特許第6244185号(P6244185)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244185
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】ネットワークシステムおよび中継装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/437 20060101AFI20171127BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   H04L12/437 P
   H04L12/28 200Z
【請求項の数】11
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2013-243456(P2013-243456)
(22)【出願日】2013年11月26日
(65)【公開番号】特開2015-103978(P2015-103978A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】丸山 龍也
(72)【発明者】
【氏名】山田 勉
(72)【発明者】
【氏名】小松 親司
(72)【発明者】
【氏名】城戸 三安
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌司
【審査官】 速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−010494(JP,A)
【文献】 特開2013−207447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/437
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケットの送受信を行う複数の通信装置と、
複数の通信ポートを備え、前記通信装置が送信したパケットを他の通信装置へ転送する中継装置と、
前記通信装置は前記中継装置を複数用いて、A系とB系の通信路と、を有する冗長化ネットワークに接続し、
前記複数の中継装置には、前記冗長化ネットワークの前記A系通信路からパケットを受信するA系通信ポートを備えた第一の中継装置と、前記B系通信路からパケットを受信するB系通信ポートを備えた第二の中継装置と、を含み、
前記第一の中継装置の非A系通信ポートと、前記第二の中継装置の非B系通信ポートとは、前記通信装置を介してそれぞれ接続されており、
前記第一の中継装置は、前記A系通信ポートからパケットを受信すると、複数の前記非A系通信ポートから転送先の通信ポートを所定の規則に従って選択し、当該選択した通信ポートを用いて前記通信装置へ前記パケットを転送し、前記第の中継装置は、前記B系通信ポートからパケットを受信すると、複数の前記非B系通信ポートから転送先の通信ポートを所定の規則に従って選択し、当該選択した通信ポートを用いて前記通信装置へ前記パケットを転送するネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1において、
複数の前記通信装置は、互いにパケットを送受信して対象設備を監視又は制御する通信装置のグループごとに複数の制御システムに分けられており、
前記第一および前記第二の中継装置間に接続される複数の前記通信装置には、異なる制御システムに属する通信装置が含まれることを特徴とするネットワークシステム。
【請求項3】
請求項2において、
前記通信装置が送受信するパケットは、いずれの前記制御システムで用いるパケットであるかを示すタグ情報を含んでおり、
前記所定の規則とは、前記タグ情報に応じてパケットの転送先の通信ポートを定めた規則であることを特徴とするネットワークシステム。
【請求項4】
請求項2において、
前記第一および前記第二の中継装置間に接続される前記通信装置には、自装置が属する制御システムの情報と、自装置がいずれの前記中継装置間に接続されるかによって定められたグループ位置情報と、が記憶され、
当該通信装置は、前記第一の中継装置からパケットを受信すると、当該パケットの宛先る前記制御システムの情報及び前記グループ位置情報と、を比較して当該パケットの前記第二の中継装置へ転送を制御することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項5】
請求項において、
前記第一および前記第二の中継装置間に接続される前記通信装置は、
パケットの宛先の通信装置が属する前記制御システムの情報が、自装置の前記制御システムの情報と等しく、かつ、パケットの宛先の通信装置が属する前記グループ位置情報が、自装置の前記グループ位置情報と等しい場合には当該パケットを受信し、
パケットの宛先の通信装置が属する前記制御システムの情報が、自装置の前記制御システムの情報と等しく、かつ、パケットの宛先の通信装置が属する前記グループ位置情報が、自装置の前記グループ位置情報と異なる場合には当該パケットを前記第二の中継装置へ転送することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項6】
請求項1において、
前記通信装置は、他の通信装置から前記ネットワークまたは前記他の通信装置の状態情報を受信し、受信した状態情報に基づいて前記所定の規則を変更することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項7】
複数の拠点に配置され、互いにパケットを送受信して対象設備を監視又は制御する装置ごとに所定の制御システムにグループ分けされた複数の通信装置と、
複数の通信ポートを備え、前記通信装置が送信したパケットを他の通信装置へ転送する複数の中継装置と、を備え、
各拠点に配置された複数の通信装置は、2つの前記中継装置の間に並列に接続され、異なる拠点に配置された前記中継装置は、ネットワークによってリング状に接続されるものであって、
少なくとも1つの拠点に配置された複数の通信装置には、異なる制御システムに属する通信装置が含まれるネットワークシステム。
【請求項8】
請求項において、
異なる拠点に配置される前記通信装置または前記中継装置間に、リングを構成する前記ネットワークとは別のネットワークによって通信経路を設けることを特徴とするネットワークシステム。
【請求項9】
請求項において、
前記ネットワークを階層的に構成したネットワークをリング状に接続して構成することを特徴とする前記ネットワークシステム。
【請求項10】
リング状のネットワークのA系回りの方向からパケットを受信する複数のA系通信ポートと、前記A系回りとは反対方向のB系回りの方向からパケットを受信するB系通信ポートと、を含む3以上の通信ポートと、
いずれかの前記通信ポートからパケットを受信すると、当該パケットの転送先の前記通信ポートを選択する通信制御部と、を備え、
複数の前記A系通信ポートには、それぞれパケットの送受信を行う通信装置が接続されており、
前記通信制御部は、前記B系通信ポートからパケットを受信すると、所定の規則に従って複数の前記A系通信ポートから転送先の通信ポートを選択し、当該選択した通信ポートを用いていずれかの前記通信装置へ受信したパケットを転送する中継装置。
【請求項11】
請求項1において、
前記冗長化ネットワークはリング状のネットワークであることを特徴とするネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークシステムおよび中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
制御システムを構成するネットワークは、高信頼化のため、冗長化されることがあり、リングネットワークを用いた冗長化の方式として、IEC62439−3におけるHSR(High availability Seamless Redundancy)、PRP(Parallel Redundancy Protocol)と呼ばれる方式がある。HSR方式を用いた例として非特許文献1では、送信装置はリングネットワークの右回りと左回りそれぞれのポートから同一のフレームを送信し、この同一フレームをリングの右回りと左回りの経路を経由して受信装置に送信することが記載されている。これによって、ネットワーク内の一部に障害が発生しても、受信装置は障害箇所を経由しないルートで欠損なくフレームを受信できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Prof. Dr. Hubert Kirrmann、“ HSR - High Availability Seamless Redundancy”、[online]、[平成25年11月18日検索]、インターネット〈URL:http://lamspeople.epfl.ch/kirrmann/Pubs/IEC_62439/IEC_61439-3/IEC_62439-3.5_HSR_Kirrmann.ppt〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IEC62439−3のHSRでは、常時リングネットワークの双方向の経路を利用するため、通信帯域の利用効率は下がるものの、障害復帰に時間がかからないという利点がある。そのためHSRは、障害の早期普及が求められる産業用の制御システムに適している。
【0005】
ここで、例えば電力系統の保護制御装置のような制御システムにおいては、異なる拠点に存在する保護制御装置によって1つの制御システムを構成することがある。このような制御システムが複数ある場合、それぞれの制御システムごとにリングネットワークを構築すると、ネットワークの構築コストが増大してしまうという課題がある。一方で、複数の制御システムを1つのリングネットワーク上に構築すると、構築コストは抑えられるものの、1つの制御システムのネットワーク障害が他の制御システムの通信へ影響を及ぼす可能性が高くなるという課題がある。
【0006】
本発明は、複数の制御システムに対するネットワークの構築コストを抑えて、ネットワーク障害に対する耐性に優れたネットワークシステム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、パケットの送受信を行う複数の通信装置と、複数の通信ポートを備え、前記通信装置が送信したパケットを他の通信装置へ転送する中継装置と、前記通信装置は前記中継装置を複数用いて、A系とB系の通信路と、を有する冗長化ネットワークに接続し、前記複数の中継装置には、前記冗長化ネットワークの前記A系通信路からパケットを受信するA系通信ポートを備えた第一の中継装置と、前記B系通信路からパケットを受信するB系通信ポートを備えた第二の中継装置と、を含み、前記第一の中継装置の非A系通信ポートと、前記第二の中継装置の非B系通信ポートとは、前記通信装置を介してそれぞれ接続されており、前記第一の中継装置は、前記A系通信ポートからパケットを受信すると、複数の前記非A系通信ポートから転送先の通信ポートを所定の規則に従って選択し、当該選択した通信ポートを用いて前記通信装置へ前記パケットを転送し、前記第の中継装置は、前記B系通信ポートからパケットを受信すると、複数の前記非B系通信ポートから転送先の通信ポートを所定の規則に従って選択し、当該選択した通信ポートを用いて前記通信装置へ前記パケットを転送する構成を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の制御システムに対するネットワークの構築コストを抑えて、ネットワーク障害に対する耐性に優れたネットワークシステム等を提供することができる。これによって、少ない配線で高信頼な制御ネットワークを構築することができる。
【0009】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態を用いたシステム構成図である。
図2】本発明の一実施形態でのハードウェア構成図である。
図3】本発明の一実施形態での機能構成図である。
図4】本発明の一実施形態での機能構成図である。
図5】本発明の一実施形態での通信フレームを示した図である。
図6】本発明の一実施形態における実行手順を示した図である。
図7】本発明の一実施形態における実行手順を示した図である。
図8】本発明の一実施形態におけるネットワーク中継装置の設定を示した図である。
図9】本発明の一実施形態におけるネットワーク中継装置の設定を示した図である。
図10】本発明の一実施形態での機能構成図である。
図11】システム識別子と重要度の対応を示した図である。
図12】本発明の一実施形態におけるネットワーク中継装置の設定を示した図である。
図13】本発明の一実施形態におけるネットワーク中継装置の設定を示した図である。
図14】本発明の一実施形態を用いたシステム構成図である。
図15】本発明の一実施形態を用いたシステム構成図である。
図16】本発明の一実施形態における実行手順を示した図である。
図17】本発明の一実施形態における実行手順を示した図である。
図18】本発明の一実施形態における実行手順を示した図である。
図19】本発明の一実施形態における実行手順を示した図である。
図20】本発明の一実施形態におけるパケットの転送制御を示した図である。
図21】本発明の一実施形態におけるパケットの転送制御を示した図である。
図22】本発明の一実施形態での機能構成図である。
図23】本発明の一実施形態での機能構成図である。
図24】本発明の一実施形態を用いたシステム構成図である。
図25】本発明の一実施形態を用いたシステム構成図である。
図26】本発明の一実施形態を用いたシステム構成図である。
図27】本発明の一実施形態を用いたシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まずは、HSRのリングネットワークの説明と、リングネットワーク内に複数の異なる制御システムを組み込んだ際の課題について図面を用いて説明する。
【0012】
図26は、リング状の同一ネットワーク内に異なる制御システムの通信装置を直列で接続した例である。互いに離れた位置に存在する拠点a,b,c,dにはそれぞれ、通信装置120−1a〜120−3a,通信装置120−1b〜120−3b,通信装置120−1c〜120−3c,通信装置120−1d〜120−3dが設置されており、これらがリング状にネットワーク接続されている。
【0013】
また、通信装置120−1a,120−1b,120−1c,120−1dによって1つの制御システムを構成しており、それぞれが互いに通信データを送受信して、通信装置120に接続される図示しない制御対象の監視制御を行っている。同様に、通信装置120−2a,120−2b,120−2c,120−2dの通信装置120のグループ、通信装置120−3a,120−3b,120−3c,120−3dの通信装置120のグループ、通信装置120−4a,120−4b,120−4c,120−4dの通信装置120のグループがそれぞれ1つの制御システムを構成している。
【0014】
HSRでは、各通信装置120は、リングネットワークの時計回り(B系)、反時計回り(A系)に同一パケットを送信して通信を行う。そのため、常時リングネットワークの双方向の経路を利用するため、ネットワーク内の一部に障害が発生しても、障害箇所を経由しないルートでパケットを送受信することができる。以下、説明の便宜上、リングネットワークの時計回りをB系、反時計回りをA 系として説明する。
【0015】
例えば、通信装置120−1aから通信装置120−1dへパケットを送る場合に、通信装置120−1dと通信装置120−2dの間のネットワークに障害が発生したとする。そうすると、A系回りで送信されたパケットは通信装置120−1dに到達することができない。一方で、通信装置120−1aはB系回りでも同一パケットを送信しているため、B系回りで送信されたパケットは通信装置120−1dに到達することができる。
【0016】
このように、HSRのリングネットワークでは、ネットワーク内の一部に障害が発生しても、障害復帰に時間をかけずに通信を継続できる。
【0017】
一方、図26に示すような複数の制御システムを1つのリングネットワークに集約して構築すると、その分リングネットワークを構成する通信装置120の数も多くなる。そのため、障害が発生する確率も含まれる制御システムの数だけN倍化してしまう。そして、2つ以上の箇所で異常が発生すると、リングネットワークに含まれる制御システム全ての通信が停止してしまうという課題がある。例えば、上記の例でいうと、通信装置120−1dと通信装置120−2dの間のネットワーク障害に加えて、通信装置120−3cが故障してしまった場合には、通信装置120−1aと通信装置120−1dの通信はできなくなってしまう。
次に、通信障害の 波及を抑制するリングネットワークの例を説明する。
【0018】
図27は、単一のネットワーク中継装置121を用いて、各制御システムの通信装置120を接続し、多重化するネットワークシステムの例である。ネットワーク中継装置121a,ネットワーク中継装置121b,ネットワーク中継装置121c,ネットワーク中継装置121dは、それぞれ拠点a,拠点b,拠点c,拠点dに設置される通信装置120スイッチを介して接続し、ネットワーク中継装置121a〜121dを接続してリングネットワークを構成している。
【0019】
このシステムでは、各通信装置120がリングネットワークに伝送されるパケットを中継することがないため、例えば通信装置120―1aが故障しても、他の制御システムは通信を継続できる。
【0020】
一方この方式では、ネットワーク中継装置121が故障すると通信を継続できない可能性がある。すなわち、単一障害によってシステムが停止するという課題がある。
【実施例1】
【0021】
本実施例では、ネットワーク障害に対する耐性低下を抑えつつ、複数の制御システムをリングネットワークに構築するネットワークシステムについて、図面を用いて説明する。
(システム例)
図1は、実施例1におけるネットワークシステムの構成例を示す図である。本実施例におけるネットワークシステムは、各拠点a〜dに配置され、それぞれ図示しない制御装置と接続する複数の通信装置120と、各拠点a〜dに配置される通信装置120を挟んで、各拠点にある通信装置120を並列に接続する複数のネットワーク中継装置121と、ネットワーク中継装置121間、及び、をネットワーク中継装置121と通信装置120間を接続するネットワーク122と、によってリング状のネットワークを構築する。すなわち、拠点aでは、ネットワーク中継装置121aAのB系回り方向に、通信装置120−1a,120−2a,120−3aがそれぞれ並列に接続され、これら通信装置120のB系回り方向にはネットワーク中継装置121aBが接続される。その他の拠点b〜dも同様にネットワーク中継装置121と通信装置120を接続し、各拠点間はネットワーク中継装置同士を接続することでリング状ネットワークを構築する。
【0022】
通信装置120は、IEC62439−3で定義されるHSRノード(DANH:Double attached node implementing HSR)を一例として、本発明の効果を説明する。
【0023】
通信装置120は、HSRに対応した装置であり、他の通信装置120に対して、通信パケットを送受信することにより、制御指令値の伝送、計測値の取得や各種設定を実行する。
【0024】
本実施例では、通信装置120は、電力系統の保護制御装置である場合を例に説明する。保護制御装置は、図示しない電力系統から電流や電圧データを取得して、電力系統の異常を検出し、系統を保護する装置である。また、ある拠点に設置された保護制御装置は、他の拠点に設置された同一システムの保護制御装置からその拠点での電流や電圧のサンプリングデータや、制御指令、状態信号をやりとりする。このとき、同一制御システム内のデータをパケット内に格納してもよい。尚、通信装置120には、通信機能のみを持たせて、それぞれに保護制御装置を接続する構成とすることもできる。
【0025】
また、図1のように拠点aには異なる制御システムに属する通信装置120−1a,120−1b,120−1cが設置される。これらは、同一変電所内に設置される場合もあれば、少し離れたエリア内に設置される場合もある。
【0026】
本実施例では、通信装置120−1a,120−1b,120−1c,120−1dが1つの制御システムを構成しており、それぞれが互いにパケットを送受信して保護制御演算を行っている。同様に、通信装置120−2a,120−2b,120−2c,120−2dの通信装置120のグループ、通信装置120−3a,120−3b,120−3c,120−3dの通信装置120のグループ、通信装置120−4a,120−4b,120−4c,120−4dの通信装置120のグループがそれぞれ1つの制御システムを構成している。
【0027】
各通信装置120は、送信時は、同じ情報をのせたパケットをネットワークのA系回り、B系回り双方に送信する。また、受信時は先に受信したパケットを取り込み、同一のパケットをその後受信した場合には、当該パケットは破棄する。このようにすることで、通信路の多重化を行うとともに、パケットがネットワーク上を回り続けることを防ぐことができる。
【0028】
ネットワーク中継装置121は、ネットワーク122における中継装置であり、通信装置120やネットワーク中継装置121の通信するパケットを経路制御し、転送する。ネットワーク中継装置121として、L2スイッチ、L3スイッチを含むネットワークスイッチ、ブリッジ、ルータ、IEEE 1588のTC(Transparent Clock)、BC(Boundary Clock)、OpenFlowスイッチ等の各種ネットワーク中継装置が例示される。
【0029】
ネットワーク122は、通信装置120、ネットワーク中継装置121を接続するネットワークであり、IEEE 802.3(Ethernet)、IEC61784、IEC61158で定義される制御用ネットワークを含む各種産業用ネットワークを含む。
【0030】
本実施例のような保護制御装置によって組まれた制御システムでは、ネットワーク中継装置121間の距離は、数10キロメートルにも及ぶ。そのため、別々にネットワークシステムを組むとその分、ネットワークの構築コストは跳ね上がってしまう。本実施では、同じ拠点に存在する通信装置120は、2つのネットワーク中継装置121で挟んで並列に接続する。そして、異なる拠点間はネットワーク中継装置同士で接続するため、回線を大幅に削減することができ、ネットワークの構築コストを抑えることができる。また、前述のように本ネットワークシステムでは、各通信装置120はA系回り、B系回りに同一のパケットを送信するため、ネットワークの一部に異常が生じても異常箇所を経由しないルートでパケットを到達することができる。そして、いずれかの通信装置120が故障した場合であっても、別の制御システムに属する通信装置120とは並列に接続されるため、異常が波及することなく、他の制御システムは通信を継続することができる。
【0031】
なお、図1ではネットワーク中継装置121間に3つの通信装置120を接続しているが、異なる数でもよいし、各通信装置120間の通信装置120の数が異なっていてもよい。例えば、ネットワーク中継装置121aとネットワーク中継装置121hの間は、通信装置120が1台、ネットワーク中継装置121bとネットワーク中継装置121cの間が4台であってもよい。
【0032】
(ハード構成)
図2に通信装置120のハードウェア構成を示す。
【0033】
CPU101は、不揮発性記憶媒体109からプログラムをメモリ108に転送して実行する。実行処理プログラムとしては、オペレーティングシステム(以下、OSと称す)や電力系統の保護制御演算を含むOS上で動作するアプリケーションプログラムが例示される。CPU101上で動作するプログラムは、通信制御部111の動作設定や、状態情報を取得する。
【0034】
通信制御部102は、IEC62439−3のHSRの通信機能を提供するICであり、例えばFPGA(field−programmable gate array)によって構成される。
【0035】
PHY103は、制御用ネットワーク122との通信機能を実装した送受信機ICである。PHY103の提供する通信規格としてIEEE 802.3のPHY(物理層:physical layer)チップが例示される。そして、2つのPHY103はそれぞれ別のネットワーク中継装置121に接続される。つまり、通信装置120−1aの場合には、ネットワーク中継装置121aAと121aBである。なお、図2の構成では、PHY103と通信制御部102が接続しているので、IEEE 802.3のMAC(Media Access Control)層の処理は通信制御部102に含まれる。ただし、MAC機能を提供するICを通信制御部102とPHY103間に配置する構成や、MAC機能を提供するICとPHY103を組み合わせた通信用ICと通信制御部102を接続する構成においても、本発明の効果は失われるものではない。なお、PHY103は、通信制御部102に含まれていてもよい。
【0036】
メモリ104は、CPU101が動作するための一時的な記憶領域であり、不揮発性記憶媒体105から転送したOS、アプリケーションプログラム等が格納される。また、図2の構成では、PHY103を2つ示しているが、PHY103の数は、通信制御部102が対応する通信ポート数と同じである。
【0037】
不揮発性記憶媒体105は、情報の記憶媒体で、OS、アプリケーション、デバイスドライバ等や、CPU101を動作させるためのプログラムの保存、プログラムの実行結果の保存に利用される。不揮発性記憶媒体105として、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュメモリが例示される。また、取り外しが容易な外部記憶媒体として、フロッピーディスク(FD)、CD、DVD、ブルーレイ(登録商標)、USBメモリ、コンパクトフラッシュ等の利用が例示される。
【0038】
バス106は、CPU101、通信制御部102、メモリ104、不揮発性記憶媒体105をそれぞれ接続する。バス106としては、PCIバス、ISAバス、PCI Expressバス、システムバス、メモリバス等が例示される。
【0039】
(HSR機能ブロックの構成)
図3に、通信制御部102の機能構成を示す。
【0040】
システム識別子150は、通信装置120が所属する制御システムの識別子であり、ネットワーク構築時に定められる。
【0041】
システム識別子変換部151は、システム識別子150をネットワークプロトコル上での識別子に変換する。これにより、システム識別子150は、数字、文字列といった種類の情報を設定でき、システム識別子変換部151により、後述するVLANのVID、HSRタグのパス識別子(PathId)、プロトコルアドレス(IPアドレス、IEEE 802.3のMACアドレス等)のユニキャストアドレス、マルチキャストアドレス、ブロードキャストアドレスに変換することができる。
【0042】
ネットワーク中継装置設定部152は、システム識別子変換部151が作成したネットワークプロトコル上の識別子を用いて、ネットワーク中継装置の論理ネットワーク構築に関して設定する。
【0043】
システム識別子150、システム識別子変換部151,ネットワーク中継装置設定部152の動作については後述する。
【0044】
送信制御部130は、バス134から通知されたデータ、あるいはパケットを加工し、送信部132a、送信部132bのいずれか、または両方へ送信する。送信部130の加工処理は、データからフレームを生成する処理や、データまたはパケットの複製、所定のタグを追加することや、CRCなどの異常診断データの計算と付加が例示される。
【0045】
送信部130が付加するタグとして、IEC62439−3で定義されるHSRタグ、PRPタグが例示される。
【0046】
受信制御部131は、受信部133a、受信部133bから受信したデータを加工し、所定の規則に従ってバス135、または送信部132a、送信部132bへ転送する。受信制御部131の加工処理としては、パケットに付加されたタグの除去やデータの抽出が例示される。
【0047】
受信制御部131がパケットを転送する規則としては、パケットに付与された宛先アドレス、送信元アドレス、パケット種別、IEEE 802.1Qで定義されるVLANグループ、優先度、シーケンス番号などに基づくことが例示される。アドレス体系としては、IEEE 802.3のMACアドレス、IPアドレスが例示される。例えば、IEC62439−3のHSRでは、受信部133aから受信したパケットの送信元MACアドレスとシーケンス番号で判別されるパケットが最初の受信であれば、送信部132bへ転送し、2回目以降のパケットであれば破棄する。パケットの宛先アドレスがマルチキャスト、またはブロードキャストである場合は、他の通信ポートだけでなく、バス135へ転送する場合もあり得る。
【0048】
受信制御部131は、処理したパケットの情報を一定期間記憶するために情報記憶手段を有し、処理したパケットの情報(例えば、送信元アドレス、シーケンス番号)を記憶する。
【0049】
送信部132は、PHY103と接続して、PHY103に対して、パケット、データを送信する機能部である。PHY103で説明したとおり、送信部132がMAC機能を有することが例示される。
【0050】
受信部133は、PHY103と接続して、PHY103からパケット、データを受信する機能部である。PHY103で説明したとおり、受信部133がMAC機能を有することが例示される。
【0051】
バス134は、バス106に接続し、バス106からデータを受信する。バス135は、バス106に接続し、バス106へデータを転送する。バス134,バス135を分離して記載しているが、これは論理的なデータの流れを示すためであって、物理的にバス106と同じである。送信部130、受信部131がバス106への接続機能を提供することが例示される。
【0052】
MUX136(マルチプレクサ)は、複数のデータ入力から、1つのデータ出力を生成する機能であって、複数入力から1入力を選択してもよいし、結合、あるいは多重化してもよい。
【0053】
図4は、ネットワーク中継装置121の構成を示した図である。図2に示した通信装置120と同様の機能を有する構成については同じ符号を記している。通信装置120と異なる点は、通信ポートを4つ備える点と、通信制御部180である。
【0054】
通信制御部180は、ネットワーク中継装置121の転送機能を有する。すなわち予め定められた転送ルールにしたがって、いずれかの通信ポートから入力されたパケットを他の通信ポートへ転送する。そこで、HSRの特徴にしたがったパケット転送ルールを定義する。詳細は、後述する。
【0055】
次に、ネットワーク122に伝送されるHSRフレームについて説明する。
【0056】
図5は、HSRの通信フレームを示す図である。HSRの通信フレームは、先頭を表す「preamble」と、パケットの宛先を表す「destination」と、パケットの送り元を表す「source」とを含む。また、HSRタグ260には、HSRのイーサタイプを表す「HSR ET」261と、パケットがA系回りか、B系回りかを表す「Path Id」262と、データサイズを表す「LSDU size」263と、シーケンス番号である「SeqNr」264とを含む。また、カプセル化したイーサタイプを表す「LT」と、送信するデータである「payload」と、パケットのエラーチェックを行うチェックサムである「FCS」も同様に含んで構成される。また、後述するVLANタグを用いる場合には、これに加えてフレームのVLANタグの情報を付加する。
【0057】
このフレームは、データの送信元である通信装置120の通信制御部102によって作成される。
【0058】
(動作手順)
次に、通信装置120−1aが通信装置120−1cにパケットを送信する場合の動作の流れについて説明する。
【0059】
図6に、通信装置120−1aの動作手順を示す。
【0060】
はじめに、CPU101上で動作するアプリケーションが通信制御部102に対して、バス106、バス134を用いて、送信するデータを伝送する(S001)。データを受け取った通信制御部102では、送信制御部130は、複製したデータそれぞれに対して加工する(S003)。送信制御部130が実行する加工は、HSRタグの付加や、VLANタグの付加、CRCの計算、付加、パケットへの成形が例示される。
【0061】
加工された各データは送信部132a,bへ伝送され、送信部132、PHY103を用いて、A系方向、B系方向のネットワーク122へ送信される(S004)。
【0062】
通信装置120−1aからB系方向へ送信されたパケット140aは、ネットワーク中継装置121aB、121bAを経由し、通信装置120−1bに伝送される。
【0063】
図7に、パケット140aを受信した通信装置120−1bの転送処理を示す。
【0064】
はじめに、受信部133はパケットを受信するまで待機する(S010)。パケットを受信したら、受信パケットの識別子を保持する(S011)。受信制御部131へパケットを転送する(S012)。受信制御部131は、最初に受信したパケットかどうかを判定する(S013)。最初に受信したパケットであれば、この通信装置120宛のパケットかどうかを判定する(S014)。S013で、最初に受信したパケットでなければパケットを破棄する(S015)。
【0065】
S014で、この通信装置120宛のパケットであれば、バス135、バス106を用いて、パケットをCPU101に伝送する(S016)。S014で、この通信装置120宛のパケットでない場合、あるいはS016の処理後に、このパケットを転送すべきかどうかを判定する(S017)。パケットを転送すべきかどうかは、パケットの宛先がマルチキャストアドレスかブロードキャストアドレスである場合が例示される。
【0066】
受信パケットが転送すべきパケットである場合は、パケットを受信した通信ポート以外の通信ポートの送信部132からパケットを送信する(S018)。
【0067】
なお、S013で、最初に受信したパケットかどうかを判定するために、受信制御部131は、処理したパケットの情報を一定期間記憶するために情報記憶手段を有し、処理したパケットの情報(例えば、送信元アドレス、シーケンス番号)を記憶する(図8のS011)。なお、HSRでは、該情報記憶手段において、一定期間後に記憶されている情報は消去される。そのため、同じ識別子を有するパケットであっても、該情報記憶手段に識別子が保持されていなければ、S013において、最初のパケットであると判定する。
【0068】
パケット140aを受信する通信装置120−1b、ならびに通信装置120−1aからA系方向へ送信されたパケット140bを受信する通信装置120−1dは、図7のS018における転送処理によってパケットを転送する。
【0069】
(パケット受信処理)
通信装置120−1cにおける受信処理は、図7と同様の手順をとり、S016における受信処理によって、パケットを受信する。
【0070】
また、ネットワーク中継装置121は、1回目の受信で宛先通信ポートがわからない場合や、マルチキャストアドレス、ブロードキャストアドレスを受信すると、逆流方向にパケットを転送するが、接続先の通信装置120によって、二度目に受信したパケットは破棄されるため、ネットワーク中にパケットが残り続けることはない。
【0071】
このように、各通信装置120が、このような手順をとることで、通信装置120間で冗長化通信することができる。さらに各通信装置120の2つの通信経路のそれぞれにネットワーク中継装置121を接続することで、ネットワーク中継装置121間に複数の通信装置120を接続することができる。これにより、冗長経路を用いた障害復帰時間を0としながら、複数のHSRによるリングネットワークを多重化し、省配線で高信頼なネットワークを構築することができる。
【0072】
ネットワークを用いて時刻同期する構成において、時刻マスタを冗長化し、時刻同期機能を高信頼化することができる。
次に、本実施例のパケットの転送先の制御方法について説明する。本実施例では、論理的なネットワークの多重化方法を組み合わせて、ネットワーク中継装置におけるパケットの複製を抑制するもので、IEEE 802.1Q、VLANを適用した例を示す。
【0073】
図8は、図1の構成において、通信装置120−1a、120−2a、120−3a、ネットワーク中継装置121aA、aBに着目した、ネットワーク中継装置121のVLAN設定を示す図である。
【0074】
図8の設定では、多重化するシステム(リングネットワーク)の識別子とVLANのタグ番号を関連づける。すなわち、通信装置120−1aが制御システム1に所属し、通信装置120−2aが制御システム2に所属するとした場合、制御システム1を構成する仮想LAN用のタグのVLAN識別子(以下、VIDとする)を1とし、制御システム2を構成する仮想LAN用のタグのVIDを2とする。図8に示すネットワーク中継装置121h、121aの設定により、ネットワーク中継装置121aAに入力するパケット140cは、パケット140c内のVLANタグのVIDにより、適切な通信装置120に転送される。すなわち、ネットワーク中継装置121aAはタグ1に対して、190a、190bが、タグ2に対しては、190a、190cが設定され、ネットワーク中継装置121aBはタグ1に対して、190e、190h、タグ2に対しては、190f、190hが設定される。例えば、190aから受信したパケット140cのVLANタグのVIDが1であれば、通信装置120aに転送される。同様に190eからネットワーク中継装置121aBに入力されるパケット140dは、パケット140d内のVLANタグのVIDが1であり、通信ポート190hに転送される。
【0075】
このように、ネットワーク中継装置121がパケットの転送先を制御することで、リングネットワーク中にパケットが氾濫することを防ぐことができる。すなわち、例えば通信装置120−1aには、制御システム1に関するパケットだけが送受信されるようにVLANが設定されるため、複数の制御システムを1つのネットワークシステムに集約した場合においても通信装置120の通信負荷の増加を防ぐことができる。
【0076】
次に、図5の通信装置120の通信制御部102の図を用いて、ネットワークシステム構築時にVLANを利用する通信装置120が、ネットワーク中継装置121へタグVLANを設定する例を示す。
【0077】
前述したように、システム識別子変換部151は、通信装置120が所属するシステムであるシステム識別子150をネットワークプロトコル上での識別子に変換する。ネットワーク中継装置設定部152は、システム識別子変換部151が作成したネットワークプロトコル上の識別子を用いて、ネットワーク中継装置の論理ネットワーク構築に関して設定する。
【0078】
そして、通信装置120はネットワーク中継装置121に対して、タグVLANを設定する。例えば、通信装置120−1aは、ネットワーク中継装置121aA、121aBに対して、論理ネットワーク1に対する宛先ポートを設定する。
【0079】
なお、ネットワーク中継装置121における論理ネットワークの設定は、ネットワーク中継装置設定部152を用いずに、ネットワーク中継装置121の提供する設定手段を用いて設定してもよい。
【0080】
送信制御部130は、図6のS003のデータ加工処理において、システム識別子変換部151の生成した識別子を用いることができる。例えば、システム識別子変換部151の生成したVIDを用いてVLANタグを生成することやEthernetヘッダの宛先アドレスを設定することが例示される。
【0081】
受信制御部131は、システム識別子変換部151の生成した識別子を用いて、受信、転送を制御することができる。例えば、受信パケットのVLANタグのVIDが、パケットを受信した通信装置120の所属するVIDと異なれば、図8のS014の判断において、パケットを受信しないことが例示される。
【0082】
なお、システム識別子150、システム識別子変換部151、ネットワーク中継装置設定部152を通信装置120の機能部として示したが、CPU101におけるソフトウェアとして実装してもよい。その際、通信装置120内には、システム識別子変換部151の生成した識別子の保持手段をもうけることが例示され、システム識別子150、システム識別子変換部151となるソフトウェアはバス106経由で、該保持手段に識別子を設定することが例示される。
【0083】
以上の構成により、本実施例では、冗長経路を用いた障害復帰時間を0としながら、複数のHSRによるリングネットワークに複数の制御システムを集約し、省配線で高信頼なネットワークを構築することができる。加えて、VLAN等の論理ネットワーク設定を利用することで、ネットワーク中継装置121、ネットワーク122でのパケットの増加を低減し、ネットワーク負荷を抑制することができる。
【0084】
尚、これらのネットワークは、保護制御装置のほか、製造装置、工作機械、プラントにおける制御装置(コントローラ)、PLC(Programmable Logic Controller)、電力系統におけるIED(Intelligent Electronic Device)を含め、通信機器を接続するネットワークに適用可能である。
【実施例2】
【0085】
実施例2は、集約化したシステムの通信経路を有効活用することで、さらに通信の信頼性を向上する例である。実施例に使用する符号は、特に断りのない限り、実施例1で説明した機能や要素等と同一であることを意味する。
【0086】
図9は、図1の通信装置120−1a、120−2a、120−3a、ネットワーク中継装置121aA、aBに着目して、ネットワーク中継装置121の設定例を示す。
【0087】
図9におけるネットワーク中継装置121の設定は、図8に示す実施例1に対し、転送先の宛先ポートを複数設定している。すなわち、ネットワーク中継装置121aAはタグ1に対して、190a、190b、190c、190dが設定され、ネットワーク中継装置121aBはタグ1に対して、190e、190f、190g、190hが設定され、図9に示すようにタグ1を有するパケット140eがネットワーク中継装置121aAに入力されると、宛先通信装置120−1aに対して、通信経路160、161、162を経由して、パケットが伝送される。したがって、通信経路160、161、162のいずれかに障害が起きた場合であっても、パケットが宛先通信装置120に到達することができる。同様に、パケット140eの宛先がネットワーク中継装置121aBの先に接続している場合も通信装置120−1a、120−2a、120−3aを経由する3つの通信経路を通って伝送することができる。
【0088】
このように、重要な制御システムに関する通信データに関しては通信経路を多重化することで、障害に対する耐性を向上させることができる。
【0089】
なお、転送経路の数(各タグに対する転送ポート)は、システムの重要性や、通信装置120の演算能力、計算機資源の性能によって決定することができる。
【0090】
次に、ネットワーク構築時のネットワーク中継装置へのVLANタグの設定について説明する。
【0091】
図10は、実施例2における通信装置120の構成を示す図である。
【0092】
実施例1との違いは、システム属性判定部170、計算機性能判定部171を有することである。システム属性判定部170は、システム識別子を用いて、システムの重要性を判定し、判定結果をネットワーク中継装置設定部152に通知する。
【0093】
図11は、システム属性判定部に記憶する変換テーブルの例を示した図である。本変換テーブルでは、システム識別子1,2,3がそれぞれ重要度1,2,3に対応させている。システム属性判定部170は、この変換テーブルを用いてシステム識別子から、事前に定めた重要度に変換する。
【0094】
計算機性能判定部171は、通信装置120の計算機性能情報を収集して、ネットワーク中継装置設定部152に通知する。該計算機性能情報としては、CPUの演算性能や記憶媒体(メモリ104、不揮発性記憶媒体105)の記憶容量、通信性能、オペレーティングシステムの種類(リアルタイムOSかどうか、割込み遅延など)などが例示される。計算機性能判定部171が収集する情報は、計算機性能判定部171自身を有する通信装置120でも構わないし、他の通信装置120でもよい。他の通信装置120の計算機性能情報は、ネットワーク122を介して収集してもよいし、ネットワーク122とは異なるネットワークを別途設けて収集してもよい。あるいは、外部記憶メディア、通信装置120にもうけた入力手段を介して、手動で情報を設定してもよい。なお、計算機性能情報とあわせて、該通信装置120の識別子をあわせて設定することが例示される。
【0095】
ネットワーク中継装置設定部152は、制御システムの重要度に応じて、ネットワーク中継装置121を設定し、転送する通信ポートの数を制御する。例えば、重要度が最も高ければ、ネットワーク中継装置121の全ての通信ポートへ転送し、重要度が最も低ければ一つの通信ポートのみに転送すること等の設定が可能である。このように重要度に高低にあわて、転送する通信ポートの数を増減する。また、計算機性能にあわせて転送先通信ポートを制御することも可能である。例えば、計算機性能が高い通信装置120に対しては、転送する制御システムのパケットの数を増やすことが例示される。
【0096】
図12は、各通信装置120において、VLANタグのVIDを変更する処理を示す。例えば、通信装置120−1aにおいて、VLANのVIDを2に変更し、ネットワーク中継装置121aBにおいて、VIDが2であるパケットに対して、通信ポート190e、190hに転送するように設定している。このような設定により、冗長化する経路数を制御することができる。
【0097】
図13は、ポートベースVLANとタグVLANを組み合せた設定であり、同様に冗長化する経路数を制御する例である。すなわち、ネットワーク中継装置aBでは、タグVLANと同様に、通信ポートごとに入力ポートと転送ポートとの対応関係を設定する。これによって、より柔軟にシステムを構築することが可能となる
以上のように本実施例では、ネットワーク中継装置121の転送ルールを制御することで、冗長経路の利用を制御することができる。
【実施例3】
【0098】
実施例3は、リングネットワークのパケットの回る方向を識別することで、パケットの転送を制御する例である。実施例に使用する符号は、特に断りのない限り、実施例1,2で説明した機能や要素等と同一であることを意味する。
【0099】
図4に示したネットワーク中継装置121の通信制御部180は、転送ルールにしたがって、入力されたパケットを転送する。そこで、HSRの特徴にしたがったパケット転送ルールを定義する。HSRフレームは、通信装置120から、リングネットワークの両方向に送信される。この2つの方向は、A系、B系と呼ばれ、図5に示すHSRフレームのHSRタグ260のパス識別子262によって判別することができる。
【0100】
通信制御部180でのA系、B系の入力数によってネットワーク中継装置121の接続位置を推定し、転送制御に活用することができる。これを図22図23を用いて説明する。説明の便宜上、リングネットワークの時計回りをB系、反時計回りをA 系として説明する。
【0101】
図14は、図1のネットワーク中継装置121aAに着目した図である。
【0102】
ネットワーク中継装置121aAの4つの通信ポートのうち、通信ポート190aからのみB系パケットが入力され、残りの190b、190c、190dからA系パケットが入力される。
【0103】
これを踏まえ、各通信ポートの判定手順を説明する。
【0104】
図16は、通信ポートの判定手順を示す図である。
【0105】
まず、パケットの受信を待機する(S020)。次に受信パケットがA系かどうかを判定する(S021)。もしA系パケットであれば、パケットを受信した通信ポートをA系接続と判定する(S022)。S021において、A系パケットでなければ、受信パケットがB系かどうかを判定する(S023)。もしB系パケットであれば、パケットを受信した通信ポートをB系接続と判定する(S024)。
【0106】
なお、A系パケット、B系パケットを両方受信する場合や、いずれのパケットも受信しない場合は、A系接続、B系接続を判定しなくともよい。
【0107】
図17は、各通信ポートの判定を踏まえたネットワーク中継装置121の判定手順を示す図である。
【0108】
なお、判定結果はA系ゲートウェイかB系ゲートウェイとする。A系ゲートウェイとは、同じネットワーク中継装置121に接続する通信装置120のA系通信経路上に接続するネットワーク中継装置121であり、B系ゲートウェイとは、同じネットワーク中継装置121に接続する通信装置120のB系通信経路上に接続するネットワーク中継装置121である。例えば、図1においては、ネットワーク中継装置121aA、121bA、121cA、121dAがA系ゲートウェイであり、ネットワーク中継装置121aB、121bB、121cB、121dBがB系ゲートウェイである。
【0109】
はじめにネットワーク中継装置121自身の接続位置を判断可能であるかを判断する(S030)。例えば、いずれの通信ポートも図16の判定手順を完了していない場合は、図17の手順による判断は実行できない。S030を判断するための基準は、A系接続のポートの数とB系ポートの数の合計が所定値以上である場合や、いずれかの系統接続したポートの数が1で、他方の系統接続のポート数が2以上である場合に、判断可能であるとする。次に、A系ゲートウェイの判定基準を満足するかを判定する(S031)。判定基準としては、A系接続と判定したポート数が、B系接続と判定したポート数よりも多い場合が挙げられる。S031で、A系ゲートウェイの判定基準を満足する場合は、A系ゲートウェイと判断する(S032)。S031で、A系ゲートウェイの判定基準を満足しない場合は、B系ゲートウェイの判定基準を満足するかを判定する(S033)。判定基準としては、B系接続と判定したポート数が、A系接続と判定したポート数よりも多い場合が挙げられる。S033で、B系ゲートウェイの判定基準を満足する場合は、B系ゲートウェイと判断する(S034)。
【0110】
なお、S031とS033の判断基準は排他的であることが望ましい。
【0111】
図14に戻ると、
ネットワーク中継装置121aAでは、B系接続数が1に対して、A系接続数が3であるため、ネットワーク中継装置121aAは通信装置120のA系通信経路側に接続する位置にあると判定でき、A系ゲートウェイと判定する。次に、通信装置121aBに着目する。
【0112】
図15は、図1のネットワーク中継装置121aBに着目した図である。この場合は、A系パケットの入力数が1に対して、B系パケットの入力数が3であるため、ネットワーク中継装置121aは通信装置120のB系通信経路側に接続する位置にあると判定でき、B系ゲートウェイと判定する。
【0113】
このようにネットワーク中継装置121の接続位置を推定できれば、その結果を用いて、転送制御が可能である。
【0114】
図18は、ネットワーク中継装置の転送制御を示すフロー図である。はじめに、A系ゲートウェイであるかを判断し(S040)、A系ゲートウェイであれば少なくともB系接続の通信ポートにパケットを転送する(S041)。S040でA系ゲートウェイでなければ、B系ゲートウェイであるかを判断し(S042)、B系ゲートウェイであれば少なくともA系接続の通信ポートにパケットを転送する(S043)。
【0115】
例えば、図14では、通信ポート190aが通信装置121a、121b、121c群の反対側であるため、通信ポート190aに入力されたバケットを、それ以外の通信ポート190b、190c、190dに転送し、一方、通信ポート190b、190c、190dのそれぞれから入力されたパケットは、少なくとも通信ポート190aに転送することが例示される。
【0116】
なお、このとき、同じ系統接続の通信ポート190に転送してもよい。例えば、通信ポート190bで受信したパケットを通信ポート190c、190dに転送してもよい。このような多重経路の利用は、パケットの宛先が通信装置121b、121cであった場合に、高信頼化できる。
【0117】
なお、図16図17の示す判定の精度をあげるために、受信制御部131にてパケットを転送する際にパス識別子262を変換することが例示される。例えば、図1の通信装置120−1aからA系として送信されたパケットが、その先のネットワーク中継装置121aAで転送され、通信装置120−2a、120−3aのA系の通信ポートから受信する場合がある。これをそのままB系の通信ポートから転送する際に、パス識別子262をB系に修正する。
【0118】
なお、パケットの内容から推定するのではなく、明示的にネットワーク中継装置121にA系ゲートウェイ、B系ゲートウェイを設定してもよいし、ネットワーク中継装置121の各通信ポートに対して、A系接続、B系接続を明示的に設定してもよい。加えて、転送の際の宛先ポートを指定してもよい。宛先ポートが複数ある場合は、ネットワーク中継装置121の複製機能を具え、パケットを複製することが例示される。
【0119】
また、ネットワーク中継装置121がA系ゲートウェイ、B系ゲートウェイを推定できないときは従来のネットワーク中継装置121と同様に動作すればよい(全ポートへの転送、あるいはVLAN設定にしたがった転送)。
【0120】
なお、これらの機能はネットワーク中継装置121としてではなく、専用コントローラ、産業用パソコン、制御用計算機、IED(Intelligent Electronic Device)、保護制御装置として提供してもよい。
【0121】
(通信装置120による転送制御)
次に、本実施例における通信装置120の転送制御について説明する。本実施例では、パケットの転送制御は、通信装置120においても行う。
【0122】
通信装置120が所属する制御システムの識別子を考慮した転送方法を図5の機能部において説明した。すなわち、所属システムが同じパケットであれば、通信装置120はパケットを受信するとともに転送し、異なる制御システムのパケットであれば破棄する。
【0123】
加えて、リングネットワーク内での位置情報を考慮したパケット転送制御を、説明する。
【0124】
図19は、グループ位置を用いた転送制御例を示す図である。各通信装置120は、所属するシステムの識別子(例、1、2、3)とともに、グループ位置情報を記憶する。そして、制御システムの情報とグループ位置情報をパケット上に反映し、各通信装置120は該情報にしたがって転送制御する。
【0125】
バケットへの制御システム情報とグループ位置情報の反映方法は、例えば、マルチキャストアドレス、VLANのVID、HSRタグ、IPアドレス、その他のプロトコルヘッダに反映することが例示される。例えば、HSRで利用可能なマルチキャストアドレスの範囲01−15−4E−00−01−XXのうち、最後の1オクテットのうち、上位4ビットをシステム識別子、下位4ビットをグループ位置とすることが例示される。例えば、01−15−4E−00−01−12は、制御システム1に所属し、グループ位置b(グループ位置aをMACアドレス1、グループ位置bをMACアドレス2に割り当てるとする)に位置する通信装置120を表すとする。
【0126】
通信装置120の受信処理は、図7と同様である。これは通信装置120で受信したパケットから取得したシステム、グループ位置情報と、経路制御デーブル220を利用して制御する。
【0127】
図19に戻る。経路制御テーブル220は、受信パケットから得られるシステム情報、グループ位置情報と、パケットを受信した通信装置120の制御システム情報、グループ位置情報と、の対応によって実行するパケット転送制御の対応関係が定められたテーブルであり、本テーブルを参照することによってパケットの転送を制御する。
【0128】
例えば、制御システムが同じで、グループ位置が同じであれば、パケットを受信する。制御システムが同じで、グループ位置が異なれば、パケットを転送する。制御システムが異なり、グループ位置が同じであれば、パケットを転送する。制御システムが異なり、グループ位置が異なれば、パケットを転送する。このような設定であれば、冗長経路を利用し、高信頼化できる。
【0129】
図20は、別の転送制御テーブル221を示す図である。図19との違いは、制御システム情報が異なる場合は、パケットを破棄する。このようにすることで、余計なパケットの転送を防止することができる。
【0130】
図21は、また別の転送制御テーブル222を示す図である。制御システムが異なり、グループ位置が同じであれば、パケットを破棄し、制御システムが異なり、グループ位置が異なれば、パケットを転送する。このようにすることで、宛先となる通信装置120が位置するグループ位置までは、冗長経路を利用して高信頼化し、目的のグループ位置では、宛先となる通信装置120以外では、パケットが破棄されるため、宛先の通信装置120以降での余計なパケットの発生を抑制することができる。
【0131】
また、図19〜21の転送制御は、通信装置120ごとに異なっていてもよいし、動的に切り替えてもよい。
【0132】
図22は、通信経路の状態によって、動的に転送ルールを切り替える際の通信装置120の通信制御部102の構成を示す図である。
実施例1,2との違いは、経路状態判定部212と経路状態通知部211を有することである。例えば、経路を冗長化しているにもかかわらず、受信パケット数が少なく、通信経路上に異常が発生していると推定できる場合や、パケットの異常(CRCエラ−、データサイズ異常など)が発生している場合、通信装置120の処理負荷が高まっている場合は、経路状態判定部212がこれを判定し、経路状態通知部211に通知する。経路状態通知部211は、経路状態判定部212からの通知内容を他の通信装置120に対して通信する。
【0133】
経路状態判定部212からの通知を受信した各通信装置120は、図19〜21のルールを動的に切り替える。切り替えは、通知を受け取って切り替えてもよいし、通知の受信回数が所定値以上、所定期間内に連続して受信した回数、通知されたエラーの重要度に応じて切り替えてもよい。
【0134】
以上により、冗長経路を利用して、パケットの通信を高信頼化できる。HSR、PRPでは二重化までしか対応できないが、本発明では、多重化したシステムの数だけの経路を利用することができ、より高信頼化できる。
【実施例4】
【0135】
実施例4は、各通信装置120が自身の状態を、通信装置120間、あるいは保守用機器と通信することで、通信装置120の異常、通信経路の異常を検知する発明である。実施例に使用する符号は、特に断りのない限り、実施例1、実施例2、実施例3で説明した機能や要素等と同一であることを意味する。
【0136】
図23は、実施例4における通信装置120の通信制御部102内の構成を示す図である。前述の実施例との違いは、状態メッセージ送信部240と状態判定部241を備える点である。
【0137】
状態メッセージ送信部240は、自装置の状態を他の通信装置120へ通知する。通知の際は、自通信装置120の識別子、状態を示すメッセージを付した通信フレームを他の通信装置120へブロードキャスト、あるいはマルチキャスト通信する。
【0138】
ここで、状態メッセージ送信部240は、自通信装置120の状態だけでなく、他の通信装置120の状態を判定して状態メッセージを送信することもできる。その場合には、通信フレームに判定対象の通信装置120の識別子をのせて送信する。また、複数の通信装置120の状態を通知する場合には、一つの通信フレーム内に複数の通信装置120の状態情報を載せてもよい。
【0139】
各通信装置120は、が通信する状態メッセージは、HSR管理フレームでもよいし、独自の通信フォーマットでもよい。
【0140】
他の通信装置120は、状態メッセージを受信することによって、該通信装置120の生存監視、通信経路が正常であることを確認できる。あるいは、通信装置120、通信経路が正常であっても、何らかの異常が発生している場合は、その情報を状態メッセージに格納することができる。そのような異常としては、通信装置120に接続している周辺機器、制御装置、センサ、アクチュエータ等の異常が発生している場合や、通信装置120自身の異常(ストレージ容量が少なくなった、メモリのECCエラーが発生したなどの通信機器の動作は継続でき、状態メッセージを送信可能な状態を維持できるレベルの異常)が例示される。
【0141】
状態メッセージは、定期的に送信してもよいし、対象の状態が変化した場合に送信してもよい。
【0142】
あるいは、他の通信装置120から受信した状態メッセージに対して、自身の通信装置120の識別子を追加していくこともできる。このように構成すれば、状態メッセージの通信経路を判別することができる。複数の状態メッセージを比較することで、通信経路に異常が起きている場合、異常箇所を推定することができる。
【0143】
例えば、図1において、通信装置120−1bから通信された状態メッセージを通信装置120−1dが受信した場合において、通信装置120−1aの識別子が付加された状態メッセージと、通信装置120−2aの識別子が付加された状態メッセージのみを受け取った場合、通信装置120−3aの異常、ネットワーク中継装置121aBと通信装置120−2a、通信装置120−2aとネットワーク中継装置121aA間の通信経路の異常が推定される。
【0144】
また、状態判定部241は、他の通信装置120から受信した状態メッセージから他の通信装置120や、通信経路の異常を判定する。状態判定部241は、通信装置120や通信経路が異常と判定した場合には、経路状態通知部211を介して他の通信装置120へ異常検知を通知する。
【0145】
状態判定部241からの通知を受け取った他の通信装置120は、図19〜21のルールを動的に切り替えることや、ネットワーク中継装置121のVLAN設定を変更して、冗長経路の利用と、利用する冗長経路を変更し、異常に対応することができる。
【0146】
また、通信経路の異常は、状態判定部241の機能を有する保守用機器において判定してもよい。保守用機器は、ネットワーク122、あるいは別系統のネットワークにより、各通信装置120と接続していることが望ましい。
【0147】
また、状態判定部241において、異常を検知した場合は、オペレータに何らかの通知手段(電子メール、ディスプレイ表示、点灯、音など)で通知してもよい。
【0148】
異常を検知すれば、オペレータは通信装置120を交換することができる。通信装置120の交換は、異常時にかかわらず、可能である。
【0149】
なお、通信装置120に接続する通信経路が数km以上と長い場合、交換時には追加の長いケーブルを用意しなければならない。そのような場合は、後述する図25のように局所的な現場拠点で階層化することにより、交換用の長いケーブルを複数用意する必要がなくなる。これにより、交換にかかるコスト(主にケーブル分)を削減できる。
【0150】
以上の発明により、通信装置120、通信経路の異常に対応し、高信頼な制御システム向けの通信を構築することができる。
【0151】
(他のネットワークトポロジ構成)
以上の実施例では、図1のようにリングネットワークを構成する通信装置120間を2つのネットワーク中継装置121で接続している(例えば、通信装置120−1aと通信装置120−1b間をネットワーク中継装置121aBとネットワーク中継装置121bAで接続)が、ネットワーク中継装置の数は一つでも、複数でもよい。
【0152】
また、ネットワーク中継装置121間(例えば、ネットワーク中継装置121aBとネットワーク中継装置121bA)に通信装置120を接続することもできる。
【0153】
また、同じ拠点にある複数の中継装置120は、図1に記載のように全てを並列に接続する必要はなく、一部の中継装置を直列に接続することもできる。
【0154】
また、ネットワーク中継装置121間(例えば、ネットワーク中継装置121aBとネットワーク中継装置121bA)は、パケットを伝送できる任意のネットワークを適用でき、メッシュネットワーク、IEC62439で定義される各種の制御用ネットワーク、STP(Spanning Tree Protocol)、RSTP(Rapid Spanning Tree Protocol)によってループ防止されるネットワークが例示される。
【0155】
また、他の拠点にある通信装置120やネットワーク中継装置121を接続することで、迂回経路を加えて、高信頼化をはかることもできる。例えば、図1に示す通信装置120−1aと、ネットワーク中継装置12cAや通信装置120−1Cを接続したり、ネットワーク中継装置121aAとネットワーク中継装置121cBを接続したりすることによって、通信経路のさらなる冗長化を図ることができる。なお、ネットワーク中継装置121とネットワーク中継装置121間は、パケットのループを防止するために通信装置120のような、2回目以降に受信したパケットの転送を防止する通信機器の配置が望ましい。
【0156】
また、図24のように通信装置120によるトポロジに階層構造をもたせ、システムの構成に自由度をもたせることもできる。図24では、別々のリングネットワーク同士を、ネットワーク中継装置121を介して接続した例である。リングネットワークの接続は通信装置120でもよいし、IEC62439−3で定義されるRedBox、QuadBoxで接続してもよい。
【0157】
トポロジの階層化の他の例として、図25に示すようにリングネットワーク内の他の拠点にあるネットワーク中継装置121間をさらに、ネットワーク中継装置121及び通信装置120で接続して階層化してもよい。これにより、トポロジに階層構造をもたせ、システムの構成に自由度をもたせることができる。
【0158】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0159】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0160】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0161】
101 … CPU、102、180… 通信制御部、103… PHY、104 … メモリ、105 … 不揮発性記憶媒体、106、134、135 … バス、120 … 通信装置、121 … ネットワーク中継装置、122 … ネットワーク、130… 送信制御部、131… 受信制御部、132 … 送信部、133 … 受信部、136 … MUX、140 … パケット、150 … システム識別子、151 … システム識別子変換部、152 … ネットワーク中継装置設定部、160 … 通信経路、170 … システム属性判定部、171 … 計算機性能判定部、190 … 通信ポート、210 … 位置識別子、211 … 経路状態通知部、212 … 経路状態判定部、220、221、222 … 経路制御ルール、230 … 通信経路、240 … 状態メッセージ送信部、241 … 状態判定部、260 … HSRタグ、261 … HSR_ET、262 … パス識別子、263 … LSDUsize、264 … シーケンス番号
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