特許第6244181号(P6244181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244181
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】鋳造設備
(51)【国際特許分類】
   B22D 47/02 20060101AFI20171127BHJP
   B22C 19/04 20060101ALI20171127BHJP
   B22D 39/04 20060101ALN20171127BHJP
   B22C 11/02 20060101ALN20171127BHJP
   B22C 9/10 20060101ALN20171127BHJP
【FI】
   B22D47/02
   B22C19/04
   !B22D39/04
   !B22C11/02
   !B22C9/10 U
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-236299(P2013-236299)
(22)【出願日】2013年11月14日
(65)【公開番号】特開2015-93323(P2015-93323A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古川 輝
(72)【発明者】
【氏名】降籏 真治
【審査官】 國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/030618(WO,A1)
【文献】 特開2012−166271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 33/00−47/02
B22C 5/00−9/30
B22C 11/00−25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳型を造型する造型ラインと、前記鋳型に流し込む溶湯を製造する溶解ラインと、前記鋳型に前記溶湯を注湯する注湯ラインとを備えている鋳造設備であって、
前記造型ラインに設置され、前記鋳型が良品、又は不良品であるかを入力する入力装置と、
前記注湯ラインに設置され、前記入力装置への入力に基づいて、良品と判断された前記鋳型のみに自動的に溶湯を注湯する自動注湯装置と、
前記注湯ラインに設置され、前記入力装置への入力に基づいて、前記注湯ライン上の前記鋳型が良品、又は不良品であるかを表示する表示装置と
を備えており、
前記溶解ラインは溶解炉で1回に溶解した溶湯を複数回に分けて取鍋に出湯する出湯工程を有し、
前記表示装置は前記取鍋内の溶湯が前記溶解炉の1回に溶解した溶湯の何回目に分けたものであるかを表示することを特徴とする鋳造設備。
【請求項2】
前記表示装置は前記注湯ラインに前記鋳型が配置された順にその鋳型が良品、又は不良品であるかを表示することを特徴とする請求項1記載の鋳造設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鋳造設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の鋳造設備を開示している。この鋳造設備は、鋳型を造型する造型ラインと、鋳型に流し込む溶湯を製造する溶解ラインと、鋳型に溶湯を注湯する注湯ラインとを備えている。溶解ラインは、所要量の合金成分材と溶解炉で溶解した溶湯とを処理取鍋に投入して溶湯の成分を調整する工程と、処理取鍋の溶湯を注湯取鍋に移し替える工程とを有している。注湯ラインは注湯取鍋内の溶湯の成分が注湯すべき溶湯の成分であるか等を確認した後に注湯取鍋から鋳型に溶湯を注湯する自動注湯装置が設けられている。このため、この鋳造設備は鋳型の造型速度に対応することができるとともに、鋳型に応じた適切な溶湯を注湯することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−166271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の鋳造設備は造型ラインにおいて鋳型の不良品が生じることを想定したものではない。不良品の鋳型に溶湯を注湯して鋳造すれば製品不良になる。また、不良品の鋳型に溶湯を注湯すると溶湯が漏れ出すおそれがある。仮に、鋳型の良品、又は不良品情報を注湯装置に与えて、鋳型が不良品であった場合に溶湯を注湯しないように注湯装置を自動化すると、注湯ラインを担当する作業者は、鋳型が不良品であるために溶湯を注湯しないのか、自動注湯装置の不具合で鋳型に溶湯を注湯しないのかを判断することができない。この場合、作業者は、自動注湯装置を手動に切り替えて、不良品の鋳型に溶湯を注湯してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、鋳造工程におけるトラブル及び製品不良の発生を防止することができる鋳造設備を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の鋳造設備は、鋳型を造型する造型ラインと、前記鋳型に流し込む溶湯を製造する溶解ラインと、前記鋳型に前記溶湯を注湯する注湯ラインとを備えている鋳造設備であって、
前記造型ラインに設置され、前記鋳型が良品、又は不良品であるかを入力する入力装置と、
前記注湯ラインに設置され、前記入力装置への入力に基づいて、良品と判断された前記鋳型のみに自動的に溶湯を注湯する自動注湯装置と、
前記注湯ラインに設置され、前記入力装置への入力に基づいて、前記注湯ライン上の前記鋳型が良品、又は不良品であるかを表示する表示装置と
を備えており、
前記溶解ラインは溶解炉で1回に溶解した溶湯を複数回に分けて取鍋に出湯する出湯工程を有し、
前記表示装置は前記取鍋内の溶湯が前記溶解炉の1回に溶解した溶湯の何回目に分けたものであるかを表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この鋳造設備は、造型ラインに設置された入力装置に鋳型が良品、又は不良品であるかを入力し、その入力に基づいて注湯ラインに設置された自動注湯装置が良品と判断された鋳型のみに自動的に溶湯を注湯する。また、入力装置への入力に基づいて注湯ラインに設置された表示装置に注湯ライン上の鋳型が良品、又は不良品であるかが表示される。このため、自動注湯装置が不良品の鋳型に溶湯を注湯しなかった場合、注湯ラインを担当する作業者は、鋳型が不良品であるために自動注湯装置が溶湯を注湯しないことを認識することができる。これによって、作業者が自動注湯装置を手動に切り替えて不良品の鋳型に溶湯を注湯することも防止することができる。
【0008】
したがって、本発明の鋳造設備は鋳造工程におけるトラブル及び製品不良の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例の鋳造設備の全体を示すブロック図である。
図2】実施例の鋳造設備の造型ライン、溶解ライン、及び注湯ラインを示すブロック図である。
図3】溶湯から注湯までの流れを示す説明図である。
図4】生産計画データである。
図5】鋳型の良品、又は不良品上方を入力する入力画面である。
図6】鋳型情報を表示した溶解ラインに設置されたタッチパネルの表示画面である。
図7】鋳型情報を表示した注湯ラインに設置されたタッチパネルの表示画面である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の鋳造設備を具体化した実施例について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
<実施例>
実施例の鋳造設備は、図1に示すように、造型ライン10、溶解ライン20、注湯ライン30、解枠ライン40、仕上げ・検査ライン50、加工ライン60を備えている。また、この鋳造設備は、図2に示すように、生産計画を登録する管理パソコン70と、この管理パソコン70に接続されたデータベースサーバ71と、データベースサーバ71に基づいて各ラインを構成する各種装置を制御する設備制御装置80と、各ラインに設置した複数のタッチパネル11、12、21、32とを備えている。各タッチパネル11、12、21、32は、表示装置であり、かつ操作装置である。
【0012】
造型ライン10は、混練工程、砂入れ工程、硬化工程、抜型工程、中子収め工程、及び合体(枠合わせ)工程をこの順に実行し、砂型からなる鋳型を造型する。これら工程は、後述する生産計画に基づき、設備制御装置80が造型ライン10を構成する各種装置の稼働を自動制御することによって、実行される。
【0013】
混練工程では樹脂及び硬化剤を添加した鋳物砂を混練する。砂入れ工程では同一形状の2個の鋳造模型を並列に配置した1個の鋳枠内に混練した鋳物砂を投入する。硬化工程では鋳枠内に投入した鋳物砂を硬化させる。抜型工程では鋳造模型を鋳枠から抜き取る。これら工程によって、上型及び下型が別々に形成される。上型及び下型は夫々2個ずつ同一形状のキャビティが形成される。また、上型はキャビティに連通した湯口及びガス抜き孔が貫設されている。中子収め工程では下型に形成された2個のキャビティの夫々に同一形状の中子を1個ずつ配置する。中子は中子焼成工程及び中子組立工程を経て製造される。合体工程では中子を配置した下型の上に上型を組み合わせる。このようにして、キャビティ内に中子を配置した鋳型が完成する。この鋳型は1個で同形状の2個の鋳造品を鋳造することができる。
【0014】
抜き型工程において、組み合わされる上型及び下型の1組ごとに造型シリアル番号を自動的に付与する。また、中子収め工程において、鋳造される鋳造製品毎に対応する製品シリアル番号を付与する。造型シリアル番号及び製品シリアル番号はデータベースサーバ71に登録して管理される。
【0015】
溶解ライン20では、鋳型のキャビティ内に流し込む溶湯を製造する。溶解ライン20は、計量工程、溶解工程、処理及び出湯工程をこの順に実行する。これら工程も後述する生産計画に基づき、設備制御装置80が溶解ライン20を構成する各種装置の稼働を自動制御することによって、実行される。計量工程では、溶解炉(電気炉)で一度に3トン(t)の溶湯を溶解することができるように各種鋳造用金属や添加剤等を自動計量する。溶解工程では溶解炉で投入された各種鋳造用金属等を溶解する。処理及び出湯工程では、図3に示すように、溶解炉(電気炉)内の3tの溶湯を3回に分けて処理取鍋に1tずつ出湯し、後述する生産計画に応じて合金成分材等を加えて成分を調整した後、処理取鍋の溶湯を注湯取鍋に移し替える。
【0016】
注湯ライン30は、造型ライン10に連続して設けられており、図2に示すように、立体倉庫及び自動注湯装置31を有している。立体倉庫は後述する生産計画に基づいて造型ライン10で造型された特定の鋳型を一時的に格納する。自動注湯装置31は、後述する生産計画及び造型ライン10のタッチパネルで入力された情報(鋳型の良品、又は不良品情報)に基づき、自動的に良品と判断された鋳型のみに注湯取鍋から溶湯を流し込む。つまり、注湯取鍋から鋳型の湯口に溶湯を流し込む。注湯ライン30では鋳型に流し込まれた溶湯を鋳型内で徐々に冷却(徐冷)して固化させる徐冷工程を有している。これによって、鋳型内で鋳造品が成形される。
【0017】
解枠ライン40では、解枠工程、枠外徐冷工程、外部ショット工程、及び一次検査工程をこの順に実行し、鋳型から鋳造品を取り出す。解枠工程では鋳型を崩して鋳造品を取り出す。枠外徐冷工程では鋳型から取り出した鋳造品を徐々に冷却する。外部ショット工程では鋳造品の外表面に付着した鋳物砂をショットブラストによって除去する。一次検査工程では作業員の目視によって鋳造品の外表面の良否を検査する。
【0018】
仕上げ・検査ライン50では、バリンダ工程、内部ショット工程、二次検査工程、及びフライス工程をこの順に実行する。バリンダ工程では鋳造品に形成されたバリを除去する。内部ショット工程では鋳造品の内表面に付着した鋳物砂13をショットブラストによって除去する。二次検査工程では作業員の目視によって鋳造品の良否を最終検査する。フライス工程では鋳造品の所定部位を切削する。加工ライン60では、鋳造品を加工して完成させ、出荷する。
【0019】
次に、このような構成を有する鋳造設備の造型ライン10、溶解ライン20、及び注湯ライン30の生産計画に基づく鋳造品の製造について説明する。先ず、造型計画及び溶解計画を合わせた生産計画を作成する。この生産計画は、図4に示すように、表形式のデータ(以下、生産計画データという。)にされる。この生産計画データにおいて、造型順序番号は造型順序を示している。品番は鋳造品の品番を示している。溶解順序番号は溶解順序を示している。チャージNo.は3tの溶解炉(電気炉)で製造する溶湯の単位を示している。つまり、チャージNo.に示された数字は、生産当日において溶解炉で何回目に溶解する溶湯であるかを示している。処理No.は溶解炉から1tずつ出湯する単位を示している。つまり、処理No.に示される数字は溶解炉で1回に溶解した溶湯に対して何回目に出湯したものであるかを示している。ストックフラグは造型ライン10で造型された鋳型を立体倉庫に一時的に格納するかどうかを示すフラグであって、1が格納することを示している。例えば、この生産計画データの一段目に記載されたデータは、造型計画として、造型順序が1番目の鋳型は、品番:DUMMY−1の鋳造品を鋳造するものであって、一時的に立体倉庫に格納されることを示している。また、この生産計画データの一段目に記載されたデータは、溶解計画として、この鋳型に注湯される溶湯は、14番目に出湯されるものであり、溶解炉で2回目に溶解され、そこから1番目に出湯されるものであることを示している。
【0020】
次に、この生産計画データを、図2に示すように、管理パソコン70を使用して、データベースサーバ71に保存する。造型ライン10に設置されたタッチパネル11、及び溶解ライン20に設置したタッチパネル21からデータベースサーバ71にアクセスして、生産当日の生産計画データを取得する。取得した生産計画データをタッチパネル11、21に表示させることによって、各ラインの作業者への生産指示とする。
【0021】
そして、生産当日の生産計画データを設備制御装置80に転送し、各ラインを構成する各種装置の稼働を生産計画データに基づき自動制御する。この際、造型ライン10の中子収め工程において、作業者が鋳型(上型、下型、及び中子)の合否(良品か不良品か)を判定し、タッチパネル12に表示された「良品」又は「不良」の操作ボタン(図5参照)を操作して判定結果を入力する。入力された判定結果は設備制御装置80に転送される。また、入力された判定結果は、データベースサーバ71に登録され、造型シリアル番号に関連付けされる。また、判定結果のタッチパネル12への入力が造型ライン10を構成する各種装置の稼働信号になっている。このため、タッチパネル12で判定結果を入力するまでは、各種装置が稼働せず、各工程は停止した状態を維持する。
【0022】
鋳型が良品であるか不良品であるかの判定結果は、溶解ライン20及び注湯ライン30に設置したタッチパネル21、32で確認することができる。溶解ライン20に設置されたタッチパネル21は、図6に示すように、作業者が表示ボタンを押すと、その時に注湯ライン30に並んでいる鋳型(最大10個)に関する情報が表示される。このタッチパネル21に表示される情報は、チャージNo.(3tの溶解炉で製造する溶湯の単位)、処理No.(溶解炉から1tずつ出湯する単位)、品番、溶湯の材質、方案重量(各鋳型へ注湯する溶湯の重量)、及び、鋳型の良品・不良品を示している。これら各情報が、タッチパネル21の表示画面上に横一列に並んで表示され、注湯ライン30に並んでいる鋳型の順に上から順に下方に並んで表示されている。
【0023】
これら情報から、生産当日の溶解炉の1回目の溶湯であって、1回目に処理取鍋に出湯され、注湯取鍋に移し替えられた1tの溶湯は、注湯ライン30に並んでいる鋳型の1番目から4番目の鋳型に各方案重量ずつ注湯されることが判る。同様に、生産当日の溶解炉の1回目の溶湯であって、2回目に処理取鍋に出湯され、注湯取鍋に移し替えられた1tの溶湯は、注湯ライン30に並んでいる鋳型の5番目から8番目の鋳型に各方案重量ずつ注湯されることが判る。さらに、生産当日の溶解炉の1回目の溶湯であって、3回目に処理取鍋に出湯され、注湯取鍋に移し替えられた1tの溶湯は、注湯ライン30に並んでいる鋳型の9番目及び10番目の鋳型に各方案重量ずつ注湯されることが判る。このように溶解炉で溶解された溶湯が各鋳型に注湯されるまでの流れを図3に示す。注湯取鍋に移し替えられた1tの溶湯で注湯することができる鋳型の数は、それら鋳型の方案重量の合計が1t未満であって、注湯取鍋に残る溶湯をできるだけ少なくなるように生産計画で決定されている。このため、不良品の鋳型があっても、その鋳型を含んだ状態で、溶解炉から処理取鍋に1tの溶湯を出湯し、処理取鍋の溶湯を注湯取鍋に移し替える情報が表示されている。よって、不良品の鋳型がある場合は、注湯取鍋の溶湯が残ってしまう。注湯取鍋に残った溶湯は排出される。
【0024】
作業者は溶解ライン20に設置されたタッチパネル21に表示された情報を見て出湯タイミングを決定する。出湯タイミングが早いと注湯までの間に溶湯の温度が下がり溶湯が不良になってしまう。このため、作業者がこの情報を見ることによって、タイミングよく出湯することができる。
【0025】
自動注湯装置31は、生産計画及び造型ライン10のタッチパネル12で入力された情報(鋳型の良品、又は不良品情報)に基づき、自動的に良品と判断された鋳型のみに溶解ライン20で製造された溶湯を流し込む。つまり、注湯取鍋から鋳型の湯口に溶湯を流し込む。注湯ライン30では鋳型に流し込まれた溶湯を鋳型内で徐々に冷却(徐冷)して固化させる徐冷工程を有している。これによって、鋳型内で鋳造品が成形される。
【0026】
注湯ライン30に設置されたタッチパネル32は、図7に示すように、注湯ライン30に流れてきた鋳型の情報が累積で表示される。このタッチパネル32に表示される情報は、CH(前述したチャージNo.)、処理(前述した処理No.)、品番、製品シリアル1(1個の鋳型で鋳造される一方の鋳造品に付与された製品シリアル番号)、製品シリアル2(1個の鋳型で鋳造される他方の鋳造品に付与された製品シリアル番号)、鋳型の良品又は不良品、及び鋳型に関して気付いた情報が入力されているか否かを示している。これら各情報が、タッチパネル32の表示画面上に横一列に並んで表示され、注湯ライン30に並んでいる鋳型の順に上から順に下方に並んで表示されている。
【0027】
タッチパネル32は、これら情報を1分毎に取得し、更新があった場合に表示を更新していく。作業者はこれら情報から不良品である鋳型を認識することができるため、不良品の鋳型に溶湯を注湯することを防止することができる。また、注湯取鍋1回分で何個の鋳型に注湯するかを認識することができる。また、注湯ライン30に配置された鋳型の順にその鋳型が良品、又は不良品であるかがタッチパネル32の表示画面上に表示されているため、作業者が不良品の鋳型を容易に把握することができる。溶湯を注湯した後に各鋳型に対して気付いた情報を入力する。
【0028】
このように、この鋳造装置は、造型ライン10に設置された入力装置であるタッチパネル12に鋳型が良品、又は不良品であるかを入力し、その入力に基づいて注湯ライン30に設置された自動注湯装置31が良品と判断された鋳型のみに自動的に注湯する。また、タッチパネル12への入力に基づいて注湯ライン30に設置された表示装置であるタッチパネル32に注湯ライン30上の鋳型が良品、又は不良品であるかが表示される。このため、自動注湯装置31が不良品の鋳型に溶湯を注湯することはなく、注湯ライン30を担当する作業者は、鋳型が不良品であるために自動注湯装置31が溶湯を注湯しないことを認識することができる。これによって、作業者が自動注湯装置31を手動に切り替えて不良品の鋳型に溶湯を注湯することも防止することができる。
【0029】
したがって、実施例の鋳造設備は鋳造工程におけるトラブル及び製品不良の発生を防止することができる。
【0030】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例では、溶解炉で3tの溶湯を製造し、1tずつ処理取鍋に出湯し、注湯取鍋に移し替えたが、溶解炉、処置取鍋、及び注湯取鍋の容量はこれに限らない。
(2)実施例では、不良品の鋳型がある場合も溶解炉から1tの溶湯を処理取鍋に注湯し、注湯取鍋に移し替えたが、不良品の鋳型がある場合、その分の溶湯を溶解炉から処理取鍋へ出湯しなくてもよい。この場合、溶解炉に残った溶湯は次に溶解炉で溶解する溶湯分に加えるとよい(残湯溶解)。
(3)実施例では、鋳型に中子が収められていたが、鋳型に中子が収められていなくてもよい。
(4)実施例では実態倉庫を有していたが、立体倉庫を有していなくてもよい。
(5)タッチパネルの表示形態は実施例に記載された形態に限らない。
【符号の説明】
【0031】
10…造型ライン
12…タッチパネル(入力装置)
20…溶解ライン
30…注湯ライン
31…自動注湯装置
32…タッチパネル(表示装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7