(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244273
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】情報表示装置及び情報表示システム
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20171127BHJP
B66B 3/02 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
B66B3/00 G
B66B3/02 N
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-134406(P2014-134406)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-11199(P2016-11199A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2016年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高尾 俊志
(72)【発明者】
【氏名】酒井 亮一
(72)【発明者】
【氏名】薛 祺
【審査官】
有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−028696(JP,A)
【文献】
特開2001−302119(JP,A)
【文献】
特開2005−314115(JP,A)
【文献】
特開2013−177222(JP,A)
【文献】
特開平10−279207(JP,A)
【文献】
特開2006−267531(JP,A)
【文献】
特開平08−059115(JP,A)
【文献】
特開2011−190080(JP,A)
【文献】
特開2013−159471(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0057029(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00─ 3/02
G09G 5/00─ 5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの乗りかごの位置表示あるいは行き先階情報の少なくとも1つを表示するエレベーター情報表示領域と、
エレベーター利用者に提供するコンテンツを切り替えて表示するコンテンツ切り替え表示領域と、
前記エレベーター利用者に提供する前記コンテンツを常時表示するコンテンツ常時表示領域と、
を備え、前記エレベーターの乗りかごまたはエレベーターホールの少なくとも一方に設置され、前記エレベーター利用者に情報を表示する情報表示装置において、
前記コンテンツ切り替え表示領域には、前記コンテンツが一定時間ごとに切り替えて表示され、
前記コンテンツ常時表示領域には、前記コンテンツ切り替え表示領域に表示される前記コンテンツのうちアイコンにて認知可能なコンテンツが表示される
ことを特徴とする情報表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報表示装置において、
前記コンテンツには天気予報が含まれる
ことを特徴とする情報表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報表示装置において、
前記コンテンツ常時表示領域に表示される前記コンテンツは、必要に応じ個別に更新表示される
ことを特徴とする情報表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の情報表示装置を含む顧客ビルと、
公衆回線網を介して前記顧客ビルの遠隔監視装置と接続された遠隔監視センターと、
前記遠隔監視センターに前記コンテンツを配信するコンテンツ配信サービスと、
を備えた情報表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示装置及び情報表示システムに係り、特に、エレベーターの乗りかご内あるいはエレベーターホールに設置される情報表示装置、及びこの情報表示装置を備えた情報表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの乗りかご内での移動時間やエレベーターホールでの待ち時間に、利用客に対する情報提供を行うための情報表示装置として、エレベーターの現在の走行階位置情報、天気、ニュースなどを提供する装置がある。この種の装置では、エレベーターの乗りかご内、エレベーターホールのいずれであっても、不特定多数の利用客が短い時間を過ごす空間であることから、効率よく情報提供を行うことが求められている。そこで、例えば、情報表示装置を可変的に複数の領域に分割し、それぞれの領域で情報表示を行うようした特許第3941820号公報に開示された技術が知られている。
【0003】
この技術は、映像出力用のディスプレイと音声出力用のスピーカーからなる情報表示装置と、情報表示装置内に表示する情報データをファイル名で記載、指定する設定ファイルと、情報データを蓄積する蓄積装置と、設定ファイルを解析し、ファイル名を内部データとするファイル解析部を含むと共に、内部データに従い必要な情報データを当該蓄積装置から読み出し、情報表示装置で表示を行う主制御装置とを備え、不特定多数の人に情報を提供する情報表示制御装置であって、設定ファイルは、表示領域の分割を数値座標で記載、指定する部分を含み、ファイル解析部は、設定ファイルを解析し、数値座標を含む内部データを構築し、主制御装置は、内部データに従い、情報表示装置のディスプレイを複数に分割し、動画、静止画、テキスト文字画等の異なる情報データを異なる領域に複数、同時に表示することを特徴とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3941820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記公知技術では、それぞれの分割画面を日時指定により切り替えて情報表示させることができる。しかし、エレベーターの乗りかご内での移動時間あるいはエレベーターホールでの待ち時間のような短い時間の中で、不特定多数の利用者に効率的に情報提供を行うという観点においては効率が悪い。例えば、エレベーターの乗りかごに乗って移動する時間を考えた場合、乗車時間は短く、最大最下階から最上階までの階床間の移動時間である。また、一般的に、エレベーター利用者のそれぞれの知りたい情報は異なるため、一定時間毎に画面を切り替えると、エレベーター利用者は、切り替えのタイミング次第では自分にとって有用な情報を一切見ることなくエレベーターを降車することもある。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、不特定多数の利用者に対して、短い時間で効率よく情報提供を行うことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明
の一態様は、
エレベーターの乗りかごの位置表示あるいは行き先階情報の少なくとも1つを表示するエレベーター情報表示領域と、エレベーター利用者に提供するコンテンツを切り替えて表示するコンテンツ切り替え表示領域と、
前記エレベーター利用者に提供する
前記コンテンツを常時表示するコンテンツ常時表示領域と、を備え
、前記エレベーターの乗りかごまたはエレベーターホールの少なくとも一方に設置され、前記エレベーター利用者に情報を表示する情報表示装置において、前記コンテンツ切り替え表示領域には、前記コンテンツが一定時間ごとに切り替えて表示され、前記コンテンツ常時表示領域には、前記コンテンツ切り替え表示領域に表示される前記コンテンツのうちアイコンにて認知可能なコンテンツが表示されることを特徴とする
。
【発明の効果】
【0008】
本発明
の一態様によれば、不特定多数の利用者に対して、短い時間で効率よく情報提供を行うことができる。
なお、前記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る情報表示装置を備えた情報表示システム全体の構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図1における情報表示装置の表示画面のレイアウト例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0011】
図1は本発明の実施形態に係る情報表示装置を備えた情報表示システム全体の構成を示す機能ブロック図である。同図において、本実施形態に係る情報表示システム100は、顧客ビル1、公衆回線網7、遠隔監視センター8及びコンテンツ配信サービス9から基本的に構成されている。
【0012】
顧客ビル1には、エレベーターの乗りかご2、情報表示制御装置4、エレベーター制御装置5、遠隔監視装置6等が設置されている。ビル内の各階床毎に停止可能なエレベーター乗りかご2内には、情報表示装置3が取り付けられている。なお、図示しないが、本実施形態では、エレベーターの乗りかご2内に加えてエレベーターホールにも情報表示装置3が取り付けられている。情報表示装置3は、情報表示制御装置4によって表示内容が制御される。情報表示制御装置4は、遠隔監視装置6に接続され、遠隔監視装置6はエレベーターの運転(昇降)制御を行うエレベーター制御装置5に接続されている。遠隔監視装置6は、さらに、公衆回線網7を介して全国のエレベーター監視を行う監視センター8と接続されている。
【0013】
遠隔監視センター8は、受信処理装置10、データ格納装置11、配信処理装置12及び通信装置13を含み、情報表示装置3への情報配信のため、受信処理装置10を介して各種コンテンツ配信サービス9と接続されている。
【0014】
コンテンツ配信サービス9から遠隔監視センター8側に配信される天気予報、ニュースといったコンテンツは、受信処理装置10で取得し、データ格納装置11に格納後、配信処理装置12で配信先及び配信内容を選定する。そして、選定された配信先及び配信内容が通信装置13と公衆回線網7を介して配信対象の顧客ビル1に対してコンテンツ配信を行う。顧客ビル1の遠隔監視装置6は遠隔監視センター8より受信した各種コンテンツを情報制御装置4に伝送する。情報表示制御装置4は情報表示装置3に対して表示設定を行う。
【0015】
少なくとも情報表示制御装置4、エレベーター制御装置5、遠隔監視装置6及び配信処理装置は、それぞれCPU(Central Processing Unit)を備え、メモリ(ROM: Read Only Memory)に格納されたプログラムを読み出し、読み出したプログラムをメモリ(RAM: Random Access Memory)に展開して当該プログラムで定義された処理を順に実行する。なお、以下の説明では、
図1に示した機能ブロックの処理として説明するが、ハードウェアとしては、CPUが実行することとなる。
【0016】
図2は、
図1におけるエレベーターの乗りかご2内に設置された情報表示装置3の表示画面のレイアウト例を示す図である。
図2では、表示両面を3つの領域に分割している。分割された領域は、上からエレベーター情報表示領域31、ニュース等各種コンテンツを一定時間毎に切り替えて表示するコンテンツ切り替え表示領域32、及び日時やアイコン表示を行うコンテンツ常時表示領域33からなる。
【0017】
エレベーター情報表示領域31には、
図1のエレベーター制御装置5より遠隔監視装置6を介して情報表示制御装置4で取得したエレベーターの乗りかご2の現在位置情報あるいは行き先階情報などが表示される。図では、現在位置が8階で上昇方向に移動していること、及び次の停止階が23階であることを示している。エレベーター情報表示領域31は、エレベーターの乗りかご2内において他のかご位置表示装置が取り付けられていない場合は必須の情報表示領域であり、常にエレベーター情報を表示する領域となる。
【0018】
コンテンツ切り替え表示領域32には、エレベーター利用者に提供するコンテンツ表示として、例えば
図1のコンテンツ配信サービス9より取得した天気予報やニュースなどが表示される。この領域は、一定時間毎に表示内容が切り替えられる。この領域は、各種コンテンツを予め設定した優先順位に基づき一定時間毎に表示切り替えを行うため、利用客によっては見ることができない場合もある。しかし、ニュースのような文字列を表示するコンテンツや、絵や図からなるコンテンツの場合は、利用客に認知してもらう表示として必要な領域となる。
【0019】
コンテンツ常時表示領域33には、利用客が常に気にする情報として現在日時33aが表示され、さらに、アイコンにて認知可能な情報が表示される。天気予報を表示する場合、コンテンツ切り替え表示領域32に表示するときは表示領域が大きいため、晴れや雨などといった天気を表す図とともに、最高最低気温や降水確率を表示する。また、今日と明日の天気予報を合わせて表示するなど、詳細な情報を表示することができる。しかし、全ての利用客が短い乗車時間の中で見ることができるとは限らない。そのため、本実施形態では、コンテンツ常時表示領域33に晴れや雨など天気を表すアイコン33bを、前記詳細な情報に代えて表示させる。また、各アイコン表示内容はそれぞれ個別更新可能であり、他のアイコンや領域とは別の更新頻度にて最新の情報表示を行うことができる。
【0020】
このように構成することで、エレベーターの短い乗車時間においても簡易的に天気予報を確認することができ、また、比較的長い乗車時間を有する乗客においては、詳細な情報も合わせて見ることが可能となる。
【0021】
本実施形態において、アイコン表示するものは天気予報に限らず、コンテンツ常時表示領域33には複数のアイコンを表示、非表示できる予約領域を持つようにする。これにより、例えば各種イベント情報をコンテンツ切り替え表示領域32に表示させている場合に、そのイベント数をコンテンツ常時表示領域33に件数33cとして表示させることができる。あるいはエレベーター性能をアピールするために回生運転中は省エネアイコン33dを表示させることもできる。このようにコンテンツに連動したアイコンを表示することで、より多くの利用客に対して効果的な情報伝達を行うことができる。
【0022】
以上のように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。なお、以下の実施形態における効果の説明では、本実施形態の各部について、特許請求の範囲における各構成要素をかっこ書きで示し、若しくは参照符号を付し、両者の対応関係を明確にした。
【0023】
(1)エレベーターの乗りかご2又はエレベーターホールの少なくとも一方に設置され、エレベーター利用客に情報を表示する情報表示装置3において、エレベーターの乗りかご2の位置表示あるいは行き先階情報の少なくとも1つを表示するエレベーター情報表示領域31と、エレベーター利用者に提供するコンテンツを切り替えて表示するコンテンツ切り替え表示領域32と、エレベーター利用者に提供するコンテンツを常時表示するコンテンツ常時表示領域33と、を備えたので、不特定多数の利用者に対して、短い時間で効率よく情報提供を行うことができる。より具体的には、エレベーターの乗りかご2内に設置されるような表示画面サイズの小さい情報表示装置3においても常時情報提供を行うことができ、短い時間であっても多くの利用者にとって必要と想定される情報を提供することが可能となる。
【0024】
(2)前記コンテンツ切り替え表示領域32には、前記コンテンツが一定時間ごとに切り替えて表示されるので、各種コンテンツを予め設定した優先順位に基づいて表示切り替えが行われることになる。そのため、利用客によっては見ることができない場合もある。しかし、ニュースのような文字列を表示するコンテンツあるいは絵や図からなるコンテンツの場合は、利用客が見る機会があれば、利用客は当該情報を認知することができる。
【0025】
(3)前記コンテンツ常時表示領域33には、日時情報33aあるいはアイコン33bにて認知可能なコンテンツの少なくとも一方が常時表示されるので、短い乗車時間においても簡易的に必要な日時情報33aあるいはアイコン33bにより示される天気情報等を確認することができる。また、比較的長い乗車時間を有する乗客は、各種イベント情報のイベント数(件数33c)、あるいはエレベーター性能をアピールするために回生運転中は省エネアイコン33dなどの詳細な情報も合わせて見ることができる。
【0026】
(4)前記コンテンツ常時表示領域33に表示されるコンテンツは、必要に応じ個別に更新表示されるので、他のアイコンや領域とは別の更新頻度で、最新の情報表示を行うことができる。
【0027】
(5)前記情報表示装置3を含む顧客ビル1と、公衆回線網7を介して前記顧客ビル1の遠隔監視装置6と接続された遠隔監視センター8と、前記遠隔監視センター8にコンテンツを配信するコンテンツ配信サービス9と、を備えた情報表示システム100によれば、コンテンツ配信サービル9から遠隔監視センター8に配信される各種コンテンツを遠隔監視センター8で選定して顧客ビル1の遠隔監視装置6に配信し、情報表示制御装置4で配信されたコンテンツを情報表示装置に表示させるので、エレベーターの乗りかご2内の乗客、エレベーターホールの利用客に対して前記(1)から(4)までに示したような情報提供を行うことができる。
【0028】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0029】
1 顧客ビル
2 エレベーダーの乗りかご
3 情報表示装置
31 エレベーター情報表示領域
32 コンテンツ切り替え表示領域
33 コンテンツ常時表示領域
33a 日時情報
33b アイコン
33c 件数
33d 省エネアイコン
4 情報表示制御装置
5 エレベーター制御装置
6 遠隔監視装置
7 公衆回線網
8 遠隔監視センター
9 コンテンツ配信サービス
100 情報表示システム