(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建物の開口部に設けられる扉を構成する扉フレームであって、複数の枠材を組み合わせることにより正面形状が矩形環状となるように形成された扉フレームに対して、当該扉フレームの表面を覆うように表面材を取り付けるための取付構造であって、
前記扉の戸先側に配置される前記表面材には、
当該表面材よりも前記扉の内側寄りに形成された領域であって施錠装置を設置するための施錠装置設置領域に至るように、前記施錠装置を挿通させるための挿通口と、
前記挿通口の周縁から、前記複数の枠材のうち前記扉の戸先側に配置される枠材に向けて張り出した接続手段であって、当該表面材を当該枠材に対して接続するための接続手段と、を形成し、
前記接続手段を介して、前記表面材を前記枠材に対して接続した、
表面材の取付構造。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る表面材の取付構造の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕本実施の形態の基本的概念について説明した後、〔II〕本実施の形態の具体的内容について説明し、〔III〕最後に、本実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0024】
〔I〕本実施の形態の基本的概念
まず、本実施の形態の基本的概念について説明する。本実施の形態は、建物の開口部に設けられる扉を構成する扉フレームに対して、当該扉フレームの表面を覆うように表面材を取り付けるための取付構造に係るものである。ここで、「建物」とは、その具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、戸建て住宅、アパートやマンションの如き集合住宅、オフィスビル、商業施設、及び公共施設等を含む概念である。また、「建物の開口部」とは、建物の躯体の一部分(例えば、壁、天井、又は床等)において扉を設置するために形成された開口部である。また、「扉」(ドア)の取り付け位置や用途は任意であり、例えば玄関に設置される「玄関扉」、勝手口や通用口に設置される「勝手口扉」、あるいは建物内部に設置されるための「室内扉」を含む。また、扉の開閉構造は任意であり、例えば「開き戸」や「引き戸」として構成することができる。以下、本実施の形態では、扉が、集合住宅の如き建物の玄関に配置された開き戸である場合について説明する。
【0025】
〔II〕本実施の形態の具体的内容
次に、本実施の形態の具体的内容について説明する。
【0026】
(構成)
初めに、本実施の形態に係る表面材の取付構造が適用される扉の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る扉が設置された建物の要部の正面図である。なお、以下の説明では、
図1のX方向を扉の左右方向(+X方向を扉の左方向、−X方向を扉の右方向)、
図1のY方向を扉の上下方向(+Y方向を扉の上方向、−Y方向を扉の下方向)、
図1の紙面に対して直交する方向(Z方向)を扉の前後方向(紙面から奥側に至る方向(+Z方向)を扉の後方向(屋内側方向)、紙面から手前側に至る方向(−Z方向)を扉の前方向(屋外側方向))と称する。
【0027】
この
図1に示すように、扉1は、概略的に、ドア枠10と、ドア本体20とを備えて構成されている。ただし、扉1に関する特記しない構成については、従来と同様であるものとして説明を省略する。
【0028】
(構成−ドア枠)
ドア枠10は、建物の躯体2に形成された開口部3の周縁に設置されるものであり、左右一対の縦枠11、12、及び上下一対の横枠13、14を備える。これら縦枠11、12及び横枠13、14は、それぞれ開口部3の周縁における建物の躯体2に公知の方法で直接的に固定され、相互に組み合わせられて、全体として正面矩形環状の枠を構成する。以下では、必要に応じて、一対の縦枠11、12のうち、ドア本体20の戸先側(ドア本体20の左右のうち、後述する蝶番63から遠い側であり、本実施の形態においては左側)の縦枠を「戸先側縦枠11」と称し、ドア本体20の戸尻側(ドア本体20の左右のうち、蝶番63に近い側であり、本実施の形態においては右側)の縦枠を「戸尻側縦枠12」と称する。また、横枠13、14のうち、上側の横枠を「上側横枠13」と称し、下側の横枠を「下側横枠14」と称する。
【0029】
ここで、戸先側縦枠11には、デッドボルト受け、ラッチ受け、ドアガード受け(いずれも図示省略)が設けられている。デッドボルト受けは、ドア本体20を全閉位置(本実施の形態においては
図1に示す位置)に位置させた状態において、ドア本体20に設けられた後述する公知のデッドボルト65を受けるためのデッドボルト受容手段であり、デッドボルトと対応する位置に配置されている。ラッチ受けは、ドア本体20に設けられた後述する公知のラッチ64を受けるためのラッチ受容手段であり、ラッチ64と対応する位置に配置されている。ドアガード受けは、ドア本体20に設けられた公知のドアガード(あるいはチェーンロック)(図示省略)を受けるためのドアガード受容手段であり、ドアガードと対応する位置に配置されている。このようなドア枠10を構成する各部材は、任意の方法や材質で製造することができ、例えば、スチール製の板状体を折り曲げ成形することにより製造することができる。
【0030】
(構成−ドア本体)
ドア本体20は、建物の開口部3を開閉するための平板状の開閉体である。
図2は、ドア本体20を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図、(e)は底面図である。
図3は、
図2のドア本体20のA−A矢視断面図である。
図4は、
図2のドア本体20のB−B矢視断面図である。これら
図2から
図4に示すように、ドア本体20は、扉フレーム30、一対の表面材41、42、及びコア50を備える。
【0031】
(構成−ドア本体−扉フレーム)
このうち、扉フレーム30は、ドア本体20の剛性を主として担う基本構造体であり、複数の枠材35を組み合わせることによって、正面形状が矩形環状となるように形成されている。
図5は、扉フレーム30を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図、(e)は底面図である。具体的には、複数の枠材35は、左右一対の縦枠材31、32、及び上下一対の横枠材33、34から構成されている。このうち、左右一対の縦枠材31、32は、長手方向の長さが相互に略同一となるように形成されており、上下方向に略沿うように配置されている。また、上下一対の横枠材33、34は、長手方向の長さが相互に略同一となるように形成されており、左右方向に略沿うように配置されている。以下では、必要に応じて、縦枠材31、32のうち、戸先側の縦枠材31を「戸先側縦枠材31」と称し、戸尻側の縦枠材32を「戸尻側縦枠材32」と称する。また、横枠材33、34のうち、上側の横枠材33を「上側横枠材33」と称し、下側の横枠材34を「下側横枠材34」と称する。なお、これら縦枠材31、32及び横枠材33、34を特に区別する必要のないときは、単に「枠材35」と総称する。この扉フレーム30の構成の詳細については、後述する。
【0032】
(構成−ドア本体−表面材)
表面材41、42は、扉フレーム30の表面を覆うように、扉フレーム30に取り付けられた表面材であり、概略的には、扉フレーム30及びコア50を屋内側及び屋外側から挟むように配置されている。以下では、必要に応じて、表面材41、42のうち、屋内側に配置された表面材を「屋内側表面材41」と称し、屋外側に配置された表面材を「屋外側表面材42」と称する。この表面材41、42の構成の詳細については、後述する。
【0033】
(構成−ドア本体−コア)
コア50は、ドア本体20の心材であり、枠材35の内部に配置されるものであって、正面形状が矩形状となるように形成されている。このコア50の具体的な構造や材質は任意であるが、例えば、コア50は、比較的軽量で高剛性の心材として構成されている。
【0034】
(構成−その他の構成)
また、ドア本体20の戸先側には、把手61、ラッチ64、施錠装置62、及びドアガード(あるいはチェーンロック。図示省略)が設けられている。把手61は、ユーザがドア本体20の開閉操作を行うためのものであり、ドア本体20の前面及び後面における相互に対応する位置に配置されている。ラッチ64は、施錠装置62による施錠の有無に関わらず、ドア本体20を全閉位置に維持するためのものである。このラッチ64は、ドア本体20の内部に設けられた連動機構(図示省略)を介して把手61と連結されており、ユーザによる把手61の操作に連動して、ラッチ64をドア本体20の戸先側の側面から後述する取付プレート62bに形成された貫通孔62eを介して出し入れすることができる。これにより、ドア本体20を全閉位置に位置させた状態において、このラッチ64を戸先側縦枠11に設けられたラッチ受け(図示省略)に係止させることにより、ドア本体20を全閉位置に維持することができる。施錠装置62は、ドア本体20を施錠するための装置であり、後述する装置本体62aと、後述する取付プレート62bとを備えている。このうち、装置本体62aは、屋外側表面材42に形成された挿通口43を介して戸先側縦枠材31の施錠装置取付用ライナ31dに収容されるもので、デッドボルト65を含む施錠機構を備えている。ユーザは、ドア本体20の前方から鍵操作を行うことにより、このデッドボルト65をドア本体20の戸先側の側面から、後述する取付プレート62bに形成された貫通孔62dを介して出し入れすることができ、ドア本体20を全閉位置に位置させた状態において、このデッドボルト65を戸先側縦枠11に設けられたデッドボルト受け(図示省略)に係止させることで、ドア本体20を施錠することができる。取付プレート62bは、施錠装置62を後述する接続片80を介して戸先側縦枠材31に取り付けるために、装置本体62aの戸先側の側面に設けられた取付板であり、例えば、スチール製の板状体にて形成されている。ドアガードは、ドア本体20の開度を一定以下に制限するためのものであり、屋内側表面材41を介して、戸先側縦枠材31の屋内側の側面に設けたドアガード取付用ライナ31eに対してネジ等の固定具により固定されており、このドアガードの先端部を、戸先側縦枠11に設けたドアガード受け(図示省略)に係止させることで、ドア本体20の開度を制限することができる。
【0035】
また、ドア本体20の戸尻側には、複数の蝶番63が設けられている。これら複数の蝶番63は、ドア本体20を戸尻側縦枠12に対して開動自在に軸支するためのものであり、上下方向に沿って並設されている。この蝶番63は、公知の蝶番と同様に2つの板状片(図示省略)を開閉可能に接続して構成されており、一方の板状片が、屋内側表面材41又は屋外側表面材42を介して、戸尻側縦枠材32の蝶番取付用ライナ32dにネジ等の固定具により固定されると共に、他方の板状片が、戸尻側縦枠12に対してネジ等の固定具により固定されている。
【0036】
また、ドア本体20の上側には、ドアクローザ(図示省略)が設けられている。このドアクローザは、ドア本体20が開かれた場合に、このドア本体20を安全な速度で自動的に閉じるためのものであり、具体的には、ドアクローザのアーム部(図示省略)を前後方向に向けて回転させることができ、ドア本体20が開いた状態で、ドア本体20が開けられる際の力を復元力として利用しながら、ドアクローザのダンパ部(図示省略)によって急激な戻りを抑制することができる。このドアクローザは、ドア本体20の戸尻側の屋内面に配置されており、そのアーム部の一方の端部が、屋内側表面材41を介して、上側横枠材33のドアクローザ取付用ライナ33dに対してネジ等の固定具により固定されていると共に、ドアクローザにおけるアーム部の他方の端部が、上側横枠13に対してネジ等の固定具により固定されている。
【0037】
また、ドア本体20の下側には、戸当たり用ライナ34dが設けられている。この戸当たり用ライナ34dは、ドア本体20が開けられる場合に、建物の廊下等に設けられた戸当たり(図示省略)がドア本体20に直接的に接触して変形等することを防止するためのものであり、ドア本体20の戸先側の屋外面に配置されている。
【0038】
(構成−ドア本体−扉フレームの構成の詳細)
次に、ドア本体20の扉フレーム30の構成の詳細について説明する。この扉フレーム30を構成する枠材35は、特記する場合を除いて、任意の形状、方法、及び材質で製造することができる。本実施の形態において、枠材35は、中央片と、当該中央片に対して直交する一対の側片とから、枠材35の長手方向に直交する断面による断面形状がコ字状となるように形成されている。より具体的には、
図5に示すように、戸先側縦枠材31は中央片31aと一対の側片31b、戸尻側縦枠材32は中央片32aと一対の側片32b、上側横枠材33は中央片33aと一対の側片33b、下側横枠材34は中央片34aと一対の側片34bとから、それぞれ、長手方向に直交する断面による断面形状がコ字状となるように形成されている。この形成は、例えば、スチール製の板状体を折り曲げ成形することにより行うことができる。
【0039】
このように形成された複数の枠材35の配置方向は、屋内側表面材41、屋外側表面材42、施錠装置62、あるいは蝶番63の設置構造を考慮して決定することが好ましい。このため、本実施の形態においては、
図5及び
図6に示すように、上側横枠材33は、一対の側片33bがドア本体20の内側に向けて突出する方向で設置されており、このことによって、上側横枠材33の中央片33aがドア本体20の上方寄りに位置することになり、この中央片33aに対して屋内側表面材41及び屋外側表面材42を密着状に当接させて固定することができる。また、下側横枠材34は、一対の側片34bがドア本体20の内側に向けて突出する方向で設置されており、このことによって、下側横枠材34の中央片34aがドア本体20の下方寄りに位置することになり、この中央片34aに対して屋内側表面材41及び屋外側表面材42を密着状に当接させて固定することができる。また、戸先側縦枠材31は、一対の側片31bが戸先側縦枠11に向けて突出する方向で配置されており、このことによって、戸先側縦枠材31の中央片31aと一対の側片31bとの相互間に、施錠装置取付用ライナ31d及び施錠装置62を収容するための収容スペースを、戸先側縦枠11に対向するように形成することができる。また、戸尻側縦枠材32は、一対の側片32bがコア50に向けて突出する方向で配置されており、このことによって、戸尻側縦枠材32の中央片32aが戸尻側縦枠12に対向する位置に配置され、この中央片32aに対して、蝶番63を取り付けるための蝶番取付用ライナ32dを固定することができる。
【0040】
このように配置された複数の枠材35は、相互に嵌合構造により接続されている。すなわち、これら複数の枠材35の中で、相互に直交する少なくとも2つの枠材35のうち、一方の枠材35を他方の枠材35に嵌合させることが可能となるように、一方の枠材35の端部には当該一方の枠材35の長手方向における外側に開放する凹部が1つのみ形成され、他方の枠材35の端部には凸部が1つのみ形成されている。そして、この凸部を凹部に嵌合させることで、これら2つの枠材35が相互に接続されている。
【0041】
以下、この嵌合構造についてさらに具体的に説明する。
図6は、上側横枠材33と戸先側縦枠材31との固定状態を示す斜視図である。この
図6に示すように、上側横枠材33の長手方向の左端部には、中央片33aの左端部分を切り欠くことによって凹部33cが形成されており、戸先側縦枠材31の長手方向の上端部には、一対の側片31bのそれぞれの上端部分を切り欠くことによって(より正確には、さらに中央片31aの屋外側端部及び屋内側端部も切り欠くことによって)凸部31cが形成されている。そして、凹部33cに凸部31cを挿通させるように、これら凹部33cと凸部31cとを相互に嵌合させることによって、これら上側横枠材33の長手方向の左端部と戸先側縦枠材31の長手方向の上端部とが、従来のように相互に溶接されることなく、相互に固定されている。ここで、凹部33cに対する凸部31cの挿通方向は任意であり、例えば、凹部33cの下方側から凸部31cを挿通させることも可能であるが、本実施の形態では、凹部33cは、上側横枠材33の長手方向における外側(
図6における左側)に開放するように形成されているので、この外側から上側横枠材33に近づく方向に凸部31cを凹部33cに押し当てることで、凸部31cを凹部33cに挿通させて嵌合させることが可能となっている。
【0042】
また、これら凹部33cと凸部31cとの具体的な形状は、これらを相互に嵌合させることが可能である限り任意であるが、本実施の形態では、上側横枠材33における凹部33cを形成するための切り欠きの深さ(左右方向の寸法)D1を、戸先側縦枠材31の側片31bの幅(左右方向の寸法)に対して同一又はそれ以下とすることで、上側横枠材33の側片33bの左側の端面と、戸先側縦枠材31の側片31bの左側の側面とが、相互に面一状となっている。このため、これらの端面及び側面に対して屋内側表面材41及び屋外側表面材42を密着状に当接させることが可能となっている。また、戸先側縦枠材31における凸部31cを形成するための切り欠きの深さ(上下方向の寸法)D2を、上側横枠材33の側片33bの高さ(上下方向の寸法)に対して同一又はそれ以下とすることで、戸先側縦枠材31の中央片31aの上側の端面(凸部31cの端面)と、上側横枠材33の中央片33aの上側の側面とが、相互に面一状となっている。このため、これらの端面及び側面に対して屋内側表面材41及び屋外側表面材42を密着状に当接させることが可能となっている。
【0043】
また、このような上側横枠材33と戸先側縦枠材31との左端部周辺における嵌合構造は、下側横枠材34と戸先側縦枠材31との左端部周辺における嵌合構造にも同様に適用されている。すなわち、
図5に示すように、下側横枠材34の長手方向の左端部には、中央片34aの左端部分を切り欠くことによって凹部34cが形成されており、戸先側縦枠材31の長手方向の下端部には、一対の側片31bの上端部分を切り欠くことによって(より正確には、さらに中央片31aの屋外側端部及び屋内側端部も切り欠くことによって)凸部31cが形成されている。そして、凹部34cに凸部31cを挿通させるように、これら凹部34cと凸部31cとを相互に嵌合させることによって、これら下側横枠材34の長手方向の左端部と戸先側縦枠材31の長手方向の下端部とが、従来のように相互に溶接されることなく、相互に固定されている。
【0044】
図7は、上側横枠材33と戸尻側縦枠材32との固定状態を示す斜視図である。この
図7に示すように、上側横枠材33の長手方向の右端部には、中央片33aの右端部分を切り欠くことによって凹部33cが形成されており、戸尻側縦枠材32の長手方向の上端部には、一対の側片32bのそれぞれの上端部分を切り欠くことによって(より正確には、さらに中央片32aの屋外側端部及び屋内側端部も切り欠くことによって)凸部32cが形成されている。そして、凹部33cに凸部32cを挿通させるように、これら凹部33cと凸部32cとを相互に嵌合させることによって、これら上側横枠材33の長手方向の右端部と戸尻側縦枠材32の長手方向の上端部とが、従来のように相互に溶接されることなく、相互に固定されている。ここで、凹部33cに対する凸部32cの挿通方向は任意であり、例えば、凹部33cの下方側から凸部32cを挿通させることも可能であるが、本実施の形態では、凹部33cは、上側横枠材33の長手方向における外側(
図7における右側)に開放するように形成されているので、この外側から上側横枠材33に近づく方向に凸部32cを凹部33cに押し当てることで、凸部32cを凹部33cに挿通させることが可能となっている。
【0045】
また、これら凹部33cと凸部32cとの具体的な形状は、これらを相互に嵌合させることが可能である限り任意であるが、本実施の形態では、上側横枠材33における凹部33cを形成するための切り欠きの深さ(左右方向の寸法)D3を戸尻側縦枠材32の側片32bの幅(左右方向の寸法)より長くすることで、上側横枠材33の側片33bの右側の端面が、戸尻側縦枠材32の側片32bの右側の側面よりも、戸尻側縦枠12に向けて突出しており、
図4に示すように、このことによって戸尻側縦枠材32の中央片32aと屋内側表面材41及び屋外側表面材42との相互間に形成された収容スペースに、蝶番取付用ライナ32dを収容することが可能となっている。また、戸尻側縦枠材32における凸部32cを形成するための切り欠きの深さ(上下方向の寸法)D4を、上側横枠材33の側片33bの高さ(上下方向の寸法)に対して同一又はそれ以下とすることで、戸尻側縦枠材32の中央片32aの上側の端面(凸部32cの端面)と、上側横枠材33の中央片33aの上側の側面とが、相互に面一状となっている。このため、これらの端面及び側面に対して屋内側表面材41及び屋外側表面材42を密着状に当接させることが可能となっている。
【0046】
また、このような上側横枠材33と戸尻側縦枠材32との右端部周辺における嵌合構造は、下側横枠材34と戸尻側縦枠材32との右端部周辺における嵌合構造にも同様に適用されている。すなわち、
図5に示すように、下側横枠材34の長手方向の右端部には、中央片34aの右端部分を切り欠くことによって凹部34cが形成されており、戸尻側縦枠材32の長手方向の下端部には、一対の側片32bの下端部分を切り欠くことによって(より正確には、さらに中央片32aの屋外側端部及び屋内側端部も切り欠くことによって)凸部32cが形成されている。そして、凹部34cに凸部32cを挿通させるように、これら凹部34cと凸部32cとを相互に嵌合させることによって、これら下側横枠材34の長手方向の右端部と戸尻側縦枠材32の長手方向の下端部とが、従来のように相互に溶接されることなく、相互に固定されている。
【0047】
(構成−ドア本体−表面材の構成の詳細)
次に、本実施の形態に係るドア本体20の屋内側表面材41及び屋外側表面材42の構成の詳細について説明する。
図3及び
図4に示すように、屋内側表面材41は、主面部41a、上側面部41b、下側面部41c、戸先側面部41d、及び戸尻側面部41eを備えて構成されている。主面部41aは、扉フレーム30及びコア50の屋内側の側面を覆い、上側面部41bは、上側横枠材33の上側の側面における屋内側寄りの部分を覆い、下側面部41cは、下側横枠材34の下側の側面における屋内側寄りの部分を覆い、戸先側面部41dは、戸先側縦枠材31の左側の側面における屋内側寄りの部分を覆い、戸尻側面部41eは、戸尻側縦枠材32の右側の側面における屋内側寄りの部分を覆っている。なお、戸先側面部41dの屋外側の端部は、戸先側縦枠材31に向けて折り曲げられており、戸尻側面部41eの屋外側の端部は、戸尻側縦枠材32に向けて折り曲げられている。これら屋内側表面材41の各部を扉フレーム30及びコア50に対して固定するための構造は任意であるが、本実施の形態においては、これら屋内側表面材41の各部が自己に対向する扉フレーム30の各部及びコア50に対して接着剤により固定されており、さらに、上側面部41bは上側横枠材33に対してリベット44により固定されており、下側面部41cは下側横枠材34に対してリベット45により固定されている。また、戸先側面部41dの端部は、屋外側表面材42の後述する戸先側面部42dの端部に対して突き合せられており、戸尻側面部41eの端部は、屋外側表面材42の後述する戸尻側面部42eの端部に対して突き合せられている。このように構成された屋内側表面材41の具体的な形成方法は任意であるが、本実施の形態においては、1枚の薄厚の鋼板を折り曲げ加工することで、これら屋内側表面材41の各部を相互に一体に形成している。
【0048】
また、屋外側表面材42は、主面部42a、上側面部42b、下側面部42c、戸先側面部42d、及び戸尻側面部42eを備えて構成されている。主面部42aは、扉フレーム30及びコア50の屋外側の側面を覆い、上側面部42bは、上側横枠材33の上側の側面における屋外側寄りの部分を覆い、下側面部42cは、下側横枠材34の下側の側面における屋外側寄りの部分を覆い、戸先側面部42dは、戸先側縦枠材31の左側の側面における屋外側寄りの部分を覆い、戸尻側面部42eは、戸尻側縦枠材32の右側の側面における屋外側寄りの部分を覆っている。なお、戸先側面部42dの屋内側の端部は、戸先側縦枠材31に向けて折り曲げられており、戸尻側面部42eの屋内側の端部は、戸尻側縦枠材32に向けて折り曲げられている。これら屋外側表面材42の各部を扉フレーム30及びコア50に対して固定するための構造は任意であるが、本実施の形態においては、これら屋外側表面材42の各部が自己に対向する扉フレーム30の各部及びコア50に対して接着剤により固定されており、さらに、上側面部42bは上側横枠材33に対してリベット44により固定されており、下側面部42cは下側横枠材34に対してリベット45により固定されている。また、戸先側面部42dの端部は、戸先側面部41dの端部に対して突き合せられており、戸尻側面部42eの端部は、戸尻側面部41eの端部に対して突き合せられている。このように構成された屋外側表面材42の具体的な形成方法は任意であるが、本実施の形態においては、1枚の薄厚の鋼板を折り曲げ加工することで、これら屋外側表面材42の各部を相互に一体に形成している。
【0049】
このように形成された屋内側表面材41及び屋外側表面材42は、扉フレーム30及びコア50を外部から非露出状となるように覆う化粧材として機能する他、扉フレーム30の複数の枠材35の脱落を防止する構造材としても機能する。以下、この点を含め、扉フレーム30の複数の枠材35を固定するための固定構造について、さらに詳細に説明する。
【0050】
(構成−扉フレームの複数の枠材の固定構造)
最初に、戸先側縦枠材31の固定構造について説明する。上述したように、戸先側縦枠材31は、戸先側縦枠材31の凸部31cと上側横枠材33の凹部33c及び下側横枠材34の凹部34cとを相互に嵌合させることによって、上側横枠材33及び下側横枠材34に接続されている。特に、
図6に部分的に示すように、凸部31cの内側(戸尻側)の側面を上側横枠材33及び下側横枠材34に対して当接させることで、凸部31cが内側(戸尻側)に移動することを規制し、戸先側縦枠材31が扉フレーム30の内側に向けて脱落することを防止している。一方、凹部33cは外側(戸先側)に開放するように形成されているので、戸先側縦枠材31が何らかの理由により外側(戸先側)に向かう力を受けた場合には、凸部31cが外側(戸先側)に移動して凹部33c及び凹部34cから外れ、戸先側縦枠材31が扉フレーム30の外側(戸先側)に向けて脱落する可能性がある。しかしながら、本実施の形態では、上述したように、この戸先側縦枠材31の外側(戸先側)に屋内側表面材41の戸先側面部41dと屋外側表面材42の戸先側面部42dとを配置しているので、これら戸先側面部41dと戸先側面部42dとによって戸先側縦枠材31が外側(戸先側)に移動することを規制し、戸先側縦枠材31が扉フレーム30の外側(戸先側)に向けて脱落することを防止している。このように本実施の形態では、戸先側縦枠材31が扉フレーム30から脱落することに関して、内側(戸尻側)に対して脱落することを凸部31cと凹部33c及び凹部34cとの嵌合構造により防止すると共に、外側に対して脱落することを屋内側表面材41及び屋外側表面材42により防止している。
【0051】
また戸尻側縦枠材32の固定構造についても、上記した戸先側縦枠材31の固定構造と同様である。すなわち、本実施の形態では、戸尻側縦枠材32が扉フレーム30から脱落することに関して、内側(戸先側)に対して脱落することを凸部32cと凹部33c及び凹部34cとの嵌合構造により防止すると共に、外側(戸尻側)に対して脱落することを、戸尻側縦枠材32の外側(戸尻側)に屋内側表面材41の戸尻側面部41eと屋外側表面材42の戸尻側面部42eとを配置することで防止している。
【0052】
次に、上側横枠材33の固定構造について説明する。上述したように、上側横枠材33は、上側横枠材33の凹部33cと戸先側縦枠材31の凸部31c及び戸尻側縦枠材32の凸部32cとを相互に嵌合させることによって、戸先側縦枠材31及び戸尻側縦枠材32に接続されている。特に、
図6及び
図7に部分的に示すように、上側横枠材33の一対の側片33bの内側(下側)の面を、戸先側縦枠材31の一対の側片31bの外側(上側)の面と戸尻側縦枠材32の一対の側片32bの外側(上側)の面とに当接させることで、側片33bが内側(下側)に移動することを規制し、上側横枠材33が扉フレーム30の内側(下側)に向けて脱落することを防止している。一方、凹部33cは外側(上側)に開放するように形成されているので、上側横枠材33が何らかの理由により外側(上側)に向かう力を受けた場合には、凹部33cが外側(上側)に移動してこの凹部33cから凸部31c及び凸部32cが外れ、上側横枠材33が扉フレーム30の外側(上側)に向けて脱落する可能性がある。しかしながら、本実施の形態では、上述したように、上側横枠材33の外側(上側)に屋内側表面材41の上側面部41bと屋外側表面材42の上側面部42bとを配置しているので、これら上側面部41bと上側面部42bとによって凹部33cが外側(上側)に移動することを規制し、上側横枠材33が扉フレーム30の外側(上側)に向けて脱落することを防止している。このように本実施の形態では、上側横枠材33が扉フレーム30から脱落することに関して、内側(下側)に対して脱落することを凹部33cと凸部31c及び凸部32cとの嵌合構造により防止すると共に、外側(上側)に対して脱落することを屋内側表面材41及び屋外側表面材42により防止している。
【0053】
また下側横枠材34の固定構造についても、上記した上側横枠材33の固定構造と同様である。すなわち、本実施の形態では、下側横枠材34が扉フレーム30から脱落することに関して、内側(上側)に対して脱落することを凹部34cと凸部31c及び凸部32cとの嵌合構造により防止すると共に、外側(下側)に対して脱落することを、下側横枠材34の外側(下側)に対して、屋内側表面材41の下側面部41cと屋外側表面材42の下側面部42cとを配置することで防止している。
【0054】
(構成−ドア本体−表面材の取付構造の詳細)
次に、屋内側表面材41及び屋外側表面材42の取付構造について、より詳細に説明する。
図8は、
図2のドア本体20のC領域周辺の拡大図である。
図9は、
図8のD−D矢視断面図である。
図10は、
図9のE領域周辺の拡大図である。
図11は、
図8に対応する図であって、施錠装置62が設置されていない状態を示す図である。これら
図8から
図11に示すように、屋外側表面材42の戸先側面部42dには、挿通口43と、上下一対の接続片80とが形成されている。
【0055】
挿通口43は、屋外側表面材42の戸先側面部42dを介して、施錠装置62の装置本体62aを施錠装置設置領域90に至るように挿通させるための開口である。ここで、「施錠装置設置領域90」とは、施錠装置62を設置するための領域であり、屋外側表面材42の戸先側面部42dよりも戸尻側に形成された領域であって、本実施の形態においては、戸先側縦枠材31に設けられた施錠装置取付用ライナ31dの内部において戸先側縦枠11に向けて開放するように形成された領域であり、具体的には、装置本体62aの外形と同等又はやや大きな内形を有する直方体状の領域である。このように形成された施錠装置設置領域90に至るように装置本体62aを挿通させるため、挿通口43は、装置本体62aを挿通可能な形状にて形成されている。具体的には、挿通口43は、
図8に示すように、挿通口43の上下方向の長さが施錠装置62の上下方向の長さと同等又はやや長く、挿通口43の前後方向の長さが施錠装置62の前後方向の長さと同等又はやや長くなる長方形状として形成されている。なお、挿通口43の具体的な形成方法は任意であるが、本実施の形態においては、打ち抜き形成されている。
【0056】
一対の接続片80は、屋外側表面材42を戸先側縦枠材31に対して接続するための接続手段である。一方の接続片80は、挿通口43の周縁のうち上縁部から、戸先側縦枠材31に向けて張り出すように配置されており、他方の接続片80は、挿通口43の周縁のうち下縁部から、戸先側縦枠材31に向けて張り出すように配置されている。すなわち、これら一対の接続片80は、挿通口43の中心に対して上下対称(より具体的には、挿通口43の上下及び前後の中心を通る中立軸であって、前後方向に沿った中立軸に対して上下対称)となるように配置されている。
【0057】
ここで、一対の接続片80の構成の詳細について説明する。ただし、これら一対の接続片80の各々は、上下対称に構成することができるので、以下では、上方の接続片80(以下、単に「接続片80」と称する)の構成の詳細のみについて説明する。
図12は、
図11のF領域周辺の拡大斜視図である。
図13は、
図11のG−G矢視断面図である。
図14は、
図13のH領域周辺の拡大図である。
【0058】
まず、接続片80は、屋外側表面材42の戸先側面部42dに対して固定可能な形状にて形成されている。具体的には、
図11から
図14に示すように、接続片80は、挿通口43の周縁から戸先側縦枠材31側(
図14における右側)に向けて張り出すように形成された第1部分81と、第1部分81から施錠装置62の装置本体62a側(
図14における下側)に向けて張り出すように形成された第2部分82とから、左右方向に沿った鉛直断面による断面形状が略L字状となるように形成されている。ここで、接続片80の具体的な形成方法は任意であるが、本実施の形態においては、挿通口43が打ち抜き形成される際に、戸先側面部42dの接続片80に対応する部分を残しながら、戸先側面部42dから挿通口43を打ち抜き形成し、この打ち抜きと同時又は打ち抜きの後に、当該対応する部分を折り曲げ成形することにより、屋外側表面材42と一体に形成されている。ただし、上述した形成方法に限られず、例えば、接続片80は、不燃性素材(例えば、金属や不燃性繊維等)を用いて屋外側表面材42と別体に形成された上で、溶接や固定具等を用いて屋外側表面材42に取り付けるようにしてもよい。
【0059】
また、接続片80の具体的な形状は任意であるが、本実施の形態では、
図14に示すように、挿通口43の周縁と接続片80との相互間の取り付け箇所において、挿通口43の周縁と接続片80とが成す内角αが90°以下となる形状にて形成されている。具体的には、第1部分81における第2部分82側の端部が、当該第1部分81における挿通口43の周縁端部の上下方向の位置よりも、施錠装置62の装置本体62a側とは反対側(
図14の上側)に位置するように、第1部分81が水平方向に対して傾斜する形状に形成されている。このような形状により、第1部分81が戸先側面部42dの裏側に隠れることで、接続片80を外部から視認し難くすることが可能になると共に、施錠装置62を施錠装置設置領域90に設置する際、この接続片80が設置作業の障害になる可能性を低減することができる。例えば、内角αが90°を超える角度である場合には、第1部分81における第2部分82側の端部が、当該第1部分81における挿通口43の周縁端部の上下方向の位置よりも、施錠装置62の装置本体62a側寄りの位置に突出することになる。従って、この場合には、施錠装置62を取り付ける際には、取付プレート62bの上下の角部がこの第1部分81に当たるので、この角部によって第1部分81を押し込みながら施錠装置62を取り付ける必要が生じ、施錠装置62を取り付けるために大きな力が必要になる可能性がある。しかしながら、本実施の形態の構造によれば、取付プレート62bの上下の角部が第1部分81に当たらないので、施錠装置62を比較的小さな力でスムーズに取り付けることが可能になる。
【0060】
また、施錠装置62が施錠装置設置領域90に設置された状態において、接続片80は外部に対して非露出状となるように配置されていることにより、扉1の意匠性を維持している。具体的には、
図8、
図9に示すように、取付プレート62bの側面形状が挿通口43の開口形状と略同一又はやや小さい形状となる形状になるように形成されている。このため、施錠装置62が施錠装置設置領域90に設置された状態においては、接続片80が取付プレート62bによって覆われて外部から見えなくなるので、接続片80が外部に対して露出することによって扉1の意匠性が低下することを防止することが可能になる。特に、施錠装置62を施錠装置設置領域90に設置することに伴って、接続片80を外部に対して非露出状とすることが可能になるので、接続片80を外部に対して非露出状とするための特別な作業が不要になる。
【0061】
また、第2部分82の戸先側の側面(
図14における左側の側面)から、屋外側表面材42の戸先側の側面(
図14における左側の側面)に至る空間部(以下、取付プレート収容空間部)は、施錠装置62の取付プレート62bとほぼ同一の形状となるように設定されている。すなわち、
図9、
図10に示すように、挿通口43の周縁の外側面と取付プレート62bの外側面とが相互に面一となるように、接続片80の左右方向の長さL1と、取付プレート62bの左右方向の長さL2とが相互に対応するように設定されている。このため、この取付プレート収容空間部に取付プレート62bを収容した状態においては、この取付プレート62bの戸先側の側面(
図14における左側の側面)が、屋外側表面材42の戸先側の側面と面一状となり、意匠性の向上等を図ることが可能となっている。
【0062】
ただし、施錠装置62の取付プレート62bの肉厚は、施錠装置62の種類等によって異なる可能性があるため、単に取付プレート収容空間部を同一形状で形成した場合には、取付プレート収容空間部が取付プレート62bと異なる形状となる場合が生じることで、種々の不具合が生じ得る。例えば、肉厚が比較的薄い取付プレート62bを有する施錠装置62を取り付ける場合には、取付プレート62bと接続片80の第2部分82との相互間に隙間が生じてしまったり、この隙間を埋めるための別部材を設ける必要が生じたり、屋外側表面材42の戸先側の側面に対して面一にならない等の問題が生じ得る。あるいは、肉厚が比較的厚い取付プレート62bを有する施錠装置62を取り付ける場合には、取付プレート62bが屋外側表面材42の戸先側の側面よりも戸先側縦枠11の方に突出して、屋外側表面材42の戸先側の側面に対して面一にならない等の問題が生じ得る。そこで、本実施の形態では、これらの不具合を防止するために、施錠装置62の取付プレート62bの肉厚に応じて異なる寸法の取付プレート収容空間部を形成できるように、異なる寸法の接続片80を設けることを可能としている。例えば、接続片80の左右方向の長さL1(ただし、第2部分82の肉厚を差し引いた長さとする)のみが異なる複数の屋外側表面材42を形成可能とし、施錠装置62の取付プレート62bの肉厚が決定した後に、当該肉厚に応じた接続片80を有する屋外側表面材42を形成してドア本体20に取り付けることで、接続片80の左右方向の長さL1(ただし、第2部分82の肉厚を差し引いた長さとする)と、取付プレート62bの肉厚とを略同一とし、取付プレート収容空間部と取付プレート62bとを相互に合致する形状とすることができる。このように接続片80のみが異なる複数の屋外側表面材42を形成可能とするための具体的な方法は任意であるが、例えば、形状が異なる複数の接続片80を屋外側表面材42とは別体に形成しておき、施錠装置62の取付プレート62bの肉厚が決定した後に、当該肉厚に応じた接続片80を選択して屋外側表面材42に取り付けてもよい。あるいは、施錠装置62の取付プレート62bの肉厚が決定した後に、当該肉厚に応じた接続片80を形成できるように、接続片80の折り曲げ成形形状を調整することで、当該肉厚に応じた接続片80を屋外側表面材42に形成するようにしてもよい。
【0063】
このように構成された接続片80を介して、屋外側表面材42と戸先側縦枠材31とを接続することにより、従来技術に比べて、屋外側表面材42と戸先側縦枠材31とが強固に接続されている。具体的には、
図9、
図10に示すように、屋外側表面材42を戸先側縦枠材31に対して接合している接着剤が火災発生に伴う熱によって溶けたような場合であっても、屋外側表面材42が戸先側縦枠材31から外れないようにするために、施錠装置62を戸先側縦枠材31に対して取り付けるための取付ネジ91を介して、接続片80と戸先側縦枠材31とが接続されている。より具体的には、この取付ネジ91が、接続片80の第2部分82に形成された貫通孔83を介して、戸先側縦枠材31に取り付けられたナット92に接続されることにより、接続片80と戸先側縦枠材31とが接続されている。このことにより、戸先側縦枠材31が他の枠材35に対して溶接ではなく嵌合構造等によって接続されている場合に、屋外側表面材42を戸先側縦枠材31に対して接合している接着剤が火災発生に伴う熱によって溶けたような場合であっても、屋外側表面材42が戸先側縦枠材31から外れることを防止できるため、戸先側縦枠材31が扉フレーム30から脱落することを防止できる。特に、施錠装置62を取り付けるための取付ネジ91を介して接続片80を戸先側縦枠材31に接続しているので、接続片80を戸先側縦枠材31に接続するための取付手段として、取付ネジ91とは別のネジ等の取付手段を用いる必要がなくなり、扉1を製造する手間やコストが増大することを防止することも可能になる。また、貫通孔83の形状を上下方向に沿った長軸を有する長孔状とすることが好ましく、この場合には、接続片80の左右方向の長さL1を変更すること等に伴って、接続片80に対する取付プレート62bの上下方向の位置が若干変動した場合であっても、取付ネジ91を貫通孔83に確実に挿通させることが可能になる。
【0064】
(ドア本体の製造方法)
最後に、ドア本体20の製造方法について説明する。
【0065】
まず、屋外側表面材42の内面が上向きとなるように、当該屋外側表面材42を組立台(図示省略)の上面に載置する。そして、上側横枠材33と下側横枠材34の各側面のうち、屋内側表面材41又は屋外側表面材42に対して当接する面に接着剤を塗布した後、これら上側横枠材33と下側横枠材34とをそれぞれ屋外側表面材42の内面における所定の固定位置に載置することにより、これら上側横枠材33と下側横枠材34とを屋外側表面材42に固定する。
【0066】
次に、戸先側縦枠材31と戸尻側縦枠材32の各側面のうち、屋内側表面材41又は屋外側表面材42に対して当接する面に接着剤を塗布した後、これら戸先側縦枠材31と戸尻側縦枠材32とをそれぞれ屋外側表面材42の内面における所定の固定位置に載置することにより、これら戸先側縦枠材31と戸尻側縦枠材32とを屋外側表面材42に固定する。この際、戸先側縦枠材31の凸部31cを上側横枠材33の凹部33cと下側横枠材34の凹部34cとに嵌合させることにより、戸先側縦枠材31を上側横枠材33と下側横枠材34とに嵌合構造により接続する。また同様に、戸尻側縦枠材32の凸部32cを上側横枠材33の凹部33cと下側横枠材34の凹部34cとに嵌合させることにより、戸尻側縦枠材32を上側横枠材33と下側横枠材34とに嵌合構造により接続する。
【0067】
次いで、コア50の各側面のうち、屋内側表面材41又は屋外側表面材42に対して当接する面に接着剤を塗布した後、このコア50を屋外側表面材42の内面に載置することにより、コア50を屋外側表面材42に固定する。また、施錠装置取付用ライナ31d、複数の蝶番取付用ライナ32d、ドアクローザ取付用ライナ33d、戸当たり用ライナ34d、及びドアガード取付用ライナ31eを、戸先側縦枠材31、戸尻側縦枠材32、上側横枠材33、下側横枠材34や、コア50に対して、接着剤や構造用接合テープ等の公知の方法により接続する。
【0068】
その後、屋内側表面材41の内面が下向きとなるように、屋内側表面材41を屋外側表面材42、扉フレーム30、又はコア50に載置することで、これら屋内側表面材41と、屋外側表面材42、扉フレーム30、及びコア50とを接続する。
【0069】
そして、屋内側表面材41及び屋外側表面材42に塗布された接着剤が硬化した後、屋内側表面材41及び屋外側表面材42を、上側横枠材33及び下側横枠材34に対してリベット44により接続する。
【0070】
また、施錠装置62の装置本体62aを、屋外側表面材42の戸先側面部42dに形成された挿通口43を介して施錠装置取付用ライナ31bに収容した後、取付ネジ91を、取付プレート62bに形成された貫通孔62c及び一対の接続片80の各々の第2部分82に形成された貫通孔83を介して、戸先側縦枠材31のナット92にネジ込む。このナット92は、例えば、戸先側縦枠材31を屋外側表面材42の内面に載置する前の任意のタイミングで、戸先側縦枠材31に形成した開口部(図示省略)の周縁に対して固定されるもので、この開口部の周縁に対して加締めることで固定される加締めナットの如き公知のナットを使用することができる。特に、このナット92としては、ネジ切り部分が可動するフローティングナットを用いることが好ましく、この場合には、戸先側縦枠材31に対する取付プレート62bの上下方向や前後方向の位置が若干変動した場合であっても、取付ネジ91をナット92に確実に挿通させることが可能になる。このように取付ネジ91を接続片80の貫通孔83を介してナット92にネジ込むことで、施錠装置62を接続片80を介して戸先側縦枠材31に接続することができると共に、屋外側表面材42を接続片80を介して戸先側縦枠材31に接続することができる。これにてドア本体20の製造が終了する。
【0071】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、屋外側表面材42の戸先側面部42dには、施錠装置62の装置本体62aを施錠装置設置領域90に至るように挿通させるための挿通口43と、挿通口43の周縁から、戸先側縦枠材31に向けて張り出した接続片80であって、戸先側面部42dを戸先側縦枠材31に対して接続するための接続片80とを形成し、接続片80を介して、戸先側面部42dを戸先側縦枠材31に対して接続したので、屋外側表面材42を戸先側縦枠材31に対して接続片80を介して強固に接続することができる。このため、例えば、戸先側縦枠材31が他の枠材35に対して溶接ではなく嵌合構造等によって接続されている場合に、屋外側表面材42を戸先側縦枠材31に対して接合している接着剤が火災発生に伴う熱によって溶けたような場合であっても、屋外側表面材42が戸先側縦枠材31から外れることを防止することが可能になり、扉1の強度を維持することが可能になる。また、挿通口43の周縁から接続片80を張り出したので、特に扉1の全閉状態においては施錠装置62と同様に接続片80を外部から非露出状とすることが容易であり、接続片80を他の位置に形成する場合に比べて、扉1の意匠性を容易に維持することが可能になる。
【0072】
また、接続片80を、屋外側表面材42の戸先側面部42dと一体に形成したので、接続片80を屋外側表面材42と別体に構成する場合に比べて、接続片80を屋外側表面材42に取り付ける手間を省略することが可能になり、扉1を製造する手間やコストを低減することが可能になる。
【0073】
また、施錠装置62を施錠装置設置領域90に設置した状態において、接続片80を外部に対して非露出状としたので、接続片80が外部に対して露出することによって扉1の意匠性が低下することを防止することが可能になり、扉1の意匠性を一層確実に維持することが可能になる。特に、施錠装置62を施錠装置設置領域90に設置することに伴って、接続片80を外部に対して非露出状とすることが可能になり、接続片80を外部に対して非露出状とするための特別な作業が不要になるので、扉1を製造する手間やコストが増大することを防止することが可能になる。
【0074】
また、挿通口43の周縁と接続片80との相互間の取り付け箇所において、挿通口43の周縁と接続片80とが成す内角αを、90°以下としたので、接続片80を外部から一層視認し難くすることが可能になり、扉1の意匠性を一層確実に維持することが可能になる。また、施錠装置62を施錠装置設置領域90に設置する際、この接続片80が設置作業の障害になる可能性を低減することができ、扉1を製造する手間やコストが増大することを防止することが可能になる。
【0075】
また、挿通口43の周縁の外側面と取付プレート62bの外側面とが相互に面一となるように、接続片80における扉1の戸先側から戸尻側に至る方向の長さと、取付プレート62bにおける扉1の戸先側から戸尻側に至る方向の長さとを、相互に対応させたので、扉1の戸先側から戸尻側に至る方向に隙間が生じることを防止でき、あるいはこの隙間を塞ぐために補助プレートの如き別部品を使用する必要が生じることを防止できるので、扉1を製造する手間やコストが増大することを防止することが可能になる。
【0076】
また、施錠装置62を戸先側縦枠材31に対して取り付けるための取付ネジ91を介して、接続片80を戸先側縦枠材31に接続したので、接続片80を接続するための取付手段として、取付ネジ91とは別のネジ等の取付手段を用いる必要がなくなり、扉1を製造する手間やコストが増大することを防止することが可能になる。
【0077】
〔III〕各実施の形態に対する変形例
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0078】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、本発明に係る表面材の取付構造における表面材と枠材との接続強度が従来と同程度であっても、従来と異なる構造により従来と同程度の接続強度となっている場合には、本願の課題は解決している。
【0079】
(扉フレームについて)
上記実施の形態では、扉フレーム30の複数の枠材35の中で、相互に直交する2つの枠材35となる組の全てが嵌合構造により接続されているものとして説明したが、これに限られず、例えば、一部の組のみを嵌合構造により接続することとし、他の組については溶接やボルト締め等の他の構造で接続するようにしてもよい。
【0080】
上記実施の形態で示した複数の枠材35の配置方向は任意であり、例えば、戸先側縦枠11や戸尻側縦枠12については、鉛直線を中心として180度回転させた方向で配置してもよく、あるいは、上側横枠13や下側横枠14については、水平線を中心として180度回転させた方向で配置してもよい。
【0081】
(枠材の断面形状について)
上記実施の形態では、枠材35の長手方向に直交する断面による断面形状がコ字状であると説明したが、これに限られず、例えば、C字状、M字状等であってもよい。また、「コ字状」とは、枠材35の少なくとも一部分の断面形状がコ字状であることを意味しており、枠材35の全体の断面形状がコ字状の断面形状に加えてさらに他の断面形状を付加したような形状(例えば、リップ溝型鋼の断面形状)を含む。
【0082】
(凹部及び凸部について)
上記実施の形態において説明した嵌合構造において、凹部と凸部をそれぞれ入れ替えてもよい。例えば、実施の形態1において、上側横枠材33の長手方向の左端部には、中央片33aの左端部分を切り欠くことによって凹部33cが形成されており、戸先側縦枠材31の長手方向の上端部には、一対の側片31bの上端部分を切り欠くことによって凸部31cが形成されているものとして説明したが、上側横枠材33の長手方向の左端部に凸部を形成し、戸先側縦枠材31の長手方向の上端部に凹部を形成するようにしてもよい。
【0083】
(接続片について)
上記実施の形態では、上下一対の接続片80が設けられていると説明したが、これに限られない。例えば、上下片側に1つの接続片80が設けられてもよく、左右一対の接続片80が設けられてもよく、あるいは、3つ以上の接続片80を設けてもよい。
【0084】
また、上記実施の形態では、接続片80は、挿通口43の周縁と接続片80との相互間の取り付け箇所において、挿通口43の周縁と接続片80とが成す内角が90°以下となる形状にて形成されていると説明したが、これに限られず、例えば、上記挿通口43の周縁と接続片80とが成す内角が90°を超えるようにしてもよい。
【0085】
また、上記実施の形態では、施錠装置62が施錠装置設置領域90に設置された状態において、接続片80は外部に対して非露出状となるように配置されていると説明したが、これに限られず、例えば、接続片80が外部に対して露出状となるように配置されてもよい。
【0086】
また、上記実施の形態では、接続片80は、ナット92を介して戸先側縦枠材31と接続されていると説明したが、これに限られず、例えば、接続片80は、戸先側縦枠材31と直接的に接続されてもよく、一例としては、取付ネジ91を接続片80の貫通孔83を介して、戸先側縦枠材31にネジ切りされたネジ孔に対してネジ込むようにしてもよい。
【0087】
また、上記実施の形態では、取付ネジ91によって、接続片80と戸先側縦枠材31とが接続されていると説明したが、これに限られず、例えば、取付プレート62bを戸先側縦枠材31に固定するための取付ネジ91とは別のネジを用いて、接続片80を戸先側縦枠材31に接続するようにしてもよい。
【0088】
また、上記実施の形態では、接続片80には、取付ネジ91を貫通させるための貫通孔83が形成されていると説明したが、この他にも、接続片80には孔を形成することができる。例えば、接続片80の肉厚が比較的厚い場合には、接続片80の折り曲げ形成が容易に行なえるように、接続片80における第1部分81と第2部分82との境界部分やその周辺に、切欠孔を形成してもよい。
【0089】
(ドア本体の製造方法について)
上記実施の形態では、上側横枠材33と下側横枠材34とを屋外側表面材42に載置した後に、戸先側縦枠材31と戸尻側縦枠材32とを屋外側表面材42に固定するものとして説明したが、これに限られない。例えば、この順番を入れ替えてもよく、あるいは、戸先側縦枠材31、戸尻側縦枠材32、上側横枠材33、及び下側横枠材34を相互に嵌合させて扉フレーム30を形成した後、この扉フレーム30を屋外側表面材42に固定してもよい。あるいは、上記実施の形態1で説明した製造方法において、屋外側表面材42と屋内側表面材41との順序を入れ替えてもよい。
【0090】
(付記)
付記1の表面材の取付構造は、建物の開口部に設けられる扉を構成する扉フレームであって、複数の枠材を組み合わせることにより正面形状が矩形環状となるように形成された扉フレームに対して、当該扉フレームの表面を覆うように表面材を取り付けるための取付構造であって、前記扉の戸先側に配置される前記表面材には、当該表面材よりも前記扉の内側寄りに形成された領域であって施錠装置を設置するための施錠装置設置領域に至るように、前記施錠装置を挿通させるための挿通口と、前記挿通口の周縁から、前記複数の枠材のうち前記扉の戸先側に配置される枠材に向けて張り出した接続手段であって、当該表面材を当該枠材に対して接続するための接続手段と、を形成し、前記接続手段を介して、前記表面材を前記枠材に対して接続した。
【0091】
付記2の表面材の取付構造は、付記1に記載の表面材の取付構造において、前記接続手段を、前記扉の戸先側に配置される前記表面材と一体に形成した。
【0092】
付記3の表面材の取付構造は、付記1又は2に記載の表面材の取付構造において、前記施錠装置を前記施錠装置設置領域に設置した状態において、前記接続手段を外部に対して非露出状とした。
【0093】
付記4の表面材の取付構造は、付記1から3のいずれか一項に記載の表面材の取付構造において、前記挿通口の周縁と前記接続手段との相互間の取り付け箇所において、前記挿通口の周縁と前記接続手段とが成す内角を、90°以下とした。
【0094】
付記5の表面材の取付構造は、付記1から4のいずれか一項に記載の表面材の取付構造において、前記施錠装置は、当該施錠装置を前記接続手段に取り付けるための取付プレートを有し、前記施錠装置を前記施錠装置設置領域に設置した状態において前記挿通口の周縁の外側面と前記取付プレートの外側面とが相互に面一となるように、前記接続手段における前記扉の戸先側から戸尻側に至る方向の長さと、前記取付プレートにおける前記扉の戸先側から戸尻側に至る方向の長さとを、相互に対応させた。
【0095】
付記6の表面材の取付構造は、付記1から5のいずれか一項に記載の表面材の取付構造において、前記施錠装置を前記扉の戸先側に配置される前記枠材に対して取り付けるための取付ネジを介して、前記接続手段を前記扉の戸先側に配置される前記枠材に接続した。
【0096】
付記7の表面材の取付構造は、付記6に記載の表面材の取付構造において、前記接続手段に、前記取付ネジを貫通させるための貫通孔を形成し、前記貫通孔を、所定方向に沿った長軸を有する長孔状とした。
【0097】
(付記の効果)
付記1に記載の取付構造によれば、扉の戸先側に配置される表面材には、当該表面材よりも扉の内側寄りに形成された領域であって施錠装置を設置するための施錠装置設置領域に至るように、施錠装置を挿通させるための挿通口と、挿通口の周縁から、複数の枠材のうち扉の戸先側に配置される枠材に向けて張り出した接続手段であって、当該表面材を当該枠材に対して接続するための接続手段とを形成し、接続手段を介して、表面材を枠材に対して接続したので、表面材を扉の戸先側に配置される枠材に対して接続手段を介して強固に接続することができる。このため、例えば、扉の戸先側に配置される枠材が他の枠材に対して溶接ではなく嵌合構造等によって接続されている場合に、表面材を枠材に対して接合している接着剤が火災発生に伴う熱によって溶けたような場合であっても、表面材が扉の戸先側に配置される枠材から外れることを防止することが可能になり、扉の強度を維持することが可能になる。また、施錠装置を挿通させるための挿通口の周縁から接続手段を張り出したので、特に扉の全閉状態においては施錠装置と同様に接続手段を外部から非露出状とすることが容易であり、接続手段を他の位置に形成する場合に比べて、扉の意匠性を容易に維持することが可能になる。
【0098】
付記2に記載の取付構造によれば、接続手段を、扉の戸先側に配置される表面材と一体に形成したので、接続手段を表面材と別体に構成する場合に比べて、接続手段を表面材に取り付ける手間を省略することが可能になり、扉を製造する手間やコストを低減することが可能になる。
【0099】
付記3に記載の取付構造によれば、施錠装置を施錠装置設置領域に設置した状態において、接続手段を外部に対して非露出状としたので、接続手段が外部に対して露出することによって扉の意匠性が低下することを防止することが可能になり、扉の意匠性を一層確実に維持することが可能になる。特に、施錠装置を施錠装置設置領域に設置することに伴って、接続手段を外部に対して非露出状とすることが可能になり、接続手段を外部に対して非露出状とするための特別な作業が不要になるので、扉を製造する手間やコストが増大することを防止することが可能になる。
【0100】
付記4に記載の取付構造によれば、挿通口の周縁と接続手段との相互間の取り付け箇所において、挿通口の周縁と接続手段とが成す内角を、90°以下としたので、接続手段を外部から一層視認し難くすることが可能になり、扉の意匠性を一層確実に維持することが可能になる。また、施錠装置を施錠装置設置領域に設置する際、この接続手段が設置作業の障害になる可能性を低減することができ、扉を製造する手間やコストが増大することを防止することが可能になる。
【0101】
付記5に記載の取付構造によれば、挿通口の周縁の外側面と取付プレートの外側面とが相互に面一となるように、接続手段における扉の戸先側から戸尻側に至る方向の長さと、取付プレートにおける扉の戸先側から戸尻側に至る方向の長さとを、相互に対応させたので、例えば、肉厚が異なる複数種類の取付プレートの中からいずれか一つの取付プレートを選択して使用するような場合であっても、当該選択した取付プレートに対応した接続手段を用いることで、扉の戸先側から戸尻側に至る方向に隙間が生じることを防止でき、あるいはこの隙間を塞ぐために補助プレートの如き別部品を使用する必要が生じることを防止できるので、扉を製造する手間やコストが増大することを防止することが可能になる。
【0102】
付記6に記載の取付構造によれば、施錠装置を扉の戸先側に配置される枠材に対して取り付けるための取付ネジを介して、接続手段を扉の戸先側に配置される枠材に接続したので、接続手段を接続するための取付手段として、取付ネジとは別のネジ等の取付手段を用いる必要がなくなり、扉を製造する手間やコストが増大することを防止することが可能になる。
【0103】
付記7に記載の取付構造によれば、前記接続手段に、前記取付ネジを貫通させるための貫通孔を形成し、前記貫通孔を、所定方向に沿った長軸を有する長孔状としたので、接続手段に対する施錠装置の取り付け位置が所定方向に変動等した場合であっても、取付ネジを貫通孔に確実に挿通させることが可能になる。