特許第6244249号(P6244249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244249
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】連続焼鈍炉の炉殻構造
(51)【国際特許分類】
   C21D 9/56 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   C21D9/56 101A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-82110(P2014-82110)
(22)【出願日】2014年4月11日
(65)【公開番号】特開2015-203133(P2015-203133A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2016年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】新日鉄住金エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390022873
【氏名又は名称】NSプラント設計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】小出 明智
(72)【発明者】
【氏名】野村 拓司
【審査官】 鈴木 葉子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−2632(JP,A)
【文献】 実開昭60−133396(JP,U)
【文献】 実開平4−68996(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 9/52− 9/66
C21D 1/00− 1/84
C21D 9/46− 9/48
F27D 1/00− 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された壁部材を有し、該壁部材の外側には補強材が設けられている連続焼鈍炉の炉殻構造において、
対向する前記壁部材間に、該対向する壁部材を連結する引張り材を配置し、前記壁部材の補強を行うことを特徴とする連続焼鈍炉の炉殻構造。
【請求項2】
請求項1記載の連続焼鈍炉の炉殻構造において、前記連続焼鈍炉の上側及び下側にそれぞれ複数本が平行に並べられている上ハースロールと下ハースロールが平面視して交互に配置され、前記引張り材は、前記上ハースロールと前記下ハースロールの上下方向中間部で、隣り合う前記上ハースロールの間、又は隣り合う前記下ハースロールの間に設けられていることを特徴とする連続焼鈍炉の炉殻構造。
【請求項3】
請求項2記載の連続焼鈍炉の炉殻構造において、前記引張り材は、前記壁部材の外側の前記補強材を避けて、前記壁部材を貫通していることを特徴とする連続焼鈍炉の炉殻構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の連続焼鈍炉の炉殻構造において、対向配置された前記壁部材は、複数の対向配置された部分壁部材に分割され、対向する前記部分壁部材はそれぞれ前記引張り材で連結されていることを特徴とする連続焼鈍炉の炉殻構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続焼鈍炉の炉殻構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図8図10に示すように、鋼帯の熱処理に用いる連続焼鈍炉80は、熱処理中に鋼帯表面が酸化しないように炉内雰囲気を非酸化性雰囲気に保持した状態で鋼帯を連続焼鈍している。ここで、連続焼鈍炉80の対向配置された壁部材81は、平板82と、平板82に縦横に接合されるH形鋼83(補強材(バックステー)の一例)と、縦横に配置されたH形鋼83の間に水平に配置されて平板82に接合される複数の溝形鋼84(補強材(バックステー)の一例)とを備えたパネル85を複数枚接続することにより形成されている(例えば、特許文献1参照)。なお、符号86は壁部材81を支える柱部材、符号87はH形鋼83の中間部にあって平板82に接合する平鋼である。また、符号88、89は、壁部材81の幅方向の両端部にそれぞれ取付けられた端壁部材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−133396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
操業中の連続焼鈍炉80では、炉内を熱処理温度まで加熱すると共に、炉内を非酸化性雰囲気にするため炉内雰囲気を加圧状態に保持するので、図11に示すように、壁部材81には熱膨張と加圧膨張が重なり合った変形が生じる。そして、壁部材81の変形量は、連続焼鈍炉80が大型になる程大きくなるので、壁部材81の変形量が大きくなり過ぎると、炉内に設置された加熱装置の破損や故障が生じる虞が高くなる。そこで、特許文献1に記載されているような炉殻構造では、連続焼鈍炉80が大型になると、壁部材81の変形を抑えるために壁部材81の剛性を上げる目的で、大型の(断面積の大きな)H形鋼83及び溝形鋼84を多く使用している。このため、炉殻重量が重くなって、製造コスト(素材コスト)が増大するという問題が生じている。
【0005】
また、連続焼鈍炉80が大型になると、作製した連続焼鈍炉80を据付け場所まで輸送することはできないので、輸送可能なサイズを有するパーツに分割して作製し、各パーツを据付け場所で組立てて連続焼鈍炉80としている。そこで、輸送中及び組立て中におけるパーツの変形や破損を防止するために、各パーツには搬送用補強材を取付けて輸送し、組立て後に搬送用補強材を取外している。このため、搬送用補強材の設計及び作製、各パーツに対する搬送用補強材の取付け及び取外しという付帯作業が発生し、連続焼鈍炉80の製造コストが増大するという問題も存在する。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、操業時の炉体膨張を抑制するため、対向する壁部材同士を引張り材で連結した連続焼鈍炉の炉殻構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う本発明に係る連続焼鈍炉の炉殻構造は、対向配置された壁部材を有し、該壁部材の外側には補強材が設けられている連続焼鈍炉の炉殻構造において、
対向する前記壁部材間に、該対向する壁部材を連結する引張り材を配置し、前記壁部材の補強を行う。
ここで、対向する壁部材間に配置する引張り材の個数と配置場所は、壁部の大きさ(広さ)に応じて調整する。
【0008】
本発明に係る連続焼鈍炉の炉殻構造において、前記連続焼鈍炉の上側及び下側にそれぞれ複数本が平行に並べられている上ハースロールと下ハースロールが平面視して交互に配置され、前記引張り材は、前記上ハースロールと前記下ハースロールの上下方向中間部で、隣り合う前記上ハースロールの間、又は隣り合う前記下ハースロールの間に設けられていることが好ましい。
【0009】
本発明に係る連続焼鈍炉の炉殻構造において、前記引張り材は、前記壁部材の外側の前記補強材を避けて、前記壁部材を貫通していることが好ましい。
【0010】
本発明に係る連続焼鈍炉の炉殻構造において、対向配置された前記壁部材は、複数の対向配置された部分壁部材に分割され、対向する前記部分壁部材はそれぞれ前記引張り材で連結されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る連続焼鈍炉の炉殻構造においては、対向する壁部材を引張り材で連結することにより、壁部材が短い間隔で補強(支持)されることになって、壁部材の剛性を向上させなくても壁部材の変形(例えば、連続焼鈍炉の操業時における壁部材の膨張変形)を許容範囲内にすることが可能になる。その結果、連続焼鈍炉の大型化に伴って、補強材の大型化(高剛性化)を図る必要がなくなり、壁部材の重量削減及び製作コストの低減が可能になる。
【0012】
本発明に係る連続焼鈍炉の炉殻構造において、連続焼鈍炉の上側及び下側にそれぞれ複数本が平行に並べられている上ハースロールと下ハースロールが平面視して交互に配置され、引張り材は、上ハースロールと下ハースロールの上下方向中間部で、隣り合う上ハースロールの間、又は隣り合う下ハースロールの間に設けられている場合、引張り材を配置しても鋼帯の搬送を妨げることを防止できる。
【0013】
本発明に係る連続焼鈍炉の炉殻構造において、引張り材が、壁部材の外側の補強材を避けて、壁部材を貫通している場合、補強材の剛性低下を防止することができる。
【0014】
本発明に係る連続焼鈍炉の炉殻構造において、対向配置された壁部材は、複数の対向配置された部分壁部材に分割され、対向する部分壁部材はそれぞれ引張り材で連結されている場合、対向する部分壁部材を輸送する際、従来必要であった搬送用補強材の作製、取付け、及び取外しという付帯作業を削減することができ、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態に係る連続焼鈍炉の炉殻構造を示す説明図である。
図2図1のF−F矢視断面図である。
図3図1のH−H矢視断面図である。
図4】連続焼鈍炉内の鋼帯の搬送状態及び引張り材設置位置の一例を示す説明図である。
図5図1のA−A矢視断面図である。
図6】壁部材と引張り材の連結状態を示す説明図である。
図7図1のC−C矢視断面における壁部材の変形状態を示す模式図である。
図8】従来例に係る連続焼鈍炉の壁部材の炉殻構造を示す説明図である。
図9図8のE−E矢視断面図である。
図10図8のG−G矢視断面図である。
図11図8のB−B矢視断面における壁部材の変形状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る連続焼鈍炉10は、対向配置された壁部材11を有し、壁部材11の外側(対向面とは反対側の面)には補強材12が設けられている。そして、連続焼鈍炉10の対向する壁部材11の間には、壁部材11同士を連結する引張り材の一例である鋼管13が配置されており、壁部材11を補強する(例えば、壁部材11の変形を抑制する)炉殻構造を形成している。ここで、各壁部材11は、例えば、2つの左右の部分壁部材14、15から構成され、対向する部分壁部材14及び対向する部分壁部材15は、それぞれ複数の鋼管13で連結されている。また、部分壁部材14の外側には、部分壁部材14を補強する部分補強材16が設けられ、部分壁部材15の外側には、部分壁部材15を補強する部分補強材17が設けられている。このため、部分壁部材14、15を連結して壁部材11を構成すると、部分補強材16、17が連結されて、補強材12が構成される。以下、詳細に説明する。
【0017】
図1図3に示すように、部分壁部材14(部分壁部材15も同様)は、例えば、矩形状の単位壁材18を上下方向に接続して形成される。また、部分補強材16(部分補強材17も同様)は、単位壁材18の外側にそれぞれ設けられた単位補強材19の連結により形成されている。ここで、単位補強材19は、例えば、単位壁材18の上端部に水平に取付けられた溝形鋼20(形鋼の一例)と、溝形鋼20に対して一定の間隔で直交するように単位壁材18に取付けられた複数の第1の山形鋼21(形鋼の一例)と、溝形鋼20と隙間を設けて平行に配置されると共に各第1の山形鋼21に対して直交するように単位壁材18に取付けられた第2の山形鋼22とを有している。更に、隣り合う第1の山形鋼21の中間部には、第1の山形鋼21に対して平行となるように平鋼23が単位壁材18に取付けられている。また、単位壁材18を上下方向に接続して部分壁部材14を構成する際、下側の単位壁材18に取付けた溝形鋼20に当接するように、上側の単位壁材18の下端部に第3の山形鋼24(第1、第2の山形鋼21、22より小サイズ)を取付け、部分壁部材14を形成する。
【0018】
図1図4図5に示すように、連続焼鈍炉10の上側及び下側には、それぞれ複数本が平行に並べられている上ハースロール26と下ハースロール26aが平面視して交互に配置されている。そして、上、下ハースロール26、26aの両側は、対向する壁材29の外側の少し離れた位置に設置される図示しない軸受を介して支持されている。
【0019】
図1図4に示すように、複数の鋼管13は、上下方向位置を、上ハースロール26と下ハースロール26aの上下方向中間部となる壁部材11の上端及び下端と、壁部材11を上下方向に3等分する2つの内分点とし、左右方向位置を、隣り合う上ハースロール26の間にあって、壁部材11を左右の幅方向に3等分する2つの内分点とする場所にそれぞれ設けられている。そして、各鋼管13の両側は、対向する単位壁材18を貫通している。なお、単位補強材19を構成する溝形鋼20、第1、第2の山形鋼21、22、平鋼23と、第3の山形鋼24の設置された単位壁材18の部位を避けるように鋼管13は設置される。
【0020】
ここで、図6に示すように、鋼管13の内側には断熱材31(例えば、セラミックファイバーからなるブランケット)が充填されており、単位壁材18は、隙間を設けて対向配置される平板32、33と、平板32、33の間に充填された断熱材34(例えば、セラミックファイバーからなるブランケット)を有し、鋼管13が貫通する単位壁材18の部位には、鋼管13を貫通させるために平板32、33にそれぞれ形成した開口を連結するスリーブ35が取付けられている。このような構成とすることにより、単位壁材18を貫通する鋼管13を安定して単位壁材18で保持することができると共に、平板33から外側に突出する鋼管13の端部を固定部材36を介して平板33に固着することができる。なお、符号37は、鋼管13の両端を閉じる蓋である。鋼管13内を断熱材31で充填すると共に、鋼管13の両端に蓋37を取付けることにより、鋼管13内での対流の発生を防止して、鋼管13の温度を均一に保持することができると共に、鋼管13の端部からの放熱を抑制することができる。また、符号38は、対向する壁部材11の下部にそれぞれ取付けられて、壁部材11を立設状態で支持する柱部材であり、符号39、40は、壁部材11の幅方向の両端部にそれぞれ取付けられた端壁部材である。
【0021】
続いて、本発明の一実施の形態に係る連続焼鈍炉10の炉殻構造が有する作用について説明する。
図7(壁部材11の外側に設けられた補強材12の記載は省略している)に示すように、連続焼鈍炉10の対向する壁部材11の左右の幅方向を3等分する各内分点には、壁部材11同士を連結する複数の鋼管13が配置されている。従って、対向する壁部材11は、幅方向の両端が端壁部材39、40で、幅方向を3等分する各内分点が鋼管13でそれぞれ支えられた状態となっている。このため、連続焼鈍炉10で鋼帯25の熱処理を行う際に発生する壁部材11の膨張変形(壁部材11の熱膨張と壁部材11に加わる雰囲気加圧圧力による加圧膨張が重なり合った変形)は、両端がそれぞれ端壁部材39と一方の鋼管13で支えられた分割壁部材41の膨張変形(撓み)と、両端がそれぞれ鋼管13で両端が支えられた分割壁部材42の膨張変形(撓み)と、両端がそれぞれ他方の鋼管13と端壁部材40で支えられた分割壁部材43の膨張変形(撓み)の重ね合せとして近似できる。
【0022】
そして、壁部材11の幅をLとすると、端壁部材39と一方の鋼管13との間隔、鋼管13間の間隔、及び他方の鋼管13と端壁部材40との間隔はL/3(=L´)となる。また、分割壁部材41、42、43にそれぞれ作用して分割壁部材41、42、43を膨張変形させる荷重Pは等しく、分割壁部材41、42、43それぞれの縦弾性係数Eは等しく、分割壁部材41、42、43がそれぞれ膨張変形する際の断面二次モーメントI´は等しい。従って、分割壁部材41、42、43の膨張変形量δ´は、aPL´/(EI´)となる。ここで、aは荷重の種類、分割壁部材41、42、43の両端の拘束条件により決まる定数である。
【0023】
一方、図11に示すように、従来の連続焼鈍炉80は、鋼帯の熱処理を行う際に発生する壁部材81の膨張変形は、両端がそれぞれ端壁部材88、89で支えられた壁部材81の膨張変形(撓み)として近似できる。ここで、連続焼鈍炉80の壁部材81の幅が連続焼鈍炉10の壁部材11の幅Lに等しく、壁部材81の縦弾性係数が壁部材11(分割壁部材41、42、43)の縦弾性係数Eに等しく、壁部材81に作用して壁部材81を膨張変形させる荷重が壁部材11に作用して壁部材11を膨張変形させる荷重Pに等しい場合、壁部材81の膨張変形量δは、aPL/(EI)となる。
【0024】
そして、壁部材81の膨張変形δに対する壁部材11の膨張変形δ´の比δ´/δを求めると、(I/I´)・(L´/L)となる。ここで、連続焼鈍炉80の壁部材81に生じるの膨張変形量の許容値をδとし、連続焼鈍炉10の壁部材11に生じる膨張変形量δ´を許容範囲内、即ち、膨張変形量δ´を大きくてもδとするようなI´を求めると、I´はI(L´/L)となり、L´はL/3なので、I´はI/27となる。従って、対向する壁部材11の間に、壁部材11同士を連結する鋼管13を配置して、壁部材11の膨張変形スパンを小さくすることで、即ち、壁部材11を膨張変形スパンの小さな分割壁部材41、42、43毎に膨張変形させることにより、壁部材11の断面二次モーメントI´を壁部材81の断面二次モーメントIの1/27にすることができる。
【0025】
ここで、壁部材11の膨張変形は、単位壁材18と、単位壁材18の外側に設けられた単位補強材19(溝形鋼20、第1、第2の山形鋼21、22、及び平鋼23で構成)が一体となって膨張変形した結果であるので、単位壁材18、溝形鋼20、第1、第2の山形鋼21、22、及び平鋼23の膨張変形量は、いずれも壁部材11の膨張変形量δ´と近似できる。同様に、壁部材81の膨張変形は、平板82(単位壁材18に相当)と、平板82に接合されたH形鋼83及び溝形鋼84がそれぞれ膨張変形した結果であるので、平板82、H形鋼83、溝形鋼84、及び平鋼87の膨張変形は、いずれも壁部材81の膨張変形量δと近似できる。
【0026】
従って、壁部材11の膨張変形量δ´が壁部材81の膨張変形量δに等しいとする場合、単位補強材19を構成する溝形鋼20、第1、第2の山形鋼21、22、及び平鋼23の各断面二次モーメンは、壁部材81の平板82に接合するH形鋼83、溝形鋼84、及び平鋼87の各断面二次モーメントの1/27となる。このことは、溝形鋼20、第1、第2の山形鋼21、22、及び平鋼23のサイズ(断面積)が、H形鋼83、溝形鋼84のサイズ、及び平鋼87のサイズ(断面積)より小さいことを示している。以上のことから、連続焼鈍炉10の対向する壁部材11の間に、壁部材11同士を連結する鋼管13を配置して、壁部材11の補強を行うことにより、壁部材11の外側に設ける補強材12を構成する形鋼(溝形鋼20、第1、第2の山形鋼21、22)のサイズを、従来の連続焼鈍炉80の壁部材81の外側に設ける形鋼(H形鋼83、溝形鋼84)のサイズより小さくできることが判る。その結果、連続焼鈍炉10が大型化しても、壁部材11の間に、壁部材11同士を連結する鋼管13を追加配置することにより、補強材12の大型化(即ち、断面二次モーメントの増大に伴う高剛性化)を図らなくても、壁部材11の膨張変形を抑制でき、壁部材11の重量削減及び製作コストの低減が可能になる。
【0027】
そして、壁部材11の膨張変形は、単位壁材18と、単位壁材18の外側に設けられ、形鋼から構成される単位補強材19とが一体で膨張変形し、単位壁材18と単位補強材19の膨張変形量δ´は等しくなるので、単位壁材18上に設ける単位補強材19(従って、壁部材11上に設ける補強材12)に設置場所(取付け場所)に関する制約は存在せず、例えば、鋼帯25の搬送に支障が生じない、即ち、鋼管13を、上ハースロール26と下ハースロール26aの上下方向中間部で、隣り合う上ハースロール26の間に配置することができる。なお、鋼管13は、壁部材11の外側に設けられた補強材12の設置位置を避けて配置する。鋼管13を補強材12の設置位置を避けて配置することにより、壁部材11に鋼管13を貫通させる際に、補強材12を構成している溝形鋼20、第1、第2の山形鋼21、22を切り欠く必要がなくなり、補強材12の剛性低下を防止することができる。
【0028】
また、大型の連続焼鈍炉10では、連続焼鈍炉10を一体として輸送することはできず、連続焼鈍炉10の対向する壁部材11は、例えば、2つの対向する部分壁部材14、15に分割してそれぞれ輸送することになる。このとき、対向する部分壁部材14、15は鋼管13で連結されて補強されているので、対向する部分壁部材14、15を輸送する際に従来必要であった搬送用補強材の取付け及び取外しという付帯作業が削減できる。その結果、連続焼鈍炉10の製造コストを低減することができると共に、鋼管13を配置することにより対向する部分壁部材14、15を一体として扱うことができる。
【0029】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
例えば、壁部材を2つの部分壁部材に分割して構成したが、壁部材の大きさに応じては、壁部材を分割しないことも、壁部材を3つ以上の部分壁部材に分割して構成することもある。
また、鋼管(引張り材)を、上ハースロールと下ハースロールの上下方向中間部で、隣り合う上ハースロールの間、具体的には、壁部材の幅方向に沿って3等分し、かつ壁部材の上下方向に沿って3等分する位置にそれぞれ配置したが、上ハースロールと下ハースロールの上下方向中間部で、隣り合う下ハースロール間に設けることもできる。即ち、鋼帯の搬送を妨げない位置であれは、鋼管の配置場所及び個数に制約はない。
更に、補強材を構成する形鋼(溝形鋼、山形鋼)をそれぞれ等間隔に配置したが、壁部材の膨張変形量を許容範囲内に収めることができれば、配置場所、配置個数に制約はなく、形鋼の形状も、溝形鋼と山形鋼の組合わせに限定されず、任意の形状の形鋼を組合わせて用いることができる。
【符号の説明】
【0030】
10:連続焼鈍炉、11:壁部材、12:補強材、13:鋼管、14、15:部分壁部材、16、17:部分補強材、18:単位壁材、19:単位補強材、20:溝形鋼、21:第1の山形鋼、22:第2の山形鋼、23:平鋼、24:第3の山形鋼、25:鋼帯、26:上ハースロール、26a:下ハースロール、29:壁材、31:断熱材、32、33:平板、34:断熱材、35:スリーブ、36:固定部材、37:蓋、38:柱部材、39、40:端壁部材、41、42、43:分割壁部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11