特許第6244469号(P6244469)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244469
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】MRIに安全な頻脈用リード
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/05 20060101AFI20171127BHJP
   A61N 1/362 20060101ALI20171127BHJP
   A61N 1/39 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   A61N1/05
   A61N1/362
   A61N1/39
【請求項の数】13
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-542717(P2016-542717)
(86)(22)【出願日】2015年2月25日
(65)【公表番号】特表2017-500154(P2017-500154A)
(43)【公表日】2017年1月5日
(86)【国際出願番号】US2015017473
(87)【国際公開番号】WO2015130753
(87)【国際公開日】20150903
【審査請求日】2016年6月23日
(31)【優先権主張番号】61/945,081
(32)【優先日】2014年2月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505003528
【氏名又は名称】カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アメリ、マスード
(72)【発明者】
【氏名】レディ、ジー.シャンタヌ
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー、ジョセフ
【審査官】 伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05728149(US,A)
【文献】 特表2013−520238(JP,A)
【文献】 特表2011−505182(JP,A)
【文献】 米国特許第07584005(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/05
A61N 1/362
A61N 1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端部、遠位端部、および前記近位端部と遠位端部との間に延びる導体管腔を有する管状部材を含むリード本体であって、前記管状部材は電気絶縁材から製造されている、リード本体と、
前記導体管腔内において前記管状部材の近位端部から前記管状部材の遠位端部に向かって延在する導電体と、
前記リード本体の管状部材上において、その近位端部と遠位端部との間に配置された管状導体要素であって、前記管状導体要素は、該管状導体要素の電気的性質に影響を与えるように該管状導体要素内に形成された1つ以上の切れ込みを有し、前記導電体は前記管状導体要素に電気的に結合されている、前記管状導体要素とを備え
前記管状導体要素は、第1セグメントと、前記第1セグメントから遠位方向に延びる第2セグメントとを含み、前記1つ以上の切れ込みは、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントの電気的性質に影響を与えるように、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントの各々に形成されており、前記第1セグメントは前記第2セグメントよりも高い電気インピーダンスを有し、
前記第1セグメントは、電磁エネルギーの外部供給源の存在下において、前記管状導体要素における誘導電流を抑制するように作用可能である、医療装置リード。
【請求項2】
前記1つ以上の切れ込みは、前記管状導体要素を通過する電流がらせん経路に沿って伝わるように、らせんパターンに形成されている、請求項1に記載の医療装置リード。
【請求項3】
前記1つ以上の切れ込みは一定ピッチを有する、請求項1または2に記載の医療装置リード。
【請求項4】
前記1つ以上の切れ込みは可変ピッチを有する、請求項1または2に記載の医療装置リード。
【請求項5】
前記管状導体要素は、前記第2セグメントから遠位側に延び、前記医療装置リードの電極を画定する第3セグメントをさらに備える、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の医療装置リード。
【請求項6】
前記第1セグメント上に配置された絶縁材の層をさらに備える、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の医療装置リード。
【請求項7】
近位端部、遠位端部、および前記近位端部と遠位端部との間に延びる導体管腔を有する管状部材を含むリード本体であって、前記管状部材は電気絶縁材から製造されている、リード本体と、
前記導体管腔内において前記管状部材の近位端部から前記管状部材の遠位端部に向かって延在する導電体と、
前記リード本体の管状部材上において、その近位端部と遠位端部との間に配置された管状導体要素であって、前記管状導体要素は、該管状導体要素の電気的性質に影響を与えるように該管状導体要素内に形成された1つ以上の切れ込みを有し、前記導電体は前記管状導体要素に電気的に結合されている、前記管状導体要素とを備え、
前記管状導体要素は、第1セグメント、第2セグメント、および第3セグメントを含み、前記第2セグメントは前記第1セグメントから遠位方向に延び、前記第3セグメントは前記第2セグメントから遠位方向に延び、前記1つ以上の切れ込みは、前記第1セグメント、前記第2セグメントおよび前記第3セグメントの各々において形成されており、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントの各々における前記1つ以上の切れ込みは、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントが前記第3セグメントよりも高い電気インピーダンスを有するように構成され
前記第1セグメントは、電磁エネルギーの外部供給源の存在下において、前記管状導体要素における誘導電流を抑制するように作用可能である、医療装置リード。
【請求項8】
近位端部、遠位端部、および前記近位端部と遠位端部との間に延びる導体管腔を有する管状部材を含むリード本体であって、前記管状部材は電気絶縁材から製造されている、リード本体と、
前記導体管腔内において前記管状部材の近位端部から前記管状部材の遠位端部に向かって延在する導電体と、
前記リード本体の管状部材上において、その近位端部と遠位端部との間に配置された管状導体要素であって、前記管状導体要素は、該管状導体要素の電気的性質に影響を与えるように該管状導体要素内に形成された1つ以上の切れ込みを有し、前記導電体は前記管状導体要素に電気的に結合されている、前記管状導体要素とを備え、
前記管状導体要素は、第1セグメント、第2セグメント、および第3セグメントを含み、前記第2セグメントは前記第1セグメントから遠位方向に延び、前記第3セグメントは前記第2セグメントから遠位方向に延び、前記1つ以上の切れ込みは、前記第1セグメント、前記第2セグメントおよび前記第3セグメントの各々において形成されており、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントの各々における前記1つ以上の切れ込みは、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントが前記第3セグメントよりも高い電気インピーダンスを有するように構成され、
前記管状導体要素の第1セグメントおよび第2セグメントが、電磁エネルギーの外部供給源の存在下において、前記管状導体要素における誘導電流を抑制するように作用可能であるように、前記管状導体要素の第1セグメントおよび第2セグメント上に配置された絶縁材の層をさらに備える、医療装置リード
【請求項9】
前記管状導体要素の第3セグメントの外面は、前記第3セグメントがショック電極として作動可能となり得るように絶縁されていない、請求項に記載の医療装置リード。
【請求項10】
近位端部、遠位端部、および前記近位端部と遠位端部との間に延びる導体管腔を有する管状部材を含むリード本体であって、前記管状部材は電気絶縁材から製造されている、リード本体と、
前記導体管腔内において前記管状部材の近位端部から前記管状部材の遠位端部に向かって延在する導電体と、
前記リード本体の管状部材上において、その近位端部と遠位端部との間に配置された管状導体要素であって、前記管状導体要素は、該管状導体要素の電気的性質に影響を与えるように該管状導体要素内に形成された1つ以上の切れ込みを有し、前記導電体は前記管状導体要素に電気的に結合されている、前記管状導体要素とを備え、
前記管状導体要素は、第1セグメント、第2セグメント、および第3セグメントを含み、前記第2セグメントは前記第1セグメントから遠位方向に延び、前記第3セグメントは前記第2セグメントから遠位方向に延び、前記1つ以上の切れ込みは、前記第1セグメント、前記第2セグメントおよび前記第3セグメントの各々において形成されており、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントの各々における前記1つ以上の切れ込みは、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントが前記第3セグメントよりも高い電気インピーダンスを有するように構成され、
前記第3セグメントにおける切れ込みは、それぞれ前記管状導体要素のまわりに部分的に周方向に延び、かつ前記第3セグメントの長さに沿って分散した一連の切れ込みを含み、前記第3セグメントにおける各切れ込みは、電流が前記第3セグメントを通る非直線流路をとるようにさせるために、隣接する切れ込みから周方向に偏倚されている、医療装置リード
【請求項11】
前記導電体は、前記管状導体要素の第1セグメントと第2セグメントと間の移行部に配置された接続位置において、前記管状導体要素に機械的かつ電気的に結合されている、請求項乃至10のいずれか1項に記載の医療装置リード。
【請求項12】
前記第1セグメント、前記第2セグメントおよび前記第3セグメントは、導体材料の単一チューブから形成されている、請求項乃至10のいずれか1項に記載の医療装置リード。
【請求項13】
前記第1セグメント、前記第2セグメントおよび前記第3セグメントのうちの1つ以上は、導体材料の別個のチューブから形成され、その後に溶接接合によって接合されている、請求項乃至10のいずれか1項に記載の医療装置リード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植え込み型医療装置およびその製造方法に関する。より具体的には、本発明は、MRI適合性医療装置リードおよびMRI適合性医療装置リードを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性疼痛、パーキンソン病、心律動異常のような慢性疾患および/または身体障害性疾患に罹患している患者を治療するためには、一般に様々な医療装置が用いられる。これらの医療装置のうち、患者の体内に一時的または恒久的に植え込まれるものは少ない。そのような医療装置としては、神経刺激装置、心臓ペースメーカー、または植え込み型除細動器(implantable cardioverter−defibrillator:ICD)(総じて植え込み型医療装置(Implantable Medical Device:IMD))が挙げられる。
【0003】
一般に、IMDは、植込み型パルス発生器と、心臓と植込み型パルス発生器(implantable pulse generator:IPG)との間で信号を伝達するために用いられる電極を備えた1つ以上の導電リードとを備える。一般に、IMDは患者の身体の胸部に植え込まれる。前記リードはIPGから延びて、1つ以上の心腔を刺激する。前記リードは患者に治療を与えるために用いられ、それぞれ1つ以上の導電ケーブル、電極、および/またはコイルを備える。
【0004】
さらに、いくつかの状況において、IMDを有する患者が核磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging:MRI)の走査を受ける必要がある場合がある。MRIは、磁場および高周波(radio frequency:RF)パルスを用いて、患者の体内の様々な解剖学的構造の画像を生成する非侵襲性の画像診断法である。典型的には、MRIスキャナは、磁石を用いて強力な静磁場を形成し、患者の体内の水素原子の陽子を整合させる。次いで、患者を電磁エネルギーのRFパルスに曝露して、前記陽子をそれらの軸線のまわりでスピンさせる。前記RFパルスが除去されると、これらの陽子は、静磁場と整合したそれらの静止状態に戻る傾向にある。MRIスキャナは、スピンした陽子によって生成された信号を検出し、それらの信号が処理されて画像を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
MRI走査中に、前記RFパルスが患者の体内に植え込まれたリードによって感知されてしまうことがある。MRIエネルギーから生成される誘導電流を最小限にする改善されたリード設計の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施例1において、医療装置リードは、リード本体と、導電体と、管状導体要素とを備える。前記リード本体は、近位端部、遠位端部、および前記近位端部と遠位端部との間に延びる導体管腔を有する管状部材を含み、前記管状部材は電気絶縁材から製造されている。前記導電体は、前記導体管腔内において前記管状部材の近位端部から前記管状部材の遠位端部に向かって延在する。前記管状導体要素は、前記リード本体の管状部材上において、その近位端部と遠位端部との間に配置されている。前記管状導体要素は、該要素の電気的性質に影響を与えるように、該要素内に形成された1つ以上の切れ込み(kerfs)を有し、前記導電体は前記管状導体要素に電気的に結合されている。
【0007】
実施例2では、実施例1の医療装置リードにおいて、前記1つ以上の切れ込みは、前記管状導体要素を通過する電流がらせん経路に沿って伝わるように、らせんパターンに形成されている。
【0008】
実施例3では、実施例1または2の医療装置リードにおいて、前記1つ以上の切れ込みは一定ピッチを有する。
実施例4では、実施例1または2の医療装置リードにおいて、前記1つ以上の切れ込みは可変ピッチを有する。
【0009】
実施例5では、実施例1乃至4のいずれかの医療装置リードにおいて、前記第1セグメントは前記医療装置リードの電極を画定する。
実施例6では、実施例1乃至5のいずれかの医療装置リードにおいて、前記管状導体要素は、第1セグメントと、前記第1セグメントから遠位方向に延びる第2セグメントとを備え、前記1つ以上の切れ込みは、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントの電気的性質に影響を与えるように、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントの各々に形成されており、前記第1セグメントは前記第2セグメントよりも高い電気インピーダンスを有する。
【0010】
実施例7では、実施例6の医療装置リードは、前記第1セグメント上に配置された絶縁材の層をさらに備える。
実施例8では、実施例6または7の医療装置リードにおいて、前記第1セグメントは、電磁エネルギーの外部供給源の存在下において、前記管状導体要素における誘導電流を抑制するように作用可能である。
【0011】
実施例9では、実施例1乃至5のいずれかの医療装置リードにおいて、前記管状導体要素は、第1セグメント、第2セグメント、および第3セグメントを含み、前記第2セグメントは前記第1セグメントから遠位方向に延び、前記第3セグメントは前記第2セグメントから遠位方向に延び、前記1つ以上の切れ込みは、前記第1セグメント、前記第2セグメントおよび前記第3セグメントの各々において形成されており、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントの各々における1つ以上の切れ込みは、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントが前記第3セグメントよりも高い電気インピーダンスを有するように構成されている。
【0012】
実施例10では、実施例9の医療装置リードは、前記管状導体要素の第1セグメントおよび第2セグメントが、電磁エネルギーの外部供給源の存在下において、前記管状導体要素における誘導電流を抑制するように作用可能であるように、前記管状導体要素の第1セグメントおよび第2セグメント上に配置された絶縁材の層をさらに備える。
【0013】
実施例11では、実施例10の医療装置リードにおいて、前記管状導体要素の第3セグメントの外面は、第3セグメントがショック電極として作動可能となり得るように絶縁されていない。
【0014】
実施例12では、実施例9乃至11のいずれかの医療装置リードにおいて、前記導電体は、前記管状導体要素の第1セグメントと第2セグメントと間の移行部に配置された接続位置において、前記管状導体要素に機械的かつ電気的に結合されている。
【0015】
実施例13では、実施例9乃至11のいずれかの医療装置リードにおいて、前記第1セグメント、前記第2セグメントおよび前記第3セグメントは導体材料の単一チューブから形成されている。
【0016】
実施例14では、実施例9乃至11のいずれかの医療装置リードにおいて、前記第1セグメント、前記第2セグメントおよび前記第3セグメントのうちの1つ以上は、導体材料の別個のチューブから形成され、その後に溶接接合によって接合されている。
【0017】
実施例15では、実施例9乃至14のいずれかの医療装置リードにおいて、前記第3セグメントにおける切れ込みは、それぞれ前記管状導体要素のまわりに部分的に周方向に延び、かつ前記第3セグメントの長さに沿って分散した一連の切れ込みを含み、前記第3セグメントにおける各切れ込みは、電流が前記第3セグメントを通る非直線流路をとるようにさせるために、隣接する切れ込みから周方向に偏倚されている。
【0018】
実施例16において、医療装置リードは、リード本体と、導電体と、管状導体要素とを備える。前記リード本体は、近位端部および遠位端部、並びに前記近位端部と遠位端部との間に延びる導体管腔を有する管状部材を含み、前記管状部材は電気絶縁材から製造されている。前記導電体は、前記導体管腔内において前記管状部材の近位端部から前記管状部材の遠位端部に向かって延在する。前記管状導体要素は、前記リード本体の管状部材上において、その近位端部と遠位端部との間に配置されている。前記管状導体要素は、第1セグメントと、前記第1セグメントから遠位方向に延びる第2セグメントと、前記第2セグメントから遠位方向に延びる第3セグメントとを含み、前記セグメントの各々は、各セグメントの電気インピーダンスに影響を与えるように、所定の形態でそのセグメント内に半径方向に形成された1つ以上の切れ込みを備える。第1セグメントおよび第2セグメントの各々における1つ以上の切れ込みは、第1セグメントおよび第2セグメントが第3セグメントよりも高い電気インピーダンスを有するように構成され、前記導電体は前記管状導体要素に機械的かつ電気的に結合されている。前記管状導体要素の第1セグメントおよび第2セグメント上には絶縁材の層が配置されている。前記管状導体要素の第1セグメントおよび第2セグメントは、電磁エネルギーの外部供給源の存在下において、前記管状導体要素における誘導電流を抑制するように作用可能である。前記管状導体要素の第3セグメントの外面は、第3セグメントがショック電極として作動可能となり得るように絶縁されていない。
【0019】
実施例17では、実施例16の医療装置リードにおいて、前記導電体は、前記管状導体要素の第1セグメントと第2セグメントと間の移行部に配置された接続位置において、前記管状導体要素に機械的かつ電気的に結合されている。
【0020】
実施例18では、実施例16または17のいずれかの医療装置リードにおいて、前記第1セグメントおよび第2セグメントにおける切れ込みは、それらのセグメントの長さに沿って、らせんパターンに形成されている。
【0021】
実施例19では、実施例16乃至18のいずれかの医療装置リードにおいて、前記第1セグメントにおける切れ込みは、前記第1セグメントの長さに沿って一定のピッチを有する。
【0022】
実施例20では、実施例16乃至19のいずれかの医療装置リードにおいて、前記第2セグメントにおける切れ込みは、前記第2セグメントの長さに沿って一定のピッチを有する。
【0023】
実施例21では、実施例16乃至18のいずれかの医療装置リードにおいて、前記第1セグメントおよび第2セグメントのうちの一方または双方における切れ込みは、各セグメントの長さに沿って変化するピッチを有する。
【0024】
実施例22では、実施例21の医療装置リードにおいて、前記第1セグメントおよび第2セグメントのうちの一方または双方における切れ込みのピッチは、前記結合位置からの距離とともに減少する。
【0025】
実施例23では、実施例16乃至22のいずれかの医療装置リードにおいて、前記第3セグメントにおける切れ込みは、それぞれ前記管状導体要素のまわりに部分的に周方向に延び、かつ前記第3セグメントの長さに沿って分散した一連の切れ込みを含み、前記第3セグメントにおける各切れ込みは、電流が前記第3セグメントを通る非直線流路をとるようにさせるために、隣接する切れ込みから周方向に偏倚されている。
【0026】
実施例24では、実施例16乃至23のいずれかの医療装置リードにおいて、前記第1セグメント、前記第2セグメントおよび前記第3セグメントは、導体材料の単一チューブから形成されている。
【0027】
実施例25では、実施例16乃至23のいずれかの医療装置リードにおいて、前記第1セグメント、前記第2セグメントおよび前記第3セグメントのうちの1つ以上は、導体材料の別個のチューブから形成され、その後に溶接接合によって接合されている。
【0028】
実施例26において、植込み型医療装置リード用のフィルタ付き電極部品(filtered electrode component)であって、前記フィルタ付き電極部品は、第1セグメントと、前記第1セグメントから遠位方向に延びる第2セグメントと、前記第2セグメントから遠位方向に延びる第3セグメントとを含む管状導体要素を備え、前記セグメントの各々は、各セグメントの電気インピーダンスに影響を与えるように、所定の形態でそのセグメント内に半径方向に形成された1つ以上の切れ込みを備える。前記第1セグメントおよび前記第2セグメントの各々における1つ以上の切れ込みは、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントが前記第3セグメントよりも高い電気インピーダンスを有するように構成され、前記管状導体要素は導電体に対して機械的かつ電気的に結合されるように構成されている。
【0029】
実施例27では、実施例26のフィルタ付き電極部品において、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントにおける切れ込みは、それらのセグメントの長さに沿って、らせんパターンに形成されている。
【0030】
実施例28では、実施例26または27のいずれかのフィルタ付き電極部品において、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントのうちの一方または双方における切れ込みは、各セグメントの長さに沿って一定のピッチを有する。
【0031】
実施例29では、実施例27または28のいずれかのフィルタ付き電極部品において、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントのうちの一方または双方における切れ込みは、各セグメントの長さに沿って変化するピッチを有する。
【0032】
実施例30では、実施例29のフィルタ付き電極部品において、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントのうちの一方または双方における切れ込みのピッチは、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントのうちの他方からの距離とともに減少する。
【0033】
実施例31では、実施例26乃至30のいずれかのフィルタ付き電極部品において、前記第3セグメントにおける切れ込みは、それぞれ前記管状導体要素のまわりに部分的に周方向に延び、かつ第3セグメントの長さに沿って分散した一連の切れ込みを含み、第3セグメントにおける各切れ込みは、電流が第3セグメントを通る非直線流路をとるようにさせるために、隣接する切れ込みから周方向に偏倚されている。
【0034】
実施例32において、医療装置リード用の電気部品を形成する方法は、管状導体要素を固定具に取り付けることと、1つ以上の切れ込みを、レーザーを用いて、前記管状導体要素の電気的性質に影響を与えるように構成された1つ以上の所定パターンで、前記管状導体要素内に半径方向に切断することとを含む。
【0035】
実施例33では、実施例32の方法において、1つ以上の切れ込みの切断は、第1パターンの切れ込みを前記管状導体要素の第1長さに沿ったらせん経路に切断することと、第2パターンの切れ込みを前記管状導体要素の第2長さに沿った非らせんパターンに切断することとを含む。
【0036】
実施例34では、実施例32または33のいずれかの方法において、1つ以上の切れ込みの切断は、前記管状導体要素の第1セグメント、第2セグメント、および第3セグメントを画定するために、前記第1パターン、前記第2パターンおよび前記第3パターンの切れ込みを切断することを含み、前記第1パターンおよび前記第2パターンは、前記第1パターンおよび前記第2パターンの他方からの距離とともに減少する可変ピッチをそれぞれ有するらせんパターンであり、前記第3パターンは、前記第1セグメントおよび前記第2セグメントが前記第3セグメントの電気インピーダンスよりも高い電気インピーダンスを有するような非らせんパターンである。
【0037】
実施例35では、実施例32乃至34のいずれかの方法において、前記管状導体要素は第1管状導体要素であり、前記方法はさらに、レーザーを用いて、1つ以上の切れ込みを第2管状導体要素の電気インピーダンスに影響を与えるように構成された1つ以上の所定パターンで第2管状導体要素内に半径方向に切断することと、前記第1管状導体要素と前記第2管状導体要素とを機械的かつ電気的に結合させることとを含む。
【0038】
複数の実施形態が開示されているが、本発明のさらに他の実施形態は、当業者には、本発明の例示的実施形態を示し、記載している以下の詳細な説明から明白になるであろう。従って、図面および詳細な説明は、本質的に実例であり、限定するものではないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】一実施形態による、除細動リードおよびパルス発生器を備えた心調律管理(CRM)システムの概略図。
図2】一実施形態による、図1に示した除細動リードの概略図。
図3】様々な実施形態による、図1の除細動リード用のショック電極およびMRIフィルタ構成の概略図。
図4】様々な実施形態による、図1の除細動リード用のショック電極およびMRIフィルタ構成の概略図。
図5】様々な実施形態による、図1の除細動リード用のショック電極およびMRIフィルタ構成の概略図。
図6】様々な実施形態による、図1の除細動リード用のショック電極およびMRIフィルタ構成を製造する技術を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は様々な修正および代替形態に適しているが、例として特定の実施形態を図面に示し、以下で詳細に説明する。しかしながら、本発明は本発明を記載した特定の実施形態に限定するものではない。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内にあるすべての変更物、均等物、および代替物に及ぶことを意図する。
【0041】
図1は、右心室104、右心房106、左心室108および左心房110を含む患者の心臓102に治療を提供する心調律管理(cardiac rhythm management:CRM)システム100の概略図である。CRMシステム100は、除細動リードのような医療装置リード112と、所望の一連の操作を行うためにリード112の近位端部116に結合されたパルス発生器114とを備える。パルス発生器114は、ペーシングおよび/または除細動能力によって心臓102に治療を与えるための信号を生成する。様々な実施形態において、パルス発生器114は植え込み型除細動器(implantable cardioverter−defibrillator:ICD)である。いくつかの実施形態において、CRMシステム100は治療を与えるための複数のリードを備えていてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態において、リード112は、リード本体117、ショック電極118、ペーシング/感知電極120、および1つ以上の導体(図1では図示せず)を備える。ショック電極118は、リード112の遠位端部122に近接して配置され、少なくとも1つの導体に結合されており、かつ不整脈のような異常が感知または検出された場合に、患者の心臓102にショックを与えるように構成されている。電極120はリード112の遠位端部122に配置されており、また電極120が患者の心臓102を感知し、ペーシングすることを可能にする少なくとも1つの導体に接続されている。前記導体は、心臓102によって生成される電気信号をパルス発生器114に伝達し、かつペーシングのためにパルス発生器114によって生成された電気パルスを心臓102に伝達することにより、電極120が感知およびペーシングを行うことを可能にする。
【0043】
例示した実施形態では、リード112は右心室104に留置されている。しかしながら、他の実施形態では、リード112は、心臓102の右心房106、または右心房106および右心室104の双方、または左室に植え込まれ得る。様々な実施形態において、2本以上のリード112が心臓102内において異なる標的部位に留置されてもよい。
【0044】
パルス発生器114は一般に、電気信号を処理および生成するように構成された電源および電子回路を備える。前記電源は、その動作を実施するためにCRMシステム100に電力を提供するバッテリーを備える。前記電子回路は、記憶、処理などのための構成要素を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、パルス発生器114は、患者の胸帯に皮下ポケットを形成することによって植え込まれる。任意で、パルス発生器114は、胸腔、腹部、頸部などに植え込むこともできる。
【0045】
以下の実施形態については、主にCRMシステム100に関連して説明する。しかしながら、当業者には、それらの実施形態が、深部脳刺激装置、脊髄刺激装置などのような、しかしこれらに限定されない他の植え込み型医療装置とともに用いられてもよいことが容易に分かるであろう。
【0046】
図2は、一実施形態による図1に示したリード112の概略図である。リード112は、リード本体117、導電体126、低電圧導体128、管状導体要素130、絶縁材の層132およびチップ電極134を備える。いくつかの実施形態において、管状導体要素130は、図2の断面A−Aに示すように、導電体126および低電圧導体128を取り囲むリード本体117上に配置されている。
【0047】
より詳細には、リード本体117は絶縁性管状部材136を含み、絶縁性管状部材136は近位端部(図2では図示せず)、遠位端部138、および管状部材136の近位端部と遠位端部138との間に部分的にまたは全体的に延びる1つ以上の導体管腔(断面A−Aに図示)を有する。例示した実施形態では、管状部材136は、第2導体管腔142よりわずかに小さなプロファイルを有する第1導体管腔140を画定する。
【0048】
第1導体管腔140は導電体126を受容するように構成されている。いくつかの実施形態において、導電体126は、管状部材136の近位端部から遠位端部138に向かって延びる高電圧ケーブルまたはワイヤであり得る。導電体126は、心臓102にショックを与えるために、パルス発生器114から高電圧電気信号を伝えるように構成されている(図1参照)。ショックを与えるために、導電体126は接続位置144において管状導体要素130に電気的に接続されている。
【0049】
いくつかの実施形態において、管状導体要素130は、近位セグメント146、中間セグメント148、および遠位セグメント150を含む管状構造物である。様々な実施形態において、近位セグメント146および中間セグメント148は外部供給源(MRI)からの電磁エネルギーをフィルタリングするように作用可能である。遠位セグメント150は、心臓102にショックを与えるように構成されたショック電極として作動可能である。絶縁材の層132は、近位セグメント146および中間セグメント148が周囲組織にエネルギーを与えることができないように、これらのセグメント上に配置されている。
【0050】
様々な実施形態において、リード112は、その長さに沿って配置された2つ以上の管状導体要素130、遠位管状導体要素、および近位管状導体要素を含んでいてもよい。一例において、遠位に位置する管状導体要素は右心室104内に配置され、近位に位置する管状導体要素は右心房106または上大静脈内に配置される。それらの2つの管状導体要素は、治療の要件に基づいて、独立して作動されてもよい。
【0051】
第2導体管腔142は、低電圧導体128のような導体を受容するように構成されている。いくつかの実施形態において、低電圧導体128は、リード本体117の絶縁性管状部材136の遠位端部138にあるチップ電極134まで延びている。一実施形態において、低電圧導体128は、シングルファイラーコイルまたはマルチファイラーコイル導体の形態にあり得る。様々な実施形態において、低電圧導体128は、非コイル状導体(例えばマルチストランドケーブルなど)であり得る。低電圧導体128は、調律異常を検出するために、心臓102の電気的活動のような心臓102からの電気信号をパルス発生器114に伝達するように構成されている。低電圧導体128はまた、パルス発生器114から心臓102にペーシング信号を伝送してもよい。様々な実施形態において、低電圧導体128は、導体内における誘導電流を抑制するために、比較的高いインダクタンスコイルとして構成され得る。いくつかの実施形態において、低電圧導体128は、患者の体内にリード112を植え込むためのスタイレットまたはガイドワイヤー(図示せず)を受容するように構成された管腔を画定してもよい。
【0052】
低電圧導体128の遠位端部に接続されたチップ電極134は、心臓102によって生成される電気的信号を感知するため、および/またはパルス発生器114によって生成されたパルスを伝送することによって心臓102をペーシングするために、心臓組織のような組織に接触する。いくつかの実施形態において、チップ電極134は、ヘリックススクリューの回転によって組織内に挿入され得るヘリックススクリューのような能動的な固定によって、組織と係合することができる。ヘリックススクリューの回転を行うために、チップ電極134は、低電圧導体128に機械的に結合されており、次いで低電圧導体128はリードの近位端部において回転可能要素(例えばターミナルピン)に機械的に結合されている。そのような状況において、チップ電極134は、リード112を心臓組織に導通させるとともに固定する。他の実施形態では、チップ電極134は、リング電極、ボール状電極などのように、組織に接触することのみによって組織と受動的に係合し得る。
【0053】
いくつかの実施形態において、絶縁材の層132および絶縁性管状部材136は、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのような、しかしこれらに限定されない適当な電気絶縁性の生体適合性材料を用いて形成することができる。いくつかの実施形態において、管状部材136、導体管腔140,142は円形断面を有する。しかしながら、矩形、四角形、三角形、楕円形などのような、しかしこれらに限定されない他の適当な断面形状も企図されてもよい。
【0054】
図3は、(図1のショック電極118のような)ショック電極および図1のリード112のためのMRIフィルタ構成の概略図である。ショック電極およびMRIフィルタ構成は共に管状導体要素130の一部を形成する。示したように、管状導体要素130は近位セグメント146と、近位セグメント146から遠位方向に延びる中間セグメント148と、中間セグメント148から遠位方向に延びる遠位セグメント150とを含む。近位セグメント、中間セグメント、および遠位セグメント146、148、150は、各々、管状導体要素130を画定する壁内に半径方向に形成された切れ込みのパターンをそれぞれ含む。前記切れ込みは、管状導体材料130の材料を所定パターンに切断(例えばレーザー切断)するか、または他の場合には(例えばエッチングによって)除去することにより形成された溝穴である。いくつかの実施形態では、近位セグメント146および中間セグメント148はMRIフィルタ構成を構成し、かつ遠位セグメント150はショック電極である。
【0055】
近位セグメント146は、近位端部152、遠位端部154、および近位端部152と遠位端部154との間に延びるコイル状導体を含む。
図2および図3を参照すると、いくつかの実施形態において、近位セグメント146は、導電体126におけるMRI干渉の効果を相殺するために、MRI走査中に生成されるRFエネルギーから導電体を遮蔽するように構成された伝送線路フィルタとして作用可能である。導電体126は、近位セグメント146と中間セグメント148との間で接続位置144において管状導体要素130に接続されている。図示したように、近位セグメント146の遠位端部154は導電体126に接続されている。
【0056】
中間セグメント148は、RF脈動磁場(RF pulsating magnetic field)またはMRI環境により誘発されたRF信号を調整するか、または阻止する(choke)ために用いられるインラインチューニングフィルタとして作用可能である。中間セグメント148は、(パルス発生器114のような)パルス発生器によって生成される電気的信号の流れに影響を与えることなく、特定の周波数に高いインピーダンスをもたらすインダクタンスを有する。RF信号によりリード112において交流電流が誘発されると、中間セグメント148のまわりに磁場が生成され、この磁場はさらなる電流の変化に対抗する。これにより、中間セグメント148は、リード112または導電体126内に生成された望ましくない電流または電圧信号を、それらの生成された信号がリード112の他の部分、特にショック電極に伝送されないように減衰させることができる。いくつかの実施形態において、近位セグメント146および中間セグメント148は、64MHz、128MHz、またはMRI手順中に必要とされる他の周波数のような異なるMRI周波数に調整されてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態において、近位セグメント146および中間セグメント148は、残った導体材料もらせん構成で延在するように、管状導体要素130の周囲および長さに沿ってらせんパターンに形成された切れ込みを有するように構成および配列されている。様々な実施形態において、ピッチ(すなわち、らせん状に配置された切れ込みの隣接するターンの間の距離)は、近位セグメントおよび/または中間セグメント146、148の長さに沿ってほぼ均一であり得る。これに代わって、近位セグメントおよび遠位セグメント146、150のうちの一方または双方は、前記切れ込みのピッチが前記セグメントの長さの全体または一部に沿って変化するように構成されていてもよい。可変ピッチは、近位セグメント146および/または中間セグメント148の電気的性質を変更し得る。一実施形態において、近位セグメント146および中間セグメント148は、接続位置144付近において、より小さなピッチを有するように構成される。
【0058】
遠位セグメント150は、管状導体要素130の遠位部分を形成する。遠位セグメント150は、心臓にショックまたは高電圧パルスを与えるように構成されたショック電極として作動可能である。例示した実施形態において、遠位セグメント150は、管状導体要素130の周囲に部分的に沿って延びる切れ込みを有するように設計されている。遠位セグメント150に電気的信号が送信される場合に、前記切れ込みは、エネルギーをより大きな表面積に対して分散させる非直線状の経路をとるように電流を指向し、それにより周囲組織の加熱を最小限にする。
【0059】
様々な実施形態において、管状導体要素130は、ニチノール(商標)、金、銀、ステンレス鋼、銅、白金、またはこれらの材料の組み合わせのような、しかしこれらに限定されない、適当な非強磁性導電生体適合性材料を用いて形成することができる。
【0060】
図4は、導体材料の単一チューブから製造された図1のリード112に類似したリード212のためのショック電極およびMRIのフィルタ構成の概略図である。例示した実施形態では、管状導体要素230は、一体チューブの壁に切れ込みを形成することにより形成された近位セグメント246、中間セグメント248、および遠位セグメント250を含む。導電体226は、近位セグメント246と中間セグメント248との間の接続位置244において管状導体要素230に機械的かつ電気的に結合されている。
【0061】
いくつかの実施形態において、(図4の詳細図に示したような)コネクター256は導電体226を管状導体要素230に結合するために用いられる。例示した実施形態において、コネクター256は、導電体226の遠位端部を受容するように構成されたサドル型部分258を備える。導電体226は、コネクター256のサドル型部分258内に配置されて、コネクター256に結合される。固定のためには、溶着、はんだ付け、熱接着、圧着(crimping)などの技術が用いられてもよい。いくつかの実施形態において、コネクター256は、導電体226をコネクター256と緊密に固定するように構成されたフラップを備える。固定したら、コネクター256は、導電体226と共に、管状導体要素230内に配置される。次に、コネクター256は、溶着、はんだ付けのような、しかしこれらに限定されない適当な技術によって管状導体要素230に結合される。いくつかの実施形態において、コネクター256は、導電体226を管状導体要素230に対して電気的に接続する金属リングである。
【0062】
さらに、示されているように、近位セグメント246および中間セグメント248は可変ピッチを有する。いくつかの実施形態において、近位セグメント246および中間セグメント248における切れ込みのピッチは、接続位置244における反射を低減するために、導電体226が管状導体要素230に接続される接続位置244から遠ざかる方向に減少する。
【0063】
図5は、導体材料の2本のチューブから製造された図1のリード112に類似したリード312のためのショック電極およびMRIのフィルタ構成の概略図である。ショック電極およびMRIフィルタ構成は、下記に述べること以外は図4のショック電極およびMRIフィルタ構成とほぼ同様に構成され得る。例示した実施形態において、管状導体要素330は、第1チューブ360と第2チューブ362とを溶接接合において接合することにより形成される。第1チューブ360は近位セグメント346を含み、第2チューブ362は中間セグメント348および遠位セグメント350を含む。図4のコネクター256に類似した、サドル型部分358を有するコネクター356は、導電体326および第2チューブ362に結合される。次に、第1チューブ360は、導電体326上を摺動させられ、第2チューブ362に結合されて、管状導体要素330を形成する。第1チューブ360の第2チューブ362への結合は、当業において既知の任意の適当な技術によって行われ得る。例示的な技術としては、溶接、はんだ付け、熱接着などが挙げられる。
【0064】
図6は、様々な実施形態による、図1のリードのためのショック電極およびMRIフィルタ構成を製造する技術を示す概略図である。例示した実施形態では、ショック電極およびMRIフィルタ構成は、導体材料の単一チューブからのものであり得る。管状導体要素430は固定具464に取り付けられている。固定具464は、所定の方法で、管状導体要素430を保持し、回転させるように構成されている。固定具464は、管状導体要素464の遠位端部および/または近位端部と係合してもよい。
【0065】
さらに、レーザー466は、固定具464上に取り付けられた管状導体要素430上の適所に配備される。レーザー466は、高強度光線468を生成し、かつ1つ以上の切れ込み470を状導体要素430内に半径方向に切断するために、横断面において軸線方向に移動するように構成されている。レーザー466は、管状導体要素430に当たるようになされた高強度光線を発する。光線468のエネルギーは管状導体要素430に伝えられ、それにより管状導体要素430の材料を融解および/または気化させて、切れ込み470を形成する。いくつかの実施形態において、レーザー466の動作は、レーザー466の出力を所定パターンに従わせる自動システムによって制御され得る。
【0066】
様々な実施形態において、切れ込み470を形成するためにCOレーザーが用いられる。切れ込み470を形成するために使用することができるレーザー466の他の好適な例としては、Nd−YAGレーザー、YAGレーザーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これに代わって、いくつかの実施形態では、プラズマ技術を用いて管状導体要素430内に切れ込み470を形成してもよい。
【0067】
様々な実施形態において、切れ込み470は、管状導体要素430の電気的性質に影響を与えるように形成され得る。いくつかの実施形態において、第1パターンの切れ込み470(図示せず)は管状導体材料430の第1長さに沿って切断され、第2パターンの切れ込み470は管状導体要素430の第2長さに沿って切断される。第1パターンの切れ込み470は、近位セグメントおよび中間セグメントを含む第1長さに沿って形成されたらせん経路を含む。さらに、例示した実施形態では、第2パターンの切れ込み470は、第2長さに沿ったらせんパターンまたは非らせんパターンを含み得る。示したように、前記非らせんパターンは、管状導体要素430の周囲に沿って部分的に延びるように形成された切断部または溝穴を含む。
【0068】
他の実施形態では、切れ込み470は、管状導体要素430の異なる部分に沿って画定された第1パターン、第2パターン、および第3パターンの切れ込みを含む。第1パターンは管状導体要素430の(近位セグメント146に類似した)近位セグメントを画定し、第2パターンは管状導体要素430の(中間セグメント148に類似した)中間セグメントを画定し、また第3パターンは管状導体要素430の(遠位セグメント150に類似した)遠位セグメントを画定する。好ましい実施形態において、第1パターンおよび第2パターンは可変ピッチを有するらせんパターンである。前記可変ピッチは、第1パターンおよび第2パターンの他方からの距離に従って減少する。第3パターンは、近位セグメントおよび中間セグメントが遠位セグメントの電気インピーダンスよりも高い電気インピーダンスを有するような非らせんパターンである。
【0069】
検討した具体例としての実施形態に対して、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および追加をなすことができる。例えば、上記に記載した実施形態は特定の特徴に言及しているが、本発明の範囲はまた、特徴の異なる組み合わせを有する実施形態および記載した特徴のすべてを含んでいるとは限らない実施形態も包含する。従って、本発明の範囲は、特許請求の範囲内にあるすべてのそのような代替案、変更例および別例を、それらのすべての均等物と共に、包含するように意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6