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特許6244461情報指向ネットワークのための動的なinterest転送のメカニズム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244461
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】情報指向ネットワークのための動的なinterest転送のメカニズム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/721 20130101AFI20171127BHJP
【FI】
   H04L12/721 Z
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-532348(P2016-532348)
(86)(22)【出願日】2014年8月4日
(65)【公表番号】特表2016-531507(P2016-531507A)
(43)【公表日】2016年10月6日
(86)【国際出願番号】EP2014066752
(87)【国際公開番号】WO2015018802
(87)【国際公開日】20150212
【審査請求日】2016年4月1日
(31)【優先権主張番号】13306124.2
(32)【優先日】2013年8月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペリーノ,ディエゴ
(72)【発明者】
【氏名】カロフィーリオ,ジョバンナ
(72)【発明者】
【氏名】ロッシ,ダリオ
(72)【発明者】
【氏名】ロッシーニ,ジュゼッペ
【審査官】 宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/108383(WO,A1)
【文献】 山本 幹,コンテンツオリエンテッドネットワーク,電子情報通信学会論文誌,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2013年 6月 1日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00−12/26,12/50−12/955
G06F13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツ指向ネットワークノードのインターフェースを介してパケットを管理する方法であって、方法は、
ノードの第1のインターフェースを介して少なくともデータパケットのリクエストを受信するステップと、
ノードによりデータパケットが格納されている場合、受信したリクエストの第1のインターフェースを介してデータパケットを転送するステップと、そうでない場合、
探索ステップを
ネイバノードへのノードのインターフェースの集合から第2のインターフェースをランダムに選択し、
第2のインターフェースを介してリクエストを転送し、
それに応じて第2のインターフェースを介して、ネイバノードにより推定された、データパケットのコピーへの関連する時間配信値と共にデータパケットを受信し、
ネイバノードへのノードのインターフェースの集合から、ベストなインターフェースである第3のインターフェースを選択し、
第3のインターフェースを介してリクエストを転送し、
それに応じて第3のインターフェースを介して、ネイバノードにより推定されたパケットのコピーへの関連する時間配信値と共にデータパケットを受信することにより実行するステップと、
探索ステップの結果に基づいて、最小データパケット配信時間値を提供するインターフェースを識別するステップとを含む、方法。
【請求項2】
リクエストを転送し、データパケットを戻りとして受信するために、最小データパケット配信時間を提供する識別されたインターフェースを使用し、
データパケットのために、識別されたインターフェースを介して推定された関連する最小時間配信値を受信することにより実行される活用ステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
探索ステップ中、最小時間配信値を提供するインターフェースがまだ識別されていない場合、リクエストを同時に、ランダムに選択されたインターフェースとして、データパケットの永久コピーへのインターフェースを介して転送する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
探索ステップ中、最小時間配信値を提供するインターフェースが識別されている場合、リクエストを同時に、ランダムに選択されたインターフェースとして、識別されたインターフェースを介して転送する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
探索ステップが第1のイベントまで実行され、第1のイベントは所定数のデータパケットの受信である、請求項2から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
活用ステップが前記第1のイベントに続いて実行される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
活用ステップが第2のイベントまで実行され、第2のイベントは推定される最小時間配信値に応じた閾値に達することである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
活用ステップが第3のイベントまで実行され、第3のイベントは最大で所定数のデータパケットの受信である、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
探索ステップが第2のイベントまたは第3のイベントに続いて実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
配信時間値を参照する情報がノードの転送情報ベースに格納される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
データパケットのリクエストが所定の期間ノードにより何も転送されない場合、前記情報がノードの転送情報ベースから削除される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
データパケットのリクエストが受信され情報がノードの転送情報ベースで利用可能でない場合、前記情報が初期化される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
受信したデータパケットをノードのコンテンツストアに格納するステップと、受信したデータパケットをリクエストの受信に使用されたインターフェースを介して転送するステップとをさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
コンテンツ指向ネットワークノードのインターフェースを介してパケットを管理するコンテンツ指向ネットワークノードであって、ノードは
ノードの第1のインターフェースを介して、少なくともデータパケットのリクエストを受信し、
ノードによりデータパケットが格納されている場合、受信したリクエストの第1のインターフェースを介してデータパケットを転送し、そうでない場合、
探索ステップを
ネイバノードへのノードのインターフェースの集合から第2のインターフェースをランダムに選択し、
第2のインターフェースを介してリクエストを転送し、
それに応じて第2のインターフェースを介して、ネイバノードにより推定されたパケットのコピーへの関連する時間配信値と共にデータパケットを受信し、
ネイバノードへのノードのインターフェースの集合から、ベストなインターフェースである第3のインターフェースを選択し、
第3のインターフェースを介してリクエストを転送し、
それに応じて第3のインターフェースを介して、ネイバノードにより推定された、データパケットのコピーへの関連する時間配信値と共にデータパケットを受信することにより実行し、
探索ステップの結果に基づいて、最小データパケット配信時間値を提供するインターフェースを識別するように構成される、コンテンツ指向ネットワークノード。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成される、コンテンツ指向ネットワークノード。
【請求項16】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法のステップに対応する指示を実行するためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ指向ネットワーク(Content Centric Networking:CCN)の技術分野に関し、特にCCNノードでの動的リクエスト転送を実現するメカニズムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報指向ネットワーク(Information Centric Networking:ICN)、コンテンツ指向ネットワーク(CCN)または名前付きデータネットワーク(Named data networking:NDN)は、通信がホストアドレスではなく名前付きデータを中心とする新しいネットワークモデルを導入してきた。実際、CCNでは各データパケットが、その物理的位置ではなく一意の名前により識別され、アドレス指定され、取得される。すべてのネットワークノードは、同じコンテンツへの将来のリクエストに応えるために転送するデータを格納する能力がある。この目的のため、ネットワークノードにキャッシュやバッファメモリなどの強化されたストレージ性能を備えさせることが可能である。実際、ストレージリソースは、分から時間、または日単位までの期間にわたってネットワークで拡散される一時コンテンツの複製を維持するために使用され得る。異なる複製の利用可能性は、コンテンツの人気度、キャッシュ置換ポリシーなどの複数の要因に基づいており、またリクエスト転送ポリシーの影響を受ける。用語「リクエスト転送ポリシー」はここで広くまた非制限的に、ノードを含むネットワーク内のコンテンツリクエストの転送を管理する方法/ルールを参照する。実際、リクエスト転送ポリシーは、より良いエンドユーザパフォーマンス(例:データ配信時間)の提供や、ネットワークで転送されるデータ量の減少、つまり低ネットワーク負荷の提供という点で重要な役割を果たす。
【0003】
CCNでは、コンテンツ項目/ファイルは、可変サイズであり得る構成要素Bの階層的な名前により一意に識別される一連のチャンクに分割される。例えば、構成要素Bは「/bell_labs/video/talks.avi/chunk1」であり得る。以下の例を考慮することにより、構成要素B−1は、コンテンツ項目名(/bell_labs/video/talks.avi)を識別し、最後の構成要素はチャンク名(chunk1)を指定する。CCNのサーバは、ルーティングプロトコルによりサービス提供できるコンテンツ項目のプレフィックスの集合(ここでは/bell_labs/video/または/bell_labs/)、つまり永久格納された項目のプレフィックスをアナウンスする。これらのアナウンスを受信するネットワークノードは、その転送/ルーティングテーブルをそれに応じて構築する。例えば、ネットワークノードはそのルーティングテーブルに、ファイルの永久コピーへの遅延という観点からの最短パスを格納する。次いでファイルのチャンクは、リクエストされたチャンクの永久コピーを格納するサーバにネットワークノードにより転送されるInterestパケットを介して、受信機からリクエストされる。
【0004】
ここでInterestパケットはパケット型であり、コンテンツ項目/ファイルについての興味/リクエストを参照する。本文献で参照されている他のパケット型はDataパケットであり、コンテンツの興味/リクエスト(つまりInterestパケット)に応じて送信されるデータに対応する。実際、Dataパケットは、コンテンツ項目/ファイルのチャンクであり得る。Interestパケットは、一致するチャンク(つまりDataパケット)がリバースパスを介して元の要求側にたどり着くために追跡できるトレースを残す。一致するチャンクは、一時コピーをキャッシュしている各ノードで、または永久コピーが格納されているサーバで見つけることができる。実際、1つのInterestパケットは1つのDataパケットを取得することができる。したがって、一連のInterestパケットは、一連のDataパケット、つまり例えばビデオファイルなどの大きなコンテンツのチャンクを取得することを可能にする。
【0005】
Miura H.他、「Content routing with network support using passive measurement in content distribution networks」(XP 010610865)は、ユーザのリクエストが、コンテンツ取得の遅延の改善という観点から適切なサーバに導かれるコンテンツ配信ネットワークに関する。往復時間パッシブ測定は、ネットワーク遅延およびサーバ処理遅延が応答時間の支配的な要因である両方の状況で、ユーザ応答時間を改善することができる。
【0006】
EP 2 323 346は、コンテンツネットワークでの適応性のあるマルチインターフェースの使用に関する。方策(strategy)レイヤを構成することにより、個々のパケットを処理することなく実装されたポリシーを管理できる接続性エージェントが提案されている。接続性エージェントは、複数のインターフェースから選択するためのルールにより、方策レイヤを構成することができる。
【0007】
図1は、Interestパケットを受信した時の手順を示す。Interestパケットが、着信インターフェース上のノードにより受信されると(ステップ101)、ノードはキャッシュ/バッファメモリなどのそのコンテンツストア(CS)でコンテンツが利用可能かを確認する(ステップ102)。コンテンツが利用可能な場合、CSはリクエストされたDataパケットを着信インターフェースに送り返す(ステップ103)。そうでない場合、ノードは保留中のリクエストについてそのPending interest Table(PIT)で確認する、つまりこのコンテンツが既にこのインターフェースを介して上方にリクエストされたかを確認する(ステップ104)。PITにエントリが見つかると、着信インターフェースがこのコンテンツを待機していることを追跡するために、PITが更新される(ステップ105)。PITエントリが見つからなければ、新しいエントリが作成され、Interestパケットは、背景技術では転送情報ベース(FIB)として参照されている、転送テーブルに格納されているコンテンツ名プレフィックスへのプレフィックスの最長の一致を介して決定された1つまたは複数のインターフェースに転送される(ステップ106)。さらに、ノードは他の利用可能なルートを発見し、Interestパケットを転送するために(ステップ108)、FIBで特定されていないインターフェースを調べることもできる(ステップ107)。
【0008】
ここで図2を参照すると、Dataパケットを受信した時の手順が示されている。Dataパケットがノードに受信されると(ステップ201)、ノードはそのPITにある保留中のリクエストを確認する(ステップ202)。保留中のリクエストが見つかると、Dataパケットは最初にノードCSに格納される。ノードはそのCS、PITおよびFIBエントリを更新し(それぞれステップ203、204、205)、DataパケットをPITにリストされているようにすべての要求側インターフェースに転送する(ステップ206)。例えば、Dataパケットが受信されると、ノードはパケットの受信元であるインターフェースの品質(例えばラウンドトリップ時間(RTT)、ホップ数)についてのそのFIB情報を更新し得る。一致するPITエントリが見つからなければ、Dataパケットは破棄される(ステップ207)。
【0009】
実際、Interestパケットの受信に続いて、理想的な名前ベースのルーティングプロトコルは、ユーザリクエストを「ベストな」(つまりネットワーク内で、パス/時間の観点から最も近い)利用可能な複製に転送するために、各コンテンツ項目(つまりDataパケット)のすべての一時コピーにアドレスを指定しなければならなくなることがある。それにもかかわらず、以下の理由からこれは明らかにCCNで実行不可能である:
− ネットワークスケールの観点から、CCNは異なるアプリケーションのコンテンツを含み、小さな制御されたネットワーク領域に限定されることを意図していない。
− 時間スケールの観点から、ネットワークノードに格納された一時コピーは揮発性が高く、頻繁なルート更新によるシグナリングオーバーヘッドは過剰であることがある。
− ノード転送テーブル(つまりFIB)サイズは既に懸案事項であり、ネットワークにキャッシュされた一時的な複製ではなく、永久コンテンツコピーのみを考慮している。
【0010】
一方で、一時的なコンテンツの複製を発見し活用できる動的転送のメカニズムの利用は、エンドユーザパフォーマンスおよびネットワークプロバイダのコストという観点から、著しい恩恵を提供することができる。
【0011】
この問題を解決する1つのアイディアは、CCNネットワークの複数のパスについてのノードFIBの知識を想定し、転送の方策により直接活用され得る永久コピーに導くことである。しかしながらこのことは、永久コピーの利用可能性情報を配布するルーティングプロトコルを必要とすることがあり、したがってリクエストを一時コピーに転送するように適用されることができないことがある。
【0012】
名前付きデータネットワーク(NDN)フレームワークに対する既存の動的転送の手法の1つは、定期的にインターフェースを調査し、それらのそれぞれに対して統計を集めることに依存している。コンテンツに対して、あるインターフェースが現在活用されているものよりも良いと推定された場合、転送プレーンはそのインターフェースに切り替えられる。この提案は効率的に思えるが、エンドユーザの観点からより良いパフォーマンス(例:データスループット)を提供することと、ネットワークのコスト(例:データ負荷)を減らすことは依然として必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2323346号明細書
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Miura H.他、「Content routing with network support using passive measurement in content distribution networks」(XP 010610865)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
1つの目的は、前述の問題に対する解決策を提供し、先行技術に対する他の利点を提供することである。
【0016】
他の目的は、CCNノードでの動的リクエスト転送を実現するメカニズムを提供することである。
【0017】
他の目的は、エンドユーザパフォーマンスを改善することである。
【0018】
他の目的は、ネットワークのコストを減らすことである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
様々な実施形態が、上記で定められた問題の1つまたは複数の効果に取り組むことを目的としている。以下は、様々な実施形態のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、実施形態の簡潔な概要を提示する。この概要は、これら様々な実施形態の徹底的な概説ではない。重要な要素の鍵を特定すること、またはこれら様々な実施形態の範囲を詳述することを意図したものではない。いくつかの概念を、後に考察されるより詳細な説明の前置きとして簡潔な形で提示することのみを目的としている。
【0020】
様々な実施形態は、コンテンツ指向ネットワークノードのインターフェースを介してパケットを管理する方法に関し、方法は以下のステップを含む。
− ノードのインターフェースを介して、少なくともデータパケットのリクエストを受信するステップ。
− ノードによりデータパケットが格納されている場合、受信したリクエストのインターフェースを介してデータパケットを転送するステップ。
【0021】
そうでない場合、
− 少なくともネイバノードへのインターフェースをランダムに選択し、
選択されたインターフェースを介してリクエストを転送し、
それに応じてランダムに選択されたインターフェースを介して、ネイバノードにより推定された関連する最小時間配信値と共にデータパケットを受信することにより、
探索ステップを実行するステップ。
− 探索ステップの結果に基づいて、最小データパケット配信時間値を提供するインターフェースを識別するステップ。
【0022】
広範な態様に従って、方法はさらに以下により実行される活用ステップを含む。
− リクエストを転送し、データパケットを戻りとして受信するために、最小データパケット配信時間を提供する識別されたインターフェースを使用すること。
− データパケットのために、識別されたインターフェースを介して推定された関連する最小時間配信値を受信すること。
【0023】
広範な態様に従って、方法は、受信したデータパケットをノードのコンテンツストアに格納し、受信したデータパケットをリクエストの受信に使用されたインターフェースを介して転送する、ICNの標準的な操作を必要とする。
【0024】
さらに、様々な実施形態はパケットを管理するコンテンツ指向ネットワークノードに関し、ノードは以下のように構成される。
− ノードのインターフェースを介して、少なくともデータパケットのリクエストを受信する。
− ノードによりデータパケットが格納された場合、受信したリクエストのインターフェースを介してデータパケットを転送する。
【0025】
そうでない場合、
− 少なくともネイバノードへのインターフェースをランダムに選択する。
− ランダムに選択されたインターフェースを介してリクエストを転送する。
− それに応じてランダムに選択されたインターフェースを介して、ネイバノードにより推定された関連する最小時間配信値と共にデータパケットを受信する。
− 探索ステップの結果に基づいて、最小データパケット配信時間値を提供するインターフェースを識別する。
− リクエストを転送し、データパケットを戻りとして受信するために、最小データパケット配信時間を提供する識別されたインターフェースを使用する。
− データパケットのために、識別されたインターフェースを介して推定された関連する最小時間配信値を受信する。
− 受信したデータパケットをコンテンツストアに格納し、受信したデータパケットをリクエストの受信に使用されたインターフェースを介して転送する。
【0026】
様々な実施形態はさらに、上記の方法を実行するコンピュータプログラム製品に関する。
【0027】
様々な実施形態には様々な変更形態や代替形態が可能であるが、その特定の実施形態は図面により例として示されている。しかしながら、特定の実施形態についての本明細書の説明は、様々な実施形態を開示された特定の形態に限定することを意図されていないことが理解されよう。
【0028】
もちろん、そのような実際の実施形態の開発においては、実装に特有の決定が、システム関連およびビジネス関連の制約に順守するなどの開発者の特定の目標を達成するためになされることが理解されよう。そのような開発の努力は時間がかかることがあるが、しかしながらこの開示から恩恵を得る当業者にとっては日常的な理解であることが理解されよう。
【0029】
様々な実施形態の目的、利点および他の特徴は、以下の開示および請求項からより明らかになるであろう。好ましい実施形態の以下の非制限的な説明は、付随する図面と関連して例示のみを目的として与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】先行技術に基づく、Interestパケットの受信手順を示す概略図である。
図2】先行技術に基づく、Dataパケットの受信手順を示す概略図である。
図3】様々な実施形態に基づく、動的なinterest転送のメカニズムの遷移フェーズを示す概略図である。
図4】様々な実施形態に基づく、Interestパケットを受信した時の動的なinterest転送のメカニズムの動作の詳細を示す図である。
図5】様々な実施形態に基づく、Dataパケットを受信した時の動的interest転送のメカニズムの動作の詳細を示す図である。
図6】様々な実施形態に基づく、先行技術による動的なinterest転送のメカニズムのパフォーマンスを示す図である。
図7】様々な実施形態に基づく、先行技術による動的interest転送のメカニズムのパフォーマンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の実施形態では、以下を可能にする動的リクエストのメカニズムを提供することが提案される。
− ルーティングテーブルでアドレスを指定されていないコンテンツ項目の一時コピーへのパスを発見する。
− 継続的なData配信を保証しネットワークオーバーヘッドを抑制しつつ、「ベスト」なパフォーマンスのインターフェース(特定のメトリックに基づいて)にコンテンツ項目のリクエストを転送する。
【0032】
一実施形態において、動的リクエストのメカニズムはルーティングに強化学習の手法を活用し、それをCCNキャッシュネットワークの状況に拡張する。
【0033】
先行技術での知られている強化学習の手法の1つは、Qルーティングである。Qルーティングアルゴリズムでは、ネットワークの各ノードは、他のノードへのパケットの配信時間などの学習情報からそのルーティングテーブル/FIBを構築する。これらの情報はQ値として参照され、すべての可能性のある宛先ノードdに対して、ノードiのネイバノードvそれぞれを介して、各ノードiによりそのFIBに格納される。Qi(d,v)はQ値であり、パケットがネイバノードのうちネイバノードvを介して転送された場合、ノードiからノードdへのパケットの配信時間を表す。Qルーティングアルゴリズムでは、ノードiによるパケットの転送は、最小のQ値Qi(d,v)、つまり最小の配信時間を持つ所与の宛先ノードdに対して、ネイバノードvへのインターフェースを選択することから成る。ネイバノードvを介して転送される各パケットに対して、ノードiはそれに応じて、ノードvとのインターフェースを介して、ノードvに対して推定された最小の配信時間であるvの「ベストな」Q値、つまりmink_in_neighbours(v)Qv(d,k)を受信する。ノードiの関連するQ値は、次いで以下のように更新される:
Qi(d,v)=(1−η)・Qi(d,v)+η・(mink_in_neighbours(v)Qv(f,k)+rtti,v)、
ここでηは「学習率」と称される値であり、fはInterestパケットを参照するファイルであり、rtti,vはノードiとvとの間の往復遅延を意味する。
【0034】
Q値という用語はまた、品質値またはメトリック値とも称され、それぞれのメトリックと関連付けられる。メトリックが時間遅延の配信時間である場合、例えば第1ノードIから第2ノードdへのパケットの実際の配信時間は実際のQ値を表す。「ベストな」という用語は、ベストな値またはベストなインターフェースと称され、どちらも関連するメトリックのベストな値(最小または最大)と関連付けられる。
【0035】
実際、Qルーティングの手法は、ノード間のリンク接続またはネットワークのストレージ容量の進化など、動的状況の存在下でのそれぞれの最短パス転送に対するパフォーマンスを改善する効率的な方法を提供する。
【0036】
好ましい実施形態では、強化学習の手法は、分散型のQ学習を実装することにより、Qルーティングに基づき得る。この分散型の強化学習は、CCNネットワークの各ネットワークノードで実行される。実際、INFORMとも称される動的なInterest転送のメカニズム(INterest FORrwarding Mechanism)がCCNネットワークの各ノードに実行される。
【0037】
少なくとも1つのInterestパケットからリクエストされることができる少なくとも所与のファイルf/Dataパケットに対して、ノードiは、I(i)値のv個のネイバノードに対して、そのFIBにQi(f,v)値の集合を維持する。I(i)はノードiのインターフェースの集合を意味する。これらの値は、探索フェーズの間に計算され更新される。この探索フェーズでは、ノードが各インターフェースと関連付けられているファイルf/Dataパケットに対する最初にヒットしたキャッシュへの残留遅延(rtti,v)という観点から、コスト/報酬を学習するために、インターフェースを調べる。上述のように、Q値の更新ステップは、所与のInterestパケットを転送するために選択されたネイバノードvの最小のQ値の知識を活用する。この値は、返りのDataパケットでピギーバックされる。Q値は次いで、Interestパケットを転送するベストな利用可能インターフェースを識別するために、活用フェーズで使用される。
【0038】
図3に関連して、INFORMの遷移フェーズの詳細が説明される。このメカニズムは、所与のDataパケット/ファイルfへのInterestパケット(つまりリクエスト)が受信され、対応するQ値がノードFIBで利用可能でない場合に、I(i)値のネイバノードv(ノードiのインターフェースの集合)に対して、Q値Qi(f,v)の集合をノードiで初期化することによって開始する(ステップ301)。次いで第1の探索フェーズが開始する(ステップ302)。このような初期の探索フェーズの目標は、リクエストされたDataパケットの配信を保証しつつ、I(i)値の異なるインターフェースに対するQ値を計算/更新することである。この目的のため、ノードiは、着信Interestパケットを転送するためにI(i)値のインターフェースをランダムに選択し、また同時に遅延の観点から最短パスを提供するインターフェースを介してInterestパケットを、ファイル/Dataパケットの永久コピーに転送する。忘れないように、コンテンツ項目サーバのアナウンスに従って、最短パスもノードFIBに格納される。実際、ファイルの永久コピーの使用は、探索フェーズ中のDataパケット配信の保証を可能にする。
【0039】
探索フェーズはNr個のチャンクまで存続する(矢印303)、つまりNr個のInterestパケットはノードiによりI(i)値のランダムに選択されたインターフェースに送信され、Nr個のDataパケットはこれらのインターフェースを介して、ベストな(つまり最小)推定配信時間値により送り返される。この探索フェーズの間、Interestパケットも、遅延の観点から最短パスを提供するインターフェースを介してファイル/Dataパケットの永久コピーに転送される。次いで、Q値が上述のQ値更新ステップの方法に従って更新される。その後、最小の配信遅延を提供するインターフェースkが識別される。つまり、Q(f,k)=minv_in_I(i)Q(f;v)であり、そのQ値は格納される。つまり、Qmin(f)=Q(f,k)。
【0040】
ベストなインターフェースはノードの複数のインターフェースの1つであり、メトリックに割り当てられており、それぞれのメトリックに従って最大または最小のメトリック値を持つ。そのようなメトリックはCCNの第1のノードから第2のノードへの遅延、リンクコストまたはノードコスト、ホップ数または他の何らかの可能なメトリックであり得る。それで例えば、ベストなインターフェースはさらなるノードへの最短パスアルゴリズムに決定される複数の値の最小値を持つインターフェースであることがあり、最短パスは以前の探索フェーズで発見されたものである。
【0041】
探索フェーズの後(ステップ302)、活用フェーズが開始する(ステップ304)。このフェーズの目的は、探索フェーズで収集された各インターフェースと関連付けられたコスト/報酬遅延についての情報(Q値)を活用することである。そうするために、Interestパケットはベストなインターフェースkのみを介して、つまり識別されたインターフェースを介して転送され、データパケットに最小時間配信値を提供する。Dataパケットは、関連する最小時間配信値を持つ同じ識別されたインターフェースを介して送り返される。したがって、活用フェーズの間、識別されたインターフェース配信時間を参照する対応するQ(f,k)値は、依然として更新される唯一のQ値である。このメカニズムは、以下の状況まで活用フェーズにとどまる。
− Dataパケット配信時間値に応じている閾値に達する。つまり|Qmin(f)−Q(f,k)|/Qmin(f)>δ、ここでδは閾値である。このイベントは、システムの状態が変わったことと、Q値が更新される必要があることを示す。
− Nt個のチャンクの継続期間、つまり最大でNt個のDataパケットの受信まで。このイベントはまた、ベストなインターフェースのQ値が著しく変わっていないにも関わらず、他のインターフェースの状態が変わったために必要とされる。
【0042】
結果として、活用フェーズ(ステップ304)の後、このイベントの1つが発生すると(矢印305)、アルゴリズムは探索フェーズ(ステップ302)に戻る。既に言及したように、これは動的なコンテンツの利用可能性を処理するために、またそれに応じてQ値を更新するために必要とされる。第1の探索フェーズの実行とは異なり、すべての続く探索では、Interestパケット(つまりデータパケットのリクエスト)はランダムに選択されたインターフェースに転送され、同時に以前に決定されたベストなインターフェースk(以前の最短パスのインターフェースではなく)に転送される。この探索フェーズの最後に(つまりNr個のチャンクの後)、最小遅延の提供する新しいインターフェースk’が識別される。つまり、Q(f,k’)=minv in I(i)Q(f,v)であり、最小のQ値は更新される。つまりQmin(f)=Q(f,k’)であり、アルゴリズムは活用フェーズ(ステップ304)に戻る(矢印303)。
【0043】
最後に、所与のファイルf/Dataパケットと関連付けられたQ値は、Te時間単位の期間更新されない場合(矢印306)、つまりファイルf/DataパケットへのInterestパケットが期間Teの間ノードにより何も転送されない場合、削除される(ステップ307)。この状況は、探索フェーズまたは活用フェーズの間、差別なく発生し得る。
【0044】
図4はCCNネットワークのノードiによる、インターフェースjから転送されるDataパケットへのInterestパケットを受信した時に、INFORMにより実行される操作の詳細を示している。リクエストされたDataパケットがノードのCS(例えばバッファメモリ)にある場合、それは次いでそれをリクエストしたインターフェースjを介して送信される。最小値Qmin(f)も、それらのQ値を更新するために下流ノードにより使用されるので、Dataパケットに追加される。そうでない場合、Dataパケットへの保留中のリクエストがノードPITになく、かつINFORMが探索フェーズにある場合、Interestパケットはランダムインターフェースを介して、またベストなインターフェースを介して(または第1の探索の場合は遅延の観点から最短パスへのインターフェースを介して)転送される。あるいは、アルゴリズムが活用フェーズにある場合、Interestパケットはベストなインターフェースkにのみ転送される。
【0045】
実施形態によれば、コンテンツ指向ネットワークノードを操作する方法は、探索フェーズ302を含み、探索フェーズ302は以下のステップを含む。すなわち、データパケットの第1のリクエストを受信するステップ、第1のリクエストによりリクエストされたデータパケットがノードにより格納されていないかを決定し、第1のリクエストによりリクエストされたデータパケットがノードにより格納されていない場合、第1のリクエストを第1のインターフェースiを介して転送し、第1のリクエストによりリクエストされたデータパケットがノードにより格納されていない場合、第1のリクエストを第2のインターフェースkを介して転送するステップ。
【0046】
実施形態によれば、第1のインターフェースiはランダム選択方式に従って複数のインターフェースから選択され、第2のインターフェースkは第1のメトリックに依存する選択方式に従って複数のインターフェースから選択される。
【0047】
実施形態によれば、ランダム選択方式は、複数のインターフェースを介した一様分布に従って第1のインターフェースiを決定するステップを含む。
【0048】
実施形態によれば、ランダム選択方式は以下を含む。すなわち、それぞれのインターフェースに割り当てられるメトリック値Qに比例する複数のインターフェースのそれぞれへの確率を割り当てるステップと、第1のインターフェースjを、割り当てられた確率に従って複数のインターフェースから決定するステップ。
【0049】
実施形態によれば、メトリックに依存する選択方式は以下を含む。すなわち、最短パスアルゴリズムに従って第2のインターフェースkを決定するステップ。ここで最短パスアルゴリズムは、コンテンツ指向ネットワークのファイルfに対する遅延に基づいて、事前に実行される。
【0050】
実施形態によれば、活用フェーズ304は探索フェーズ302の後に実行され、活用フェーズ304は以下を含む。すなわち、データパケットの第2のリクエストを受信するステップと、第2のリクエストによりリクエストされたデータパケットがノードにより格納されていないかどうかを決定するステップ。
【0051】
実施形態によれば、方法は以下を含む。すなわち、第2のリクエストによりリクエストされたデータパケットがノードにより格納されていない場合、リクエストを第3のインターフェースを介してのみ転送するステップ。
【0052】
実施形態によれば、第3のインターフェースは第2のメトリックに依存する選択方式に従って複数のインターフェースから選択される。
【0053】
実施形態によれば、データパケットの最小時間配信値が閾値に達した場合、活用フェーズ304が終了し、探索フェーズ302が開始する。所定数のデータパケットが受信されると、探索ステップ302が終了し、活用ステップ304が開始する。
【0054】
実施形態によれば、ノードは複数インターフェースのそれぞれおよびコンテンツ指向ネットワークの各ファイルfに対してメトリック値Qを維持する。ここでメトリック値Qはコンテンツ指向ネットワークにあるファイルfに対する遅延を表す。
【0055】
実施形態によれば、第1のインターフェースおよび/または第2のインターフェースおよび/または第3のインターフェースを介した第1および/または第2および/または第3のリクエストに応じて、データパケットおよびデータパケットと関連付けられたメトリック値Q、特にネイバノードにより推定された起点からネイバノードへのデータパケットに対する最小時間配信値が受信され、メトリック値Qが格納される。
【0056】
実施形態によれば、第1または第2のリクエストのメトリック値Qが比較され、最小または最大値の形式のベストなメトリック値Qがそれぞれのメトリックに従って決定され、第2および/または第3のインターフェースkはそれぞれのインターフェースと関連付けられたベストなメトリック値Qに従って選択される。図5は、CCNネットワークのノードiにより、ネイバノードvからのインターフェースj上のDataパケットが受信された時に、INFORMにより実行される操作を示している。受信したDataパケットをそのCS(キャッシュなど)に格納した後、該当するファイルfの着信インターフェースjと関連付けられたQ値が更新される。最後に、Dataパケットのリクエスト側インターフェースのリストがノードiのPITから検索され、Dataパケットは目的のインターフェースに転送され、次いでPITエントリは最後に削除される。
【0057】
開示されたメカニズムで達成可能なパフォーマンスの例示として、図6および図7はいくつかのシナリオ下でのパケットレベルのシミュレーションにより取得された結果を報告している。
【0058】
すべてのシナリオで、ネットワークトポロジーはErdos−RenyiグラフG(n、ρ)としてモデル化されており、nはノードの数、ρは2つのノードを接続しているリンクが存在する確率である。bはユーザが接続されているn個のノード内の境界ルータの数、s<=nはネットワークに接続されたコンテンツサーバの数と想定している。
【0059】
本明細書では、n=22、b=8、s=1およびρ=0.3と想定されている。さらに、各ノードはコンテンツカタログのc=15%のキャッシュサイズを備えており、Least Recently Used(LRU)置換ポリシーを実装していると想定している。境界ルータおよびサーバの配置はランダムに生成され、結果は複数のシミュレーション実行の平均であり、キャッシュウォームアップ期間は考慮されない。ユーザは、強度λ=1リクエスト(毎秒境界ルータごと)のポアソン過程に従って、コンテンツリクエストを生成する。10^5のコンテンツ項目(つまりファイル)のカタログが選択され、その人気度はα=1のZipf分布である。また、各コンテンツ項目は、コンテンツサーバsに永久に格納されている100個の独立Dataパケットから成ると想定されている。最後に、ノードのFIBは、永久コンテンツ項目コピーの1つへの最小遅延パスに対する次のホップ情報で構成されている。
【0060】
図6および図7で、INFORMは最小遅延パス転送および現在利用可能な既存の解決策のうちベストなものの1つと考えられているNDN転送方式と比較される。
【0061】
そうするために、2つのメトリックが本明細書で考慮される:
− 所与のパケットへのクライアントのInterestの表現と、対応するDataパケットの受信との間の経過時間を表すDataパケット配信時間。
− 1つの時間単位でのネットワークを介して負っているDataパケットの平均数として定義されているData負荷。
【0062】
さらに、学習率はη=0.7に、探索フェーズの継続期間はNr=50チャンクに、活用フェーズの継続期間はNt=100チャンクに設定されている。
【0063】
図6の曲線(a)は、平均のDataパケット配信時間を、クライアントとサーバとの間の利用可能なパス数を決定するネットワーク接続性に応じて(つまり、任意の2つのノードが接続されている確率ρ)報告している。ネットワーク接続性が増加するにつれて、配信時間が減少することがはっきりと観察される。ネットワークのリンク数が増加するにつれて、クライアントとサーバとの間の距離が減少し、結果として配信時間も減少する。INFORMはすべての接続性の値に対して3つのメカニズムのうち最小の配信時間を提供する。特に、単純な最小遅延パス転送に関して18−33%のパフォーマンス改善を、NDN転送方策に関して10−33%のパフォーマンス改善を提供する。パフォーマンスギャップは接続性と共に増加し、INFORMが増加するパス数をよりよく活用できることを証明している。
【0064】
図6の曲線(b)は、平均のDataパケット配信時間を、キャッシュサイズに応じて示している。キャッシュサイズが増加するにつれて配信時間がはっきりと減少することが観察される(追加のストレージが何らかの追加の恩恵を提供しなくなるまで)。さらに、INFORMはすべてのキャッシュサイズに対して他のアルゴリズムよりパフォーマンスが優れており、NDN転送方策に関して22−25%の改善を、最小遅延パス転送に関して5−26%の改善を提供する。
【0065】
図7の曲線(a)および(b)は、Data負荷を、ネットワーク接続性およびキャッシュサイズそれぞれに応じて報告している。INFORMはNDN転送方式よりも少ないトラフィックを生成するが、最小遅延パス転送よりも明らかに多いトラフィックを生成することが観察される。ネットワーク接続性またはキャッシュサイズが増加するにつれて、Data負荷は最小遅延パス転送に対して減少する。それとは異なり、INFORMおよびNDNに対しては、接続性およびキャッシュサイズが増加するにつれて、Data負荷は初めに増加し、次いで減少する。追加のネットワークのリンクまたはストレージ容量は、これらのアルゴリズムに発見される一時項目の複製の利用可能性を増加させる。その結果、リクエストは、それらの複製に到達するためにより長いパスを介して転送され、より高いData負荷をもたらすことになる。特定の閾値の後、より多くのリンクまたは追加のストレージ容量が項目の利用可能性を増加させず、ただクライアントと項目のコピーとの間の距離を短くすることのみによりネットワークの負荷を減少させるので、負荷は減少する。
【0066】
有利には、上述の実施形態はエンドユーザパフォーマンス(つまり配信時間)およびネットワークのコスト(ネットワークの負荷の減少)という観点から現在の既存の解決策のパフォーマンスよりも明らかに優れている、動的なリクエスト転送のメカニズムを提供することを可能にする。
【0067】
有利には、開示された実施形態は、ベストなパフォーマンスを提供するためにCCNノード、またより広範には高速なネットワーク機器内での動的な転送アルゴリズムの実装を実現可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7