特許第6244132号(P6244132)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244132
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】除細動器
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/39 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   A61N1/39
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-159215(P2013-159215)
(22)【出願日】2013年7月31日
(65)【公開番号】特開2015-29563(P2015-29563A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年6月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】副島 良太
(72)【発明者】
【氏名】馬場▲崎▼ 智宏
(72)【発明者】
【氏名】本田 敦久
【審査官】 伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4969645(JP,B2)
【文献】 特開平06−091013(JP,A)
【文献】 特開2006−038929(JP,A)
【文献】 米国特許第06405082(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
除細動器の操作に関する及び又は除細動器の状態を示す音声メッセージを出力する音声出力部を有する除細動器であって、
前記音声出力部は、
同一のメッセージを、第1の周波数帯域である第1音声と、前記第1の周波数帯域よりも帯域の高い第2の周波数帯域である第2音声と、により、繰り返し出力する、
除細動器。
【請求項2】
前記第1音声は男性的な周波数特性を有し、前記第2音声は女性的な周波数特性を有する、
請求項1に記載の除細動器。
【請求項3】
前記第1音声を出力する直前に第1アラーム音を出力するとともに、前記第2音声を出力する直前に第2アラーム音を出力し、
前記第2アラーム音は、前記第1アラーム音よりも周波数が高い、
請求項1又は請求項2に記載の除細動器。
【請求項4】
前記音声出力部は、
前のメッセージ内容ついての前記第1音声及び前記第2音声に対するユーザの反応に応じて、次のメッセージ内容についての前記第1音声及び前記第2音声の出力順序を決定する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の除細動器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動体外式除細動器(AED:Automated External Defibrillator)、手動式除細動器等の除細動器における音声メッセージに関する。
【背景技術】
【0002】
電極を用いて患者の心筋に電気ショックを与え、心臓の細動を除去する、除細動器が知られている。AEDについては、平成16年に非医療従事者による使用が認められたため、それ以降は、駅や運動施設等の公共施設内でのAED設置が増えている。
【0003】
AEDは一般に、非医療従事者でも正しく使用することができるように、操作案内用音声(つまり、音声メッセージ)で操作手順を案内する機能を備えている。半自動除細動器や手動式除細動器にも操作案内用音声機能を備えているものもある。
【0004】
特許文献1には、環境ノイズに応じて音声特性の異なる音声メッセージを提供することで、ノイズ環境に適した音声メッセージを提供する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4969645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ノイズ環境に適した音声特性の音声メッセージが必ずしもユーザにとって聞き取り易いものであるとは限らない。ユーザの聴覚特性は、ユーザ毎に異なるからである。従来の除細動器の音声メッセージは、このような点が十分に配慮されているとは言えず、聞き取り易さの点で未だ不十分であった。
【0007】
特に、突然心停止の生存率は、患者の除細動をどれだけ早期に行うことができるかに大きく左右されるので、除細動器の操作に不慣れなユーザにとっては、音声メッセージを確実に聞き取り、音声メッセージに従って迅速に除細動の処置を行うことは患者の命を救う上で非常に重要となる。
【0008】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、ユーザがより確実に音声メッセージを聞き取ることができる除細動器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の除細動器の一つの態様は、
除細動器の操作に関する及び又は除細動器の状態を示す音声メッセージを出力する音声出力部を有する除細動器であって、
前記音声出力部は、
同一のメッセージを、第1の周波数帯域である第1音声と、前記第1の周波数帯域よりも帯域の高い第2の周波数帯域である第2音声と、により、繰り返し出力する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザがより確実に音声メッセージを聞き取ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態に係るAEDの要部の外観図
図2】音声出力部の構成を示すブロック図
図3】音声メッセージの出力例を示すフローチャート
図4】音声メッセージ及びアラーム音の出力例を示すフローチャート
図5】音声出力部の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
<外観構成>
図1は、本発明の一実施の形態に係るAEDの要部の略線的な外観図である。
【0014】
図1のAED10は、本体11と、蓋部12とにより構成されている。蓋部12は、本体11に対してヒンジ部(図示せず)を介して開閉自在に取り付けられている。本体11には、除細動を行うときに患者の胸部に装着させる電極パッド13a、13bが接続されている。AED10は、不使用時には蓋部12が閉じられた状態で保管されており、使用時には蓋部12を開けて電極パッド部13a、13bを取り出すことによって使用可能な状態となる。
【0015】
本体11には、電源オン/オフボタン11a、生体への通電を実行するための電気ショックボタン11b、音声メッセージ等を出力するスピーカ11cが設けられている。
【0016】
なお、AED10の本体11の主な内部構成及び操作手順は周知であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0017】
<音声メッセージの出力>
次に、本実施の形態による音声メッセージ出力処理について詳しく説明する。
【0018】
AED10は、図2に示すような構成の音声出力部20を有する。音声出力部20は、本体11に内蔵された音声処理部21と、スピーカ11cとによって構成されている。音声処理部21は、予め録音され記憶された音声メッセージを所定のタイミング及び所定の間隔で再生してスピーカ11cに出力する。音声メッセージの再生が開始されるタイミングとは、例えば電源オン/オフボタン11aが操作されることで、AED10の電源がオンとされたタイミングである。または、蓋部12が開けられたタイミングでもよい。
【0019】
図3は、本実施の形態による音声出力部20の音声メッセージの出力例を示すフローチャートである。音声出力部20は、図3に示すように、同一の音声メッセージを、男性の声と女性の声で繰り返して出力するようになっている。これにより、ユーザは音声メッセージをより確実に聞き取ることができるようになる。つまり、男性の声でも女性の声でも同じようにハッキリと聞き取ることができるような健聴者であれば、男性或いは女性の声のみでメッセージを出力するだけでも十分であるが、ユーザによっては聴覚特性により、男性の声の方が聞き取り易いユーザや、反対に女性の声の方が聞き取り易いユーザも存在する。本実施の形態では、このようなユーザがいることを考慮して、同一のメッセージを男性の声と女性の声の両方で出力することで、確実に音声メッセージを伝えることができるようなっている。
【0020】
ちなみに、一般に、高齢になるに従って高い周波数の声を聞き取りにくくなる傾向がある。すなわち、高齢になるに従って女性の声を聞き取りにくくなる傾向がある。また、周囲のノイズによっては、男性の声よりも女性の声の方が聞き取り易い場合や、反対に男性の声の方が聞き取り易い場合もある。本実施の形態の構成は、これらの場合にも非常に有効である。
【0021】
ここで、音声出力部20が男性の声と女性の声で繰り返して出力する音声メッセージとは、ユーザがAED10の操作を行うときに、ユーザにAED10の操作を案内するためのものであり、音声ガイダンスと呼んでもよい。また、音声メッセージには、AED10の状態を示すメッセージも含まれる。つまり、本実施の形態における音声メッセージとは、AED10の操作を行う際に重要なメッセージのことである。
【0022】
具体的には、音声メッセージは、例えば、「充電開始」、「充電中止」、「充電中断」、「内部放電」、「充電エネルギーオーバー」、「バッテリ残量注意」、「コンセントに繋いでください」、「同期モード」、「同期モード継続」、「同期モード解除」、「ショックボタンを押してください」、「解析中です患者に触れないでください」、「胸骨圧迫を開始してください」、などのメッセージである。このうち、「ショックボタンを押してください」、「解析中です患者に触れないでください」、「胸骨圧迫を開始してください」のメッセージは、AED10の操作に関するメッセージである。また、「充電開始」、「充電中止」、「充電中断」、「内部放電」、「充電エネルギーオーバー」、「バッテリ残量注意」、「コンセントに繋いでください」、「同期モード」、「同期モード継続」、「同期モード解除」のメッセージは、除細動器の状態を示すメッセージである。
【0023】
ちなみに、重要でない音声メッセージ(音声出力部20が男性の声と女性の声で繰り返して出力せずに、男性又は女性の声で1回だけ出力する通常の音声メッセージ)とは、除細動に関わらないメッセージであり、例えば除細動器に生体情報モニタ機能が付随して設けられている装置における生体情報モニタに関するメッセージなどである。そのメッセージとは、例えば、「記録紙がなくなりました」、などといったメッセージである。
【0024】
さらに、図4に示すように、男性の声を出力する直前に第1アラーム音を出力するとともに、女性の声を出力する直前に第2アラーム音を出力するようにすれば、ユーザはこれから音声メッセージが出力されることをアラーム音によって喚起されるので、音声メッセージの聞き逃しを減らすことができる。
【0025】
加えて、第2アラーム音の周波数を、第1アラーム音の周波数よりも高く設定することが好ましい。つまり、男性の声の前には、男性の声を聞き取ることができる人用に、若干低めの周波数のアラーム音を鳴らし、女性の声の前には、女性の声を聞き取ることができる人用に、若干高めの周波数のアラーム音を鳴らす。これにより、男性の声を聞き取り易いユーザは第1アラーム音を聞き取り易くなるとともに、女性の声を聞き取り易いユーザは第2アラーム音を聞き取り易くなるので、アラーム音によってユーザがより喚起され易くなる。
【0026】
なお、図3及び図4では、同一メッセージを繰り返す際に、男性の声を女性の声よりも先に出力する場合について述べたが、当然、女性の声を男性の声よりも先に出力してもよい。
【0027】
さらに、ユーザの反応に応じて、男性の声を先に出力するか又は女性の声を先に出力するかを決めてもよい。この場合には、図5に示すように、音声出力部30が、音声処理部31にユーザの操作信号を入力し、操作信号の入力されたタイミングに基づいて、次のメッセージから男性の声と女性の声の再生順序を決めるようにすればよい。具体的には、前メッセージを男性→女性の順序で出力し、ユーザが女性のメッセージを聞いた直後に操作を開始した場合には、次メッセージの出力順序は女性→男性にする。例えば、図3のメッセージ1が「ショックボタンを押してください」であり、メッセージ2が「解析中です患者に触れないでください」であったと想定する。そして、図3のメッセージ1で「ショックボタンを押してください」といったメッセージを男性の声→女性の声の順序で出力したところ、ユーザが男性の声の直後ではなく女性の声の直後に電気ショックボタン11bを操作した場合には、メッセージ2の「解析中です患者に触れないでください」は女性の声→男性の声の順序で出力する。このようにすることで、メッセージが繰り返されたときに、ユーザは自分の聞き取り易いメッセージをより早く聞くことができるので、より速やかに操作を行うことができるようになる。また、聞き取りにくい音声の後に聞き取り易い音声が出力される場合よりも、聞き取りのためのストレスが軽減される。
【0028】
以上説明したように、本実施の形態によれば、同一のメッセージを、男性の声と女性の声で繰り返して出力したことにより、ユーザがより確実に音声メッセージを聞き取ることができるAED10を実現できる。
【0029】
なお、上述の実施の形態では、男性の声と女性の声で繰り返して出力した場合について述べたが、本発明はこれに限らない。本発明は、ユーザによって聞き取り易い周波数帯域が異なることに着目してなされたものであり、要は、同一のメッセージを、第1の周波数帯域である第1音声と、前記第1の周波数帯域よりも帯域の高い第2の周波数帯域である第2音声と、により、繰り返し出力すればよい。このようにすれば、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0030】
また、周波数帯域の異なる音声(例えば男性の声と女性の声)を繰り返して出力する場合に限らず、周波数帯域の異なる音声(例えば男性の声と女性の声)を同時に出力してもよい。このようにすると、聞き取り易さの点において、繰り返して出力する場合と比較すると若干劣るが、単一周波数帯域の音声を一回のみ出力する場合よりは改善される。一方、時間の点においては、同時に出力すれば繰り返し出力する場合よりも節約できるので、ユーザによるより速やかな操作が期待できる。
【0031】
また、上述の実施の形態では、「男性の声」、「女性の声」と記述したが、これらは周波数特性の上で一意に決めることは困難であり、実施の形態における「男性の声」、「女性の声」は実際上、それぞれ、「男性的な周波数を有する声」、「女性的な周波数を有する声」であることを意味する。
【0032】
また、上述の実施の形態では、本発明を、図1の外観構成のAED10に適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、音声メッセージ機能を搭載した除細動器に広く適用可能である。
【0033】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0034】
10 AED
11 本体
11a 電源オン/オフボタン
11b 電気ショックボタン
11c スピーカ
12 蓋部
13a、13b 電極パッド
20、30 音声出力部
21、31 音声処理部
図1
図2
図3
図4
図5