特許第6244470号(P6244470)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーロン インダストリーズ インクの特許一覧

特許6244470透明ポリアミド−イミド樹脂およびこれを用いたフィルム
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244470
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】透明ポリアミド−イミド樹脂およびこれを用いたフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/14 20060101AFI20171127BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20171127BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   C08G73/14
   C08J5/18CFG
   G02F1/1333 500
【請求項の数】12
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-542963(P2016-542963)
(86)(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公表番号】特表2017-503887(P2017-503887A)
(43)【公表日】2017年2月2日
(86)【国際出願番号】KR2014012882
(87)【国際公開番号】WO2015099478
(87)【国際公開日】20150702
【審査請求日】2016年6月24日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0164009
(32)【優先日】2013年12月26日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0188216
(32)【優先日】2014年12月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】314003797
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ジュ,チョル ハ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヒョ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ハク ギ
【審査官】 内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−180292(JP,A)
【文献】 特表2015−521686(JP,A)
【文献】 特表2015−521687(JP,A)
【文献】 特表2014−528490(JP,A)
【文献】 特表2015−516031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73/10−73/16
C08J 5/18
G02F 1/1333
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ジアンヒドリドおよび芳香族ジカルボニル化合物と芳香族ジアミンとが共重合されたポリアミック酸のイミド化物であって、前記芳香族ジカルボニル化合物は、芳香族ジアンヒドリドおよび芳香族ジカルボニル化合物の総モルに対して1〜50モル%で含まれ、前記芳香族ジアンヒドリドは、(i)4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物(6FDA)と、(ii)シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)およびシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA)の中から選択される1種以上とを含み、前記芳香族ジアミンは、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TFDB)を含むことを特徴とする、ポリアミド−イミド樹脂。
【請求項2】
前記芳香族ジカルボニル化合物は、テレフタロイルクロリド(p−terephthaloyl chloride、TPC)、テレフタル酸(terephthalic acid)、イソフタロイルジクロリド(iso−phthaloyl dichloirde)、および4,4’−ビフェニルジカルボニルクロリド(4,4’−biphenyldicarbonyl chloride)よりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド−イミド樹脂。
【請求項3】
前記(ii)シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)およびシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA)の中から選択される1種以上は、その含有量が芳香族ジアンヒドリドおよび芳香族ジカルボニル化合物の総モルに対して10〜30モル%であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド−イミド樹脂。
【請求項4】
前記芳香族ジアミンは、オキシジアニリン(ODA)、p−フェニレンジアミン(pPDA)、m−フェニレンジアミン(mPDA)、ビス(アミノヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(DBOH)、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン(133APB、134APB、144APB)、ビス(アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(33−6F、44−6F)、ビス(アミノフェニル)スルホン(4DDS、3DDS)、ビス[(アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(4BDAF)、ビス[(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(6HMDA)、およびビス(アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン(DBSDA)よりなる群から選択される1種以上をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド−イミド樹脂。
【請求項5】
前記芳香族ジアンヒドリドは、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(BTA)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸二無水物(TDA)、ピロメリト酸二無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ビス(カルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物(SiDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物(BDSDA)、スルホニルジフタル酸無水物(SO2DPA)、および(イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(フタル酸無水物)(6HDBA)よりなる群から選択される1種以上をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のポリアミド−イミド樹脂。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項のポリアミド−イミド樹脂で製造されるポリアミド−イミドフィルム。
【請求項7】
前記ポリアミド−イミドフィルムは、厚さ8〜12μmのフィルムについて550nmで測定した透過度が88%以上であり、熱変形解析法(TMA−Method)によって50〜300℃で測定した熱膨張係数(CTE、Coefficient of Thermal Expansion)が13ppm/℃以下を満足することを特徴とする、請求項6に記載のポリアミド−イミドフィルム。
【請求項8】
前記ポリアミド−イミドフィルムは、ASTM D882に準拠して測定したとき、厚さ8〜12μmのフィルムについて引張強度が130MPa以上を満足することを特徴とする、請求項6に記載のポリアミド−イミドフィルム。
【請求項9】
前記ポリアミド−イミドフィルムは、複屈折値が0.1以下であり、面方向位相差(Ro)が1nm以下であり、厚さ方向位相差(Rth)が厚さ10μmで300nm以下を満足することを特徴とする、請求項6に記載のポリアミド−イミドフィルム。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリアミド−イミド樹脂を含むポリアミド−イミドフィルム。
【請求項11】
請求項6に記載のポリアミド−イミドフィルムを含むプラスチックディスプレイ用基板。
【請求項12】
請求項10に記載のポリアミド−イミドフィルムを含むプラスチックディスプレイ用基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明ポリアミド−イミド樹脂およびこれを用いたフィルムに係り、より詳しくは、熱的安定性、機械的物性および複屈折特性に優れてプラスチックディスプレイ用基板等に使用可能な透明ポリアミド−イミド樹脂およびこれを用いたフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリイミドフィルムは、ポリイミド(polyimide)樹脂をフィルム化したもので、ポリイミド樹脂は、芳香族ジアンヒドリドと芳香族ジアミンまたは芳香族ジイソシアネートを溶液重合してポリアミック酸誘導体を製造した後、高温で閉環脱水させてイミド化することにより製造される高耐熱樹脂をいう。
【0003】
このようなポリイミド樹脂を製造するために、芳香族ジアンヒドリド成分としては、ピロメリト酸二無水物(PMDA)またはビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)などを使用しており、芳香族ジアミン成分としては、オキシジアニリン(ODA)、p−フェニレンジアミン(p−PDA)、m−フェニレンジアミン(m−PDA)、メチレンジアニリン(MDA)、ビスアミノフェニルヘキサフルオロプロパン(HFDA)などを使用している。
【0004】
このようなポリイミド樹脂は、不溶、不融の超高耐熱性樹脂であって、耐熱酸化性、耐熱特性、耐放射線性、低温特性、耐薬品性などに優れた特性を持っており、自動車材料、航空素材、宇宙船素材などの耐熱先端素材、および絶縁コーティング剤、絶縁膜、半導体、TFT−LCDの電極保護膜などの電子材料といった広範囲の分野に用いられている。
【0005】
しかし、ポリイミド樹脂は、高い芳香環密度により褐色または黄色に着色されており、可視光線領域における透過度が低く、大きな複屈折率を持つため光学部材として使用するには困難な点があった。
【0006】
一般的な、濃い褐色および黄色を持っているポリイミドに、透明性を与えるために、連結基(linkage group)(−O−、−SO2−、−CO−、−CF3CCF3−など)または相対的に自由体積の大きい側鎖を主鎖に導入することで、分子間、分子内電荷移動錯体を最小化して透明性を実現することができる。
【0007】
ところが、このような透明ポリイミドフィルムの場合、導入された官能基により耐熱性が低下するおそれがある。これは電荷移動錯体によるもので、色相は透明になるものの、耐熱性の低下を引き起こすのである。このような耐熱性の低下は、透明なポリイミドフィルムを高い工程温度の要求されるディスプレイや半導体などの先端材料分野に適用する上で限界として作用することがある。このような点を解決するために、単量体および溶媒を精製して重合する方法が試みられたが、この場合には透過率の改善点が大きくなかった。
【0008】
これにより、米国登録特許第5,053,480号には、芳香族ジアンヒドリドの代わりに脂肪族環系ジアンヒドリド成分を使用する方法が記載されているが、溶液状に、またはフィルム化した場合、精製方法に比べては透明度および色相の改善があったものの、やはり透過度の改善には限界があり高い透過度を満足させることができなかった。さらに、熱的および機械的特性の低下をもたらす結果を示した。
【0009】
また、米国特許第4,595,548号、同第4,603,061号、同第4,645,824号、同第4,895,972号、同第5,218,083号、同第5,093,453号、同第5,218,077号、同第5,367,046号、同第5,338,826号、同第5,986,036号、同第6,232,428号、および韓国特許公開公報第2003−0009437号には、−O−、−SO2−、CH2−などの連結基と、p位ではなく、m位に連結された屈曲構造の単量体、または−CF3などの置換基を有する芳香族ジアンヒドリドと芳香族ジアミン単量体を用いて、熱的特性が大きく低下しない限度内で透過度および色相の透明度を向上させた新規構造のポリイミドを製造したという報告がある。しかし、複屈折特性においては不十分な結果を示した。
【0010】
一方、既存のガラス基板は、フレキシブル特性を実現することは難しく、割れやすい特性があって実使用が困難であるという問題点がある。薄くて軽く製作する方法としては、薄いガラス基板を使用する方法以外に、既存のガラス基板上にポリイミド系素材をコートした後、ガラスを取り外す方法、ポリイミド系フィルム上に製造する方法などがある。無色透明なポリイミドフィルムをディスプレイ素材分野に適用する場合、様々な形状のディスプレイ装置に適用可能であり、曲面の実現が可能なフレキシブル特性を実現することができるという利点だけでなく、薄く、軽く、割れない特性を実現することができる。
【0011】
そこで、透明ポリイミドをディスプレイの工程に適用するためには、ディスプレイの工程時に耐えられる熱的安定性および破れ防止のための機械的物性に優れていることが求められ、視野角を確保するためには、複屈折値が低いことが切実に求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の主たる目的は、熱的安定性、機械的物性および複屈折特性に優れてプラスチックディスプレイ用基板などに有用な透明ポリアミド−イミド樹脂およびフィルムを提供することにある。
【0013】
本発明の他の目的は、熱的安定性、機械的物性および複屈折特性が改善されたプラスチックディスプレイ用基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態では、芳香族ジアンヒドリドおよび芳香族ジカルボニル化合物と芳香族ジアミンとが共重合されたポリアミック酸のイミド化物であって、前記芳香族ジカルボニル化合物は、その含有量が芳香族ジアンヒドリドおよび芳香族ジカルボニル化合物の総モルに対して1〜50モル%であり、前記芳香族ジアンヒドリドは、(i)4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物(6FD
A)と、(ii)シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)およびシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA)の中から選択される1種以上とを含み、前記芳香族ジアミンは、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TFDB)を含む、ポリアミド−イミド樹脂を提供する。
【0015】
本発明の好適な一実施形態において、前記芳香族ジカルボニル化合物は、テレフタロイルクロリド(p−terephthaloyl chloride、TPC)、テレフタル酸(terephthalic acid)、イソフタロイルジクロリド(iso−phthaloyl dichloirde)、および4,4’−ビフェニルジカルボニルクロリド(4,4’−biphenyldicarbonyl chloride)よりなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0016】
本発明の好適な一実施形態において、前記(ii)シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)およびシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA)の中から選択される1種以上は、その含有量が芳香族ジアンヒドリドおよび芳香族ジカルボニル化合物の総モルに対して、10〜30モル%であってもよい。
【0017】
本発明の好適な一実施形態において、前記芳香族ジアミンは、オキシジアニリン(ODA)、p−フェニレンジアミン(pPDA)、m−フェニレンジアミン(mPDA)、ビス(アミノヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(DBOH)、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン(133APB、134APB、144APB)、ビス(アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(33−6F、44−6F)、ビス(アミノフェニル)スルホン(4DDS、3DDS)、ビス[(アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(4BDAF)、ビス[(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(6HMDA)、およびビス(アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン(DBSDA)よりなる群から選択される1種以上をさらに含んでもよい。
【0018】
本発明の好適な一実施形態において、前記芳香族ジアンヒドリドは、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(BTA)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸二無水物(TDA)、ピロメリト酸二無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ビス(カルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物(SiDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物(BDSDA)、スルホニルジフタル酸無水物(SO2DPA)、および(イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(フタル酸無水物)(6HDBA)よりなる群から選択される1種以上をさらに含むことを特徴とすることができる。
【0019】
本発明の他の実施形態は、前記ポリアミド−イミド樹脂で製造されるポリアミド−イミドフィルムを提供する。
【0020】
本発明の好適な他の実施形態において、前記ポリアミド−イミドフィルムは、厚さ8〜12μmのフィルムに対して550nmで測定した透過度が88%以上であり、熱変形解析法(TMA−Method)によって50〜300℃で測定した熱膨張係数(CTE、Coefficient of Thermal Expansion)が13ppm/℃以下を満足することを特徴とすることができる。
【0021】
本発明の好適な他の実施形態において、前記ポリアミド−イミドフィルムは、ASTM D882に準拠して測定したとき、厚さ8〜12μmのフィルムに対して引張強度が130MPa以上を満足することを特徴とすることができる。
【0022】
本発明の好適な他の実施形態において、前記ポリアミド−イミドフィルムは、複屈折値が0.1以下であり、面方向位相差(Ro)が1nm以下であり、厚さ方向位相差(Rth)が厚さ10μmで300nm以下を満足することを特徴とすることができる。
【0023】
本発明の別の実施形態は、前記ポリアミド−イミドフィルムを含むプラスチックディスプレイ用基板を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、無色透明でありながらも、優れた熱的安定性、機械的物性を示し、複屈折特性が改善されて半導体絶縁膜、TFT−LCD絶縁膜、パッシベーション膜、液晶配向膜、光通信用材料、太陽電池用保護膜、フレキシブルディスプレイ基板などの様々な分野に有用なポリアミド−イミド樹脂およびフィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
特に他の定義がなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明の属する技術分野における当業者に通常理解されるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書で使用される命名法は、当該技術分野でよく知られており、通常使われるものである。
【0026】
本明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とすると、これは、特に反対の記載がなければ、他の構成要素を排除するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0027】
上記および以下の記載において、「イミド化」は一部の「アミド化」を含むものと定義し、「イミド化物」は一部の「アミド化物」を含むものと定義する。
【0028】
本発明のある観点によれば、芳香族ジアンヒドリドおよび芳香族ジカルボニル化合物と芳香族ジアミンとが共重合されたポリアミック酸のイミド化物であるポリアミド−イミド樹脂に関するものであり、ここで、ポリアミック酸は、芳香族ジアンヒドリドとして、(i)4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物(6FDA)と、(ii)シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)およびシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA)の中から選択される1種以上とを含み、芳香族ジアミンは、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TFDB)を含む組成から得られたものである。
【0029】
本発明の他の観点によれば、前記ポリアミド−イミド樹脂で製造されるポリアミド−イミドフィルム、および該ポリアミド−イミドフィルムを含むプラスチックディスプレイ用基板に関するものである。
【0030】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0031】
本発明は、熱的安定性、機械的物性および複屈折特性に優れてプラスチックディスプレイ用基板などに有用な樹脂およびフィルムを提供するために、芳香族ジアンヒドリド、芳香族ジカルボニル化合物および芳香族ジアミンが共重合されたポリアミック酸のイミド化物であるポリアミド−イミド樹脂およびフィルムを提供する。この際、芳香族ジアンヒドリドとして、(i)4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物(6F
DA)と、(ii)シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)およびシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA)の中から選択される1種以上とを含み、芳香族ジアミンは、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TFDB)を含む。
【0032】
一方、芳香族ジカルボニル化合物は、テレフタロイルクロリド(p−terephthaloyl chloride、TPC)、テレフタル酸(terephthalic acid)、イソフタロイルジクロリド(iso−phthaloyl dichloirde)、および4,4’−ビフェニルジカルボニルクロリド(4,4’−biphenyldicarbonyl chloride)よりなる群から選択される1種以上のものが挙げられる。
【0033】
芳香族ジカルボニル化合物は、ベンゼン環を持っており、高い熱安定性および機械的物性を実現することができるが、この特性により高い複屈折値を有する。また、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)およびシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA)などの脂環式ジアンヒドリドは、低い複屈折値を有するものの、熱的安定性および機械的物性を低下させ得る。
【0034】
ところが、ジアミンとして2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TFDB)を使用する場合、熱安定性と光学特性を向上させることができ、また、後述の如く、芳香族ジアンヒドリド、芳香族ジカルボニル化合物および芳香族ジアミンの含有量を特定の範囲に制御して重合する場合、熱的安定性、機械的物性および光学特性をバランスよく向上させることができる。
【0035】
本発明で使用できる芳香族ジアミンは、熱的安定性および複屈折の観点から、ビストリフルオロメチルベンジジン(TFDB)に加えて、他の芳香族ジアミンをさらに含むことができ、その一例としては、オキシジアニリン(ODA)、p−フェニレンジアミン(pPDA)、m−フェニレンジアミン(mPDA)、ビス(アミノヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(DBOH)、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン(133APB、134APB、144APB)、ビス(アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(33−6F、44−6F)、ビス(アミノフェニル)スルホン(4DDS、3DDS)、ビス[(アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(4BDAF)、ビス[(アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(6HMDA)、およびビス(アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン(DBSDA)よりなる群から選択される1種以上でありうるが、これに制限されるものではない。
【0036】
また、本発明で使用できる芳香族ジアンヒドリドは、熱的安定性、機械的物性および光学物性の観点から、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物(6FDA)と、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)およびシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA)の中から選択される1種以上に加えて、他の芳香族ジアンヒドリドをさらに含むことができ、その一例としては、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(BTA)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸二無水物(TDA)、ピロメリト酸二無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ビス(カルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物(SiDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物(BDSDA)、スルホニルジフタル酸無水物(SO2DPA)、および(イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(フタル酸無水物)(6HDBA)よりなる群から選択される1種以上でありうるが、これに制限されるものではない。
【0037】
本発明のポリアミド−イミド樹脂は、芳香族ジアミンと芳香族ジアンヒドリドおよび芳香族ジカルボニル化合物とを重合し、イミド化して得られるもので、熱的安定性、機械的物性および複屈折特性を改善するために、芳香族ジアンヒドリドおよび芳香族ジカルボニル化合物:ジアミンは、1:1の当量比で共重合させてポリアミック酸溶液を製造する。ここで、重合反応条件は特に限定されないが、好ましくは−10〜80℃で2〜48時間、不活性雰囲気中で行うことができる。
【0038】
この際、本発明では、それぞれの単量体の溶液重合反応のために溶媒を使用することができ、前記溶媒としては、ポリアミック酸を溶解させることが可能な溶媒であれば特に限定されないが、好ましくは、m−クレゾール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、ジエチルアセテートなどから選択された一つ以上の極性溶媒を使用することができる。この他にも、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルムなどの低沸点溶液またはγ−ブチロラクトンなどの低吸収性溶媒を使用することができる。
【0039】
前記溶媒の含有量については特に限定されないが、適切なポリアミック酸溶液の分子量と粘度を得るために、溶媒の含有量は、全ポリアミック酸溶液に対して、50〜95重量%、好ましくは70〜90重量%である。
【0040】
一方、反応時の芳香族ジカルボニル化合物の添加量に応じて、樹脂およびフィルムの熱的安定性、機械的物性および複屈折特性に影響を及ぼす可能性があるが、当該ポリアミド−イミド固有の物性を低下させないように、芳香族ジカルボニル化合物は芳香族ジアンヒドリドおよび芳香族ジカルボニル化合物の総モルに対して1〜50モル%、好ましくは5〜50モル%の量で添加する。
【0041】
芳香族ジカルボニル化合物が芳香族ジアンヒドリドおよび芳香族ジカルボニル化合物の総モルに対して50モル%を超えて多量に使用される場合、熱的安定性および機械的物性は向上するものの、黄色度や透過度などが低下するなど、光学的特性が低下し、特に複屈折値が高くなり、ディスプレイ基板として使用するには困難な問題点が発生する。
【0042】
一方、芳香族ジカルボニル化合物が芳香族ジアンヒドリドおよび芳香族ジカルボニル化合物の総モルに対して1モル%未満で使用する場合には、光学特性は改善されるものの、熱的安定性および機械的物性が低下してディスプレイの製造工程の際に歪み現象および破れ現象が発生する。
【0043】
また、芳香族ジアンヒドリドのうち、(ii)シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)およびシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA)の中から選択される1種以上は、芳香族ジアンヒドリドおよび芳香族ジカルボニル化合物の総モルに対して10〜30モル%で使用することが、意図する波長範囲内での光学特性をまんべくんなく改善させることができ、熱的安定性および機械的物性をまんべくんなく改善させることができるという点において好ましい。
【0044】
前述したように得られたポリアミック酸溶液をイミド化してポリアミド−イミド樹脂を製造する。このとき、適用されるイミド化法としては、公知のイミド化法で適切に選択して行うことができ、その一例としては、熱イミド化法、化学イミド化法、並びに熱イミド化法と化学イミド化法との組み合わせを適用することができる。
【0045】
ポリアミド−イミドフィルムは、重合されたポリアミック酸を支持体にキャスティングした後、前述したイミド化法を用いて製造することができる。
【0046】
前記化学イミド化法は、ポリアミック酸溶液に、無水酢酸などの酸無水物で代表される脱水剤、およびイソキノリン、β−ピコリン、ピリジンなどの3級アミン類などで代表されるイミド化触媒を投入する方法であり、また、熱イミド化法、または熱イミド化法と化学イミド化法との組み合わせである複合イミド化法は、ポリアミック酸溶液の種類、製造されるポリアミド−イミドフィルムの厚さなどによって調節または変動しうる。
【0047】
前記の熱イミド化法と化学イミド化法との組み合わせである複合イミド化法でポリアミド−イミドフィルムを製造する例を、より具体的に説明すると、ポリアミック酸溶液に脱水剤およびイミド化触媒を投入して支持体上にキャスティングした後、80〜200℃、好ましくは100〜180℃で加熱して脱水剤およびイミド化触媒を活性化し、部分的に硬化および乾燥させた後、200〜400℃で5〜400秒間加熱することにより、ポリアミド−イミドフィルムを得ることができる。
【0048】
また、本発明では、前記得られたポリアミック酸溶液から、次のとおりポリアミド−イミドフィルムを製造することもできる。つまり、得られたポリアミック酸溶液をイミド化した後、イミド化した溶液を第2溶媒に投入し、沈殿、濾過および乾燥させてポリアミド−イミド樹脂の固形分を得、得られたポリアミド−イミド樹脂固形分を第1溶媒に溶解させたポリアミド−イミド溶液を用いて製膜工程によって得ることができる。
【0049】
前記ポリアミック酸溶液をイミド化するときは、前述の説明と同様に、熱イミド化法、化学イミド化法、または熱イミド化法と化学イミド化法とが併用されたイミド化法として適用することができる。前記熱イミド化法と化学イミド化法とが併用されたイミド化法の具体的な例を挙げると、得られたポリアミック酸溶液に脱水剤およびイミド化触媒を投入し、20〜180℃で1〜12時間加熱してイミド化することができる。
【0050】
前記第1溶媒は、ポリアミック酸の溶液重合の際に使用した溶媒と同じ溶媒を使用することができ、前記第2溶媒は、ポリアミド−イミド樹脂の固形分を得るために、第1溶媒よりも極性が低いものを使用し、具体的には水、アルコール類、エーテル類およびケトン類の中から選択された1種以上であってもよい。このとき、前記第2溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、ポリアミック酸溶液の重量に対して5〜20重量倍であることが好ましい。
【0051】
こうして得られたポリアミド−イミド樹脂の固形分を濾過した後、乾燥させる条件は、第2溶媒の沸点を考慮して、温度は50〜120℃、時間は3〜24時間であることが好ましい。
【0052】
その後、製膜工程において、ポリアミド−イミド樹脂の固形分が溶解されているポリアミド−イミド溶液を支持体上にキャスティングして40〜400℃の温度範囲で徐々に昇温させながら、1分〜8時間加熱してポリアミド−イミドフィルムを得る。
【0053】
本発明では、こうして得られたポリアミド−イミドフィルムにもう一度熱処理工程を施し、フィルムにおけるフィルム内に残っている熱履歴および残留応力を解消することにより、フィルムの安定した熱的特性を得ることができる。このとき、追加熱処理工程の温度は300〜500℃が好ましく、熱処理時間は1分〜3時間が好ましく、熱処理済みフィルムの残留揮発分は5%以下、好ましくは3%以下である。
【0054】
本発明によって得られたポリアミド−イミド樹脂は、重量平均分子量150,000〜18,000、粘度700〜900poiseおよびガラス転移温度300℃以上の特性を満足する樹脂である。
【0055】
また、本発明に係るポリアミド−イミドフィルムは、厚さ8〜12μmのフィルムに対して550nmで測定した透過度が88%以上であり、黄色度が5以下であり、熱変形解析法(TMA−Method)によって50〜300℃で測定した熱膨張係数(CTE、Coefficient of Thermal Expansion)が13ppm/℃以下である条件を満足することができる。
【0056】
また、本発明に係るポリアミド−イミドフィルムは、ASTM D882に準拠して測定したとき、厚さ8〜12μmのフィルムについて引張強度が130MPa以上であり、複屈折値が0.1以下であり、面方向位相差(Ro)が1nm以下であり、厚さ方向位相差(Rth)が厚さ10μmで300nm以下である条件を満足することができる。
【0057】
本発明に係るポリアミド−イミドフィルムは、前述したように、無色透明で、優れた熱的安定性および機械的物性を示し、複屈折特性が向上して半導体絶縁膜、TFT−LCD絶縁膜、パッシベーション膜、液晶配向膜、光通信用材料、太陽電池用保護膜、フレキシブルディスプレイ基板などの様々な分野に有用に使用できる。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。ところが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0059】
<実施例1>
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた1Lの反応器に、窒素を通過させながら、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)716gを入れて満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB57.64g(0.18mol)を溶解して、この溶液を25℃に維持した。ここに6FDA23.99g(0.054mol)とCBDA7.06g(0.036mol)を投入した後、一定の時間攪拌して溶解および反応させた。その後、溶液の温度を15℃に維持した後、TPC18.27g(0.09mol)を添加し、25℃で12時間反応させて、固形分濃度13重量%および粘度860poiseのポリアミック酸溶液を得た。
【0060】
前記ポリアミック酸溶液にピリジン34.17g、無水酢酸44.12gを投入して30分間攪拌した後、再び70℃で1時間撹拌して常温に冷やし、これをメタノール20Lで沈殿させた。そして、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させて、95gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0061】
ポリアミド−イミド固形分粉末に対する粒度分析の結果、平均粒度が70〜80μmであり、分子量分析の結果、重量平均分子量が174,000であった。
【0062】
上記と以下の記載において、ポリアミド−イミド固形分粉末に対する平均粒度分析は、粒度分析器(Particle size analyzer、S3500、Microtrac)を用いて3回測定した平均値を使用した。このとき、試料は、沈殿した固形分を乾燥させて得た共重合パウダーを使用した。重量平均分子量の分析は、沈殿した固形分を乾燥させて得た共重合パウダーをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に約1%の濃度で溶解し、0.45μmのPTFEシリンジフィルターで濾過した後、注入してGPC(Gel Permeation Chromatography)分析によって重量平均分子量を測定することにより行った。
【0063】
前記95gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを768gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして11wt%の溶液を得た。そして、こうして得られた溶液をステンレス板に塗布した後、100μmにキャスティングして150℃の熱風で1時間、200℃の熱風で1時間、300℃の熱風で30分乾燥させた後に、徐々に冷却して板から分離することにより、10μmのポリアミド−イミドフィルムを得た。その後、最終熱処理工程として、さらに300℃で10分間熱処理した。
【0064】
<実施例2>
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた1Lの反応器に、窒素を通過させながら、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)744gを入れて満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB57.64g(0.18mol)を溶解し、この溶液を25℃に維持した。ここに6FDA31.99g(0.072mol)とCBDA7.06g(0.036mol)を投入した後、一定の時間攪拌して溶解および反応させた。その後、溶液の温度を15℃に維持した後、TPC14.62g(0.072mol)を添加し、25℃で12時間反応させて、固形分濃度13重量%および粘度830poiseのポリアミック酸溶液を得た。
【0065】
前記ポリアミック酸溶液にピリジン34.17g、無水酢酸44.12gを投入して30分攪拌した後、再び70℃で1時間撹拌して、常温に冷やし、これをメタノール20Lで沈殿させた。そして、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させて、104gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0066】
ポリアミド−イミド固形分粉末に対する粒度分析の結果、平均粒度が70〜80μmであり、分子量分析の結果、重量平均分子量が163,000であった。
【0067】
前記104gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを841gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして11wt%の溶液を得た。そして、こうして得られた溶液をステンレス板に塗布した後、100μmにキャスティングして150℃の熱風で1時間、200℃の熱風で1時間、300℃の熱風で30分乾燥させた後に、徐々に冷却して板から分離することにより、10μmのポリアミド−イミドフィルムを得た。その後、最終熱処理工程として、さらに300℃で10分間熱処理した。
【0068】
<実施例3>
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた1Lの反応器に、窒素を通過させながら、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)803gを入れて満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB57.64g(0.18mol)を溶解して、この溶液を25℃に維持した。ここに6FDA47.98g(0.108mol)とCBDA7.06g(0.036mol)を投入した後、一定の時間攪拌して溶解および反応させた。その後、溶液の温度を15℃に維持した後、TPC7.31g(0.036mol)を添加し、25℃で12時間反応させて、固形分濃度13重量%および粘度815poiseのポリアミック酸溶液を得た。
【0069】
前記ポリアミック酸溶液にピリジン34.17g、無水酢酸44.12gを投入して30分攪拌した後、再び70℃で1時間撹拌して常温に冷やし、これをメタノール20Lに沈殿させた。そして、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させることにより、110gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0070】
ポリアミド−イミド固形分粉末に対する粒度分析の結果、平均粒度が70〜80μmであり、分子量分析の結果、重量平均分子量が157,000であった。
【0071】
前記110gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを890gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして11wt%の溶液を得た。そして、こうして得られた溶液をステンレス板に塗布した後、100μmにキャスティングして150℃の熱風で1時間、200℃の熱風で1時間、300℃の熱風で30分乾燥させた後に、徐々に冷却して板から分離することにより、11μmのポリアミド−イミドフィルムを得た。その後、最終熱処理工程として、さらに300℃で10分間熱処理した。
【0072】
<実施例4>
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた1Lの反応器に、窒素を通過させながら、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)846gを入れて満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB57.64g(0.18mol)を溶解して、この溶液を25℃に維持した。ここに6FDA59.97g(0.135mol)とCBDA7.06g(0.036mol)を投入した後、一定の時間攪拌して溶解および反応させた。その後、溶液の温度を15℃に維持した後、TPC1.83g(0.009mol)を添加し、25℃で12時間反応させて、固形分濃度13重量%および粘度840poiseのポリアミック酸溶液を得た。
【0073】
前記ポリアミック酸溶液にピリジン34.17g、無水酢酸44.12gを投入して30分攪拌した後、再び70℃で1時間撹拌して常温に冷やし、これをメタノール20Lで沈殿させた。そして、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させることにより、114gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0074】
ポリアミド−イミド固形分粉末に対する粒度分析の結果、平均粒度が70〜80μmであり、分子量分析の結果、重量平均分子量が172,000であった。
【0075】
前記114gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを922gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして11wt%の溶液を得た。そして、こうして得られた溶液をステンレス板に塗布した後、100μmにキャスティングして150℃の熱風で1時間、200℃の熱風で1時間、300℃の熱風で30分乾燥させた後に、徐々に冷却して板から分離することにより、11μmのポリアミド−イミドフィルムを得た。その後、最終熱処理工程として、さらに300℃で10分間熱処理した。
【0076】
<実施例5>
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた1Lの反応器に、窒素を通過させながら、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)719gを入れて満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB57.64g(0.18mol)を溶解して、この溶液を25℃に維持した。ここに6FDA23.99g(0.054mol)とCPDA7.57g(0.036mol)を投入した後、一定の時間攪拌して溶解および反応させた。その後、溶液の温度を15℃に維持した後、TPC18.27g(0.09mol)を添加し、25℃で12時間反応させて、固形分濃度13重量%および粘度790poiseのポリアミック酸溶液を得た。
【0077】
前記ポリアミック酸溶液にピリジン34.17g、無水酢酸44.12gを投入し、30分攪拌した後、再び70℃で1時間撹拌して常温に冷やし、これをメタノール20Lに沈殿させた。そして、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させることにより、90gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0078】
ポリアミド−イミド固形分粉末に対する粒度分析の結果、平均粒度が70〜80μmであり、分子量分析の結果、重量平均分子量が151,000であった。
【0079】
前記90gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを728gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして11wt%の溶液を得た。そして、こうして得られた溶液をステンレス板に塗布した後、100μmにキャスティングして150℃の熱風で1時間、200℃の熱風で1時間、300℃の熱風で30分乾燥させた後に、徐々に冷却して板から分離することにより、11μmのポリアミド−イミドフィルムを得た。その後、最終熱処理工程として、さらに300℃で10分間熱処理した。
【0080】
こうして得られたポリアミド−イミドフィルムに対して、熱変形解析法によって50〜300℃で線形熱膨張係数を測定した。その結果、線形熱膨張係数が10.2ppm/℃であることを確認することができた。
【0081】
<実施例6>
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた1Lの反応器に、窒素を通過させながら、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)764gを入れて満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB57.64g(0.18mol)を溶解して、この溶液を25℃に維持した。ここに6FDA31.99g(0.072mol)とCPDA7.57g(0.036mol)を投入した後、一定の時間攪拌して溶解および反応させた。その後、溶液の温度を15℃に維持した後、TPC14.62g(0.072mol)を添加し、25℃で12時間反応させて、固形分濃度13重量%および粘度780poiseのポリアミック酸溶液を得た。
【0082】
前記ポリアミック酸溶液にピリジン34.17g、無水酢酸44.12gを投入して30分攪拌した後、再び70℃で1時間撹拌して常温に冷やし、これをメタノール20Lで沈殿させた。そして、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させることにより、102gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0083】
ポリアミド−イミド固形分粉末に対する粒度分析の結果、平均粒度が70〜80μmであり、分子量分析の結果、重量平均分子量が150,000であった。
【0084】
前記102gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを825gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして11wt%の溶液を得た。そして、こうして得られた溶液をステンレス板に塗布した後、100μmにキャスティングして150℃の熱風で1時間、200℃の熱風で1時間、300℃の熱風で30分乾燥させた後に、徐々に冷却して板から分離することにより、12μmのポリアミド−イミドフィルムを得た。その後、最終熱処理工程として、さらに300℃で10分間熱処理した。
【0085】
<実施例7>
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた1Lの反応器に、窒素を通過させながら、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)806gを入れて満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB57.64g(0.18mol)を溶解して、この溶液を25℃に維持した。ここに6FDA47.98g(0.108mol)とCPDA7.57g(0.036mol)を投入した後、一定の時間攪拌して溶解および反応させた。その後、溶液の温度を15℃に維持した後、TPC7.31g(0.036mol)を添加し、25℃で12時間反応させて、固形分濃度13重量%および粘度790poiseのポリアミック酸溶液を得た。
【0086】
前記ポリアミック酸溶液にピリジン34.17g、無水酢酸44.12gを投入して30分攪拌した後、再び70℃で1時間撹拌して常温に冷やし、これをメタノール20Lで沈殿させた。そして、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させることにより、109gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0087】
ポリアミド−イミド固形分粉末に対する粒度分析の結果、平均粒度が70〜80μmであり、分子量分析の結果、重量平均分子量が151,000であった。
【0088】
前記109gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを882gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして11wt%の溶液を得た。そして、こうして得られた溶液をステンレス板に塗布した後、100μmにキャスティングして150℃の熱風で1時間、200℃の熱風で1時間、300℃の熱風で30分乾燥させた後に、徐々に冷却して板から分離することにより、10μmのポリアミド−イミドフィルムを得た。その後、最終熱処理工程として、さらに300℃で10分間熱処理した。
【0089】
<実施例8>
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた1Lの反応器に、窒素を通過させながら、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)849gを入れて満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB57.64g(0.18mol)を溶解して、この溶液を25℃に維持した。ここに6FDA59.97g(0.135mol)とCPDA7.57g(0.036mol)を投入した後、一定の時間攪拌して溶解および反応させた。その後、溶液の温度を15℃に維持した後、TPC1.83g(0.009mol)を添加し、25℃で12時間反応させて、固形分濃度13重量%および粘度815poiseのポリアミック酸溶液を得た。
【0090】
前記ポリアミック酸溶液にピリジン34.17g、無水酢酸44.12gを投入して30分攪拌した後、再び70℃で1時間撹拌して常温に冷やし、これをメタノール20Lで沈殿させた。そして、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させることにより、112gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0091】
ポリアミド−イミド固形分粉末に対する粒度分析の結果、平均粒度が70〜80μmであり、分子量分析の結果、重量平均分子量が165,000であった。
【0092】
前記112gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを906gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして11wt%の溶液を得た。そして、こうして得られた溶液をステンレス板に塗布した後、100μmにキャスティングして150℃の熱風で1時間、200℃の熱風で1時間、300℃の熱風で30分乾燥させた後に、徐々に冷却して板から分離することにより、11μmのポリアミド−イミドフィルムを得た。その後、最終熱処理工程として、さらに300℃で10分間熱処理した。
【0093】
<比較例1>
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた1Lの反応器に、窒素を通過させながら、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)701gを入れて満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB57.64g(0.18mol)を溶解して、この溶液を25℃に維持した。ここに6FDA19.99g(0.045mol)とCBDA7.06g(0.036mol)を投入した後、一定の時間攪拌して溶解および反応させた。その後、溶液の温度を15℃に維持した後、TPC20.10g(0.099mol)を添加し、25℃で12時間反応させて、固形分濃度13重量%および粘度870poiseのポリアミック酸溶液を得た。
【0094】
前記ポリアミック酸溶液にピリジン34.17g、無水酢酸44.12gを投入して30分攪拌した後、再び70℃で1時間撹拌して常温に冷やし、これをメタノール20Lで沈殿させた。そして、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させることにより、93gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0095】
ポリアミド−イミド固形分粉末に対する粒度分析の結果、平均粒度が70〜80μmであり、分子量分析の結果、重量平均分子量が178,000であった。
【0096】
前記93gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを752gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして11wt%の溶液を得た。そして、こうして得られた溶液をステンレス板に塗布した後、100μmにキャスティングして150℃の熱風で1時間、200℃の熱風で1時間、300℃の熱風で30分乾燥させた後に、徐々に冷却して板から分離することにより、11μmのポリアミド−イミドフィルムを得た。その後、最終熱処理工程として、さらに300℃で10分間熱処理した。
【0097】
<比較例2>
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた1Lの反応器に、窒素を通過させながら、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)725gを入れて満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB57.64g(0.18mol)を溶解して、この溶液を25℃に維持した。ここに6FDA19.99g(0.045mol)とBPDA10.59g(0.036mol)を投入した後、一定の時間攪拌して溶解および反応させた。その後、溶液の温度を15℃に維持した後、TPC20.10g(0.099mol)を添加し、25℃で12時間反応させて、固形分濃度13重量%および粘度855poiseのポリアミック酸溶液を得た。
【0098】
前記ポリアミック酸溶液にピリジン34.17g、無水酢酸44.12gを投入して30分攪拌した後、再び70℃で1時間撹拌して常温に冷やし、これをメタノール20Lで沈殿させた。そして、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させることにより、94gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0099】
ポリアミド−イミド固形分粉末に対する粒度分析の結果、平均粒度が70〜80μmであり、分子量分析の結果、重量平均分子量が170,000であった。
【0100】
前記94gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを760gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして11wt%の溶液を得た。そして、こうして得られた溶液をステンレス板に塗布した後、100μmにキャスティングして150℃の熱風で1時間、200℃の熱風で1時間、300℃の熱風で30分乾燥させた後に、徐々に冷却して板から分離することにより、10μmのポリアミド−イミドフィルムを得た。その後、最終熱処理工程として、さらに300℃で10分間熱処理した。
【0101】
<比較例3>
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた1Lの反応器に、窒素を通過させながら、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)861gを入れて満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB57.64g(0.18mol)を溶解して、この溶液を25℃に維持した。ここに6FDA63.97g(0.144mol)とCBDA7.06g(0.036mol)を投入した後、一定の時間撹拌して溶解し、25℃で12時間反応させて、固形分濃度13重量%および粘度800poiseのポリアミック酸溶液を得た。
【0102】
前記ポリアミック酸溶液にピリジン34.17g、無水酢酸44.12gを投入して30分攪拌した後、再び70℃で1時間撹拌して常温に冷やし、これをメタノール20Lで沈殿させた。そして、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させることにより、118gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0103】
ポリアミド−イミド固形分粉末に対する粒度分析の結果、平均粒度が70〜80μmであり、分子量分析の結果、重量平均分子量が162,000であった。
【0104】
前記118gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを954gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして11wt%の溶液を得た。そして、こうして得られた溶液をステンレス板に塗布した後、100μmにキャスティングして150℃の熱風で1時間、200℃の熱風で1時間、300℃の熱風で30分乾燥させた後に、徐々に冷却して板から分離することにより、10μmポリアミド−イミドフィルムを得た。その後、最終熱処理工程として、さらに300℃で10分間熱処理した。
【0105】
<比較例4>
攪拌機、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた1Lの反応器に、窒素を通過させながら、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)864gを入れて満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB57.64g(0.18mol)を溶解して、この溶液を25℃に維持した。ここに6FDA63.97g(0.144mol)とCPDA7.57g(0.036mol)を投入した後、一定の時間撹拌して溶解し、25℃で12時間反応させて、固形分濃度13重量%および粘度720poiseのポリアミック酸溶液を得た。
【0106】
前記ポリアミック酸溶液にピリジン34.17g、無水酢酸44.12gを投入して30分攪拌した後、再び70℃で1時間撹拌して常温に冷やし、これをメタノール20Lで沈殿させた。そして、沈殿した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させることにより、116gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0107】
ポリアミド−イミド固形分粉末に対する粒度分析の結果、平均粒度が70〜80μmであり、分子量分析の結果、重量平均分子量が150,000であった。
【0108】
前記116gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを938gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして11wt%の溶液を得た。そして、こうして得られた溶液をステンレス板に塗布した後、100μmにキャスティングして150℃の熱風で1時間、200℃の熱風で1時間、300℃の熱風で30分乾燥させた後に、徐々に冷却して板から分離することにより、11μmのポリアミド−イミドフィルムを得た。その後、最終熱処理工程として、さらに300℃で10分間熱処理した。
【0109】
<物性評価方法>
(1)透過度
実施例および比較例で製造されたフィルムをUV分光計(コニカミノルタCM−3700d)を用いて550nmでの透過度を測定した。
【0110】
(2)黄変度(Yellow Index、YI)
UV分光計(コニカミノルタCM−3700d)を用いて550nmでの黄変度をASTM E313規格で測定した。
【0111】
(3)熱膨張係数(CTE、Coefficient of Thermal Expansion)
TMA(Perkin Elmer社、Diamond TMA)を用いてTMA−Methodに基づいて50〜300℃での熱膨張係数を測定した。10℃/minの昇温速度で100mNの荷重を加えた。
【0112】
(4)厚さの測定
ポリアミド−イミドフィルムの任意の5箇所を選定し、Anritsu Electronic Micrometerで厚さを測定した。装置の偏差は±0.5%以下である。
【0113】
(5)複屈折値
複屈折分析器(Prism Coupler、Sairon SPA4000)を用いて630nmで3回測定し、その平均値を算出した。
【0114】
(6)引張強度(Tensile Strength)
Instron社の5967を用いてASTM−D882の基準に合わせて測定した。試験片の大きさは13mm*100mm、Load cell 1KN、Tension rateは50mm/minにして、試験片ごとに7回測定し、最大値と最小値を除いた平均値で算出した。
【0115】
(7)リタデーション(Retardation)
リタデーション(Retardation)は、OTSUKA ELECTRONICSのRETSを用いて測定した。サンプルは、縦横それぞれ1インチの正方形の形状を有する。この試験片をサンプルホルダーに装着し、モノクロメーターを用いて550nmに固定し、Ro(面方向位相差)を入射角0°で測定して面内複屈折を測定し、Rth(厚さ方向位相差)を入射角45°で測定して厚さ位相差を測定した。
【0116】
Ro=(nx−ny)*d
Rth=[(ny−nz)*d+(nx−nz)*d]/2
ここで、nxはx方向への屈折率であり、nyはy方向への屈折率であり、nzはz方向への屈折率であり、dはポリアミド−イミドフィルムの厚さを10μmに換算して計算した値である。
【0117】
【表1】
表1に示すように、実施例1〜8のポリアミド−イミドフィルムは、比較例1〜4のポリアミド−イミドフィルムに比べて、無色透明でありながら、複屈折値が低く、機械的特性および熱的安定性に優れることが分かった。
【0118】
本発明の単純な変形または変更はいずれも、当該分野における通常の知識を有する者によって容易に実施でき、それらの変形や変更もすべて本発明の範囲に含まれるものというべきである。