特許第6244099号(P6244099)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6244099コンバインドサイクル発電プラントおよびその運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244099
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】コンバインドサイクル発電プラントおよびその運転方法
(51)【国際特許分類】
   F01K 23/10 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   F01K23/10 U
   F01K23/10 D
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-80067(P2013-80067)
(22)【出願日】2013年4月8日
(65)【公開番号】特開2014-202151(P2014-202151A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】矢敷 達朗
(72)【発明者】
【氏名】吉田 卓弥
【審査官】 山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0260667(US,A1)
【文献】 特開2012−057585(JP,A)
【文献】 特開平06−229209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温の燃焼ガスにより駆動されるガスタービンと、
該ガスタービンの排ガスを熱源として蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで得られた蒸気により駆動される蒸気タービンと、を備えたコンバインドサイクル発電プラントにおいて、
前記ガスタービンから排熱回収ボイラに送られる排ガスに低温流体を供給する排ガス冷却装置と、
前記蒸気タービンに流入する蒸気の温度を検出する蒸気温度センサと、
前記ガスタービンから排熱回収ボイラに送られる排ガスの温度を検出する排ガス温度センサと、
前記蒸気温度センサと排ガス温度センサの検出結果に基づいて、前記排ガス冷却装置から供給される低温流体の供給量を制御する低温流体流量制御手段と、を備えたことを特徴とするコンバインドサイクル発電プラント。
【請求項2】
請求項1に記載のコンバインドサイクル発電プラントにおいて、
前記低温流体は冷却空気であり、
前記排ガス冷却装置は、前記冷却空気を加圧する送風機と、前記冷却空気の流量を調節する冷却空気流量調節弁と、を備えたことを特徴とするコンバインドサイクル発電プラント。
【請求項3】
請求項1に記載のコンバインドサイクル発電プラントにおいて、
前記低温流体は冷却空気であり、
前記排ガス冷却装置は、前記前記ガスタービンの圧縮機から抽気した圧縮空気を噴射して前記冷却空気を吸引するエゼクタと、前記圧縮機から抽気した圧縮空気の流量を調節する抽気流量調節弁と、を備えたことを特徴とするコンバインドサイクル発電プラント。
【請求項4】
請求項1に記載のコンバインドサイクル発電プラントにおいて、
前記低温流体は減温水であり、
前記排ガス冷却装置は、前記減温水を前記ガスタービンの排ガス中に噴霧する減温器と、該減温器で噴霧される減温水の流量を調節する減温水流量調節弁と、を備えたことを特徴とするコンバインドサイクル発電プラント。
【請求項5】
請求項1に記載のコンバインドサイクル発電プラントにおいて、
低温流体流量制御手段は、起動時の蒸気タービンの蒸気温度条件を満足するように、前記排ガスに混入する低温流体の流量を制御することを特徴とするコンバインドサイクル発電プラント。
【請求項6】
高温の燃焼ガスにより駆動されるガスタービンと、
該ガスタービンの排ガスを熱源として蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラで得られた蒸気により駆動される蒸気タービンと、を備えたコンバインドサイクル発電プラントの運転方法において、
前記蒸気タービンに流入する蒸気の温度と、前記ガスタービンから排熱回収ボイラに送られる排ガスの温度の検出結果に基づいて、前記ガスタービンの排ガスに混入する低温流体の供給量を制御することを特徴とするコンバインドサイクル発電プラントの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンの排ガスを用いて排熱回収ボイラで蒸気を発生させ、その蒸気で蒸気タービンを駆動するようにしたコンバインドサイクル発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用電力を支える発電プラントのひとつに、天然ガスや石油、炭層ガスといった化石資源を燃料とするガスタービンと、ガスタービンの排ガスを熱源として発生させた蒸気により駆動する蒸気タービンとを組み合わせたコンバインドサイクル発電プラントがあり、効率や起動性能の優位性から火力系発電プラントの主流となっている。最近のコンバインドサイクル発電プラントに対しては、太陽光、風力等の再生エネルギー導入に伴う電力系統の変動を抑制するため、プラントを高速に起動することが求められている。
【0003】
プラント起動時においては、蒸気タービンに流入する蒸気温度が適切でない場合、蒸気タービンにて過大な熱応力が発生し寿命消費が大きくなる、あるいは熱伸びにより振動が発生するといった不都合が生じる可能性がある。蒸気タービンに流入する蒸気温度は、排熱回収ボイラに流入する排ガスの流量、温度によって決まり、さらに排ガス流量、温度は、ガスタービン運転特性の影響を受ける。従って、起動時に蒸気タービンに流入する蒸気温度を適切な温度に保つために、ガスタービンに対して部分負荷保持運転や負荷上昇率の抑制といった運転上の制限を与える必要があり、その結果、プラントの起動に時間を要することとなる。
【0004】
そこで、プラントを高速に起動するために、起動時にガスタービンの運転に制限を与えることなく、蒸気タービンの蒸気温度条件を満たす蒸気を供給する従来技術として、特開2005-214047号公報(特許文献1)がある。この公報には、排熱回収ボイラで発生する蒸気に対して、減温器を用いて冷却水を噴霧して蒸気温度を制御することで、蒸気タービンの蒸気温度条件を満たす蒸気を供給する技術が開示されている。また、特開2009-156033号公報(特許文献2)がある。この公報には、ガスタービンからの排ガスの流れを排熱回収ボイラ側とバイパス煙突側に切替可能なダンパを設置し、起動時にダンパを操作して排熱回収ボイラに流入する排ガス流量を制御することで、蒸気タービンの蒸気温度条件を満たす蒸気を供給する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-214047号公報
【特許文献2】特開2009-156033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1においては、減温器にて噴霧される冷却水量が過大となった場合、減温器にてドレンが発生し、発生したドレンが蒸気タービン内に混入し、蒸気タービンを損傷させる原因となる可能性があった。また、特許文献2では、バイパス煙突に流入した排ガスは高温状態で大気に放出されるため、放出分の排ガスが保有する熱量が回収されず、起動時のプラント効率が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、起動時にガスタービンの運転に制限を与えることなく、かつ、蒸気タービン内へのドレン混入を抑制し、プラント効率が低下することなく、蒸気タービンの蒸気温度条件を満たす蒸気を供給することができるコンバインドサイクル発電プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のコンバインドサイクル発電プラントは、高温の燃焼ガスにより駆動されるガスタービンと、該ガスタービンの排ガスを熱源として蒸気を生成する排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラで得られた蒸気により駆動される蒸気タービンと、を備えたコンバインドサイクル発電プラントにおいて、前記ガスタービンから排熱回収ボイラに送られる排ガスに低温流体を供給する排ガス冷却装置と、前記蒸気タービンに流入する蒸気の温度を検出する蒸気温度センサと、前記ガスタービンから排熱回収ボイラに送られる排ガスの温度を検出する排ガス温度センサと、前記蒸気温度センサと排ガス温度センサの検出結果に基づいて、前記排ガス冷却装置から供給される低温流体の供給量を制御する低温流体流量制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、起動時にガスタービンの運転に制限を与えることなく、かつ、蒸気タービン内へのドレン混入を抑制し、プラント効率が低下することなく、蒸気タービンの蒸気温度条件を満たす蒸気を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1に係るコンバインドサイクル発電プラントの全体構成を概略的に示す図である。
図2】実施例1に係るコンバインドサイクル発電プラントの起動時におけるプロセス量の特性図である。
図3】実施例2に係るコンバインドサイクル発電プラントの全体構成を概略的に示す図である。
図4】実施例3に係るコンバインドサイクル発電プラントの全体構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、実施例1に係るコンバインドサイクル発電プラントの全体構成を概略的に示す図である。
【0013】
図1において、コンバインドサイクル発電プラントは、供給される空気80を加圧して燃焼用空気を生成する圧縮機1と、燃焼用空気とガスタービン燃料81とを混合して燃焼する燃焼器3と、燃焼器3で得られた燃焼ガスにより駆動されるガスタービン2と、ガスタービン2の排ガス82を熱源として蒸気を生成する排熱回収ボイラ4と、排ガス82を排熱回収ボイラ4に送る排ガスダクト30と、排熱回収ボイラ4で得られた蒸気により駆動される蒸気タービン5と、排ガスダクト30に冷却空気83を混入して排ガス82を冷却する排ガス冷却装置6とから概略構成されている。
【0014】
大気条件の空気80は圧縮機1にて吸気、加圧されて圧縮空気(燃焼用空気)として燃焼器3に送られる。燃焼器3では、燃焼用空気とガスタービン燃料81とが混合・燃焼されて高温・高圧の燃焼ガスが生成され、この燃焼ガスがガスタービン2に流入する。ガスタービン2は、燃焼器3からの燃焼ガスによって駆動され、このガスタービン2と軸11により結合された圧縮機1、蒸気タービン5、及び発電機10が駆動される。ガスタービン2で仕事をした排ガス82は排ガスダクト30を介して排熱回収ボイラ4に送られる
排熱回収ボイラ4は、ガスタービン2からの排ガス82を熱源として蒸気タービン5を駆動するための蒸気を生成するものであり、過熱器12、蒸発器13、節炭器14および蒸気ドラム15を備えている。排熱回収ボイラ4に送られた排ガス82は過熱器12、蒸発器13、節炭器14内で熱回収されることにより温度が降下し、図示しない煙突から大気中に放出される。一方、排熱回収ボイラ4に供給される給水84は、節炭器12で加熱された後に、蒸気ドラム15を経由して蒸発器13に送られ、蒸発器13で蒸気に変換される。蒸発器13で得られた蒸気は再び蒸気ドラム15に送られ、分離された蒸気が過熱器12に送られる。過熱器12で過熱された蒸気は蒸気配管31を介して蒸気タービン5に供給される。
【0015】
蒸気タービン5は、排熱回収ボイラ4から供給される蒸気によって駆動される。蒸気タービン5の駆動に用いられ排出された蒸気は復水器7で凝縮されて水となり、復水ポンプ8及び給水管32を介して排熱回収ボイラ4に給水84として戻される。
【0016】
排ガス冷却装置6は、排ガスダクト30に大気条件の冷却空気83を混入して排ガス82を冷却するものであり、送風機16、冷却空気配管33、冷却空気流量調節弁50を備えている。送風機16により加圧され、冷却空気流量調節弁50により流量調節された冷却空気83は、冷却空気配管33を介して排ガスダクト30に送られ、排ガス82に混入する。
【0017】
このように構成された本実施の形態のコンバインドサイクル発電プラントには、検出系としてセンサ60、61が設けられ、制御系として冷却空気流量制御手段70が備えられている。
【0018】
冷却空気流量制御手段70は、冷却空気流量調節弁50の開度を制御するものである。蒸気配管31には、蒸気タービン5に供給される蒸気の温度(以降、蒸気タービン供給蒸気温度と称する)を検出する蒸気温度センサ60が設けられている。また、排ガスダクト30には、排熱回収ボイラ4に供給される排ガス82の温度を検出する排ガス温度センサ61が設けられている。冷却空気流量制御手段70は、蒸気温度センサ60と排ガス温度センサ61の検出結果に基づいて冷却空気流量調節弁50の開度を制御し、排ガス82に混入される冷却空気83の流量を調節することにより、蒸気タービン供給蒸気温度が、起動時の蒸気タービンの蒸気温度条件を満足するよう制御する。
【0019】
以上のように構成した本実施の動作を図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図2は、実施例1に係るコンバインドサイクル発電プラントの起動時におけるガスタービン2、排熱回収ボイラ4、および排ガス冷却装置6のプロセス量の特性図である。図2において、線90はガスタービン2の回転数、線91はガスタービン91の負荷、線92は排ガス82の温度、線93は冷却空気83を混入しない場合の排ガス82の温度、線94は冷却空気83の流量、線95は蒸気タービン供給蒸気温度、線96は冷却空気83を混入しない場合の蒸気タービン供給蒸気温度、線97は起動時の蒸気タービンの蒸気温度条件をそれぞれ時間経過とともに示している。ここで蒸気温度条件は、蒸気タービン供給蒸気温度の上限値を示しており、この上限値を超えると、蒸気タービン5にて過大な熱応力が発生し寿命消費が大きくなる、あるいは熱伸びにより振動が発生するといった不都合が生じる可能性がある。
【0021】
時刻t1でガスタービン2が起動されると、一定の割合でガスタービン2の回転数が上昇し、時刻t2で定格の回転数に到達する。定格回転数到達直後にガスタービン2が併入し、時刻t3で最低負荷運転となり、時刻t4から負荷上昇して時刻t6で定格の負荷に到達し、プラントの起動が完了する。
【0022】
ガスタービン2の負荷の上昇とともに排ガス82の温度が上昇し、それに従い蒸気タービン供給蒸気温度も上昇する。時刻t4でガスタービン2が負荷上昇を開始すると、蒸気タービン供給蒸気温度が蒸気タービンの蒸気温度条件(蒸気タービン供給蒸気温度の上限値)を上回るため、冷却空気流量制御手段70は、蒸気温度センサ60と排ガス温度センサ30の検出結果に基づいて冷却空気流量調節弁50の開度を制御し、排ガス82に混入される冷却空気83の流量を調節することにより、蒸気タービン供給蒸気温度が、起動時の蒸気タービンの蒸気温度条件を満足するよう制御する。冷却空気流量制御手段70により、時刻t4から時刻t5の間で冷却空気83が排ガス82に混入し、排ガス82が冷却され、蒸気タービン供給蒸気温度が蒸気タービンの蒸気温度条件を満足するように推移する。
【0023】
冷却空気83を混入しない場合は、時刻t4でガスタービン2が負荷上昇を開始すると、蒸気タービン供給蒸気温度が蒸気タービンの蒸気温度条件を上回るため、これを回避するために、ガスタービン2の負荷上昇タイミング(時刻t4)を遅らせる必要がる。その結果、ガスタービン2の定格負荷到達時間(時刻t6)も遅れることとなり、プラント起動時間が長くなる。
【0024】
以上のように構成した本実施の形態における効果を説明する。
【0025】
プラント起動時においては、蒸気タービンに流入する蒸気温度が適切でない場合、蒸気タービンにて過大な熱応力が発生し寿命消費が大きくなる、あるいは熱伸びにより振動が発生するといった不都合が生じる可能性がある。蒸気タービンに流入する蒸気温度は、排熱回収ボイラに流入する排ガスの流量、温度によって決まり、さらに排ガス流量、温度は、ガスタービン運転特性の影響を受ける。従って、起動時に蒸気タービンに流入する蒸気温度を適切な温度に保つために、ガスタービンに対して部分負荷保持運転や負荷上昇率の抑制といった運転上の制限を与える必要があり、その結果、プラントの起動に時間を要することとなる。従来技術としては、排熱回収ボイラで発生する蒸気に対して、減温器を用いて冷却水を噴霧して蒸気温度を制御することで、蒸気タービンの蒸気温度条件を満たす蒸気を供給するものもある。しかしながら、上記従来技術においては、減温器にて噴霧される冷却水量が過大となった場合、減温器にてドレンが発生し、発生したドレンが蒸気タービン内に混入し、蒸気タービンを損傷させる原因となる可能性があった。
【0026】
また、別の従来技術としては、ガスタービンからの排ガスの流れを排熱回収ボイラ側とバイパス煙突側に切替可能なダンパを設置し、起動時にダンパを操作して排熱回収ボイラに流入する排ガス流量を制御することで、蒸気タービンの蒸気温度条件を満たす蒸気を供給するものもある。しかしながら、上記従来技術においては、バイパス煙突に流入した排ガスは高温状態で大気に放出されるため、放出分の排ガスが保有する熱量が回収されず、起動時のプラント効率が低下するという問題があった。
【0027】
これに対し、本実施の形態においては、冷却空気83を送風機16により加圧、冷却空気流量調節弁50により流量調節し、冷却空気配管33を介して排ガスダクト30に接続し、排ガス82に混入するよう構成した。冷却空気83を排ガス82に混入することで蒸気温度を制御しているため、蒸気タービン内にドレンを混入することなく、蒸気タービンの蒸気温度条件を満たす蒸気を供給することができる。また、冷却空気83が排ガス82に混入した後も排ガス82の熱量は不変であり、排熱回収ボイラ4で熱量が回収されるため、プラント効率が低下することなく、蒸気タービンの蒸気温度条件を満たす蒸気を供給することができる。
【実施例2】
【0028】
図3は、本発明の実施例2に係るコンバインドサイクル発電プラントの全体構成を概略的に示す図である。
【0029】
図1のコンバインドサイクル発電プラントのうち、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0030】
本発明の実施例1に示したコンバインドサイクル発電プラントでは、排ガス冷却装置6において、冷却空気83を送風機16で加圧して排ガス82に混入するのに対して、図3に示す実施例2では、排ガス冷却装置101において、冷却空気83をエゼクタ102で加圧して排ガス82に混入する。
【0031】
排ガス冷却装置101は、エゼクタ102、抽気配管130、冷却空気配管131、抽気流量調節弁150を備えている。圧縮機1から抽気した圧縮空気は、抽気流量調節弁150により流量調節され、抽気配管130を介してエゼクタ102に供給される。冷却空気83はエゼクタ102により加圧され、冷却空気配管131を介して排ガスダクト30に接続され、排ガス82に混入する。
【0032】
抽気流量制御手段170は、抽気流量調節弁150の開度を制御するものである。抽気流量制御手段170は、蒸気温度センサ60と排ガス温度センサ61の検出結果に基づいて抽気流量調節弁150の開度を制御し、排ガス82に混入される冷却空気83の流量を調節することにより、蒸気タービン供給蒸気温度が、起動時の蒸気タービンの蒸気温度条件を満足するよう制御する。
【0033】
以上のように構成した本実施の形態における効果を説明する。
【0034】
本発明の実施例1の形態では、冷却空気83を送風機16で加圧して排ガス82に混入するのに対して、本発明の実施例2の形態では、圧縮機1から抽気した圧縮空気を得エゼクタ102に供給し、冷却空気83をエゼクタ102で加圧して排ガス82に混入する。送風機16が駆動用の電力を必要とするのに対して、エゼクタ102は駆動用の電力を必要としない。従って、実施例2の形態では、よりプラント効率の高い条件で、蒸気タービンの蒸気温度条件を満たす蒸気を供給することができる。
【実施例3】
【0035】
図4は、本発明の実施例3に係るコンバインドサイクル発電プラントの全体構成を概略的に示す図である。
【0036】
図1のコンバインドサイクル発電プラントのうち、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
【0037】
本発明の実施例1に示したコンバインドサイクル発電プラントでは、排ガス冷却装置6において、冷却空気83を排ガス82に混入して排ガス82を冷却するのに対して、図4に示す実施例3では、排ガス冷却装置201において、減温器202を用いて給水84を排ガス82に噴霧して排ガス82を冷却する。
【0038】
排ガス冷却装置201は、減温器202、減温水配管230、減温水流量調節弁250を備えている。復水ポンプ8で加圧された給水32は、減温水流量調節弁250により流量調節され、減温水配管230を介して減温器202に供給される。減温器202にて給水84は排ガスダクト30を流れる排ガス82に噴霧され排ガス82を冷却する
減温水流量制御手段270は、減温水流量調節弁250の開度を制御するものである。減温水流量制御手段270は、蒸気温度センサ60と排ガス温度センサ61の検出結果に基づいて減温水流量調節弁250の開度を制御し、排ガス82に噴霧される給水84の流量を調節することにより、蒸気タービン供給蒸気温度が、起動時の蒸気タービンの蒸気温度条件を満足するよう制御する。
【0039】
以上のように構成した本実施の形態における効果を説明する。
【0040】
本発明の実施例1の形態では、冷却空気83を排ガス82に混入して排ガス82を冷却するのに対して、本発明の実施例3の形態では、減温器202を用いて給水84を排ガス82に噴霧して排ガス82を冷却する。減温器202により排ガス82を冷却する場合、水は空気よりも比熱が大きく、また、水の蒸発潜熱を利用できるので、より効果的に排ガス82を冷却できる。従って、実施例3の形態では、蒸気タービン供給蒸気温度の制御性を向上させることができる。
【0041】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるもではなく、様々な変形例が含まれる。
【0042】
例えば、上記各実施例では、コンバインドサイクルプラントが単圧の蒸気タービン5を備える形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、コンバインドサイクルプラントが高圧蒸気タービン及び低圧蒸気タービンを備える形態、又はコンバインドサイクルプラントが高圧蒸気タービン、中圧蒸気タービン、及び低圧蒸気タービンを備える形態としてもよい。
【0043】
また、上記実施例では、コンバインドサイクルプラントがガスタービン2と蒸気タービン5とを単一軸で結合させた1軸型形式である形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、コンバインドサイクルプラントがガスタービン2と蒸気タービン5を個別の軸に結合させた多軸型形式である形態としてもよい。
【0044】
また、上記実施例3では、減温器202に供給する減温水として、復水ポンプ8で加圧された給水84を使用する形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、外部系統からの給水をポンプで加圧して減温水として使用する形態としてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 圧縮機
2 ガスタービン
3 燃焼器
4 排熱回収ボイラ
5 蒸気タービン
6 排ガス冷却装置
7 復水器
8 復水ポンプ
10 発電機
11 軸
12 過熱器
13 蒸発器
14 節炭器
15 蒸気ドラム
16 送風機
30 排ガスダクト
31 蒸気配管
32 給水管
33 冷却空気配管
50 冷却空気流量調節弁
60 蒸気温度センサ
61 排ガス温度センサ
70 冷却空気流量制御手段
80 空気
81 燃料
82 排ガス
83 冷却空気
84 給水
90 ガスタービン回転数
91 ガスタービン負荷
92 排ガス温度
93 冷却空気を混入しない場合の排ガス温度
94 冷却空気流量
95 蒸気タービン供給蒸気温度
96 冷却空気を混入しない場合の蒸気タービン供給蒸気温度
97 起動時の蒸気タービンの蒸気温度条件
101 冷却空気流量制御手段
102 エゼクタ
130 抽気配管
131 冷却空気配管
150 抽気流量調節弁
170 抽気流量制御手段
201 冷却空気流量制御手段
202 減温器
230 減温水配管
250 減温水流量調節弁
270 減温水流量制御手段
図1
図2
図3
図4