特許第6244312号(P6244312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244312
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】インプリント用モールドの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/38 20060101AFI20171127BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20171127BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   B29C33/38
   B29C59/02 B
   H01L21/30 502D
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-548549(P2014-548549)
(86)(22)【出願日】2013年11月18日
(86)【国際出願番号】JP2013081013
(87)【国際公開番号】WO2014080858
(87)【国際公開日】20140530
【審査請求日】2016年7月6日
(31)【優先権主張番号】特願2012-256556(P2012-256556)
(32)【優先日】2012年11月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000202350
【氏名又は名称】綜研化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】水上 裕
【審査官】 辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−024914(JP,A)
【文献】 特開2003−181918(JP,A)
【文献】 特開2011−083984(JP,A)
【文献】 特開平03−235233(JP,A)
【文献】 特開2010−149492(JP,A)
【文献】 特開2006−064455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C33/00−33/76
B29C59/00−59/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細な凹凸パターンを有するパターン転移用モールド上に光又は熱硬化性の樹脂組成物を塗布する樹脂塗布工程と、
前記樹脂組成物を円柱状の転写ロールの全周に渡って転移させると共に前記樹脂組成物を硬化させることによって、前記転写ロールの全周に渡って前記凹凸パターンの反転パターンを形成する転移工程とを備え、
前記転移工程の前に前記転写ロールに易接着処理を行う易接着処理工程をさらに備え、
前記易接着処理は、前記転写ロールに易接着フィルムを巻き付ける処理であり、
前記易接着フィルムは、両端の突合せ部に隙間が設けられるように巻き付けられ、前記隙間に前記樹脂組成物が充填される、インプリント用モールドの製造方法。
【請求項2】
前記樹脂組成物は、光硬化性樹脂であり、
前記転移工程では、前記樹脂組成物が前記転写ロールに接触している状態で前記樹脂組成物に対して光を照射することによって前記樹脂組成物を硬化させる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂塗布工程では、前記樹脂組成物は、ロール・トゥー・ロール形式で搬送されている搬送フィルム上に載置された前記パターン転移用モールド上に塗布され、
前記転移工程では、回転している前記転写ロールに向かって、前記樹脂組成物が塗布された前記パターン転移用モールドが搬送されることによって、前記転写ロールの全周に渡って前記反転パターンが形成される、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記パターン転移用モールドは、樹脂フィルムモールドであり、その表面が剥離処理されている、請求項1〜3の何れか1つに記載の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂組成物は、剥離性樹脂からなる、請求項1〜4の何れか1つに記載の製造方法。
【請求項6】
前記転移工程の後に、前記樹脂組成物の表面に対して剥離処理を行う、請求項1〜5の何れか1つに記載の製造方法。
【請求項7】
前記転移工程中に、前記樹脂組成物の先端近傍または前記パターン転移用モールドの終端部に遮蔽材を設ける、請求項1〜6の何れか1つに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント用モールドの製造方法
【背景技術】
【0002】
インプリント技術とは、所望とする微細な凹凸パターンの反転パターンを有するモールドを、基板上の液状樹脂等の転写材料へ押し付け、これによりモールドの反転パターンを転写材料に転写する微細加工技術である。微細な凹凸パターンの反転パターンとしては、10nmレベルのナノスケールのものから、100μm程度のものまで存在し、半導体材料、光学材料、記憶メディア、マイクロマシン、バイオ、環境等、様々な分野で用いられている。
【0003】
転写材料への反転パターンの転写方法としては、フィルムモールドを転写ロールに巻き付けてロール状のインプリント用モールドを作成し、ロール・トゥー・ロールにより転写材料へ反転パターンを連続転写する方法がある。
【0004】
フィルムモールドからロール状のインプリント用モールドを作成するには、フィルムモールドの両端を接合することが必要である。フィルムモールドの接合方法としては、特許文献1には、突き合わされた樹脂フィルムの端部を一対のヒーターで挟み込み、このヒーターで加圧融着する技術や、接合する樹脂フィルムの端部を重ね合わせた状態に配置し、この状態から該当する部分を加圧融着する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2011/049097号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、樹脂フィルムの端部を互いに突合せて加圧融着した場合には、接合部を十分に接合することができず、後に離反してしまうという問題や、接合部に転写樹脂が堆積していくという問題があった。
【0007】
一方、接合すべき樹脂フィルムの端部間を一部重ね合わせた状態にしてから、該当する部分を加圧融着した場合には、両者の接合性は向上するものの、接合部に段差が生じ、この段差に転写樹脂が堆積していくという問題があった。
【0008】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、転写ロールへの転写樹脂の堆積を防ぐことができるインプリント用モールドの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、微細な凹凸パターンを有するパターン転移用モールド上に光又は熱硬化性の樹脂組成物を塗布する樹脂塗布工程と、
前記樹脂組成物を円柱状の転写ロールの全周に渡って転移させると共に前記樹脂組成物を硬化させることによって、前記転写ロールの全周に渡って前記凹凸パターンの反転パターンを形成する転移工程とを備える、インプリント用モールドの製造方法が提供される。
【0010】
この方法では、モールド上に塗布した樹脂組成物を転写ロールの全周に渡って転移させると共に硬化させるので、転写ロールの全周に渡って切れ目がなく、従って、転写樹脂の堆積を防ぐことができる
インプリント用モールドが得られる。
【0011】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は、互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記樹脂組成物は、光硬化性樹脂であり、前記転移工程では、前記樹脂組成物が前記転写ロールに接触している状態で前記樹脂組成物に対して光を照射することによって前記樹脂組成物を硬化させる。
好ましくは、前記樹脂塗布工程では、前記樹脂組成物は、ロール・トゥー・ロール形式で搬送されている搬送フィルム上に載置された前記パターン転移用モールド上に塗布され、前記転移工程では、回転している前記転写ロールに向かって、前記樹脂組成物が塗布された前記パターン転移用モールドが搬送されることによって、前記転写ロールの全周に渡って前記反転パターンが形成される。
好ましくは、前記転移工程の前に前記転写ロールに易接着処理を行う易接着処理工程をさらに備える。
好ましくは、前記易接着処理は、前記転写ロールに易接着フィルムを巻き付ける処理である。
好ましくは、前記易接着フィルムは、両端の突合せ部に隙間が設けられるように巻き付けられ、前記隙間に前記樹脂組成物が充填される。
好ましくは、前記パターン転移用モールドは、樹脂フィルムモールドであり、その表面が剥離処理されている。
好ましくは、前記樹脂組成物は、剥離性樹脂からなる。
好ましくは、前記転移工程の後に、前記樹脂組成物の表面に対して剥離処理を行う。
好ましくは、前記転移工程中に、前記樹脂組成物の先端近傍または前記パターン転移用モールドの終端部に遮蔽材を設ける。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態において、転写ロールに易接着フィルムを巻き付ける工程を示す断面図である。
図2図1の続きで、易接着フィルムを転写ロールに巻き付けた後の状態を示す断面図である。
図3図2中の領域Aの拡大図である。
図4】本発明の一実施形態で使用されるパターン転移用モールドの構成を示す断面図である。
図5図4のパターン転移用モールドを搬送フィルムに貼り付けた状態を示す断面図である。
図6図5の続きで、パターン転移用モールドに樹脂組成物を塗布する工程を示す断面図である。
図7図6中の領域Bの拡大図である。
図8図6の続きで、反転パターンを有する樹脂組成物が転写ロールに転移されている状態を示す断面図である。
図9図8中の領域Cの拡大図である。
図10図8中の領域Dの拡大図である。
図11図8の続きで、転写ロールの全周に渡って、反転パターンを有する樹脂組成物が転移された後の状態を示す断面図である。
図12図11中の領域Aの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について具体的に説明する。
【0014】
図1図12を用いて、本発明の一実施形態のインプリント用モールドの製造方法について説明する。本実施形態のインプリント用モールドの製造方法は、微細な凹凸パターン3を有するパターン転移用モールド2上に光又は熱硬化性の樹脂組成物25を塗布する樹脂塗布工程と、樹脂組成物25を円柱状の転写ロール12の全周に渡って転移させると共に樹脂組成物25を硬化させることによって、転写ロール12の全周に渡って凹凸パターン3の反転パターン3aを形成する転移工程とを備える。
【0015】
この方法を実施するための装置は、特に限定されないが、例えば、図1に示すような、転写材料へ凹凸パターンをインプリントするためのインプリント装置を用いて実施可能である。転写ロール12と、転写ロール12の上流側に配置され且つ転写ロール12との間に搬送フィルムFを挟み込む上流側ロール14と、転写ロールの下流側に配置された下流側ロール16とを備える。上流側ロール14のさらに上流には搬送フィルムFを送り出す送り出しロール(図示せず)が配置され、下流側ロール16のさらに下流には搬送フィルムFを巻き取る巻き取りロール(図示せず)が配置されている。従って、搬送フィルムFは、ロール・トゥー・ロールで搬送される。また、送り出しロールと上流側ロール14との間には搬送フィルムF上に光硬化樹脂などの転写材料を塗布するためのコーター(例:ダイコーター)18が設置されており、転写ロール12の下方には転写材料を硬化させるための光照射器(例:UVライト)20が設けられている。
以下、各工程について詳細に説明する。
【0016】
1.易接着処理工程
最初に、転写ロール12に易接着処理を行う易接着処理工程を備えることが好ましい。易接着処理とは、後述する転移工程で樹脂組成物25が転写ロール12に転移しやすくすべく、転写ロール12と樹脂組成物25の間の親和性を高めるための処理である。この工程の実施方法は、特に限定されないが、転写ロール12に易接着フィルム4を巻き付けることによって実施することが好ましい。易接着フィルム4は、樹脂組成物25との親和性が高いものであればよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、環状ポリオレフィンおよびポリエチレンナフタレートからなる群から選ばれる1種からなるフィルムの少なくとも片面に易接着層が形成されたものである。易接着層は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、およびこれら樹脂の混合物から形成される。また、易接着層には、架橋剤やシランカップリング剤を含有させることができる。架橋剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、メラミン化合物が挙げられる。
易接着フィルム4の長さは、易接着フィルム4を巻き付ける転写ロール12の外周長と同程度であってもよいが、僅かに短くすることが好ましい。この場合、易接着フィルム4を転写ロール12に巻き付けた状態で、易接着フィルム4の両端の突合せ部の間に自然に隙間Gが形成され、この隙間Gに樹脂組成物25を充填することによって、易接着フィルム4の両端の突合せ部を強固に接合することができる。
【0017】
ここで、易接着フィルム4の巻き付け方法の一例を図1図3を用いて説明する。
【0018】
まず、易接着フィルム4の一面にセパレータ10付き両面粘着テープ8の一面を貼り付ける。両面粘着テープ8は、易接着フィルム4を転写ロール12に貼り付けることができるものであれば、その構成は特に限定されないが、易接着フィルム4に貼り付ける面(以下、「フィルム貼着面」)の粘着力が、転写ロール12に貼り付ける面(以下、「ロール貼着面))の粘着力よりも強い方が好ましく、ロール貼着面は、再剥離性であることが好ましい。両面粘着テープ8を介して易接着フィルム4を転写ロール12に貼り付け、後述する反転パターンを形成した後にインプリント用モールドとして使用した後は、両面粘着テープ8と易接着フィルム4は、一緒に剥離されて廃棄される。従って、両面粘着テープ8のフィルム貼着面は、両面粘着テープ8と易接着フィルム4のズレを防ぐために、粘着力はできるだけ強いことが好ましく、一方、両面粘着テープ8のロール貼着面は、使用後の転写ロール12からの剥離を容易にすべく、使用上問題がない程度の粘着力を有しつつ再剥離性を有することが好ましい。
【0019】
また、両面粘着テープ8と易接着フィルム4の巻き付け方向の端部の位置は、一致していてもよいが、ずれていることが好ましい。この場合、両面粘着テープ8を介して易接着フィルム4を転写ロール12に巻き付けた際に、両面粘着テープ8の両端の突合せ部と、易接着フィルム4の両端の突合せ部の位置がずれるので、易接着フィルム4の両端の突合せ部に充填した樹脂組成物25は、両面粘着テープ8の突合せ部以外の部分に充填されることになり、樹脂組成物25が転写ロール12に付着することを防ぐことができる。
【0020】
両面粘着テープ8の長さは、転写ロール12の外周長と実質的に等しくすることが好ましい。この場合、両面粘着テープ8が転写ロール12の全周に渡って隙間なく貼着されるからである。従って、易接着フィルム4の長さを転写ロール12の外周長より若干短くしている場合には、両面粘着テープ8は易接着フィルム4よりも若干長くなる。
【0021】
セパレータ10は、両面粘着テープ8のロール貼着面の粘着層を保護し、転写ロール12への巻き付け時に容易に剥離可能なものであれば、その構成は特に限定されない。
【0022】
次に、セパレータ10付きの両面粘着テープ8が貼着された易接着フィルム4を図1に示すように、転写ロール12の接線上に配置し、矢印Yの方向にセパレータ10を引き剥がしながら、両面粘着テープ8付き易接着フィルム4を搬送フィルムFと転写ロール12の間に挿入する。この際、各ロールは、それぞれのロールに示す矢印の方向で回転しており、上流側ロール14によって両面粘着テープ8付き易接着フィルム4が転写ロール12に押し付けられて、両面粘着テープ8のロール貼着面が転写ロール12に貼り付けられる。
【0023】
このまま、各ロールを回転させると、両面粘着テープ8付き易接着フィルム4の全体が転写ロール12に巻き付けられ、図2図3に示す構成が得られる。図3は、図2中の領域Aの拡大図である。
【0024】
図3に示すように、両面粘着テープ8は、転写ロール12の全周に貼り付いて、両端の突合せ部8aには実質的に隙間がない状態になっている。但し、若干隙間が空いていても問題ない。易接着フィルム4の両端の突合せ部には、好ましくは、隙間Gが存在している。隙間Gの長さ(ロールの円周方向の長さを「長さ」と称し、ロールの回転軸方向の長さを「幅」と称する。)は、特に限定されないが、例えば0.1〜2mmであり、好ましくは、0.2〜1mmである。隙間Gが存在することによって後工程で樹脂組成物25が隙間Gに流れ込んで易接着フィルム4の両端が強固に結合されるからである。
【0025】
易接着処理工程は、樹脂塗布工程の前に行なってもよく、樹脂塗布工程と転移工程の間に行なってもよい。
【0026】
2.樹脂塗布工程
この工程では、微細な凹凸パターン3を有するパターン転移用モールド2上に光又は熱硬化性の樹脂組成物25を塗布する。
【0027】
以下、この工程の実施方法の一例を図4図7を用いて説明する。
パターン転移用モールド2は、公知のインプリント技術により形成可能であり、一例では、図4に示すようにフレキシブルな樹脂基材5上に、所望とする微細な凹凸パターン3を有する樹脂層6を備える。
【0028】
樹脂基材5は、具体的には例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、環状ポリオレフィンおよびポリエチレンナフタレートからなる群から選ばれる1種からなるものである。樹脂基材5の厚さは、通常6〜188μm、好ましくは、12〜100μmである。このような厚さとすれば、後述する転写工程の際に転写ロール12の幅方向に均一の圧力を付与しやすくなり、その結果、樹脂組成物25を均一に転写ロール12に転移できるためである。
【0029】
樹脂層6を形成する樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂の何れであってもよい。樹脂としては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。
【0030】
上記した樹脂層6の厚さは、通常50nm〜1mm、好ましくは、500nm〜500μmである。このような厚さとすれば、インプリント加工が行い易い。
【0031】
樹脂層6を形成する樹脂が熱可塑性樹脂である場合は、樹脂層6をガラス転移温度(Tg)以上の温度に加熱した状態で、凹凸パターン形成用のモールドを0.5〜50MPaのプレス厚で10〜600秒間保持してプレスした後、樹脂層6をTg以下の温度にまで冷却し、モールドを樹脂層6から引き離すことによって、樹脂層6に凹凸パターン3を形成することができる。一方、樹脂層6を形成する樹脂が光硬化性樹脂である場合は、液状の樹脂層6に凹凸パターン形成用のモールドを押し付けた状態で樹脂層6に対して硬化光(UV光、可視光、電子線などの樹脂を硬化可能なエネルギー線の総称)を照射することによって樹脂層6を硬化し、その後、モールドを引き離すことによって、樹脂層6に凹凸パターン3を形成することができる。光は、樹脂基材4側から照射してもよく、モールドが光に対して透明である場合には、モールド側から照射してもよい。また、樹脂層6を形成する樹脂が熱硬化性樹脂である場合は、液状の樹脂層6に凹凸パターン形成用のモールドを押し付けた状態で樹脂層6を硬化温度にまで加熱することによって樹脂層6を硬化し、その後、モールドを引き離すことによって、樹脂層6に凹凸パターン3を形成することができる。光は、樹脂基材4側から照射してもよく、モールドが光に対して透過性を有する場合には、モールド側から照射してもよい。
【0032】
樹脂層6の表面形状(凹凸パターン3)に特に制限はないが、周期10nm〜2mm、深さ10nm〜500μmのものが好ましく、周期20nm〜20μm、深さ50nm〜1μmのものがより好ましい。このように設定すれば、転写体に充分な凹凸パターン3を転写することができる。表面形状としては、モスアイ、線、円柱、モノリス、円錐、多角錐、マイクロレンズが挙げられる。
【0033】
樹脂層6の表面は、樹脂組成物25との付着を防止するための剥離処理がされていてもよく、剥離処理は剥離層(図示せず)を形成するものであってもよい。剥離層(図示せず)を形成する離型剤としては、好ましくはフッ素系シランカップリング剤、アミノ基又はカルボキシル基を有するパーフルオロ化合物およびアミノ基又はカルボキシル基を有するパーフルオロエーテル化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種からなり、より好ましくは、フッ素系シランカップリング剤、片末端アミン化パーフルオロ(パーフルオロエーテル)化合物ならびに片末端カルボキシル化パーフルオロ(パーフルオロエーテル)化合物の単体または単体および複合体の混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種からなる。離型剤として上記のものを用いると、樹脂層6への密着が良好であるとともに、樹脂組成物25との剥離性が良好である。剥離層(図示せず)の厚さは、好ましくは0.5〜20nm、より好ましくは0.5〜10nm、最も好ましくは0.5〜5nmの範囲内である。なお、剥離層と樹脂層6の密着性を向上すべく、樹脂層6には、WO2012/018045に開示されているような、離型剤と結合可能な基を有する添加剤を添加してもよい。
また、樹脂層6を形成する樹脂として、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などのシリコーン樹脂、アクリル系モノマーとシリコーン系モノマーとの共重合体、アクリル系モノマーとフッ素系モノマーとの共重合体、アクリル系ポリマーにシリコーン系モノマーとの混合物、アクリル系ポリマーとフッ素系モノマーとの混合物を用いる場合など、樹脂層6に剥離成分を含有させると、その後剥離層を形成させる工程を省略できる点で好ましい。
【0034】
パターン転移用モールド2の長さは、転写ロール12の外周長と同じか、これよりも若干長くすることが好ましい。この場合、パターン転移用モールド2上に塗布された樹脂組成物25を転写ロール12の全周に転移させることができるからである。
【0035】
また、パターン転移用モールド2には、パターン転移用モールド2を搬送フィルムFに貼着させるために両面粘着テープ9を貼着する。搬送フィルムFは、樹脂基材5と同様の樹脂を用いることができるが、樹脂基材5とは異なる樹脂を用いてもよい。両面粘着テープ9は、パターン転移用モールド2を搬送フィルムFに貼り付けることができる粘着剤層を有するものであれば、その構成は特に限定されない。粘着剤層は、アクリル系粘着剤組成物により構成されるのがコスト面、取り扱い面の観点から好ましい。アクリル系粘着剤組成物としては、特に限定されないが、たとえば、アクリル系ポリマーに架橋剤などの添加剤を配合したものが挙げられる。粘着剤層の厚さは、通常は5〜50μmの範囲である。
【0036】
このようなパターン転移用モールド2を図5に示すように、コーター18の上流側において、搬送フィルムFに貼り付ける。
【0037】
その状態で各ロールを回転させて搬送フィルムFを図5中の矢印Xの方向に搬送しながら、図6に示すようにコーター18から樹脂組成物25を吐出して、パターン転移用モールド2上に樹脂組成物25を塗布する。図7に示すように、パターン転移用モールド2の表面には、凹凸パターン3が形成されているので、その上に塗布された樹脂組成物25には、凹凸パターン3の反転パターン3aが形成される。
【0038】
樹脂組成物25は、熱又は光硬化性樹脂である。樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。熱又は光硬化性であれば、パターン形成後に容易に硬化させることができるので、取り扱いが容易である。
【0039】
樹脂組成物25は、剥離成分を含有している樹脂(以下、「剥離性樹脂」と略する)が好ましい。剥離性樹脂を用いれば、樹脂組成物25に反転パターンを形成した後に剥離層を形成しなくても、転写材料への凹凸パターンのインプリント時に転写材料の付着を防ぐことができるからである。剥離性樹脂としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などのシリコーン樹脂、アクリル系モノマーとシリコーン系モノマー(マクロモノマーを含む)との共重合体、アクリル系モノマーとフッ素系モノマー(マクロモノマーを含む)との共重合体、アクリル系ポリマーにシリコーン系モノマーとの混合物、アクリル系ポリマーとフッ素系モノマーとの混合物などが挙げられ、シリコーン樹脂、アクリル系モノマーとシリコーン系モノマー(マクロモノマーを含む)との共重合体が好ましい。これらの樹脂であれば、安価で容易に入手できるとともに、ロール・トゥー・ロールにより凹凸パターンの反転パターンが転写される転写材料に対して剥離性を充分に発揮することが可能である。
また、樹脂組成物25が熱硬化性樹脂である場合には、樹脂基材5、樹脂層6を形成する樹脂、搬送フィルムFおよび両面粘着テープ9を構成する粘着剤層には熱伝導性フィラーが含有していることが好ましい。熱伝導性フィラーが含有していることにより、より短時間で樹脂組成物25を転写ロール12に転移させることが可能になる。熱伝導性フィラーとしては、たとえば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン、結晶性シリカ、非結晶性シリカ、酸化チタン、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化銅、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化ガリウム、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、ダイヤモンドが挙げられる。
一方、樹脂組成物25が光硬化性樹脂である場合には、樹脂基材5、樹脂層6を形成する樹脂、搬送フィルムFおよび両面粘着テープ9を構成する粘着剤層は透明性が高いものを用いることが好ましい。具体的には、JIS K7361による可視光波長領域における全光線透過率が85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上であり、JIS K7136によるヘーズが3%以下、好ましくは1%以下である。透明性の高い樹脂基材5、樹脂層6を形成する樹脂、搬送フィルムFおよび両面粘着テープ9を構成する粘着剤層を用いることにより、後述する光照射器20よって樹脂組成物25をより短時間に、より均一に硬化させることができる。
【0040】
3.転移工程
この工程では、樹脂組成物25を円柱状の転写ロール12の全周に渡って転移させると共に樹脂組成物25を硬化させることによって、転写ロール12の全周に渡って凹凸パターン3の反転パターン3aを形成する。
【0041】
以下、この工程の実施方法の一例を図8図12を用いて説明する。
上記工程で樹脂組成物25をパターン転移用モールド2上に塗布した後、搬送フィルムFの搬送を継続すると、図8に示すように、上流側ロール14と転写ロール12の間で、上流側ロール14によって搬送フィルムFが転写ロール12の方向に押し付けられ、それによって、パターン転移用モールド2上の樹脂組成物25が転写ロール12に付着される。搬送フィルムFがさらに搬送されると、パターン転移用モールド2は、転写ロール12の下方に到達し、図9に示すように、その位置で光照射器20によって樹脂組成物25が硬化され、樹脂組成物25上には、凹凸パターン3の反転パターン3aが形成される。そして、搬送フィルムFがさらに搬送されて、下流側ロール14に到達すると、搬送フィルムFは、より下流側に設けられた巻取りロール(図示せず)に引っ張られて図8の矢印Zの方向に移動するのに対し、転写ロール12はそのまま回転方向に移動するので、搬送フィルムFが転写ロール12から分離される。この際に、硬化済みの樹脂組成物25は、より親和性が高い方に接着されるので、転写ロール12への易接着処理と、パターン転移用モールド2への剥離処理のうちの一方又は両方を予め行なって、樹脂組成物25と転写ロール12との親和性が、樹脂組成物25とパターン転移用モールド2との親和性よりも高くなるようにしておく。このようにすることで、反転パターン3aを有する樹脂組成物25が、図10に示すように、転写ロール12に転移される。
【0042】
また、この転移工程中に、転写ロール12に転移された樹脂組成物25の先端近傍またはパターン転移用モールド2の終端部には、転移後の樹脂組成物25上に樹脂組成物がさらに転移されることを防ぐために、遮蔽材27が設けられる。遮蔽材27は、剥離性を有しており、硬化前の樹脂組成物25が遮蔽材27上に付着した状態で樹脂組成物25が硬化された場合でも、この樹脂組成物25を容易に除去することができる。遮蔽材27としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アルキッド樹脂、長鎖アルキル化合物、およびワックスなどの剥離材のほかに、光透過の無いまたは少ない顔料、染料、これらの顔料、染料を含有するプラスチックフィルム類、ポリイミドフィルムのような紫外線透過を遮蔽するフィルム、アルミニウムなどを用いた金属膜などを用いる。さらに転移用モールド2の背面にニッケル薄膜を形成した遮光膜が利用可能である。
【0043】
そして、樹脂組成物25の転移をこのまま継続すると、最終的に、図11に示すように、転写ロール12の全周に渡って凹凸パターン3の反転パターン3aが形成される。また、樹脂組成物25は、易接着フィルム4の両端の突合せ部の隙間Gに入り込み、その状態で硬化されるため、易接着フィルム4の両端が強固に接合される。
【0044】
なお、ここでは、樹脂組成物25が光硬化性樹脂である場合を例に挙げて説明を行ったが、樹脂組成物25は、熱硬化性樹脂であってもよい。その場合、転写ロール12の下側には光照射器20の代わりにヒーターを設置して、熱硬化性樹脂を適切に加熱硬化させて、転写ロール12に転移させることが好ましい。
【0045】
パターン3aには、樹脂組成物25が剥離性樹脂でない場合は、上述した剥離処理と同様の剥離処理を施すことが好ましい。
【0046】
以上の工程により、転写ロール12の全周に渡って途切れのない反転パターン3aを有するインプリント用モールドが得られる。また、このインプリント用モールドは、従来技術のように外周の段差がないので、転写樹脂の堆積の問題が生じない。
【0047】
このインプリント用モールドを用いれば、転写材料に連続的に凹凸パターンを形成することができる。具体的には、例えば、図1に示すインプリント装置の各ロールを回転させて搬送フィルムFを搬送しながらコーター18から転写材料(例:光硬化性樹脂)を吐出することによって、搬送フィルムF上に転写材料を塗布し、この転写材料に対して転写ロール12に巻き付けられたシームレスのインプリント用モールドを押し付け、その状態で光照射器20から、転写材料を硬化させる光を転写材料に対して照射することによって転写材料を硬化させて、転写材料に連続的に凹凸パターンを形成することができる。
【符号の説明】
【0048】
2:パターン転移用モールド、3:凹凸パターン、3a:反転パターン、4:易接着フィルム、5:樹脂基材、6:樹脂層、8、9:両面粘着テープ、8a:両面粘着テープの両端の突合せ部、10:セパレータ、12:転写ロール、14:上流側ロール、16:下流側ロール、18:コーター、20:光照射器、25:樹脂組成物、27:遮蔽材、F:搬送フィルム、G:隙間
図1
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