(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリオール成分は、第1級OH基を有する2官能性ポリエーテル−またはポリエステルまたはポリエーテル−ポリエステルブロックコポリマーであることを特徴とする、請求項1または2に記載のフォトポリマー処方物。
光開始剤は、400〜800nmのスペクトル領域が吸収スペクトルにより少なくとも部分的に覆われている染料と、該染料へ適合した少なくとも1つの共開始剤との組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のフォトポリマー処方物。
インライン型ホログラム、二光束ホログラム、フルアパチャートランスファーホログラム、白色光透過型ホログラム、デニシュクホログラム、二光束反射ホログラムまたはエッジリットホログラムおよびホログラフィックステレオグラムから選択されるホログラムを製造するための、請求項10に記載のホログラフィック媒体の使用。
【発明を実施するための形態】
【0018】
EP2172502A1、EP2172505A1およびWO03/102959A1出願から既知のフォトポリマー処方物は、錫オクトエートおよび鉄(III)アセチルアセトネートを含有するものとして、本願の実験部分に対応する比較例として記載の通り、室温活性化温度<8300Kを有する。従って、これらはまた、本発明に従う処方物の上記技術的優位性を提供しない。
【0019】
本発明の最初の好ましい実施態様では、フォトポリマー処方物の活性化温度は、≧8700K、好ましくは9000K、より好ましくは≧9300K、さらにより好ましくは≧9500Kである。この場合には、フォトポリマー処方物は、90℃の領域の温度において特に素早く硬化する。
【0020】
活性化温度は、好ましくは、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、書込モノマーおよび触媒を用いて混合物を調製し、測定時間tにわたり混合物の貯蔵弾性率G’および損失弾性率G’’をいずれも、少なくとも時間t
Gelにおけるゲル点の条件G’=G’’=G
Gelに達するまで決定し、温度T=303K、313K、328K、343Kおよび353Kにてレオメーターのプレート−プレート測定系を、250μmのプレート間隔において振動モードにより10Hzの一定周波数fおよび10%の調節変形振幅において用い、t
Gel対t
Gelを決定した各絶対温度の逆数1/Tの対数プロットを確立し、および線形回帰を用いて式:
【数1】
に従う活性化温度T
Aktをプロットにおける直線の傾きとして決定する。
【0021】
イソシアネート成分a)としては、1分子あたり平均2以上のNCO官能基を有する、それ自体当業者に既知の任意の化合物またはその混合物であってよい。これらは、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族または脂環式系であってよい。不飽和を含有するモノイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートを少量用いることもできる。
【0022】
適当な例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよびこれらの任意の所望の異性体含有量を有する混合物、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび/またはトリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートである。
【0023】
また、ウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレットジオンおよび/またはイミノオキサジアジンジオン構造を有するモノマージ−またはトリイソシアネートの誘導体を使用することも可能である。
【0024】
脂肪族および/または脂環式のジ −またはトリイソシアネートに基づくポリイソシアネートを用いることが好ましい。
【0025】
成分a)のポリイソシアネートが、二量体化またはオリゴマー化された脂肪族および/または脂環式ジ−またはトリイソシアネートであることは特に好ましい。
【0026】
HDIおよび1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタンまたはその混合物に基づくイソシアヌレート、ウレットジオンおよび/またはイミノオキサジアジンジオンは極めて特に好ましい。
【0027】
同様に、ウレタン基、アロファネート基、ビウレット基および/またはアミド基を有するNCO官能性プレポリマーは、成分a)として有用である。成分a)のプレポリマーは、よく知られた従来法により、モノマー、オリゴマーまたはポリイソシアネートa1)とイソシアネート反応性化合物a2)とを、触媒および溶媒の存在下または不存在下で適当な化学量論で反応させることにより得られる。
【0028】
有用なポリイソシアネートa1)は、当業者に自体既知の全ての脂肪族、脂環式、芳香族または芳香脂肪族ジ−およびトリイソシアネートであり、これらがホスゲン化によりまたはホスゲン不含法により得られたかは重要ではない。さらに、よく知られた従来使用されるウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレットジオンまたはイミノオキサジアジンジオン構造を有するモノマージ−および/またはトリイソシアネートのより高い分子量の派生生成物を、それぞれ個々にまたは互いの任意の所望の混合物として用いることもできる。
【0029】
成分a1)として有用な適当なモノマージ−またはトリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート(TIN)、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネートである。
【0030】
プレポリマーを合成するためのイソシアネート反応性化合物a2)は、好ましくはOH官能性化合物である。これらは、成分b)について以下に記載のOH官能性化合物に類似する。
【0031】
プレポリマーの調製のためにアミンを用いることも可能である。例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノベンゼン、ジアミノビスフェニル、2官能性ポリアミン、例えばJeffamines(登録商標)、10000g/モルまでの数平均モル質量を有するアミン末端ポリマーおよびこれらの互いの任意の所望の混合物は適当である。
【0032】
ビウレット基を含有するプレポリマーの調製のために、過剰のイソシアネートをアミンと反応させ、ビウレット基を形成する。この場合、記載のジ−、トリ−およびポリイソシアネートとの反応のためのアミンとして、上記の型の全てのオリゴマーまたはポリマーの第1級または第2級2官能性アミンは適当である。
【0033】
好ましいプレポリマーは、200〜10000g/モルの数平均モル質量を有する脂肪族イソシアネート官能性化合物およびオリゴマーまたはポリマーのイソシアネート反応性化合物から得られるウレタン、アロファネートまたはビウレットであり、特に好ましいのは、脂肪族イソシアネート官能性化合物および500〜8500g/モルの数平均モル質量を有するオリゴマーまたはポリマーポリオールまたはポリアミンから得られたウレタン、アロファネートまたはビウレットである。極めて特に好ましいのは、HDIまたはTMDIおよび1000〜8200g/モルの数平均モル質量を有する2官能性ポリエーテルポリオールから形成されたアロファネートである。
【0034】
上記のプレポリマーは、好ましくは1重量%未満、特に好ましくは0.5重量%未満、極めて特に好ましくは0.2重量%未満の遊離モノマーイソシアネートの残渣含有量を有する。
【0035】
当然のことながら、ポリイソシアネート成分は、記載のプレポリマーの他に比例的に更なるイソシアネート成分を含有し得る。この目的のために、芳香族、脂肪族、芳香脂肪族および脂環式ジ−、トリ−またはポリイソシアネートは適当である。上記ジ−、トリ−またはポリイソシアネートの混合物を用いることも可能である。適当なジ−、トリ−またはポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよびこれらの任意の所望の異性体含有量を有する混合物、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタン4,4’,4’’−トリイソシアネートまたはウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレットジオンまたはイミノオキサジアジン構造を有するこれらの誘導体およびこれらの混合物である。適当な方法により過剰のジイソシアネートが除かれたオリゴマー化および/または誘導体化ジイソシアネートに基づくポリイソシアネート、特にヘキサメチレンジイソシアネートは好ましい。HDIのオリゴマーイソシアヌレート、ウレットジオンおよびイミノオキサジアジンジオンおよびこれらの混合物は特に好ましい。
【0036】
必要に応じて、ポリイソシアネート成分a)が、イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物と部分的に反応したイソシアネートを比例的に含有することも可能である。本発明では、イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物として、α,β−不飽和カルボン酸誘導体、例えばアクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミドおよびビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテルおよびジシクロペンタジエニル単位を含有しおよび少なくとも1つのイソシアネートに対して反応性の基を有する化合物を好ましく使用し、これらは、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含有するアクリレートおよびメタクリレートが特に好ましい。適当なヒドロキシ官能性アクリレートまたはメタクリレートは、例えば以下のような化合物である:2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート、例えばTone(登録商標)M100(Dow、米国)、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、多価アルコール、例えばトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、エトキシル化、プロポキシル化またはアルコキシル化されたトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールおよびこれらの工業用混合物のヒドロキシ官能性モノ−、ジ−またはテトラ(メタ)アクリレート。また、単独でのまたは上記モノマー化合物と組み合わせたアクリレート基および/またはメタクリレート基を含有するイソシアネート反応性オリゴマーまたはポリマー不飽和化合物は適当である。イソシアネート反応性エチレン性不飽和化合物と部分的に反応したイソシアネートの割合は、イソシアネート成分a)を基準に0〜99%、好ましくは0〜50%、特に好ましくは0〜25%、極めて特に好ましくは0〜15%である。
【0037】
必要に応じて、上記ポリイソシアネート成分a)が、被覆技術から当業者に既知のブロック剤と完全にまたは部分的に反応したイソシアネートを完全にまたは比例的に含有することも可能である。ブロック剤の例として次のものが挙げられる:アルコール、ラクタム、オキシム、マロン酸エステル、アルキルアセトアセテート、トリアゾール、フェノール、イミダゾール、ピラゾールおよびアミン、例えばブタノンオキシム、ジイソプロピルアミン、1,2,4−トリアゾール、ジメチル−1,2,4−トリアゾール、イミダゾール、マロン酸ジエチル、エチルアセトアセテート、アセトンオキシム、3,5−ジメチルピラゾール、ε−カプロラクタム、N−tert−ブチルベンジルアミン、シクロペンタノンカルボキシエチルエステルまたはこれらブロック剤の任意の所望の混合物。
【0038】
ポリイソシアネート成分が、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂肪族プレポリマー、好ましくは第1級NCO基を有する脂肪族ポリイソシアネートまたはプレポリマーであることが特に好ましい。
【0039】
原則として、1分子当たり平均少なくとも1.5個のイソシアネート反応性基を有する任意の多官能性イソシアネート反応性化合物を、ポリオール成分b)として原理上用いることができる。
【0040】
本発明では、イソシアネート反応性基は、好ましくはヒドロキシル基、アミノ基またはチオ基であり、ヒドロキシ化合物は特に好ましい。
【0041】
適当な多官能性イソシアネート反応性化合物は、例えばポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレートおよび/またはポリウレタンポリオールである。
【0042】
適当なポリエステルポリオールは、例えば脂肪族、脂環式または芳香族ジ−またはポリカルボン酸またはその無水物と≧2のOH官能価を有する多価アルコールとから既知の方法により得られるような直鎖ポリエステルジオールまたは分枝状ポリエステルポリオールである。
【0043】
このようなジ−またはポリカルボン酸または無水物の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、oフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはトリメリット酸および酸無水物、例えばoフタル酸無水物、トリメリット酸無水物またはコハク酸無水物または任意の互いの所望の混合物である。
【0044】
適当なアルコールの例は、エタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールまたはテトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4ジメチロールシクロヘキサン、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロールまたは互いの任意の所望のこれらの混合物である。
【0045】
ポリエステルポリオールは、天然原料、例えばヒマシ油等に基づき得る。ポリエステルポリオールは、好ましくはラクトンまたはラクトン混合物の付加反応により得られるようなラクトン、例えばブチロラクトン、ε−カプロラクトンおよび/またはメチル−ε−カプロラクトン等と、ヒドロキシ官能性化合物、例えば上記型の≧2のOH官能価を有する多価アルコール等とのホモ−またはコポリマーに基づくことも可能である。
【0046】
このようなポリエステルポリオールは、400〜4000g/モル、特に好ましくは500〜2000g/モルの数平均モル質量を好ましくは有する。そのOH官能価は、好ましくは1.5〜3.5、特に好ましくは1.8〜3.0である。
【0047】
適当なポリカーボネートポリオールは、有機カーボネートまたはホスゲンとジオールまたはジオール混合物との反応により、自体既知の方法により得られる。
【0048】
適当な有機カーボネートは、ジメチル、ジエチルおよびジフェニルカーボネートである。
【0049】
適当なジオールまたは混合物は、ポリエステルセグメントにおいて記載の、≧2のOH官能価を有する多価アルコール、好ましくは1,4−ブタンジオール、1,6ヘキサンジオールおよび/または3−メチルペンタンジオールを含み、またはポリエステルポリオールは、ポリカーボネートポリオールへ変換することができる。
【0050】
このようなポリカーボネートポリオールは、400〜4000g/モル、特に好ましくは500〜2000g/モルの数平均モル質量を好ましくは有する。これらのポリオールのOH官能価は、好ましくは1.8〜3.2、特に好ましくは1.9〜3.0である。
【0051】
適当なポリエーテルポリオールは、環式エーテルとOH−またはNH−官能性スターター分子との重付加物であり、前記重付加物は、必要に応じてブロック構造を有する。
【0052】
適当な環式エーテルは、例えばスチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリンおよびこれらの任意の所望の混合物である。
【0053】
用い得るスターターは、ポリエステルポリオールにおいて記載の≧2のOH官能価を有する多価アルコールおよび第1級アミンまたは第2級アミンおよびアミノアルコールである。
【0054】
好ましいポリエーテルポリオールは、専らプロピレンオキシドのみに基づく上記の型のポリエーテルポリオール、またはプロピレンオキシドと更なる1−アルキレンオキシドとに基づくランダムまたはブロックコポリマーであり、1−アルキレンオキシドの割合は80重量%以下である。プロピレンオキシドホモポリマーおよびオキシエチレン、オキシプロピレンおよび/またはオキシブチレン単位を有するランダムまたはブロックコポリマーは特に好ましく、オキシプロピレン単位の割合は、全オキシエチレンの全量を基準に少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも45重量%となる。ここで、オキシプロピレンおよびオキシブチレンは、全ての各直鎖状および分子状C
3−およびC
4−異性体を含んでなる。
【0055】
このようなポリエーテルポリオールは、好ましくは250〜10000g/モル、特に好ましくは500〜8500g/モル、極めて特に好ましくは600〜4500g/モルの数平均モル質量を有する。OH官能価は、好ましくは1.5〜4.0、特に好ましくは1.8〜3.1である。
【0056】
さらに、低分子量脂肪族、芳香脂肪族または脂環式ジ−、トリ−または多官能性アルコールは、500g/モル未満の分子量を有し、短鎖状であり、すなわち、2〜20個の炭素原子を含有し、ポリオール成分b)の成分として、多官能性イソシアネート反応性化合物としても適当である。
【0057】
これらは、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、トリメチルペンタンジオール、ジエチルオクタンジオールの位置異性体、1,3−ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネートであり得る。適当なトリオールの例は、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンまたはグリセロールである。適当なより高い官能性アルコールは、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリスリトールまたはソルビトールである。
【0058】
特に好ましくは、ポリオール成分が第1級OH基を有することであり、極めて好ましくは、2官能性ポリエーテル−またはポリエステルまたは第1級OH基を有するポリエーテル−ポリエステルブロックコポリマーであることである。
【0059】
特に好ましいのは、ブチロラクトン、ε−カプロラクトンおよび/またはメチルε−カプロラクトンの1.8〜3.1の官能価と200〜4000g/モルの数平均分子量を有するポリエーテルポリオール上への付加生成物とHDIに基づくイソシアヌレート、ウレットジオン、イミノオキサジアジンジオンおよび/または他のオリゴマーと共にマトリックスポリマー成分の製造における成分a)およびb)の組み合わせである。極めて特に好ましいのは、HDIに基づくイソシアヌレート、ウレットジオン、イミノオキサジアジンジオンおよび/または他のオリゴマーと組み合わせた、1.9〜2.2の官能価および500〜2000g/モル(特に600〜1400g/モル)の数平均モル質量を有するポリ(テトラヒドロフラン)へのε−カプロラクトンの付加生成物であり、その数平均全分子量は、800〜4500g/モル、特に1000〜3000g/モルである。
【0060】
書込モノマーB)は、1以上の異なった放射線の影響下でエチレン性不飽和化合物と重合により反応し、それ自体NCO基を含有しない基(放射線硬化性基)を有する化合物を含んでなる。書込モノマーは、好ましくはアクリレートおよび/またはメタクリレートである。ウレタンアクリレートおよびウレタン(メタ)アクリレートは、極めて特に好ましい。
【0061】
1つの更なる好ましい実施態様では、書込モノマーは、とりわけモノ−および多官能性アクリレート書込モノマーを含み得る少なくともモノ−および/または多官能性書込モノマーを含んでなる。書込モノマーが、少なくとも1つの単官能性および1つの多官能性ウレタン(メタ)アクリレートを含むことは特に好ましい。
【0062】
アクリレート書込モノマーは、とりわけ、一般式(I):
【化1】
〔いずれの場合にも、nは、≧1およびn≦4であり、R
1、R
2は互いに独立して、水素、直鎖状、分枝状、環状または複素環式非置換または必要に応じてヘテロ原子により置換された有機基である。R
2が、水素またはメチルであり、R
1が直鎖状、分枝状、環状または複素環式非置換または必要に応じてヘテロ原子置換された有機基であることは特に好ましい。〕
で示される化合物であり得る。
【0063】
更なる不飽和化合物、例えばα,β−不飽和カルボン酸誘導体、例えばアクリレート、メタクリレート、マレエート、フマレート、マレイミド、アクリルアミドおよびビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテルおよびジシクロペンタジエニル含有化合物およびオレフィン不飽和化合物、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなど、オレフィン、例えば1−オクテンおよび/または1−デセン、ビニルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、メタクリル酸、アクリル酸等を添加することも可能である。しかしながら、好ましいのは、アクリレートおよびメタクリレートである。
【0064】
一般に、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルはそれぞれ、アクリレートおよびメタクリレートとして挙げられる。用いることができるアクリレートおよびメタクリレートの例は、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ブトキシエチル、メタクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸p−クロロフェニル、メタクリル酸p−クロロフェニル、アクリル酸p−ブロモフェニル、メタクリル酸p−ブロモフェニル、アクリル酸2,4,6−トリクロロフェニル、メタクリル酸2,4,6−トリクロロフェニル、アクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、メタクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、アクリル酸ペンタクロロフェニル、メタクリル酸ペンタクロロフェニル、アクリル酸ペンタブロモフェニル、メタクリル酸ペンタブロモフェニル、アクリル酸ペンタブロモベンジル、メタクリル酸ペンタブロモベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸フェノキシエトキシエチル、メタクリル酸フェノキシエトキシエチル、アクリル酸2−ナフチル、メタクリル酸2−ナフチル、アクリル酸1,4−ビス(2−チオナフチル)−2−ブチル、メタクリル酸1,4−ビス(2−チオナフチル)−2−ブチル、プロパン−2,2−ジイルビス[(2,6−ジブロモ−4,1−フェニレン)オキシ(2−{[3,3,3−トリス(4−クロロフェニル)プロパノイル]オキシ}プロパン−3,1−ジイル)オキシエタン−2,1−ジイル]ジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレートおよびそのエトキシル化類似化合物、アクリル酸N−カルバゾリルが挙げられるが、これらは使用され得るアクリレートおよびメタクリレートの抜粋である。
【0065】
ウレタンアクリレートは、少なくとも1つのアクリル酸エステル基を有し、さらに、少なくとも1つのウレタン結合を有する化合物を意味すると理解される。かかる化合物は、ヒドロキシ官能性アクリル酸をイソシアネート官能性化合物と反応させることにより得られることが知られている。
【0066】
この目的のために用いることができるイソシアネート官能性化合物の例は、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族および脂環式ジ−、トリ−またはポリイソシアネートである。
上記ジ−、トリ−またはポリイソシアネートの混合物を用いることも可能である。
適当なジ−、トリ−またはポリイソシアネートの例は、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよびこれらの任意の所望の異性体含有量を有する混合物、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、m−メチルチオフェニルイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートおよびトリス(pイソシアナトフェニル)チオホスフェートまたはウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレットジオンまたはイミノオキサジアジン構造を有するこれらの誘導体およびこれらの混合物である。芳香族または芳香脂肪族ジ−、トリ−またはポリイソシアネートが好ましい。
【0067】
ウレタンアクリレートの製造のために適当なヒドロキシ官能性アクリレートまたはメタクリレートは、例えば以下のような化合物である:2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート、例えばTone(登録商標)M100(Dow、シュバルバッハ、独国)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、多価アルコール、例えばトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、エトキシル化、プロポキシル化またはアルコキシル化されたトリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトールまたはこれらの工業用混合物のヒドロキシ官能性モノ−、ジ−またはテトラ(メタ)アクリレート。2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートおよびポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレートが好ましい。また、アクリレート基および/またはメタクリレート基を含有するイソシアネート反応性オリゴマーまたはポリマー不飽和化合物として、単独または上記モノマー化合物と組み合わせは適当である。ヒドロキシル基を含み、20〜300mgKOH/gのOH含量を有する自体既知のエポキシ(メタ)アクリレートまたはヒドロキシル基を含み、20〜300mgKOH/gのOH含量を有するポリウレタン(メタ)アクリレート、または20〜300mgKOH/gのOH含量を有するアクリル化ポリアクリレート、およびこれらの互いの混合物、およびヒドロキシル基を含む不飽和ポリエステルとの混合物、およびポリエステル(メタ)アクリレートとの混合物、またはヒドロキシル基を含む不飽和ポリエステルとポリエステル(メタ)アクリレートとの混合物も用いることができる。
【0068】
トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェートおよびm−メチルチオフェニルイソシアネートとアルコール官能性アクリレートの反応から得られるウレタンアクリレート、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等は好ましい。
【0069】
用いる光開始剤C)は、典型的には、化学線によって活性化され、対応する重合性基の重合を開始させる開始剤である。光開始剤は、それ自体既知の市販の化合物であり、単分子(I型)開始剤と二分子(II型)開始剤として分類される。これらの開始剤は、フリーラジカル重合、上記重合のアニオン(または)カチオン(または混合)形態についての化学型に従って更に用いる。
【0070】
光開始剤C)は、特に、アニオン染料、カチオン染料または中性染料および共開始剤を含み得る。
【0071】
フリーラジカル光重合のための(I型)系は、例えば芳香族ケトン化合物、例えば第3級アミン、アルキルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、アントロンおよびハロゲン化ベンゾフェノンまたはこれらの混合物との組合せたベンゾフェノンである。さらに、適しているのは、(II型)開始剤、例えばベンゾインおよびその誘導体、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシロホスフィンオキシド、フェニルグリオキシル酸エステル、カンファーキノン、α−アミノアルキルフェノン、α,α−ジアルコキシアセトフェノン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1,2−ジオン2−(O−ベンゾイルオキシム)およびα−ヒドロキシアルキルフェノンである。
【0072】
同様に、EP−A0223587に記載のアンモニウムアリールボレートと1種類以上の染料の混合物からなる光開始剤系もまた光開始剤として用いることができる。適当なアンモニウムアリールボレートの例は、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリナフチルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレート、テトラ(n−ヘキシル)アンモニウム(sec−ブチル)トリフェニルボレート、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムジペンチルジフェニルボレートおよびテトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレート(Cunninghamら、RadTech’98 North America UV/EB Conference Proceedings、シカゴ、1998年4月19〜22日)である。
【0073】
アニオン重合に使用される光開始剤は、概して(I型)系であり、第1列の遷移金属錯体から誘導される。クロム塩、例えばトランス−Cr(NH
3)
2(NCS)
4−(Kutalら,Macromolecules 1991年、第24巻、第6872頁)またはフェロセニル化合物(YamaguchiらMacromolecules 2000年、第33巻、第1152頁)はここに記載されなければならない。アニオン重合の更なる可能性は、光分解によってシアノアクリレートを重合することができる染料、例えばクリスタルバイオレットロイコニトリルまたはマラカイトグリーンなどの使用において構成される(NeckersらMacromolecules 2000年、第33巻、第7761頁)。しかしながら、発色団は、本発明の方法においてポリマー中に組み込まれることとなり、得られるポリマーは、本質的に着色される。
【0074】
カチオン重合に使用される光開始剤は、本質的に3つの種類:アリールジアゾニウム塩、オニウム塩(この場合、具体的には:ヨードニウム、スルホニウムおよびセレノニウム塩)ならびに有機金属化合物からなる。フェニルジアゾニウム塩は、水素供与体の存在下および非存在下で照射される場合には、重合を開始するカチオンを生成することができる。系全体の効率は、ジアゾニウム化合物へ対イオンとして用いられるイオンの性質によって決定される。この場合、好ましいのは、あまり反応性ではないが高価であり得るSbF
6−、AsF
6−またはPF
6−である。このような化合物は、通常、表面品質が暴露後に放出される窒素により低下するため(ピンホール)、被覆薄膜における使用にあまり適していない(Liら、Polymeric Materials Science and Engineering、2001年、第84巻、第139頁)。
【0075】
オニウム塩、特にスルホニウム塩およびヨードニウム塩は、非常に広く使用され、また、多くの形態で市販されている。このような化合物の光化学は、長い間、興味深い主題となっている。ヨードニウム塩は、励起された場合、まず、均一分解され、従って水素の引抜きによって安定化するフリーラジカルおよびフリーラジカルアニオンを生成し、プロトンを放出し、次いで、カチオン重合が開始する(Dektarら、J.Org.Chem.1990年、第55巻、第639頁;J.Org.Chem.、1991年、第56巻、第1838頁)。この機構により、フリーラジカル光重合のためのヨードニウム塩の使用も可能になる。再び、対イオンの選択は、非常に重要であり、SbF
6−、AsF
6−またはPF
6−は同様に好ましい。あるいは、芳香族部分の置換の選択はこの構造の種類ではかなり自由であり、適当な合成のための出発シントンの入手可能性によって実質的に決定される。
【0076】
スルホニウム塩は、ノリッシュ(II)型により分解される化合物である(Crivelloら、Macromolecules、2000年、第33巻、第825頁)。スルホニウム塩における対イオンの選択は、非常に重要であり、これは、実質的にポリマーの硬化速度に現れる。極めて良い結果は、概してSbF
6−塩で得られる。
【0077】
ヨードニウム塩およびスルホニウム塩の自己吸収は、<300nmであるため、このような化合物は、近UVまたは短波可視光での光重合のために適切に増感させなければならない。これは、より吸収性の高い芳香族、例えばアントラセンおよび誘導体(Guら、Am.Chem.Soc.Polymer Preprints、2000、41(2)、1266)またはフェノチアジンおよび/またはその誘導体(Huaら、Macromolecules 2001年、第34巻、第2488〜2494頁)などの使用によって行なわれる。
【0078】
これらの化合物の混合物を用いることは有利であってよい。硬化に使用される放射線源に応じて、光開始剤の型および濃度を、当業者に既知の様式で適合させなければならない。このような反応性希釈剤は、例えば、P.K.T.Oldring(編)、Chemistry & Technology of UV & EB Formulations For Coatings,Inks & Paints、第3巻、1991年、SITA Technology、ロンドン、第61〜328頁から利用可能である。
【0079】
好ましい光開始剤C)は、テトラブチルアンモニウムテトラヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレート([191726−69−9]、CGI 7460、BASF SEからの生成物、バーゼル、スイス)およびテトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレート([1147315−11−4]、CGI 909、BASF SEからの生成物、バーゼル、スイス)と例えばH. Berneth in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、Cationic Dyes、Wiley−VCH Verlag、2008年に記載のカチオン染料との混合物である。これらのカチオン染料は、好ましくは、式F
+An
−で示される。
【0080】
式F
+で示されるカチオン染料は、好ましくは、以下のクラスのカチオン染料を意味すると理解される:アクリジン染料、キサンテン染料、チオキサンテン染料、フェナジン染料、フェノキサジン染料、フェノチアジン染料、トリ(ヘト)アリルメタン染料、特にジアミノ−およびトリアミノ(ヘト)アリルメタン染料、モノ−、ジ−およびトリメチンシアニン染料、ヘキシアニン染料、外部カチオン性メロシアニン染料、外部カチオン性ニュートロシアニン染料、ヌルメチン染料、特にナフトラクタム染料、ストレプトシアニン染料。この型の染料は、例えばH.Berneth in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、Azine Dyes、Wiley−VCH Verlag、2008、H. Berneth in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、Methine Dyes and Pigments、Wiley−VCH Verlag、2008年、T.Gessner、U. Mayer in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry、Triarylmethane and Diarylmethane Dyes、Wiley−VCH Verlag、2000に記載されている。
【0081】
An
−は、アニオンを意味すると理解される。好ましいアニオンAn
−は、C
8−〜C
25−アルカンスルホネート、好ましくはC
13−〜C
25−アルカンスルホネート、C
3−〜C
18−パーフルオロアルカンスルホネート、好ましくはC
4−〜C
18−パーフルオロアルカンスルホネート、C
9−〜C
25−アルカノアート、C
9−〜C
25−アルケノアート、C
8−〜C
25−アルキルスルフェート、好ましくはC
13−〜C
25−アルキルスルフェート、C
8−〜C
25−アルケニルスルフェート、好ましくはC
13−〜C
25−アルケニルスルフェート、C
3−〜C
18−パーフルオロアルキルスルフェート、好ましくはC
4−〜C
18−パーフルオロアルキルスルフェート、4以上の当量のエチレンオキシドおよび/または当量4プロピレンオキシドに基づくポリエーテルスルフェート、ビス−C
4−〜C
25−アルキル、C
5−〜C
7−シクロアルキル、C
3−〜C
8−アルケニルまたはC
7−〜C
11−アラルキルスルホスクシネート、8以上のフッ素原子によって置換されたビス−C
2−〜C
10−アルキルスルホスクシネート、C
8−〜C
25−アルキルスルホアセテート、以下の群:ハロゲン、C
4−〜C
25−アルキル、パーフルオロ−C
1−〜C
8−アルキルおよび/またはC
1−〜C
12−アルコキシカルボニルからの少なくとも1つの部分により置換されたベンゼンスルホネート、必要に応じてニトロ−、シアノ−、ヒドロキシル−、C
1−〜C
25−アルキル−、C
1−〜C
12−アルコキシ−、アミノ−、C
1−〜C
12−アルコキシカルボニル−または塩素置換ナフタレン−またはビフェニルジスルホネート、必要に応じてニトロ−、シアノ−、ヒドロキシル−、C
1−〜C
25−アルキル−、C
1−〜C
12−アルコキシ−、C
1−〜C
12−アルコキシカルボニル−または塩素−置換ベンゼン−、ナフタレン−またはビフェニルジスルホネート、ジニトロ−、C
6−〜C
25−アルキル−、C
4−〜C
12−アルコキシカルボニル−、ベンゾイル−、クロロベンゾイル−またはトルオイル−置換ベンゾアート、ナフタレンジカルボン酸のアニオン、ジフェニルエーテルジスルホネート、スルホネート化またスルフェート化された、脂肪族C
1−〜C
8−アルコールまたはグルセロールの任意にモノ−またはポリ不飽和C
8−〜C
25−脂肪酸エステル、ビス(スルホ−C
2−〜C
6−アルキル)C
3−〜C
12−アルカンジカルボン酸エステル、ビス(スルホ−C
2−〜C
6−アルキル)イタコン酸エステル、(スルホ−C
2−〜C
6−アルキル)C
6−〜C
18−アルカンカルボン酸エステル、(スルホ−C
2−〜C
6−アルキル)アクリル酸またはメタクリル酸エステル、必要に応じて12個までのハロゲン部分により置換されたトリスカテコールホスフェート、以下の群:テトラフェニルボレート、シアノトリフェニルボレート、テトラフェノキシボレート、C
4−〜C
12−アルキルトリフェニルボレート、そのフェニルまたはフェノキシ部分はハロゲン、C
1−〜C
4−アルキルおよび/またはC
1−〜C
4−アルコキシ置換されていてよく、C
4−〜C
12−アルキルトリナフチルボレート、テトラ−C
1−〜C
20−アルコキシボレート、7,8−または7,9−ジカルバニドウンデカボレート(1−)または(2−)、これは任意にBおよび/またはC原子上に1または2個のC
1−〜C
12−アルキルまたはフェニル置換基を有し、ドデカヒドロジカルバドデカボレート(2−)またはB−C
1−〜C
12−アルキル−C−フェニルドデカヒドロジカルバドデカボレート(1−)からのアニオンであり、ここで、例えばナフタレンジスルホネートのような多価アニオンにおけるAn
−は、このアニオンの1当量を表し、アルカンおよびアルキル基は、分枝状であってよく、および/またはハロゲン、シアノ、メトキシ、エトキシ、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル置換されていてよい。
【0082】
特に好ましいアニオンは、sec−C
11−〜C
18−アルカンスルホネート、C
13−〜C
25−アルキルスルフェート、分枝状C
8−〜C
25−アルキルスルフェート、任意に分枝したビス−C
6−〜C
25−アルキルスルホスクシネート、sec−またはtert−C
4−〜C
25−アルキルベンゼンスルホネート、スルホネート化またはスルフェート化された、脂肪族C
1−〜C
8−アルコールまたはグリセロールの任意にモノ−またはポリ不飽和C
8−〜C
25−脂肪酸エステル、ビス(スルホ−C
2−〜C
6−アルキル)C
3−〜C
12−アルカンジカルボン酸エステル、(スルホ−C
2−〜C
6−アルキル)C
6−〜C
18−アルカンカルボン酸エステル、12個までのハロゲン部分により置換されたトリスカテコールホスフェート、シアノトリフェニルボレート、テトラフェノキシボレートである。
【0083】
また、染料のアニオンAn
−が、1〜30、好ましくは1〜12の範囲、より好ましくは1〜6.5の範囲のAClogPを有することは好ましい。AClogPは、J.Comput.Aid.Mol.Des.2005、19、453;Virtual Computational Chemistry Laboratory、http://www.vcclab.orgに記載の化合物である。
【0084】
特に好ましいのは、水吸収5重量%を有する染料F+Anである。
水吸収は、式(F−1):
W=(m
f/m
t−1)×100% (F−1)
〔式中、m
fは、水飽和後の染料の質量であり、およびm
tは、乾燥染料m
tの質量である。m
tは、例えば高温にて真空で、染料の特定の量を一定の質量へ乾燥することにより確認される。m
fは、空気中で規定湿度にて放置した染料の特定の量を一定重量とすることにより決定する。〕
から明らかである。
【0085】
更なる好ましい実施態様では、光開始剤C)は、テトラブチルアンモニウムテトラヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリフェニルブチルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレート([191726−69−9]、CGI 7460、BASF SEからの生成物、バーゼル、スイス)およびテトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレート([1147315−11−4]、CGI 909、BASF SEからの生成物、バーゼル、スイス)と、染料、例えばアストラゾンオレンジG、ベーシックブルー3、ベーシックブルー22、ベーシックバイオレット7、メチレンブルー、新メチレンブルー、アズールA、ピリリウムI、サフラニンO、シアニン、ガロシアニン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット、エチルバイオレットおよびチオニン等との混合物である。特に好ましいのは、上記染料が上記アニオンを有することである。
【0086】
光開始剤が、400〜800nmのスペクトル領域が、吸収スペクトルにより少なくとも部分的に覆われている染料と、この染料へ適合した少なくとも1つの共開始との組み合わせを含む場合、極めて特に好ましい。
【0087】
触媒c)は、とりわけ、一般式(II):
RSnL
3 (II)
〔式中、
Rは、任意にヘテロ原子、特に酸素で、鎖中においても置換された1〜30個の炭素原子の直鎖状または分枝状アルキル基であり、および
Lはそれぞれ、互いに独立して、−O
2C−R
3基
〔式中、R
3は、炭素原子1〜30個の直鎖状またはアルキル基であり、これは、任意に、鎖中においても、ヘテロ原子、特に酸素、炭素原子2〜30個のアルケニル基または任意の所望の置換または非置換の任意にヘテロ原子を有するまたは有さない多環式芳香族環で置換されている〕
で示される化合物を含み得る。
【0088】
この場合、特に好ましいのは、Rは、炭素原子1〜12個の直鎖状または分枝状アルキル基であり、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、n−、i−、t−ブチル、n−オクチル基であり、より好ましくはn−、i−、t−ブチル基でありおよび/またはR
3は、必要に応じてヘテロ原子で、特に酸素で、鎖中においても置換された直鎖状または分枝状の炭素原子2〜17個のアルケニル基または炭素原子1〜17個のアルキル基、より好ましくは、直鎖状または分枝状の炭素原子3〜13個のアルキルまたはアルケニル基、さらに好ましくは直鎖または分枝状の炭素原子5〜11個のアルキルまたはアルケニル基であり、とりわけ、Lは同じである。
【0089】
更なる適当な触媒は、例えば一般式(III):
Bi(III)M
3 (III)、
または一般式(IV):
Sn(II)M
2 (IV)
〔式中、Mは、互いに独立して、−O
2C−R
4〔式中、R
4は、飽和または不飽和またはヘテロ原子置換C
1−〜C
19−アルキル基またはC
2−〜C
19アルケニル基、特にC
6−〜C
11−アルキル基、より好ましくはC
7−〜C
9−アルキル基であり、または任意に芳香族的にまたは酸素または窒素で任意の所望の形態で置換されたC
1−〜C
18−アルキル基であり、Mは、式(III)および(IV)において同じ意味を有する必要はない〕
で示される化合物である。
【0090】
更なる適当な触媒は、例えば一般式(V):
FeQ
3 (V)
〔式中、Qは、互いに独立して、式(Va):
【化2】
〔式中、R
5およびR
7はそれぞれ、互いに独立して、任意にヘテロ原子置換C
1−〜C
18−アルキル基またはC
2−C
18アルケニル基、特にC
1−〜C
10−アルキル基、さらに好ましくはC
1−〜C
4−アルキル基であり、またはR
5およびR
6は組み合わさって例えば−CH
2−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH
2−CH
2−CH
2−、−CH
2−CH
2−CH
2−CH
2−CH
2−、−CH=CH−CH=CH−からのブリッジまたは任意にヘテロ原子置換芳香族またはヘテロ芳香族環を形成し、およびR
6はメチルまたは水素である〕
で示される有機アニオンである〕
で示される化合物である。
【0091】
従って、ウレタン化触媒c)が上記式(II)、(III)、(IV)および/または(V)で示される化合物の群から選択されることが特に好ましい。
【0092】
従って、ウレタン化触媒c)が上記式(II)、(III)および/または(IV)で示される化合物の群から選択されることが極めて特に好ましい。
【0093】
用語アルキル基および任意に芳香族的にまたは酸素または窒素で任意の所望の形態で置換されたアルキル基は、直鎖状または分枝状アルキル基、例えばメチル、エチル、異性体プロピル、異性体ブチル、異性体ペンチル、異性体ヘキシル、異性体オクチル、異性体デシル、異性体ドデシル、異性体ヘキサデシル、異性体ヘプタデシル、異性体オクタデシル、シクロヘキシルメチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシブチル、エトキシエチル、エトキシプロピル、エトキシブチル、エトキシエトキシエチル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノブチル、N−モルフォリノメチル、N−モルフォリノエチル、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、ナフチルメチル、ピリジルメチル、ピリジルエチルを意味すると理解される。
【0094】
アルケニル基は、上記の少なくとも3個の炭素原子および少なくとも炭素二重結合を有するアルキル基を意味すると理解される。その例は、アリル、ホモアリ、異性体ペンテニル、異性体ヘキセニル、異性体オクテニル、異性体デセニル、異性体ウンデセニル、異性体ヘプタデシニル、異性体ヘプタデセニル、異性体ヘプタデカジエニルである。
【0095】
任意の所望の置換または非置換の任意の多環式のヘテロ原子を有するまたは有さない芳香族環は、例えばフェニル、トリル、キシリル、クロロフェニル、アニシル、ニトリフェニル、ナフチル、ピリジル、チエニルを意味する。
【0096】
適当な触媒c)の例は、メチル錫トリス(2−エチルヘキサノエート)、エチル錫トリス(2−エチルヘキサノエート)、プロピル錫トリス(2−エチルヘキサノエート)、ブチル錫トリス(2−エチルヘキサノエート)、ヘキシル錫トリス(2−エチルヘキサノエート)、メチル錫トリス(アセテート)、エチル錫(アセテート)、プロピル錫トリス(アセテート)、ブチル錫トリス(アセテート)、ヘキシル錫トリス(アセテート)、メチル錫トリス(プロピオネート)、エチル錫トリス(プロピオネート)、プロピル錫トリス(プロピオネート)、ブチル錫トリス(プロピオネート)、ヘキシル錫トリス(プロピオネート)、メチル錫トリス(ブチレート)、エチル錫トリス(ブチレート)、プロピル錫トリス(ブチレート)、ブチル錫トリス(ブチレート)、ヘキシル錫トリス(ブチレート)、メチル錫トリス(ヘキサノエート)、エチル錫トリス(ヘキサノエート)、プロピル錫トリス(ヘキサノエート)、ブチル錫トリス(ヘキサノエート)、ヘキシル錫トリス(ヘキサノエート)、メチル錫トリス(デカノエート)、エチル錫トリス(デカノエート)、プロピル錫トリス(デカノエート)、ブチル錫トリス(デカノエート)、ヘキシル錫トリス(デカノエート)、ビスマス(III)トリス(ヘキサノエート)、ビスマス(III)トリス(ヘプタノエート)、ビスマス(III)トリス(オクタノエート)、ビスマス(III)トリス(ノナノエート)、ビスマス(III)トリス(デカノエート)、ビスマス(III)トリス(ドデカノエート)、ビスマス(III)トリス(ネオデカノエート)、次没食子酸ビスマス(III)、次サリチルビスマス(III)、錫(II)ビス(アセテート)、錫(II)ビス(プロピオネート)、錫(II)ビス(ブチレート)、錫(II)ビス(ペンタノエート)、錫(II)ビス(ヘキサノエート)、錫(II)ビス(2−エチルヘキサノエート)
、錫(II)ビス(ノナノエート)、錫(II)ビス(デカノエート)、錫(II)ビス(ドデカノエート)、錫(II)ビス(オレエート)、鉄(III)トリス((2Z)−3−ヒドロキシ−1,3−ジフェニルプロプ−2−エン−1−オン)、鉄(III)トリス(3−ヒドロキシ−5−(4−メチルフェニル)シクロヘクス−2−エン−1−オン)、鉄(III)トリス(5−ヘキシル−3−ヒドロキシシクロヘクス−2−エン−1−オン)、鉄(III)トリス((3E)−1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−4−ヒドロキシペント−3−エン−2−オン)、鉄[iii]トリス−アセチルアセトネート、鉄(III)トリス(3−ヒドロキシシクロペント−2−エン−1オン)、鉄(III)トリス((4E)−5−ヒドロキシヘクスー4−エン−3オン)、鉄(III)トリス((3Z)−4−ヒドロキシ−4−フェニルブト−3−エン−2−オン)、鉄(III)トリス((2Z)−3−(3−クロロフェニル)−1−シクロプロピル−3−ヒドロキシプロプ−2−エン−1−オン)、鉄(III)トリス((1Z)−1−(4−フルオロフェニル)−1−ヒドロキシ−4−メチルペント−1−エン−3−オン)、鉄(III)トリス((2Z)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシブト−2−エン−1−オン)、鉄(III)トリス((2Z)−1−(4−クロロフェニル)−4,4,4−トリフルオロ−3−ヒドロキシブト−2−エン−1−オン)、鉄(III)トリス(−アセチル−3−オキソ−N−フェニルブタンチオアミド)、鉄(III)トリス(メチル3−アセチル−4−オキソペンタノエート)、鉄(III)トリス([メチルスルファニル)メチル]ペンタン−2,4−ジオン)、鉄(III)トリス(3−(4−ニトロフェニル)ペンタン−2,4−ジオン)、鉄(III)トリス(3−(4−ニトロフェニル)ペンタン−2,4−ジオン)、鉄(III)トリス(3−(4−ニトロフェニル)ペンタン−2,4−ジオン)、鉄(III)トリス(3−アセチルヘキサン−2,5−ジオン)、鉄(III)トリス(4−アセチル−5−オキソヘキサンニトリル)、鉄(III)トリス(3−[(フェニルスルホニル)メチル]ペンタン−2,4−ジオン)、鉄(III)トリス(3−フルオロペンタン−2,4−ジオン)、鉄(III)トリス(3−ベンジルペンタン−2,4−ジオン)、鉄(III)トリス(3−(ピリジン−3−イルメチル)ペンタン−2,4−ジオン)、鉄(III)トリス(3−tert−ブチルペンタン−2,4−ジオン)、鉄(III)トリス(3−プロピルペンタン−2,4−ジオン)、鉄(III)トリス(3−フェニルペンタン−2,4−ジオン)、鉄(III)トリス(3−ペンチルペンタン−2,4−ジオン)、鉄(III)トリス(3−ブチルペンタン−2,4−ジオン)、鉄(III)トリス(3−(4−クロロベンジル)ペンタン−2,4−ジオン)、鉄(III)トリス(3−メチルペンタン−2,4−ジオン)である。
【0097】
特に好ましい触媒c)は、ブチル錫トリス(2−エチルヘキサノエート)、鉄[iii]トリス−アセチルアセトネート、ビスマス(III)トリス(2−エチルヘキサノエート)および錫(II)ビス(2−エチルヘキサノエート)である。
【0098】
更なる好ましい実施態様では、フォトポリマー処方物は、可塑剤、より好ましくは可塑剤としてウレタンを含有し、とりわけ、このウレタンは少なくとも1つのフッ素原子により置換されていてよい。
【0099】
ウレタン可塑剤は、好ましくは一般式(VI):
【化3】
〔式中、mは、≧1および≦8であり、R
8、R
9、R
10は互いに独立して、水素、直鎖状、分枝状、環状または複素環式非置換または必要に応じてヘテロ原子置換された有機基であり、好ましくはR
8、R
9、R
10の少なくとも1つは、少なくともフッ素原子で置換され、より好ましくは、R
8は、少なくとも1つのフッ素原子を有する有機基である。
R
8が、非置換または必要に応じてヘテロ原子、例えばフッ素等で置換された直鎖状、分枝状、環式または複素環式有機基であることは特に好ましい。〕
を有し得る。
【0100】
好ましくは、本発明のフォトポリマー処方物は、
10〜84.999重量%のポリオール成分a)、
2〜30重量%のポリイソシアネート成分b)、
10〜60重量%の書込モノマーB)、
0.001〜10重量%の光開始剤C)、
0.001〜4重量%の触媒c)、および任意に
0〜30重量%の可塑剤D)
を含み得る。ここで重量%トリオールは常に100重量%まで添加する。
【0101】
極めて特に好ましくは、フォトポリマー処方物は、
25〜70重量%のポリオール成分a)、
5〜25重量%のポリイソシアネート成分b)、
25〜50重量%の書込モノマーB)、
0.01〜5重量%の光開始剤C)、
0.01〜2重量%の触媒c)、および任意に
0〜25重量%の可塑剤D)
を含み、ここで重量%トリオールは常に100重量%まで添加する。
【0102】
本発明はまた、本発明のフォトポリマー処方物を含有する、または本発明のフォトポリマー処方物を用いて得られるホログラフィック媒体を提供する。本発明は、ホログラフィック媒体を製造するための本発明のフォトポリマー処方物の使用を更に提供する。
【0103】
本発明のフォトポリマー処方物は、ホログラフィック媒体の製造に特に有用である。
【0104】
従って、本発明はまた、
(I)本発明のフォトポリマー処方物を全ての成分を混合することにより調製し、
(II)フォトポリマー処方物を、加工温度においてホログラフィック媒体のための所望の形態へ加工し、および
(III)所望の形態でウレタン形成により加工温度を超える架橋温度において硬化する、
ホログラフィック媒体の製造方法を提供する。
【0105】
加工温度は、特に≧15および≧40℃、好ましくは≧18および≦25℃であってよい。
【0106】
フォトポリマー処方物は、好ましくは工程II)においてフィルムの形態へ加工される。このために、フォトポリマー処方物は、例えば担体基材へ平坦に塗布することができ、この場合、例えば当業者に既知の装置、例えばブレードコーター(ドクターブレード、ナイフ−オーバー−ブレード、コンマバー等)またはスロットダイを用いることができる。
【0107】
用いる担体は、可視スペクトルの光に対して透明(400〜780nmの波長範囲において85%より大きい透過率)である物質または物質の集合の1つの層であってよい。
【0108】
好ましい担体基材のための物質または物質の集合は、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、酢酸セルロース、水和セルロース、硝酸セルロース、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、ポリエポキシド、ポリスルホン、三酢酸セルロース(CTA)、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラールまたはポリジシクロペンタジエンまたはその混合物をベースとするものである。これらは、より好ましくはPC、PETおよびCTAに基づく。物質の集合は、自立式ポリマーシートまたは共押出物のラミネートであってよい。好ましい物質の集合は、構成A/B、A/B/AまたはA/B/Cの1つに従って構築されたデュプレックスおよびトリプレックスフィルムである。特に好ましいのは、PC/PET、PET/PC/PETおよびPC/TPU(TPU=熱可塑性ポリウレタン)である。
【0109】
上記担体基材に対する択一例として、平面状のガラス板を使用することも可能であり、これは、特に、大きな面積を正確に結像露光するため、例えば、ホログラフィックリソグラフィーのために使用される(IEEE Transactions on Electron Devices、1978年、ED−25(10)、第1193〜1200頁、ISSN:0018−9383)。
【0110】
担体基材の物質または物質の集合は、片側または両側が、非粘着性、静電気防止性、撥水性または親水性処理されていてよい。フォトポリマーに面する側では、記載の改質は、フォトポリマーを担体基材から破壊されることなく除去することを可能にするために働く。フォトポリマーから離れた担体基材の側の改質は、本発明の媒体が、例えば、リールラミネーターでの加工処理、特にオープンリール法において特定の機械的要件を満たすことを確実にするために働く。
【0111】
担体基材は、片側または両側に被覆物を有し得る。
【0112】
架橋温度は、特に≧60℃および≦100℃、好ましくは≧70℃および≦95℃、より好ましくは≧75℃および≦90℃であってよい。
【0113】
本発明はまた、本発明の方法によって得られるホログラフィック媒体を提供する。
【0114】
本発明は、担体基材、そこに適用された本発明のフォトポリマー処方物のフィルム、任意に担体基材から離れたフィルムの側へ適用したカバー層を含む層構築物を更に提供する。
【0115】
層構築物は、とりわけ、フィルムを汚れおよび環境的影響から保護するためにフィルム上に1以上のカバー層を含み得る。ポリマーシートまたは複合材料シート系は、このために用いることができるが、クリアコートも用いることができる。
【0116】
用いるカバー層は、好ましくは、担体基材に用いる材料と同様のシート基材であり、これらの材料は、典型的には5〜200μm、好ましくは8〜125μm、特に好ましくは20〜50μmであるの厚みを有し得る。
【0117】
好ましいのは、極めて平滑な表面を有するカバー層である。その尺度は、DIN EN ISO 4288「Geometrical Product Specification(GPS)−Surface Texture...」、試験条件R3z前後に従って決定される粗さである。好ましい粗さは、2μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲である。
【0118】
用いるカバー層は、好ましくは厚みが20〜60μmからのPEまたはPETフィルムである。特に好ましいのは、厚みが40μm厚のポリエチレンシートを用いることである。
【0119】
同様に、層構造が更なるカバー層を保護層として担体基材上に有することが可能である。
【0120】
本発明はまた、ホログラム、特にインライン型ホログラム、二光束(off−axis)ホログラム、フルアパチャートランスファーホログラム、白色光透過型ホログラム、デニシュクホログラム、二光束反射ホログラムまたはエッジリットホログラムおよびホログラフィックステレオグラムを製造するための本発明のホログラフィック媒体の使用を提供する。
【0121】
本発明のホログラフィック媒体は、全可視範囲および近UVスペクトル(300〜800nm)において光学的用途のための適切な露光プロセスによりホログラムへ処理することができる。可視ホログラムは、当業者に知られた方法により記録することができる任意のホログラムを含む。この定義としては、とりわけ、インライン型(ガーボル)ホログラム、二光束(off−axis)ホログラム、フルアパチャートランスファーホログラム、白色光透過型ホログラム(「レインボーホログラム」)、デニシュクホログラム、二光束反射ホログラム、エッジリットホログラムおよびホログラフィックステレオグラムが挙げられる。反射ホログラム、デニシュクホログラムおよび透過型ホログラムが好ましい。
【0122】
本発明の媒体を用いて得られるホログラムの可能性のある光学機能は、光学部材、例えばレンズ、鏡、偏向鏡、フィルター、散乱ディスク、回折部材、光導体、導波管、投影スクリーンおよび/またはマスク等の光学機能に対応する。多くの場合、このような光学部材は、どのようにホログラムに光照射されたか、およびホログラムの寸法に応じて周波数選択性を示す。
【0123】
また、本発明のホログラフィック媒体を用いてホログラム画像または表示、例えば個人の肖像画、セキュリティ書類におけるバイオメトリック表示、または一般に広告、セキュリティラベル、商標保護、商標ブランド表示、ラベル、デザイン部材、装飾、説明、多重旅行チケット、イメージ等のための画像または画像構造、デジタルデータ、とりわけ上記の生成物と組み合わせて表示することができる画像を製造することができる。ホログラフィック画像は、3次元画像のくぼみを与え得るだけでなく、照射される角度および光源(可動光源を含む)等に応じて、連続画像、短編映画または多くの異なった被写体を表示するものであってもよい。このような種々の設計可能性に起因して、ホログラム、特に体積ホログラムは、上記用途のための魅力的な技術的解決法である。
【実施例】
【0124】
本発明を、実施例を参照してより詳細に説明する。
【0125】
特記のない限り、全ての百分率は重量による。
【0126】
以下で用いた記号:
次のものを含むフォトポリマー処方物:
・ポリイソシアネート成分a)、および
イソシアネート反応性ポリオール成分b)
から前駆体として構成され、および
触媒c)を用いて3次元架橋された
3次元架橋有機マトリックスポリマーA)、
・放射線への暴露によりエチレン性不飽和化合物と重合により反応する基(放射線硬化性基)を有し、マトリックスポリマー中に溶解または分散状態で存在する書込モノマーB)
・光開始剤C)
・任意に可塑剤D)
・任意に溶媒d)、
任意にフリーラジカル安定剤、添加剤および他の助剤および/または添加剤E)。
【0127】
測定の方法
OH価
記載のOH価は、DIN 53240−2に従って決定した。
【0128】
NCO価
記載のNCO値(イソシアネート含有量)は、DIN EN ISO 11909に従って決定した。
【0129】
分子量
分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC)を用いて決定した。
Mp1000000〜162の分子量を有するポリスチレン標準を校正に用いる。
分析のためのテトラヒドロフランを溶離剤として用いる。
以下のパラメーターを、繰り返し測定において維持する:
脱気:オンライン脱気装置
流速:
1ml/分
分析時間:
45分
検出器:屈折系およびUV検出器
射出体積:
100μL〜200μL
【0130】
モル質量は、M
w、M
nおよびM
pを意味し、多分賛成M
w/M
nは、ソフトウェアサポートにより計算する。基線点および評価限界は、DIN 55672 Part 1に従って固定する。
【0131】
粘度
粘度を測定すべき成分または混合物は、特記のない限り、20℃にて、レオメーターのコーン−プレート測定系(Anton Paar PhysicaからのMCR 51)中で適用した。測定は、以下の条件下で行った:
・測定体:コーンCP25、d=25mm、角度=1度
・コーンおよびプレート間の距離としての測定ギャップ:0.047 mm
・測定時間:10秒
・250L/秒のせん断速度における粘度の決定
【0132】
固形分
固形分は、IRはかりの取扱説明書に従って、約1gの物資を使い捨て可能なアルミニウム皿へ塗布し、140℃にて、30秒間一定重量となるまで加熱するか、または約1gの物質を特別な使い捨て可能なアルミニウム皿(最大溶媒含有量10重量%を有する系に適当である)へ塗布し、125℃にて60分間、乾燥棚において加熱することにより決定した。適当な曲げペーパークリップを用いて決定すべき物質を分配し、フィルムの均質な乾燥を確保した。ペーパークリップは、測定の間残し、初期重量において考慮される必要があった。
【0133】
ゲルポイントG
Gelおよびフォトポリマー処方物のt
Gelおよび活性化温度T
Aktの測定
ゲルポイントG
Gelおよびt
Gelおよび活性化温度T
Aktを、光開始剤を有さない処方物について、光開始剤については測定の必要がなく、ゲルポイントG
Gelおよびt
GelおよびT
Aktは、処方物中の光開始剤の存在により影響を受けないので決定した。
【0134】
振動レオメーターを用いるフォトポリマーのゲルポイントG
Gelおよびt
Gelの測定
ゲルポイントG
Gelおよびt
Gelを決定するためのフォトポリマー処方物を、成分B)、任意にポリオール成分b)中に添加剤を溶解することにより調製した。乾燥棚中で60℃にて加熱することは、最大10分間に限定した。加熱することは、成分が既に液体である場合に不溶であった。次いでポリイソシアネート成分a)を1分間スピードミキサー中で混合しながら添加した。次いで、成分c)の溶液を、成分d)に、1分間スピードミキサー中で再び混合しながら添加した。成分c)の濃度は、成分d)中において5または10重量%であった。この溶液は、表1として記載の量に用いた。
【0135】
次いで、なお液体処方物を、レオメーター(Anton Paar Physicaからのオーブン型CTD 450を有するMCR 301、温度Tへ予備加熱した)のプレート−プレート測定系へ導入した。次いで、時間によるフォトポリマー処方物のマトリックスの硬化を、以下の条件下で測定した:
・プレート間隔250μm
・10Hzの一定の角振動数および10%の調節変形振幅における振動モード
303Kまたは313Kまたは328Kまたは343Kまたは353Kにおける温度T0ニュートンに設定した垂直力調節
・測定時間tにわたる、少なくとも時間t
Gelにおけるゲル点の条件G’=G’’=G
Gelに達するまでの貯蔵弾性率G’および損失弾性率G’’の記録。
【0136】
図1は、例として、ゲルポイントを超えるまでマトリックスネットワークの効果の過程を示す。開始時には、液体フォトポリマー処方物が存在し、このためG’’ > G’を維持する。架橋を確保することは、時間t
Gelにおける貯蔵弾性率G’=G’’=G
Gelまで増加する弾性を引き起こした。これは、ゲルポイントを定義する。次いでマトリックスG’の架橋を更に継続する過程では> G’’のままであった。
【0137】
フォトポリマー処方物の活性化温度T
Aktの決定
ゲル時間T
Aktは、マトリックスが硬化する高温では、触媒(成分c)はより活性であるので温度に依存する。従って、t
Gelを異なった温度Tにおいて1つおよび同じフォトポリマー処方物について決定した。次いで、t
Gelについて得た値を、1/Kで与えられる対応する絶対温度の逆数1/Tに対してプロットした。これについてy軸の対数スケールを選択し、線形依存性を得、これは、以下:
【数2】
として与えられる。
【0138】
次いで活性化温度T
Aktを、直線回帰を用いて決定した。
【0139】
図2は、例として、t
Gelの上記温度依存性を示す。
【0140】
フォトポリマー層の層厚みの測定
物理層厚みを、市販の白色光干渉計、Ingenieursbuero FuchsからのFTM−Lite NIR層厚み測定装置を用いて決定した。
【0141】
用いた物質
用いたポリイソシアネート成分a)
イソシアネート成分1(成分a1)、Desmodur N 3900は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)からの生成物であり、ヘキサンジイソシアネートに基づくポリイソシアネート、イミノオキサジアジンジオンの割合少なくとも30%、NCO含量:23.5%である。
【0142】
イソシアネート成分2(成分a2)、Desmodur XP 2599は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)の生成物であり、Acclaim 4200についてのヘキサンジイソシアネートの完全アロファネート、NCO含量約5.6〜6.4%である。
【0143】
イソシアネート成分3(成分a3)、Desmodur XP 2747は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)の生成物、約280g/モルの数平均モル質量、NCO含有量:16.5〜17.3%を有するポリプロピレングリコールについてのヘキサンジイソシアネートの完全アロファネート、NCO含有量:16.5〜17.3%である。
【0144】
用いるイソシアネート反応性成分(成分b)
ポリオール1(成分b1)は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)からの生成物であり、その製法は、以下に記載する。
【0145】
ポリオール2(成分b2)、Acclaim 4200は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)からの生成物であり、数平均分子量4000g/モルのポリプロピレンオキシドである。
【0146】
ポリオール3(成分b3)は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)からの生成物であり、その製法は、以下に記載する。
【0147】
用いたアクリレート(成分B)
アクリレート1(成分B1)、[1072455−04−9]は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)からの生成物であり、その製法は、以下に記載する。
【0148】
アクリレート2(成分B2)、[1207339−61−4]は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)からの生成物であり、その製法は、以下に記載する。
【0149】
アクリレート3(成分B3)は、成分B1)および成分B2)の等しい重量部の混合物である。
【0150】
光開始剤系(成分C)の用いた成分
共開始剤1テトラブチルアンモニウムトリス(3−クロロ−4−メチルフェニル)(ヘキシル)ボレート、[1147315−11−4])は、BASF SE(バーゼル、スイス、2010年)から得られる生成物である。
【0151】
染料1は、新メチレンブルー[1934−16−3]であり、SIGMA−ALDRICH CHEMIE GmbH(シュテンハイム、独国)から得られた。
【0152】
染料2は、サフラニンO[1477−73−6]であり、SIGMA−ALDRICH CHEMIE GmbH(シュテンハイム、独国)から得られた。
【0153】
染料3は、アストラゾンオレンジG[13056−93−7)であり、SIGMA−ALDRICH CHEMIE GmbH(シュテンハイム、独国)から得られた。
【0154】
用いた非光重合性成分(成分D)
非光重合性成分(成分D)は、Bayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)の生成物であり、その製法は、以下に記載する。
【0155】
用いた触媒(成分dに溶解した成分c)
触媒1(成分c1):ウレタン化触媒Fomrez UL 28、ジメチルビス[(1−オキソネオデシル)オキシ]スタンナン、Momentive Performance Chemicals(ウィルトン、コネチカット州、米国)の市販生成物。
【0156】
触媒2(成分c2):ウレタン化触媒Fomrez UL 29、ジメチルビス[(1−オキソネオデシル)オキシ]スタンナン、Momentive Performance Chemicals(ウィルトン、コネチカット州、米国)からの生成物。
【0157】
触媒3(成分c3):ウレタン化触媒Fomrez UL 38、ジオクチル錫ジ−ネオデカノエート、Momentive Performance Chemicals(ウィルトン、コネチカット州、米国)からの生成物。
【0158】
触媒4(成分c4):ウレタン化触媒Fomrez UL 50、ジメチルビス(オレオイルオキシ)スタナン、Momentive Performance Chemicals(ウィルトン、コネチカット州、米国)からの生成物。
【0159】
触媒5(成分c5):ウレタン化触媒Fomrez UL 54、ジメチルビス(2−エチルヘキシルメルカプトアセテート)、Momentive Performance Chemicals(ウィルトン、コネチカット州、米国)からの生成物。
【0160】
触媒6(成分c6):ウレタン化触媒、ジブチル錫ジラウレート、Sigma Aldrich Co.(セントルイス、ミズーリ州、米国)からの生成物。
【0161】
触媒7(成分c7):ウレタン化触媒、ブチル錫トリス(2−エチルヘキサノエート)、Arkema GmbH(デュッセルドルフ、独国)からの生成物。
【0162】
触媒8(成分c8):ウレタン化触媒鉄[III]アセチルアセチルアセトネート、鉄[III]トリス−アセチルアセトネート、Sigma Aldrich Co.(セントルイス、ミズーリ州、米国)からの生成物。
【0163】
触媒9(成分c9):ウレタン化触媒BorchiKat 24、ビスマス(III)トリス(2−エチルヘキサノエート)、OMG Borchers GmbH(ランゲンフェルト、独国)からの生成物。
【0164】
触媒10(成分c10):ウレタン化触媒BorchiKat 28、錫(II)ビス(2−エチルヘキサノエート)、OMG Borchers GmbH(ランゲンフェルト、独国)からの生成物。
【0165】
触媒11(成分c11):ウレタン化触媒錫(II)オクトエート(CAS 1912−83−0)は、BNT Chemicals GmbH(ビターフェルト、独国)から得られた。
【0166】
触媒12(成分c12):ウレタン化触媒鉄[III]アセチルアセトネートは、Acros Organics BVBA(ゲール、ベルギー)から得られた。
【0167】
用いた溶媒(成分d)
溶媒1(成分d1):N−エチルピロリドン
溶媒2(成分d2):酢酸ブチル
溶媒3(成分d3):酢酸エチル
【0168】
用いた助剤および添加剤(成分E)
BYK(登録商標)310:BYK−Chemie GmbH(ベーゼル、独国)からのシリコーン系表面添加剤(成分E1)(キシレン中25%濃度溶液)
【0169】
Desmorapid(登録商標)Z(ジブチル錫ジラウレート)は、ウレタン化触媒およびBayer MaterialScience AG(レーバークーゼン、独国)からの生成物である。
【0170】
DMC触媒:EP−A700949に記載の方法により得られるヘキサシアノコバルト酸亜鉛(III)に基づく複金属シアン化物触媒。
【0171】
Irganox1076は、オクタデシル3,5−ジ−(tert)−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート[2082−79−3]である。
【0172】
成分の調製
ポリオール1(成分b1)の調製:
1Lフラスコ中に、まず、0.18gの錫オクトエート、374.8gのε−カプロラクトンおよび374.8gの二官能性ポリテトラヒドロフランポリエーテルポリオール(当量500g/モルOH)を投入し、120℃へ加熱し、120にて固形分(不揮発性物質の割合)が99.5重量%以上になるまで維持した。次いで、冷却して生成物をワックス状固体として得た。
【0173】
ポリオール3(成分b3)の調製:
2475gの2官能性ポリテトラヒドロフランポリエーテルポリオール(当量325g/モルOH)を、撹拌機を有する20リットル反応容器中へ投入し、452.6mgのDMC触媒を投入した。次いで温度を105℃まで約70rpmにて撹拌しながら昇温した。3回の真空を適用および窒素での放出により、空気を窒素に交換した。撹拌速度を300rpmへ上昇させた後、窒素を混合物へ57分間真空ポンプを動かしながら上方へ通過させ、圧力は約0.1バールの圧力であった。その後、0.5バールの圧力を窒素により確立し、100gのエチレンオキシド(EO)および150gのプロピレンオキシド(PO)連続的に導入して重合を開始した。圧力は2.07バールへ増加した。10分後、圧力を0.68バールへ再び低下させ、混合物として更なる5.116kgのEOおよび7.558kgのPOを1時間53分間にわたり2.34バールにて投入した。エポキシド計量の終了から31分後、完全な脱気のために、真空を2.16バールの残存圧にて適用した。生成物を、7.5gのIrganox1076の添加により安定化し、僅かに濁った粘性液体(OH価27.1mgKOH/g、25℃での粘度:1636mPas)を得た。
【0174】
アクリレート1(成分B1)(ホスホロチオイルトリス(オキシ−4,1−フェニレンイミノカルボニルオキシエタン−2,1−ジイル)トリアクリレート)の調製:
500m丸底フラスコ中に、まず、0.1gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.05gのジブチル錫ジラウレート(Desmorapid(登録商標) Z、Bayer MaterialScience AG、レーベークーゼン、ドイツ)および213.07gの酢酸エチル中のトリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェートの27%溶液(Desmodur(登録商標) RFE、Bayer MaterialScience AG、レーベークーゼン、ドイツからの生成物)を投入し、60℃へ加熱した。その後、42.37gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴下し、混合物をイソシアネート含有量が0.1%未満に低下するまで更に60℃において維持した。次いで冷却し、酢酸エチルを減圧下で完全に除去して生成物を部分結晶性固体として得た。
【0175】
アクリレート2(成分B2)2−({[3−(メチルスルファニル)フェニル]カルバモイル}オキシ)エチルプロプ−2−エノエート)の調製:
まず、0.02gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.01gのDesmorapid(登録商標)Z、11.7gの3−(メチルチオ)フェニルイソシアネートを100ml容丸底フラスコに投入し、60℃へ加熱した。続いて、8.2gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴下し、混合物は、イソシアネート含有量が0.1%未満に低下するまで60℃にて更に保持した。次いで、冷却して生成物を淡黄色液体として得た。
【0176】
光開始剤系1の製造(成分C1)
暗い場所でまたは適当な照明の下で、0.10gの染料1、0.05gの染料2、0.05gの染料3、1.50gの共開始剤1を、3.50gのN−エチルピロリドンにビーカー中で溶解した。この溶液の適切な重量パーセントを、実施例媒体を製造するために用いた。
【0177】
非光重合性成分(成分D)の製造(ビス(2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル)2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイル)ビスカルバメート):
まず、0.02gのジブチルスズジラウレート(Desmorapid(登録商標)Z、Bayer MaterialScience AG、レーバークーゼン、独国)および3.6gの2,4,4−トリメチルヘキサン1,6−ジイソシアネート(TMDI)を50ml丸底フラスコに仕込み、60℃へ加熱した。続いて、11.9gの2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル)−1−オールを滴下し、混合物を、イソシアネート含有量が0.1%未満に低下するまで60℃で更に保持した。次いで冷却して生成物を無色油として得た。
【0178】
ゲルポイントG
Gelおよびt
Gelおよび活性化温度T
Aktを決定するための光開始剤を含まないフォトポリマー処方物の調製
表1は、その組成物についてのゲルポイントG
Gelおよびt
Gelおよび活性化温度T
Aktを決定するためのフォトポリマー処方物の研究例を記載する。これらのフォトポリマー処方物は、章「振動レオメーターを用いるフォトポリマーのゲルポイントG
Gelおよびt
Gelの測定」に記載の手順に従って調製した。
【0179】
【表1】
【0180】
フォトポリマー処方物の活性化温度T
Akt
表2は、フォトポリマー処方物の活性化温度T
Aktの決定の結果を示す。
【0181】
【表2】
【0182】
シート被覆装置によるホログラフィック媒体の製造
本発明のおよび本発明ではないフォトポリマー処方物からのフィルムの形態でのホログラフィック媒体の連続製造を記載する。
【0183】
図3は、用いたコーティング装置の概略構成を示す。
個々の部は、以下の参照記号を有する:
1 ストック用貯蔵容器
2 計量装置
3 真空脱気装置
4 フィルター
5 スタティックミキサー
6 コーティング装置
7 循環空気乾燥器
8 担体基材
9 カバー層
【0184】
ポリオール成分b)を、フォトポリマー処方物を製造するために、書込モノマーB)、可塑剤D)、触媒c)および表面活性添加剤BYK(登録商標)310(成分E)と徐々に添加し、混合した。その後、成分Cの溶液を、混合物へ暗い場所で添加し、混合して透明溶液を得た。必要に応じて、処方物を60℃にて短時間、出発物質の溶解を促進させるために加熱した。該混合物を、コーティング装置の2つのストック用貯蔵容器の1つへ導入した。ストック用貯蔵容器1を、ポリイソシアネート成分aで充填した。次いで、成分はいずれも、計量装置2により真空脱気装置3へ運び、脱気した。
次いでこれらをフィルター4よりスタティックミキサー中へ通過させ、成分を混合してフォトポリマー処方物を形成する。次いで得られた液体を供給してコーティング装置6へ供給した。
【0185】
コーティング装置6は、この場合、従来法によるブレードコーティング系(ドクターブレード)であった。しかし、別の場合には、スロットダイを用いることも可能である。コーティング装置6を用いて、フォトポリマー処方物を20℃の処理温度にて担体基材8へ厚み175μmのポリカーボネートシートの形態で塗布し、5.8分間、80℃の架橋温度にて循環空気乾燥器7中で乾燥した。コーティング装置6を用いて、フォトポリマー処方物を20℃の処理温度にて担体基材8へ厚み175μmのポリカーボネートシートの形態で塗布し、5.8分間、80℃の架橋温度にて循環空気乾燥器7中で乾燥した。これは、次いでカバー層9として40μm厚のポリエチレンシートでカバーし、巻き取られるフィルムの形態での媒体を与えた。
【0186】
フィルムの所望の目標層厚みは、好ましくは10および60μmの間であり、製造したホログラフィックシートについて得られた層厚みは、表3に認められる。
【0187】
製造速度は、好ましくは0.2m/分〜300m/分の範囲、より好ましくは1.0m/分〜50m/分の範囲であった。
【0188】
フィルムの形態でのホログラフィック媒体の大規模工業的製造のための本発明のフォトポリマー処方物の適合性の検証
上記の被覆装置によるフォトポリマー処方物からのホログラフィックフィルムの連続製造は、連続的な均質被覆物が得られる場合には、決定的に、第1に、フォトポリマー処方物のポットライフに依存し、第2に完全な架橋への反応時間に依存する。2つの態様を以下に説明する。
【0189】
適切な処理温度におけるフォトポリマー混合物のポットライフ
連続フィルムの製造における極めて重要な要因は、混合の開始から塗布の時点までのフォトポリマー処方物のポットライフである。適切な処理温度における極めて長いポットライフは、処方物のトラブルのない処理を確実とするので好ましい。
【0190】
被覆装置についてのポットライフは、被覆装置の下流で被覆担体基材の目視検査により評価した。ポットライフが余りに短い場合、粘度は、被覆装置内でなおコーティング処理中に著しく上昇する。これは、被覆操作の間、究極の場合にはかなりの大きさである湿潤の未被覆領域をもたらすことが見出されたストリップの散乱形成をもたらす。縦方向に伸長するフォトポリマー塊を、担体基材上で更に観測することができる。このような影響が観測される時間まで、異なった系のポットライフを評価するために測定を行った。
【0191】
【表3】
【0192】
フォトポリマー処方物の活性化温度T
Akt対コーティング装置についてのポットライフ
表2および3における結果は、活性化温度T
Akt>8300Kを有する処方物は、室温にてコーティング装置中において長いポットライフを有する。これは、本発明のフォトポリマー処方物が、フィルムの形態でのホログラフィック媒体の効率的な大規模工業製造について極めて有用であることを意味する。
【0193】
その結果は、また、活性化温度T
Aktは、フォトポリマー処方物における触媒濃度から独立していることを示す。従って、触媒濃度は、関連架橋温度において、コーティング操作の経済的設計について実用的である固定予備決定反応時間が得られるように調節することができる。この場合、高い活性温度T
Aktを有する本発明のフォトポリマー処方物は、より低い活性化温度T
Aktを有する幾つかの他のものより長いポットライフが室温にて得られる。
【0194】
意外にも、フォトポリマー処方物のための適当な触媒を選択するための基準は、本発明の目的において、振動レオメーターにおいて種々の温度Tにおいて決定されるゲル時間t
Gelより決定することができるマトリックスネットワーク形成反応活性化温度T
Aktであることが見出された。これは、処方物が良好なフローアップを示し、次いで巻取性または非ブロック性に達する時間を十分に高い貯蔵弾性率G’へ架橋温度において達成する時間へ繰り返すことにより決定するので、処理温度における出発混合物の一定水準からの粘度の最初の増加を繰り返すことによりポットライフを決定する論理であるので驚くべきことである(Thomas Mezger、「Das Rheologie Handbuch」、Vincentz Verlag Hannover、第59頁)。すなわち、レオロジー的に完全に異なった状態における時間スケール、すなわち、液体および既に高度に架橋した状態が考えられる。これらは更に、本発明の問題を解決することを目的とした任意の評価を複雑にしながら触媒の濃度に依存する。ゲル点は、それらの間に正確に存在し、最初のパーコレーティング架橋高分子が得られる時点を定義する(パーコレーション閾値)。これは、明らかにおよび意外にも、正確にこのゲル時間t
Gelおよびその温度依存性である場合であり、これは、本発明の課題を解決するために必要なすべての情報を含む触媒濃度から独立したT
Aktパラメーターにより表される。
【0195】
フォトポリマーマトリックスの架橋を完全または十分に完了する反応時間
特定の条件、例えば特定の温度等における反応時間または滞留時間は、フォトポリマーの巻取性/非ブロック制、従って、このようなフォトポリマーフィルムの製造における製造速度について著しい影響を有する1つの重要な要因である。従って、架橋温度における短い反応時間が好ましい。
【0196】
最終生成物の2つの特徴は、巻取性の評価について決定的要因である。最初に、フォトポリマーフィルム厚みの均一性は、視覚的に重要である。ウェッブの搬送方向におけるフォトポリマーの端部域は、特に見やすく、ここで容易に評価することができる。通常、層厚みにおける軽微な不均一性を、これが保護シートによる圧力適用によりシフトする物質によるものであり得ることからフォトポリマーの色素沈着よりここで評価することができる。
【0197】
フォトポリマーフィルムの厚みは、更に重要な態様である。厚みは、カバー層をフォトポリマーフィルムから剥離することにより評価する。操作の間、この剥離する間に適用される力およびフォトポリマーおよびカバー層の間の界面の観測を用いて粘着性の経験的決定に達することができる。フォトポリマーフィルムが、カバー層を剥離するプロセスにおいて破壊される場合、これは、フォトポリマーおよびカバー層の間の特に強力な接着の強い表れであり、これは、ポリマーの不十分な非ブロック性により引き起こされる。
【0198】
物理学の観点からは、これは、良好な巻取性について極めて重要なフォトポリマー処方物のマトリックスポリマーの三次元架橋による十分に高い貯蔵弾性率G’の形成である。
【0199】
本発明の実施例1〜3のフィルムと比較例1〜4のフィルムとの比較は、同じ硬化条件下でかなり長いポットライフにも拘わらず、本発明のフォトポリマー処方物もまた極めて良好な巻取性を有するフィルムを与えた。このフィルムは、極めて均質であり、容易にカバー層から損傷を受けずに分離することが容易であった。