(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244150
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホース
(51)【国際特許分類】
A62C 33/00 20060101AFI20171127BHJP
F16L 11/12 20060101ALI20171127BHJP
B32B 1/08 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
A62C33/00 C
F16L11/12 J
B32B1/08 B
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-195840(P2013-195840)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2015-58293(P2015-58293A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年5月12日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000215822
【氏名又は名称】帝国繊維株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】神田 東平
【審査官】
菅家 裕輔
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3091293(JP,U)
【文献】
特開2000−310361(JP,A)
【文献】
特開平11−206904(JP,A)
【文献】
特開平11−057052(JP,A)
【文献】
特開2001−193874(JP,A)
【文献】
特開平06−143474(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3080507(JP,U)
【文献】
特開2013−2512(JP,A)
【文献】
特開平10−2464(JP,A)
【文献】
実開昭58−89064(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3091319(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 33/00
B32B 1/08
F16L 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成繊維からなる経糸と緯糸が筒状に織成されたジャケットの内側面に合成樹脂からなる内張層が設けられ、かつ内径18〜41mmの消火栓用保形ホースであって、反射材を糸表面に有する経糸と蓄光材を糸表面に有する経糸の各々がポリエステル紡績糸を含む複数本の糸を撚り合わせた合撚糸であり、前記ジャケットを構成する経糸の一部として、前記反射材を糸表面に有する経糸と前記蓄光材を糸表面に有する経糸を用いて織成することにより、前記ジャケットの表面にホース長さ方向に延在する2本以上の反射材ラインと2本以上の蓄光材ラインが形成されてなり、該2本以上形成された各ラインが互いに等間隔で、かつ全部で4本以上の前記反射材ラインと前記蓄光材ラインが交互に前記ジャケットの表面に配置されていることを特徴とする反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホース。
【請求項2】
前記2本以上形成された各ラインの全部で4本以上の該反射材ラインと該蓄光材ラインが交互に等間隔で前記ジャケットの表面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホース。
【請求項3】
前記反射材ラインと前記蓄光材ラインがそれぞれ3本以上であり、該3本以上形成された各ラインが互いに等間隔で、かつ全部で6本以上の該反射材ラインと該蓄光材ラインが交互に前記ジャケットの表面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホース。
【請求項4】
前記反射材ラインと前記蓄光材ラインがそれぞれ3本以上であり、かつ、該3本以上形成された各ラインの全部で6本以上の該反射材ラインと該蓄光材ラインが、交互に等間隔で前記ジャケットの表面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホース。
【請求項5】
前記反射材ラインと蓄光材ラインがそれぞれ3本以上であり、それらの合計6本以上のラインが、反射材ラインと蓄光材ラインの1本ずつが比較的狭い間隔で2本一組をなして並列して配され、その2本一組で並列して形成されたラインの3組以上が比較的幅の広い等間隔で配され、かつ前記反射材ラインと前記蓄光材ラインが交互に前記ジャケットの表面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホース。
【請求項6】
前記反射材を糸表面に有する経糸は、表面に反射材の層が設けられた樹脂フィルムをスリットしたスリットヤーンを含んでいることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホース。
【請求項7】
前記反射材ラインと蓄光材ラインが、それぞれ2本以上であり、各ラインの幅が5mm以上20mm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホース。
【請求項8】
前記反射材ラインと蓄光材ラインが、それぞれ3本以上であり、各ラインの幅が2.5mm以上5.5mm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火栓用保形ホースに関し、さらに詳しくは反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホースに関する。
【背景技術】
【0002】
消火栓用の消防ホースとしては、一人で消火栓から引き出して消火活動ができるように常に円形断面を維持するように、経糸にポリエステル紡績糸あるいはフィラメント糸を用い、緯糸にナイロンモノフィラメントを用いて織ったジャケットの内側に樹脂チューブを貼り付けた比較的小径(内径d(
図1、
図2):約18〜41mm)の保形ホースがある。
【0003】
この保形ホースは、通常、屋内消火栓設備として防火対象建物内において消火栓に常時繋がれて設置され、火災発生時には、特に防火対象建物の従業者等による初期消火活動に使用され、より有効な初期消火活動の実施に供されるものである。
【0004】
保形ホースは、屋内消火栓設備内への格納時において、ホース本体の全体はその断面形状が円形状に保たれており、このため、格納状態から該ホースの全体を取り出さなくても放水を開始することができ、火災発生時には一人でも操作を行って放水できることから、初期消火活動を有効に行うことができるという有用さを有するものであり、この点が消火栓用保形ホースの特徴である。
【0005】
これに対して、消火栓用のホースであっても、扁平な状態にされてジグザグに屈曲されてあるいはとぐろ状に巻かれて格納されるホース(平ホース)では、放水活動を開始するためには、バルブに繋がれた該ホース全体を取り出して、ホースが屈曲した状態等を呈さないようにして整えて後、通水して放水をすることが必要であり、そのために通常は2人で操作をするものである。
【0006】
すなわち、平ホースでは、2人でないと有効かつスピーディな操作ができないのであり、初期消火活動の手段として、一人で操作できる保形ホースは有用である。ちなみに、屋内消火栓としての平ホースは内径が通常約40mm(呼び径40)であり、一般的に保形ホースよりも太く放水量も大きい。
【0007】
上述した通り、保形ホースは、常時、屋内消火栓設備内に収納されており、該屋内消火栓設備は、建屋内の壁面に埋め込まれるように設けられているので、保形ホースの取り出しは、該消火栓設備の普段は閉まっている厚めの頑丈な鉄製扉を開放することにより緊急時のみ行われる。
【0008】
したがって、通常、保形ホースは光が入ってこない真っ暗闇の中に置かれていることから、光をある程度の時間、照射されることにより光エネルギーを吸収しその蓄えたエネルギーを可視光線に変換することで光を放出する機能を持つ蓄光材を、消火栓用保形ホースに適用するという発想は従来存在しなかった。
【0009】
一方で、大きなビル、地下街等で消火栓設備を使用して消火活動をしようとするとき、ほとんど真っ暗な状況に近い中で該消火活動をしなければならない場合がある。そうした場合、真っ暗な状況でも消火栓用保形ホースの所在(保管)場所や所在(保管)状況、さらに消火活動中の該ホースの進展状況が瞬時に正確に把握できることは消火活動をする上で有用である。
【0010】
消火栓設備自体には、常時赤色に大きく点灯している表示灯や、音響により火災を知らせる警報ベルなどが付設されていて消火栓設備の設置場所自体はわかるが、緊急時、実際に消火活動にあたる者にとっては、上述したような暗い状況等でも消火栓ひいては消火栓用保形ホースの所在場所やその保管状況、さらに消火活動開始後は該ホースの進展状況が瞬時に正確に把握できることは極めて有効である。
【0011】
また、火災が発生していない通常時でも、防火対象建物の従業者等が、常日頃から消火栓用保形ホースの所在(保管)場所や所在(保管)状況を目視することができれば、防火意識を高める上で意義があり、少なくとも、その消火栓設備の前に物を置くなどのことも抑制されると考えられる。
【0012】
特許文献で先行技術を見てみると、暗い中でもその視認性を上げるために、保形ホースではなく、通常の平たくつぶされて収納される消防用ホースに関するものであるが、反射材と蓄光材の双方を含有する樹脂層を設けることによりホース表面に、ホース長さ方向に延びる縦色線あるいは識別文字や記号等を描くことが提案されている(特許文献1)。
【0013】
また、消防用ホースに関して、ホース本体のジャケットの外面に避難方向を指示する矢印指標を設けることが開示されており、特に、該矢印指標の視認性を上げるために、該矢印指標を反射材で形成することあるいは夜光塗料を塗布することが提案され、それが保形ホースにも適用できることが記載されている(特許文献2(段落0019))。
【0014】
同様に、暗い中での視認性を上げかつ高価な蓄光塗料の使用量を低減するため、反射材料を添加した蓄光塗料を消防用ホースに付与することが提案され、それが保形ホースにも適用できることが記載されている(特許文献3(段落0012、同0021))。
【0015】
しかし、これらの提案のものは、いずれも、保形ホースに適用することを本来の技術本旨とするものではなく、内径の大きな、かつ、つぶされた状態で収納される消防用ホースに関するものであり、径の小さな消火栓用保形ホースに適用することは不向きなものであった。
【0016】
特に内径が約18〜41mmと径の小さな消火栓用保形ホースに対して、ホースを成形した後に、反射材などが含有されたインク塗料(蓄光塗料)をうまく所望の箇所に対して塗布することは難しく、生産性の点や製造コストの点で問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2009−150522号公報
【特許文献2】特開2002−139182号公報
【特許文献3】特開2000−140146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、火災時などの暗闇において、消火栓に収納状態にあるときのホースの所在や収納状態を簡単に認識できるようにし、さらに該ホースを消火栓から引き出して使用する際においても、ホースの一部が全長にわたって発光することや投射光に対して反射することにより、該ホースの位置、ホースラインの確認と、消火作業者の消火栓へ帰還ルートの認識を容易にできる消火栓用保形ホースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述した目的を達成する本発明の消火栓用保形ホースは、以下の(1)の構成を有する。
(1)合成繊維からなる経糸と緯糸が筒状に織成されたジャケットの内側面に合成樹脂からなる内張層が設けられ、かつ内径18〜41mmの消火栓用保形ホースであって、
反射材を糸表面に有する経糸と蓄光材を糸表面に有する経糸の各々がポリエステル紡績糸を含む複数本の糸を撚り合わせた合撚糸であり、前記ジャケットを構成する経糸の一部として、
前記反射材を糸表面に有する経糸と
前記蓄光材を糸表面に有する経糸を用いて織成することにより、前記ジャケットの表面にホース長さ方向に延在する2本以上の反射材ラインと2本以上の蓄光材ラインが形成されてなり、該2本以上形成された各ラインが互いに等間隔で、かつ全部で4本以上の前記反射材ラインと前記蓄光材ラインが交互に前記ジャケットの表面に配置されていることを特徴とする反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホース。
【0020】
また、かかる本発明の反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホースにおいて、好ましくは、以下の(2)〜
(8)のいずれかの構成を有するものである。
(2)前記2本以上形成された各ラインの全部で4本以上の該反射材ラインと該蓄光材ラインが交互に等間隔で前記ジャケットの表面に形成されていることを特徴とする上記(1)記載の反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホース。
(3)前記反射材ラインと前記蓄光材ラインがそれぞれ3本以上であり、該3本以上形成された各ラインが互いに等間隔で、かつ全部で6本以上の該反射材ラインと該蓄光材ラインが交互に前記ジャケットの表面に形成されていることを特徴とする上記(1)記載の反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホース。
(4)前記反射材ラインと前記蓄光材ラインがそれぞれ3本以上であり、かつ、該3本以上形成された各ラインの全部で6本以上の該反射材ラインと該蓄光材ラインが、交互に等間隔で前記ジャケットの表面に形成されていることを特徴とする上記(1)記載の反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホース。
(5)前記反射材ラインと蓄光材ラインがそれぞれ3本以上であり、それらの合計6本以上のラインが、反射材ラインと蓄光材ラインの1本ずつが比較的狭い間隔で2本一組をなして並列して配され、その2本一組で並列して形成されたラインの3組以上が比較的幅の広い等間隔で配され、かつ前記反射材ラインと前記蓄光材ラインが交互に前記ジャケットの表面に形成されていることを特徴とする上記(1)記載の反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホース。
(6)前記反射材を糸表面に有する経糸は、表面に反射材の層が設けられた樹脂フィルムをスリットしたスリットヤーンを含んでいることを特徴とする上記(1)〜
(5)のいずれかに記載の反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホース。
(7)前記反射材ラインと蓄光材ラインが、それぞれ2本以上であり、各ラインの幅が5mm以上20mm以下であることを特徴とする上記(1)〜
(6)のいずれかに記載の反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホース。
(8)前記反射材ラインと蓄光材ラインが、それぞれ3本以上であり、各ラインの幅が2.5mm以上5.5mm以下であることを特徴とする上記(1)〜
(6)のいずれかに記載の反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホース。
【発明の効果】
【0021】
請求項1にかかる本発明の消火栓用保形ホースによれば、消火栓設備内に収納されているときでも、光の照射を受けることが可能なように、消火栓設備の蓋部(消火栓ボックスの蓋(前扉)部)を透明化すること、あるいは消火栓ボックス内に常時発光する発光体を設置しておくこと、あるいは消火栓に付設され常時点灯している表示灯の光を消火栓ボックス内に導くこと等により、火災発生などの緊急時において、暗闇の中にあっても、消火栓設備内で収納状態にあるときのホースの所在や収納状態をその蓄光材の発光や投射光に対する反射光により簡単に認識できる。さらに該ホースを消火栓から引き出して使用する際においても、ホースの一部が全長にわたって発光することや投射光に対して反射することにより、該ホースの位置、ホースラインの確認が容易であり、また消火栓付近への帰還路(退路)の認識も容易にできる。
【0022】
したがって、消火活動の開始や火災現場からの退却等を、より迅速にかつ的確に行うことを可能にし、ひいては消火活動をする者の安全確保につながる。
【0023】
特に、消火栓設備の蓋部(消火栓ボックスの蓋部)を透明化することは、緊急時以外などでも、内部のある本発明にかかる保形ホースが観る者に常時視認されることで、消火栓設備の前に物を置かないなど、消火栓設備に対する意識の向上を通じて防火意識を高めることにつながるものでもあり有意義である。
【0024】
特に、請求項2〜請求項
8のうちのいずれかにかかる本発明の消火栓用保形ホースによれば、上述した請求項1にかかる本発明の効果をより明確かつより大きく発揮することができる消火栓用保形ホースが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明にかかる反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホースの一実施態様例を示す斜視図である。
【
図2】本発明にかかる反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホースの他の実施態様例を示す斜視図である。
【
図3】本発明にかかる反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホースを消火栓ボックス内に収納した状態を示した斜視図であり、蓋部(前扉)を除いた状態で描いたものである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、更に詳しく本発明の反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホースについて説明する。
【0027】
本発明の反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホース1は、
図1、
図2にその構造の概略を示したように、合成繊維からなる経糸と緯糸が筒状に織成されたジャケット2の内側面に合成樹脂からなる内張層3が設けられ、かつ内径18〜41mmの消火栓用保形ホースであって、経糸の一部として、反射材を糸表面に有する経糸4と蓄光材を糸表面に有する経糸5を用いて織成することにより、前記ジャケット2の表面にホース長さ方向に延在する2本以上の反射材ライン6と2本以上の蓄光材ライン7が形成されてなることを特徴とする。
【0028】
この
図1、
図2では、反射材を糸表面に有する経糸4と蓄光材を糸表面に有する経糸5がそれぞれ3本であるものを示していて、その結果、全表面には3本の反射材ライン6と3本の蓄光材ライン7が形成されているものである。
【0029】
本発明にかかる反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホース1は、
図3に収納時の状態をモデル的に示したように、保形ホース1として、すなわち扁平化されることなく、円筒状形態を維持したまま、リール状もしくはとぐろ状に巻かれて消火栓ボックス10内に収納される。
【0030】
図3において、11は消火栓バルブ、12は放水時の水先となる保形ホースノズルである。13はホース収納支持棒であり、消火活動時には上方に回動されて保形ホース1を引き出すことが可能にされる。また、
図3では、説明の便宜上、通常は存在する消火栓ボックスの蓋部(前扉)を描いておらず、蓋部(前扉)を取り外して状態で内部を描いている。
【0031】
本発明にかかる反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホースは、ジャケット2の表面に、ホース長さ方向に延在する2本以上の蓄光材ライン7を有しており、この蓄光材ライン7を有効に機能させることができるように、消火栓ボックス10内に収納されているときに、常時、該蓄光材ライン7にある程度光が当たるようにして消火栓設備を構成することが重要である。そのためには、従来の消火栓設備では不十分であり、たとえば、
(1)消火栓ボックスの蓋部(前扉)(図示せず)の主要部を透明な材料、例えば、透明な強化ガラスなどで形成し、消火栓ボックス外の光が消火栓ボックス内まで届くように構成して、少なくとも、消火栓ボックス外が明るいときは蓄光材ライン7にも光が当たるように構成する、
あるいは、
(2)消火栓の所在地を示すために常時点灯がされている消火栓表示灯の光を消火栓ボックス内まで届くように構成して、常時、蓄光材ライン7に光が当たるように構成する、
あるいは、
(3)消火栓ボックスの内部に、専用のボックス内部照明灯を常時設置し、該ボックス内部照明灯の光が、常時、蓄光材ライン7に当たるように構成する、
などの手段を一つまたは複数組み合わせて採用することが重要である。
【0032】
また、本発明にかかる反射・蓄光性を有する消火栓用保形ホース1は、ジャケット2の表面にホース長さ方向に延在する2本以上の反射材ライン6を有しており、該保形ホースが光を照射されたとき、その光を反射して該ホースの状態、位置等の情報を、消火活動者等に知らせることができる。
【0033】
本発明の消火栓用保形ホースは、上述のように消火栓設備と組み合わされて構成されることにより、火災発生などの緊急時において、暗闇の中にあっても、透明な前扉を通じてあるいは、前扉を開けることにより、消火栓ボックス内において収納状態にあるホースの所在や収納状態をその蓄光材の発光、および照射光に対する反射光により簡単に認識できる。さらに該ホースを消火栓設備から引き出して使用する際においても、ホースの一部が全長にわたって発光することや照射光に対して反射することにより、該ホースの位置、ホースラインの確認が容易にでき、また、消火栓付近への帰還路(退路)の認識が容易にできる。したがって、消火活動および消火現場からの退却などをより迅速にかつ的確に行うことを可能にし、ひいては消火活動をする者の安全確保につながる。
【0034】
上述したように保形ホースとして断面が円筒状を保ったまま、消火栓ボックス内で蓄光材ライン7が光りの照射を有効に受けるために、蓄光材ラインは1本だけ設けるのでは不十分であり、一方向からの光照射であっても有効な光照射となるようにそれぞれが互いに間隔をおいて配されている2本以上の蓄光材ライン7を設けること、好ましは、3本以上の蓄光材ライン7を設けることが重要である。特に、2本設けるときは、ホース横断面の中心点を中心にして点対称の位置に設けることが重要である。
【0035】
同様の理由により、保形ホースとして断面が円筒状を保ったまま、消火栓ボックス内で、あるいは消火栓ボックス内から引き出された後で、反射材ライン6が光りの照射を有効に受けて反射機能を発揮するために、反射材ライン6は1本だけ設けるのでは不十分であり、一方向からの光照射であっても有効な光反射となるようにそれぞれが互いに間隔をおいて配されている2本以上の反射材ライン6を設けること、好ましは、3本以上の反射材ライン6を設けることが重要である。特に、2本設けるときは、ホース横断面の中心点を中心にして点対称の位置に設けることが重要である。
【0036】
各ラインを2本あるいは3本、さらにはそれよりも本数多く設けるとき、消火栓用保形ホースは、もともと内径18〜41mmと径が小さいものであるため、各ラインは設置される消火栓の状況等に対応して、本発明の効果を、視覚的により大きく発揮できるように、ラインの太さ、ライン間の間隔などを定めるとよい。
【0037】
例えば、各ラインを2本以上設けるときは、以下の(a)または(b)の態様のように構成することが、本発明の効果を確実に得る上で好ましい。
(a)該2本以上形成された各ラインが互いに等間隔で形成されていること、かつ全部で4本以上の反射材ラインと蓄光材ラインとが交互にジャケットの表面に形成されている態様。蓄光材ライン7と反射材ライン6がそれぞれ2本であるときは、それぞれのラインで等間隔で形成することが上述した点対称の位置を形成するために重要なものだからである。この態様では、蓄光材ラインを成す各蓄光材ラインと、反射材ラインを成す各反射材ラインの全4本以上のラインは、必ずしも全部が等間隔でなくてもよく、両ラインが寄り添うような形態の場合でも、目立ちやすく視覚に訴えることができるので好ましい。
(b)該2本以上形成された各ラインの全部で4本以上の反射材ラインと蓄光材ラインが交互に等間隔でジャケットの表面に形成されている態様。蓄光材ライン7と反射材ライン6の全てが同間隔であれば、それぞれのラインで等間隔に形成することが上述した点対称の位置を形成するために重要であり、同時に、蓄光材ラインを成す各蓄光材ラインと、反射材ラインを成す各反射材ラインの全てが等間隔で形成されていると、各ラインが隣接ラインと視覚上の干渉を起こしにくいので好ましい。
【0038】
また、例えば、特に各ラインを3本以上設けるときは、反射材ライン6と蓄光材ライン7がそれぞれ3本以上であって、該3本以上形成された各ラインが互いに等間隔で、かつ全部で6本以上の該反射材ラインと該蓄光材ラインが交互に前記ジャケットの表面に形成されている態様である。この態様において、蓄光材ラインを成す各蓄光材ラインと、反射材ラインを成す各反射材ラインは、それら全6本以上のラインは、必ずしも全部が等間隔でなくてもよく、両ラインが寄り添うような形態の場合でも、目立ちやすく視覚に訴えることができるので好ましい(
図2のものは、この態様の一つの具体例である)。あるいは、それら全6本以上のラインの全部が等間隔で形成されている場合でも、各ラインが隣接ラインと視覚上の干渉を起こしにくいので好ましい(
図1のものは、この態様の一つの具体例である)。
【0039】
このように構成することにより、一方向から光が当たるときでも、少なくとも反射材ライン6と蓄光材ライン7の各1本には光が照射されることになり、本発明の上述した効果を良好に発揮することができる。
【0040】
あるいは、他の好ましい一態様は、
図2に各3本での例を示しているが、反射材ラインと蓄光材ラインがそれぞれ3本以上であり、それらの合計6本以上のラインが反射材ラインと蓄光材ラインの1本ずつが比較的狭い間隔で2本一組をなして並列して配され、その2本一組で並列して形成されたラインの3組以上が比較的幅の広い等間隔で配され、かつ前記反射材ラインと前記蓄光材ラインが交互に前記ジャケットの表面に形成されていることである。このように構成することにより、一方向から光が当たるときでも、少なくとも反射材ライン6と蓄光材ライン7の各1本には光が照射されることになり、2本のラインが比較的狭い間隔で並列して存在しているので、視認効果が向上し、本発明の上述した効果を発揮することが可能になる。上記の比較的狭い間隔とは、総本数にもよるが、ラインの縁と縁の距離(間隔)で好ましくは5mm〜12mm程度である。
【0041】
本発明において、最も好ましい具体的構成としては、反射材ラインと蓄光材ラインがそれぞれ3本であり、それらの合計6本のラインが等間隔でかつ交互にジャケットの表面に形成されていることである(
図1の態様)。本発明の効果、生産性、コスト面などでバランスが良く優れているからである。
【0042】
あるいは、他の最も好ましい具体的構成としては、反射材ラインと蓄光材ラインがそれぞれ3本であり、それらの合計6本のラインが、反射材ラインと蓄光材ラインの1本ずつが比較的狭い間隔で2本一組をなして並列して配され、その2本一組で並列して形成されたラインの3組が比較的幅の広い等間隔で前記ジャケットの表面に形成されていることである(
図2の態様)。本発明の効果に関係する視認性の良さ、生産性、コスト面などでバランスが良く優れている。上記の比較的狭い間隔とは、ラインの縁と縁の距離(間隔)で、好ましくは5mm〜12mm程度である。
【0043】
反射材ライン6と蓄光材ライン7は、特に限定されるものではないが、それぞれ幅2.5mm以上20mm以下であることが良好な視認性を発揮する上で好ましく、コストと視認性のバランスの点で、3mm以上5.5mm以下とするのが最も好ましい。
【0044】
ただし、反射材ライン6と蓄光材ライン7の各幅の好ましい範囲は、それぞれのラインが設けられる本数にも対応して変わってくるものであり、反射材ラインと蓄光材ラインが、それぞれ2本以上であるときは、各ラインの幅は5mm以上20mm以下であることが好ましい。特に、2本の場合で、点対称的にそれら各ラインのラインが存在する態様のときはその真横の一方向から光照射をしたときなどでは、ラインの幅が小さい場合には、光照射の効果が高い効果のもとで得られないケースも考えられ、各ラインの幅は5mm以上20mm以下と比較的大きい場合に大きな効果が得られるからである。
【0045】
あるいは、前記反射材ラインと蓄光材ラインが、それぞれ3本以上であるときは、各ラインの幅が2.5mm以上6.5mm以下であることが最も好ましい。3本以上の場合には、一方向からの照射であっても、必ずライン1本は高い光照射効果が得られるので、幅は小さめにしてもよいと考えられるからである。
【0046】
ホースの内径(d)は、消火栓設備として定められている範囲もあり、本発明では18mm以上41mm以下のもので構成することが良好な効果が得られる点で好ましい。
【0047】
ジャケットの編成に使用される経糸(ジャケットの地部をなす経糸)としては、合成繊維からなる紡績糸あるいはマルチフィラメント糸を用いることが、強度、寸法安定性、生産性など総合的に優れていることから重要である。例えば、ポリエステル紡績糸、ポリエステルマルチフィラメント糸である。
【0048】
同じく、緯糸は、円筒状を維持し、保形性能を保つために太めの合成繊維モノフィラメント糸を使用することが好ましく、直径で0.8〜1.3mm程度のナイロンモノフィラメント糸、あるいはポリエステルモノフィラメント糸などが好適に使用できる。
【0049】
反射材を糸表面に有する経糸4は、少なくとも樹脂フィルムの表面に反射材の層が設けられたものを含んでいることが好ましい。
【0050】
例えば、反射材としてのガラスビーズを、ウレタン樹脂をバインダーにしてポリエステルフィルムに塗布した反射材(ガラスビーズ等)含有樹脂ポリエステルコートフィルム、あるいは、ポリエステルフィルムの表面に反射材たる金属(例えば、アルミニウムなど)を蒸着した金属被覆ポリエステルフィルムを、1mm幅などにスリットした所謂スリットヤーンを複数本撚り合わせて、さらにその撚り合わせ糸とポリエステル紡績糸の適宜本数を撚り合わせて、該撚り合わせ糸を1本の経糸として用いることなどがホース全体の強度等の機械的特性を落とすことがほとんどなく好ましい。そうした構造の糸の場合、反射材としての、ガラスビーズあるいは金属は撚り合わせ状態に応じて、経糸の表面の一部にほぼ連続的に露出している。
【0051】
蓄光材を糸表面に有する経糸は、たとえば、原料段階で、蓄光材をポリエステルに練り込んで溶融紡糸したポリエステル繊維を短繊維化した蓄光材含有ポリエステル原綿を使用して紡績糸を作り、さらに、その蓄光材含有紡績糸とポリエステル紡績糸の適宜本数を撚り合わせて、1本の経糸として用いることなどがホース全体の強度等の機械的特性を落とすことがほとんどなく好ましい。そうした構造の糸の場合、蓄光材は撚り合わせ状態に応じて、経糸の表面にほぼ連続的に該経糸の一部として露出している。
【0052】
ジャケット2の内側面に設けられる合成樹脂からなる内張層は、従来から用いられているウレタン系樹脂あるいは塩化ビニール系樹脂製などの樹脂チューブを用いて、ジャケット内周面に内貼りして設ければよい。
【実施例】
【0053】
以下、実施例等に基づいて、具体的に本発明の消火栓用保形ホースについて説明する。
【0054】
実施例1
ジャケットを構成する経糸として、以下の(1)〜(3)のものを準備した。
(1)経糸(地を構成する経糸):ポリエステル紡績糸20S(綿番手)を6本撚り合わせた合撚糸。
(2)蓄光材を糸表面に有する経糸:蓄光材を練り込んだポリエステル原綿で製造した蓄光材含有ポリエステル紡績糸20S(綿番手)1本と、通常の(上記(1)の)ポリエステル紡績糸20S(綿番手)5本を用いて、計6本撚り合わせた合撚糸。
(3)反射材を糸表面に有する経糸:反射材(ガラスビーズを、バインダー樹脂であるウレタン樹脂に分散含有させたもの)を表面にコーティングしたポリエステルフィルムを幅約1mmにスリットしたスリットヤーンに撚りをかけて糸状にしたものを2本と、通常の(上記(1)の)ポリエステル紡績糸20S(綿番手)4本を用いて、計6本撚り合わせた合撚糸。
【0055】
緯糸としては、直径約1.2mm、15400デシテックスの円形断面形態のポリエステルモノフィラメント糸を準備した。
【0056】
経糸として、上記(1)〜(3)の糸を使用して、(2)による蓄光材ラインの幅、(3)による反射材ラインの幅が、それぞれ4.0mm〜5.0mmであるようにして、それぞれのラインが円周方向に中心角で約60度ずつずれて計6本存在する、
図1に示した態様の保形ホースのジャケットを製織し、更に、該ジャケットの内側にポリウレタン樹脂チューブを貼り付けて本発明にかかる消火栓用保形ホースを製造した。
【0057】
このものは、使用圧1.0MPa、内径26.5mmの消火栓用保形ホースである。
【0058】
この消火栓用保形ホースを、前扉の主要部の約80%を透明強化ガラスで形成した消火栓ボックス内に収納した。この消火栓ボックスは、蛍光灯により明るく照明された室内に設置されたものであり、該消火栓用保形ホースを
図3に示したようにリール状に巻いた状態で収納するものである。
【0059】
その収納状態で3時間放置した後に、蛍光灯照明を消したところ、該保形ホースの蓄光性経糸を織り込んだ蓄光材ライン部分が発光し、消火栓ボックス内での該保形ホースの存在を容易に視認することができた。さらに、その蛍光灯照明を消した状態で、該保形ホースを消火栓ボックスから引き出したところ、該ホースの長手方向に幅約4mmの蓄光発光箇所が発生し、ホースの引出し状態、消火栓の位置・バルフとの接合状態を容易に確認することができた。
【0060】
さらに、その暗い状態で、懐中電灯の光を該保形ホースに当てたところ、光を明瞭に反射する筋部が現出し、ホースの存在、全体の状況などを容易に確認することができた。
【符号の説明】
【0061】
1:保形ホース
2:ジャケット
3:内張層
4:反射材を糸表面に有する経糸
5:蓄光材を糸表面に有する経糸
6:反射材ライン
7:蓄光材ライン
10:消火栓ボックス
11:消火栓バルブ
12:保形ホースノズル
13:ホース収納支持棒