特許第6244243号(P6244243)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6244243電動システム及びそれを備えた電動塵芥収集車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244243
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】電動システム及びそれを備えた電動塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
   H02H 9/02 20060101AFI20171127BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20171127BHJP
   B65F 3/00 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   H02H9/02 Z
   H02J3/38
   B65F3/00 L
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-66009(P2014-66009)
(22)【出願日】2014年3月27日
(65)【公開番号】特開2015-192476(P2015-192476A)
(43)【公開日】2015年11月2日
【審査請求日】2016年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西▲崎▼ 聡
【審査官】 猪瀬 隆広
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/107948(WO,A1)
【文献】 特開平06−094342(JP,A)
【文献】 特開2002−153073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 3/00−3/28
H02H 9/00−9/08
H02J 3/00−5/00
H02M 7/42−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置と電動駆動装置とを備えた電動システムにおいて、
外部電源からの電力を導入するコンセントと、
上記コンセントに導入された電流及び上記蓄電装置からの電流を上記電動駆動装置へ供給するインバータとを備え、
上記インバータは、上記電動駆動装置の負荷が増大して上記外部電源からの電流が上限値を超えるのを規制する上限設定制御を行うように構成され
上記外部電源を使用するときに、上記インバータが上記外部電源からの電流が上限値以下になるように上記電動駆動装置へ供給する電流を抑制する上限設定制御を行い、上記蓄電装置を使用するときには、上記上限設定制御を行わない通常設定制御を行うように構成されている
ことを特徴とする電動システム。
【請求項2】
蓄電装置と電動駆動装置とを備えた電動システムにおいて、
外部電源からの電力を導入するコンセントと、
上記コンセントに導入された電流及び上記蓄電装置からの電流を上記電動駆動装置へ供給するインバータとを備え、
上記インバータは、上記電動駆動装置の負荷が増大して上記外部電源からの電流が上限値を超えるのを規制する上限設定制御を行うように構成され、
上記コンセントは、蓋部材で覆われており、
上記蓋部材を開いたときに、上記インバータが上記外部電源からの電流が上限値以下になるように上記電動駆動装置へ供給する電流を抑制する上限設定制御を行い、上記蓋部材を閉じているときには、上記上限設定制御を行わない通常設定制御を行うように構成されている
ことを特徴とする電動システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電動システムにおいて、
上記蓋部材を開いた状態で上記上限設定制御から通常設定制御に切り換える上限解除スイッチと、該上限解除スイッチを作動させた状態であることを表示する警報装置とを備えている
ことを特徴とする電動システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の電動システムにおいて、
上記電動駆動装置は、複数の作業装置へ油圧を供給する油圧ポンプを駆動する電動モータを含み、
上記上限設定制御において上記インバータが上記電動モータの回転数を抑制することで、上記外部電源からの電流を上限値以下とするように構成されている
ことを特徴とする電動システム。
【請求項5】
請求項4に記載の電動システムを備えた電動塵芥収集車において、
上記上限値は、上記外部電源のブレーカの規定値に合わせて設定されている
ことを特徴とする電動塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置と電動駆動装置とを備えた電動システム及びそれを備えた電動塵芥収集車に関し、特に外部電源からの電力を供給できるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の電動システムは、蓄電装置と、電動駆動装置とを有し、電圧上限制御機能を有し、上記蓄電装置に供給する電圧の上限を制御可能な発電装置又は電源と、下限電圧検出機能を有し、蓄電装置が下限電圧よりも低い電圧にならないように発電装置若しくは電源又は蓄電装置からの電力を電動駆動装置に供給するドライバとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2012/107948号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ビル、工場等の設備の所有者は、通常、電力会社との間で契約アンペアを設定し、契約アンペア内で電気を使用する。そして、設備の外部電源を電動システムに使用した場合、従来の電動システムでは、特に使用電流の上限を設定せずに電気を使用しているので、電動駆動装置の負荷が増大すると、消費される電流も増大して契約アンペアを超え、外部電源側のブレーカが落ちてしまって作業が中断されるという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、外部電源側のブレーカが落ちないように電動駆動装置を適切に駆動できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明では、インバータが設備側の消費電流を検知してその上限値を超えないように電動駆動装置を駆動するようにした。
【0007】
具体的には、第1の発明では、蓄電装置と電動駆動装置とを備えた電動システムを前提とし、この電動システムは、
外部電源からの電力を導入するコンセントと、
上記コンセントに導入された電流及び上記蓄電装置からの電流を上記電動駆動装置へ供給するインバータとを備え、
上記インバータは、上記電動駆動装置の負荷が増大して上記外部電源からの電流が上限値を超えるのを規制する上限設定制御を行うように構成され
上記外部電源を使用するときに、上記インバータが上記外部電源からの電流が上限値以下になるように上記電動駆動装置へ供給する電流を抑制する上限設定制御を行い、上記蓄電装置を使用するときには、上記上限設定制御を行わない通常設定制御を行うように構成されている。
【0008】
上記の構成によると、上限設定制御では、電動駆動装置の消費電流が上限値を超えないように、インバータが電動駆動装置の出力を低減するので、外部電源側のブレーカが落ちず、電動駆動装置を継続して駆動することができる。なお、ここで「コンセント」とは、外部電源からの差込プラグを差し込んで電気的に接続するためのものである。外部電源を使用しないときには、蓄電装置の電力を利用して電動駆動装置を駆動するので、契約アンペアによる上限値を考慮する必要がないため、上限設定制御を行わない通常設定制御を行う。
【0009】
第2の発明では、第1の発明と同様の電動システムにおいて、
外部電源からの電力を導入するコンセントと、
上記コンセントに導入された電流及び上記蓄電装置からの電流を上記電動駆動装置へ供給するインバータとを備え、
上記インバータは、上記電動駆動装置の負荷が増大して上記外部電源からの電流が上限値を超えるのを規制する上限設定制御を行うように構成され、
上記コンセントは、蓋部材で覆われており、
上記蓋部材を開いたときに、上記インバータが上記外部電源からの電流が上限値以下になるように上記電動駆動装置へ供給する電流を抑制する上限設定制御を行い、上記蓋部材を閉じているときには、上記上限設定制御を行わない通常設定制御を行うように構成されている。
【0010】
上記の構成によると、外部電源を使用しないときには、蓄電装置の電力を利用して電動駆動装置を駆動するので、契約アンペアによる上限値を考慮する必要がないが、上限値の考慮が必要となる外部電源からの電力を取り入れるために蓋部材を空けたときには、上限設定制御に自動で切り換えることで、予期せぬブレーカダウンによる作業中断を確実に防ぐことができる。
【0011】
第3の発明では、第2の発明において、
上記蓋部材を開いた状態で上記上限設定制御から通常設定制御に切り換える上限解除スイッチと、該上限解除スイッチを作動させた状態であることを表示する警報装置とを備えている。
【0012】
上記の構成によると、契約アンペアの大きな設備の場合には、外部電源における電流の上限値が大きくなるので、上限設定制御を行う必要がなく、上限解除スイッチを操作することで通常設定制御に切り換えることができる。その場合には、高出力で効率よく作業を行えると共に、警報装置により、上限解除中であることを認知できる。
【0013】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、
上記電動駆動装置は、複数の作業装置へ油圧を供給する油圧ポンプを駆動する電動モータを含み、
上記上限設定制御において上記インバータが上記電動モータの回転数を抑制することで、上記外部電源からの電流を上限値以下とするように構成されている。
【0014】
上記の構成によると、インバータにより電動モータの回転数を適宜低減させることで、作業装置の騒音を低減させたり、外部電のブレーカが落ちたりしないようにすることができる。
【0015】
第5の発明では、第4の発明において、
上記上限値は、上記外部電源のブレーカの規定値に合わせて設定されている。
【0016】
上記の構成によると、インバータにより電動モータの回転数を適宜低減させることで、外部電のブレーカが落ちるのを防いで作業装置の駆動を継続させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、インバータが電動駆動装置の負荷が増大して外部電源からの電流が上限値を超えるのを規制する上限設定制御を行い、蓄電装置を使用するときには、上限設定制御を行わないようにしたことにより、外部電源側のブレーカが落ちないように電動駆動装置を適切に駆動できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】電動システムの概略を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る電動塵芥収集車を示す側面図である。
図3】塵芥積込装置及びその周辺を示す断面図である。
図4】電動塵芥収集車の駆動系統を示す概略図である。
図5】電動システムの概要を示す図である。
図6】電動塵芥収集車の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
−電動塵芥収集車の構成−
図2は本発明の実施形態に係る電動塵芥収集車1を示し、この電動塵芥収集車1の車台2上に塵芥収容箱3が搭載されている。車台2の前方には、運転台2aが設けられている。塵芥収容箱3の後方開口部4には、その上方で投入箱支持ピン5により軸支された塵芥投入箱6が設けられている。この塵芥投入箱6は、塵芥収容箱3と塵芥投入箱6との間に設けられた回動シリンダ9(図4にのみ示す)により、投入箱支持ピン5を中心に回動自在に構成されている。
【0021】
図3に示すように、塵芥投入箱6の後部には投入口7が開口され、その内部には塵芥積込装置10が装備されている。塵芥積込装置10は、塵芥投入箱6内に投入口7を通じて投入された塵芥55を圧縮して塵芥収容箱3内に積込むためのものである。塵芥積込装置10は、塵芥投入箱6の底部に設けた油圧モータ14を備え、この油圧モータ14の回転軸には、回転板15が、その基端を中心として回転自在に設けられている。回転板15の上部には、揺動シリンダ13によって前後に揺動自在な押込板11が設けられている。このように構成した回転板15の回転動作と押込板11の揺動動作との協働によって塵芥投入箱6に投入された塵芥55を圧縮して塵芥収容箱3に積込むようになっている。
【0022】
図3に示すように、塵芥収容箱3には、塵芥収容箱3内の塵芥を排出する排出装置18を備えていてもよい。具体的には、塵芥収容箱3内には排出板17が前後方向に摺動自在に配設されている。排出板17は、塵芥収容箱3の横幅及び上下高さと略同じ大きさに形成された板状体であり、排出シリンダ16の伸縮動作により塵芥収容箱3内を前後に摺動するようになされている。
【0023】
図1及び図2に示すように、運転台2aと塵芥収容箱3との間の車体フレーム2b上には、直方体状の電装品収容箱19が設けられている。この電装品収容箱19には、蓄電装置としての電気二重層キャパシタ44、インバータ20、電動駆動装置としての電動モータ46、後述するAVR42b(自動電圧制御装置)等が収容されている。また、電動システム25は、電動モータ46の動きを制御する、車両に搭載したコントローラ23を備えている。
【0024】
図4に示すように、電動塵芥収集車1は、車両エンジン8に駆動される直流発電装置42を備えている。直流発電装置42は、車両が通常搭載する小型の発電装置(ダイナモ)とは別に設置され、車両エンジン8の駆動中はそのファンベルト8aにより常時駆動される発電機42aを備えている。また、直流発電装置42は、その電気経路上にAVR42b(自動電圧制御装置)を備えている。AVR42bは、コントローラ23から供給される起動信号に応じて動作を開始し、発電機42aの交流電力を直流に変換する。また、車両エンジン8の回転数変化にかかわらず発電機42aの出力電圧を目標値一定となるように調整する。この直流発電装置42で得られた電力は、AVR42bを経て電気二重層キャパシタ44又はインバータ20に電力を供給可能に構成されている。そして、直流発電装置42又は電気二重層キャパシタ44からの電力がインバータ20で調整され、電動モータ46に供給されるように構成されている。
【0025】
図4に示すように、電動塵芥収集車1は、電動モータ46にて駆動される油圧ポンプ31と油圧ポンプ31で発生する油圧にて駆動される回動シリンダ9、揺動シリンダ13、排出シリンダ16及び油圧モータ14とを有する作業装置30を備えている。油圧ポンプ31は、本実施形態では、定容量型ポンプであり、電動モータ46の回転数を変えることで、吐出量を変更可能となっている。コントローラ23は、油圧モータ14、回動シリンダ9、揺動シリンダ13及び排出シリンダ16の動きを制御する。具体的には、作業装置30に設けられてコントローラ23と電気接続されている電磁弁32の動作切換により、油圧モータ14の回転制御や回動シリンダ9、揺動シリンダ13、排出シリンダ16の伸縮を行うようになっている。
【0026】
図5に示すように、インバータ20は、整流回路21と、出力回路22と、出力回路用コントローラ24とを内蔵している。より具体的には、図1にも示すように、インバータ20は、ユニット状であり、電装品収容箱19内に配設されている。このインバータ20は、直流入力ポート20aと交流入力ポート20bとを有している。インバータ20は、出力回路用コントローラ24によって出力回路22を制御させ、電動モータ46の回転速度を制御する役割も果たす。
【0027】
また、電動システム25には、リレー52が設けられ、このリレー52を切り換えることで、直流入力ポート20aと交流入力ポート20bとを選択するようにしている。
【0028】
直流入力ポート20aには、直流電源からの電力が入力され、整流回路21を介さず出力回路22に送電されて直流電力から電動モータ46を駆動するのに適切な周波数の交流電力に調整されて、出力される。直流入力ポート20aには、電気二重層キャパシタ44からの直流電力が入力されるが、電気二重層キャパシタ44を介さずに直流発電装置42からの電力を直流入力ポート20aに直接入力するようにしてもよい。
【0029】
図1に示すように、電動システム25は、商用三相交流電源である外部電源51からの交流電力を導入するコンセント50を備えている。このコンセント50は、交流入力ポート20bからインバータ20に接続可能となっている。コンセント50は、開閉自在の蓋部材50aで覆われており、この蓋部材50aを開閉すると、例えば機械式のリミットスイッチよりなる開閉検知スイッチ50bによって検知されるようになっている。交流の外部電源51は、通常、定格の100V〜200Vでかつ契約アンペアで最大電流が制限されるようにブレーカ51bが設けられている。差込プラグ51aをコンセント50に差し込んだ状態で、交流入力ポート20bから入力された電力は、インバータ20内の整流回路21において一旦整流された後に、出力回路22で電動モータ46を駆動するのに適切な周波数の交流電力に調整され、出力される。
【0030】
通常設定制御では、インバータ20は、作業装置で必要な油量が増えると、電動モータ46の回転数を増やすようになっている。このため、インバータ20は、電動モータ46の負荷が増大して外部電源51からの電流が上限値を超えるのを規制する上限設定制御を行えるように構成されている。具体的には、蓋部材50aを開いたときに、インバータ20が外部電源51からの電流が上限値以下になるように電動モータ46へ供給する電流を制御する上限設定制御を行い、蓋部材50aを閉じているときには、上限設定制御を行わない通常設定制御を行うように構成されている。上限値は、例えば外部電源51のブレーカ51bの規定値に合わせて設定されている。
【0031】
また、電動システム25は、蓋部材50aを開いた状態で、上限設定制御から通常設定制御に切り換える上限解除スイッチ53と、この上限解除スイッチ53を作動させた状態であることを表示する、警報装置としての上限解除ランプ54を備えている。上限解除スイッチ53は、例えば押しボタンスイッチよりなり、手動で操作するようになっている。この警報装置は、警報ブザーであったり、図示しないモニター上の表示であったりしてもよい。
【0032】
−電動システムの作動−
次いで、本実施形態における電動システム25の作動について説明する。
【0033】
まず、本実施形態の電動塵芥収集車1は、車両走行中に直流発電装置42で発電された電流がAVR42bを介して電気二重層キャパシタ44に充電される。
【0034】
現場でのごみ積込作業時には、充電された電気二重層キャパシタ44からの直流電力をインバータ20に送り、電動モータ46及び油圧ポンプ31を駆動させる。そうすることで、車両エンジン8を止めたまま作業を行えるようになっている。そうすれば、作業中、PTOを使用する塵芥車と比較して騒音が低減され、排気ガスも排出されることがない。
【0035】
しかしながら、電気二重層キャパシタ44の充電が十分でないときや、長時間積込作業を行うときなどは、外部電源51を利用して積込作業を行うことになる。
【0036】
その場合は、図6に示すように、まず、S01において、作業者がコンセント50に差込プラグ51aを挿入する。このとき、蓋部材50aを空けると、開閉検知スイッチ50bが反応してリレー52が切り換わり、電気二重層キャパシタ44からの電流供給は停止する。
【0037】
次いで、ステップS02において、インバータ20が蓋部材50aが開いたことを検知し、消費電流上限設定がONとなる。すなわち、外部電源側の消費電流が例えば45A以上になると、電動モータ46の回転数を下げる設定を行う。
【0038】
次いで、ステップS03において、外部電源51の上限が75A以上であるかを確認する。この75Aという電流値は、あくまで例示であって、電動モータ46の出力等に合わせて任意に設定すればよい。外部電源51の上限電流値(ブレーカ51bの規定値)が75A以上であれば、電動モータ46の負荷によりブレーカ51bが落ちる可能性はないので、ステップS04において、作業者は上限解除スイッチ53を押してONに切り換える。
【0039】
すると、ステップS05において、インバータ20が上限設定値を75Aに設定し、上限解除ランプ54を点灯させる。これにより、作業者は、上限解除状態にあることを認識できる。
【0040】
ステップS03において、外部電源51の上限が75Aよりも小さいときには、ステップS02で設定された消費電流上限設定制御が維持される。
【0041】
次いで、ステップS06において、作業者が操作部を操作し、その信号がコントローラ23に伝達され、塵芥積込装置10によってごみの積込が開始される。
【0042】
次いで、ステップS07において、インバータ20が、出力回路22から出力される出力電力から外部電源51の消費電流を計算する。この際、電流センサなどで外部電源51からの電流を直接検知してもよい。
【0043】
次いで、ステップS08において、インバータは、消費電流が上限設定電流の45A以上であるかを検知する。このとき、ブレーカ51bの規定値が45Aであったとしても、すぐにはブレーカ51bは落ちない。消費電流が上限設定電流の45A以上の場合、そのまま運転を続けると、ブレーカ51bが落ちるので、ステップS09において、インバータ20が出力電力を低減させて電動モータ46の回転数を適切に落とす。
【0044】
消費電流が上限設定電流の45Aよりも小さい場合には、そのまま積込動作を維持する。
【0045】
次いで、ステップS10において、作業者が操作部を操作して積込作業を終える。
【0046】
次いで、ステップS11において、作業者が差込プラグ51aをコンセント50から抜く。そして、蓋部材50aを閉じる。すると、開閉検知スイッチ50bが反応する。
【0047】
次いで、ステップS12において、開閉検知スイッチ50bの信号を受けてインバータ20が上限設定を解除し、上限解除ランプ54を消灯し、終了する。
【0048】
このように本実施形態では、上限設定制御において、電動モータ46の消費電流が上限値を超えないように、インバータ20が電動モータ46の出力を低減するので、外部電源51のブレーカ51bが落ちず、電動モータ46を継続して駆動することができる。
【0049】
また、外部電源51を使用しないときには、電気二重層キャパシタ44又は直流発電装置42の電力を利用して電動モータ46を駆動するので、契約アンペアによる上限値を考慮する必要がないが、上限値の考慮が必要となる外部電源51からの電力を取り入れるために蓋部材50aを空けたときには、上限設定制御に自動で切り換えることで、予期せずブレーカ51bが落ちて作業が中断されるのを防ぐことができる。
【0050】
さらに、契約アンペアの大きな外部電源51を利用する場合には、上限値が大きくなるので、上限設定制御を行う必要がなく、上限解除スイッチ53を操作することで通常設定制御に切り換えることができる。その場合には、上限解除ランプ54により、上限解除中であることを認知できると共に、効率よく作業を行うことができる。
【0051】
したがって、本実施形態に係る電動システムによると、外部電源51側のブレーカ51bが落ちないように電動モータ46を適切に駆動できるようにすることができる。
【0052】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0053】
すなわち、上記実施形態では、電動システム25を電動塵芥収集車1に設けた場合について示したが、本発明は、その他のミキサー車、高所作業車、粉粒体運搬車などの電動車両にも適用することができる。
【0054】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0055】
1 電動塵芥収集車
2 車台
2a 運転台
2b 車体フレーム
3 塵芥収容箱
4 後方開口部
5 投入箱支持ピン
6 塵芥投入箱
7 投入口
8 車両エンジン
8a ファンベルト
9 回動シリンダ
10 塵芥積込装置
11 押込板
13 揺動シリンダ
14 油圧モータ
15 回転板
16 排出シリンダ
17 排出板
18 排出装置
19 電装品収容箱
20 インバータ
20a 直流入力ポート
20b 交流入力ポート
21 整流回路
22 出力回路
23 コントローラ
24 出力回路用コントローラ
25 電動システム
30 作業装置
31 油圧ポンプ
32 電磁弁
42 直流発電装置
42a 発電機
42b AVR
44 電気二重層キャパシタ(蓄電装値)
46 電動モータ(電動駆動装置)
50 コンセント
50a 蓋部材
51 外部電源
51a 差込プラグ
51b ブレーカ
52 リレー
53 上限解除スイッチ
54 上限解除ランプ(警報装置)
55 塵芥
図1
図2
図3
図4
図5
図6