(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244472
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】プロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ
(51)【国際特許分類】
G01L 19/06 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
G01L19/06 A
【請求項の数】26
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-545737(P2016-545737)
(86)(22)【出願日】2014年8月26日
(65)【公表番号】特表2016-532878(P2016-532878A)
(43)【公表日】2016年10月20日
(86)【国際出願番号】US2014052660
(87)【国際公開番号】WO2015047625
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2016年8月1日
(31)【優先権主張番号】14/038,223
(32)【優先日】2013年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】ヘイウッド,ニコラス,ジョン
【審査官】
森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第6484585(US,B1)
【文献】
特許第3793089(JP,B2)
【文献】
特許第3280989(JP,B2)
【文献】
特表2001−527210(JP,A)
【文献】
特許第4851011(JP,B2)
【文献】
特開2007−101549(JP,A)
【文献】
特許第5133484(JP,B2)
【文献】
特許第3723217(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタにおいて、
ハウジングと、
前記ハウジングに結合され、トランスミッタをパイプの開口部に取り付けるように構成されたパイプフランジと、
前記パイプフランジから前記パイプの前記開口部を通ってパイプ内に延びるプローブと、
前記プローブ内でアパーチャを有する圧力センサマウントと、
アパーチャにこれを通るように取り付けられ、加えられた圧力に応じて電気的特性が変化する圧力センサと、
前記プローブ内でプロセス流体に晒されるように構成され、内部に圧力センサと圧力センサマウントを保持するチャンバが形成され、プロセス流体と接触するように配置される隔離ダイヤフラムを有してプロセス流体の圧力を隔離ダイヤフラムから圧力センサへ非圧縮性の流体を介して伝達するために隔離ダイヤフラムと流体工学的に接続された通路を有するように構成されたアイソレータプラグとを具備し、
前記圧力センサマウントはアイソレータプラグに接続され、前記アパーチャの軸線に沿った視点で非円形状であることを特徴とするプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項2】
前記アイソレータプラグに接続され、通路内に前記非圧縮性流体を導入するように構成された充填管をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項3】
前記充填管がアイソレータプラグに取り付けられ、当該アイソレータプラグから前記アパーチャの軸線と実質的に平行な方向へ延設されていることを特徴とする請求項2に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項4】
前記圧力センサマウントが前記アイソレータプラグにロウ付けされていることを特徴とする請求項1に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項5】
前記隔離ダイヤフラムを覆うように配置されたスクリーンをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項6】
前記スクリーンが前記アイソレータプラグに溶接されていることを特徴とする請求項5に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項7】
前記圧力センサが単結晶材料で形成されることを特徴とする請求項1に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項8】
前記単結晶材料がサファイアであることを特徴とする請求項7に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項9】
圧力センサの近傍位置において、非圧縮性流体内に配置された少なくとも1つの非圧縮油量インサートを含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項10】
前記アッセンブリが圧力プローブ内で具現化され、圧力送信機の一部であることを特徴とする請求項1に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項11】
前記圧力センサがさらに、プロセス流体温度の指示値を出力するように配置された少なくとも1つの温度検知素子を含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項12】
前記アイソレータプラグが耐食性合金で形成されることを特徴とする請求項1に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項13】
前記耐食性合金がHastelloy(登録商標)C-276であることを特徴とする請求項12に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項14】
前記耐食性合金がInconel(登録商標)625であることを特徴とする請求項12に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項15】
前記非円形形状が略楕円形であることを特徴とする請求項1に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項16】
プロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ(10)において、
ハウジングと、
前記ハウジングに結合され、トランスミッタをパイプの開口部に取り付けるように構成されたパイプフランジと、
前記パイプフランジから前記パイプの前記開口部を通ってパイプ内に延びるプローブ(16)と、
前記プローブ内に設けられ、第1のアパーチャを有する第1の圧力センサマウントと、
第1のアパーチャにこれを通るように取り付けられ、加えられた圧力に応じて電気的特性が変化する第1の圧力センサと、
第2のアパーチャを有する第2の圧力センサマウントと、
第2のアパーチャにこれを通るように取り付けられ、加えられた圧力に応じて電気的特性が変化する第2の圧力センサと、
前記プローブ内でプロセス流体に晒されるように構成され、かつ第1及び第2の圧力センサ及び第1及び第2の圧力センサマウントをそれぞれ担持する第1及び第2のチャンバが形成され、プロセス流体と接触するように配置される第1の隔離ダイヤフラムを有してプロセス流体の圧力を第1の隔離ダイヤフラムから第1の圧力センサへ非圧縮性の流体を介して伝達するために第1の隔離ダイヤフラムと流体工学的に接続された第1通路、およびプロセス流体と接触するように配置される第2の隔離ダイヤフラムを有してプロセス流体の圧力を第2の隔離ダイヤフラムから第2の圧力センサへ非圧縮性の流体を介して伝達するために第2の隔離ダイヤフラムと流体工学的に接続された第2通路を有するように構成されたアイソレータプラグとを具備し、
前記第1及び第2の圧力センサマウントはアイソレータプラグに接続され、前記アパーチャの軸線に沿った視点で非円形状であることを特徴とするプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項17】
前記第1および第2の隔離ダイヤフラムが円形である請求項16に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項18】
前記第1および第2の隔離ダイヤフラムが、前記アイソレータプラグの軸線に対して相互に離間されていることを特徴とする請求項17に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項19】
前記第1および第2の隔離ダイヤフラムが相互に一列であることを特徴とする請求項18に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項20】
前記アイソレータプラグに接続されるスクリーンをさらに具備し、各隔離ダイヤフラムが前記スクリーンから離間していることを特徴とする請求項16に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項21】
前記スクリーンが、アイソレータプラグを備えたインタフェースの近傍に晒される複数のアパーチャを含むことを特徴とする請求項20に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項22】
アイソレータプラグに接続され、非圧縮流体を第1通路へ導く第1の充填チューブと、
アイソレータプラグに接続され、非圧縮流体を第2通路へ導く第2の充填チューブとをさらに具備したことを特徴とする請求項16に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項23】
前記第1および第2充填チューブがアイソレータプラグが前記アパーチャの軸線と実質的に平行な方向へ延設されたことを特徴とする請求項22に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項24】
前記アッセンブリの直径が略0.98インチ以下であることを特徴とする請求項22に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項25】
前記第1および第2の圧力センサが単結晶材料で形成されることを特徴とする請求項16に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【請求項26】
前記非円形状が実質的に楕円であることを特徴とする請求項16に記載のプロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
プロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタに係り、特に海中のような高圧環境下での利用に好適な
トランスミッタに関する。
【背景技術】
【0002】
工業用のプロセス制御システムは、流体等を生成または搬送するために使用される工業プロセスを監視および制御するために使用される。このようなシステムでは一般的に、温度、圧力、流量、レベル等のプロセス変数を計測することが重要である。プロセス制御トランスミッタはプロセス変数を計測し、計測結果に対応する情報を中央制御室のような中央の指定位置へ伝送する。
プロセス可変トランスミッタの一つのタイプは、プロセス流体の圧力を計測し、計測結果に対応する出力を提供する圧力トランスミッタである。その出力は、計測された圧力に由来する圧力、流量、プロセス流体のレベルまたは他のプロセス変数であって良い。圧力トランスミッタは、計測された圧力に対応する情報を中央制御室へ伝送するように構成されている。このような伝送は、典型的には2線式プロセス制御ループを介して行われるが、他の通信技術も時々使用される。このような圧力計測アッセンブリの先行技術として特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US 2002/100333
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧力計測にとって特に厳しい環境の一つに非常に高い作動圧力への適用がある。そのような用途の一つは海中環境である。このような用途では、プロセス装置が置かれる環境の静圧が非常に高くなる。さらに、プロセス流体は多くの公知の金属を腐食させる。例えば、いくつかの海中への応用では20,000psiの最大作動圧(MWP:maximum working pressure)を必要とすると考えられている。このような事情を考慮すると、強固な構造を提供するためには、典型的に特殊な高性能、高コストの外来材料が必要となる。このような高性能、高コストの耐食性合金の例としては、インディアナ州ココモのヘインズインターナショナル社から入手可能なHastelloy(登録商標)C276や、ニューヨーク州ニューハートフォードのスペシャルメタル社から入手可能なInconel(登録商標)625がある。このような外来合金を選択すれば、プロセス可変トランスミッタを厳しい環境下で動作させることが可能になるが、典型的には構造全体のコストを増大させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は
プロセス流体のプロセス変数を測定するトランスミッタを提供する。本発明の
トランスミッタは、自信を貫通するアパーチャを有する圧力センサマウントを含む。圧力センサは前記アパーチャを通るよう取り付けられる。圧力センサの電気的特性は加わる圧力に応じて変化する。通路がプロセス流体圧力を隔離ダイヤフラムから圧力センサまで非圧縮性流体を通して伝達するために隔離ダイヤフラムに対して流体工学的に密着される。圧力センサマウントは、アパーチャの軸線に沿った視点で非円形形状のアイソレータプラグに接続される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、センサマウントを円形ではなく非円形形状とすることにより、付加的に生じる空間を充填管などの他の構成要素に提供することができる。その結果、センサマウントの形状が依然として非常に堅牢なセンサマウントを提供でき、よりコンパクトなセンサ取付構成を可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る海底用PT(圧力/温度)トタンスミッタの斜視図である。
【
図2】
図1のプローブ内で一般的に使用される圧力センサモジュールの概略正面図である。
【
図3】単結晶材料の圧力センサを取り付けるための従来のセンサマウントの平面図である。
【
図4】
図3に示したセンサマウントの立面断面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る非円形形状センサマウントの平面図である。
【
図6】
図5に示したセンサマウントの概略断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る非円形形状センサマウントを有するアイソレータプラグの上面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る圧力プローブの圧力検知アッセンブリ部の概略断面図である。
【
図10】本発明の他の実施形態に係る非円形センサマウントを有する圧力検知アッセンブリの平面図である。
【
図12】
図11に示した圧力検知アッセンブリの90°回転の平面図である。
【
図13】
図12に示した圧力検知アッセンブリのC-C線に沿った断面図である。
【
図14】
図11,13に示した圧力検知アッセンブリのスクリーンを取り外した概略斜視図である。
【
図15】
図11,13に示した圧力検知アッセンブリのスクリーンを溶接した概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、例示的な海中PT(圧力/温度)トタンスミッタの斜視図である。トランスミッタ10は、電子機器ハウジング12、API(American Petroleum Institute)パイプフランジ14および圧力/温度プローブ16を含む。プローブ16はパイプ壁を貫通して開口部に挿入され、パイプ内で1つまたは2つの圧力/温度隔離ダイヤフラムを位置決めする。一般に、これらのダイヤフラムはプロセス圧力を計測するパイプの内径に配置される。利用可能な既知の海中トランスミッタによれば、典型的なプローブの直径は36.5mmから46.5mmの範囲であり、一般的にはHastelloy(登録商標)C-276またはInconel(登録商標)625などの高性能で高コストな耐食性合金で構成される。これらの合金は海中環境に適するものの、一般的にアッセンブリ全体のコストを上昇させる。多くの適用に関連して高い圧力を与えられると、パイプフランジ14も電子機器ハウジング12と同様に、一般にプローブ16の外径によってドライブされる。プローブアッセンブリ16の主要な構成要素はプローブ16内の圧力カプセルである。圧力カプセルは、一般に圧力センサおよびプロセス流体隔離ダイヤフラムを含む。プロセス流体隔離ダイヤフラムはプロセス流体に接し、圧力センサとプロセス流体とが接触しないように、プロセス流体圧力を圧力センサに伝達する。圧力センサに加えて、カプセルは温度センサを備えることができる。カプセルはまた、一般的に圧力センサにプロセス圧力を伝達するために、スクリーンのようなプロセス・インターフェースおよび油圧システム(例えば、充填流体など)を含む。
図1に示すように、APIフランジマウント14は、トランスミッタを取り付けるためにパイプフランジをパイプに係合させるためのボルトを通す8つのボルト孔を含む。加わる圧力によっては、フランジ14のサイズ及びの厚さは非現実的ではない。
【0009】
図2は、一般的に
図1のプローブ16内で使用される圧力センサモジュールの概略正面図である。センサモジュール20は、プロセス流体へ晒されるように設けられたスクリーン22を含み、
図8に示した隔離ダイヤグラム64のようなセンサモジュールの内部コンポーネントを、プロセス流体中の微粒子や固体材料から保護する。アイソレータプラグ24は、プロセス流体に直接晒されるように構成され、プロセス流体圧力を圧力センサ26へ伝達する際に圧力センサ26をプロセス流体から物理的に隔離する。アイソレータプラグ24は、一般的には溶接部30においてセンサ本体28に溶接されている。アイソレータプラグがプロセス流体と圧力センサとの間の物理的接触を許容せずにプロセス流体の圧力を圧力センサ26へ伝達できるようにするために、シリコーン油などの油圧充填流体(例えば、非圧縮性流体)が使用される。油圧充填流体は、充填管32を介して閉鎖系内に導入され、充填管32はその後シールされる。その後、プロセス流体は隔離ダイヤフラムの一方の側に当接し、他方の側は油圧充填流体に当接する。充填液は圧力センサ26に圧力を伝達する。その結果、圧力センサ26は油圧充填液とのみ接触し、潜在的に腐食性があり、熱く、または他の困難なプロセス流体とは接触しない。いくつかの例では、圧力センサ26は、高圧高温に耐え得る小さな単結晶圧力センサである。いくつかの例では、この単結晶の圧力センサはサファイアで構成される。これらの単結晶の圧力センサは、例えば米国特許第6520020号に開示されている。単結晶基板に圧力が加わると、圧力センサの単結晶材料の2つ以上の層の層間の距離が変化する。圧力センサの内側表面に露出した導体が相互に接近または離間する方向へ移動すると、これにより導体間の静電容量が変化する。静電容量の変化は電子機器ハウジング12内の適当な回路によって検出されて圧力を代表する。多くの場合、単結晶の圧力センサはまた、抵抗温度装置のように温度に敏感な構造を含むことになる。したがって、この小さな圧力/温度検知素子により、比較的過酷な環境に適した、小さくてロバスト性の高い検知システムを構成できる。
【0010】
図3は、単結晶材料の圧力センサを取り付けるためのセンサマウントの従来技術の平面図である。センサマウント34は円形であり、その直径は一般的に0.279インチ(7.09 mm)である。センサマウント34の中心部には、矩形断面を有する単結晶の圧力センサを受け容れるように寸法決めされたスロット36が設けられている。圧力センサがスロット36に取り付けられると、センサマウント34に圧力センサ26を機械的に固定または取り付けるためのロウ付けや半田付けの作業が行われる。
【0011】
図4は、センサマウント34の立面断面図である。
図4ではセンサマウントの高さは約0.170インチ(4.32mm)として示されている。さらに、スロット36がセンサマウント34を完全に貫通して延びるように示されている。
【0012】
本発明の実施形態によれば、センサマウントの形状が、依然として非常に堅牢なセンサマウントを提供でき、よりコンパクトなセンサ取付構成を可能にする非円形形状に設計変更される。
【0013】
図5は、本発明の実施形態に係る非円形センサマウントによるセンサ取り付けの概略平面図である。センサマウント40はやはり、現在使用され、または今後開発されるであろう単結晶圧力センサを受け容れて取り付けられるサイズおよび形状の貫通孔(アパーチャ)36を有する。しかしながら、センサマウント40はアパーチャ36の軸線に沿った視点(
図5に示したように、アパーチャ36を見下ろす視点)では非円形形状である。一実施形態では、センサマウント40は延長部分46によって互いに分離された一対のカーブエンド42,44を有する。このように、センサマウント40の平面図は楕円形またはレーストラックに似ている。一実施形態では、楕円形の幅が約0.170インチ(4.32 mm)であり、楕円形の長さが約0.279インチ(7.09 mm)である。
図5を参照した実施形態では、各カーブエンド42,44間の延長部分46が直線であったが、楕円形状が非円形に維持される限りにおいて、延長部分46は多少湾曲していても良い。センサマウント40を円形ではなくすることにより、付加的に生じる空間を、
図7,8を参照して後述する充填管などの他の構成要素に提供することができる。
【0014】
図6は、センサマウント34のように、センサマウント34を完全に貫通して延びるスロット36を備え、好ましくは高さが同じ0.170インチであるセンサマウント40の実施形態を示している。
【0015】
図7は、非円形圧力センサマウント40を備え、これがロウ付け等により固定された本発明の一実施形態に係るアイソレータプラグ50の平面図である。センサマウント40は、その内部に取り付けられた圧力センサ52を備える。圧力センサ52は、好ましくはサファイアなどの単結晶材料で構成されている。圧力センサ52は、ロウ付け又は半田付けによりセンサマウント40に取り付けられている。そのように取り付けられると、センサマウント40は圧力検知チャンバ54(
図8を参照)内に圧力センサ52を配置する。プロセス流体の圧力は、隔離液を介して隔離ダイヤフラム64から圧力センサ52へ伝達され、これにより、圧力センサ52はプロセス流体の圧力を検知することができる。圧力センサ52もまた、好ましくはプロセス流体の温度を表示するための少なくとも一つの感温素子を含む。充填流体は、隔離ダイヤフラム64と圧力検知チャンバ54との間の空間へ給油管56を経由して導入される。一実施形態では、給油管56がアイソレータプラグ50から、圧力センサ52の装着されるアパーチャを通る軸と実質的に平行な方向(すなわち、鉛直方向)へ延びる。これにより、圧力検知アッセンブリのための非常にコンパクトな構成を提供できる。システムにオイルが充填されると、給油管56は密閉体積が維持されるように封止される。
【0016】
図8は、本発明の実施形態に係る圧力プローブの圧力検知アッセンブリの概略断面図である。アッセンブリ60は、隔離ダイヤフラムの近接に配置され、スクリーン62または他の適切な構造を備え、プロセス流体内を移動する微粒子や固体の隔離ダイヤフラムとの物理的な接触を排除する。しかしながら、スクリーン62はプロセル流体が隔離ダイヤフラムに作用できるようにするための多数の孔を有する。プロセス流体は隔離ダイヤフラム64に対して圧力を加えるので、クローズドシステム内の充填流体は、プロセス流体の圧力を油路66経由で圧力検知チャンバ54へ伝達する。いくつかの実施形態では、圧力検知チャンバ54は、実質的に非圧縮性であって圧力検知チャンバ54内に要求されるオイル量を削減する少なくとも一つの油量インサート68を備える。充填流体はプロセス流体によって加圧されるので、圧力センサ52の対向する層は圧力に基づいて互いに付勢される。圧力センサ52の反対側の層が変位することで層間の距離が変化する。このような層の内側表面に配置された金属製または導電性の層は、印加された圧力に応じて静電容量が変化するコンデンサのような静電容量プレートを形成する。
【0017】
図8に示したように、圧力センサ52は、好ましくはアイソレータプラグ50に対してロウ付けされたセンサマウント40に取り付けられる。したがって、センサマウントおよびアイソレータプラグの特徴は、一体ピースのアイソレータプラグに結合されることである。特徴を組み合わせることにより、センサ本体28とアイソレータプラグ24との間に不可欠な深浸透溶接が不要となり、全体的な高さとアッセンブリ60の直径が減少する。
センサマウント40、圧力センサ52および給油管56をアイソレータプラグ50に対してロウ付けまたは半田付けするために既存のプロセスおよび材料を利用できる。
【0018】
図7へ戻り、非円形センサマウント40を垂直給油管56と一緒に利用することにより、両方の構造をリング70の周囲内に設けることができる。これによりアッセンブリ全体の直径を小さくできるようになり、その結果、構造全体を小型化でき、プローブを製造するために必要な高性能で高コストな合金の量も削減することができる。
【0019】
図9は、圧力センサ52およびオイルチューブ56が共にリング70の周囲内に配置された圧力検出システム60の斜視図である。スクリーン62は溶接部72においてアイソレータプラグ50に溶接されている。
【0020】
図10は、本発明の他の実施形態に係る圧力検知アッセンブリ80の平面図である。圧力検知アッセンブリ80は、
図7に示した圧力検知アッセンブリ50といくつかの点で類似し、同等の部分には同等の番号が付してある。
図10に示したように、アッセンブリ80は、それぞれが圧力センサ52を搭載するためのアパーチャを有する一対の非円形圧力センサマウント40(
図10に示したように、センサマウントアパーチャの軸線に沿った視点で非円形形状のマウント40)を含む。さらに、圧力センサ52は、通常は相互に間隔を置いて配置されるが、さもなければ互いに平行に配置される。さらに圧力検知アッセンブリ80は、非圧縮性の充填流体を圧力検知アッセンブリ80内の複数の異なる封止流体容量へ導くための一対のオイル充填チューブ56を有する。
【0021】
図11は、
図10のA―A線に沿った圧力検知アッセンブリ80の断面図である。図示の通り、圧力検知アッセンブリ80は溶接部86でスクリーン84に溶接されるアイソレータプラグ82を含む。アイソレータプラグ82の末端部88は一対の隔離ダイヤグラム90,92を有する。各隔離ダイヤグラム90,92は一般的に相互に間隔を置いて配置されるが、それぞれの平面を横断する方向に関して相互に離間される。各隔離ダイヤフラム90,92は、圧力センサ52にプロセス流体の圧力をそれぞれ伝達するオイル通路94,96に結合される。 いくつかの実施例では、各圧力センサ52も温度検知要素を含む。さらに、
図11に示した実施形態では、各隔離ダイヤグラム90,92とスクリーン84との間には、水和物(固体)が堆積して隔離ダイヤフラム90,92の動きに悪影響を及ぼす可能性を最小化または減じるために重要なギャップが形成されている。
【0022】
各圧力センサマウント40は、好ましくはアイソレータプラグ82にロウ付けされる。さらに、各圧力センサ52は各センサマウントに対して、好ましくはそれぞれ半田付けされるか、さもなければ固定される。圧力検知アッセンブリ80が完成すると、プローブに対してインタフェースまたは表面98において好ましくは溶接により取り付けられる。
【0023】
図12は、
図11に示した圧力検知アッセンブリの90°回転の平面図である。
【0024】
図13は、
図12に示した圧力検知アッセンブリのC-C線に沿った断面図である。具体的には、
図132に示した断面図は、
図10のA-A線から90°回転したC-C線に沿った断面図である。
図13は、アイソレータプラグ82に取り付けられ、異なる各オイル充填システムを充填するオイル通路100を通してオイルを伝達する各充填チューブ56を示している。そのようなシステムがオイルで満たされると、それぞれの隔離ダイヤフラムを圧迫しているプロセス流体の圧力がそれぞれの圧力センサに伝えられるように、充填チューブ56の各々は閉じられるか、さもなければ封止される。
図10ないし
図13に示される複数の圧力/温度計測の具体化は、冗長な圧力計測の提供を可能にする。しかしながら、いくつかの実施例では、差圧なる圧力は、複数の圧力/温度センサで変換される圧力間の相違に基づいて差動圧力が測られるかもしれない。
【0025】
図14は、スクリーン84を取り外した圧力検知アッセンブリの斜視図である。
図14から分かるように、隔離ダイヤグラム92は円形状であり、複数の環状しわを有している。他の隔離ダイヤフラムは、好ましくは隔離ダイヤフラム2とほぼ同じである。
図14も、それぞれのセンサマウント40内に取り付けられる一対の圧力センサ52を示している。 さらに、一対のオイル充填チューブ56が提供され、これら全ての構成要素はリング70の周辺部の中に配列される。
【0026】
図15は、溶接部86においてスクリーン84が溶接された圧力検知アッセンブリ80の斜視図である。圧力検知アッセンブリ80の全体の直径は、本発明の実施形態に従って、20,000psiの最大圧力(MWP)および適切なアイソレータプラグ材料により0.98インチ(24.9 mm)と小さくすることができる。
図15も、スクリーン84の溶接部86の近傍にドリル等により設けられた複数のアパーチャ88を示している。アパーチャ88はガスを排出し、圧力の計測結果に影響を与える可能性のある「デッドエンド」を排除することができる。
【0027】
上述のように、本発明の実施形態は一般的に、ユニークなセンサマウントおよびアイソレータプラグの配置構造により、海底でのトランスミッタの利用に好適な小径の圧力カプセルを提供する。プローブの長さは適用に応じて可変であり、通常は高性能、高コストの材料から造られる。圧力カプセルはプローブアッセンブリの重要なコンポーネントであり、このように全体の直径に影響を与える。圧力カプセルおよびプローブの大きさ及び直径を削減することは、海底圧力トランスミッタの全体のサイズおよびコストの低減に有利に働く。プローブの直径を削減する条件は、デバイスを製造するために必要な高コストの耐食性合金(CRA)材料の使用量を減少することによる圧力トランスミッタのコスト削減の契機となる。さらに、装置全体の重量も低減される。最後に、本発明の実施形態はいくつかの製品および/または応用のために考慮される標準的な直径2 1/16インチのAPIパイプフランジ以外の他のプロセス接続を可能にする。
【0028】
本発明が好ましい実施形態を参照して説明されたが、当該技術分野における当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細において変更がなされ得ることを認識するであろう。例えば、アイソレータプラグに比較的軽微な修正を加えれば、スクリーンを標準的なプロセスコネクタに置き換えることができ、追加の応用や環境で使用できる。加えて、本発明の実施形態によって使用可能な比較的小さな直径のプローブは、地下水または廃水用途のための水中圧力トランスミッタで使用できる。さらに、本発明の実施形態は、
図11に示したように、二平面隔離ダイヤフラムの対を提供したが、さらに、隔離ダイヤフラムが同一平面上にある場所でも実施できる。
【符号の説明】
【0029】
10…トランスミッタ,12…電子機器ハウジング,14…パイプフランジ,16…プローブアッセンブリ,20…センサモジュール,24…アイソレータプラグ,26…圧力センサ,28…センサ本体,30…溶接部,32…充填管,34…センサマウント,36…アパーチャ,40…センサマウント,52…圧力センサ,54…圧力検知チャンバ,56…給油管,60…アッセンブリ,62…スクリーン,64…隔離ダイヤグラム