(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
グリオキシル酸等の化合物をストレートアイロンと組み合わせて用いる上述の従来技術による方法によって毛髪の半永久的な直毛化が達成される。しかしながら、毛髪構造及び髪のまとまりを更に改善すると共に直毛化効果の持続性を高めることが望まれている。
【0020】
本発明は、後に定義する式(I)で表される少なくとも1種のカルボン酸及び/又はその水和物及び/又はその塩を含む直毛化組成物を用いて毛髪の直毛化処理を行った後に、特定の洗浄組成物及び/又は特定のコンディショニング組成物を、その持続性を改善するためのアフターケア製品として使用する方法を提供することにより、この課題を解決する。
【0021】
本発明のプロセスにおいては、上に定義した段階(a)〜(f)により毛髪の半永久的直毛化が達成される。永久的直毛化とは、毛髪形状を不可逆的に変化させることを指し、これは、ジスルフィド結合を硫黄系還元剤又は強アルカリで開裂した後、新たに形付けられた形状を固定するために、それぞれ酸化を行うか又はランチオニンを形成することによって達成されるものである。一方、この永久的直毛化とは異なり、半永久的直毛化とは、毛髪形状の変化が可逆的であることを意味し、従って、直毛化された毛髪は一定回数の洗浄サイクルを経ると元の形状に戻ることになる。しかしながら、段階(a)〜(f)に従い半永久的直毛化を実施した後に後処理として段階(g)を実施すると、直毛化効果を実質的に長持ちさせることができる。
【0022】
1.直毛化組成物
直毛化組成物は、活性成分として次式(I)で表される少なくとも1種のカルボン酸を含む。
【0024】
〔式中、Rは、水素、COOH、CN、置換されていてもよいC
1〜C
10アルキル、置換されていてもよいC
2〜C
10アルケニル、置換されていてもよいC
2〜C
10アルキニル、置換されていてもよいC
3〜C
10シクロアルキル、置換されていてもよいC
6〜C
10アリール及び置換されていてもよい5〜10員環のヘテロアリール基から選択され、アルキル基の任意の置換基は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ及びC
1〜C
4アルコキシから選択され、他の基の任意の置換基は、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、C
1〜C
4アルキル及びC
1〜C
4アルコキシから選択される。〕
【0025】
このカルボン酸の好ましい例として、グリオキシル酸、ピルビン酸及び2-ケト酪酸を挙げることができる。
【0026】
式(I)のカルボン酸は、本組成物中に、遊離酸形態で含有させることができる。この酸の酸基に隣接するカルボニル基は水和形態で存在することもできる。遊離酸及びその水和物形態ではなく、酸の塩又は水和物も用いることができる。
【0027】
式(I)の酸の水和物は、本発明の組成物を水溶液として提供した場合に生成させることができる。例えば、グリオキシル酸(H−CO−COOH)は、水溶液中においてほぼ定量的な量が水和物(H−C(OH)
2−COOH)として存在する。更に、この水和物は縮合して二量体になる可能性もある。
【0028】
式(I)のカルボン酸の塩を使用することもできる。その例として、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、及びマグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩を挙げることができる。
【0029】
本発明において、より好ましい式(I)のカルボン酸は、グリオキシル酸、及びその水和物形態である。
【0030】
式(I)で表される少なくとも1種のカルボン酸及び/又はその水和物及び/又はその塩の濃度は、直毛化組成物の総重量を基準として0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜25重量%、更に好ましくは2.5〜20重量%である。
【0031】
直毛化組成物のpH(常温(25℃)で直接測定)は、4.0以下、好ましくは0.5〜3.5、より好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2.5である。組成物のpHは、公知のアルカリ性溶液、好ましくは水酸化ナトリウム溶液を用いて調整することができる。
【0032】
上に述べたように、従来の永久的な毛髪変形/直毛化技法は、ジスルフィド架橋の再構成に基づいており、硫黄系還元剤又はアルカリ剤のいずれかによるジスルフィド結合の開裂に続いて、毛髪の形付けを行い、新たな結合(即ち、それぞれ、酸化剤の作用により形成されるジスルフィド結合又はチオエーテル結合)を形成することを含む。このような永久的な直毛化方法とは異なり、本発明はジスルフィド結合の開裂も、新たな形状での結合の固定も利用しない。従って、本発明の直毛化組成物には硫黄系還元剤を存在させる必要がなく、好ましくは硫黄系還元剤を含まない。しかしながら、組成物の重量を基準として計算して2重量%までであれば、硫黄系還元剤が組成物の直毛化性能を妨げることはない。従って、本発明の処理組成物の硫黄系還元剤の含有率は2重量%未満であり、好ましくは硫黄系還元剤を含まない。
【0033】
直毛化組成物は、好適には、後に定義する界面活性剤及び/又はコンディショニング剤等の更なる成分を含むことができ、好適には、溶液、エマルジョン、クリーム、ジェル、ペースト及び/又はムースの形態をとることができる。
【0034】
界面活性剤としては、洗浄組成物に関連して後に定義するアニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性/両イオン性界面活性剤のうちの1種以上を使用することができる。その濃度は、好適には、直毛化組成物の重量を基準として0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%とすることができる。
【0035】
コンディショニング成分としては、コンディショニング組成物に関連して後に定義するシリコーン、カチオン性ポリマー、オイル成分、脂肪族アルコール及びカチオン界面活性剤のうちの1種以上を使用することができる。その濃度は、好適には、直毛化組成物の重量を基準として0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%とすることができる。
【0036】
直毛化組成物には、使用感を改善するためのコンディショニング成分として、シリコーン化合物を含有させることが好ましい。
【0037】
更に、直毛化組成物は、化粧品分野において従来使用されている防腐剤、キレート剤、安定剤、酸化防止剤、植物エキス、紫外線吸収剤、ビタミン類、染料、香料等の更なる成分を含むことができる。
【0038】
更に直毛化組成物は、1剤型組成物として処方することもできるし、或いは、別々に保管して毛髪に適用する前に混合するA剤及びB剤を含む2剤型組成物(A剤は式(I)で表されるカルボン酸を含み、B剤は、香料、界面活性剤又はコンディショニング成分のうちの少なくとも1種を含む)として処方することもできる。2剤型組成物においては香料の安定性が改善されることが確認されている。
【0039】
2.洗浄組成物(シャンプー)
本発明に使用される洗浄組成物(シャンプー)に関しては、上に定義した式(I)で表される少なくとも1種のカルボン酸及び/又はその水和物及び/又はその塩を含むものであれば特に制限されない。
【0040】
洗浄組成物における式(I)で表される少なくとも1種の化合物の濃度は、洗浄組成物の重量を基準として、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.2〜5重量%、更に好ましくは0.2〜4重量%、一層好ましくは0.2〜3重量%、より一層好ましくは0.25〜2.5重量%である。一般に、直毛化効果を維持するという観点から、この化合物の含有量を0.2%以上とすることが好ましい。
【0041】
洗浄組成物は、洗浄効果を得るために、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選択される1種以上の界面活性剤を、組成物全体の重量を基準として、通常5〜50重量%の濃度で含む。好ましくは、界面活性剤の総濃度は、洗浄組成物の重量を基準として7.5〜30重量%、より好ましくは10〜25重量%である。
【0042】
好ましくは、本発明の洗浄組成物は、少なくとも1種のアニオン界面活性剤、好ましくはアルキルエーテルサルフェート型のアニオン界面活性剤を含む。本発明の洗浄組成物は、このアニオン界面活性剤に加えて、更に少なくとも1種の非イオン界面活性剤及び任意的な少なくとも1種の両性界面活性剤も含むことが更に好ましい。
【0043】
更に好ましい実施形態においては、洗浄組成物は、少なくとも1種のアニオン界面活性剤、好ましくはアルキルエーテルサルフェート型のアニオン界面活性剤と、少なくとも1種の非イオン界面活性剤、好ましくはアルキルポリグルコシドと、少なくとも1種の両性界面活性剤、好ましくはアルキルアミドアルキルベタイン型の両性界面活性剤とを含む。より好ましくは、組成物は、これらのアニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤に加えて、アシルアミノカルボン酸界面活性剤、好ましくはラウロイルグルタミン酸ナトリウムを更に含む。
【0044】
好ましくは、本発明の洗浄組成物は、使用感を改善するために1種以上のコンディショニング剤(好ましくは、コンディショナーに関し後に定義するカチオン性ポリマー及びシリコーン化合物から選択される)も含有することができる。
【0045】
1種以上のコンディショニング剤を添加する場合、その濃度は、好適には、洗浄組成物の重量を基準として0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%とすることができる。
【0046】
洗浄組成物のpH値は4以下である。皮膚に刺激を与える危険性を回避すると共に使用時の安全性及び保存安定性を高める目的から、pHは1.5を超えることが好ましい。従って、pH値は、好ましくは1.5〜4.0、より好ましくは2〜3.5、更に好ましくは2.5〜3.0である。組成物のpH値は常温(25℃)で直接測定され、必要に応じて調整することができる。
【0047】
更に、洗浄組成物は、化粧品分野において従来使用されている防腐剤、キレート剤、安定剤、酸化防止剤、植物エキス、紫外線吸収剤、ビタミン類、染料、香料等の更なる成分を含むことができる。
【0048】
アニオン界面活性剤
洗浄組成物は、1種以上のアニオン界面活性剤を、好適には、洗浄組成物の1〜約30重量%、好ましくは2〜20重量%、より好ましくは2〜15重量%、更に好ましくは3〜10重量%の濃度で含むことが好ましい。
【0049】
アニオン界面活性剤の種類は特に制限されない。実施例にはそれぞれサルフェート型、スルホネート型、カルボキシレート型及びアルキルホスフェート型のアニオン界面活性剤が含まれる。
【0050】
サルフェート型アニオン界面活性剤の例としては、C
10〜C
18アルキルサルフェート及びアルキルエーテルサルフェートを挙げることができる。アニオン界面活性剤の好ましい例としては、シャンプー組成物に慣用されているもの、例えば、公知のC
10〜C
18アルキルサルフェート、特にそれぞれのエーテルサルフェート、例えば、C
12〜C
14アルキルエーテルサルフェート、ラウリルエーテルサルフェート、特に1分子当たり1〜4個のエチレンオキシド基を有するもの;モノグリセリド(エーテル)サルフェート;脂肪酸アルカノールアミドをエトキシル化し、続いて硫酸エステル化することにより得られる脂肪酸アミド硫酸エステル及びそのアルカリ塩が挙げられる。
【0051】
アルキルホスフェート型のアニオン界面活性剤を使用する場合は、好ましくは、皮膚適合性が高いマイルドな洗剤の構成成分である長鎖モノ−及びジアルキルリン酸エステルの塩を使用することができる。
【0052】
本発明の範囲内において有用な更なるアニオン界面活性剤は、α−オレフィンスルホネート又はその塩、特にスルホコハク酸ハーフエステルのアルカリ塩、例えば、モノオクチルスルホコハク酸の二ナトリウム塩及び長鎖モノアルキルエトキシスルホコハク酸のアルカリ塩である。
【0053】
好適なカルボキシレート型の界面活性剤は、下記式で表され、ヒドロキシアルキルで置換されていてもよいアルキルポリエーテルカルボン酸及びその塩、
【0054】
R
1−O−(C
2H
4O)
n−CH
2COOX
【0055】
〔式中、R
1は、C
8〜C
20アルキル基、好ましくはC
12〜C
14アルキル基であり、nは1〜20の数、好ましくは2〜17の数であり、XはHであるか或いは、好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウム及びアンモニウムの群の陽イオンである〕
並びに下記一般式で表されるアルキルアミドポリエーテルカルボン酸である。
【0057】
〔式中、R
1及びXは上記と同義であり、nは、特に1〜10の数、好ましくは2.5〜5の数である。〕
【0058】
この種の製品は既に知られており、例えば、「AKYPO(登録商標)」及び「AKYPO-SOFT(登録商標)」の商品名で市販されている。
【0059】
同じく有用なものとして、イセチオン酸C
8〜C
20アシル(単独又は他のアニオン界面活性剤との混合物として)並びにスルホ脂肪酸及びそのエステルが挙げられる。
【0060】
数種のアニオン界面活性剤の混合物、例えば、エーテルサルフェート及びポリエーテルカルボン酸又はアルキルアミドエーテルカルボン酸の混合物を使用することも可能である。
【0061】
他のアニオン界面活性剤として、C
8〜C
22アシルアミノカルボン酸又はその水溶性塩も好適である。特に好ましいものとして、N-ラウロイルグルタミン酸塩(特にナトリウム塩として)、並びに、例えば、N-ラウロイルサルコシン、N-C
12〜C
18アシルアスパラギン酸、N-ミリストイルサルコシン、N-オレオイルサルコシン、N-ラウロイルメチルアラニン、N-ラウロイルリシン及びN-ラウロイルアミノプロピルグリシン、好ましくはこれらの水溶性アルカリ塩又は水溶性アンモニウム塩、特にナトリウム塩の形態(好ましくは、上に挙げたアニオン界面活性剤との混合物)が挙げられる。
【0062】
本発明の意義の範囲内における最も好ましいアニオン界面活性剤は、ラウリルエーテルサルフェート等のアルキルエーテルサルフェート及びラウロイルグルタミン酸ナトリウム等のアミノカルボン酸である。
【0063】
非イオン界面活性剤
洗浄組成物は、1種以上の非イオン界面活性剤を、好適には洗浄組成物の重量を基準として1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%の濃度で含むことが好ましい。
【0064】
好ましい非イオン界面活性剤は、下記一般式で表されるアルキルポリグルコシドである。
【0066】
〔式中、R
2は8〜18個の炭素原子を有するアルキル基であり、R
3はエチレン基又はプロピレン基であり、Zは5〜6個の炭素原子を有する糖基であり、nは0〜10の数であり、xは1〜5の数である。〕
【0067】
最近、これらのアルキルポリグルコシドは、リキッドタイプの洗剤及びボディ用洗浄組成物中で、特に皮膚適合性が非常に高い泡質改善剤となることが知られるようになっている。
【0068】
アニオン界面活性剤及びアルキルポリグルコシドの混合物だけでなく、リキッドタイプのボディ用洗浄組成物におけるその使用も、例えばEP第70074A号明細書から知られている。当該明細書に開示されているアルキルポリグルコシドは、基本的に、本発明の範囲内においても適しており、EP第358216A号明細書に開示されているスルホコハク酸エステル及びアルキルポリグルコシドの混合物も同様に適している。
【0069】
更なる非イオン界面活性剤成分も存在させることができ、例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドやミリスチン酸ジエタノールアミド等の長鎖脂肪酸ジアルカノールアミドを増泡剤として使用することもできる。
【0070】
他の更に有用な非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコールソルビタンステアリン酸エステル等の様々なソルビタンエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル又はエチレンオキシド−プロピレンオキシドの縮重合物(例えば、「Pluronics(登録商標)」の商品名で市販)並びに脂肪族アルコールエトキシレートが挙げられる。
【0071】
更なる好適な非イオン界面活性剤はアミンオキシドである。この種のアミンオキシドは従来知られており、例えば、C
12〜C
18アルキルジメチルアミンオキシド(ラウリルジメチルアミンオキシド等)、C
12〜C
18アルキルアミドプロピルアミンオキシド又はC
12〜C
18アルキルアミドエチルアミンオキシド、C
12〜C
18アルキルジ(ヒドロキシエチル)アミンオキシド又はC
12〜C
18アルキルジ(ヒドロキシプロピル)アミンオキシドに加えて、アルキル鎖中にエチレンオキシド基及び/又はプロピレンオキシド基を有するアミンオキシドが挙げられる。この種のアミンオキシドは、例えば、「Ammonyx(登録商標)」、「Aromox(登録商標)」又は「Genaminox(登録商標)」の商品名で市販されている。
【0072】
本発明による洗浄組成物に有用な更なる非イオン界面活性剤はC
10〜C
22脂肪族アルコールエトキシレートである。その中でも特に適しているのがC
10〜C
22脂肪族アルコールエーテル、CTFA命名法に従う一般名「ラウレス(Laureth)」、「ミリステス(Myristeth)」、「オレス(Oleth)」、「セテス(Ceteth)」、「デセス(Deceth)」、「ステアレス(Steareth)」及び「セテアレス(Ceteareth)」として知られるアルキルポリグリコールエーテル(エチレンオキシド分子の数を付記したもの、例えば「ラウレス-16(Laureth-16)」を含む)である。
【0073】
平均エトキシル化度は、一般に2.5〜25、好ましくは10〜20である。
【0074】
最も好ましい非イオン界面活性剤は、デシルポリグルコシドやココイルポリグルコシド等のアルキルポリグルコシド及びラウレス-16等のエトキシル化脂肪族アルコールである。
【0075】
両性/両イオン性界面活性剤
本発明に係る洗浄組成物は、更なる界面活性剤成分として、両性又は両イオン性界面活性剤を、例えば、組成物全体の重量を基準として約1重量%〜約15重量%、好ましくは約2重量%〜約10重量%の濃度で更に含むことができる。
【0076】
両イオン性又は両性界面活性剤を添加することにより、クリーミーさや泡量という意味での泡感触が向上すると共に皮膚適合性も改善されることが見出された。
【0077】
洗浄組成物を低刺激性処方物とするためには、アニオン界面活性剤(好ましくはサルフェート型のもの)を両性界面活性剤と共に10:1〜1:1、好ましくは5:1〜1:1の重量比で含有させることが好ましい。
【0078】
この両性界面活性剤として、アルキルベタイン、脂肪酸アミドアルキルベタイン、スルホベタイン(例えば、ラウリルヒドロキシスルホベタイン)等の公知のベタインを使用することができる。ココアミノアセテートやココアミノプロピオネート等の長鎖アルキルアミノ酸並びにココアンホプロピオン酸ナトリウム及びココアンホ酢酸ナトリウムも適していることが分かっている。
【0079】
詳細には、下記構造で表されるベタイン、
【0081】
〔式中、R
4はC
8〜C
18アルキル基であり、nは1〜3である。〕
下記構造で表されるスルホベタイン、
【0083】
〔式中、R
4及びnは上記と同義である。〕
及び下記構造で表されるアミドアルキルベタインを使用することも可能である。
【0085】
〔式中、R
4及びnは上記と同義である。〕
【0086】
最も好ましい両性界面活性剤はラウリルベタインやココイルベタイン等のアルキルベタイン及びコカミドプロピルベタイン等のアルキルアミドベタインである。
【0087】
3.コンディショニング組成物(コンディショナー)
本発明に使用されるコンディショニング組成物(コンディショナー)は、上に示した一般式(I)で表される少なくとも1種の化合物及び/又はその水和物及び/又はその塩を含むものであれば特に制限されない。
【0088】
本発明のコンディショニング組成物は、リーブオンタイプの組成物(濡れた毛髪又は乾燥させた毛髪のいずれかに適用し、そのまま洗い流さないもの)であることが好ましい。また、コンディショナーは、リンスオフタイプのコンディショナー(毛髪に適用し、一定時間放置した後、毛髪から洗い流すもの)とすることができる。
【0089】
本発明のコンディショナーは、適用方式に関わらず、溶液、分散液、エマルジョン、フォーム又はゲルの形態とすることができる。これらの組成物は、単純に手の中で伸ばしてから毛髪全体に均等に行き渡るようにして適用してもよく、或いは何らかの装置又は加圧されたエアゾール容器で毛髪に噴霧することによって適用することもできる。
【0090】
コンディショナーは上の式(I)で表される化合物を、組成物の重量を基準として0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.2〜5重量%、更に好ましくは0.2〜4重量%、一層好ましくは0.2〜3重量%、より一層好ましくは0.25〜2.5重量%の範囲の濃度で含むことがこのましい。一般に、直毛化効果を維持するという観点から、この化合物の含有量を0.2%以上とすることが好ましい。
【0091】
式(I)で表される化合物に加え、本発明のコンディショナーは1種以上のコンディショニング成分を含む。一般に、コンディショニング成分の例としては、カチオン性ポリマー、シリコーン、高級アルコール、有機コンディショニングオイル(例えば、炭化水素油、ポリオレフィン及び脂肪酸エステル)及びカチオン界面活性剤が挙げられる。コンディショニング成分は1種のみを使用することも、或いは2種以上を組み合わせて使用することも可能である。コンディショニング成分は毛髪に付着し、感触及び髪のまとまりを改善する。
【0092】
通常、本発明のコンディショナーは、カチオン性ポリマー、シリコーン化合物及びカチオン界面活性剤から選択される少なくとも1種のコンディショニング成分を含む。これに加えて、本発明のコンディショナーは、好ましくは、更なるコンディショニング成分として少なくとも1種のオイル成分及び/又は脂肪族アルコールを含む。
【0093】
コンディショニング成分の濃度は、一般に、組成物全体の重量を基準として0.1〜90重量%の範囲にある。好ましくは、コンディショニング成分の含有量は、コンディショニング組成物の重量を基準として0.2〜30重量%、より好ましくは0.5〜20重量%の範囲にある。
【0094】
本発明のコンディショナーは、好ましくは水性組成物であり、組成物全体の重量を基準として水を少なくとも10重量%含む。
【0095】
コンディショニング組成物のpH値は4以下である。皮膚刺激の危険性を回避すると共に使用時の安全性及び保存安定性を改善するためにpHは1.5を超えることが好ましい。従って、pH値は、好ましくは1.5〜4.0、より好ましくは2〜3.5、更に好ましくは2.5〜3.0である。本発明の組成物のpH値は常温(25℃)で直接測定され、必要に応じて調整することができる。
【0096】
更に本発明のコンディショニング組成物は、化粧品分野において従来から使用されている防腐剤、キレート剤、安定剤、酸化防止剤、植物エキス、紫外線吸収剤、ビタミン類、染料、香料等の更なる成分を含むことができる。
【0097】
カチオン性ポリマー
カチオン性ポリマーは、カチオン性基又はカチオン性基にイオン化可能な基を有するポリマーであり、一般に、全体の実効電荷がカチオン性となる両性ポリマーもこの用語に包含される。即ち、カチオン性ポリマーは、高分子鎖の側鎖にアミノ基若しくはアンモニウム基を含むポリマー又は構成単位としてジアリル四級アンモニウム塩を含むポリマーであり、その例として、カチオン化セルロース、カチオン性デンプン、カチオン化グアーガム、ジアリル四級アンモニウム塩の重合体又は共重合体、及び四級化ポリビニルピロリドンが挙げられる。その中でも、シャンプー時の柔軟性、滑らかさ及び指通り、並びに乾燥時のまとまり易さ及び保湿性という観点と、剤の安定性という観点とから、構成単位としてジアリル四級アンモニウム塩を含むポリマー、四級化ポリビニルピロリドン及びカチオン化セルロースが好ましく、ジアリル四級アンモニウム塩の重合体及び共重合体並びにカチオン化セルロースがより好ましい。
【0098】
ジアリル四級アンモニウム塩の重合体又は共重合体の具体例としては、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体(ポリクオタニウム-6、例えば、マーコート100;ナルコ社製)、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム-22、例えば、マーコート280、マーコート295;ナルコ社製)及びジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸アミド共重合体(ポリクオタニウム-7、例えば、マーコート550;ナルコ社製)が挙げられる。
【0099】
四級化ポリビニルピロリドンの具体例としては、ビニルピロリドン(VP)及びメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体と硫酸ジエチルとから合成される第四級アンモニウム塩(ポリクオタニウム11、例えば、ガフコート734、ガフコート755及びガフコート755N(いずれもアイエスピー・ジャパン社製))が挙げられる。
【0100】
カチオン化セルロースの具体例としては、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリドをヒドロキシエチルセルロースに付加することにより得られる第四級アンモニウム塩の重合体(ポリクオタニウム10、例えば、レオガードG及びレオガードGP(いずれもライオン株式会社)、ポリマーJR-125、ポリマーJR-400、ポリマーJR-30M、ポリマーLR-400及びポリマーLR-30M(いずれもアマーコール社製)及びヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリドの共重合体(ポリクオタニウム-4、例えば、セルコートH-100、セルコートL-200(いずれもナショナル・スターチ・アンド・ケミカル社製)が挙げられる。
【0101】
カチオン性ポリマーは2種以上を併用することができる。更に、カチオン性ポリマーの含有量が高くなるとその効果はより高くなるが、含有量が過度に高いと安定性を損なう可能性があり、剤単独の粘度又は混合時の粘度が低下する可能性がある。こうした観点と、手触りを向上するという観点とから、カチオン性ポリマーの含有量は、コンディショニング組成物の重量を基準として、好ましくは0.001〜20重量%、より好ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは0.05〜5重量%である。
【0102】
シリコーン
コンディショナーは、使用感を改善するためにシリコーンを含むことが好ましい。シリコーンの例としては、ジメチルポリシロキサン及び変性シリコーン(例えば、アミノ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等)が挙げられ、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン及びアミノ変性シリコーンが好ましい。
【0103】
ジメチルポリシロキサンとしては環状又は非環状ジメチルシロキサンポリマーのいずれかを用いることができ、その例として、SH200シリーズ、BY22-019、BY22-020、BY11-026、B22-029、BY22-034、BY22-050A、BY22-055、BY22-060、BY22-083、FZ-4188(いずれも東レ・ダウコーニング社製)、KF-9008、KM-900シリーズ、MK-15H及びMK-88(いずれも信越化学工業社製)が挙げられる。
【0104】
ポリエーテル変性シリコーンとしては、ポリオキシアルキレン基を有する任意のシリコーンを用いることができ、ポリオキシアルキレン基を構成する基は、オキシエチレン基又はオキシプロピレン基とすることができる。より具体的には、例えば、KF-6015、KF-945A、KF-6005、KF-6009、KF-6013、KF-6019、KF-6029、KF-6017、KF-6043、KF-353A、KF-354A、KF-355A(いずれも信越化学工業社製)、FZ-2404、SS-2805、FZ-2411、FZ-2412、SH3771M、SH3772M、SH3773M、SH3775M、SH3749、SS-280Xシリーズ、BY22-008M、BY11-030及びBY25-337(いずれも東レ・ダウコーニング社製)が挙げられる。
【0105】
アミノ変性シリコーンとしては、アミノ基又はアンモニウム基を有する任意のシリコーンを用いることができ、その例として、末端ヒドロキシル基の全部又は一部がメチル基等で末端封止されたアミノ変性シリコーンオイル及び末端封止されていないアモジメチコンが挙げられる。好ましいアミノ変性シリコーンとして、例えば次式で表される化合物を用いることができる。
【0107】
〔式中、R'は、ヒドロキシル基、水素原子又はR
Xを示し;R
Xは、1〜20個の炭素原子を有する置換又は無置換の1価の炭化水素基を示し;Dは、R
X、R"-(NHCH
2CH
2)
mNH
2、OR
X又はヒドロキシル基を示し;R"は、1〜8個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を示し;mは、0〜3の数を示し;p及びqは、数平均の総和が10以上20,000未満、好ましくは20以上3000未満、より好ましくは30以上1000未満、更に好ましくは40以上800未満となる数を示す。〕
【0108】
好適なアミノ変性シリコーンの市販品の具体例としては、アミノ変性シリコーンオイル(SF8452C、SS-3551(いずれも東レ・ダウコーニング社製)、KF-8004、KF-867S、KF-8015(いずれも信越化学工業社製));及びアモジメチコンエマルション(SM8704C、SM8904、BY22-079、FZ-4671、FZ-4672(いずれも東レ・ダウコーニング社製))が挙げられる。
【0109】
本発明のコンディショニング組成物におけるこれらのシリコーンの総含有量は、組成物の総重量を基準として、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%である。
【0110】
オイル成分
コンディショナーは、使用感を改善するために有機コンディショニングオイルも含有することができる。コンディショニング成分として使用するのに適した有機コンディショニングオイルは、好ましくは、低粘度かつ水に不溶な液体であり、少なくとも10個の炭素原子を有する炭化水素油、ポリオレフィン、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、ポリアルキレングリコール及びこれらの混合物から選択される。この種の有機コンディショニングオイルの粘度(40℃で測定)は、好ましくは1〜200mPa・s、より好ましくは1〜100mPa・s、更に好ましくは2〜50mPa・sである。粘度の測定には毛細管粘度計を使用することができる。
【0111】
炭化水素油の例としては、環状炭化水素、直鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)及び分岐脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)が挙げられ、これらのポリマー又は混合物も包含される。直鎖炭化水素油は、好ましくは12〜19個の炭素原子を有する。分岐炭化水素油としては、好ましくは19個を超える炭素原子を有する炭化水素ポリマーが挙げられる。
【0112】
ポリオレフィンは、液状ポリオレフィン、より好ましくは液状ポリ-α-オレフィン、更に好ましくは水素化液状ポリ-α-オレフィンである。本発明において使用されるポリオレフィンは、4〜14個の炭素原子、好ましくは6〜12個の炭素原子を有するオレフィンモノマーを重合することにより調製される。
【0113】
脂肪酸エステルとしては、例えば、少なくとも10個の炭素原子を有する脂肪酸エステルを用いることができる。この種の脂肪酸エステルの例としては、脂肪酸及びアルコールから誘導された炭化水素鎖を有するエステル(例えば、モノエステル、多価アルコールエステル又はジ及びトリカルボン酸エステル)が挙げられる。この脂肪酸エステルの炭化水素基は、置換基として適合性を有する他の官能基(アミド基、アルコキシ基等)を有していてもよいし、或いは炭化水素基がこれらの官能基に共有結合していてもよい。より具体的には、10〜22個の炭素原子を有する脂肪酸鎖を有する脂肪酸のアルキルエステル及びアルケニルエステル、10〜22個の炭素原子を有するアルキル及び/又はアルケニルアルコールから誘導される脂肪族鎖を有する脂肪族アルコールのカルボン酸エステル並びにこれらの混合物が好適に使用される。これらの好ましい脂肪酸エステルの具体例としては、イソステアリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、アジピン酸ジヘキサデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ステアリン酸オレイル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸オレイル、酢酸ラウリル、プロピオン酸セチル及びアジピン酸ジオレイルが挙げられる。
【0114】
更なる好適なオイル成分は、流動パラフィン、天然トリグリセリド等の天然オイルである。
【0115】
好適な天然トリグリセリドは、アルガン油、シアバター油、カリテ油、オリーブ油、アーモンド油、アボカド油、ヒマシ油(ricinus oil)、ヤシ油、パーム油、ゴマ油、落花生油、ヒマワリ油、モモ核油、コムギ胚芽油、マカデミアナッツ油、マカデミア油、月見草油、ホホバ油、ヒマシ油(castor oil)、ダイズ油、ラノリン、トケイソウ油、ブラッククミン油、ボラージ油、グレープシード油、麻実油、ククイナッツ油及びローズヒップ油である。
【0116】
有機コンディショニングオイルは2種以上を組み合わせて使用することもでき、その総濃度は、通常、コンディショニング組成物の総重量を基準として0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%の範囲にある。
【0117】
アルコール
コンディショナーは、触感及び安定性を改善するという観点から、8個以上の炭素原子を含む高級アルコールも含むことができる。通常、高級アルコールは、8〜24個の炭素原子、好ましくは16〜22個の炭素原子を有する。その具体例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール及びこれらの混合物が挙げられる。
【0118】
高級アルコールは2種以上を組み合わせて使用することもでき、その含有量は、コンディショニング組成物の重量を基準として、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%である。
【0119】
更に、ポリオールも組成物中に好適に含有させることができる。ポリアルキレングリコールの例としては、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールが挙げられ、この2種の混合物も使用することができ、或いはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマーを使用することもできる。
【0120】
カチオン界面活性剤
コンディショナーはカチオン界面活性剤も含むことができる。このカチオン界面活性剤は、好ましくは、1個のC
8〜C
24アルキル基及び3個のC
1〜C
4アルキル基を有するモノ長鎖アルキル四級アンモニウム塩である。
【0121】
好ましくは、少なくとも1種のモノアルキル四級アンモニウム界面活性剤は、下記一般式で表される化合物から選択される。
【0123】
〔式中、R
8は、8〜22個のC原子を有する飽和又は不飽和の分岐又は直鎖アルキル鎖、
【0125】
(R
12は、7〜21個のC原子を有する飽和又は不飽和の分岐又は直鎖アルキル鎖であり、nは1〜4の整数である。)、又は
【0127】
(R
12は、7〜21個のC原子を有する飽和又は不飽和の分岐又は直鎖アルキル鎖であり、nは1〜4の整数である。)を示し、
R
9、R
10及びR
11は、互いに独立に、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、1〜4個の炭素原子を有するヒドロキシルアルキル鎖又はエトキシ基若しくはプロポキシ基(エトキシ基又はプロポキシ基の数は1〜4個の間で変化する)を示し、Xは、クロリド、ブロミド、メトサルフェート又はエトサルフェートを示す。〕
【0128】
好適なカチオン界面活性剤は、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、トリメチルセチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド、ステアラミドプロピルトリモニウムクロリド等の長鎖四級アンモニウム化合物であり、これらは単独で使用することもでき、これらの混合物として使用することもできる。
【0129】
カチオン界面活性剤は2種以上を組み合わせて使用することもでき、その含有量は、コンディショニング組成物の総重量を基準として、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%である。
【0130】
4.毛髪処理プロセス
本発明の毛髪処理プロセスは、式(I)で表されるグリオキシル酸等の酸を活性成分として利用することにより半永久的な直毛化を達成するものである。このプロセスによる直毛化効果は、還元によるジスルフィド結合の開裂や強アルカリの作用により達成されるものではない。従って、還元組成物もアルカリ性リラクサー(ランチオニン化剤)も不要である。
【0131】
段階(a)においては、本発明の直毛化組成物を毛髪に適用する。適用される組成物に対する毛髪の重量比は、0.5:2〜2:0.5、好ましくは0.5:1〜1:0.5、より好ましくは約1:1である。
【0132】
直毛化組成物を適用した後、45℃以下の温度、好ましくは常温で直毛化組成物を毛髪上に1〜120分間、好ましくは5〜90分間、より好ましくは10〜60分間、最も好ましくは15〜45分間放置する(段階(b))。次いで任意的に直毛化組成物を毛髪から洗い流す(段階(c))。
【0133】
これに続く段階(d)においては、毛髪をアイロンで処理する後続の段階で水蒸気が過度に発生しないように、毛髪を乾燥させる。通常、この目的にはヘアドライヤーが使用され、温風の温度は通常60〜140℃、好ましくは60〜100℃の範囲にある。この温度は毛髪表面における気流の温度を指す。
【0134】
乾燥させた毛髪をアイロンで処理する(段階(e))。この目的には通常のストレートアイロンを使用することができる。アイロンの表面温度は、毛髪のダメージを防ぐために、250℃以下、好ましくは230℃以下、より好ましくは200℃以下とする。十分な直毛化効果を得るために、アイロンの温度は130℃以上、好ましくは150℃以上、より好ましくは170℃以上とする。アイロンの表面温度は、好ましくは180±50℃、より好ましくは170〜200℃とすることができる。
【0135】
上述の直毛化処理を実施した後、一般式(I)で表される少なくとも1種の化合物及び/又はその水和物及び/又はその塩を含む上に詳述した洗浄組成物及び/又はコンディショニング組成物を用いて毛髪の洗浄及び/又はコンディショニングを行う。
【0136】
毛髪洗浄組成物は従来のシャンプーと同様に使用することができる。シャンプーを毛髪に適用し(シャンプーに対する毛髪の比は、通常1:0.05〜1:0.5)、20〜40℃の温度で1〜5分間毛髪に揉み込んだ後、水で洗い流すのが一般的である。次いで毛髪をタオルドライすることができる。続いてコンディショナー(例えば、本発明品又は従来品)を適用しない場合は、続いて毛髪を乾燥させることができる。乾燥にはヘアドライヤーを使用してもよい。
【0137】
コンディショニング組成物はリンスオフタイプであってもリーブオンタイプであってもよく、従来のヘアコンディショナーと同様に使用することができる。通常、コンディショニング組成物は、シャンプー処理を(好ましくは本発明による洗浄組成物を用いて)行った後の毛髪に適用される。
【0138】
リンスオフタイプのコンディショナーは、シャンプーを洗い流した直後の未だ濡れている毛髪に適用するのが一般的であるが、タオルドライ後の毛髪に適用することもできる。リーブオンタイプのコンディショナーの場合は、タオルドライ後の毛髪に適用するのが一般的である。どちらの場合であっても、コンディショナーは、通常、コンディショナーに対する毛髪の比が1:0.05〜1:1の範囲になるように使用し、20〜40℃の温度で通常1〜15分間毛髪に揉み込む。次いで、リンスオフタイプのコンディショナーの場合は水で毛髪から洗い流す。
【0139】
シャンプー又はコンディショナーを使用した後に毛髪を乾燥させる条件は特に制限されない。毛髪を常温で自然乾燥させることもできるし、或いはヘアドライヤー(温風の温度は、通常60〜140℃、好ましくは60〜100℃である)を使用することもできる。これらの数値は毛髪表面における温度を指す。好適には、この温度は、例えば赤外線温度計等の熱放射検出器を用いた非接触式の熱放射測定により、温風が毛髪に接触している領域をキャプチャすることにより測定することができる。
【0140】
直毛化効果を高めるために、ヘアドライヤーによる乾燥は、毛髪を櫛で連続的に梳かしながら、及び/又はブラシ等を使って毛髪を伸ばした状態に保ちながら、毛髪の量及び長さに応じて通常1〜15分間行うことが好ましい。
【0141】
本発明の洗浄組成物のみ、及び/又は本発明のコンディショニング組成物のみを、例えば、それぞれ従来のコンディショナー及びシャンプーと組み合わせて使用することも可能である。しかしながら、本発明の効果を高めるためには、本発明の洗浄組成物及び本発明のコンディショニング組成物を組み合わせて使用することが好ましい。
【0142】
本発明の洗浄組成物及び/又は本発明のコンディショニング組成物は、直毛化処理の後に使用する唯一のシャンプー又は唯一のコンディショナーとして使用することもできる。或いはこれらを従来のシャンプー及び/又はコンディショナーと共に断続的に使用することもできる。本発明の効果を高めるためには、本発明の洗浄組成物及び/又は本発明のコンディショニング組成物を唯一のシャンプー及び/又は唯一のコンディショナーとして使用することが好ましい。
【0143】
一般式(I)で表される化合物及び/又はその水和物及び/又はその塩を含む本発明の洗浄組成物及び/又は本発明のコンディショニング組成物を用いることによって、一連の段階(a)〜(f)により行われる直毛化及び縮毛矯正の効果の持続時間を実質的に延長することができる。
【実施例】
【0144】
以下、実施例及び試験例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに制限されない。
【0145】
実施例1
直毛化組成物
重量%
グリオキシル酸 10%
アモジメチコン 1%
ヒドロキシエチルセルロース 1%
水酸化ナトリウム pH1.5とする量
水 100とする量
【0146】
シャンプー(洗浄組成物)
本発明(重量%) 比較用(重量%)
ラウレス硫酸ナトリウム 10.0 10.0
コカミドプロピルベタイン 3.0 3.0
ラウロイルグルタミン酸ナトリウム 1.0 1.0
ココグルコシド 1.0 1.0
グリセリルオレエート 1.0 1.0
PEG-18グリセリルオレエート/ココエート 0.5 0.5
乳酸 - 0.6
グリオキシル酸 0.5 -
フレグランス 0.5 0.5
保存料 0.5 0.5
水 100とする量 100とする量
pH 2.8 2.8
【0147】
本発明に係る洗浄組成物と比較用洗浄組成物においては、グリオキシル酸と乳酸の含有量をそれぞれのモル比が等しくなるよう調節した。
【0148】
コンディショニング組成物(洗い流しタイプ)
本発明(重量%) 比較用(重量%)
セテアリルアルコール 4.0 4.0
塩化セトリモニウム 1.0 1.0
ジメチコン 1.0 1.0
グリセリン 0.5 0.5
乳酸 - 0.6
グリオキシル酸 0.5 -
フレグランス 0.5 0.5
保存料 0.5 0.5
水 100とする量 100とする量
pH 2.5 2.5
【0149】
本発明に係るコンディショニング組成物と比較用コンディショニング組成物においては、グリオキシル酸と乳酸の含有量をそれぞれのモル比が等しくなるよう調節した。
【0150】
評価テスト
縮毛サンプル(インディアン系縮毛束、未処理、インターナショナル・ヘア・インポーターズ&プロダクツ(IHIP)、NYより入手。
図1、第一写真参照)を上述の直毛化組成物を用いて直毛化した。
【0151】
毛髪は通常のシャンプーで洗った。タオルドライ後、直毛化組成物を塗布し、40℃で15分そのままにした。続いて、毛髪をヘアドライヤーで乾かした。その後、温度230℃のアイロンで処理した。この毛髪を通常のシャンプーでもう一度洗った(
図1、第二写真参照)。
【0152】
これら毛髪サンプルの後処理として、上述のシャンプー組成物を該サンプルにヘア/シャンプー比約1:0.2で塗布し、1分間このシャンプーでマッサージし、水(37℃)で1分間リンスした。その後、これら毛髪サンプルをタオルドライした。
【0153】
タオルドライ後の毛髪サンプルに、上述のコンディショナーをヘア/コンディショナー比約1:0.5で均一に塗布した。毛髪サンプルをこのコンディショナーにて常温で10分間処理し、水(約37℃)で洗い流し、乾燥させた。
【0154】
このシャンプー/コンディショニングサイクルを10回繰り返した。比較用組成物の結果(
図1、第三写真参照)と本発明組成物の結果(
図1、第四写真参照)を示す。
【0155】
図1に結果を示す(左から右に、(1)本発明の直毛化組成物で処理する前の未処理縮毛;(2)本発明の直毛化組成物で処理し、通常のシャンプーで一回洗った毛髪;(3)乳酸を含む比較用組成物を用いたシャンプー/コンディショニングサイクルを10回実施した後、本発明の直毛化組成物で処理した毛髪;(4)グリオキシル酸を含む本発明組成物を用いたシャンプー/コンディショニングサイクルを10回実施した後、本発明の直毛化組成物で処理した毛髪)。
【0156】
図1から明らかなように、本発明のシャンプー及びコンディショニング組成物で処理した毛髪サンプル(外側右)は、10サイクル後であっても顕著な直毛化効果と縮れの低減を示している。これは、直毛化処理直後のサンプルと同様の結果である(内側左)。しかし、比較用組成物で処理したサンプルに関しては、直毛化効果は10サイクル後に消失し始め、縮れが現れる。
【0157】
纏めると、グリオキシル酸を含むシャンプーとコンディショナーで処理した毛髪は直毛のままであるが、比較用組成物でシャンプー・コンディション処理した毛髪は直毛ではなく再び縮れていることが観察された。
【0158】
この結果、本発明に係るプロセスが直毛化効果の持ちを改善することがわかった。
【0159】
処方例
本発明のプロセス及びキットに有用な直毛化組成物、洗浄組成物(シャンプー)及びコンディショニング組成物を次に示す。
【0160】
実施例2:直毛化組成物
重量%
グリオキシル酸 5
ポリクオタニウム-37 0.7
塩化ステアルトリモニウム 1.5
ジメチコン 1.0
水 100とする量
この組成物のpHは1.8である。
【0161】
実施例3:直毛化組成物
重量%
グリオキシル酸 10
ヒドロキシエチルセルロース 1.1
塩化ベヘントリモニウム 1.5
コカミドMEA 0.5
ジメチコン 1.0
フレグランス 0.8
水 100とする量
この組成物のpHはNaOHで1.9に調整する。
【0162】
実施例4:直毛化組成物
重量%
グリオキシル酸 10
キサンタンガム 0.7
コカミドMEA 1.5
PEG-40水添ヒマシ油 0.5
ジメチコン 1.0
フレグランス 0.8
水 100とする量
この組成物のpHはNaOHで1.8に調整する。
【0163】
実施例5:直毛化組成物
重量%
グリオキシル酸 10
ポリクオタニウム-22 0.7
塩化セトリモニウム 1.5
ジメチコン 1.0
PEG-40水添ヒマシ油 0.5
フレグランス 0.8
水 100とする量
この組成物のpHはNaOHで2.0に調整する。
【0164】
実施例6:洗浄組成物
重量%
ラウレス硫酸ナトリウム 10.0
ココイルベタイン 3.0
ラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム 2.0
デシルグルコシド 4.0
ポリクオタニウム-7 0.5
グリオキシル酸 1.0
塩化ナトリウム 1.0
フレグランス 0.7
保存料 0.5
水 100とする量
この組成物のpHは2.6である。
【0165】
実施例7:洗浄組成物
重量%
ラウレス硫酸ナトリウム 8.0
コカミドプロピルベタイン 4.0
ラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム 3.0
デシルグルコシド 5.0
ポリクオタニウム-7 0.5
ジメチコン 0.2
グリオキシル酸 0.5
グリコールジステアレート 2.0
パンテノール 0.5
塩化ナトリウム 1.0
フレグランス 0.7
保存料 0.5
水 100とする量
この組成物のpHは2.7である。
【0166】
実施例8:洗浄組成物
重量%
ラウレス硫酸ナトリウム 8.0
ラウリルベタイン 4.0
プランタレンPS300 9.5
グリセリルラウレート 1.0
ポリクオタニウム-10 0.5
ジメチコン 0.2
グリオキシル酸 0.75
グリコールジステアレート 2.0
グリセリン 0.5
塩化ナトリウム 0.9
フレグランス 0.5
保存料 0.5
水 100とする量
この組成物のpHは2.9である。
【0167】
実施例9:洗浄組成物
重量%
ラウレス硫酸ナトリウム 9.0
ラウリルベタイン 4.0
ラウロイルグルタミン酸ナトリウム 1.0
プランタレンPS300 9.5
グリセリルラウレート 1.0
ポリクオタニウム-10 0.5
ジメチコン 0.8
アモジメチコン 0.2
グリオキシル酸 0.75
グリコールジステアレート 2.0
グリセリン 0.5
PEG-18グリセリルオレエート/ココエート 0.8
フレグランス 0.5
保存料 0.5
水 100とする量
この組成物のpHは2.9である。
【0168】
実施例10:コンディショニング組成物(洗い流しタイプ)
重量%
セテアリルアルコール 5.0
塩化ベヘントリモニウム 0.8
塩化グアーヒドロキシプロピルトリモニウム 0.3
クオタニウム-80 0.2
パンテノール 0.5
グリオキシル酸 0.5
フレグランス 0.7
保存料 0.5
水 100とする量
この組成物のpHは2.9である。
【0169】
実施例11:コンディショニング組成物(洗い流しタイプ)
重量%
セテアリルアルコール 5.0
ベヘナミドプロピルジメチルアミン 0.8
セテアレス-20 0.8
ジメチコン 0.2
ミリスチン酸イソプロピル 0.2
アーモンド油 0.2
パンテノール 0.5
グリオキシル酸 1.0
ポリクオタニウム-37 0.8
フレグランス 0.7
保存料 0.5
水 100とする量
この組成物のpHは2.6である。
【0170】
実施例12:コンディショニング組成物(洗い流さないタイプ)
重量%
エタノール 20.0
塩化セトリモニウム 0.8
クオタニウム-80 1.0
アーモンド油 0.2
PEG-40水添ヒマシ油 0.8
グリセリン 0.5
1,2-プロピレングリコール 10.0
グリオキシル酸 0.5
フレグランス、保存料 適量
水 100とする量
この組成物のpHは2.5である。
【0171】
実施例13:コンディショニング組成物(洗い流さないタイプ)
重量%
エタノール 20.0
塩化ベヘントリモニウム 0.8
ジメチコンコポリオール 0.2
アルガン油 0.2
PEG-40水添ヒマシ油 0.8
パンテノール 0.5
1,2-プロピレングリコール 10.0
グリオキシル酸 0.5
フレグランス、保存料 適量
水 100とする量
この組成物のpHは2.5である。