】
具体的には、蛍光体を含まない光学材料用組成物を用いて成形体(レンズ基材や光学フィルム)を調製し、次いで、蛍光体を水または溶媒中に分散させて得られた分散液に当該成形体を浸漬して蛍光体を成形体中に含浸させ、乾燥する。このようにして得られた、成形体を用いて光学材料を調製することができる。
また、光学材料を調製した後に、蛍光体を該光学材料に含浸させることもできる。例えば、レンズ基材と、必要に応じて積層されるフィルム層とコーティング層とを備えるプラスチック眼鏡レンズを、蛍光体を含む分散液に浸漬して蛍光体を含浸させることもできる。
蛍光体の含浸量は、分散液中の蛍光体の濃度と、分散液の温度、光学材料用樹脂組成物を浸漬させる時間により所望の含浸量に制御することができる。濃度を高く、温度を高く、浸漬時間を長くするほどに含浸量が増す。含浸量を精密に制御したい場合は、含浸量が少ない条件で、複数回浸漬を繰り返すことにより実施する。
【0073】
また、蛍光体を含むコーティング材料を用い、プラスチックレンズなどの光学材料上に蛍光体含有コーティング層を形成することもできる。
このような構成を有する光学材料は、プラスチック眼鏡レンズとして好適に用いることができる。
【実施例】
【0074】
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本発明の実施例において用いた材料・評価方法は以下の通りである。
【0075】
(実施例1)
十分に乾燥させたフラスコにジブチル錫(II)ジクロリド0.042g、ステファン製ZelecUN0.084g、ルブレン0.0028gを正確に仕込み、2,5(6)−ビス(イソシアナトメチル)−ビシクロ[21]ヘプタン35.4gを仕込み、25℃で1時間攪拌して溶解させた。その後、この調合液にペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)16.7g、1,2−ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン17.9gを仕込み、これを25℃で30分攪拌した調合液を調製した。
調合液を600Paにて1時間脱泡を行った後、中心厚2mm、直径80mmの6Cのプラノー用ガラスモールドに注入した。
このガラスモールドを25℃から16時間かけて少しずつ昇温し120℃まで上昇させ、120℃で4時間保温した。室温まで冷却させて、ガラスモールドから外し、プラノーレンズを得た。
レンズをNIDEK製エッジングマシーンで適当な形状に削り取り、メガネフレームを装着してサンプルメガネを得た。
【0076】
(比較例1)
ルブレンを用いない以外は、実施例1と同様な方法でプラノーレンズを調製し、サンプルメガネを得た。
【0077】
サンプルレンズの評価
実施例と比較例で作成したサンプルレンズを装着して、夜間における物体の視認性を評価した。A〜Eの5人で評価し、降雨が有る日と降雨がない日において、下記基準にしたがって評価を行った。結果を表1に示す。
○:裸眼での観察と比較して視認性が改善している。
△:裸眼での観察と比較して視認性に変化がない。
×:裸眼での観察と比較して視認性が低下している。
【0078】
【表1】