(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記二次電池の端子が外されたことが検出され、かつ、前記アイドルストップによるエンジン再始動時から前記所定時間が経過する前に、前記所定の判定時間以上継続する前記フューエルカット走行が行われない場合、前記充電制御手段は前記再接続された二次電池への充電を前記所定の判定時間にわたって強制的に行うことを特徴とする請求項3に記載の充電制御装置。
前記二次電池の端子が外されたことが検出され、かつ、前記アイドルストップが所定回行われる前に、前記所定の判定時間以上継続する前記フューエルカット走行が行われない場合、前記充電制御手段は、前記所定回の前記アイドルストップによるエンジン再始動後に、前記再接続された二次電池への充電を前記所定の判定時間にわたって強制的に行うことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の充電制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バッテリの蓄電状態或いは充電状態(SOC:State Of Charge、満充電時と完全放電時をそれぞれ100(%)と0(%)とし、バッテリの残容量(蓄電状態)を規格化した値である)は、特許文献2に記載されるように、充電電流やバッテリ電圧から判定(推定或いは推測することを意味するが、本明細書においては「判定」に統一して「推定」と区別する)することや、例えば電流センサにより検出されたバッテリの放充電電流の積算値に基づいて推定することにより把握される。但し、放充電電流の積算値に基づいて蓄電状態を推定する場合、蓄電状態の初期値が不正確であると、推定された蓄電状態も不正確になる。そのため、市販の自動車に搭載されている充電制御装置では、バッテリへの充電を行っているときに検出した充電電流に基づいて蓄電状態を判定し、認識している蓄電状態が判定した蓄電状態と異なる場合には認識している蓄電状態を補正すること(較正)が行われている。
【0006】
一方、充電電流やバッテリ電圧から蓄電状態を判定する場合、特に蓄電状態が満充電状態に近い場合には、バッテリ電圧が高くなることからバッテリ電圧と充電電圧との電位差が小さくなり、充電電流が小さくなるために充電電流から正確に蓄電状態を判定することが困難になる。そのため、市販の自動車に搭載されている充電制御装置では、蓄電状態の正確な判定が困難な所定の蓄電状態以上であることが確認された場合には、バッテリの蓄電状態を満充電状態よりも低い上記所定の蓄電状態(例えば80%)であると見做すことが行われている。
【0007】
また、バッテリの蓄電状態が高いほど、バッテリ電圧が高くなって充電電流が小さくなるため、バッテリの充電効率は低下する。そのため、市販の自動車に搭載されている充電制御装置では、バッテリの蓄電状態に上限値(例えば80%)を設定し、これを制御中心(制御目標値)として、バッテリの蓄電状態を上限値に維持する制御(以下、通常制御と呼ぶ)を行い、充電効率の高い上限値以下の蓄電状態においてフューエルカット走行時等の適宜のタイミングでバッテリへの充電を行うことで燃費の向上を図っている。
【0008】
ところが、この充電制御装置では、充電やバッテリ交換等でバッテリを取り外し、別のバッテリ(新しいバッテリ及び充電された同じバッテリを含む)が再接続された場合には、再接続されたバッテリが満充電状態であったとしても、再接続後に蓄電状態を判定した際にバッテリの蓄電状態が上記所定の蓄電状態と見做される。このような場合には、再接続されたバッテリの蓄電状態を上限値に低下させる必要がある。しかしながら、この充電制御装置の制御では、不正確に認識している認識蓄電状態を再認識して較正するためにバッテリへの充電を行う必要がある。例えば、特許文献2の技術を適用してアイドルストップ後にバッテリへの充電を行い、この間に蓄電状態の判定を行うことが考えられるが、このようにすると、アイドルストップの度(エンジン再始動の度)にバッテリへの充電が行われる。つまり、実際のバッテリの蓄電状態が上限値に低下するまでに長期間を要し、長期間にわたって上記のような効率の低い充電が行われ、燃費が悪化してしまう。
【0009】
本発明は、このような背景に鑑み、二次電池の実際の蓄電状態が制御中心である上限値よりも大きい場合に、実際の蓄電状態を早期に上限値に収束させ、効率良く充電を行うと共に、燃費の悪化を抑制できる充電制御装置及び充電制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決するために、本発明は、エンジン(11)により駆動される発電機(14)から二次電池(13)への充電を制御する充電制御装置(10)であって、前記二次電池への充電電流(Ic)を検出する(S2)充電電流検出手段(15b)と、前記二次電池からの放電電流(Id)を検出する(S2)放電電流検出手段(15a)と、前記充電電流及び前記放電電流に基づいて前記二次電池の積算放充電量(IW)を算出する(S3)放充電量積算手段(23)と、前記積算放充電量に基づく前記二次電池の蓄電状態を認識蓄電状態(SOCr)として認識する蓄電状態認識手段(24)と、前記認識蓄電状態を満充電状態(100%)よりも小さな所定の上限値(80%)に維持するように、前記発電機の発電電圧を切り替えて前記二次電池への充電を制御する(S47〜S56)充電制御手段(26)と、前記二次電池の端子が外されたことを検出する(S21〜S23)端子外れ検出手段(16、25)とを備え、前記充電制御手段は、前記二次電池の端子が外されたことが検出された場合(S31:Yes)には、その時点からの前記積算放充電量が所定の放電量(−20%)に達するまで、その後に再接続された二次電池への充電を禁止する(S68〜S70)構成とする。
【0011】
また、本発明は、エンジン(11)により駆動される発電機(14)から二次電池(13)への充電を制御する充電制御方法であって、前記二次電池への充電電流(Ic)を検出する充電電流検出ステップ(S2)と、前記二次電池からの放電電流(Id)を検出する放電電流検出ステップ(S2)と、前記充電電流及び前記放電電流に基づいて前記二次電池の積算放充電量(IW)を算出する放充電量積算ステップ(S3)と、前記積算放充電量に基づく前記二次電池の蓄電状態を認識蓄電状態(SOCr)として認識するステップ(S3)と、前記認識蓄電状態(SOCr)を満充電状態(100%)よりも小さな所定の上限値(80%)に維持するように、前記発電機の発電電圧を切り替えて前記二次電池への充電を制御する充電制御ステップ(S47〜S56(t19〜t23))とを備え、前記二次電池の端子が外されたことを検出する端子外れ検出ステップ(S22〜S23)と、前記二次電池の端子が外されたことが検出された場合に(S31:Yes)、その時点からの前記積算放充電量が所定の放電量(−20%)に達するまで、その後に再接続された二次電池への充電を禁止するステップ(S68〜S70)とを更に備える構成とする。
【0012】
これらの構成によれば、認識蓄電状態を満充電状態よりも小さな所定の上限値に維持するように二次電池への充電を行うことができる。そして、二次電池の端子が外されたことが検出された場合、積算放充電量が所定の放電量に達するまで、再接続された二次電池への充電が禁止されるため、実際の蓄電状態を早期に上限値に収束させ、効率良く充電を行うと共に、燃費の悪化を抑制することができる。
【0013】
また、上記の発明において、前記二次電池への充電中に前記充電電流に基づいて前記二次電池の蓄電状態を判定する(S5)蓄電状態判定手段(23)を更に備え、前記蓄電状態認識手段は、前記蓄電状態判定手段により判定された蓄電状態に基づいて前記認識蓄電状態を較正し、前記充電制御手段は、前記エンジンの始動直後に、前記蓄電状態判定手段による蓄電状態の判定に要する所定の判定時間(Tr)にわたって前記二次電池へ充電を行い(S42〜S43、S61〜S62)、前記二次電池の端子が外されたことが検出された場合(S31:Yes)、前記充電制御手段は、前記エンジンの始動直後に判定された前記再接続された二次電池の蓄電状態が前記上限値以上である場合にのみ(S63:Yes)、前記再接続された二次電池への充電を禁止する(S69)構成とするとよい。
【0014】
この構成によれば、二次電池の端子が外されたことが検出された場合であっても、エンジン始動直後の再接続された二次電池の蓄電状態が上限値未満の場合には再接続された二次電池への充電が禁止されないため、認識蓄電状態を上限値に維持するように再接続された二次電池への充電を行うことができる。
【0015】
また、上記の発明において、当該充電制御装置は車両(1)に搭載され、前記充電制御手段は、前記車両のフューエルカット走行中に前記二次電池への充電を行い(S53、S87)、前記二次電池の端子が外されたことが検出された場合(S31:Yes)、前記蓄電状態認識手段は、前記フューエルカット走行中の充電時(S72、S87)に、前記蓄電状態判定手段により判定された前記再接続された二次電池の蓄電状態を用いて前記認識蓄電状態を較正する(S7〜S13)構成とするとよい。
【0016】
この構成によれば、フューエルカット走行中には二次電池への充電が行われ、二次電池の端子が外されたことが検出された場合であっても、フューエルカット走行中の充電時に認識蓄電状態を較正することができる。また、フューエルカット走行中の充電時に認識蓄電状態を較正するため、較正のために燃料を使用する必要がなく、燃費の悪化を抑制できる。
【0017】
また、上記の発明において、当該充電制御装置はアイドルストップを行う車両に搭載され、前記二次電池の端子が外されたことが検出され(S31:Yes)、かつ、前記アイドルストップによるエンジン再始動時から所定時間(Td)が経過する前に(S91:No:)前記フューエルカット走行が行われない場合(S86:No)、前記充電制御手段は前記再接続された二次電池への充電を前記所定の判定時間にわたって強制的に行う(S92〜S93)構成とするとよい。
【0018】
この構成によれば、フューエルカット走行が行われない状態、即ち蓄電状態認識手段が再接続された二次電池の蓄電状態を用いて前記認識蓄電状態を較正できない状態が、アイドルストップによる再始動時から長時間継続することを防止できる。これにより、認識蓄電状態が実際の蓄電状態と乖離したまま低下し過ぎることが防止される。
【0019】
また、上記の発明において、前記二次電池の端子が外されたことが検出され(S31:Yes)、かつ、前記アイドルストップによるエンジン再始動時から前記所定時間が経過する前に(S91:No)、前記所定の判定時間以上継続する前記フューエルカット走行が行われない場合(S88:Yes)、前記充電制御手段は前記再接続された二次電池への充電を前記所定の判定時間にわたって強制的に行う(S92〜S93)構成とするとよい。
【0020】
アイドルストップによるエンジン再始動時から所定時間が経過する前にフューエルカット走行が行われたとしても、フューエルカット走行が蓄電状態の判定に要する判定時間以上継続されなければ、蓄電状態認識手段は認識蓄電状態を較正することができない。この構成によれば、所定の判定時間以上継続するフューエルカット走行が行われない場合であっても、蓄電状態認識手段が認識蓄電状態を較正できるようになる。
【0021】
また、上記の発明において、前記二次電池の端子が外されたことが検出され(S31:Yes)、かつ、前記アイドルストップが所定回(例えば3回)行われる前に、前記所定の判定時間以上継続する前記フューエルカット走行が行われない場合(S84:Yes)、前記充電制御手段は、前記所定回の前記アイドルストップによるエンジン再始動後に、前記再接続された二次電池への充電を前記所定の判定時間にわたって強制的に行う(S92〜S93)構成とするとよい。
【0022】
二次電池の端子が外されたことが検出され、認識蓄電状態の較正が行われない状態で、フューエルカット走行が行われない状態が継続すると、蓄電状態が低下しやすいアイドルストップ中に認識蓄電状態が所定の放電下限値に達し、強制的に充電を行うために突然エンジンが始動する虞がある。この構成によれば、所定回目のアイドルストップによるエンジン再始動後に、充電制御手段が再接続された二次電池への充電を強制的に行うことにより、このような事態が生じることを抑制できる。また、認識蓄電状態が下限値に達する前に蓄電状態認識手段が蓄電状態を較正できるようになる。
【発明の効果】
【0023】
このように本発明によれば、二次電池の蓄電状態を満充電状態よりも小さな所定の上限値に維持するように二次電池への充電を行いつつ、二次電池の実際の蓄電状態が制御中心である上限値よりも大きい場合に、実際の蓄電状態を早期に上限値に収束させ、効率良く充電を行うと共に、燃費の悪化を抑制できる充電制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0026】
図1に示すように、アイドルストップ車に搭載される充電制御装置10は、内燃機関11の駆動力を、例えばCVTやマニュアルトランスミッション等の変速機12を介して自車両の駆動輪W、Wに伝達する自動車1に搭載され、各種補機類を駆動するための12ボルトの鉛蓄電池等のバッテリ13に対する充電動作を制御するものであって、バッテリ13と、交流発電機(ACG)14と、電流センサ15a、15bと、電圧センサ16と、ECU(電子演算装置)17とを備えて構成されている。
【0027】
内燃機関11のクランク軸11aと交流発電機14の回転軸14aとは、駆動力伝達部18を介して接続されており、交流発電機14は、駆動力伝達部18を介して伝達される内燃機関11の駆動力により発電可能とされている。ここで、駆動力伝達部18は、例えば、内燃機関11のクランク軸11aと一体に設けられたクランク軸プーリ18aと、このクランク軸プーリ18aと対をなし、交流発電機14の回転軸14aと一体に設けられた駆動軸プーリ18bと、クランク軸プーリ18a及び駆動軸プーリ18b間に掛け渡されたベルト18cとを備えて構成されている。即ち、クランク軸プーリ18a及び駆動軸プーリ18b間においては、ベルト18cを介して内燃機関11の駆動力が交流発電機14へと伝達される。
【0028】
バッテリ13は交流発電機14に接続されており、交流発電機14は、ECU17からの充電指令を受けて内燃機関11の駆動力により発電して得た交流電力を直流電力に整流し、バッテリ13に充電する。ECU17は、後述する認識蓄電状態SOCrと、バッテリ13から例えば各種ランプや空調装置のコンプレッサ等の車載電気機器からなる負荷19に供給された電力量、即ち負荷19への放電電流Id、バッテリ13の端子間電圧VB及び時間Tの積とに応じて、バッテリ13に対する充電、つまり交流発電機14の発電動作を制御する。
【0029】
例えば、ECU17は、バッテリ13に対する充電を行う場合に、交流発電機14の発電により得られる直流電圧が14.5Vとなるように交流発電機14を発電制御し、バッテリ13に対する充電を行わない場合に、交流発電機14の発電により得られる直流電圧が12.0Vとなるように交流発電機14を発電制御する。つまり、ECU17は、充電を行わない通常時と充電時とで交流発電機14に対する発電指示電圧を切り替える。
【0030】
このため、ECU17には、電流センサ15aから出力されるバッテリ13から負荷19への放電電流Idの検出信号、電圧センサ16から出力されるバッテリ13の端子間電圧VBの検出信号、電流センサ15bから出力される交流発電機14からバッテリ13に流れる充電電流Icの検出信号等が入力されている。なお、
図1では2つの電流センサ15a、15bが示されているが、単一の電流センサ15が放電電流Id及び充電電流Icを検出してもよい。
【0031】
また、自動車1は、図示しないエンジンECUを備えており、このエンジンECUにより、走行後の停車意思を判定したとき、例えば、車速が0になり、かつブレーキペダルが踏み込まれたこと等の所定のエンジン停止条件が満たされたときに、内燃機関11を停止し、運転者の走行意思を判定したとき、例えば、ブレーキペダルの操作が解除されたこと等の所定のエンジン再始動条件が満たされたときに、内燃機関11を再始動するアイドルストップが行われる。アイドルストップが行われているときには、エンジンECUから出力されるアイドルストップ信号ISがECU17に入力される。
【0032】
エンジンECUは、イグニッションオン信号IG−ONの入力に応じて内燃機関11を始動し、アクセルペダルの踏込量等に応じて内燃機関11への燃料供給量やスロットル開度を制御する。イグニッションオン信号IG−ONは、ECU17にも入力する。エンジンECUは、自動車1の走行中にアクセルペダルの踏込量が0になったこと等の所定のフューエルカット条件が満たされると、内燃機関11への燃料供給量を0にするフューエルカットを行う。フューエルカットが行われているときには、エンジンECUから出力されるフューエルカット信号FCがECU17に入力される。
【0033】
次に、
図2を参照してECU17について説明する。電流センサ15bから出力される交流発電機14からバッテリ13に流れる充電電流Icの検出信号、及び電圧センサ16から出力されるバッテリ13の端子間電圧VBは、蓄電状態算出部21に入力される。蓄電状態算出部21では、蓄電状態判定部22が、入力した充電電流Ic及び端子間電圧VB(充電電圧)のうちの少なくとも充電電流Ic(以下、単に「少なくとも充電電流Ic」と記す)に基づいてバッテリ13の蓄電状態SOCを判定する。蓄電状態判定部22が蓄電状態SOCを判定するためには、充電電流Icが所定の判定時間Trにわたって継続して入力することが必要である。充電電流Icが所定の判定時間Trにわたって継続して入力しても、バッテリ13の蓄電状態SOCが所定値(例えば80%)以上であるときには、蓄電状態SOCが所定値以上であることは判定できるが、充電電流Icに差が生じにくいため、正確な蓄電状態SOCを判定することができない。この場合、蓄電状態判定部22は蓄電状態SOCを所定値(80%)であると見做す。そのため、蓄電状態判定部22により判定された蓄電状態SOCは、実際の蓄電状態SOC(以下、実蓄電状態SOCaと記す)と必ずしも一致するものではない。蓄電状態算出部21が行う蓄電状態SOCの判定タイミングについては後述する。
【0034】
電流センサ15aから出力されるバッテリ13から負荷19に流れる放電電流Idの検出信号も、蓄電状態算出部21に入力される。蓄電状態算出部21では、放充電量積算部23が、入力した充電電流Ic及び端子間電圧VB(充電電圧)に基づいてバッテリ13への充電量(プラスの値)を積算した値と、入力した放電電流Id及び端子間電圧VBに基づいてバッテリ13からの放電量(マイナスの値)を積算した値との和である積算放充電量IWを算出する。本実施形態では、蓄電状態SOCに対応するように、積算放充電量IWとして、バッテリ13の蓄電容量に対する積算放充電量IWの率(除算値)を用いるものとして説明する。積算放充電量IWは、充電量の積算値が放電量の積算値よりも大きい場合にプラス(充電側)になり、放電量の積算値が充電量の積算値よりも大きい場合にマイナス(放電側)になる。
【0035】
蓄電状態判定部22で判定された蓄電状態SOC及び放充電量積算部23で積算されたバッテリ13の積算放充電量IWは蓄電状態認識部24に入力する。蓄電状態認識部24は、認識(保持)している蓄電状態SOC(以下、認識蓄電状態SOCrと称する。)に積算放充電量IWを加算することで認識蓄電状態SOCrを更新(認識)する。蓄電状態認識部24が更新を随時行う場合、蓄電状態認識部24が放充電量積算部23の機能を包含していると考えてよい。また、蓄電状態認識部24は、蓄電状態判定部22により蓄電状態SOCが判定され、認識蓄電状態SOCrと判定された蓄電状態SOCとが異なる場合に、認識蓄電状態SOCrの値を判定された蓄電状態SOCの値に置き換えることで認識蓄電状態SOCrを補正する(言い換えれば、判定された蓄電状態SOCに基づいて、認識蓄電状態SOCrをより正しい値に較正する)。但し、認識蓄電状態SOCrが上記所定値(80%)よりも大きく、判定された蓄電状態SOCが上記所定値である場合(上記所定値と見做された場合を含む)は、認識蓄電状態SOCrの方が実蓄電状態SOCaに近いため、蓄電状態認識部24は認識蓄電状態SOCrを補正せずにそのまま保持する。蓄電状態認識部24は、算出した認識蓄電状態SOCrを充電制御部26に出力する。
【0036】
電圧センサ16から出力されるバッテリ13の端子間電圧VBは、端子外れ検出部25にも入力する。端子外れ検出部25は、バッテリ13の端子間電圧VBが0Vになった場合、バッテリ13の端子が外されたことを検出する。バッテリ13の端子が外されたとの検出は、バッテリ13が自動車1から取り外された可能性があり、バッテリ13の端子が再度接続されたときには実蓄電状態SOCaが変化している可能性があること、特に、バッテリ交換時には満充電状態(実蓄電状態SOCa=100%)の別のバッテリ13(以下、単にバッテリ13と記す)が搭載された可能性があることを意味する。端子外れ検出部25は、バッテリ13の端子が外されたことを検出すると、端子外れ信号TFを充電制御部26に出力する。
【0037】
充電制御部26には、前述したイグニッションオン信号IG−ON、アイドルストップ信号IS及びフューエルカット信号FCも入力している。充電制御部26は、入力するこれらの信号に基づいて交流発電機14による充電(発電電圧)を制御する。具体的には、充電制御部26は、イグニッションオン信号IG−ONが入力すると、前述した所定の判定時間Trにわたって充電を行うことで、エンジン始動直後に蓄電状態判定部22がバッテリ13の蓄電状態SOCを判定して蓄電状態認識部24が認識蓄電状態SOCrを較正できるようにする。
【0038】
また、充電制御部26は、通常制御として、認識蓄電状態SOCrが満充電状態(100%)よりも小さな所定の上限値(本実施形態では80%)に維持されるようにバッテリ13への充電を制御する。但し、認識蓄電状態SOCrを常時上限値に維持することは困難であり、商品性にも影響を与えるため、充電制御部26は、上限値に加えて下限値(本実施形態では77%)を設定し、認識蓄電状態SOCrが上限値以上である場合(上限値と見做された場合を含む)、バッテリ13への充電を行わず、認識蓄電状態SOCrが下限値よりも低い場合には、認識蓄電状態SOCrが上限値になるまでバッテリ13への充電を強制的に行う。
【0039】
一方、認識蓄電状態SOCrが上限値から下限値の範囲内にあるときには、充電制御部26は、商品性や燃費を向上させるべく、所定のタイミングで充電を行う。例えば、充電制御部26は、燃費に影響を与えることなく認識蓄電状態SOCrを上限値へ回復させるべく、フューエルカット信号FCが入力しているときにバッテリ13への充電を行う。なお、本実施形態の通常制御では、少なくとも認識蓄電状態SOCrが上限値以上のときには、充電制御部26がアイドルストップによる内燃機関11の再始動後にバッテリ13への充電を行うことはない。
【0040】
一方、端子外れ信号TFが入力すると、充電制御部26は、バッテリ13の実蓄電状態SOCaを、制御中心である上限値よりも大きい場合に早期に上限値に低下させるための放電制御を行う。
【0041】
放電制御では、充電制御部26は、イグニッションオン信号IG−ONの入力に応じた所定の判定時間Trにわたる充電、認識蓄電状態SOCrが下限値以上である場合の充電停止、及び認識蓄電状態SOCrが下限値よりも低い場合の充電については、通常制御と同様に行う。
【0042】
イグニッションオン信号IG−ON入力後の所定の判定時間Trにわたる充電時に、蓄電状態判定部22が少なくとも充電電流Icに基づいて判定した蓄電状態SOCが上限値(80%)未満の場合は、認識蓄電状態SOCrが補正されることでECU17により正確な実蓄電状態SOCaが認識されるため、充電制御部26は放電制御を終了して通常制御を行う。
【0043】
一方、イグニッションオン信号IG−ONの入力後に判定された蓄電状態SOCが上限値(80%)以上である場合には、認識蓄電状態SOCrが正確でない可能性があるため、充電制御部26は放電制御を継続する。
【0044】
放電制御は具体的には次のように行われる。即ち、充電制御部26は、バッテリ13の積算放充電量IWが所定の放電量(本実施形態では、満充電状態から上限値までの差である−20%)に達するまで、原則としてバッテリ13への充電を禁止する。例えば、この期間には、充電制御部26は、認識蓄電状態SOCrを上記上限値に維持するために認識蓄電状態SOCrが下限値よりも低くなった場合に強制的に行う充電や、アイドルストップ信号ISの入力の後(入力がなくなったとき、即ちアイドルストップによるエンジン再始動後)に行う消費電力回復のためのバッテリ13への充電を禁止する。
【0045】
但し、この期間であっても、フューエルカット走行中は燃料を消費しないため、フューエルカット信号FCが入力しているときには、充電制御部26は充電を行う。フューエルカット走行が所定の判定時間Tr継続した場合には、蓄電状態SOCの判定が可能である。また、アイドルストップによるエンジン再始動時から所定時間Tdが経過する前にフューエルカット走行が行われない場合、蓄電状態SOCの判定及び認識蓄電状態SOCrの較正のために充電制御部26はバッテリ13への充電を強制的に行う。更に、アイドルストップによるエンジン再始動時から所定時間Tdが経過する前にフューエルカット走行が行われた場合であっても、このフューエルカット走行が蓄電状態判定部22による蓄電状態SOCの判定に要する所定の判定時間Tr以上継続しない場合にも、蓄電状態SOCの判定及び認識蓄電状態SOCrの較正のために充電制御部26はバッテリ13への充電を強制的に行う。これに並行して、充電制御部26は、アイドルストップが所定回(本実施形態では3回)行われる前に、フューエルカット走行が行われたとしても、蓄電状態判定部22による蓄電状態SOCの判定に要する所定の判定時間Tr以上継続するフューエルカット走行が行われない場合には、3回目のアイドルストップによるエンジン再始動時に、蓄電状態SOCの判定及び認識蓄電状態SOCrの較正のために充電制御部26はバッテリ13への充電を強制的に行う。
【0046】
つまり、充電制御部26が禁止する充電には、認識蓄電状態SOCrを上記所定の上限値に維持すること以外のことを目的とした充電のような例外があり、この例外には、認識蓄電状態SOCrを較正するために行う充電、及び、燃費に影響を与えることなく認識蓄電状態SOCr及び実蓄電状態SOCaを上昇させるために行うフューエルカット走行中の充電が含まれる。なお、フューエルカット走行中の充電は、燃料を消費しないことから、認識蓄電状態SOCrが上記所定の上限値以上であっても行われる。一方、認識蓄電状態SOCrが上記所定の上限値未満のときに行われるフューエルカット走行中の充電は、認識蓄電状態SOCrを上記所定の上限値に回復させることにはなるが、燃料を使ってまで認識蓄電状態SOCrを上限値に維持するための充電とは異なる性質のものである。
【0047】
また、充電制御部26は、端子外れ信号TFが入力した場合、バッテリ13の積算放充電量IWが所定の放電量(−20%)に達しなくても、上記例外の充電により、80%未満の蓄電状態SOCが判定され、認識蓄電状態SOCrがこの値に補正された場合、及び、所定回(本実施形態では30回)以上のアイドルストップ信号ISが入力した場合、放電制御を終了して通常制御を行う。
【0048】
次に、
図3〜
図9のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る充電制御装置10が行う充電制御等の各種制御の手順を具体的に説明する。
【0049】
図3は、ECU17が行う認識蓄電状態SOCrの認識制御の手順を示している。ECU17(蓄電状態算出部21)は、自動車1の通電状態がアクセサリ(ACC―ON)状態とされること等によって通電されると、
図3に示す認識蓄電状態SOCrの認識制御を行う。
【0050】
ECU17は、最初に不揮発性のメモリに記憶された前回終了時の認識蓄電状態SOCrを読み込み、認識する(ステップS1)。その後、或いはこれと並行して、ECU17は、充電電流Ic、放電電流Id及び端子間電圧VBを検出して(ステップS2)、積算放充電量IWを算出すると共に、認識した認識蓄電状態SOCrに積算放充電量IWを加算することで認識蓄電状態SOCrを認識(更新)する(ステップS3)。ECU17は、算出した認識蓄電状態SOCrを不揮発性のメモリに上書きする(ステップS4)。充電電流Icが所定の判定時間Trにわたって入力しているときには、ECU17は、バッテリ13の蓄電状態SOCを判定する(ステップS5)。ステップS5において蓄電状態SOCが判定されず、ステップS6の判定がNoである場合、ECU17は、ステップS2〜ステップS5の処理を繰り返し、最新の認識蓄電状態SOCrをメモリに随時上書きする。
【0051】
ステップS5において蓄電状態SOCが判定され、ステップS6の判定がYesになった場合、ECU17は、判定された蓄電状態SOCが上限値の80%以上であるか否かを判定する(ステップS7)。蓄電状態SOCが80%以上である場合(ステップS7:Yes)、ECU17は、蓄電状態SOCの判定がイグニッションオン信号IG−ONが入力した直後のものであるか否か、即ちエンジン始動後に最初の行われたものであるか否かを判定する(ステップS8)。蓄電状態SOCがエンジン始動直後の判定によるものである場合(ステップS8:Yes)、ECU17は、判定された蓄電状態SOCを80%と見做して認識蓄電状態SOCrを蓄電状態SOCの値(80%)に補正する(ステップS9)。
【0052】
ステップS8において蓄電状態SOCがエンジン始動直後の判定によるものでなかった場合(No)、ECU17は、現在の認識蓄電状態SOCrが80%以上であるか否かを判定し(ステップS11)、認識蓄電状態SOCrが80%未満であれば(No)、ステップS9の処理、即ち、判定された蓄電状態SOCを80%と見做して認識蓄電状態SOCrを蓄電状態SOCの値(80%)に補正する。ステップS11において認識蓄電状態SOCrが80%以上であれば(Yes)、ECU17は、積算放充電量IWに基づいて算出(推定)している認識蓄電状態SOCrを、判定された蓄電状態SOCよりも正確な値であるものとしてそのまま保持する(ステップS12)。即ち、認識蓄電状態SOCrがこれよりも低い80%と見做される蓄電状態SOCの値に補正されることはない。
【0053】
ステップS6において、判定された蓄電状態SOCが80%未満であった場合(No)、ECU17は、判定された蓄電状態SOCが現在保持している認識蓄電状態SOCrと同じ値或いは略同じ値(例えば、±0.5%の範囲内)であるか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12において蓄電状態SOCが認識蓄電状態SOCrと同じ値或いは略同じ値であれば(Yes)、ECU17は、ステップS11に進み、認識蓄電状態SOCrを保持する。ステップS12において蓄電状態SOCが認識蓄電状態SOCrと異なる値であれば(No)、ECU17は、認識蓄電状態SOCrを、80%未満と判定された蓄電状態SOCの値に補正する(ステップS13)。
【0054】
その後、ECU17は、補正した或いはそのまま保持した認識蓄電状態SOCrをメモリに上書きし(ステップS10)、上記手順を繰り返す。なお、ECU17は、既に認識蓄電状態SOCrを保持しているため、ステップS1において認識蓄電状態SOCrを読み込まなくてもよい。
【0055】
図4は、ECU17が行う端子外れ検出制御の手順を示している。ECU17(端子外れ検出部25)は、自動車1の通電状態がアクセサリ(ACC―ON)やONのときだけでなく、OFFのときにも継続して、
図4に示す認識蓄電状態SOCrの認識制御を行う。端子外れ検出制の制御周期は、比較的長い適宜な値に設定される。
【0056】
ECU17は、最初にバッテリ13の端子間電圧VBを検出し(ステップS21)、の端子間電圧VBが0Vであるか否かを判定する(ステップS22)。ステップS22において端子間電圧VBが0Vであった場合、ECU17は、端子外れ信号TFを出力し(ステップS23)、上記手順を繰り返す。なお、バッテリ交換等でバッテリ13が取り外されるのは、通常、自動車1の通電状態がOFFのときであるため、ステップS23では、ECU17は、端子外れ信号TFを不揮発メモリに記録する。
【0057】
図5は、ECU17が行うバッテリ13への充電制御の手順を示している。ECU17(主に充電制御部26)は、内燃機関11の始動後に
図5に示す充電制御を開始し、内燃機関11の運転期間中、充電制御を継続する。
【0058】
ECU17は、最初に端子外れ信号TFが出力されたか否か、即ちメモリに記録されているか否かを判定する(ステップS31)。端子外れ信号TFが記録されていない場合(ステップS31:No)、ECU17は、後に詳述する通常制御を実行する(ステップS32)。一方、端子外れ信号TFが記録されている場合(ステップS31:Yes)、ECU17は、再接続されたバッテリ13に対し、後に詳述する放電制御を実行する(ステップS32)。ステップS33の放電制御が完了すると、ECU17は、ステップS32に移行して通常制御を実行する。
【0059】
図6は、バッテリ13への充電制御のうちの通常制御の手順を示している。ECU17は、最初に、放電制御から移行してきたのか否かを判定し(ステップS41)、放電制御から移行してきた場合(Yes)、後述するステップS47に進む。一方、放電制御からの移行からではない場合(No)、即ち、端子外れ信号TFがない状態で内燃機関11が始動されて制御が開始された場合、ECU17は、バッテリ13への充電を開始する(ステップS42)。ECU17は、充電開始から所定の判定時間Trが経過してステップS43の判定がYesになるまで、即ち、蓄電状態判定部22が蓄電状態SOCを判定するまで充電を継続する。所定の判定時間Trが経過すると(ステップS43:Yes)、ECU17は、判定された蓄電状態SOCが77%以上であるか否かを判定する(ステップS44)。蓄電状態SOCが77%以上である場合(ステップS44:Yes)、ECU17は、バッテリ13への充電を停止する(ステップS45)。
【0060】
一方、ステップS44において、判定された蓄電状態SOCが77%未満であった場合(No)、ECU17は、判定された蓄電状態SOCの値に補正されているか、蓄電状態SOCの値と略同じ値であるためにそのまま保持された認識蓄電状態SOCrが80%になるまで充電を継続する。認識蓄電状態SOCrが80%になると(ステップS46:Yes)、ECU17はバッテリ13への充電を停止する(ステップS45)。
【0061】
その後、ECU17は、認識蓄電状態SOCrが下限値である77%未満であるか否かを判定する(ステップS47)。内燃機関11の始動後にECU17が上記ステップS41〜ステップS45を実行している場合にはステップS47の判定がYesになることはない。その後の放電によって認識蓄電状態SOCrが低下し、ステップS47の判定がYesになると、ECU17は、充電を開始する(ステップS48)。ECU17は、充電開始から所定の判定時間Trが経過してステップS49の判定がYesになるまで、即ち、蓄電状態判定部22が蓄電状態SOCを判定するまで充電を継続する。所定の判定時間Trが経過すると(ステップS49:Yes)、ECU17は、バッテリ13への充電を停止し(ステップS45)、ステップS57に進む。
【0062】
内燃機関11の始動後に、ECU17が放電制御(
図5)を実行して本通常制御に移行してきている場合には、ステップS47において認識蓄電状態SOCrが下限値である77%未満であるためにNoとなることがある。この場合、ECU17は、認識蓄電状態SOCrが80%未満であるか否かを判定する(ステップS51)。ステップS51においてYesと判定された場合、即ち、認識蓄電状態SOCrが77%以上かつ80%未満である場合、ECU17は、フューエルカット信号FCがECU17に入力したか否か、即ち自動車1がフューエルカット走行を開始したか否かを判定する(ステップS52)。フューエルカット信号FCが入力した場合には(ステップS52:Yes)、ECU17は充電を開始する(ステップS53)。
【0063】
その後、ECU17は、フューエルカット信号FCの入力がなくなったか否か、即ち自動車1がフューエルカット走行を終了したか否かを判定し(ステップS54)、フューエルカット信号FCの入力がなくなった場合には(Yes)、充電を停止する(ステップS55)。フューエルカット信号FCの入力がなくならない場合(ステップS54:No)、ECU17は、認識蓄電状態SOCrが100%以上になったか否かを判定し(ステップS56)、認識蓄電状態SOCrが80%以上になるまでステップS54及びステップS55の判定を繰り返しながら充電を継続する。自動車1のフューエルカット走行が継続してフューエルカット信号FCの入力がなくならずに(ステップS54:No)、認識蓄電状態SOCrが100%以上になると(ステップS56:Yes)、ECU17はステップS55に進んで充電を停止し、ステップS57に進む。
【0064】
ステップS51において認識蓄電状態SOCrが80%以上である場合(No)、及び、ステップS51において認識蓄電状態SOCrが80%未満であるが(Yes)、フューエルカット信号FCが入力しないためにステップS52の判定がNoである場合、ECU17はステップS57に進む。
【0065】
ステップS57では、ECU17は、内燃機関11が停止されたか否かを判定し、エンジンが停止されると(Yes)、処理を終了する。内燃機関11が停止されず、ステップS57の判定はNoの場合、ECU17は、ステップS47移行の処理を繰り返す。即ち、認識蓄電状態SOCrが下限値である77%以上である状態でフューエルカット走行が行われた場合に充電を行うか、フューエルカット走行が行われずに認識蓄電状態SOCrが77%未満になったときに、認識蓄電状態SOCr上限値である80%に維持するために強制的に充電する処理を継続する。
【0066】
図6は、バッテリ13への充電制御のうちの放電制御の手順を示している。ECU17は、最初に、バッテリ13への充電を開始する(ステップS61)。ECU17は、充電開始から所定の判定時間Trが経過してステップS62の判定がYesになるまで、即ち、蓄電状態判定部22が蓄電状態SOCを判定するまで充電を継続する。所定の判定時間Trが経過すると(ステップS62:Yes)、ECU17は、判定された蓄電状態SOCが80%以上であるか否かを判定する(ステップS63)。蓄電状態SOCが80%未満である場合(ステップS63:No)、ECU17は、判定された蓄電状態SOCが77%以上であるか否かを判定する(ステップS64)。判定された蓄電状態SOCが77%以上である場合(ステップS64:Yes)、ECU17は、バッテリ13への充電を停止し(ステップS65)、本処理を終了する。
【0067】
ステップS64において、判定された蓄電状態SOCが77%未満である場合(ステップS64:No)、ECU17は、蓄電状態SOCの値に補正されている認識蓄電状態SOCrが80%になるまで充電を継続する。認識蓄電状態SOCrが80%になると(ステップS66:Yes)、ECU17はバッテリ13への充電を停止し(ステップS65)、本処理を終了する。
【0068】
ステップS63において、判定された蓄電状態SOCが80%以上である場合(ステップS63:No)、ECU17はバッテリ13への充電を停止する(ステップS67)。その後、ECU17は、その後の積算放充電量IWが−20%以下になったか否か、即ち積算放充電量IWが所定の放電量に達したか否かを判定する(ステップS68)。ステップS68において、積算放充電量IWが−20%より大きい場合(No)、ECU17は、詳細を後述する充電禁止制御を行う(ステップS69)。充電禁止制御が完了し、ステップS70における充電禁止制御の完了判定がYesになると、ECU17は本処理を終了する。充電禁止制御が完了しない場合には(ステップS70:No)、ECU17は、積算放充電量IWが−20%以下になってステップS68の判定がYesになるまで、ステップS69の充電禁止制御を継続する。
【0069】
図7及び
図8は、充電禁止制御の手順を示している。ECU17は、最初に、フューエルカット信号FCがECU17に入力したか否か、即ち自動車1がフューエルカット走行を開始したか否かを判定する(ステップS71)。フューエルカット信号FCが入力した場合には(ステップS71:Yes)、ECU17は充電を開始する(ステップS72)。その後、ECU17は、フューエルカット信号FCの入力がなくなったか否か、即ち自動車1がフューエルカット走行を終了したか否かを判定し(ステップS73)、フューエルカット信号FCの入力がなくなった場合には(Yes)、ECU17は充電を停止する(ステップS74)。この場合、ECU17は、処理を終えて
図7のステップS70に進むが、充電禁止制御が完了していないため(No)、積算放充電量IWが−20%に達してステップS68の判定がYesになるまで、
図8のS71に戻ってそれ以降の手順を繰り返す。
【0070】
ステップS73においてフューエルカット信号FCの入力がなくならない場合(ステップS73:No)、ECU17は、充電開始から所定の判定時間Trが経過してステップS75の判定がYesになるまで、即ち、蓄電状態判定部22が蓄電状態SOCを判定するまで充電を継続する。所定の判定時間Trが経過すると(ステップS75:Yes)、ECU17は、充電を停止し(ステップS76)、後述する第1カウンタC1及び第2カウンタC2をクリア(0に)し(ステップS77)、判定された蓄電状態SOCが80%以上であるか否かを判定する(ステップS78)。判定された蓄電状態SOCが80%以上である場合(ステップS78:Yes)、ECU17は、S71に戻り、それ以降の手順を繰り返す。一方、判定された蓄電状態SOCが80%未満である場合(ステップS78:No)、ECU17は、充電禁止制御の完了を判定し(ステップS79)、本充電禁止制御の処理を終了する。この場合、
図7のステップS70の判定がYesになって放電制御が終了するため、ECU17は
図6に示した通常制御のステップS41に進む。
【0071】
ステップS71においてフューエルカット信号FCがしないためにステップS71の判定がNoである場合、ECU17は
図9のステップS81に進む。ステップS81では、ECU17は、アイドルストップ信号ISがECU17に入力した後のアイドルストップによる内燃機関11の再始動(本フローチャート及びその説明ではIS再始動という)が行われたか否かを判定する(ステップS81)。IS再始動が行われない場合(ステップS81:No)、
図8のステップS79を経ることなく本処理を終えるが、
図7のステップS68の判定がYesになるまで、
図8のステップS71に戻る。
【0072】
ステップS81においてIS再始動が行われると(Yes)、ECU17は、第1カウンタC1及び第2カウンタC2に1を加えてカウントアップする(ステップS82)。その後、ECU17は、第1カウンタC1が30であるか否かを判定する(ステップS82)。第1カウンタC1が30でない(30未満である)場合には(ステップS83:No)、ECU17は、第2カウンタC2が3であるか否かを判定する(ステップS82)。第2カウンタC2が3でない(3未満である)場合には(ステップS84:No)、ECU17は、IS再始動が行われたか否かを判定する(ステップS85)、ステップS84がからステップS85に進んでいる場合、この判定はNoになり、次にECU17は、フューエルカット信号FCがECU17に入力したか否かを判定する(ステップS86)。フューエルカット信号FCが入力した場合には(ステップS86:Yes)、ECU17は充電を開始する(ステップS87)。
【0073】
その後、ECU17は、フューエルカット信号FCの入力がなくなったか否かを判定し(ステップS88)、フューエルカット信号FCの入力がなくなった場合には(Yes)、ECU17は充電を停止する(ステップS89)。フューエルカット信号FCの入力がなくならない場合(ステップS88:No)、ECU17は、充電開始から所定の判定時間Trが経過してステップS90の判定がYesになるまで、即ち、蓄電状態判定部22が蓄電状態SOCを判定するまで充電を継続する。所定の判定時間Trが経過すると(ステップS90:Yes)、ECU17は、
図8のステップS76に進んで充電を停止し、前述したステップS77以降の処理を行う。
【0074】
ステップS87での充電開始から所定の判定時間Trが経過する前にフューエルカット信号FCの入力がなくなると(ステップS88:Yes)、ECU17は充電を停止し(ステップS89)、IS再始動(ステップS81又はステップS85)から所定時間Tdが経過したか否かを判定する(ステップS91)。また、ステップS86においてフューエルカット信号FCが入力しない場合(No)にも、ECU17は、IS再始動から所定時間Tdが経過したか否かを判定する(ステップS91)。ステップS91においてIS再始動から所定時間Tdが経過していない場合(No)、ECU17は、ステップS85以降の処理を繰り返す。
【0075】
IS再始動から所定時間Tdが経過し、ステップS91の判定がYesになると、ECU17は充電を開始する(ステップS92)。その後、ECU17は、充電開始から所定の判定時間Trが経過してステップS93の判定はYesになるまで、即ち、蓄電状態判定部22が蓄電状態SOCを判定するまで充電を継続し、判定時間Trが経過すると(ステップS93:Yes)、
図8のステップS76に進んで充電を停止し、前述したステップS77以降の処理を行う。
【0076】
ステップS84において第2カウンタC2が3である場合には(Yes)、ECU17は、第2カウンタC2をクリアし(ステップS94)、ステップS92に進む。同様に、ステップS83において第1カウンタC1が30である場合には(Yes)、ECU17は、第1カウンタC1をクリアし(ステップS95)、ステップS92に進む。即ち、ECU17は、充電を開始し(ステップS92)、蓄電状態判定部22が蓄電状態SOCを判定するまで充電を継続した後、
図8のステップS76に進んで充電を停止し、前述したステップS77以降の処理を行う。
【0077】
次に、
図10〜
図13のタイムチャートを参照しながら、本実施形態に係る充電制御装置10が行う充電制御による作用を説明する。なお、図中には、アイドルストップを「IS」と記し、フューエルカット走行を「FC」と記している。また、時点tの符号「t」を省略して、識別のための番号のみを記載している。
【0078】
まず、
図10を参照して作用の一例を説明する。
図10の例では、認識蓄電状態SOCrが上限値である80%である時点t0において、バッテリ交換のためにバッテリ13の端子が外され、その後、満充電状態の別のバッテリ13が再度接続された状態を示している。
図10(A)は、本発明による放電制御を行う制御を示し、(B)は特許文献2の技術を適用した比較例の制御を示している。図中には、少なくとも充電電流Icに基づく較正のうち、判定した値への認識蓄電状態SOCrの補正を「補正」と記している。
【0079】
図10(A)に示すように、バッテリ交換後、時点t1においてイグニッションオン信号IG−ONが入力して内燃機関11が始動されると、充電制御部26が所定の判定時間Tr(時点t1〜時点t2)にわたってバッテリ13への充電を行うことで、蓄電状態算出部21が少なくとも充電電流Icに基づく蓄電状態SOCの判定及び認識蓄電状態SOCrの較正を行う。判定が完了した時点t2においては、蓄電状態SOCが上限値の80%と見做され、認識蓄電状態SOCrが80%に補正されるが、判定対象であったバッテリ13の実蓄電状態SOCaは100%である。なお、充電前の実蓄電状態SOCaが100である場合には充電電流Icは流れないため、認識蓄電状態SOCrが増えることはないが、ここでは補正を明確にするために認識蓄電状態SOCrが増大したように示している。
【0080】
その後、バッテリ13から負荷19へ電力が供給され、認識蓄電状態SOCr及び実蓄電状態SOCaが共に低下し、時点t3においてフューエルカット走行が開始されると、充電制御部26がバッテリ13への充電を行う。このときはフューエルカット走行が蓄電状態SOCの判定に要する所定の判定時間Tr以上継続しないため、認識蓄電状態SOCrの補正は行われない。時点t4において、フューエルカット走行からアイドルストップに移行し、アイドルストップが終了する時点t5まで、認識蓄電状態SOCr及び実蓄電状態SOCaが共に低下する。
【0081】
ここで、(B)に示すように、比較例の制御では、アイドルストップによる内燃機関11の再始動後にバッテリ13への充電が行われることで、時点t5〜時点t6にかけて蓄電状態SOCが判定され、時点t6において認識蓄電状態SOCrが補正される。一方、(A)に示すように、本発明の放電制御では、ECU17の充電制御部26がアイドルストップによるエンジン再始動後のバッテリ13への充電を禁止するため、引き続いて認識蓄電状態SOCr及び実蓄電状態SOCaが低下する。
【0082】
時点t7においてフューエルカット走行が開始されると、本発明の放電制御を行う(A)及び比較例の制御を行う(B)において共に、充電制御部26がバッテリ13への充電を行うが、認識蓄電状態SOCrの補正は本発明の放電制御を行う(A)のみで行われる。(A)では、この時点t8において初めて認識蓄電状態SOCrの補正が行われることで、(B)に比べて実蓄電状態SOCaがより低下した状態となる。
【0083】
その後、(A)及び(B)共に、時点t8〜時点t11にかけて、認識蓄電状態SOCr及び実蓄電状態SOCaが共に低下、上昇(負荷19からの高発電要求に基づき、交流発電機14の電圧が高くなったことによる)及び低下を行い、時点t10〜時点t11にかけてアイドルストップが行われたことから、(B)では時点t11〜時点t12にかけてバッテリ13への充電が行われると共に少なくとも充電電流Icに基づく蓄電状態SOCの判定が行われ、認識蓄電状態SOCrが上限値に補正された時点t12から両蓄電状態SOCが低下し始めている。一方、本発明の放電制御を行う(A)では、バッテリ交換後に補正した時点t2からの補正分を考慮しないバッテリ13の積算放充電量IW(実蓄電状態SOCaの変化量に相当する)が所定の放電量(−20%)に達していないため、放電制御が継続されており、時点t10〜時点t11のアイドルストップ後にもバッテリ13への充電は行われない。そのため、(A)の実蓄電状態SOCaは(B)の実蓄電状態SOCaよりも更に低下した状態となる。
【0084】
時点t12以降、認識蓄電状態SOCr及び実蓄電状態SOCaが共に低下すると、本発明の放電制御を行う(A)では、時点t10〜時点t11のアイドルストップによるエンジン再始動の時点t11から所定時間Tdが経過する前にフューエルカット走行が行われないため、時点t13においてバッテリ13への充電が強制的に行われ、時点t14において認識蓄電状態SOCrの補正が行われる。その後、時点t15〜時点t16にかけてフューエルカット走行が行われると、(A)及び(B)共に、バッテリ13への充電が行われるが、充電が所要の判定時間Trに満たないため、認識蓄電状態SOCrの補正は行われていない。
【0085】
時点t17でイグニッションがオフにされて運転が停止されると共に再度イグニッションオン信号IG−ONが入力して内燃機関11が始動されると、充電制御部26が所定の判定時間Tr(時点t17〜時点t18)にわたってバッテリ13への充電を行うことで、少なくとも充電電流Icに基づく認識蓄電状態SOCrの補正が行われる。その後、時点t18から認識蓄電状態SOCr及び実蓄電状態SOCaが共に低下し、(A)では、時点t19においてバッテリ交換後のバッテリ13の積算放充電量IWが所定の放電量(−20%)に達し、実蓄電状態SOCaが80%以下となる。そのため、この時点t19で充電制御部26は放電制御を終了して通常制御を開始する。一方、(B)では比較例の制御が継続される。
【0086】
時点t19においてフューエルカット走行が開始されると、(A)及び(B)共に、バッテリ13への充電が行われる。このときは、蓄電状態SOCの判定は行われるが、見做し判定された蓄電状態SOCが80%であり、かつこのときの認識蓄電状態SOCrが80%以上であるため、認識蓄電状態SOCrの補正は行われない。時点t20〜時点t21にかけて、アイドルストップが行われると、(B)では、アイドルストップが終了する時点t21〜時点t22にかけてバッテリ13への充電及び蓄電状態SOCの判定が行われるが、見做し判定された蓄電状態SOCが80%であり、かつ認識蓄電状態SOCrが80%以上であるため、時点t22において認識蓄電状態SOCrの補正は行われない。一方、(A)では、通常制御が行われているため、或いは認識蓄電状態SOCrが80%以上であるため、アイドルストップ後のバッテリ13への充電は行われない。時点t22以降、認識蓄電状態SOCr及び実蓄電状態SOCaが共に低下し、時点t23になって(B)の実蓄電状態SOCaが80%となる。
【0087】
このように、バッテリ13の端子が外されたことが検出された場合(S31:Yes)、積算放充電量IWが所定の放電量(−20%)に達する時点t19まで、充電制御部26が充電禁止制御を行って、アイドルストップによるエンジン再始動後のバッテリ13への充電を禁止することにより、上限値よりも大きい実蓄電状態SOCaを早期に上限値に収束させ、その後に効率良く充電を行うことができると共に、燃費の悪化が抑制される。
【0088】
また、バッテリ13の端子が外されたことが検出された場合であっても、前述したように内燃機関11の始動直後の時点t2において判定された蓄電状態SOC及びこれに基づき較正された認識蓄電状態SOCrが上限値の80%以上である場合にのみ、充電制御部26が充電禁止制御(
図8、
図9)を行って、アイドルストップによるエンジン再始動後のバッテリ13への充電を禁止することにより、内燃機関11の始動直後の認識蓄電状態SOCrが上限値未満の正確な値として認識されている場合に、認識蓄電状態SOCrが上限値に維持されるようにバッテリ13が充電される。
【0089】
また、バッテリ13の端子が外されたことが検出された場合に(ステップS31:Yes)、フューエルカット走行中のバッテリ13への充電時(ステップS72、時点t7〜時点t8)に、蓄電状態算出部21が少なくとも充電電流Icに基づいて判定された値を用いて認識蓄電状態SOCrを較正することにより、放電制御中においても認識蓄電状態SOCrがより正しい値に較正される。また、フューエルカット走行中の充電時に認識蓄電状態SOCrが較正されるため、較正のために燃料を使用する必要がなく、燃費の悪化が抑制される。
【0090】
次に、
図11を参照して別の例の作用を説明する。
図11には、実蓄電状態SOCaを示していないが、この例は、バッテリ交換後、実蓄電状態SOCaが上限値の80%以上を保っており、実蓄電状態SOCaが上限値に至るまでの間に、アイドルストップによる内燃機関11の再始動後の所定時間Td内にフューエルカット走行が行われない、又はフューエルカット走行が行われても、その継続時間が所要の判定時間Trよりも短く、認識蓄電状態SOCrの較正ができない場合に強制較正を行う場合を示している。
【0091】
図11に示すように、時点t31において、イグニッションオン信号IG−ONが入力して内燃機関11が始動されると共に、自動車1が走行を開始し、車速が上昇し始める。交流発電機14に対する指示電圧は14.5Vとされる(即ち、バッテリ13への充電が行われる)。時点t32において認識蓄電状態SOCrが較正され、認識蓄電状態SOCrが上限値に補正されると共に、指示電圧が12.0Vに設定される(即ち、バッテリ13への充電が行われない)。時点t32〜時点t33にかけて認識蓄電状態SOCrは低下し、時点t33〜時点t34にかけてフューエルカット走行が行われることにより、指示電圧が14.5Vに設定されてバッテリ13への充電が行われるが、認識蓄電状態SOCrの較正は行われない。
【0092】
時点t35において自動車1が停止すると、アイドルストップに移行し、内燃機関11が停止しているため指示電圧は出力されず、負荷19の電力をバッテリ13がまかなうために認識蓄電状態SOCrは低下する。時点t36においてアイドルストップによる内燃機関11の再始動が行われるが、充電制御部26はバッテリ13への充電を禁止しており、認識蓄電状態SOCrは低下を続ける。アイドルストップによるエンジン再始動の時点t36から所定時間Tdが経過する時点t39の前の、時点t37〜時点t38にかけてフューエルカット走行が行われており、この期間にバッテリ13への充電が行われ、時点t38で認識蓄電状態SOCrが較正され、蓄電状態算出部21において認識蓄電状態SOCrが再び上限値に補正される。
【0093】
その後、時点t39〜時点t40にかけてアイドルストップが行われ、時点t40において内燃機関11が再始動されるが、バッテリ13への充電は禁止されている。アイドルストップによるエンジン再始動の時点t40から所定時間Tdが経過する時点t41の前にフューエルカット走行が行われないため、この時点t41において強制較正、即ち強制的なバッテリ13への充電と少なくとも充電電流Icに基づく蓄電状態SOCの判定が開始され、時点t42において認識蓄電状態SOCrが較正される。蓄電状態算出部21により、認識蓄電状態SOCrは再度上限値に補正されている。
【0094】
その後、時点t43〜時点t44にかけて再びアイドルストップが行われ、時点t44において内燃機関11が再始動されるが、所定時間Tdが経過する前の時点t45でフューエルカット走行が行われることなく自動車1が停止してアイドルストップに移行したことから、強制較正は行われない。時点t46において内燃機関11が再始動され、時点t46から所定時間Tdが経過する前の時点t47〜時点t48にかけてフューエルカット走行が行われ、この間にバッテリ13への充電が行われるが、所要の判定時間Trにわたって継続されなかったために較正は行われていない。この場合、時点t46から所定時間Tdが経過する時点t49から、所要の判定時間Trにわたって強制的なバッテリ13への充電と少なくとも充電電流Icに基づく蓄電状態SOCの判定が行われ、時点t50において認識蓄電状態SOCrが較正される。
【0095】
このように、バッテリ13の端子が外されたことが検出され、かつ、アイドルストップによるエンジン再始動の時点t40から所定時間Tdが経過する前にフューエルカット走行が行われない場合、所定時間Tdが経過した時点t41で充電制御部26がバッテリ13への充電を強制的に行うことにより、認識蓄電状態SOCrを較正できない状態がアイドルストップによる再始動の時点t40から長時間継続することが防止される。そのため、認識蓄電状態SOCrが実蓄電状態SOCaと乖離したまま低下し過ぎることがない。
【0096】
また、アイドルストップによるエンジン再始動の時点t46から所定時間Tdが経過する前に、蓄電状態算出部21による蓄電状態SOCの判定に要する所定の判定時間Tr以上継続するフューエルカット走行が行われない場合、即ち、フューエルカット走行が行われたとしても、時点t47〜時点t48のように判定時間Tr未満のフューエルカット走行しか行われない場合に、所定時間Tdが経過した時点t49で充電制御部26がバッテリ13への充電を強制的に行うことにより、蓄電状態算出部21による認識蓄電状態SOCrの較正が可能になる。
【0097】
一方、このような状態のときに、本発明の放電制御を行わず特許文献2の技術を適用した制御を行った場合の比較例を
図13に示している。この場合の作用についても説明する。
【0098】
時点t71において、イグニッションオン信号IG−ONが入力して内燃機関11が始動されると、バッテリ13への充電が開始され、時点t72において認識蓄電状態SOCrが較正される。認識蓄電状態SOCrは上限値に補正されている。時点t73〜時点t74にかけてフューエルカット走行が行われると、再びバッテリ13への充電が行われるが、認識蓄電状態SOCrの較正は行われない。
【0099】
時点t75において自動車1が停止すると、アイドルストップに移行し、アイドルストップの間、認識蓄電状態SOCrは低下する。時点t76においてアイドルストップによる内燃機関11の再始動が行われると、バッテリ13への充電が開始され、時点t77において認識蓄電状態SOCrが較正される。認識蓄電状態SOCrは再び上限値に補正されている。時点t78〜時点t79にかけてフューエルカット走行が行われると、再びバッテリ13への充電が行われる。このとき、認識蓄電状態SOCrの較正は行われない。
【0100】
その後、時点t80〜時点t81にかけてアイドルストップが行われると、アイドルストップによるエンジン再始動の時点t81で、バッテリ13への充電が開始され、時点t82において認識蓄電状態SOCrが較正される。時点t83のアイドルストップ開始時まではフューエルカット走行が行われず、この場合にはバッテリ13への充電が行われない。時点t83〜時点t84までのアイドルストップ後には、バッテリ13への充電が行われ、時点t85において認識蓄電状態SOCrが較正される。また、その後の時点t87〜時点t88までのアイドルストップ後にも、バッテリ13への充電が行われ、時点t88において認識蓄電状態SOCrが較正される。
【0101】
このように、比較例の制御を行う場合には、バッテリ13への充電が頻繁に行われるため、実蓄電状態SOCaが高い状態を長時間維持することになり、このような充電効率の悪い蓄電状態SOCで充電が行われる。これに対し、
図11で示したように、ECU17の充電制御部26が本発明の放電制御を行うと、バッテリ13への充電頻度が低下し、実蓄電状態SOCaが早期に上限値に向けて低下し、燃費の悪化が抑制される。
【0102】
最後に、
図12を参照して、更に別の例の作用を説明する。
図12においても実蓄電状態SOCaが示されていないが、この例は、バッテリ交換後、実蓄電状態SOCaが上限値の80%以上を保っており、実蓄電状態SOCaが上限値に至るまでの間に、アイドルストップから次のアイドルストップの間にフューエルカット走行が行われない、又はフューエルカット走行が行われても、その継続時間が所要の判定時間Trよりも短く、認識蓄電状態SOCrが較正できない場合に強制充電を行う場合を示している。
【0103】
図12に示すように、時点t51において、イグニッションオン信号IG−ONが入力して内燃機関11が始動されると共に、自動車1が走行を開始し、車速が上昇し始める。交流発電機14に対する指示電圧は14.5Vとされる(即ち、バッテリ13への充電が行われる)。時点t52において認識蓄電状態SOCrが較正され、認識蓄電状態SOCrが上限値に補正されると共に、指示電圧が12.0Vに設定される(即ち、バッテリ13への充電が行われない)。時点t52〜時点t53にかけて認識蓄電状態SOCrは低下し、時点t53〜時点t54にかけてフューエルカット走行が行われることにより、指示電圧が14.5Vに設定されてバッテリ13への充電が行われるが、認識蓄電状態SOCrの較正は行われない。
【0104】
時点t55において自動車1が停止し、時点t55〜時点t56にかけて1回目のアイドルストップが行われる。時点t56においてアイドルストップによる内燃機関11の再始動が行われても、充電制御部26が放電制御を行っていることからバッテリ13への充電は行われない。時点t57〜時点t58にかけてフューエルカット走行が行われ、この期間にバッテリ13への充電が行われるが、継続時間が蓄電状態SOCの判定時間Trよりも短いために認識蓄電状態SOCrの較正は行われない。
【0105】
その後、時点t59〜時点t60にかけて2回目のアイドルストップが行われ、時点t60において内燃機関11が再始動されるが、バッテリ13への充電は禁止されているために行われない。時点t60〜時点t62にかけての走行時にはフューエルカット走行は行われていない。時点t62〜時点t63にかけて3回目のアイドルストップが行われる。3回目のアイドルストップが行われる時点t63の前に、時点t57〜時点t58までフューエルカット走行が行われたが、判定時間Tr以上継続するフューエルカット走行は行われていない。そのため、時点t63において内燃機関11が再始動されると、強制較正、即ち強制的なバッテリ13への充電と少なくとも充電電流Icに基づく蓄電状態SOCの判定が行われ、時点t64において認識蓄電状態SOCrが較正される。これにより、蓄電状態算出部21により、認識蓄電状態SOCrは上限値に補正されている。そして、認識蓄電状態SOCrが補正されたことから、第2カウンタC2のアイドルストップカウント数はリセットされる。
【0106】
その後、時点t65〜時点t66にかけて再びアイドルストップが行われると、このアイドルストップは1回目としてカウントされ、時点t66において内燃機関11が再始動されるが、バッテリ13への充電は行われない。以降、同様にしてアイドルストップの回数がカウントされ、3回目のアイドルストップが行われる前に判定時間Tr以上継続するフューエルカット走行が行われない場合、3回目のアイドルストップによるエンジン再始動時に、強制的なバッテリ13への充電と認識蓄電状態SOCrの較正が行われる。
【0107】
このように、アイドルストップが所定回(3回)行われる時点t62前に、蓄電状態算出部21による蓄電状態SOCの判定に要する所定の判定時間Tr以上継続するフューエルカット走行が行われない場合、所定回目のアイドルストップによるエンジン再始動の時点t63で、充電制御部26がバッテリ13への充電を強制的に行うことにより、アイドルストップ中に認識蓄電状態SOCrが放電下限値に達し、強制的に二次電池に充電するために突然エンジンが始動するような事態の発生が抑制される。また、認識蓄電状態SOCrが放電下限値に達する前に蓄電状態算出部21による認識蓄電状態SOCrの較正が可能である。
【0108】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、各部材や部位の具体的構成や配置、数量、数値、具体的制御態様などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。一方、上記実施形態に示した自動車1の充電制御装置10の各構成要素は必ずしも全てが必須ではなく、適宜選択することができる。