(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0012】
工具本体と、前記工具本体から突出して設けられ、前記工具本体に対して所定方向に移動可能であり、押圧面で清掃体を清掃対象に押し当てるヘッドユニットを有する挿入部と、を備え、前記工具本体と前記挿入部とを相対移動させると、前記清掃体の供給と回収が行われるとともに、前記ヘッドユニットが前記所定方向を軸とする回転方向に回転し、前記ヘッドユニットは、前記押圧面を有するヘッド部材と、前記押圧面を突出させた状態で前記ヘッド部材が挿入された筒部材とを有し、前記清掃体は、前記押圧面に掛け回されており、前記所定方向から前記押圧面を見たときに、供給側において前記ヘッド部材の外面と前記筒部材の内周面との隙間に前記清掃体が配置されているとともに、回収側において前記ヘッド部材の外面と前記筒部材の内周面との隙間に前記清掃体が配置されていることを特徴とする清掃工具が明らかとなる。このような清掃工具によれば、ヘッド部材の回転時における清掃体の脱落を抑制しつつ、押圧面の領域拡大を図ることができる。
【0013】
前記ヘッドユニットは、前記回転方向の力を受けるベース部材を有し、前記ヘッド部材は、前記ベース部材と分離した別部材で構成されていることが望ましい。これにより、筒部材を取り付けやすい。
【0014】
前記ヘッド部材に鍔部が形成されており、前記所定方向から前記押圧面を見たときに、前記筒部材の端部の少なくとも一部が前記鍔部によって隠れるように配置されていることが望ましい。これにより、筒部材の端部によって清掃対象が損傷することを抑制できる。
【0015】
前記ヘッド部材は、前記所定方向に沿って形成された供給側ガイド溝及び回収側ガイド溝を有し、前記供給側ガイド溝及び前記回収側ガイド溝に前記清掃体が配置されていることが望ましい。これにより、ヘッド部材の回転時における清掃体の脱落を抑制できる。
【0016】
前記ヘッド部材は樹脂製であり、前記筒部材は金属製であり、前記筒部材が前記ヘッド部材にかしめられて前記ヘッド部材に対して前記所定方向及び前記回転方向に固定されていることが望ましい。これにより、ヘッド部材を筒部材で補強することができる。
【0017】
===実施形態===
<<清掃工具1の構成について>>
以下の説明では、図に示すように、各方向を定義する。すなわち、工具本体10から挿入部20が延び出る方向を「前後方向」とする。つまり、筒形状の挿入部20の軸方向が「前後方向」となる。この前後方向において工具本体10から見て挿入部20の側を「前」とし、逆側を「後」とする。また、工具本体10の中にある巻取リール31(
図2参照)の回転軸の軸方向を「左右方向」とし、後側から前側に向かって見たときの右側を「右」とし、逆側を「左」とする。また、前後方向及び左右方向に垂直な方向を「上下方向」とする。
【0018】
図1は、本実施形態の清掃工具1の全体斜視図である。
図2は、清掃工具1の工具本体10の内部構成を示す図であり、
図3は、清掃工具1の挿入部20の内部構成を示す図である。また、
図4A及び
図4Bは、ヘッドユニット24の拡大斜視図である。
図4Aは、金属筒27を取り付けた状態、
図4Bは、金属筒27を透過して見た状態を示している。
【0019】
清掃工具1は、光コネクタのフェルール端面(光ファイバ端面)を清掃するための工具であり、工具本体10と、挿入部20とを備えている。工具本体10と挿入部20は、前後方向に相対的に移動可能に構成されている。
【0020】
工具本体10は、作業者が清掃工具1を把持する部位であり、ケース体11と、送り機構13と、回転機構15とを備えている。
【0021】
ケース体11は、略直方体の筒状部材であり、その内部に送り機構13と回転機構15が設けられている。ケース体11には、挿入凸部54と、鋸歯状のギア受け部56と、コイルスプリング34を押圧する押圧板58とが固定されている。
挿入凸部54は、ケース体11から内側(右側)に向けて突出しており、略円柱状(若しくはピン状)に形成されている。挿入凸部54の突出高さおよび外径は、後述する回転筒部522のカム溝523に嵌合可能となるように設定されている。
ギア受け部56は、ケース体11の下部に設けられている。ギア受け部56には前後方向に沿って複数の受け歯が形成されており、これらの受け歯は、ギア31aの歯車とかみ合うようになっている。そして、ギア受け部56は、工具本体10と挿入部20との前後方向の相対移動に応じて、ギア31aに回転力を与え、巻取リール31を駆動(回転)させる。
押圧板58は、ケース体11から内側に突出するように形成された板状の部材であり、コイルスプリング34の一端(後端)が配置されている。そして、押圧板58は、工具本体10と挿入部20とが相対移動した際に、コイルスプリング34を押圧する。
【0022】
送り機構13は、清掃体の供給及び回収を行うためのものである。送り機構13は、供給リール30と、巻取リール31と、ギア31aと、支持部32と、保持筒部33と、コイルスプリング34とを備えている。
供給リール30は、ヘッドユニット24に清掃体を供給するリールであり、清掃体を巻装している。
巻取リール31は、使用後の清掃体を巻き取って回収するリールである。
ギア31aは、円板状の基板の周囲に複数の歯が形成された歯車であり、巻取リール31に装着されている。ギア31aと巻取リール31との間には不図示の伝達機構が配置されており、ギア31aが所定方向に回転するときには巻取リール31は一緒に回転するが、ギア31aが逆方向に回転するときには巻取リール31は回転しないように構成されている。
支持部32は、供給リール30及び巻取リール31を回転可能に支持している。また、支持部32は、ケース体11に対して、前後方向(所定方向に相当)に相対移動可能に設けられている。
保持筒部33は、コイルスプリング34を装着して、当該コイルスプリング34を位置決めする部材である。保持筒部33は、支持部32の前側端部から後方に突出するように設けられている。
コイルスプリング34は、支持部32の保持筒部33と、ケース体11の押圧板58との間に設けられており、支持部32がケース体11に対して後方(
図2の矢印方向)に移動した際に、ケース体11に対して支持部32を前方に付勢する。
【0023】
回転機構15は、ヘッドユニット24(ヘッド部材26)を回転させるためのものである。回転機構15は、ケース体11に対して回転可能な回転シャフト52を備えている。
回転シャフト52は、ガイド筒部521と、回転筒部522とを備えている。また、回転シャフト52内には、清掃体を挿通する挿通孔(不図示)が形成されている。挿通孔は断面略円形であり、ガイド筒部521の前端から回転筒部522の後端にわたって形成されている。
ガイド筒部521は略円筒状に形成され、前端部にはヘッドユニット24のベース部材25の基部251が嵌合可能となっている。ガイド筒部521の前端部の内面には、肉厚に形成された回転止部(不図示)が形成されている。
回転筒部522は、ガイド筒部521の後端に設けられており、ガイド筒部521よりも太い略円筒状に形成されている。また、回転筒部522の外面には、ケース体11の挿入凸部54が挿入されるカム溝523が形成されている。
カム溝523は、回転筒部522の外周面において、回転筒部522の軸方向(前後方向)に対して傾斜して螺旋状に形成されている。このため、回転シャフト52が前後方向に移動すると、回転筒部522がカム溝523に沿って移動することによって、回転シャフト52は前後方向を軸とする軸回り方向(以下、回転方向ともいう)に回転する。この回転に伴い、ヘッドユニット24も同じ方向に回転する。
【0024】
挿入部20は、清掃対象(光コネクタ)の挿入口に挿入する部位であり、工具本体10から前方に突出して設けられている。また、挿入部20は、工具本体10に対して前後方向(所定方向に相当)に移動可能である。本実施形態の挿入部20は、挿入筒体21と、筒部用スプリング22と、ヘッド用スプリング23と、ヘッドユニット24とを備えている。
【0025】
挿入筒体21は、基筒部21aと、基筒部21aの先端(前側端)から前方に延びる円筒状の先端筒部21bとを有している。基筒部21aは、支持部32に対して固定されている。先端筒部21bは、基筒部21aよりも細く形成されており、光コネクタの挿入口に挿入したときに位置決めされるように形成されている。
筒部用スプリング22は、支持部32に対して先端筒部21bを後退可能に前側に付勢するためのものであり、先端筒部21bの後端と支持部32との間に配置されている。なお、先端筒部21bは筒部用スプリング22によって前側への力を受けているが、先端筒部21bの突起部211が基筒部21aの内壁と接触することにより、先端筒部21bが基筒部21aから前側に抜け落ちないようになっている。
【0026】
ヘッド用スプリング23は、ガイド筒部521に対して、ヘッドユニット24を後退可能に前側に付勢するためのものであり、ガイド筒部521の前端とヘッドユニット24のベース部材25のフランジ部252との間に設けられている。
【0027】
ヘッドユニット24は、先端面(後述する押圧面26a)で清掃体を清掃対象面(光コネクタのフェルール端面)に押し当てる部位である。ヘッドユニット24は、ベース部材25と、ヘッド部材26と、金属筒27(筒部材に相当)とを備えている。また、ヘッドユニット24は、ヘッド用スプリング23によって、後退可能に前側に押圧されている。
【0028】
ベース部材25は、樹脂製の部材であり、基部251と、フランジ部252と、先端部253とを有している。
基部251は、ガイド筒部521の挿通孔に挿入可能に設けられている。また、基部251は、前後方向に沿って形成された平坦部(不図示)を有しており、当該平坦部とガイド筒部521の回転止部とが対向して配置されている。これにより、基部251がガイド筒部521(回転シャフト52)に対して回転しないように規制されている。すなわち、ベース部材25は、回転シャフト52に対して前後方向に相対移動可能であるとともに、回転シャフト52の軸回りの回転力(回転方向の力)を受けて回転シャフト52とともに同じ方向に回転する。
フランジ部252は、基部251の前端に形成されている。そして、フランジ部252の後端とガイド筒部521の先端との間にヘッド用スプリング23が設けられている。
先端部253は、フランジ部252の前側端面の中央から前方に突出するように形成されている。この先端部253は、金属筒27に挿入される部位であり、ヘッド部材26の鍔部26dより後側の部分とほぼ同一形状である。(
図4A、
図4B参照)。すなわち、先端部253には、ヘッド部材26の供給側ガイド溝26b及び回収側ガイド溝26cに対応するガイド溝が、清掃体の供給側と回収側にそれぞれ設けられている。
【0029】
ヘッド部材26は、ベース部材25と分離した樹脂製の部材(別部材)であり、金属筒27を介して、ベース部材25(先端部253)よりも前方に配置されている。ヘッド部材26は、押圧面26aと、供給側ガイド溝26bと、回収側ガイド溝26cと、鍔部26dとを有している。
【0030】
押圧面26aは、ヘッド部材26の先端面(前側端面)であり、清掃体を清掃対象面(光コネクタのフェルール端面)に押し当てる面である。本実施形態の押圧面26aは、前後方向に対して垂直な平面に形成されている。ただし、これには限らず、曲率を有していてもよい(例えば、前側に凸形状、あるいは、凹形状でもよい)。
【0031】
供給側ガイド溝26bは、清掃体の押圧面26aへの供給時の送り移動をガイドするための溝であり、ヘッド部材26の側部(
図4では上部)において前後方向に沿って形成されている。
【0032】
回収側ガイド溝26cは、清掃体の押圧面26aからの回収時の送り移動をガイドするための溝であり、ヘッド部材26の供給側ガイド溝26bとは反対側の側部(
図4では下部)において前後方向に沿って形成されている。
【0033】
鍔部26dは、金属筒27の先端よりも前側に設けられており、その外径は金属筒27の外径とほぼ同じである(
図5A参照)。つまり、鍔部26dの外径は、金属筒27の内径よりも大きい。このような鍔部26dを設けていることにより、金属筒27の端部(先端部)によって清掃対象が損傷することを抑制できる。
【0034】
ここで、もし仮に、ベース部材25とヘッド部材26が、例えば樹脂によって一体成形されていると、鍔部26dを設けていることによって、金属筒27を取り付けることが困難になる(金属筒27を前から挿入できない)。本実施形態では、ヘッド部材26とベース部材25が分離している(別部材である)ので、ベース部材25の先端部253に金属筒27を取り付けた後にヘッド部材26の後端部(基端部)を金属筒27に挿入できるため、金属筒27を取り付けやすい。
【0035】
金属筒27は、円筒形状の薄い金属製の部材である。金属筒27は、清掃体の脱落を防止するとともに、ヘッド部材26を補強するためのものである。本実施形態では、清掃対象のコネクタの径が通常よりも細く、ヘッド部材26も細く形成されている。このため、仮に、樹脂のみでヘッドを形成した場合(例えば、ベース部材25とヘッド部材26を一体成形した場合)、押圧面26aを清掃対象に押し当てたときに、細長いヘッド部材26が折れるおそれがある。金属筒27を設けることにより、ヘッド部材26の破損を抑制できる。
【0036】
金属筒27の前側内部にはヘッド部材26が、押圧面26a及び鍔部26dを突出させた状態で挿入されている。また、金属筒27の後側内部には、ベース部材25の先端部253が挿入されている。そして、金属筒27は、
図4Aの位置P1で左右両側からヘッド部材26にかしめられており、また、位置P2で左右両側からベース部材25の先端部253にかしめられている。こうして金属筒27は、ヘッド部材26及びベース部材25に対して、前後方向、及び、前後方向を軸とする回転方向に固定されている。すなわち、ヘッド部材26とベース部材25は、金属筒27を介して、前後方向に一体的に移動し、回転方向に一体的に回転する。なお、金属筒27をかしめる際には、専用の治具を用いてヘッド部材26とベース部材25の位置合わせ(ガイド溝の位置合わせ)を行なっている。
【0037】
本実施形態では前後方向の2箇所(位置P1、位置P2)で金属筒27をかしめていたが、3箇所以上であってもよい。少なくとも、金属筒27とヘッド部材26との重複部分と、金属筒27とベース部材25の先端部253との重複部分をそれぞれ1箇所以上含んでいればよい。なお、金属筒27をかしめる箇所は、供給側ガイド溝26b、及び、回収側ガイド溝26cを除く部分であることが望ましく、また、先端筒部21b内であることが望ましい。かしめるのではなく別の方法(例えば接着など)で、金属筒27をベース部材25及びヘッド部材26に固定しても良い。
【0038】
清掃体は、供給リール30から、回転シャフト52内の挿通孔を通ってヘッドユニット24のヘッド部材26の供給側ガイド溝26b、押圧面26a、回収側ガイド溝26cを経由し、巻取リール31に巻き取られるように配置される。このようにして、清掃体は押圧面26aに掛け回されている。清掃体は、特に限定されるものではなく、公知の適当な清浄布(不織布や織布)を糸状に加工したものを採用することができる。例えば、ポリエステルやナイロンなどの極細の繊維で構成されたものが例示できる。なお、清掃体として、細巾のテープ状のものを用いることもできる。
【0039】
<<清掃工具1の動作について>>
挿入部20の先端筒部21bを光コネクタのコネクタ挿入口(不図示)に挿入すると、先端筒部21bの外面が光コネクタの内壁に位置決めされながら、ヘッドユニット24が挿入口内に侵入し、ヘッド部材26の押圧面26a上の清掃体が清掃対象面(例えば、光コネクタのフェルール端面)に当接する。
【0040】
ヘッド部材26の押圧面26a上の清掃体を、清掃対象面に当接させた状態で、工具本体10をさらに前方に押圧すると、工具本体10は、この方向(前方)に移動する。これにより、挿入部20の先端は、清掃対象に押され、工具本体10に対する挿入部20の相対位置は、後方に移動する(工具本体10と挿入部20とが相対移動する)。
【0041】
このとき、挿入部20に押されて支持部32がケース体11に対して後方に移動する。これにより、送り機構13が支持部32とともにケース体11に対して移動するため、ギア受け部56によって、ギア31aに回転力が与えられる。ギア31aの回転によって、巻取リール31が回転し、清掃体が巻き取られる(回収される)。これに伴って、清掃体が供給リール30から引き出され、ヘッド部材26の押圧面26aへと供給される。このように清掃体の供給と回収が行われる。
【0042】
また、挿入部20の移動によって、回転シャフト52はケース体11に対し後方に移動する。これにより、回転筒部522がカム溝523に沿って移動し、回転シャフト52は前後方向を軸とする軸回り(回転方向)に回転する。この回転シャフト52の回転によって、ヘッドユニット24(ヘッド部材26)も回転するため、清掃体は清掃対象面に当接した状態のまま回転方向に回転する。
【0043】
このように工具本体10と挿入部20とを相対移動させると、清掃体の供給と回収が行われるとともに、ヘッドユニット24が前後方向を軸とする軸回り(回転方向)に回転する。これにより、ヘッド部材26の押圧面26aに掛け回された清掃体で、清掃対象面に付着しているゴミや埃、油分などの汚れを拭き取ることができる。
【0044】
清掃が終了した後、挿入部20を光コネクタから引き抜く際には、工具本体10を後方に移動させればよい。このとき、コイルスプリング34の弾性力によって、支持部32とケース体11との位置関係が元に戻る。これにより、回転シャフト52(ヘッドユニット24)は押し付けた時と逆方向に回転する。ただし、引き抜く場合には、不図示の伝達機構によってギア31aの回転が巻取リール31に伝達されないため、巻取リール31は回転せずにギア31aだけが空回りする。
【0045】
<<清掃体の配置について>>
<比較例>
図6Aは、比較例のヘッド部材126の斜視図である。この比較例では、挿入部120の先端筒部121bからヘッド部材126が前方に突出している。ヘッド部材126は樹脂製であり、ヘッド部材126の先端の押圧面126aには、挿通孔126b及び挿通孔126cが形成されている。そして、清掃体は、ヘッド部材126の挿通孔126bを通って押圧面126aに至り、挿通孔126cを経て回収される。このように比較例では、ヘッド部材126の先端部に形成された挿通孔126b及び126cに清掃体が挿通されており、これにより清掃体の脱落を防止している。
【0046】
この比較例の場合、へッド部材126の押圧面126aに、挿通孔126b及び挿通孔126cの開口がそれぞれ形成されているため、これらの各挿通孔の外周(符号126eの部位)の肉厚分だけ押圧面126aの清掃体を配置する領域が狭くなる。つまり、押圧面126aに掛け回される清掃体の長さが短くなり、清掃範囲が狭くなる。このため、清掃不良の原因になるおそれがある。
【0047】
<本実施形態>
図5Aは本実施形態のヘッド部材26を前後方向の前側から見た図である。また、
図6Bは、本実施形態のヘッド部材26(清掃体配置後)の斜視図である。
【0048】
本実施形態のヘッド部材26は、前述したように、押圧面26a、供給側ガイド溝26b、回収側ガイド溝26c、鍔部26dを有している。また、本実施形態の鍔部26dの外径は、金属筒27の外径とほぼ同じ大きさである。よって、
図5Aに示すように、前後方向の前側から押圧面26aを見たときに、金属筒27の先端部(前側の端部)の一部がヘッド部材26の鍔部26dによって隠れている。
【0049】
また、供給側ガイド溝26bの外面と金属筒27の内周面との間には隙間S1が形成され、回収側ガイド溝26cの外面と金属筒27の内周面との間には隙間S2が形成されている。そして、供給側において隙間S1に清掃体が配置されるとともに、回収側において隙間S2に清掃体が配置される。
【0050】
このように、本実施形態では、ヘッド部材26の押圧面26aを金属筒27から突出させた状態にするとともに、押圧面26を前側から見たときに、ヘッド部材26の外面と、金属筒27の内周面との間の隙間(隙間S1、隙間S2)に清掃体が配置されている。これにより、比較例の符号126e(
図6A参照)の部位の肉厚が不要になるため、比較例よりも押圧面の領域拡大(清掃範囲の拡大)を図ることができる。また、清掃体はガイド溝(供給側ガイド溝26b及び回収側ガイド溝26c)内に配置されており、さらに、その外側は金属筒27で覆われているので、清掃体の脱落を抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態では、ヘッド部材26は、回転方向の力を受けるベース部材25と分離した別部材で構成されている。これにより、ヘッド部材26や金属筒27の取り付けが容易になる。特にヘッド部材26に鍔部26dが形成されている場合には、ヘッド部材26がベース部材25と分離した別部材で構成されることによって、金属筒27の取り付けが容易になる。
【0052】
また、本実施形態では、押圧面26aを前側から見たときに、金属筒27の先端部(端部)の一部がヘッド部材26の鍔部26dによって隠れるように配置されている。これにより、清掃時に金属筒27の先端部によって清掃対象が損傷することを抑制できる。
【0053】
また、本実施形態では、ヘッド部材26は、前後方向に沿って形成された供給側ガイド溝26bと回収側ガイド溝26cとを有しており、清掃体は供給側ガイド溝26b及び回収側ガイド溝26cに配置されている。これにより、ヘッド部材26の回転時における清掃体の脱落を抑制できる。
【0054】
また、本実施形態では、ヘッド部材26が樹脂製であり、金属筒27(筒部材)が金属製であり、金属筒27がかしめられてヘッド部材26に対して前後方向及び回転方向に固定されている。これにより、ヘッド部材26を金属筒27で補強することができ、細長いヘッド部材26が折れてしまうことを抑制できる。
【0055】
<第1変形例>
図5Bは、第1変形例のヘッド部材26´を前後方向の前側から見た図である。
【0056】
第1変形例のヘッド部材26´は、押圧面26a´と、供給側ガイド溝26b´と、回収側ガイド溝26c´とを有している。但し、ヘッド部材26´には前述の実施形態のような鍔部が設けられておらず、
図5Bに示すように、前後方向の前側から見たときに、金属筒27の先端(端部)がヘッド部材26´で隠れていない。また、供給側ガイド溝26b´(ヘッド部材26´の外面)と金属筒27の内周面との間には隙間S1´が形成され、回収側ガイド溝26c´(ヘッド部材26´の外面)と金属筒27の内周面との間には隙間S2´が形成されている。そして、供給側において隙間S1´に清掃体が配置されるとともに、回収側において隙間S2´に清掃体が配置される。
【0057】
この第1変形例においても、ヘッド部材26´の押圧面26a´を金属筒27から突出させた状態にするとともに、ヘッド部材26´の外面と、金属筒27の内周面との間の隙間S1´と隙間S2´に清掃体が配置されている。これにより、ヘッド部材26´の回転時における清掃体の脱落を抑制しつつ、押圧面26a´の領域拡大を図ることができる。
【0058】
また、第1変形例の場合も、金属筒27とヘッド部材26´、及び、金属筒27とベース部材25(先端部253)とをそれぞれかしめることで金属筒27が抜け落ちないようにすることができる。なお、第1変形例では、ヘッド部材26´に鍔部が設けられていないため、ヘッド部材26´とベース部材25を樹脂で一体成形してもよい(分離していなくてもよい)。この場合、前側から金属筒27を挿入した後、金属筒27をかしめればよい。
【0059】
<第2変形例>
図5Cは、第2変形例のヘッド部材26″を前後方向の前側から見た図である。
【0060】
第2変形例のヘッド部材26″は、板状の部材であり、押圧面26a″と平面部26b″と平面部26c″とを有している。平面部26b″は、清掃体の供給側(図では上側)に設けられており、平面部26c″は、清掃体の回収側(図では下側)に設けられている。これにより、平面部26b″(ヘッド部材26″の外面)と金属筒27の内周面との間には隙間S1″が形成され、平面部26c″(ヘッド部材26″の外面)と金属筒27の内周面との間には隙間S2″が形成されている。そして、供給側において隙間S1″に清掃体が配置されるとともに、回収側において隙間S2″に清掃体が配置される。
【0061】
この第2変形例においても、ヘッド部材26″の押圧面26a″を金属筒27から突出させた状態にするとともに、ヘッド部材26″の外面と、金属筒27の内周面との間の隙間S1″と隙間S2″に清掃体が配置されている。これにより、ヘッド部材26″の回転時における清掃体の脱落を抑制しつつ、押圧面26a″の領域拡大を図ることができる。
【0062】
また、第2変形例の場合も、前述の実施形態と同様に、金属筒27とヘッド部材26″、及び、金属筒27とベース部材25(先端部253)とをそれぞれかしめることで金属筒27が抜け落ちないようにすることができる。なお、第2変形例においても、ヘッド部材26″とベース部材25を樹脂で一体成形してもよい。
【0063】
===その他===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0064】
1 清掃工具、10 工具本体、
11 ケース体、13 送り機構、15 回転機構、
20 挿入部、21 挿入筒体、21a 基筒部、21b 先端筒部、
22 筒部用スプリング、23 ヘッド用スプリング、
24 ヘッドユニット、25 ベース部材、
26 ヘッド部材、26a 押圧面、
26b 供給側ガイド溝、26c 回収側ガイド溝、26d 鍔部、
26´ ヘッド部材、26a´ 押圧面、
26b´ 供給側ガイド溝、26c´ 回収側ガイド溝、
26″ヘッド部材、26a″ 押圧面、
26b″ 平面部、26c″ 平面部、
27 金属筒、
30 供給リール、31 巻取リール、31a ギア、
32 支持部、33 保持筒部、34 コイルスプリング、
52 回転シャフト、54 挿入凸部、
56 ギア受け部、58 押圧板、
120 、挿入部、121b 先端筒部、126 ヘッド部材、
126a 押圧面、126b 挿通孔、126c 挿通孔、
211 突起部、251 基部、252 フランジ部、253 先端部、
521 ガイド筒部、522 回転筒部、523 カム溝、