【実施例】
【0013】
[ブランクシート]
図6に示すブランクシートは、直方体状の包装用箱を形作るものであって、箱体Xの側方を封じる側部A、当該側部Aを筒状に保形する糊代片、前記側部Aで仕切られる箱体Xの上下を封じる天部B及び底部(下仕切面)C並びに前記糊代片の表側に重合する(重ね順は問わない)前記折重ね片1を連結して備える。
【0014】
前記側部Aは、後側面5、左側面6、前側面7、及び右側面8からなる四側面(四仕切面)を一列に連続して備える。
当該例では、前記後側面5と前記前側面7及び前記左側面6と前記右側面8は、大きさと形が略等しい方形状である。
【0015】
前記糊代片は、前記四側面の列の一端から延出する形で形作り、前記折重ね片1は、前記四側面の列の他端から延出する形で形作る。
前記糊代片は、当該ブランクシートを組み立てた際に前記タグ部3の全域を覆う目隠し部aを備え、且つ前記折重ね片1における前記タグ部3を避けた領域(特に開封位置の周辺領域)に糊付け部bを備える。上記構成により、当該糊代片が前記目隠し片2(以下「糊代片2」と記す)となる。
上記構成を確保すべく、
図1に示すブランクシートは、開封される前記天部Bの近傍に糊付け部bを設ける。開封されない前記底部Cの近傍は、切り欠いた形状としてもよい。
【0016】
前記折重ね片1は、連続する(右)側面よりも寸法の小さい方形状に裁断する。当該折重ね片1及び側面と共に構成される前記重合部Lの強度や体裁に、その全面に渡る均一性を与えるには、前記折重ね片1と相重なる側面とのサイズ差はできるだけ少ないことが望ましい。
場合によっては、前記折重ね片1に、前記タグ部3の形成及び糊付け領域を確保する支障とならない程度に適宜ブランク(孔など)を設けても良い。
【0017】
前記タグ部3は、前記折重ね片1と前記右側面8の境界線αを挟む両側に連なる形で形成される。
図に示す例の前記タグ部3は、前記境界線αに沿って、前記右側面8から前記折重ね片1に向けて凸となる弓状切込9を備える。
当該弓状切込9は、前記重合部Lを構成する前記右側面8から折曲げ線(前記境界線α)を介して隣接する側面(この例では右側面8)へ連なって設けることによって前記弓状切込9で切り出された凸部cが浮き上がり、前記タグ部3を切り離す際の手掛かりとなる(例えば
図1又は
図2(A)参照)。当該弓状切込9の長さ(前記境界線αに沿う上下方向の長さ)は、前記手掛かりとしての機能を果たし且つ当該弓状切込9の存在により前記タグ部3が破断しない程度の長さ及び位置とし、例えば、前記タグ部3の幅の約1/3から約1/2の長さを中間部に設けるなどの構造とすればよい。
【0018】
前記タグ部3を囲む切込4は、二列の間欠切込を互い違いに並設してなる複切込mと、一列の間欠切込からなる単切込sとで構成される。
図5に示すタグ部3は、前記右側面8と前記折重ね片1との境界線αを挟んで、当該境界線αに対して直角方向両側へ長方形状に連なる様に成形されている。
前記タグ部3を囲む切込4は、前記右側面8(最も表側にある面)の側にあっては、上下辺の中間部大部分を前記複切込mとし、左右両端部を単切込sとし、前記折重ね片1(最も表側にある面の下となる面)の側にあっては、全てを単切込sとする。
【0019】
前記複切込mは、二列の間隔を、当該ブランクシートの紙厚に略等しく設定することによって(例えば紙厚に対して0.5mm程度増減した幅)、輸送時や積上げ時に破断が生じ難く、破断時にあっては、容易に且つ見た目良く破断できることとなる。
上記切込4の存在により、組立時における折曲げ部位が正規の折曲げ部位(例えば前記境界線α)から逸れることが無いように、前記タグ部3を囲む切込4と組立時の折曲げ部位が紙厚の八倍から十二倍長以内に近接する場合には、当該近接領域における正規の折曲げ部位に曲げ切込eを適宜設けることが望ましい。
【0020】
前記後側面5は、前記側面部Aで仕切られる箱体Xの開口部を封じるために、前記後側面5の上端縁に前記天部Bを構成する蓋片(上仕切面)10を備え、下端縁に沿って前記底部Cを構成する底封止片11を備える。
前記蓋片10は、前記側面部Aで仕切られる箱体Xの開口部に、前記前側面7に沿って差し入れる差込片12を、当該蓋片10の先端縁に沿って備える。前記差込片12は、前記箱体Xの開口部への差し入れを容易にすべく、前記差込片12の先端部を滑らかな先細りに成形することが望ましい。
【0021】
前記前側面7は、その下端縁に沿って前記底部Cを構成する底封止片13を備え、その上端中間部を分断する開封破断線14を備える。
前記開封破断線14は、前記前側面7の上縁中間部から前側面7の中央に向けて指先サイズの逆台形状に切り込まれたミシン目であり、当該開封破断線14に囲まれたエリアに貫入部を形成する。
【0022】
前記底封止片11,13は、前記後側面5及び前記後側面7の下端縁から延出する。
前記底封止片11,13は、その先端の片側半分に、前記下端縁と平行な差込縁βを備え、前記先端の他の半分に、前記下端部と平行な係り縁γを備える。
【0023】
前記下端縁から前記係り縁γに至る長さは、前記左側面6及び前記右側面8の奥行き(全幅)の半分に相当する長さに設定し、前記差込縁βから前記下端縁に至る長さは、それよりも十分長く且つ前記左側面6及び前記右側面8の奥行き(全幅)未満とする。
前記係り縁γは、前記他の半分の前記差込縁β寄り半分に位置し、残る当該係り縁γと等しい幅の領域に、三角形状の底糊代15を延設する。当該底糊代15の先端は、前記差込縁βの延長線上に配置する様に成形する。
ブランクシートの状態で、前記前側面7及び前記後側面5について下端縁の左右同じ側に前記差込縁βを配置することによって、組み立てた際に、双方の差込縁β,βが食い違うこととなる。
【0024】
前記左側面6と前記右側面8は、開口部に向けて屈曲する左右フラップ16,17,18,19を、各々の上下端縁に沿って備える。
前記左側面6と前記右側面8の上縁から延出する各フラップ16,17は、各々台形状であり、前記左側面6と前記右側面8の下縁から延出する各フラップ18,19は、各々三角形状である。各フラップ16,17,18,19は、前記後側面5及び前記前側面7の幅に対して、各々略半分未満の長さとする。
【0025】
[組み立て]
前記ブランクシートの組み立て(立体化)は、先ず、前記折重ね片1を前記右側面8に接着する折重ね行程を行う。この際、前記タグ部3を避けて糊を塗布し両者の接着を行う。
続いて、前記ブランクシートの前記糊代片2、前記後側面5、前記左側面6、前記前側面7及び前記右側面8を各々の境界において夫々同じ方向へ直角に折り曲げ、前記糊代片2の糊付け部bに糊を塗布し、前記折重ね片1の前記タグ部3以外の箇所と接着し筒状の箱体Xを形成する立体化行程を行う。
この際、前記糊代片2の糊付け部bと前記右側面8の前記タグ部3以外の箇所と接着することも可能であるが、前記折重ね行程と前記立体化行程の折曲げ方向を等くすることが望ましい。
【0026】
次に、当該箱体Xの前記左側面6及び前記右側面8の下端縁から延出する前記左フラップ18及び前記右フラップ19を当該箱体Xの下開口部に向けて略直角に折り、前記後側面5及び前記前側面7の下端縁から延出する前記底封止片11,13を、それぞれ前記左フラップ18及び前記右フラップ19の上に向けて略直角に折重ね、両底封止片11,13の前記底糊代15,15を相互に相手方の表側に残し、両底封止片11,13の前記差込縁β,βのみを相互に相手方及び前記左フラップ18又は前記右フラップ19の前記係り縁γから裏側へ差し入れ、且つ箱体Xの直方体形状を維持する様に、前記左フラップ18及び前記右フラップ19とそれらの表側に重なる前記底糊代15,15を糊で接着する下封鎖行程を行う。
当該下封鎖行程によって、底部Cを形成する。
【0027】
内容物の充填を経て、最後に、前記左側面6及び前記右側面8の上端縁から延出する左右フラップ16,17を上開口部に向けて略直角に折り、前記後側面5の上端縁から延出する前記蓋片10を前記左右フラップ16,17の上に向けて略直角に折り重ね、前記蓋片10の端縁から延出する前記差込片12を前記前側面7に沿って差し入れて糊付けし当該箱体Xを封鎖する(
図3(A)又は
図4(A)参照)。
以上を以って、内容物が充填され封鎖された包装用箱が完成する。
上記組立方法によれば、上記ブランクシートを前記自動充填機に掛けることができる。
【0028】
[開封]
上記の如く封鎖された包装用箱は、前記前側面7の上端部に設けられた前記貫入部を指先で押し入れ、更に、引き上げることによって、前記前側面7の上位に設けた前記開封破断線14を破断し、当該蓋片10が後方へ起立する状態で開封される。
【0029】
[タグ部の切り離し]
また、前記包装用箱は、前記凸部cを指先などに引っ掛けてその近傍を前記箱体Xの表面から浮き上がらせ、浮き上がった部分を摘んで引き剥がすことによって、前記タグ部3周囲の切込4が破断し、二つ折り状態にある前記タグ部3を箱体Xから容易に切り離すことができる(
図1参照)。
特に、前記右側面8と前記折重ね片1との境界を横断する切込4を一連の切込とすることによって、前記凸部cの引き上げが容易となり、最も表側の面に設ける切込4として、前記複切込mを採用することによって、想定外の破断を防止する効果を得つつ、必要に応じた破断が容易で見栄えの良いものとなる。
【0030】
切り離された前記タグ部3は、その折り目を伸ばすことによって、内容物情報を記した表示部dが一見で目視できる短冊状のタグとなる(
図2参照)。
前記箱体Xは、二つ折りの前記タグ部3が離脱した部分が欠け、前記糊代片2の前記目隠し部aが露出するものの、内容物の露出は回避できる。そして、前記目隠し部aの表面に離脱した部分と等しい図柄等の印刷をしておけば、離脱後の体裁も良好となる。
また、前記重合部Lの見かけ面積が狭くとも、相連続する前記折重ね片1と側面が、前記目隠し部aを有する前記糊代片2上で折り重なり、前記側面の長さ又は幅を超える寸法の前記タグ部3をその寸法に応じて前記側面の寸法が許す限り一枚又は複数枚得ることができる。
【0031】
尚、前記タグ部3は、包装用箱を構成する面の単一面に限るものではなく、単一面の面積で不足する場合には、連続する複数面に亘る前記折重ね片を設けることも可能である。
その際、前記糊代片(目隠し片)2は、上記実施例と同様に、前記糊付け部bと前記目隠し部aを設ければ良い。
また、切込4の態様にあっては、最も表側の面に設ける切込4として、前記複切込mを採用することが望ましく、前記折重ね片1の折曲げ線(例えば前記境界線αの様な箇所)に沿って、当該折重ね片1と隣接する面から当該折重ね片1に向けて凸となる弓状切込9を備えれば、前記タグ部3を切り離す際の手掛かりとなる。
【0032】
なお、この発明は上記実施例に限定されるものではなく、前記タグ部3の形態や数又は前記側部A、前記天部B若しくは前記底部Cの構成などを、適宜変更することが可能である。
包装用箱の材質は、紙やプラスチック等、自由に選択可能である。折曲げ線や切込の形状は、材質や機能や位置に合わせて変更可能である。