特許第6244447号(P6244447)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アスモ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6244447-ラバーホルダ及びワイパブレード 図000002
  • 特許6244447-ラバーホルダ及びワイパブレード 図000003
  • 特許6244447-ラバーホルダ及びワイパブレード 図000004
  • 特許6244447-ラバーホルダ及びワイパブレード 図000005
  • 特許6244447-ラバーホルダ及びワイパブレード 図000006
  • 特許6244447-ラバーホルダ及びワイパブレード 図000007
  • 特許6244447-ラバーホルダ及びワイパブレード 図000008
  • 特許6244447-ラバーホルダ及びワイパブレード 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244447
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】ラバーホルダ及びワイパブレード
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/38 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   B60S1/38 B
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-250928(P2016-250928)
(22)【出願日】2016年12月26日
(62)【分割の表示】特願2013-188834(P2013-188834)の分割
【原出願日】2013年9月11日
(65)【公開番号】特開2017-52515(P2017-52515A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2017年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】義本 貴生
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−063674(JP,A)
【文献】 特開2011−201493(JP,A)
【文献】 特開2008−296765(JP,A)
【文献】 特開2011−219088(JP,A)
【文献】 特表2001−516310(JP,A)
【文献】 特表2007−531663(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0257687(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
払拭面を払拭するためのブレードラバー及び該ブレードラバーに沿って配置された板ばね状のバッキングのそれぞれ長手方向中間部を保持するラバーホルダであって、
前記バッキングの長手方向に沿って貫通し該バッキングを収容保持するバッキング収容孔と、該バッキング収容孔の下方において前記ブレードラバーの長手方向に沿って貫通するとともに下方の幅方向中央が開口し、該ブレードラバーの上部を収容保持するブレードラバー収容孔と、を有し、
前記バッキング収容孔とその下方の前記ブレードラバー収容孔とは上下方向に離間しており、前記バッキング収容孔と前記ブレードラバー収容孔との間には、該バッキング収容孔とブレードラバー収容孔との間の壁部の一部が上下に貫通した貫通部が形成されていることを特徴とするラバーホルダ。
【請求項2】
請求項1に記載のラバーホルダにおいて、
ワイパアーム連結部材を支持する支持部を有し、
前記バッキング収容孔は、その長手方向における前記支持部と対応した部分が前記バッキング収容孔の長手方向において最も上下方向の幅が狭くなっていることを特徴とするラバーホルダ。
【請求項3】
請求項2に記載のラバーホルダにおいて、
前記バッキング収容孔の長手方向における前記支持部と対応した部分においてラバーホルダを長手方向と直交する方向に沿った断面で見たとき、前記バッキング収容孔と前記ブレードラバー収容孔との間の壁部の一部が前記貫通部で上下に貫通していることを特徴とするラバーホルダ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のラバーホルダと、前記バッキングと、前記ブレードラバーとを備えたことを特徴とするワイパブレード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のワイパに係り、ブレードラバー及びバッキングを保持するラバーホルダ及びワイパブレードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から車両用のワイパは、ワイパアームとワイパアームに連結されるワイパブレードからなる。そして、ワイパブレードとしては、ブレードラバー及びバッキングのそれぞれ長手方向中間部を保持する連結レバーを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。この連結レバーは、樹脂材よりなり、バッキングの長手方向に沿って貫通し、該バッキングを包囲するようにして収容保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−63674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、バッキング収容孔とその下方に離間したブレードラバー収容孔との間に該バッキング収容孔とブレードラバー収容孔との間の壁部の一部が上下に貫通した貫通部が形成されているラバーホルダ及びワイパブレードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するラバーホルダは、払拭面を払拭するためのブレードラバー及び該ブレードラバーに沿って配置された板ばね状のバッキングのそれぞれ長手方向中間部を保持するラバーホルダであって、前記バッキングの長手方向に沿って貫通し該バッキングを収容保持するバッキング収容孔と、該バッキング収容孔の下方において前記ブレードラバーの長手方向に沿って貫通するとともに下方の幅方向中央が開口し、該ブレードラバーの上部を収容保持するブレードラバー収容孔と、を有し、前記バッキング収容孔とその下方の前記ブレードラバー収容孔とは上下方向に離間しており、前記バッキング収容孔と前記ブレードラバー収容孔との間には、該バッキング収容孔とブレードラバー収容孔との間の壁部の一部が上下に貫通した貫通部が形成されている。
【0006】
上記ラバーホルダにおいて、ワイパアーム連結部材を支持する支持部を有し、前記バッキング収容孔は、その長手方向における前記支持部と対応した部分が前記バッキング収容孔の長手方向において最も上下方向の幅が狭くなっている。
【0007】
上記ラバーホルダにおいて、前記バッキング収容孔の長手方向における前記支持部と対応した部分においてラバーホルダを長手方向と直交する方向に沿った断面で見たとき、前記バッキング収容孔と前記ブレードラバー収容孔との間の壁部の一部が前記貫通部で上下に貫通している。
【0008】
上記課題を解決するワイパブレードは、上記ラバーホルダと、バッキングと、ブレードラバーとを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バッキング収容孔とその下方に離間したブレードラバー収容孔との間に該バッキング収容孔とブレードラバー収容孔との間の壁部の一部が上下に貫通した貫通部が形成されているラバーホルダ及びワイパブレードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施の形態におけるワイパの斜視図。
図2】一実施の形態におけるワイパの一部分解斜視図。
図3】一実施の形態におけるラバーホルダとバッキングとブレードラバーの組み付け状態を説明するための正面図。
図4】一実施の形態におけるラバーホルダとクリップの斜視図。
図5】一実施の形態におけるラバーホルダの正面図。
図6図5のA−A線に沿った断面図。
図7】一実施の形態における抜き勾配及びラバー側抜き勾配を説明するための模式図。
図8】別例における抜き勾配及びラバー側抜き勾配を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、車両用のワイパの一実施の形態を図1図7に従って説明する。
図1に示すように、車両用のワイパ1は、自動車の払拭面としてのフロントガラスに付着した雨滴等を払拭するためのものであって、ワイパアーム2と、該ワイパアーム2に連結されるワイパブレード3とから構成されている。尚、図中、ワイパアーム2は、その先端部のみ図示している。ワイパアーム2は、その基端部がワイパモータ(図示略)の駆動力にて所定角度で往復回動されるピボット軸(図示略)に固定され、該ピボット軸の往復回動に伴って往復揺動運動を行う。尚、このワイパアーム2は、図示しない付勢機構により、その先端連結部4がフロントガラス(払拭面)側に付勢される。そして、そのワイパアーム2の先端連結部4には、ワイパブレード3が連結される。
【0012】
図2及び図3に示すように、ワイパブレード3は、払拭面(フロントガラス)を払拭するための長尺状のブレードラバー11と、該ブレードラバー11に剛性と弾性を付与するための板ばね状のバッキング12と、該ブレードラバー11の上部11a及びバッキング12のそれぞれ長手方向中間部を保持するラバーホルダ13とを備える。又、ブレードラバー11の上部11a及びバッキング12においてラバーホルダ13から突出する長手方向両側は一対の軟質のケース14に覆われ、更に両端部はキャップ15(図1参照)に覆われている。
【0013】
又、図2に示すように、ワイパブレード3は、ラバーホルダ13に対してブレードラバー11の幅方向に沿った軸中心で回動可能に連結されるワイパアーム連結部材としてのクリップ16を備える。詳しくは、前記ラバーホルダ13は、樹脂材よりなり、長手方向の中央部であって上下方向の中央部に、幅方向に貫通する支持部としての軸挿通孔13aが形成されている。又、クリップ16は、樹脂材よりなり、ラバーホルダ13の両側面に沿って延びる一対の側壁16aと、それら側壁16aの上端を繋ぐとともにラバーホルダ13の上面に沿って延びる上壁16bと、各側壁16aの内側面から同軸状に突出し軸挿通孔13aに挿入されてラバーホルダ13に対してクリップ16を回動可能に支持する支持軸16cとを有する。
【0014】
そして、前記クリップ16には、ワイパアーム2の先端連結部4が嵌着される。
ここで、前記ラバーホルダ13がバッキング12及びブレードラバー11の上部11aを保持する構成について詳述する。
【0015】
図3図6に示すように、ラバーホルダ13の下部には、バッキング12の長手方向に沿って貫通し、該バッキング12を包囲することで収容保持するバッキング収容孔13bが形成されている。
【0016】
又、ラバーホルダ13の下部には、バッキング収容孔13bの下方に離間してブレードラバー11の長手方向に沿って貫通するとともに下方の幅方向中央が開口し、該ブレードラバー11の上部11aを包囲することで収容保持するブレードラバー収容孔13cが形成されている。尚、本実施形態のブレードラバー11の上部11aの幅はバッキング12の幅よりも小さいことからバッキング収容孔13bの幅よりもブレードラバー収容孔13cの幅の方が狭く形成されている。
【0017】
又、バッキング収容孔13bとブレードラバー収容孔13cとの間の壁部13dにおける一部には、上下に貫通する貫通部13eが形成されている。本実施形態の貫通部13eは、前記壁部13dの幅方向の中央で長手方向全域に形成されている。
【0018】
そして、図7に示すように、前記バッキング収容孔13bには、その長手方向の中央部から長手方向両側に向かってそれぞれ抜き勾配13f,13gが形成されている。このバッキング収容孔13bの長手方向中央部には、後述する射出成型の成形金型を構成するスライドコア21,22の合せ面が位置し、ここにパーティングラインP1(図6参照)が設定される。そして、抜き勾配13f,13gは、バッキング収容孔13bの長手方向中央部の長手方向両側において外側に向かってそれぞれ下り勾配で形成される。本実施形態では、パーティングラインP1がバッキング収容孔13bの長手方向における前記軸挿通孔13aと対応した範囲W1内に設定され、抜き勾配13f,13gは、バッキング収容孔13bの長手方向における前記軸挿通孔13aと対応した範囲W1内から長手方向両側において外側に向かってそれぞれ形成されている。より詳しくは、本実施形態のパーティングラインP1は軸挿通孔13aの軸中心Xと対応した(真下の)位置に設定されている。そして、抜き勾配13f,13gは、長手方向における前記軸挿通孔13aの軸中心Xと対応した(真下の)位置から長手方向両側において外側に向かってそれぞれ形成されている。尚、本実施形態では、前記軸挿通孔13aの軸中心Xと対応した(真下の)位置は、バッキング収容孔13bの長手方向の中心位置と一致している。又、本実施形態の各抜き勾配13f,13gは、側方から見て長手方向に沿った直線に対して傾斜した直線状に形成されている。
【0019】
又、前記ブレードラバー収容孔13cには、その長手方向の中央部から長手方向両側に向かってそれぞれラバー側抜き勾配13h,13iが形成されている。このブレードラバー収容孔13cの長手方向中央部にもバッキング収容孔13bと同様に、射出成型の成形型を構成するスライドコア21,22の合せ面が位置し、ここにラバー側パーティングラインP2(図6参照)が設定される。そして、ラバー側抜き勾配13h,13iは、ブレードラバー収容孔13cの長手方向中央部の長手方向両側において外側に向かってそれぞれ下り勾配で形成される。本実施形態では、ラバー側パーティングラインP2がバッキング収容孔13bのパーティングラインP1同様、長手方向における軸挿通孔13aと対応した範囲W1内に設定され、ラバー側抜き勾配13h,13iは、ブレードラバー収容孔13cの長手方向における前記軸挿通孔13aの軸中心Xと対応した(真下の)位置から長手方向両側において外側に向かってそれぞれ形成されている。尚、図7では、前記抜き勾配13f,13g及びラバー側抜き勾配13h,13iを視覚的に分かり易くするために、その勾配角度(長手方向に沿った直線に対する角度)を誇張して図示している。
【0020】
次に、上記したラバーホルダ13の製造方法について説明する。
ラバーホルダ13の製造方法は、バッキング収容孔13bを成形する際、バッキング収容孔13bに、その長手方向の中央部の長手方向両側において外側に向かってそれぞれ下り勾配となる前記抜き勾配13f,13gが形成されるようにする射出成形工程を備えている。本実施形態の射出成形工程では、同時に前記ラバー側抜き勾配13h,13iも形成する。
【0021】
即ち、図7に示すように、この射出成形工程では、一対のスライドコア21,22を用いている。一方(図7中、左方)のスライドコア21は、バッキング収容孔13b及びブレードラバー収容孔13cの長手方向の中央部から一方の抜き勾配13f及びラバー側抜き勾配13hを成形すべく側方から見て他方(図7中、右方)に先細に延びる第1及び第2突出部21a,21bを有している。又、他方(図7中、右方)のスライドコア22は、バッキング収容孔13b及びブレードラバー収容孔13cの長手方向の中間部から他方の抜き勾配13g及びラバー側抜き勾配13iを成形すべく側方から見て一方(図7中、左方)に先細に延びる第1及び第2突出部22a,22bを有している。
【0022】
そして、これらスライドコア21,22を当接させた状態で溶融樹脂を金型内に充填して、溶融樹脂の硬化後にスライドコア21,22を互いに離間させることで、前記バッキング収容孔13b及びブレードラバー収容孔13cを有するラバーホルダ13を製造する。
【0023】
次に、上記のように構成されたワイパ1の作用について説明する。
上記ワイパ1では、ワイパアーム2とその先端連結部4に固定されたクリップ16に対して(クリップ16を除く)ワイパブレード3が回動可能とされる。そして、ワイパアーム2の先端連結部4が図示しない付勢機構によりフロントガラス(払拭面)側に付勢されることで、その付勢力がクリップ16、ラバーホルダ13、バッキング12を介してブレードラバー11に伝達されて、ブレードラバー11の下端の払拭部11bが長手方向全長に亘ってフロントガラス(払拭面)に押圧接触される。これにより、ワイパアーム2がピボット軸中心に往復回動されると払拭動作が行われる。
【0024】
次に、上記実施形態の特徴的な効果を以下に記載する。
(1)バッキング収容孔13bには、その長手方向の中央部にパーティングラインP1が設定されるため、長手方向一端にパーティングラインを設定した場合に比べて、その抜き勾配によるバッキング収容孔13bとバッキング12との隙間Sは、長手方向一端側と他端側とでその差を小さくできる。したがって、バッキング12を長手方向に均等に支持し易くなる。よって、連結されるワイパアーム2からの付勢力をバッキング12の長手方向に均等に伝達し易くなり、良好な払拭性を得ることができる。又、長手方向一端にパーティングラインを設定して一端から他端まで連続した一つの抜き勾配が形成されたものに比べて、バッキング収容孔13bの最大の高さ方向の幅Hを小さくすることができ、例えば、壁部13dの厚さを薄くすることができることから、ラバーホルダ13の高さ方向のサイズの小型化をも図ることが可能となる。
【0025】
(2)パーティングラインP1は、長手方向における軸挿通孔13aと対応した範囲W1内に設定され、バッキング収容孔13bの中央部の長手方向両側において外側に向かって抜き勾配13f,13gがそれぞれ形成されるため、軸挿通孔13aと対応した範囲W1に設定されたパーティングラインP1位置におけるバッキング収容孔13bとバッキング12との間の隙間Sが最も小さくなり、クリップ16を介して連結されるワイパアーム2からの付勢力をバッキング12の長手方向により均等に伝達し易くなり、払拭性をより良好とすることができる。更に、本実施形態の抜き勾配13f,13gは、長手方向における軸挿通孔13aの軸中心Xと対応した(真下の)位置から長手方向両側に向かってそれぞれ形成されるため、軸挿通孔13aの軸中心Xと対応した(真下の)位置ではバッキング収容孔13bとバッキング12との間の隙間Sが最も小さくなる。したがって、クリップ16を介して連結されるワイパアーム2からの付勢力をバッキング12の長手方向に更に均等に伝達し易くなり、払拭性を更に良好とすることができる。
【0026】
(3)ブレードラバー収容孔13cには、その長手方向の中央部にラバー側パーティングラインP2が設定されるため、ブレードラバー収容孔13cの長手方向の中央部から長手方向両側に向かってそれぞれラバー側抜き勾配13h,13iが形成される。そのため、長手方向一端にラバー側パーティングラインを設定した場合に比べて、ブレードラバー収容孔13cの最大の高さ方向の幅を小さくすることができる。その結果、例えば、壁部13dの厚さを薄くすることができることから、ラバーホルダ13の高さ方向のサイズの小型化を図ることが可能となる。
【0027】
(4)バッキング収容孔13bとブレードラバー収容孔13cとの間の壁部13dの一部に上下に貫通する貫通部13eが形成されるため、貫通部13eが形成されていないものに比べて、壁部13dを容易に薄く成形することができる。即ち、貫通部13eが形成されない場合では、成形時にその壁部全体に樹脂が回り込むようにするために薄型化の設計が困難となるが、貫通部13eを設けることで樹脂を回り込ませる範囲(距離)を小さくすることができるので、薄型化が可能となる。
【0028】
(5)貫通部13eは、前記壁部13dの幅方向の中央で長手方向全域に形成されるため、壁部13dの幅方向両側でブレードラバー11の上部11aを良好に押圧することが可能な構成としながら、樹脂を回り込ませる範囲(距離)を極力小さくすることができる。よって、より薄型化が可能となる。
【0029】
上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、各抜き勾配13f,13gは、側方から見て長手方向に沿った直線に対して傾斜した直線状に形成されるとしたが、これに限定されず、ラバーホルダ13の離型をスムーズにすることが可能な形状であれば、他の形状の抜き勾配としてもよい。
【0030】
例えば、図8に示すように、側方から見てパーティングラインから長手方向外側に向けて下り勾配の湾曲した抜き勾配31,32に変更してもよい。又、この例(図8参照)では、上記実施形態のラバー側抜き勾配13h,13iも、側方から見てラバー側パーティングラインから長手方向外側に向けて下り勾配の湾曲したラバー側抜き勾配33,34に変更されている。尚、この場合、勿論、製造方法で使用する上記実施形態のスライドコア21,22は、前記抜き勾配31,32及びラバー側抜き勾配33,34に対応した形状のスライドコア35,36に変更する。
【0031】
・上記実施形態では、抜き勾配13f,13gは、長手方向における軸挿通孔13aの軸中心Xと対応した(真下の)位置から長手方向両側に向かってそれぞれ形成されるとしたが、これに限定されず、バッキング収容孔13bの長手方向の中央部の他の位置から長手方向両側における外側に向かってそれぞれ形成してもよい。この場合、抜き勾配は、長手方向における軸挿通孔13aと対応した範囲W1内から長手方向両側に向かってそれぞれ形成されることが好ましい。また、上記実施形態では、パーティングラインP1から抜き勾配13f,13gを形成したが、抜き勾配13f,13gの始点位置はパーティングラインP1と一致していなくてもよい。
【0032】
・上記実施形態では、ラバー側抜き勾配13h,13iは、長手方向における軸挿通孔13aの軸中心Xと対応した(真下の)位置に設定されたラバー側パーティングラインP2から長手方向両側に向かってそれぞれ形成されるとしたが、これに限定されず、ブレードラバー収容孔13cの長手方向中央部の他の位置から長手方向両側における外側に向かってそれぞれ形成してもよい。
【0033】
・上記実施形態では、バッキング収容孔13bとブレードラバー収容孔13cとの間の壁部13dの一部に上下に貫通する貫通部13eが形成されるとしたが、これに限定されず、貫通部13eが形成されていない構成に変更してもよい。又、上記実施形態では、ブレードラバー収容孔13cは、バッキング収容孔13bの下方に離間して形成されることで前記壁部13dが形成される構成としたが、これに限定されず、ブレードラバー収容孔がバッキング収容孔の下方に離間せずに連続して形成された構成に変更してもよい。この場合、壁部13dは形成されず、ブレードラバー11の上部11aはバッキング12と当接されることになる。
【0034】
・上記実施形態では、貫通部13eは、前記壁部13dの幅方向の中央で長手方向全域に形成されるとしたが、これに限定されず、例えば、長手方向に断続的に複数形成する等、壁部13dの他の一部に形成してもよい。
【0035】
・上記実施形態では、幅方向に沿った軸中心で回動可能に連結されるクリップ16を支持する軸挿通孔13aをラバーホルダ13側に設けて支持部としたが、ラバーホルダ13側にクリップ(ワイパアーム連結部材)を支持する支持部としての軸を設けた構成としてもよい。
【0036】
・上記実施形態では、1つのバッキング12であったが、ブレードラバー11の上部11aにおける両側面にそれぞれ長手横溝を形成し、該長手横溝にそれぞれバッキングを収容するタイプの2つのバッキングを有するワイパブレードに適用しても良い。
【0037】
・ところで、上記のような連結レバーは、一般的に射出成形にて製造される。そして、上記バッキングが収容される部分を成形する際は、型(スライドコア)を抜きやすくするために、一般的にバッキングが収容される部分の長手方向一端から他端まで連続した一つの抜き勾配が形成されるように射出成形が行われる。
【0038】
しかしながら、上記のように抜き勾配が形成された連結レバーでは、連結されるワイパアームからの付勢力がバッキングの長手方向の片側に偏って伝達され易くなり、それによって払拭性が悪化するという虞がある。
【0039】
以下に示す技術的思想の目的は、ワイパアームからの付勢力をバッキングの長手方向に均等に伝達し易くなり、払拭性を良好とすることができるラバーホルダ、ワイパブレード、及びラバーホルダの製造方法を提供することにある。
【0040】
・ラバーホルダは、払拭面を払拭するためのブレードラバー及び該ブレードラバーに剛性と弾性を付与するための板ばね状のバッキングのそれぞれ長手方向中間部を保持するラバーホルダであって、前記バッキングの長手方向に沿って貫通し、該バッキングを収容保持するバッキング収容孔を有し、前記バッキング収容孔には、その長手方向の中央部にパーティングラインが設定される。
【0041】
同構成によれば、バッキング収容孔には、その長手方向の中央部にパーティングラインが設定されるため、長手方向一端にパーティングラインを設定した場合に比べて、その抜き勾配によるバッキング収容孔とバッキングとの隙間は、長手方向一端側と他端側とでその差を小さくできる。したがって、バッキングを長手方向に均等に支持し易くなる。よって、連結されるワイパアームからの付勢力をバッキングの長手方向に均等に伝達し易くなり、良好な払拭性を得ることができる。
【0042】
・上記ラバーホルダにおいて、幅方向に沿った軸中心で回動可能に連結されるワイパアーム連結部材を支持する支持部を前記中央部に有し、前記パーティングラインは、長手方向における前記支持部と対応した範囲内に設定され、前記中央部の長手方向両側において外側に向かって抜き勾配がそれぞれ形成される。
【0043】
同構成によれば、幅方向に沿った軸中心で回動可能に連結されるワイパアーム連結部材を支持する支持部を中央部に有し、前記パーティングラインは、長手方向における前記支持部と対応した範囲内に設定され、前記中央部の長手方向両側において外側に向かって抜き勾配がそれぞれ形成されるため、支持部におけるバッキング収容孔とバッキングとの間の隙間が最も小さくなり、ワイパアーム連結部材を介して連結されるワイパアームからの付勢力をバッキングの長手方向により均等に伝達し易くなり、払拭性をより良好とすることができる。
【0044】
・上記ラバーホルダにおいて、前記抜き勾配は、長手方向における前記支持部の軸中心と対応した位置から長手方向両側に向かってそれぞれ形成される。
同構成によれば、抜き勾配は、長手方向における前記支持部の軸中心と対応した位置から長手方向両側に向かってそれぞれ形成されるため、ワイパアームからの付勢力がワイパアーム連結部材を介して前記支持部の軸中心と対応した位置でバッキングに加えられ、その軸中心と対応した位置ではバッキング収容孔とバッキングとの間の隙間が最も小さくなる。したがって、ワイパアーム連結部材を介したワイパアームからの付勢力をバッキングの長手方向に更に均等に伝達し易くなり、払拭性を更に良好とすることができる。
【0045】
・上記ラバーホルダにおいて、前記ブレードラバーの長手方向に沿って貫通するとともに下方の幅方向中央が開口し、該ブレードラバーの上部を収容保持するブレードラバー収容孔を有し、前記ブレードラバー収容孔には、その長手方向の中央部にラバー側パーティングラインが設定される。
【0046】
同構成によれば、ブレードラバー収容孔には、その長手方向の中央部にラバー側パーティングラインが設定されるため、ブレードラバー収容孔の長手方向の中央部から長手方向両側に向かってそれぞれラバー側抜き勾配が形成される。そのため、長手方向一端にラバー側パーティングラインを設定した場合に比べて、ブレードラバー収容孔の最大の高さ方向の幅を小さくすることができる。その結果、例えば、ラバーホルダの高さ方向のサイズの小型化を図ることが可能となる。
【0047】
・上記ラバーホルダにおいて、前記バッキング収容孔の下方に離間して前記ブレードラバーの長手方向に沿って貫通するとともに下方の幅方向中央が開口し、該ブレードラバーの上部を収容保持するブレードラバー収容孔を有し、前記バッキング収容孔と前記ブレードラバー収容孔との間の壁部の一部に上下に貫通する貫通部が形成される。
【0048】
同構成によれば、バッキング収容孔とブレードラバー収容孔との間の壁部の一部に上下に貫通する貫通部が形成されるため、貫通部が形成されていないものに比べて、壁部を容易に薄く成形することができる。即ち、貫通部が形成されない場合では、成形時にその壁部全体に樹脂が回り込むようにするために薄型化の設計が困難となるが、貫通部を設けることで樹脂を回り込ませる範囲(距離)を小さくすることができるので、薄型化が可能となる。
【0049】
・上記ラバーホルダにおいて、前記貫通部は、前記壁部の幅方向の中央で長手方向全域に形成される。
同構成によれば、貫通部は、壁部の幅方向の中央で長手方向全域に形成されるため、壁部の幅方向両側でブレードラバーの上部を良好に押圧することが可能な構成としながら、樹脂を回り込ませる範囲(距離)を極力小さくすることができる。
【0050】
・ワイパブレードは、上記ラバーホルダと、バッキングと、ブレードラバーとを備える。
同構成によれば、ワイパブレードにおいて、上記効果を得ることができる。
【0051】
・ラバーホルダの製造方法は、払拭面を払拭するためのブレードラバー及び該ブレードラバーに剛性と弾性を付与するための板ばね状のバッキングを保持するラバーホルダの製造方法であって、前記バッキングの長手方向に沿って貫通し、該バッキングの長手方向中間部を収容保持するバッキング収容孔を成形する際、前記バッキング収容孔に、その長手方向の中央部にパーティングラインが設定され、該中央部の長手方向両側において外側に向かってそれぞれ抜き勾配が形成されるようにする射出成形工程を備える。
【0052】
同方法によれば、バッキング収容孔に、その長手方向の中央部にパーティングラインが設定され、該中央部の長手方向両側において外側に向かってそれぞれ抜き勾配が形成されるようにする射出成形工程を備えるため、長手方向一端にパーティングラインを設定し長手方向の一端から他端まで連続した一つの抜き勾配が形成されるものに比べて、その抜き勾配によるバッキング収容孔とバッキングとの隙間は、長手方向一端側と他端側とでその差を小さくできる。したがって、ラバーホルダはバッキングを長手方向に均等に支持し易くなる。よって、連結されるワイパアームからの付勢力をバッキングの長手方向に均等に伝達し易くなり、払拭性を良好とすることができる。又、バッキング収容孔の長手方向一端にパーティングラインを設定し長手方向の一端から他端まで連続した一つの抜き勾配が形成されたものに比べて、ラバーホルダはバッキング収容孔の最大の高さ方向の幅を小さくすることができ、ひいてはラバーホルダの高さ方向のサイズの小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0053】
11…ブレードラバー、11a…上部、12…バッキング、13…ラバーホルダ、13a…軸挿通孔(支持部)、13b…バッキング収容孔、13c…ブレードラバー収容孔、13d…壁部、13e…貫通部、13f,13g,31,32…抜き勾配、13h,13i,33,34…ラバー側抜き勾配、16…クリップ(ワイパアーム連結部材)、P1…パーティングライン、P2…ラバー側パーティングライン、W1…範囲、X…軸中心。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8