【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
可溶性の疎水性コア担体組成物であって:
(i)直鎖高分子主鎖、
(ii)約400〜約20,000ダルトンの間の分子量を有し、上記高分子主鎖に共役結合し、吊り下がっている複数の親水性高分子保護側鎖、および
(iii)上記高分子主鎖に共役結合し吊り下がっている少なくとも1つの疎水性部分を有し、
上記親水性高分子保護側鎖と上記疎水性部分の重量比は、上記組成物が水に溶解するように選択される組成物。
(項目2)
上記親水性高分子保護側鎖と上記疎水性部分の重量比が少なくとも15:1、少なくとも17:1、少なくとも20:1、少なくとも50:1、または少なくとも100:1である、項目1に記載の組成物。
(項目3)
上記高分子主鎖の残基の少なくとも90%が親水性保護鎖または疎水性部分で誘導体化されている、項目1に記載の組成物。
(項目4)
上記保護側鎖がポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール共重合体、ポリプロピレングリコール共重合体、多糖類、またはそのアルコキシ誘導体を含有する、項目1に記載の組成物。
(項目5)
上記アルコキシ誘導体がメトキシポリエチレングリコール、メトキシポリプロピレングリコール、メトキシル化共重合体ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール、またはエトキシ化多糖体である、項目4に記載の組成物。
(項目6)
上記直鎖高分子主鎖がポリリシン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリセリン、ポリトレオニン、ポリシステイン、ポリグリセロール、天然サッカリド、アミノ化多糖類、アミノ化オリゴ糖、ポリアミドアミン、ポリアクリル酸、ポリアルコール、スルホン化多糖類、スルホン化オリゴ糖、カルボキシル化多糖類、カルボキシル化オリゴ糖、アミノカルボキシル化多糖類、アミノカルボキシル化オリゴ糖、カルボキシメチル化多糖類、およびカルボキシメチル化オリゴ糖から成るグループから選択される、項目1に記載の組成物。
(項目7)
さらに以下を含有する項目1に記載の組成物:
(iv)上記主鎖の上記疎水性部分に解離結合した負荷分子。
(項目8)
上記親水性保護側鎖がメトキシポリエチレングリコールを含む、項目7に記載の組成物。
(項目9)
上記高分子主鎖がポリリシンを含む、項目8に記載の組成物。
(項目10)
上記疎水性部分が脂肪酸を含む、項目9に記載の組成物。
(項目11)
上記負荷分子が治療薬である、項目10に記載の組成物。
(項目12)
上記治療薬が疎水性ペプチド、疎水性タンパク質、または疎水性薬物である、項目11に記載の組成物。
(項目13)
上記治療薬がGLP-1である、項目11に記載の組成物。
(項目14)
上記治療薬がGLP-2、レプチン、膵島アミロイドポリペプチドおよび血管作動性腸管ペプチドから選択される、項目11に記載の組成物。
(項目15)
上記直鎖高分子主鎖がポリリシンである、項目7に記載の組成物。
(項目16)
上記疎水性部分が、6炭素脂肪酸から36炭素脂肪酸の範囲から選択された脂肪酸を含む、項目7に記載の組成物。
(項目17)
上記疎水性部分が少なくとも1つの二重結合を持つ脂肪酸を含む、項目7に記載の組成物。
(項目18)
複数の脂肪酸を含む部分を有する、項目7に記載の組成物。
(項目19)
上記疎水性部分が芳香環を含む部分を有する、項目7に記載の組成物。
(項目20)
上記治療薬が疎水性ペプチド、疎水性タンパク質、および疎水性薬物である、項目7に記載の組成物。
(項目21)
上記治療薬がGLP-1、GLP-2、レプチン、膵島アミロイドポリペプチドおよび血管作動性腸管ペプチドから選択される、項目7に記載の組成物。
(項目22)
上記保護側鎖に共有結合した標的分子をさらに含む、項目7に記載の組成物。
(項目23)
上記標的分子が、抗体、抗体断片、キメラ抗体、レクチン、受容体リガンド、タンパク質、酵素、ペプチド、サッカリド、酵素の擬似基質、細胞表面結合化合物、および細胞外基質結合化合物から成るグループから選択される、項目22に記載の組成物。
(項目24)
上記疎水性部分に共有結合した第二の一連の保護鎖をさらに含む、項目7に記載の組成物。
(項目25)
上記負荷分子が治療薬である、項目7〜24に記載の任意の1つの組成物を含む医薬組成物。
(項目26)
組成物製造方法であって:
(a)pH 7〜8の水性緩衝液中の遊離アミノ基を含有する残基を含む高分子主鎖を溶解して溶液Aを取得し、
(b)pH 3〜7の酸性緩衝液中、カルボジイミド試薬と混合することにより、保護鎖カルボキシル基またはアルキルカルボキシル基を活性化して溶液Bを取得し、
(c)溶液Bを溶液Aに加えて、共有結合した保護鎖を持つ高分子主鎖を含み、pHが7以上である溶液Cを得るステップを有する方法。
(項目27)
組成物製造方法であって:
(a)保護鎖に共有結合した高分子主鎖を含有する成分を第三アミンを含む非水溶媒に溶解し、ここで高分子主鎖は遊離アミノ基を含む残基を含むが、これにより溶液Eを取得し、
(b)遊離カルボキシル基を含む疎水性分子を非水溶媒に溶解し、カルボジイミド試薬を加えてカルボキシル基を活性化して溶液Fを取得し、
(c)溶液Fを溶液Eに加えて溶液Gを得て、活性化カルボキシル基と遊離アミン基との 間に共有結合を形成するが、ここで、少なくとも90%の残基が保護鎖または疎水性基に結合するまで、溶液Eを溶液Gに加えるステップを有する方法。
(項目28)
組成物製造方法であって:
(a)保護鎖に共有結合した高分子主鎖を含む成分をpH 7〜9の部分的水性溶媒に溶解し、ここで高分子主鎖は遊離アミノ基を含有する残基を含むが、これにより溶液Eを取得し、
(b)遊離カルボキシル基を含有する疎水性分子をpH 3〜7の部分的水性溶媒に溶解し、カルボジイミド試薬を加えてカルボキシル基を活性化して溶液Fを取得し、
(c)混合物のpHを7〜8に保ちながら、溶液Fを溶液Eに加えて溶液Gを取得し、活性化カルボキシル基と遊離アミン基との間に共有結合を形成するが、ここで、少なくとも90%の残基が保護鎖または疎水性基に結合するまで、溶液Eを溶液Gに加えるステップを有する方法。
(項目29)
組成物負荷方法であって:
(a)以下を含む可溶性の疎水性コア担体組成物を、水性または部分的水性溶媒Aに溶解するステップを有する方法:(i)直鎖高分子主鎖、(ii)分子量は約400〜約20,000ダルトンの間であり、高分子主鎖に共役結合し吊り下がっている複数の親水性高分子保護鎖、(iii)親水性高分子保護側鎖と疎水性部分の重量比は、組成物が水に溶解するように選択され、これによって溶液Aが得られる高分子主鎖に共役結合し吊り下がっている少なくとも1つの疎水性部分。
(b)負荷分子を水性または部分的水性溶媒に溶解して、溶液Bを取得し、
(c)溶液Aを溶液Bに混合して溶液Cを取得し、溶液Cを30分以上インキュベートして凍結乾燥または溶媒蒸発し、適切な溶媒に溶解することができる負荷担体を取得するステップを有する方法。
(項目30)
被験者に治療用分子を投与する方法であって:
以下を含む組成物を被験者に投与する方法:
(i)直鎖高分子主鎖、
(ii)分子量は約400〜約20,000ダルトンの間であり、高分子主鎖に共役結合し、吊り下がっている複数の親水性高分子保護側鎖、
(iii)高分子主鎖に共役結合し吊り下がっている少なくとも1つの疎水性部分、
(iv)主鎖の疎水性部分に解離結合した治療用分子、
ここで、親水性高分子保護側鎖と疎水性部分の重量比は、組成物が水に溶解するように選択される。
(項目31)
上記組成物が皮下または筋肉内投与される、項目30に記載の方法。
(項目32)
医薬品組成物であって:
(a)以下を含む組成物:
(i)直鎖高分子主鎖、
(ii)分子量は約400〜約20,000ダルトンの間であり、高分子主鎖に共役結合し、吊り下がっている複数の親水性高分子保護側鎖、
(iii)高分子主鎖に共役結合し、吊り下がっている少なくとも1つの疎水性部分、
(iv)主鎖の疎水性部分に解離結合した治療用分子、
ここで、親水性高分子保護側鎖と疎水性部分の重量比は、組成物が水に溶解するように選択される組成物と、
(b)薬学的に許容される担体、
とを有し、組成物は単位用量形態である組成物。
発明の概要
本発明は、新規薬物送達システムおよびその製造・使用方法に向けたものである。本発明は、持続放出能力があり、安全で、生体適合性があり、既知の化学および化合物から容易に作成され、その放出速度を単純なメカニズムにより容易に調整でき、ペプチド、タンパク質および他の疎水性薬物などさまざまな治療薬に適している治療薬用送達システムを提供することを目的としている。本発明は、反復ユニット(残基と呼ばれる)でできた直線状高分子主鎖(骨格)を持つ新しい保護グラフト高分子担体を提供し、残基は好ましくは30〜500の間で、修飾可能な官能基(アミノ、カルボキシ基、水酸基、硫黄、およびリン酸塩など)を持ち、少なくとも1つの疎水性部分と高分子主鎖から吊り下がった複数の親水性保護基を、組成物が水中で溶解する重量比および皮下送達ができるサイズで含むように修飾される。多数の保護基は、負荷分子が解離による放出の前に担体表面にさらされないように保護するための盾の役割を果たす。
【0014】
本発明は、患者の体内の疎水性ペプチド、疎水性タンパク質および疎水性薬物を、小胞を使用せずに制御された方法で送達する手段を提供する。制御された方法とは、循環中の活性治療用分子のレベルが、望ましい期間、毒性レベルを超えたり治療効果のあるレベルを下回ったりしないことを意味する(
図7参照)。循環中の遊離負荷分子のレベルが治療効果レベルを下回った時に、本発明の担体が遊離して活性な治療薬、またはさらに広い意味では「負荷分子」を放出する能力は容易に調整することができる。本発明の担体は、アルキル鎖がより一般的に使用される疎水性部分の長さ、数および密度を制御することにより、高負荷能力を持ちかつ放出速度が調整可能なように作成し得る。放出速度は、担体のサイズによっても制御できる。本発明の担体は、担体の免疫原性のより高いコアを遮る複数の非免疫原性保護鎖が存在するため、安全で非免疫原性である。
【0015】
一態様では、この発明は可溶性の疎水性コア担体組成物を提供し、以下を含む:(i)直鎖高分子主鎖、(ii)各保護側鎖は約400〜約20,000ダルトンの間の分子量を有し、高分子主鎖に共役結合し、吊り下がっている複数の親水性高分子保護鎖、(iii)高分子主鎖に共役結合し吊り下がっている少なくとも1つの疎水性部分であって、親水性高分子保護側鎖と疎水性部分の重量比は、組成物が水に溶解するように選択される。1つの実施例では、親水性高分子保護側鎖と疎水性部分の重量比は少なくとも15:1、少なくとも17:1、少なくとも20:1、少なくとも50:1、または少なくとも100:1である(表2参照)。別の実施例では、高分子主鎖の残基の少なくとも90%が、親水性保護鎖または疎水性部分のいずれかで誘導体化されている。別の実施例では、保護側鎖は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール共重合体、ポリプロピレングリコール共重合体、多糖類、またはそのアルコキシ誘導体を有する。別の実施例では、アルコキシ誘導体は、メトキシポリエチレングリコール、メトキシポリプロピレングリコール、メトキシル化共重合体ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール、またはエトキシ化多糖体である。別の実施例では、直鎖高分子主鎖は、ポリリシン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリセリン、ポリトレオニン、ポリシステイン、ポリグリセロール、天然サッカリド、アミノ化多糖類、アミノ化オリゴ糖、ポリアミドアミン、ポリアクリル酸、ポリアルコール、スルホン化多糖類、スルホン化オリゴ糖、カルボキシル化多糖類、カルボキシル化オリゴ糖、アミノカルボキシル化多糖類、アミノカルボキシル化オリゴ糖、カルボキシメチル化多糖類、およびカルボキシメチル化オリゴ糖から成るグループから選択される。
【0016】
別の態様において、この発明は前述の可溶性の疎水性コア担体組組成物を提供し、さらに主鎖の疎水性部分に解離結合した負荷分子を含む。1つの実施例では、親水性保護側鎖はメトキシポリエチレングリコールを含有する。1つの実施例では、親水性保護側鎖はメトキシポリエチレングリコールを含有し、高分子主鎖はポリリシンを含有する。別の実施例では、親水性保護側鎖はメトキシポリエチレングリコールを含有し、高分子主鎖はポリリシンを含有し、疎水性部分は脂肪酸を含有する。別の実施例では、親水性保護側鎖はメトキシポリエチレングリコールを含有し、高分子主鎖はポリリシンを含有し、疎水性部分は脂肪酸を含有し、負荷分子は治療薬である。1つの実施例では、治療薬は疎水性ペプチド、疎水性タンパク質、または疎水性薬物である。別の実施例では、治療薬はGLP-1である。別の実施例では、治療薬はGLP-2、レプチン、膵島アミロイドポリペプチドおよび血管作動性腸管ペプチドから選択される。
【0017】
別の態様において、この発明は、前述の可溶性の疎水性コア担体組組成物を提供し、直鎖高分子主鎖がポリリシンであるところの主鎖の疎水性部分に解離結合している負荷分子を含む。1つの実施例では、疎水性部分は、炭素数6〜36の脂肪酸から選択された脂肪酸を含有する。別の実施例では、疎水性部分は、少なくとも1つの二重結合を持つ脂肪酸を含有する。別の実施例では、疎水性部分は、複数の脂肪酸を含む部分を有する。別の実施例では、疎水性部分は、芳香環を含む部分を有する。
【0018】
一部の実施例では、溶解性を促進し、または親水性保護鎖と疎水性部分の重量比が15:1を上回るようにし、それによって小胞形成および析出が回避されるように、担体は、疎水性部分に共有結合する第二の保護鎖を任意に含む。
【0019】
さまざまな実施例では、負荷分子は治療薬または造影剤である場合がある。1つの実施例では、治療薬は疎水性ペプチド、疎水性タンパク質、または疎水性薬物である。別の実施例では、治療薬は、治療薬はGLP-2、レプチン、膵島アミロイドポリペプチド(IAPP、アミリンとしても知られる)および血管作動性腸管ペプチド(VIP)であり得る。1つの実施例では、治療薬は疎水性ポリヌクレオチド、疎水性ペプチド、疎水性タンパク質、または疎水性薬物である場合がある。疎水性ペプチド/タンパク質は、ペプチドアプタマー、グルカゴン様ペプチド、グルカゴン様ペプチド誘導体、エクセナチド、レプチン、レプチン断片、ペプチドYY、α-メラノサイト刺激ホルモン、アジポネクチン、オベスタチン、胃抑制ポリペプチド(GIP)、上皮成長因子(EGF)受容体リガンド、EGF、形質転換成長因子-α(TGF-α)、ベタセルリン、ガストリン/コレシストキニン受容体リガンド、ガストリン、コレシストキニン、インターフェロン、インターフェロンγ、インターフェロンβ、インターフェロンα、インターロイキン-1、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-6、インターロイキン-8、インターロイキン-10、インターロイキン-12、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子α、腫瘍壊死因子β、インスリン、インスリン様成長因子、成長ホルモン、神経成長因子、脳由来神経栄養因子、酵素、エンドスタチン、アンジオスタチン、トロンボスポンジン、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、血液凝固因子VII、血液凝固因子VIII、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、トロンボポエチン、カルシトニン、副甲状腺ホルモン(PTH)およびその断片、エリスロポエチン、心房性ナトリウム利尿因子、モノクローナル抗体、モノクローナル抗体断片、ソマトスタチン、プロテアーゼ阻害剤、副腎皮質刺激ホルモン、ゴナドトロピン放出ホルモン、オキシトシン、黄体形成ホルモン放出ホルモン、卵胞刺激ホルモン、グルコセレブロシダーゼ、トロンボポエチン、フィルグラスチン、テリプレシン、および血管作動性腸管ペプチド(VIP)である場合がある。
【0020】
さらなる実施例では、本発明は、保護基の遠位端に共有結合した標的部分をさらに含む前述の組成物すべてに関連する。標的部分は、抗体、抗体の断片、キメラ抗体、レクチン、受容体リガンド、タンパク質、酵素、ペプチド、サッカリド、酵素の擬似基質、細胞表面結合化合物、および細胞外基質結合化合物である場合がある。
【0021】
別の態様では、この発明は、負荷分子が治療薬であって、上記の組成物から選択された任意の1つの組成物を含む医薬組成物を提供する。
【0022】
別の態様では、この発明は組成物の製造方法を提供し、以下の方法を含む:(a)pH 7〜8の水性緩衝液に遊離アミノ基から成る残基を含む高分子主鎖を溶解して溶液Aを得て、(b)pH 3〜7の酸性緩衝液中、カルボジイミド試薬と混合することにより、保護鎖のカルボキシル基またはアルキルカルボキシル基を活性化して溶液Bを得て、(c)溶液Bを溶液Aに加えて、そのpHが7以上で、共有結合した保護鎖を持つ高分子主鎖を含む溶液Cを得る。
【0023】
別の態様では、この発明は組成物の製造方法を提供し、以下の方法を含む:(a)保護鎖に共有結合した高分子主鎖を有する成分を、第三アミンを含む非水溶媒に溶解し、ここで高分子主鎖は遊離アミノ基から成る残基を有するが、これにより溶液Eを得て、(b)非水溶媒に、遊離カルボキシル基を含む疎水性分子を溶解して、カルボジイミド試薬を添加することによりカルボキシル基を活性化して溶液Fを得て、(c)溶液Fを溶液Eに加えて溶液Gを得て、活性化されたカルボキシル基と遊離アミン基の間に共役結合を形成するが、ここで溶液Eは、少なくとも残基の90%が保護鎖または疎水性基に結合されるまで溶液Gに加えられる。
【0024】
別の態様では、この発明は組成物の製造方法を提供し、以下の方法を含む:(a)保護鎖に共有結合した高分子主鎖を有する成分をpH 7〜9の部分的水性溶媒に溶解し、ここで高分子主鎖は遊離アミノ基から成る残基を有するが、これにより溶液Eを得て、(b)pH 3〜7の部分的水性溶媒に、遊離カルボキシル基を含む疎水性分子を溶解して、カルボジイミド試薬を添加することによりカルボキシル基を活性化して溶液Fを得て、(c)混合物のpHを7〜8に保ちながら溶液Fを溶液Eに加えて溶液Gを得て、活性化されたカルボキシル基と遊離アミン基の間に共役結合を形成するが、ここで溶液Eは、少なくとも90%の残基が保護鎖または疎水性基に結合されるまで溶液Gに加えられる。
【0025】
別の態様では、この発明は組成物の負荷方法を提供し、以下の方法を含む:(a)以下から成る可溶性の疎水性コア担体組成物を、水性または部分的水性溶媒Aに溶解する:(i)直鎖高分子主鎖、(ii)各保護側鎖は約400〜約20,000ダルトンの間の分子量を有し、高分子主鎖に共有結合し、吊り下がっている複数の親水性高分子保護鎖、(iii)高分子主鎖に共有結合し吊り下がっている少なくとも1つの疎水性部分、ここで親水性高分子保護側鎖と疎水性部分の重量比は、組成物が水に溶解するように選択されるが、これにより溶液Aを調製する。(b)負荷分子を水性または部分的水性溶媒に溶解して溶液Bを調製し、(c)溶液Aと溶液Bを混合して溶液Cを調製し、溶液Cを30分間以上インキュべートしてその後凍結乾燥または溶媒蒸発して、適切な溶媒に溶解する準備のできている負荷担体を得る。
【0026】
別の態様では、この発明は、被験者に治療分子を投与する方法を提供するが、これは以下から成る組成物を被験者に投与することを含む:(i)直鎖高分子主鎖、(ii)各保護側鎖は約400〜約20,000ダルトンの間の分子量を有し、高分子主鎖に共役結合し吊り下がっている親水性高分子保護鎖、(iii)高分子主鎖に共役結合し吊り下がっている少なくとも1つの疎水性部分、(iv)親水性高分子保護側鎖と疎水性部分の重量比は、組成物が水に溶解するように選択され、主鎖の疎水性部分に解離結合した治療分子。1つの実施例では、組成物は皮下または筋肉内投与される。
【0027】
別の態様では、この発明は医薬組成物を提供し、組成物は以下を含む:(a)以下を含む組成物:(i)直鎖高分子主鎖、(ii)各保護側鎖は約400〜約20,000ダルトンの間の分子量を有し、高分子主鎖に共役結合し、吊り下がっている親水性高分子保護鎖、(iii)高分子主鎖に共役結合し吊り下がっている少なくとも1つの疎水性部分、(iv)親水性高分子保護側鎖と疎水性部分の重量比は、組成物が水に溶解するように選択され、主鎖の疎水性部分に解離結合した治療分子、(b)組成物は単位用量形態である薬学的に許容される担体。