特許第6244372号(P6244372)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6244372シランをグラフト化したオレフィンブロックコポリマーを有する感圧接着剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244372
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】シランをグラフト化したオレフィンブロックコポリマーを有する感圧接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 153/00 20060101AFI20171127BHJP
   C09J 151/06 20060101ALI20171127BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20171127BHJP
   C09J 191/00 20060101ALI20171127BHJP
   C09J 157/02 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   C09J153/00
   C09J151/06
   C09J11/06
   C09J191/00
   C09J157/02
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-550424(P2015-550424)
(86)(22)【出願日】2013年12月9日
(65)【公表番号】特表2016-505689(P2016-505689A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】US2013073812
(87)【国際公開番号】WO2014105402
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2016年12月1日
(31)【優先権主張番号】61/747,526
(32)【優先日】2012年12月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【弁理士】
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ダブリュ・マクレナガン
【審査官】 磯貝 香苗
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−60745(JP,A)
【文献】 特表2009−500513(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0070053(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感圧接着剤組成物であって、
オレフィンブロックコポリマーと、
シランをグラフト化したオレフィンブロックコポリマーと、
粘着付与剤と、
油と、を備え、
前記組成物が、60分を超えるせん断接着力を有する、感圧接着剤組成物。
【請求項2】
25重量%から35重量%の前記オレフィンブロックコポリマー、
1重量%から5重量%の前記シランをグラフト化したオレフィンブロックコポリマー、
55重量%から65重量%の前記粘着付与剤、
5重量%から15重量%の前記油、および
0.1重量%から0.5重量%の抗酸化物質を備える、請求項1に記載の感圧接着剤組成物。
【請求項3】
前記オレフィンブロックコポリマーと、前記シランをグラフト化したオレフィンブロックコポリマーの基本ポリマーとが、同じである、請求項1〜2のいずれかに記載の感圧接着剤組成物。
【請求項4】
前記粘着付与剤が、C水素化粘着付与剤である、請求項1〜3のいずれかに記載の感圧接着剤組成物。
【請求項5】
前記組成物が、4.0N/25mmを超えるループタックを有する、請求項1〜4のいずれかに記載の感圧接着剤組成物。
【請求項6】
前記組成物が、70分から90分のせん断接着力を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の感圧接着剤組成物。
【請求項7】
前記組成物が、25N/25mmを超える剥離強度(鋼)を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の感圧接着剤組成物。
【請求項8】
前記組成物が、2.0N/25mmを超える剥離強度(ポリエチレン)を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の感圧接着剤組成物。
【請求項9】
前記組成物が、4.0N/25mmを超えるループタックおよび80分を超えるせん断接着力を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の感圧接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、感圧接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤は、固体材(例えば、接着物または基板)を表面接着によって保持することが可能な物質である。感圧接着剤(PSA)は、一般に、接着性を接着物にもたらすように所要圧力が加えられると接着物に接合する接着性原料である。PSAは、長持ちすることができ、または取り外すことができる。取り外し可能なPSAは、再度位置決め可能な用途、例えばPOST−ITノートなどにおいて、広く使用されている。PSAはまた、床へのフローリングタイルやカーペットの接合、包装、ポスター、様々な基板の上へのラベル付け、道路標識などを容易にするために利用される。
【0003】
感圧接着剤は、一般に、ポリマー、粘着付与剤および油に基づく。いくつかの一般的なPSAは、ポリマー、例えば、天然ゴム、合成ゴム(例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)およびSIS)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、およびポリアルファオレフィンなどに基づく。PSAは、溶媒をベースとした、水をベースとした、または熱溶融性システムであり得る。
【0004】
感圧接着剤組成物の開発における研究努力にも関わらず、例えば、せん断接着力、ループタック、および剥離強度などの特性の改善されたバランスを備える感圧接着剤組成物の必要性が依然としてある。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、感圧接着剤組成物に関する。ある実施形態において、感圧接着剤組成物は、オレフィンブロックコポリマー、シランをグラフト化したオレフィンブロックコポリマー、粘着付与剤、および油を含む。感圧接着剤組成物は、60分を超えるせん断接着力を有する。
【0006】
ある実施形態において、感圧接着剤組成物はまた、4.0N/25mmを超えるループタックを有する。
【0007】
本開示の利点は、改善されたせん断接着力(60分を超えるせん断接着力)を備えると同時に4.0N/25mmを超えるループタックを保持する感圧接着剤組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、感圧接着剤(PSA)組成物を提供する。ある実施形態において、PSA組成物は、オレフィンブロックコポリマー、シランをグラフト化したオレフィンブロックコポリマー、粘着付与剤、および油を含む。PSA組成物は、60.0分を超えるせん断接着力を有する。
【0009】
1.オレフィンブロックコポリマー
本PSA組成物は、オレフィンブロックコポリマーを含む。用語「オレフィンブロックコポリマー」または「OBC」は、エチレン/α−オレフィン多重ブロックコポリマーを意味しており、化学もしくは物理的特性が異なる2以上の重合モノマー単位の複数ブロックまたはセグメントによって特徴付けられる重合形態にあるエチレンと1以上の共重合可能なα−オレフィンコモノマーとを含む。用語「共重合体(interpolymer)」と「コポリマー」は、本明細書において交換可能に使用される。コポリマーにおける「エチレン」または「コモノマー」の量に言及するとき、これは、それの重合した単位を意味することが理解される。いくつかの実施形態において、多重ブロックコポリマーは、以下の式によって表わされ得る。
(AB)
【0010】
ここで、nは、少なくとも1、好ましくは1を超える整数、例えば2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、もしくはそれ以上などであり、「A」は、ハードブロックまたはセグメントを表わし、「B」は、ソフトブロックまたはセグメントを表わす。好ましくは、AとBは、実質的に分岐した型または実質的に星状の型とは対照的に、実質的に直線の型で結合される。他の実施形態において、AブロックおよびBブロックは、ポリマー鎖に沿って不規則に分布される。換言すれば、ブロックコポリマーは、通常、以下のような構造を有さない。
AAA−AA−BBB−BB
【0011】
更に他の実施形態において、ブロックコポリマーは、通常、異なる(複数の)コモノマーを備える第3の種類のブロックを有さない。更に他の実施形態において、ブロックAとブロックBのそれぞれは、ブロック内に実質的に不規則に分布したモノマーまたはコモノマーを有する。換言すれば、ブロックAとブロックBのいずれも、ブロックの残りとは実質的に異なる組成物を有する、例えば先端(tip)セグメントなどのような別個の組成物の2以上のサブセグメント(またはサブブロック)を備えない。
【0012】
好ましくは、エチレンは、ブロックコポリマー全体の大部分のモル分率を備え、すなわち、エチレンは、ポリマー全体の少なくとも50モルパーセントを備える。より好ましくは、エチレンは、少なくとも60モルパーセント、少なくとも70モルパーセント、または少なくとも80モルパーセントを備え、ポリマー全体の実質的な残りが、好ましくは3以上の炭素原子を有するα−オレフィンである少なくとも1つの他のコモノマーを備える。いくつかの実施形態において、オレフィンブロックコポリマーは、50mol%から90mol%、好ましくは60mol%から85mol%、より好ましくは65mol%から80mol%のエチレンを備え得る。多くのエチレン/オクテンブロックコポリマーの場合、好適な組成物は、ポリマー全体のうちの80モルパーセントを超えるエチレン含有量と、ポリマー全体のうちの10から15、好ましくは15から20モルパーセントのオクテン含有量と、を備える。
【0013】
オレフィンブロックコポリマーは、「ハード」および「ソフト」セグメントの様々な量を含む。「ハード」セグメントは、重合単位のブロックであって、それにおいて、エチレンが、ポリマーの重量に基づいて95重量パーセントを超える、または98重量パーセントを超える量で、100重量パーセントまでの量で存在する、重合単位のブロックである。換言すれば、ハードセグメントにおけるコモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)が、ポリマーの重量に基づいて5重量パーセントより少ない、または2重量パーセントより少なく、また、できる限りゼロまで低くすることができる。いくつかの実施形態において、ハードセグメントは、全てまたは実質的に全てエチレンに由来する単位を含む。「ソフト」セグメントは、重合単位のブロックであって、それにおいて、コモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)が、ポリマーの重量に基づいて5重量パーセントを超える、または8重量パーセントを超える、10重量パーセントを超える、または15重量パーセントを超える、重合単位のブロックである。いくつかの実施形態において、ソフトセグメントにおけるコモノマー含有量は、20重量パーセントを超え得、25重量パーセントを超え得、30重量パーセントを超え得、35重量パーセントを超え得、40重量パーセントを超え得、45重量パーセントを超え得、50重量パーセントを超え得、または60重量パーセントを超え得、また、100重量パーセントまでとすることができる。
【0014】
ソフトセグメントは、OBCの総重量の1重量パーセントから99重量パーセント、またはOBCの総重量の5重量パーセントから95重量パーセント、10重量パーセントから90重量パーセント、15重量パーセントから85重量パーセント、20重量パーセントから80重量パーセント、25重量パーセントから75重量パーセント、30重量パーセントから70重量パーセント、35重量パーセントから65重量パーセント、40重量パーセントから60重量パーセント、または45重量パーセントから55重量パーセントOBC内に存在し得る。逆に、ハードセグメントは、類似の範囲内に存在し得る。ソフトセグメントの重量パーセンテージとハードセグメントの重量パーセンテージは、DSCまたはNMRから取得したデータに基づいて計算され得る。そのような方法や計算は、例えば、Colin L.P.Shan、Lonnie Hazlittらの名において、2006年3月15日に出願され、「Ethylene/α−Olefin Block Inter−polymers」と題され、Dow Global Technologies Inc.に譲渡された米国特許第7,608,668号に開示され、その米国特許の開示は、その全体が本明細書に参照によって組み込まれる。特に、ハードおよびソフトセグメントの重量パーセンテージとコモノマーの含有量は、米国特許第7,608,668号の第57欄から第63欄に記載されるように決定され得る。
【0015】
オレフィンブロックコポリマーは、好ましくは直線的に結合された2以上の化学的に別個の(「ブロック」と呼ばれる)領域またはセグメントを備えるポリマー、すなわち、ペンダント型またはグラフト型ではなくて、重合したエチレン官能性に関して終端から終端に結合される化学的に区別された単位を備えるポリマーである。ある実施形態において、ブロックは、組み込まれるコモノマーの量もしくは種類、密度、結晶化度の量、そのような組成物のポリマーに起因する結晶子サイズ、立体規則性(イソタクチックまたはシンジオタクチック)の種類もしくは度合い、部分規則性もしくは部分不規則性、(長鎖分岐またはハイパー分岐を含む)分岐の量、均一性もしくは任意の他の化学または物理的特性が異なる。連続的なモノマーの追加、流動性触媒、またはアニオン重合技法によって生産された共重合体を含む、先行技術のブロック共重合体と比べて、本OBCは、ある実施形態において、それらの調製において使用される複数の触媒と組み合わせて(複数の)シャトリング剤の効果に起因する、ポリマー多分散性(PDIまたはMw/MnもしくはMWD)の両方の固有分布、ブロック長分布、および/あるいはブロック数分布によって特徴付けられる。
【0016】
ある実施形態において、OBCは、連続処理で生産され、1.7から3.5、または1.8から3、または1.8から2.5、または1.8から2.2の多分散指数PDIを保有する。一括または半一括処理で生産されるとき、OBCは、1.0から3.5、または1.3から3、または1.4から2.5、または1.4から2のPDIを保有する。
【0017】
加えて、オレフィンブロックコポリマーは、ポアソン分布ではなくて、シュルツ・フローリ分布に適合するPDIを保有する。本OBCは、多分散性ブロック分布ならびにブロックサイズの多分散性分布の両方を有する。これは、改善されたおよび区別可能な物理的特性を有するポリマー製品の形成を結果としてもたらす。多分散性ブロック分布の理論的利点は、Potemkin、Physical Review E(1998)57(6)、pp.6902−6912と、Dobrynin、J.Chem.Phvs.(1997)107(21)、pp9234−9238において以前にモデル化され記述されている。
【0018】
ある実施形態において、本オレフィンブロックコポリマーは、ブロック長の最確分布を保有する。ある実施形態において、オレフィンブロックコポリマーは、以下を有するように定義される。
【0019】
(A)1.7から3.5のMw/Mn、セ氏温度における少なくとも1つの融点Tm、およびグラム/立方センチメートルにおける密度d、ここで、Tmとdの数値は、関係
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)
に対応しており、
ここで、dは、0.850g/cc、または0.860g/cc、または0.866g/cc、または0.87g/cc、または0.880g/ccから0.89g/cc、0.91g/cc、または0.925g/ccまでであり、
Tmは、113℃、または115℃、または117℃、または118℃から120℃、または121℃、または125℃までであり、ならびに/あるいは
【0020】
(B)1.7から3.5のMw/Mnであって、J/g単位の融解熱ΔH、および最も高いDSCピークと最も高い結晶化分析分別(「CRYSTAF」)ピークとの間の温度差として定義されるセ氏温度での差分量ΔTによって特徴付けられる、Mw/Mn、ここで、ΔTとΔHの数値は、以下の関係を有する。
ゼロを超えるかつ130J/gまでのΔH場合、ΔT>−0.1299ΔH+62.81
130J/gを超えるΔHの場合、ΔT≧48℃
【0021】
CRYSTAFピークは、少なくとも5パーセントの累積(cumulative)ポリマーを使用して決定され、5パーセントより少ないポリマーが、特定できるCRYSTAFピークを有する場合には、CRYSTAF温度は30℃であり、ならびに/あるいは
【0022】
(C)300パーセントのひずみにおけるパーセント単位の弾性回復Reであって、1周期がエチレン/α−オレフィン共重合体の圧縮成形膜で測定される、弾性回復Re、およびグラム/立方センチメートル単位の密度dを有しており、Reとdの数値は、エチレン/α−オレフィン共重合体が実質的に架橋相の無いときに、以下の関係
Re>1481−1629(d)を満たし、ならびに/あるいは
【0023】
(D)は、TREFを使用して分別されるときに40℃〜130℃で溶離する分子分別部を有しており、分別部が、分量(−0.2013)T+20.07を超えるかそれに等しい、より好ましくは、分量(−0.2013)T+21.07を超えるかそれに等しいモルのコモノマー含有量を有することを特徴とし、ここで、Tは、℃で測定される、TREF分別のピーク溶離温度の数値であり、ならびに/あるいは、
【0024】
(E)は、25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、および100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)を有しており、G’(100℃)に対するG’(25℃)の比率は、1:1から9:1までの範囲にある。
【0025】
オレフィンブロックコポリマーはまた、以下を有し得る。
【0026】
(F)TREFを使用して分別されるときに40℃〜130℃で溶離する分子分別部であって、分別部が、少なくとも0.5かつ1までのブロック指数と、1.3を超える分子量分布Mw/Mnと、を有することを特徴とし、ならびに/あるいは
【0027】
(G)ゼロを超えるかつ1.0までの平均ブロック指数と、1.3を超える分子量分布Mw/Mn。オレフィンブロックコポリマーは、特性(A)〜(G)のうちの1つ、いくつか、全て、または任意の組み合わせを有し得ることが理解される。ブロック指数は、その目的のために参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,608,668号に詳細に記載されるように決定され得る。特性(A)から(G)までを決定するための分析方法は、例えば、米国特許第7,608,668号、第31欄、26行目から第35欄、44行目に開示され、その米国特許は、その目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【0028】
本OBCを調製する際の使用に適切なモノマーは、エチレンと、エチレン以外の1以上の追加の重合可能なモノマーを含む。適切なコモノマーの例は、3から30まで、好ましくは3から20までの炭素原子の直鎖または分岐α−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンなど、3から30、好ましくは3から20の炭素原子のシクロ−オレフィン、例えばシクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、および2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンなど、ジ−およびポリオレフィン、例えばブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、および5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、および3−フェニルプロペン、4−フェニルプロペン、1,2−ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、および3,3,3−トリフルオロ−1−プロペンなどを含む。
【0029】
オレフィンブロックコポリマーは、0.850g/ccから0.925g/cc、または0.860g/ccから0.88g/cc、または0.860g/ccから0.879g/ccの密度を有する。OBCは、40から70、好ましくは45から65、より好ましくは50から65のショアA値を有する。ある実施形態において、オレフィンブロックコポリマーは、ASTM D1238(190℃/2.16kg)によって測定される際、0.1g/10分から30g/10、または0.1g/10分から20g/10分、または0.1g/10分から15g/10分のメルトインデックス(MI)を有する。組成物は、2以上のオレフィンブロックコポリマーを備え得る。
【0030】
オレフィンブロックコポリマーは、例えば米国特許第7,858,706号などに記載されたチェーンシャトリング(chain shuttling)プロセスによって生産され得、その米国特許は、参照によって本明細書に組み込まれる。特に、適切なチェーンシャトリング剤および関連情報は、第16欄、39行目から第19欄、44行目までに列挙される。適切な触媒は、第19欄、45行目から第46欄、19行目までに記載されており、適切な共触媒は、第46欄、20行目から第51欄、28行目までに記載されている。プロセスは、文書全体を通して記載されるが、特に、第51欄、29行目から第54欄、56行目までに記載される。プロセスはまた、例えば、以下、すなわち、米国特許第7,608,668号、米国特許第7,893,166号、および米国特許第7,947,793号に記載される。
【0031】
ある実施形態において、オレフィンブロックコポリマーは、0.86g/ccから0.88g/ccの密度、118℃から120℃のTm、0.5g/10分から5.0g/10分のメルトインデックス、および1.7から3.5のMw/Mnを有するエチレン/オクテン多重ブロックコポリマーである。
【0032】
2.シランをグラフト化したオレフィンブロックコポリマー
本PSA組成物は、シランをグラフト化したオレフィンブロックコポリマーを含む。「シランをグラフト化したオレフィンブロックコポリマー」は、本明細書において使用される際、少なくとも1つのシラン化合物でグラフト化される上記したようなオレフィンブロックコポリマーである。
【0033】
ある実施形態において、シランをグラフト化したオレフィンブロックコポリマーは、約1から7、または1.5から6、または2から5の分子量分布を有する。約1から7の全ての個々の値と部分範囲が、本明細書に含まれるとともに本明細書に開示される。
【0034】
ある実施形態において、シランをグラフト化したオレフィンブロックコポリマーは、0.855g/ccから0.955g/cc、または0.86g/ccから0.90g/cc、または0.865g/ccから0.895g/ccの密度を有する。0.84g/ccから0.955g/ccの全ての個々の値と部分範囲が、本明細書に含まれるとともに本明細書に開示される。
【0035】
ある実施形態において、グラフト反応において使用されるシランの量は、0.05パーセント(オレフィン共重合体の量に基づく「phr(parts per hundred)」)、または0.5phrから6phr、または0.5phrから4phrより大きいかそれに等しい。0.05phrから6phrの全ての個々の値と部分範囲が、本明細書に含まれるとともに本明細書に開示される。
【0036】
ある実施形態において、グラフト反応に使用される開始剤の量の分量は、100グラムのオレフィン共重合体につき4ミリモルラジカルより少ないかそれに等しい、または100グラムのオレフィン共重合体につき2ミリモルラジカルより少ないかそれに等しい、または100グラムのオレフィン共重合体につき1ミリモルラジカルより少ないかそれに等しい。100グラムのオレフィン共重合体につき0.01ミリモルから4ミリモルラジカルの全ての個々の値と部分範囲が、本明細書に含まれるとともに本明細書に開示される。
【0037】
ある実施形態において、ポリオレフィン鎖上にグラフト化されるシラン成分の量は、FTIR分析、または他の適切な方法によって定義される際、(オレフィンブロックコポリマーの重量に基づいて)0.05重量パーセントより大きいかそれに等しい。更なる実施形態において、この量は、0.5重量パーセントより大きいかそれに等しく、なお更なる実施形態において、この量は、1.2重量パーセントより大きいかそれに等しい。ある実施形態において、オレフィン共重合体上にグラフト化されるシラン成分の量は、0.5重量パーセントから5.0重量パーセントである。0.05重量パーセントを超えるものから5.0重量パーセントまでの全ての個々の値と部分範囲が、この発明の範囲内で考慮されるとともに本明細書に開示される。
【0038】
適切なシランは、限定されるものではないが、一般式(I)のものを含む。
CH=CR――(COO)(CnH2nSiR(I)
【0039】
この式において、Rは、水素原子またはメチル基であり、xおよびyは、xが1であるときにyが1であるという条件で、0または1であり、nは、1から12を含む、または1から4までの整数であり、各R’は、独立した有機基であり、限定されるものではないが、1から12の炭素原子(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ)を有するアルコキシ基、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ)、アラルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ)、脂肪族または芳香族シロキシ基、芳香族アシルオキシル基、1から12の炭素原子を有する脂肪族アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロパノイルオキシ)、アミノまたは置換アミノ基(アルキルアミノ、アリールアミノ)、あるいは1から6の炭素原子を有する低級アルキル基を含む。
【0040】
ある実施形態において、シラン化合物は、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリアシルオキシシランまたはビニルトリクロロシランから選択される。加えて、オレフィンブロックコポリマーに効果的にグラフト化する、および/または架橋する任意のシランあるいはシランの混合物が、この発明の実施に際して使用され得る。適切なシランは、エチレン性不飽和ヒドロカルビル基、例えばビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセニルまたはγ−(メタ)アクリルオキシアリル基と、加水分解性基、例えば、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルボニルオキシ、またはヒドロカルビルアミノ基、あるいはハロゲン化物などの両方を備える不飽和シランを含む。加水分解性基の例は、メトキシ、エトキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロプリオニル(proprionyl)オキシ、クロロ、およびアルキルまたはアリールアミノ基を含む。好適なシランは、ポリマーの上にグラフト化され得る不飽和アルコキシシランである。これらのシランおよびそれらの調製方法は、Meverdenらに対する米国特許第5,266,627号により十分に記載されており、その米国特許は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0041】
ある実施形態において、シランは、ビニルトリメトキシシラン(VTMS)、ビニルトリエトキシシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、およびそれらの混合物を含む。
【0042】
シランは、任意の従来の方法によって、典型的には、フリーラジカル開始剤、例えば過酸化物およびアゾ化合物等の存在において、または電離放射線によって、ポリマーにグラフト化され得る。有機開始剤、例えば、過酸化物開始剤、例えば、過酸化ジクミル、ジ−tert−ブチル過酸化物、t−ブチルペルベンゾアート、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオクトエート、過酸化メチルエチルケトン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、過酸化ラウリル、およびtert−ブチルペルアセテートのうちのいずれか1つなどが、好適である。適切なアゾ化合物は2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)である。
【0043】
利用される開始剤およびシランの量は、シランをグラフト化されるポリマーの最終構造、例えば、グラフト化されるポリマーにおけるグラフト化の度合いおよび硬化したポリマーにおける架橋の度合いなどに影響を及ぼすことになる。結果として生じる構造は、次いで、最終製品の物理的および機械的特性に影響を及ぼすことになる。典型的には、利用される開始剤とシランの量は、所望されたレベルの架橋と、ポリマーにおいて結果として生じる特性と、を提供するために決定されるものを超えない。
【0044】
グラフト反応は、ポリマー主鎖の上へのグラフトを最大限にするとともに副反応を最小限にする条件、例えば、ポリマーに対してグラフト化されない、グラフト化剤の単独重合などの下で行われるべきである。いくつかのシラン剤は、分子構造における立体特徴、低い反応度および/または他の理由に起因して、最小限の単独重合を受けるか単独重合を受けない。
【0045】
シラン化されたグラフトの硬化(架橋)は、架橋触媒を用いて促進され、特定のグラフト化されるシランの架橋を効果的に促進することになる任意の触媒が、使用され得る。これらの触媒は、一般的には、酸や塩基と、有機チタン酸塩、有機ジルコン酸塩、ならびに鉛、コバルト、鉄、ニッケル、亜鉛およびスズの錯体もしくはカルボン酸塩を含む有機金属化合物とを含む。
【0046】
ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズマレイン酸、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、第一スズアセテート、第一スズオクトアート、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、および同様のものが、使用され得る。触媒の量は、問題となっている特定のシステムに依存することになる。
【0047】
一定の実施形態において、放射線、熱、加湿および架橋ステップの組み合わせを使用する二重架橋システムが、効果的に利用され得る。例えば、シラン架橋剤と併用して過酸化物架橋剤、放射線と併用して過酸化物架橋剤、またはシラン架橋剤と併用して硫黄含有架橋剤を利用することが望ましいであろう。二重架橋システムは、米国特許第5,911,940号および第6,124,370号に開示されるとともに特許請求されており、その両方の内容全体が、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0048】
ある実施形態において、シランをグラフト化したオレフィンブロックコポリマーは、110°F(43℃)を超えるか110°F(43℃)に等しい剥離接着力破壊温度(PAFT)、または140°F(60℃)を超えるか140°F(60℃)に等しいせん断接着力破壊温度(SAFT)、あるいはその両方を有しており、PAFTとSAFTは、以下のように測定される。
【0049】
せん断接着力破壊温度(SAFT)
各サンプルのせん断接着力破壊温度(SAFT)は、せん断モードにおいて500グラム重でASTM D4498に従って測定する。試験は、室温(25℃/77°F)で開始し、オーブン温度は、0.5℃/分の平均速度で増加させた。試料が破損した温度を記録した。この測定は、輸送に重要である組成物の耐熱性の指標として使用される。
【0050】
剥離接着力破壊温度(PAFT)
剥離接着力破壊温度(PAFT)は、剥離モードにおいて100グラム重でASTM D4498に従って試験した。試験は、室温(25℃/77°F)で開始し、温度は、0.5℃分の平均速度で増加させる。
【0051】
ある実施形態において、シランをグラフト化したオレフィンブロックコポリマーは、約1から約3.5の分子量分布(Mw/Mn)および/または5,000から25,000の数平均分子量を有する。
【0052】
ある実施形態において、シランをグラフト化したオレフィンブロックコポリマーは、0.1重量%、または0.5重量%、または1.0重量%、または1.5重量%、または2.0重量%、または2.5重量%から3.0重量%、または3.5重量%、または4.0重量%、または4.5重量%、または5.0重量%までのグラフト化したビニルトリアルコキシシランを有するビニルトリアルコキシシランを含む。重量パーセントは、ビニルトリアルコキシシランをグラフト化したオレフィンブロックコポリマーの総重量に基づく。
【0053】
ある実施形態において、シランをグラフト化したオレフィンブロックコポリマーは、0.1重量%、または0.5重量%、または1.0重量%、または1.5重量%、または2.0重量%、または2.5重量%から3.0重量%、または3.5重量%、または4.0重量%、または4.5重量%、または5.0重量%までのグラフト化したVTMSを有するVTMSをグラフト化したオレフィンブロックコポリマーである。重量パーセントは、VTMSをグラフト化したオレフィンブロックコポリマーの総重量に基づく。
【0054】
3.粘着付与剤
本PSA組成物は、粘着付与剤を含む。粘着付与剤は、組成物の特性、例えば粘弾性特性(例えば、タンデルタ)、レオロジー特性(例えば、粘度)、粘着性(例えば、貼る能力)、感圧性、および湿潤特性などを変え得る。いくつかの実施形態において、粘着付与剤は、組成物の粘着性を改善するために使用される。他の実施形態において、粘着付与剤は、組成物の粘度を低減するために使用される。更なる実施形態において、粘着付与剤は、組成物を感圧接着剤にするために使用される。特定の実施形態において、粘着付与剤は、接着性表面を含浸(wet out)させるためにおよび/または接着性表面に対する接着力を改善するために使用される。
【0055】
粘着付与剤は、非水素化脂肪族C(5つの炭素原子)樹脂、水素化脂肪族C樹脂、芳香族グラフト化C樹脂、テルペン樹脂、水素化C樹脂、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0056】
ある実施形態において、粘着付与剤は、水素化C樹脂である。粘着付与剤は、60℃、または80℃、または85℃から、90℃まで、100℃まで、または110℃、または120℃、または130℃までの(ASTM E28に従って測定した)環球式軟化温度を有する。粘着付与剤は、500ミリパスカル−秒(mPa−s)、または600mPa−s、または700mPa−s、または800mPa−sから900mPa−s、または1000mPa−sまでの(ASTM D3236に従って測定した)150℃における溶融粘度を有する。
【0057】
ある実施形態において、粘着付与剤は、水素化C樹脂であり、85℃から95℃までの軟化温度と、700mPa−sから900mPa−sまでの150℃における溶融粘度と、を有する。
【0058】
適切な粘着付与剤の非限定例は、Arakawa Chemical Industries,Ltdから利用可能な商品名ARKONの下で販売された粘着付与剤を含む。
【0059】
4.油
本PSA組成物は油を含む。油は、粘度を低減し得および/または粘着特性を改善し得る。適切な油の非限定例は、鉱油、例えば、ナフテン、パラフィン系、または水素化(白色)油(例えば、Kaydol油)など、植物油や動物油およびそれらの派生物、石油由来の油、ならびにそれらの組み合わせを含む。ある実施形態において、油は、40℃において10センチストーク(cst)から1000cstの粘度を有する。
【0060】
適切な油の非限定例は、Shell Oil Companyから利用可能な商品名CATENEXの下で販売された油を含む。
【0061】
5.抗酸化物質
本感圧接着剤組成物は、抗酸化物質を任意選択的に含む。適切な抗酸化物質の非限定例は、アミンをベースとした抗酸化物質、例えばアルキルジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルまたはアラルキル置換フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化されたp−フェニレンジアミン、テトラメチル−ジアミノジフェニルアミンおよび同様のものなど、ならびにヒンダートフェノール化合物、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなど、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロケイヒ酸)]メタン(例えば、Ciba Geigy、NewYorkからのIRGANOX1010)、オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシケイヒ酸(例えば、Ciba Geigyから商業的に利用可能なIRGANOX1076)、テトラキスメチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロケイヒ酸)メタン(例えば、Chemtura Corporationから商業的に利用可能なANOX20)、ならびにそれらの組み合わせを含む。使用される場合、組成物内の抗酸化物質の量は、組成物の総重量の約0を超えるものから約1重量%、約0.05から約0.75重量%、または約0.1から約0.5重量%であり得る。
【0062】
ある実施形態において、PSA組成物は、180℃において1000mPa−sから60,000mPa−sの溶融粘度を有する。
【0063】
ある実施形態において、PSA組成物は、
25重量%から35重量%のオレフィンブロックコポリマー、
1重量%から5重量%のシランをグラフト化したオレフィンブロックコポリマー、
55重量%から65重量%の粘着付与剤、
5重量%から15重量%の油、および
0.1重量%から0.5重量%の抗酸化物質を含む。
【0064】
ある実施形態において、PSA組成物のオレフィンブロックコポリマーは、グラフト化の前に、シランをグラフト化したオレフィンブロックコポリマーの基本オレフィンブロックコポリマーと同じである。
【0065】
ある実施形態において、PSA組成物が、4.0N/25mmを超えるループタックを有する。更なる実施形態において、PSA組成物が、4.0N/25mmを超えるものから5.0N/25mm、または6.0N/25mmまでのループタックを有する。
【0066】
ある実施形態において、PSA組成物は、60分を超えるせん断接着力を有する。更なる実施形態において、PSA組成物が、60分を超えるもの、または70分、または80分から、85分、または90分、または95分までのせん断接着力を有する。
【0067】
ある実施形態において、PSA組成物が、25.0N/25mmを超える剥離強度(鋼)を有する。更なる実施形態において、PSA組成物が、26.0N/25mm、または27.00N/25mm、または28.00N/25mmから29.00N/25mm、または30.00N/25mm、または31.0N/25mm、または32.0N/25mmまでの剥離強度(鋼)を有する。
【0068】
ある実施形態において、PSA組成物は、2.0N/25mmを超える剥離強度(ポリエチレン、またはPE)を有する。更なる実施形態において、PSA組成物が、2.10N/25mm、または2.20N/25mmから2.60N/25mm、または2.70N/25mm、または3.0N/25mmまでの剥離強度(ポリエチレン)を有する。
【0069】
ある実施形態において、PSA組成物が、4.0N/25mmを超えるものから5.0N/25mmまでのループタックと、80.0分を超えるものから90.0分までのせん断接着力を有する。
定義
【0070】
反対の記述がない限り、文脈から暗示的な、または当分野において慣習となっている、全ての部分および百分率は、重量に基づき、全ての試験方法が、この開示の出願日の時点において現在知られている。
【0071】
用語「組成物」は、本明細書において使用される際、組成物、ならびに組成物の原料から形成される反応生成物や分解生成物を備える原料の混合物のことを言う。
【0072】
用語「備える」、「含む」、「有する」およびそれらの派生語は、同じものが具体的に開示されるか否かに関わらず、任意の追加の構成要素、ステップまたは手順の存在を排除することが意図されない。疑いを避けるために、用語「備える」の使用を通して請求された全ての組成物は、反対の記述がない限り、ポリマーかそうではないものに関わらず、任意の追加の添加物、補助剤、または化合物を含み得る。対照的に、用語「から本質的に成る」は、動作可能性に本質的ではないものを除いて、任意の続いて起こる列挙の範囲から任意の他の構成要素、ステップまたは手順を除外する。用語「から成る」は、具体的に詳細に描写されないか列挙されない任意の構成要素、ステップまたは手順を排除する。
【0073】
用語「ポリマー」は、本明細書において使用される際、同じまたは異なる種類に関わらず、重合モノマーによって調製されるポリマー化合物のことを言う。一般的用語のポリマーは、それ故、(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解で、1種類のモノマーだけから調製されるポリマーのことを言うために利用される)用語ホモポリマーと、本明細書に後で定義されるような用語共重合体と、を包含する。
【0074】
用語「共重合体」は、本明細書において使用される際、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーのことを言う。一般的用語の共重合体は、それ故、(2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーのことを言うために利用される)コポリマーと、2以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマーと、を含む。
【0075】
試験方法
メルトインデックス
メルトインデックス(I2)は、ASTM D−1238(190℃、2.16kg)に従って測定される。結果は、グラム/10分で報告される。メルトフローレート(MFR)は、ASTM D−1238(230℃、2.16kg)に従って測定される。結果は、グラム/10分で報告される。
【0076】
密度
密度は、ASTM D792に従って測定される。結果は、立方センチメートル(cc)あたりのグラム(g)、またはg/ccで報告される。
【0077】
溶融粘度
溶融粘度は、ASTM D3236に従って測定される。結果は、ミリパスカル−秒、またはmPa−sで報告される。溶融粘度は、ASTM D3236によって決定され、それは、可処分アルミニウムサンプルチャンバを備えるBrookfield Laboratories DVII+ Viscometer(粘度計)を使用して、参照によって本明細書に組み込まれる。一般に、30から100,000センチポアズ(cP)までの範囲にある粘度を測定するのに適した、SC−31スピンドルが使用される。粘度がこの範囲の外側にある場合、ポリマーの粘度に適した代替のスピンドルが、使用されるべきである。切刃は、幅1インチ、長さ5インチのサンプルチャンバに適合するように、サンプルを断片に十分小さく切断するために利用される。可処分チューブは、8〜9グラムのポリマーで満たされる。サンプルは、チャンバ内に置かれ、チャンバは、次いで、Brookfield Thermoselに挿入され、ベントニードルノーズプライヤで所定位置に固定される。サンプルチャンバは、Brookfield Thermoselの底部に適合する底部上のノッチ部を有しており、チャンバが、スピンドルが挿入され回転するときに回ることができないことを確実にする。サンプルは、所望温度(177℃/350°F)まで加熱される。粘度計装置は降下され、スピンドルは、サンプルチャンバの中に沈めた。降下は、粘度計上のブラケットがThermosel上に整列するまで続けられる。粘度計は、オンにされて、40から70パーセントの範囲におけるトルクの読み取りを導くせん断率に設定される。読み取りは、約15分間、あるいは値が安定するまで、毎分行われ、次いで、最終的な読み取り値が記録される。結果は、ミリパスカル−秒、またはmPa−sで報告される。
【0078】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
従来のGPC測定は、ポリマーの重量平均(Mw)および数平均(Mn)分子量を決定するために、ならびにMWD(=Mw/Mn)を決定するために、使用される。「サンプルは、高温GPC機器(Polymer Laboratories,Inc.モデルPL220)を用いて分析される。
【0079】
方法は、流体力学的体積の概念に基づいて、周知のユニバーサルキャリブレーション法を利用しており、キャリブレーションは、140℃のシステム温度で動作する4つのMixed A20μmカラム(Agilent(以前はPolymer Laboratory Inc.)からのPLgel Mixed A)と共に、狭い標準ポリスチレン(PS)を使用して行われる。サンプルは、1,2,4−トリクロロベンゼン溶媒における「2mg/mL」濃度に調製される。フローレートは1.0mL/分であり、注入サイズは100マイクロリットルである。
【0080】
記述されるように、分子量の決定は、(Polymer Laboratoriesからの)狭い分子量分布の標準ポリスチレンをそれらの溶離体積と併せて使用することによって推定される。等価のポリエチレン分子量は、以下の等式を導くように、(Williams and Ward in Journal of Polymer Science,Polymer Letters,Vol.6,(621)1968によって記載されるような)ポリエチレンおよびポリスチレンに適切なマーク・ホーウィンク係数を使用することによって決定される。
Mポリエチレン=a*(Mポリスチレン)
【0081】
この等式において、(Williams and Ward,J.Polym.Sc.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載されるように)a=0.4316およびb=1.0である。ポリエチレンの等価分子量の計算は、VISCOTEK TriSECソフトウェアバージョン3.0を使用して行った。
【0082】
示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定(DSC)は、ポリマー(例えば、エチレンをベースとした(PE)ポリマー)における結晶化度を測定するために使用される。約5から8mgまでのポリマーサンプルが、量られて、DSCパン(pan)内に置かれる。蓋が、パン上に圧着されて、密閉雰囲気を確保する。サンプルパンは、DSCセル内に置かれ、次いで、約10℃/分のレートで、PEの場合、180℃(ポリプロピレンまたは「PP」の場合、230℃)の温度まで加熱される。サンプルは、3分間この温度に保たれる。次いで、サンプルは、10℃/分のレートで、PEの場合、−60℃(PPの場合、−40℃)まで冷却されて、3分間その温度に等温的に保たれる。サンプルは、次に、溶融(第2の加熱)の完了まで、10℃/分のレートで加熱される。結晶化度の百分率は、第2の熱曲線から決定される融解熱(H)をPEの場合、292J/g(PPの場合、165J/g)の理論上の融解熱で割ることによって、かつ、この分量と100を乗じることによって、計算される(例えば、結晶化度%=(H/292J/g)x100(PEの場合))。
【0083】
別段記述されない限り、各ポリマーの(複数の)融点(Tm)は、第2の熱曲線(ピークTm)から決定され、結晶化温度(Tc)は、第1の冷却曲線(ピークTc)から決定される。
【0084】
ステンレス鋼およびポリエチレンに対する180度の剥離接着力
ステンレス鋼に対する、また、ポリエチレン(PE)試験パネルに対する180度の剥離接着力が、300ミリメートル/分(mm/分)の剥離レートでPressure Sensitive Tape Council PSTC−1法に従って、試験される。
【0085】
ループタック
ループタックは、DIN EN1719に従って決定される。結果は、25ミリメートル(mm)あたりのニュートン(N)、またはN/25mmで報告される。
【0086】
せん断接着力
せん断は、接着剤組成物が基板に層状にされるときの接着剤組成物の保持力の測定値である。せん断保持時間(分単位)は、1kg重量を使用してPSTC−7に従って60℃で測定される。
【0087】
本開示のいくつかの実施形態は、次に、以下の実施例において詳細に説明されることになる。
【実施例】
【0088】
1.原料
発明の実施例および比較サンプルに使用される原料は、以下の表1に提供される。ポリマーは、典型的には、1つ以上の抗酸化物質および/または他の安定剤を用いて安定化される。
【0089】
【表1】
【0090】
2.接着製剤の調製
(i)制御PSA製剤(制御)の200gのバッチと(ii)本発明のPSA製剤(発明の組成物)の200gのバッチとは、表1からのおよび以下の表2に示される量における原料を用いて調製する。表2における量は、各製剤の総重量に基づく重量パーセント単位にある。
【0091】
【表2】
【0092】
表2における成分は、Werner and PfleidererからのSigma Blade laboratory混錬器(kneader)で混合する。充填、設定、および終了温度は、それぞれ、130℃、180℃および152℃である。ポリマーで出発して、他の成分は、均一混合物を得るために少量で追加する。60分の混合時間が後に続く20分の充填時間が使用され、均一混合物は、シリコーンコート紙の上に混錬器から注ぎ、冷却させることができる。混合は、制御PSA組成物(Control:制御)と発明のPSA組成物(発明の組成物)を生産する。
【0093】
制御および発明の組成物を調製するために使用される混合処理条件は、以下の表3に示される。
【0094】
【表3】
【0095】
3.感圧接着剤サンプルのコーティング
制御および発明の組成物のそれぞれは、以下の表4に示される処理条件の下でKBS Film Drawing Lineを使用して別個のマイラー(Mylar)シートの上にコートする。
【0096】
【表4】
【0097】
各接着剤コートについての特性、制御(Control)を用いて作成されたコートおよび発明の組成物を用いて作成されたコートは、以下の表5に示される。
【0098】
【表5】
【0099】
4.考察
出願人は、OBCをベースとしたPSA組成物への少量(1重量%から5重量%)のシランをグラフト化したオレフィンブロックコポリマーの追加は、剥離強度およびループタック性能に損害を与えずに、せん断性能を著しく改善することを発見した。制御組成物と比べると、表5における発明の組成物は、せん断接着力において約2倍の増大(44.0分に対して85.0分)を示す一方、(i)実質的に同じループタック(5.2N/25mmに対して4.5N/25mm)を保持すると同時に(ii)同じ剥離強度(34.225N/mm(鋼)に対して29.225N/mm)を保持する。せん断接着力を少なくとも2倍増大すると同時にループタックおよび剥離強度を保持する本PSA組成物の能力は、驚くべきものであり予期されないものである。
【0100】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態や例示に限定されず、以下の特許請求の範囲内に入るように実施形態の部分および異なる実施形態の要素の組み合わせを含む、それらの実施形態のグラフト化された形態を含むことが具体的に意図される。