特許第6244145号(P6244145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244145
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】ドレンキャップ
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/04 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   E04D13/04 E
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-190848(P2013-190848)
(22)【出願日】2013年9月13日
(65)【公開番号】特開2015-55140(P2015-55140A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】592179137
【氏名又は名称】株式会社アルテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠塚 継男
【審査官】 坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−017128(JP,A)
【文献】 特開2010−116716(JP,A)
【文献】 実開平06−037426(JP,U)
【文献】 特開2006−45881(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3109990(JP,U)
【文献】 米国特許第5469670(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水口を通水可能に覆うキャップ本体と、
前記キャップ本体に片持ちされた複数の板ばね部材と、を備えたドレンキャップであって、
前記複数の板ばね部材は、固定端から前記キャップ本体の底面に沿うように前記キャップ本体の中心軸に向かって延びる調整部と、
該調整部の前記キャップ本体の中心軸側で折り曲げられ、前記キャップ本体の底から離れる方向、且つ、前記キャップ本体の中心軸から離れる方向へ延びる接触部と、
該接触部の前記キャップ本体の中心軸から離れた側で折り曲げられ、前記キャップ本体の底から離れる方向、且つ、前記キャップ本体の中心軸へ近づく方向へ延びる案内部と、を有し、
前記接触部は、前記排水口に取り付けられた際に、前記排水口の内周壁に面接触するように構成されたことを特徴とするドレンキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の排水口に取り付けられるドレンキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルやマンション等の建築物の屋上や各階のベランダには、雨水を排水する排水口(ドレン)が設けられているのが一般的である。この種の排水口には、雨水に随伴される落ち葉、小枝、紙、又は、ビニール等といった固形物の侵入防止、及び、排水口が剥き出しになることによる危険性の回避、美観の保持等といった観点からドレンキャップが取り付けられている。
【0003】
特許文献1に開示される従来のドレンキャップを、図5を参照しながら説明する。図5(A)は、従来のドレンキャップ101を示す平面図である。図5(B)は、従来のドレンキャップ101が排水口121に取り付けられた様子を示す断面図である。
【0004】
ドレンキャップ101は、排水口121を通水可能に覆うキャップ本体102を備えている。このキャップ本体102は、図に示す様なドーム形で、雨水を通すための開口106が複数形成されている。そして、キャップ本体102は、内部中央に芯棒部105を有し、芯棒部105に二枚の板ばね103がビス107で固定されている。この板ばね103は、長さが排水口121の径よりも十分に長くなっており、二枚の板ばね103が十字になるように厚み方向に重ね合されて固定されている。
【0005】
図6を参照しながら、従来のドレンキャップ101の取り付け方法を説明する。図6は、従来のドレンキャップ101を排水口121に取り付ける様子を示す図である。このドレンキャップ101を取り付けるときは、作業員が二枚の板ばね103を撓ませて二枚の板ばね103の端の間隔を排水口121の直径よりも狭めて排水口121に板ばね103を挿入する。そして、ドレンキャップ101は、作業員の手が板ばね103から放されると、板ばね103が自身の弾性力によって広がって排水口121の内周壁に当接する。これによって、ドレンキャップ101は、排水口121に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−19633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のドレンキャップ101は、排水口121に取り付けるために板ばね103を排水口121の径よりも小さく撓ませて排水口121に挿入する必要があり、取り付け性について改善の余地を残していた。
【0008】
また、従来のドレンキャップ101は、十字に交差させた二枚の板ばね103を排水口121に挿入する構成のため、排水口121を塞いでしまう部分が多く、雨水に随伴される落ち葉等が板ばね103にひっかかり、そのまま堆積すると排水口121がつまってしまうおそれがあった。
【0009】
また、従来のドレンキャップ101は、十字に交差させた二枚の板ばね103を撓ませた状態で排水口121に挿入する構成のため、ドレンキャップ101を排水口121から取り外す際に、二枚の板ばね103が勢いよく復元し、作業員が二枚の板ばね103の跳ね返りを受けるおそれがあった。
【0010】
そこで、本発明は、排水口への取り付けが容易で、排水口がつまり難く、排水口から取り外す際に作業員が板ばね部材の跳ね返りを受けるおそれがないドレンキャップを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、排水口を通水可能に覆うキャップ本体と、前記キャップ本体に片持ちされた複数の板ばね部材と、を備えたドレンキャップであって、前記複数の板ばね部材は、固定端から前記キャップ本体の底面に沿うように前記キャップ本体の中心軸に向かって延びる調整部と、該調整部の前記キャップ本体の中心軸側で折り曲げられ、前記キャップ本体の底から離れる方向、且つ、前記キャップ本体の中心軸から離れる方向へ延びる接触部と、該接触部の前記キャップ本体の中心軸から離れた側で折り曲げられ、前記キャップ本体の底から離れる方向、且つ、前記キャップ本体の中心軸へ近づく方向へ延びる案内部と、を有し、前記接触部は、前記排水口に取り付けられた際に、前記排水口の内周壁に面接触するように構成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のドレンキャップによれば、排水口に取り付けが容易で、排水口がつまり難い。また、本発明のドレンキャップによれば、排水口から取り外す際に、作業員が板ばね部材の跳ね返りを受けるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のドレンキャップを右斜め下方から視た斜視図である。
図2】本発明のドレンキャップを排水口に取り付ける前の様子を示す断面図である。
図3】(A)は、本発明のドレンキャップが排水口に取り付けられた様子を示す断面図であり、(B)は、(A)のIIIB−IIIB矢視図である。
図4】(A)は、本発明の他の実施例である中継用ドレンキャップを右斜め下方から視た斜視図であり、(B)は、本発明のその他の実施例である薄型ドレンキャップを右斜め下方から視た斜視図である。
図5】(A)は、従来のドレンキャップを示す平面図であり、(B)は、従来のドレンキャップが排水口に取り付けられた様子を示す断面図である。
図6】従来のドレンキャップを排水口に取り付ける様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施をするための形態の例(以下、実施例と呼ぶ)を図1図3を参照しながら説明する。図1は、本発明のドレンキャップ1を右斜め下方から視た斜視図である。図2は、本発明のドレンキャップ1を排水口21に取り付ける前の様子を示す断面図である。ドレンキャップ1は、キャップ本体2と、キャップ本体2に片持ち固定された複数の板ばね部材3と、を備えている。
【0015】
キャップ本体2は、全体形状がハット形であり中心軸CLを対称軸とする三回対称である。キャップ本体2は、鍔状のフランジ4と、板ばね部材3を固定する板ばね固定部5と、フランジ4を除く全体に渡って複数形成される開口6と、を有している。フランジ4は、底側の面をドレンキャップ1の底面と称する。また、板ばね固定部5は、キャップ本体2に三箇所、等間隔に形成されている。
【0016】
キャップ本体2は、例えば、アルミダイカストによって成形される。このキャップ本体2は、ドレンキャップ1が排水口21に取り付けられると、排水口21を通水可能に覆う部分となる。
【0017】
板ばね部材3は、ステンレス鋼であり折り曲げ加工によって第一折り曲げ部3aと、第二折り曲げ部3bと、が施されている。ここで、一端(片持ち固定された際の固定端)側に第一折り曲げ部3aが形成され、他端(片持ち固定された際の自由端)側に第二折り曲げ部3bが形成される。以下、板ばね部材3のうち、固定端から第一折り曲げ部3aまでを調整部11、第一折り曲げ部3aから第二折り曲げ部3bまでを接触部12、第二折り曲げ部3bから自由端までを案内部13と呼ぶ。
【0018】
板ばね部材3は、キャップ本体2の板ばね固定部5に固定されると、調整部11がキャップ本体2の内方、すなわちドレンキャップ1の底面に沿うように中心軸CLに向かって延び、先ず、第一折り曲げ部3aで折り曲げられて接触部12がキャップ本体2の底から離れる方向、且つ、中心軸CLから離れる方向へ延び、次に、第二折り曲げ部3bで折り曲げられて案内部13がキャップ本体2の底から離れる方向、且つ、中心軸CLへ近づく方向へ延びる。
【0019】
この板ばね部材3は、キャップ本体2に対して等間隔に三個固定される。そうすると、複数の板ばね部材3は、第一折り曲げ部3aが固定端から自由端側に向かうに従って隣り合う互いの間隔が広がるよう折り曲がり、第二折り曲げ部3bが第一折り曲げ部3aから固定端に向かうに従って隣り合う互いの間隔が狭まるように折り曲げている。ここで、隣り合う板ばね部材3の第二折り曲げ部3bにおける間隔を距離Lとし、隣り合う板ばね部材3の自由端における間隔を距離lとする。
【0020】
板ばね部材3の調整部11は、取り付けられる排水口21の径Dによって長さが調整される。すなわち、板ばね部材3の調整部11の長さは、ドレンキャップ1が排水口21に取り付けられた際に板ばね部材3の接触部12が排水口21の内周壁に面接触するような長さに調整される。
【0021】
また、第一折り曲げ部3aは、距離Lが排水口21の径Dよりも大きくなるように折り曲げられ、第二折り曲げ部3bは、距離lが排水口21の径Dよりも小さくなるように折り曲げられる。
【0022】
次に、図2図3を参照しながら、本発明のドレンキャップ1を排水口21に対して取り付ける様子を説明する。図3(A)は、本発明のドレンキャップ1が排水口21に取り付けられた様子を示す断面図である。図3(B)は、図3(A)のIIIB−IIIB矢視図である。
【0023】
作業員は、キャップ本体2を把持し、図2に示す様に先ず板ばね部材3の案内部13を排水口21に接触させる。そして、その状態でキャップ本体2を下へ押し下げる。そうすると、板ばね部材3は、案内部13が排水口21を通る際に互いに近づくように撓められる。そして、そのまま、キャップ本体2を更に押し下げると、図3(A)、(B)の状態になって、板ばね部材3の接触部12が排水口21の内周壁に面接触する。
【0024】
本発明のドレンキャップ1によれば、複数の板ばね部材3は、固定端から自由端側に向かうに従って互いの間隔が広がるよう折れ曲がる第一折り曲げ部3aと、第一折り曲げ部から固定端に向かうに従って互いの間隔が狭まるように折れ曲がる第二折り曲げ部3bと、を有している。このため、従来のドレンキャップ101のように作業員が板ばね103を手で撓ませて排水口21に挿入する必要がなく、従来のドレンキャップ101と比較して排水口21に容易に取り付けることができる。また、予め折り曲げられているので取り外しの際に、板ばね部材3の跳ね返りのおそれが少ない。
【0025】
また、本発明のドレンキャップ1によれば、従来のドレンキャップ101のように交差された板ばね部材3が排水口21の内部に挿入される構成でないため、従来のドレンキャップ101と比較して排水口21がつまり難い。
【0026】
なお、本発明のドレンキャップ1は、上述の実施例にのみ限定されるものではない。例えば、キャップ本体2について、例えば、屋上で用いられるハット型を例示して説明したがこれに限定されるものではない。図4(A)で示す様に、キャップ本体2は、ベランダで用いられる中継用のものや、図4(B)で示す様に、ベランダで用いられる薄型のものでも良い。また、本発明のドレンキャップは、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更できる。
【符号の説明】
【0027】
1 ドレンキャップ
2 キャップ本体
3 板ばね部材
3a 第一折り曲げ部
3b 第二折り曲げ部
21 排水口
図1
図2
図3
図4
図5
図6