【実施例1】
【0015】
図1は第1実施形態に係る冷蔵庫を示す正面図である。なお、以下では、冷蔵庫1Aを正面から見たときの方向を基準として説明する。
【0016】
図1に示すように、冷蔵庫1Aは、冷蔵室2、製氷室3、切替室(上段冷凍室、急速冷凍室)4、下段冷凍室5(引出し室、第1貯蔵室)および野菜室6(引出し室、第2貯蔵室)を備えている。
【0017】
また、冷蔵庫1Aは、冷蔵室2を開閉する回転式の扉2a,2b、製氷室3を開閉する引出し式の扉3a、切替室4を開閉する引出し式の扉4a、下段冷凍室5を開閉する引き出し式の扉5a、野菜室6を開閉する引き出し式の断熱扉6aを、それぞれ備えている。
【0018】
図2は、本発明の実施例1に係る扉の概略構造図である。なお、扉2a、2bは同様の構成であるため、
図2では代表して扉2aについて示している。扉2aは、前面を構成するガラス板(扉板)10と、後述するシート部材20と、貯蔵室側の面を構成する内壁部材30と、周囲を構成する枠体40とを含んで構成し、ガラス板10、内壁部材30、枠体40で形成された空間内に、ポリウレタンフォームを一例とする発泡断熱材50を充填する構造を採用する。なお、ガラス板10はプラスチックなどの透光性を有する扉板であっても良い。また、発泡断熱材50と共に真空断熱材(図示せず)を配置する構造も採用できる。
【0019】
この扉2aの具体的構造は、ガラス板10の裏面側に配置されるシート部材20と、このシート部材20の後方に発泡断熱材50を挟んで構成される内壁部材30と、扉2aの周囲を覆う枠体40とを含んで構成する。ここで、枠体40は、樹脂材料で形成される成形品であり、上下面を構成する上枠41と下枠42と、左側面を構成する左側枠43と、右側面を構成する右側枠44で構成している。
【0020】
なお、
図2では発泡断熱材50を分離した分解斜視図で示しているが、実際はシート部材20の裏面、内壁部材30の前面、及び枠体40の内面にそれぞれ密着するように構成している。
【0021】
図3は、本発明の実施例1に係る冷蔵庫の扉の断面図である。本実施例において、枠体40(43)に形成した保持部43a,43bにより、ガラス板10とシート部材20とを同時に保持することができる。具体的に図示されているように、左側枠43には、ガラス板10とシート部材20の側辺を一緒に挟持して保持する前側の保持部43aと後側の保持部43bと、内壁部材30を保持する保持部43cとを備える。また、図示しないが、上枠41、下枠42、右側枠44にも、それぞれ、保持部43a,43b,43cと同様の構成が設けられ、ガラス板10とシート部材20と内壁部材30を保持している。
【0022】
そして、シート部材20を含むガラス板10と、内壁部材30と、枠体40との間に形成された空間に発泡断熱材50を充填することで、断熱性の扉2aを形成することができる。
【0023】
なお、左側枠43は、前側の保持部43aと後側の保持部43bにより、ガラス板10及びシート部材20を前後から保持する構造としたが、各枠体40の保持の構造はこれに限らない。例えば、
図3(b)に示すとおり、
図3(a)の前方の保持部43aを無くし、ガラス板10及び、シート部材20を後側の保持部43bで保持する構造であってもよい。さらに、左側枠43の内面にガラス板10端部を突き当てる構造であってもよい。また、扉2aを形成するにあたり、各枠体40は、これらの挟持構造と突き当て構造の組み合わせであってもよく、例えば、上枠41及び左側枠43は挟持構造で、下枠42及び右側枠44は突き当て構造にしても良い。すなわち、ガラス板10の下側縁及び右側縁は枠体40(下枠42、右側枠44)に突き当て、上側縁及び左側縁は枠体40(上枠41、左側枠43)にて前方が覆われる構成である。
【0024】
これにより、長方形状のガラス板10は、向かい合う辺に少なくとも一辺が枠体40で前方が覆われていないため、前面から視認できるガラス板10の面積を大きくすることができる。特に、右側縁及び下側縁は、冷蔵庫1Aの前面の中央部分を含む位置にあるため、左側縁及び上側縁に比べてユーザーが視認し易い箇所である。そのため、ガラス板10の右側縁及び下側縁のそれぞれの前方を露出させることで、フラット感を強調しつつ、大容量の貯蔵空間としての印象をユーザーに対して与えることができる。
【0025】
また、
図1において、扉2aの右側縁及び下側縁は、扉2aを閉じた状態では、他の扉2b,3aに近い中央寄りの位置にある。一方、扉2aの左側縁及び上側縁は、扉2aを閉じた状態で外側に位置する。よって、扉2aの左側縁及び上側縁は、扉2aを閉じた状態で使用者や他の構造物が接触する可能性がある。
【0026】
そこで、外側に位置するガラス板10の左側縁及び上側縁を枠体40で前方を覆う構成とすることで、扉2aを閉鎖した状態で、使用者や他の構造物が直接触れることを防止できる。なお、扉2bも同様に、外側に位置するガラス板10の右側縁と上側縁を枠体40で前方を覆う構成とすることで、同様の効果を奏することができる。
【0027】
ここで、枠体40は樹脂成型により構成しているため、組み立て誤差が生じることがある。また、特に硬質ウレタンフォームの発泡充填時には、熱や発泡圧による変形が生じる可能性がある。この前提において、ガラス板10の全周を枠体40で挟み込む構成とした場合、これら組み立て時に生じる変形により、ガラス板10に部分的な応力集中が発生することが想定される。
【0028】
そこで、本実施形態では、ガラス板10の下側縁及び右側縁は枠体40(下枠42、右側枠44)に突き当て、上側縁及び左側縁は枠体40(上枠41、左側枠43)にて前方が覆われる構成としている。これにより、組み立て時に生じる変形寸法分を、右側縁及び下側縁の下側縁及び右側縁は枠体40(下枠42、右側枠44)への突き当て箇所で吸収することができる。
【0029】
なお、扉2a及び2bの下枠42には図示しない手掛け部が設けられている。この手掛け部は凹部によって形成され、使用者は扉2a及び2bと、引き出し式の扉3a及び4aとの隙間に手を挿入し、この凹部に手をかけることにより扉2a及び2bを開閉する。扉の下部に凹部によって手掛け部を設けることにより、正面視において、ガラス板のフラット面を大きく見せて、大容量の貯蔵空間としての印象をユーザーに対して与えることができる。
【0030】
なお、本実施例のガラス板10の角は、おおよそ90度に成型されている。よって、シート部材20をガラス板10に接着する際に、角を合わすことができるので、位置決めがし易くなる。また、ガラス板10の角に丸みを持たせた場合、シート部材20の角部がはみ出す場合があるが、本実施例ではガラス板10の角まで寸法精度よくシート部材20を貼り付けることができる。
【0031】
図4は、本発明の実施例1に係る扉板の積層構成を示す断面図である。次に、ガラス板10とシート部材20と発泡断熱材50の積層構造を説明する。ガラス板10の後方には接着剤11を介して、シート部材20が接着されている。本実施例にかかるシート部材20は、装飾シート21と、装飾シート21の後方に印刷された塗料の層のである塗料層22と、接着剤25を介して接着された仕切シート26から構成される。更に、このシート部材20の後方には発泡断熱材50が充填されている。なお、塗料層22は、装飾層23及び不透明層24と、から構成される。
【0032】
装飾シート21は、薄い膜状で表面上に塗料を塗布できる基材であればよいが、例えば、ポリエステルフィルム(PETフィルム)が挙げられる。PETフィルムは透明性が高く、この基材の背面に印刷を施すことにより、フィルムを通して塗料層が見えて、光沢が出て高級感がある意匠性の高い装飾シート21を提供することができる。また、PETフィルムは、耐熱・耐寒性に優れており、ガラス板から伝わる外気温の影響が少ない。また、PETフィルムは、強度が優れており、ガラスが割れた際の飛散防止にも効果がある。
【0033】
装飾層23は、冷蔵庫1Aの扉の装飾の為のものであって、装飾シート21の後方の全面または一部に塗料を塗布することによって形成されている。また、不透明層24も同様に塗料の塗布により形成されるが、後方の発泡断熱材50が前方から見えないようにする為のものである。なお、装飾層21の装飾が濃く透けにくい場合には、この不透明層22を設けなくても良いし、一方薄く透け易い場合には、複数の不透明層22を設けても良い。また、後述する仕切シート25を不透明とすることによって、この不透明層23を設けない構成としても良い。
【0034】
装飾層22及び不透明層24への印刷の手段については、装飾シート21をロール状のシートにすることにより、回転式の印刷機を用いて連続生産することができ、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷などを採用することができる。
【0035】
従来のようにガラス板のような硬い素材に直接塗料を塗布する場合には、シルクスクリーン印刷(孔版印刷)が適していた。しかしながら、この印刷手段だとスクリーンの孔からインクを押し出して印加するので、孔の大きさによって装飾の表現が制限され、決め細やかな表現ができなかった。しかし、例えばグラビア印刷は、印刷機の表面のセルの大きさ・深さを変化させることにより微細な濃淡を表現することが可能で、ひいては外観特性が高い冷蔵庫の扉板を提供できる。
【0036】
また、ガラス部材の背面にシルクスクリーン印刷を施す場合は、塗り斑が生じることがある。また、温度や湿度の条件の変化によって、塗料の粘性や乾燥時間が異なるため、きめ細かい生産管理が必要となる。また、複数の塗料層を設ける場合や、色調に変化を持たせる場合や、模様を配する場合等には、一の塗料が乾燥してから次の塗料を塗布して複数の塗料層を形成する必要があり、生産効率が高くなかった。
【0037】
しかしながら、本実施例は、予め塗料層22が設けられた装飾シート21をガラス背面に接着剤11を介して接着するだけなので、生産管理が容易で、かつ、生産効率を高めることができる。また、塗料ミスやシートの接着ミスがあっても、ガラス板から装飾シート21を剥がせばガラス板は再利用できるので、従来のガラス板の背面に直接に印刷を行う場合と比べて、歩留まりを良くすることができる。
【0038】
但し、このままの構成だと、冷蔵庫の断熱扉内には発泡断熱材が充填されるため、塗料層と発泡断熱材が接着することになる。この場合、発泡断熱材の発泡時に、塗料層と発泡断熱材が固着することにより、装飾シートが接着されたガラス板と発泡断熱材との分離・解体が困難となり、リサイクル性が低下する。
【0039】
また、グラビア印刷のインキ用樹脂として、ウレタン系のものが用いられる場合があり、その際は発泡断熱材とより強固に固着する。また、発泡断熱材の充填後の熱収縮により、発泡断熱材と装飾シートと固着したまま縮むことで、装飾シートに破れやしわが発生して、外観性能が低下する恐れがある。
【0040】
そこで、本実施例においては、塗料層22の後方に、接着剤25を介して発泡断熱材50と仕切る仕切シート26を設ける。この仕切部分により、発泡断熱材50の充填発泡時、装飾シート21が発泡時や熱収縮時の影響を受けることを抑制し、破れや皺が形成されることを抑制できる。また、ガラス板10と発泡断熱材50を分離し易くして、リサイクル性を向上できる。従って、装飾シート21と仕切シート26からなるシート部材20を、ガラス板10に接着することにより、意匠性が高く、更に、リサイクル性が高い冷蔵庫を提供することができる。また、製造工程において、ガラス板10の背面にシート部材20を一度に貼ることにより、生産管理が容易で、生産効率を高めることができる。
【0041】
また、ガラス板10の運搬や組み立て時においては、ガラス板10や塗料層22への傷を防ぐために、一時的に保護フィルムを設けることがある。この仕切シート26を設けることにより、保護膜が傷ついても、更に仕切シート26があるので、保護特性を高めることができる。また、費用削減や生産効率向上ため、仕切シートが保護膜を兼ねる構成としてもよい。
【0042】
仕切シート25は、薄い膜状で塗料層26と発泡断熱材50とを仕切る素材であればよいが、具体的に、例えば、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)が挙げられる。OPPフィルムは、耐熱性に優れ強度が強いので、発泡断熱材の充填時の高温に対して、変形することなく塗料層を守ることができる。
【0043】
なお、
図4において説明した各構成の寸法は、実際の寸法を限定するものではない。例えば、仕切シートは、装飾シートより、幅の寸法を小さく(薄く)する構成としても良い。なぜなら、装飾シートは、塗料層の基板素材、かつ、ガラス板が割れた際の飛散防止の特性をより高めるために、幅寸法が大きくする必用がある。一方、仕切シートはそのような制限がなく、より薄い構成とすることにより、資源を節約し、コストを低減することができる。構成の一例として、装飾シートとしてPETフィルムを、仕切シートとしてOPPフィルムを設ける構成とし、幅寸法の一例として、PETは約50ミクロンで、OPPは約25ミクロンとする。
【0044】
<変形例1>
次に、実施例1の変形例1として、回転式の断熱扉のみにグラデーションの装飾を施したシート部材を設け、また、タッチ式の操作部を設けた構成について説明する。なお、同様な部位や矢印などは同一符号をもって示して、重複した説明を省略する。
【0045】
図5は、本発明の変形例1に係る冷蔵庫の正面図である。
図6は、本発明の変形例1に係る扉板の積層構成を示す断面図である。
図7は、本発明の変形例1に係る操作・表示部の詳細断面図である。
【0046】
図5に示す冷蔵庫100Aにおいて、上部扉101である回転式の扉2a及び2bにのみ、グラデーションの装飾を施した後述するシート部材110が設けられている。一方、引き出し式の扉3a、4a、5a及び6aから構成される下部扉102は、ガラスの背面に直接塗料を塗布することにより装飾を施している。また、扉2aには、操作・表示部120が設けられている。
【0047】
図6に示す通り、グラデーションの装飾を施したシート部材110は、装飾シート21の後方に、グラデーション塗料層111を設けている。グラデーション塗料層111は、色彩の濃淡を塗布した階調層112と、階調層112の背景色になる背景層113とから少なくとも構成される。なお、本実施例においては、階調層及び背景層の二層構造としたが、これに限らない。表現したい装飾によって、階調層の全面にも装飾層を設けても良いし、これらの層を複数設けても良い。
【0048】
本変形例の特徴は、上部扉101にのみ、より高精細な装飾を施すことができるシート部材101を設けた点である。上部扉101は、一般的な使用者の目に付き易い高さ位置(一例として設置床面から843mm〜1818mmの範囲)に設けられており、かつ、最も面積が大きい扉(但し左右の扉の合計)なので、色調の変化を与えたり、模様を配したりすることで、外観性能を効果的に向上することができる。
【0049】
他方、下部扉102は、一般的な使用者の目の高さより下の高さ位置(一例として設置床面〜975mmの範囲)の扉なので、上部扉101に比べて目に付きにくい。更に、厚みのあるガラス板10の後方に装飾が施されることになるので、目線の位置のまま真直ぐ見るのと、角度をつけて見るのでは、装飾の視認性が悪くなる。従って、下部扉102は、単色調や、模様なしであってもよい。かかる構成により、全ての扉にシート部材を設ける場合と比べて、より効果がある上部扉101に限定することにより、コストを低減することができる。
【0050】
本変形例における、上部扉101のグラデーション塗料層111は、
図5の扉2a及び2bに示すとおり、上部の濃度が最も濃く、下部に向けて徐々に濃度が薄くなる構成となっている。冷蔵庫が設置されるキッチンにおいて、通常、天井等の高い位置に照明が設置されているので、上部が良く光が当たり、はっきりと良く見える箇所になる。従って、この光が良く当たる箇所の濃度を濃くすることによって、グラデーションをより強調させることができる。
【0051】
本変形例においては、上下方向に濃淡をつけたグラデーション構成であったが、これに限られるものではない。左右や斜め方向に濃淡をつけたグラデーション構成であっても良い。具体的に、例えば、左右が濃くて中央に向けて徐々に濃度が薄くなる構成としても良く、この構成にすることにより利用者にスリム感を与えることができる。
【0052】
なお、本変形例において、6ドアタイプの冷蔵庫において説明したが、これに限られるものではない。冷蔵庫内の収納スペースを上下に3分割した3ドアタイプや、上下に2分割した2ドアタイプ、左右に並んだ縦長の貯蔵室の片側を一枚の扉で覆う構造を備えているサイドバイサイド型の冷蔵庫に適用しても良い。
【0053】
換言すると、複数の扉を備えた冷蔵庫において、少なくとも一つの扉は塗料層を設けたシート部材を背面に貼り付けたガラス板で前面を構成し、他の扉をガラス板へ直接塗料を塗布する構成とする。これにより、特定の扉は色調の変化を与えたり、模様を配したりして、他の扉は単色調や模様なしの構成として、コストを抑えつつ特定の扉に対する使用者の注意を惹き付けることができる。
【0054】
次に、操作・表示部を設けた構成を説明する。
図7に、扉2aに操作・表示部120を配置する様子を、断面図で示す。操作・表示部120は、ガラス板10の前方に直接印刷されたメニュー表示部121と、文字や記号等で操作内容が記載された透光性のフィルムであるシート122と、このフィルムの後方に配置され、入力用の複数のタッチ電極及びLED発光部(いずれも図示せず)を有する操作・表示制御部123と、これらシート122、操作・表示制御部123を保持するケース124とが積層されたものである。そして、シート122、操作・表示制御部123がケース124に一体保持されて、扉2aのガラス板10と発泡断熱材50との間に形成された空間内を左右方向にスライドすることにより、扉2aの所定位置に位置決めされる。
【0055】
メニュー表示部121は、常時視認できるが、シート122に印刷された各種操作内容の操作表示は通常時は視認できない。メニュー表示部121が使用者によってタッチされた時に、LED発光部が発光し、冷蔵庫の各種設定・操作内容及び操作部が、シート部材110及びガラス板10を透過して表示される。かかる構成により、通常時はシート部材110の内容をガラス板10の前面に表示せず、使用者が必要とする時にシート部材110の内容を点灯表示させることで、通常時はガラス板10のフラットな平面を強調することができ意匠性を向上させることができる。更に、必要な時のみLEDを発光させるので消費電力を抑えることができる。
【0056】
本変形例の特徴の一つは、メニュー表示部121をガラス板10の表面に設けた点である。ガラス板10の後方に直接、部分的な印刷を設けると、シート部材110との間に隙間ができ、シート部材110の剥がれに繋がる。また、シート部材110の装飾シート21上に塗料を塗布することによりメニュー表示部121を設ける場合は、シート部材110と操作・表示部120とを正確に位置決めする必要があり、生産効率が悪くなる。
【0057】
また、このメニュー表示部121は、シート122の内容を点灯表示させるための操作部になるので、利用者に認識させる必要があるが、ガラス板10の後方にメニュー表示部121を設ける構成の場合、暗い環境ではメニュー表示部121の視認性が低下する。そこで、本実施例では、メニュー表示部121をガラス板10の表面に設ける。このことにより、利用者がメニュー表示部121を触った場合、ガラス板10面と印刷面の質感の相違により、メニュー表示部121の位置を認識できる。また、ガラス板10の背面にシート部材110が設けられているので、メニュー表示部121をガラス板10より前方に見せることができ、ガラス板10の反射による視認性の低下を抑制することができる。
【実施例3】
【0064】
次に、実施例3について説明する。なお、実施例1及び2と同様な構成は同一符号をもって示して、重複した説明を省略する。
【0065】
図11は、本発明の実施例3に係る扉板の積層構成を示す分解断面図である。
図12は、本発明の実施例3に係る扉板の積層構成を示す正面部分透視図である。
【0066】
本実施例では、ガラス板10の背面に接着剤11にて装飾シート21を貼付し、その背面に接着剤25bにて仕切りシート26bを貼付している。ここで、仕切りシート26bは透明又は光透過性を有する構成であって、発泡断熱材と装飾シート21を分離する機能を有する。
【0067】
ここで、装飾シート21の配色によっては、隠ぺい性が低くなり、ガラス板10の前方から装飾シート21を透過して発泡断熱材が視認される場合が想定される。この場合、意匠性を損なうこととなる。
【0068】
そこで本実施例では、有色の仕切りシート26aを、装飾シート21及び仕切りシート26bの背面に接着剤25aにて貼付している。これにより、隠ぺい性が向上して、ガラス板10の前方から発泡断熱材が透けて見えることを防止して、意匠性を向上している。また、仕切りシート26aによって、装飾シート21と発泡断熱材を分離している。
【0069】
なお、有色の仕切りシート26aの色は特に限定するものではないが、一例として白色系の塗料層を仕切りシート26bと対面する側に設ける。すなわち、仕切りシート26aはガラス板10側に有色層を有する。これにより、装飾シート21の表わす色や模様の印象を大きく変えることがなく、かつ隠ぺい性を向上することができる。
【0070】
有色の仕切りシート26aは、操作・表示部120の前方を遮らない位置に配置している。すなわち、操作・表示部120の前方投影位置を隔てて、有色の仕切りシート26aをガラス板10の背面(装飾シート21の背面)に設けている。一例として、操作・表示制御部123の位置の上方及び下方に有色の仕切りシート26aを配置して、操作・表示制御部123の前方は有色の仕切りシート26aを設けていない。これにより、操作・表示部120の視認性を低下させることがなく、LED等の照明手段にて表示内容をガラス板10の前方に明確に投射することができる。
【0071】
なお、透明又は光透過性の仕切りシート26bは、操作・表示部120の前方を含めて、ガラス板10の略全面、すなわち装飾シート21の全面に貼付される。装飾シート21の全面に貼付しても、仕切りシート26bは透明又は光透過性なので、操作・表示部120の表示を遮ることはない。なお、透明又は光透過性の仕切りシート26bを設けずに、有色の仕切りシート26aを単独で設けて、装飾シート21と発泡断熱材を分離する機能を持たせた構成であってもよい。
【0072】
以上、本発明の
実施例3によれば、以下の効果を奏することができる。
【0073】
すなわち、貯蔵室の開口を開閉する扉と、前記扉の表面の透光性の扉板と、前記扉板の操作・表示部と、前記扉板の背面のシート部と、前記扉板の周縁の扉枠体と、前記扉板と空間を隔てて前記枠体に支持される内壁部材と、該内壁部材と、前記扉板及び前記枠体で形成された空間に発泡充填された発泡断熱材と、を備え、前記シート部は、前記扉板の前方から視認される装飾シートと、該装飾シートと前記発泡断熱材を仕切る
ものであって前記扉板側に有色層を有する有色シートと、を含み、前記
有色シートは、前記操作・表示部の投影位置を隔てて配置する。これにより、隠ぺい性が向上して、装飾シートに多様な色や模様を表現しても発泡断熱材が視認されることを抑制できる。
【0074】
また、貯蔵室の開口を開閉する扉と、前記扉の表面の透光性の扉板と、前記扉板の背面のシート部と、前記扉板の周縁の枠体と、前記扉板と空間を隔てて前記枠体に支持される内壁部材と、該内壁部材,前記扉板及び前記枠体で形成された空間に発泡充填された発泡断熱材と、を備え、前記シート部は、前記扉板の前方から視認される装飾シートと、該装飾シートと前記発泡断熱材を仕切る仕切部と、を含む。
【0075】
これにより、発泡断熱材の充填発泡時、装飾シートが発泡時や熱収縮時の影響を受けることを抑制し、破れや皺が形成されることを抑制できる。また、扉板と発泡断熱材50を分離し易くして、リサイクル性を向上できる。
【0076】
また、貯蔵室の開口を開閉する扉と、前記扉の表面のガラス板と、前記ガラス板の背面のフィルム部と、前記ガラス板の周縁の枠体と、前記ガラス板と空間を隔てて前記枠体に支持される内壁部材と、該内壁部材,前記ガラス板及び前記枠体で形成された空間に発泡充填された発泡断熱材と、を備え、前記フィルム部は、装飾シートと仕切りシートとを含み、前記装飾シートは、前記仕切りシート側に前記扉板の前方から視認される塗料層を有し、前記仕切りシートは、前記装飾シートの前記塗料層と前記発泡断熱材を仕切る位置に設けられている。
【0077】
これにより、塗料層と発泡断熱材が固着することを防止して、装飾シートに皺や破れが発生することを抑制することができる。
【0078】
また、前記装飾シートはポリエステルフィルムであって、前記仕切りシートは延伸ポリプロピレンフィルムである。
【0079】
これにより、ポリエステルフィルムを通して塗料層が視認でき、フィルムの光沢により意匠性を高めることができる。また、ポリエステルフィルムは、耐熱・耐寒性に優れており、ガラス板からの外気温の影響を低減できる。さらに、延伸ポリプロピレンフィルムは耐熱性に優れ強度が強いので、発泡断熱材の充填時の高温に対して、塗料層を保護できる。
【0080】
また、上部扉と、該上部扉の下方に設けられた下部扉と、を備え、前記上部扉は、該上部扉の表面のガラス板と、前記ガラス板の背面のフィルム部と、前記ガラス板の周縁の枠体と、前記ガラス板と空間を隔てて前記枠体に設けられた内壁部材と、該内壁部材,前記ガラス板及び前記枠体で形成された空間に発泡充填された発泡断熱材と、を備え、前記フィルム部は、装飾シートと仕切りシートとを含み、前記装飾シートは、前記仕切りシート側に前記扉板の前方から視認される塗料層を有し、前記仕切りシートは、前記装飾シートの前記塗料層と前記発泡断熱材を仕切る位置に設けられ、前記塗料層は、上部の濃淡が下部よりも濃く、下方に向けて次第に淡くなるように構成され、前記下部扉は、該下部扉の表面のガラス板と、前記ガラス板の背面のシルクスクリーン印刷層と、を有する。
【0081】
これにより、上部扉は色調の変化を与えた構成として、下部扉は単色調の構成として、一般的な使用者の目の高さ位置にある上部扉に対する使用者の注意を、コストを抑えつつ惹き付けることができる。
【0082】
なお、本発明は上記した実施例及び変形例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0083】
例えば、上記実施例は、6ドアタイプを例に挙げて説明したが、扉表面にガラス素材を備えた冷蔵庫であれば他のタイプに適用してもよい。また、回転式の断熱扉2bを例示して説明したが、引き出し式の断熱扉にも同様の構成を設けても良い。また、接着剤にて接着するとの記載があるが、粘着剤であっても良い。