(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244368
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】ガス化反応炉内に燃料を搬送するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
C10J 3/54 20060101AFI20171127BHJP
F23K 3/12 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
C10J3/54 F
F23K3/12
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-544552(P2015-544552)
(86)(22)【出願日】2013年11月29日
(65)【公表番号】特表2016-504438(P2016-504438A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】IB2013002678
(87)【国際公開番号】WO2014083417
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2016年8月9日
(31)【優先権主張番号】12450051.3
(32)【優先日】2012年11月29日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515145180
【氏名又は名称】ケア ベタイリグングスフェアヴァルトゥング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レンジング、ミヒャエル
【審査官】
森 健一
(56)【参考文献】
【文献】
オーストリア国特許発明第00384822(AT,B)
【文献】
国際公開第99/034662(WO,A1)
【文献】
特表昭57−500946(JP,A)
【文献】
特開2009−215426(JP,A)
【文献】
オーストリア国特許発明第00405937(AT,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記ガス化反応炉内に燃料を搬送するためのデバイスであって、前記デバイスは、バルク材容器と、搬送パイプと、前記搬送パイプ内に配置された機械式搬送装置とを備え、前記バルク材容器の吐出口が、前記搬送パイプの中へ開口しており、前記搬送パイプは、ガス化反応炉の側部送り込み開口部に接続され得る、デバイスにおいて、前記搬送装置が、前記搬送パイプ(3)の第1の円筒状区間(19)内で移動可能に誘導される液圧駆動プランジャによって形成され、また、前記搬送パイプ(3)が、第2の軸線方向区間(20)において圧縮コーン(11)を形成するために、前記燃料の搬送方向に連続的に減少する内部断面を有しており、
前記圧縮コーン(11)を含む前記第2の搬送パイプ区間(20)が、独立した交換可能なパイプ部分(5)として構成され、前記第2の搬送パイプ区間(20)は、それぞれが圧縮度の異なる圧縮コーンを含む複数の交換可能なパイプ部分をさらに含み、使用される前記燃料に応じて、適切な圧縮度を持つパイプ部分を設置することができるようになっていることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記圧縮コーン(11)を含む前記第2の搬送パイプ区間(20)が、前記ガス化反応炉(1)の前記送り込み開口部(12)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記圧縮コーン(11)を含む前記第2の搬送パイプ区間(20)が、継手(13)を間に入れることにより前記ガス化反応炉(1)の前記送り込み開口部(12)に接続されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の搬送パイプ区間(19)を形成するパイプ部分、及び、前記第2の交換可能なパイプ部分(5)が、前記搬送パイプの中間区間を形成するアダプタ(14)を介して相互接続され、前記アダプタ(14)が、好ましくは前記搬送パイプ(3)から径方向に取り外し可能であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記プランジャ(10)が、前記搬送方向におけるその最大作動行程を完了させた後で、前記搬送パイプ(3)内への燃料の進入を完全に遮断することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記搬送パイプ(3)の前記送り込み開口部(12)に隣接した前記ガス化反応炉(1)の端部区間が、冷却デバイスの冷却ジャケット(15)によって取り囲まれ、前記冷却ジャケット(15)が、好ましくは、少なくとも前記圧縮コーン(11)を有して形成された前記搬送パイプ区間を取り囲むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1の搬送パイプ区間(19)には、締切り弁(18)が備えられ、前記締切り弁(18)は、前記搬送方向に対して垂直に移動させられ得ることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記搬送パイプ(3)が、不活性ガス接続部(28)を備えることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記プランジャ(10)の前面が、前記搬送方向に伸張され得る前記プランジャ(10)の部品(25)上に形成されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記バルク材容器(2)がディスチャージ・ホッパーを含み、搬送方向で見たときの前記ディスチャージ・ホッパーの前壁(29)が、好ましくは、前記搬送パイプの軸線の法線と0〜20°、好ましくは5〜15°の角度を成すことを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記搬送方向で見たときの前記ディスチャージ・ホッパーの後壁(30)が、前記搬送パイプの軸線の法線と10〜40°、好ましくは20〜35°の角度を成すことを特徴とする、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記ディスチャージ・ホッパーの前記吐出開口部(21)の領域内の前記燃料のために、離散デバイス(27)が設けられ、前記離散デバイス(27)が、好ましくは、周囲にわたって分散された複数の空気噴射開口部を備えることを特徴とする、請求項10又は11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記搬送パイプ(3)の前記軸線が下方に傾斜され、水平に対して測定された前記傾斜の角度が、好ましくは5°から30°の範囲内であることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記冷却ジャケット(15)に、冷却流体入口(16)及び冷却流体出口(17)が接続され、前記冷却ジャケット(15)から前記冷却流体出口(16)を介して引き込まれた前記冷却流体の温度を測定するために、温度センサ(31)が設けられ、その測定された値が、制御デバイス(32)に送られ、前記制御デバイス(32)が、測定された冷却流体温度に応じて前記冷却流体(17)が搬送される時間単位毎の割合を制御するために、冷却流体循環ポンプ(33)の駆動と協働することを特徴とする、請求項6に記載のデバイス。
【請求項15】
静止層(7)を収容するためのガス化ゾーン(6)、及び流動層を収容するための燃焼ゾーンを備えるガス化デバイス(1)であって、前記ガス化ゾーン(6)及び前記燃焼ゾーンが、流動媒体の循環を可能にするために、いずれの場合にも絞り又はサイフォンなどのスルース状装置により2箇所で相互接続され、前記ガス化ゾーンが、可燃材料を供給するための送り込み開口部(12)と、ガス排出口と、特に蒸気又はCO2を噴射するためのノズル底部(9)とを備え、前記燃焼ゾーンが、前記ガス化ゾーン(6)から前記燃焼ゾーンに入ってくる前記流動媒体を流動化するための空気送り込み口を備える、ガス化デバイス(1)において、請求項1から14までのいずれか一項に記載の搬送デバイス(4)が、前記送り込み開口部(12)に接続され、前記搬送デバイス(4)が、好ましくは、前記静止層(7)の中又はその上に前記燃料を搬送するように配置されることを特徴とする、ガス化デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス化反応炉内に燃料を搬送するためのデバイスに関し、このデバイスは、バルク材容器と、搬送パイプと、搬送パイプ内に配置された機械式搬送装置とを備え、バルク材容器の吐出口が、搬送パイプの中へ開口しており、搬送パイプは、ガス化反応炉の側部送り込み開口部に接続され得る。
【0002】
本発明はまた、静止層を収容するためのガス化ゾーン、及び流動層を収容するための燃焼ゾーンを備えるガス化デバイスであって、ガス化ゾーン及び燃焼ゾーンが、流動媒体の循環を可能にするために、絞り又はサイフォンなどのスルース状(sluice−like)装置により2箇所のそれぞれで相互接続され、ガス化ゾーンが、可燃材料を送り込むための送り込み開口部と、ガス排出口と、具体的には蒸気又はCO
2を噴射するためのノズル底部とを備え、燃焼ゾーンが、ガス化ゾーンから燃焼ゾーンに入ってくる流動媒体を流動化させるための空気送り込み口を備える、ガス化デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
このタイプのガス化デバイスは、特許文献AT405937Bで知られている。このタイプのガス化デバイスは、不均質の生体起源燃料及び合成物の品質を高めて、電力の生成若しくは有機製品の合成に適切な、高い発熱量を持つ燃料ガス、又は可能な限り窒素を含まない合成ガスを、それらから得るために使用することが可能である。その点に関して、燃料は、蒸気及び/又はCO
2により流動化される静止流動層として構成されたガス化ゾーン内に導入され、流動化ガス又はガス化物質(蒸気及び/又はCO
2)と反応し、流動媒体からの熱により脱気され、そして空気を排除することにより部分的にガス化される。次いで、上昇する製品ガスが引き出され、また、ガス化されていない残留燃料を含む冷却された流動媒体が、絞りなどのスルース状デバイスを介して燃焼ゾーンに送り込まれる。燃焼ゾーンにおいて、流動媒体は、空気を使用して残留燃料とともに流動化されて、急速に移動する流動層を形成し、残留燃料は燃焼される。例えばサイフォンであるスルース状デバイスを介してサイクロン内の燃焼排ガスが抜き出された後、流動媒体は、ガス化ゾーンの静止流動層に送り込まれる。
【0004】
特にニッケル及び/又はニオビウムを基礎とする触媒活性の流動媒体を使用することにより、可燃成分として事実上CO、CO
2、及びH
2のみが蒸気とともに存在する限り、脱気及びガス化により形成されたガスが精製され、又は、高い発熱量を持つメタン・リッチ・ガスが生成される。さらに、ガス化温度は、約800℃から650℃まで低下させられ得る。
【0005】
AT405937Bで説明されるガス化デバイスは、炭素質材料のガス化、特に、例えばバイオマス、石炭、合成物、若しくは事前分類された廃棄物などの不均質な又は生体起源の燃料のガス化に適しており、CO、CO
2、H
2、場合によりCH
4、及びより高級の炭化水素を含有する混合ガスが生成される。ガス化が完全にニッケル触媒又はニオビウム触媒の存在下で行われる場合、例えばCH
4などの炭化水素もまた、CO及びH
2に変換される。空気の進入を避けることは、高い発熱量を有する、実質的に窒素を含まない生成ガスが得られることを意味する。
【0006】
通常バルク材の形態をとる燃料のガス化反応炉への供給は、通常は機械式搬送装置を用いて行われる。この点について、搬送装置は、ガス化反応炉によって決定づけられる一連の固有の要求に適合しなければならない。一実例として、搬送装置は、ガス化反応炉内に生じる最大800℃の温度による高い熱負荷を受けるので、搬送装置の十分な冷却が確実に行われるように、注意が払われなければならない。加えて、搬送装置は、ガス化過程を妨げないように、空気を排除しなければならない。さらに、ガス化過程に有害な影響をもたらさないように、空気は搬送装置から確実に排除されなければならない。さらに、この構成は、摩耗の水準を低くし、したがって低メンテナンス費用を確実とするように、なされるべきである。最後に、搬送装置は、燃料の良好な投与を可能にするようになされるべきである。
【0007】
AT405937Bの主題では、ガス化ゾーンの静止層の中又はその上への搬送は、スクリュー・コンベヤを用いて行われる。しかし、この方法は、一連の欠点、即ち、スクリュー・コンベヤは冷却が難しく、また、スクリューの充填程度が変動するために空気を適切に排除するのが難しいという欠点に悩まされる。さらに、スクリュー・コンベヤは故障し易く、ガス化反応炉はスクリュー・コンベヤが故障するたびに修理のために停止されなければならないので、スクリュー・コンベヤの故障し易さは不利益である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】AT405937B
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、あらゆるタイプの生物起源燃料を連続的に移送してガス化室に導入することのできるガス化反応炉のための搬送装置を提供することが、目的である。具体的には、装置は、様々な密度及び異なる組成が様々な燃料を同じ方法で搬送するのに適しているべきである。さらに、上述のスクリュー・コンベヤに関する欠点は避けられなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述のタイプのガス化反応炉のための搬送装置を提案することにより、この目的を達成する。本発明では、基本的には、搬送装置は、搬送パイプの第1の円筒状区間内で移動可能に誘導される液圧駆動プランジャによって形成され、また、搬送パイプは、第2の軸線方向区間内に圧縮コーンを形成するために、燃料の搬送方向に連続的に減少する内部断面を有する。圧縮コーンは、第2の搬送パイプ区間の搬送方向における後ろ3分の1の位置に配置されることが好ましい。したがって、本発明は、高稼働率に加えて一様な投与による低メンテナンス費用という利点を有する、液圧式搬送法を提案する。液圧駆動により、搬送方向により大きな力を加えることが可能になり、それにより、例えばAT405937Bで説明されているタイプのガス化反応炉の場合では、燃料を燃料の層の上面内に押し進めることができ、その結果として、流動層での良好な混合が確実になり、ガス化室での脈動が回避される。したがって、このようにして、燃料は、前進行程中に一定の割合で連続的に搬送される。次いで、中断をあまり長くすることなく次の搬送サイクルを始めるために、より高速でプランジャの後退行程が行われる。
【0011】
本発明の液圧式搬送装置により、性質が大きく異なる燃料、具体的には木片、種々の廃棄物片、石炭、他の生物起源農業由来材料、又は製紙産業由来のペースト状可燃性廃棄物を搬送することが可能である。
【0012】
さらに、本発明の液圧式搬送装置は、単純な方法でガス化室から空気を排除するのに使用することができ、これは特に、圧縮コーン内で燃料を圧縮することによって強化される。空気の排除は、ガス化過程の質に関するきわめて重要な因子である。圧縮コーンは、開口部断面をより小さく作ることにより、圧縮圧力を調整するか、又は種々のタイプの燃料の空隙の縮小を可能にするので、ガス化デバイスの重要な構成要素である。このようにして、圧縮圧力もまた、ガス化反応炉内で生成されるガスの純度及び質に関して非常に重要になる。燃料を高圧縮することにより、強力で確実な空気排除手段をもたらす燃料の栓が、搬送パイプ内部に作られる。
【0013】
この点について、燃料の栓は、有利には、可能な限りガス化反応炉に近接して配置される。即ち、空気の排除は、可能な限りガス化反応炉の送り込み開口部の直近で起こる。このようにして、ガス化反応炉内の放射熱が、燃料搬送領域に近づいて搬送装置に過度の熱負荷をもたらし、それにより冷却費用を増大させるという事態を引き起こすことはない。したがって、本発明の搬送デバイスの好ましいさらなる一実施例では、圧縮コーンを含む第2の搬送パイプ区間は、ガス化反応炉の送り込み開口部に接続される。この点について、圧縮コーンは、送り込み開口部内に直接合流することが好ましい。
【0014】
燃料の違いにより、異なる圧縮の程度が要求され得る。したがって、圧縮コーンによって設定される圧縮の程度をそれぞれの燃料に適応させ得ることが、特に有利である。この点について、好ましい一実施例では、圧縮コーンを含む第2の搬送パイプ区間は、独立した交換可能なパイプ部分として構成される。したがって、搬送装置を動作させるために、それぞれが圧縮度の異なる圧縮コーンを含む複数の交換可能なパイプ部分を用意しておくことができ、また、使用される燃料に応じて、適切な圧縮度を持つパイプ部分を設置することができる。
【0015】
交換可能なパイプ部分又は圧縮コーンが直接ガス化反応炉に開口している場合、圧縮コーンを含む第2の搬送パイプ区間は、有利には、継手を間に入れることにより、ガス化反応炉の送り込み開口部に接続され得る。このタイプの継手は、過度の熱負荷に対して圧縮コーンの前部を保護するように意図される。これは、850〜950℃の放射温度が予期され得るガス化反応炉の流動層の高さにコーンが位置する場合に、特に有利である。継手はまた、その開口部直径がそのテーパ角度の関数である圧縮コーンとガス化反応炉の送り込み開口部との間に、移行部を提供する働きをする。したがって、異なるコーンごとに、それぞれの継手を有する。可燃材料は、圧縮コーンから継手を介してガス化反応炉内へと搬送され、ここで、継手は、ガス化反応炉の送り込み開口部の内径に連続的な移行部を提供するために、搬送方向に増大する内径を有し得る。
【0016】
交換可能なパイプ部分の設置及び解体を促進するために、好ましい一実施例では、第1の搬送パイプ区間を形成するパイプ部分、及び第2の交換可能なパイプ部分が、搬送パイプの中間区間を形成するアダプタを介して相互接続される。圧縮コーンをその端部位置から引き抜けるようにするために、アダプタは、圧縮コーンが変更されるときに取り除かれる。特に有利な方法では、アダプタは、搬送パイプから径方向に取り除かれ得る。
【0017】
搬送デバイスは、最高で850〜950℃の温度になるガス化反応炉内に直接開口しているので、搬送デバイスは、有利には、燃料が搬送パイプ内でガス化し始めないように、少なくともガス化反応炉に隣接した領域において冷却される。本発明の好ましい一実施例によれば、ガス化反応炉の送り込み開口部に隣接した搬送パイプの端部区間が、冷却デバイスの冷却ジャケットによって取り囲まれる。冷却ジャケットは、少なくとも1つの冷却流体入口、及び冷却流体出口を備え、また、冷却流体、例えば水が、それを通って流れ得る。冷却水出口温度は、60℃を超えると燃料に含まれ得る何らかのプラスチックが溶融し始める可能性があるので、60℃を超えないことが好ましい。
【0018】
したがって、この点について、冷却ジャケットは、少なくとも圧縮コーンを備える搬送パイプ区間を取り囲むことが好ましい。冷却ジャケットは、搬送パイプ区間とともに1つのユニットを形成することが好ましい。
【0019】
冷却流体温度は、搬送パイプとその中に配置される燃料に作用する熱負荷の指標であり、したがって、制御目的のために容易に利用され得る。この点について、本発明のさらなる一実施例では、冷却流体入口、及び冷却流体出口が冷却ジャケットに接続され、ここで、冷却流体出口を介して冷却ジャケットから引き抜かれる冷却流体の出口温度を測定するために、温度センサが設けられ、その測定された値が制御デバイスに送られ、制御デバイスは、連続動作中に測定される冷却流体温度に応じて流量を制御するために、冷却流体循環ポンプの駆動装置と協働する。制御は、例えば、始動中及び最大循環ポンプ能力時に、測定された温度値に応じてプランジャの前進行程がより早く又はより遅くなるように、なされ得る。
【0020】
ガス反応炉の始動及び停止中、燃料がなくなるか、又は圧縮コーン内にしか燃料がない場合があり、そのため、高温のガスが反応炉から搬送システムに進入して、搬送パイプ又はバルク材容器内でバーン・バック(burn−back)を生じさせる可能性がある。これを回避するために、好ましい一実施例では、第1の搬送パイプ区間には、搬送方向に対して垂直に移動させ得る締切り弁が設けられる。
【0021】
さらなる安全対策は、搬送パイプに不活性ガス接続部を用意することである。ガス化デバイスを不活性化(inertise)させるために、始動若しくは停止、又は故障中に爆発性のガス混合物が蓄積され得ないように、不活性ガス、例えば窒素が、意図的にユニット内に送り込まれる。深刻な故障の場合には、締切り弁を閉じることによりガス化デバイスへの燃料供給をさらに分離することが、基本的に必要とされる。
【0022】
プランジャ、又はピストンのための駆動装置を形成する液圧シリンダの全体長さを短くするために、プランジャの前面は、搬送方向に伸張させることができるプランジャの部品として形成されることが好ましい。このようにして、プランジャは、必要であれば伸張させることができる。伸張は、例えば、プランジャに収容された液圧シリンダを用いて行われる。通常の動作、即ち、燃料を連続的に搬送する場合、プランジャは、非伸張状態で動作される。搬送システム内の燃料が可能な限りアダプタを越えて吐き出されなければならない排出行程中に対してのみ、伸張可能な前方部分を伸張させることにより、プランジャの長さが例えば500〜1000mmだけ伸張される。したがって、排出行程中、プランジャの誘導安定性が向上される。排出行程を開始するために、プランジャは最初に、搬送パイプ内への燃料の進入を完全に遮断するために、バルク材容器の下に達するまで、その最大作動行程を搬送方向に移動する。その後、プランジャの伸張可能な前方部分は、なおも搬送パイプ内に存在している燃料を除去するために、短い栓が残されるまで自動的に伸張される。プランジャが戻された後、不活性化を開始する又はユニットを停止させるために、締切り弁が閉じられ得る。
【0023】
燃料を連続的に搬送するために重要なことは、燃料がバルク材容器内で塊にならず、また、燃料がブリッジングしにくくすることであり、ブリッジングによって、燃料は、重力下でバルク材容器から落ちることが妨げられ、したがって搬送パイプ内への吐出しが妨げられる。吐出しは、基本的には、好ましい一実施例によるように、バルク材容器がディスチャージ・ホッパーを含む場合に促進される。この点について、燃料は、バルク材容器内でのブリッジングを防ぐために、また、プランジャによる搬送時の詰まりを防ぐために、約4から5cmの直径の粒子に粉砕されるべきである。より強力なユニットでは、粉砕される燃料は、搬送構成要素が大きくなるのに比例して相対的に大きくされ得るが、8cmの最大粒径までである。
【0024】
バルク材容器内の詰まりは、搬送方向において前方に位置し且つ搬送パイプの軸線の法線と0〜20°、好ましくは5〜15°の角度を成す壁をディスチャージ・ホッパーに設けることにより、さらに防止されることが好ましい。したがって、前述の壁は、プランジャにより壁に搬送方向に及ぼされる圧力によって燃料が集積する機会を持たないように、比較的急角度で下方に傾斜する。ガス化反応炉により近接したバルク材容器の壁の、前述の急角度での傾斜構成は、搬送経路を短縮することができるように、バルク材容器をガス化反応炉により近づけて配置することにさらに寄与する。
【0025】
さらに、搬送方向で見たときのディスチャージ・ホッパーの後壁は、搬送パイプの軸線の法線と10〜40°、好ましくは20〜35°の角度を成すことが好ましく、それによりこの壁はまた、比較的急角度で傾斜する。
【0026】
しかし、なおもバルク材容器の出口領域において詰まりが生じる場合、そうした詰まりは、好ましくは、ディスチャージ・ホッパーの吐出開口部の領域に燃料のための離散デバイスを設けることにより取り除くことができ、この離散デバイスは、好ましくは、周囲にわたって分散された複数の空気噴射開口部を備える。
【0027】
さらなる好ましい一実施例によれば、搬送パイプの軸線が下方に傾斜しており、水平に対して測定した傾斜角度が好ましくは5°から30°の角度である場合、流動媒体がガス化室から直接コーンの出口領域に進入するか又はさらに搬送パイプ内に進入することが、大幅に妨げられる。さらに、燃料は、常に意図的にガス化反応炉の流動層内へ押し進められる。
【0028】
次に、添付の図面に概略的に示された説明に役立つ実施例を利用して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明による搬送デバイスを含むガス化反応炉の断面図である。
【
図2】15°傾斜した搬送パイプを含む、本発明によるデバイスの断面図である。
【
図3】第2の交換可能な搬送パイプ区間とガス化反応炉との間の移行領域における、
図2の実施例の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、ガス化反応炉1を示し、ガス化反応炉1は、燃料を搬送するためのデバイスに接続されており、燃料を搬送するためのデバイスは、バルク材容器2と、搬送パイプ3と、搬送パイプ3内に配置された機械式搬送装置4とを備え、バルク材容器2の吐出口が、搬送パイプ3の中へ開口している。ガス化反応炉1は、具体的には、AT405937Bで説明されているもののような反応炉である。
【0031】
ガス化反応炉1は、静止層7を収容するためのガス化ゾーン6と、流動層を収容するための燃焼ゾーン(図示せず)とを含む。ガス化反応炉1及び燃焼ゾーン(図示せず)は、スルース状装置8を介して下部領域で相互接続されており、ガス化ゾーンは、ガス排出口(図示せず)と、特に蒸気又はCO
2を噴射するためのノズル底部9とを備える。
【0032】
機械式搬送デバイス4は、搬送パイプ3の第1の円筒状区間19において移動可能に誘導される液圧駆動プランジャ10を備える。プランジャ10は、図に番号10で示された後退位置と、番号10’で示された前進位置との間で、前後に移動させることが可能である。さらに、搬送パイプ3の第2の軸線方向区間20は、圧縮コーン11を形成するために、燃料の搬送方向に連続的に減少する内部断面を備える。圧縮コーン11を含む搬送パイプ区間5は、交換可能であり、また、継手13を介して、ガス化反応炉1の送り込み開口部12に接続される。
【0033】
交換可能な搬送パイプ区間5は、冷却デバイスの冷却ジャケット15によって取り囲まれており、フランジ接続部によりアダプタ14に接続される。冷却ジャケット15は、冷却流体入口16及び冷却流体出口17を備える。冷却流体出口17は、熱交換器26に接続され、この熱交換器26において、冷却ジャケットを通過することによって熱せられた冷却流体が冷却され、それから冷却流体は、冷却流体入口16を介して再度冷却デバイスに供給される。
【0034】
搬送パイプ区間5を交換できるようにするためには、第1に、隣接する2つの搬送パイプ区間からアダプタ14のフランジ接続部が解放され、また、搬送パイプの軸線に対して垂直方向に、パイプ走行路からアダプタ14が取り外されることにより、アダプタ14が取り除かれなければならない。したがって、このように形成された間隙により、圧縮コーン11を含む搬送パイプ区間5をその位置から搬送方向とは逆方向に水平に引き出して、新しい搬送パイプ区間5と交換することが可能になる。交換することにより、異なる圧縮度の圧縮コーン11を含むパイプを使用できるようになる。
【0035】
第1の搬送パイプ区間19には、締切り弁18が設けられ、締切り弁18は、搬送装置に対して垂直方向に移動させることが可能である。ガス化反応炉1の始動又は停止時に、圧縮コーン11内にまだ燃料が存在しないか、又はそれ以上燃料が存在しない場合、変位可能な締切り弁18を作動させることにより、搬送パイプ3又はバルク材容器2内でのバーン・バックを防ぐことができる。搬送パイプはまた、必要であれば、搬送パイプの内部に不活性ガスを供給するために、不活性ガス接続部28を備える。
【0036】
バルク材容器2は、ホッパーの形状、即ち、バルク材容器2の吐出開口部21に向かって円錐形に先細りになった形状をしている。この点について、バルク材容器2の搬送方向に見たときの前壁29は、バルク材容器2の前壁29での燃料の詰まりを防止するために、搬送方向に見たときの後壁30よりも大きい傾斜角を有する。ディスチャージ・ホッパーの吐出開口部21の領域には、詳細には示されていないが離散デバイス27が配置され、この離散デバイス27は、複数の空気ノズルを含み、複数の空気ノズルは、例えば、空気が供給され、また、周囲にわたって分散されている。ユニットに燃料を供給するために、バルク材容器2の送り込み領域22にコンベヤ・ベルト23が接続される。さらに、本発明によるデバイスには、クリーニング・シュート24が設けられ、クリーニング・シュート24は、必要であれば搬送パイプ3の第1の区間19へのアクセスを可能にする。
【0037】
プランジャ10は、入れ子式部品25を収容し、入れ子式部品25は、ユニットが停止されたときに燃料を搬送パイプ3から外へ搬送するように作用する。この目的のために、最初に、プランジャが位置10’へと動かされ、次いで、プランジャ10の伸張可能部品25が伸張される。
【0038】
ユニットの始動時には、プランジャ10の前進運動は、ガス化反応炉内での温度上昇に応じて制御され得る。ガス化反応炉の加熱段階の間、加熱を一定に保つように、温度センサ31によって測定される冷却流体温度の温度上昇に従って燃料が供給される。この目的のために、冷却ジャケットの冷却流体出口温度は、継続的に監視される。始動段階における冷却流体出口温度が許容できないほどに高い場合、下流の送り込み開口部12での燃料のガス化によってもたらされるガス化ゾーンからの過剰の放射熱から圧縮コーン内部を保護するために、プランジャ10は、追加の材料をゆっくりと押し出すことができる。さらに、冷却流体ポンプ33の循環が、温度の上昇とともに強められる。また、プランジャ10の速度は、ガス化反応炉の温度上昇に応じて増加させることが可能であり、ガス化ゾーンにおいて約850℃の最終温度が達せられたときに、ユニットの構成に対応する必要量の燃料を、ガス化のために反応炉内で利用できるようになっている。温度に依存した制御のために、温度センサ31は、制御デバイス32に接続され、制御デバイス32の中で、冷却流体ポンプ33のための制御信号が生成される。制御信号をポンプ・ユニットに伝送するために、制御ライン34が設けられる。
【0039】
図2は、
図1のデバイスの修正された構成の断面を示し、それは、下方に傾斜した搬送パイプ3の軸線を含む。傾斜した搬送パイプの軸線は、水平に対して15°の角度に位置する。
【0040】
図3の詳細な例示から分かるように、搬送パイプの圧縮コーン11を含む交換可能なパイプ部分5は、継手13を介して、ガス化反応炉1の送り込み開口部12に接続される。