(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、商品認識装置の実施形態について説明する。
なお、本実施形態は、社員食堂や学生食堂のように利用者が限られているカフェテリア形式の食堂施設に設置される場合である。
【0008】
はじめに、本実施形態の商品認識装置は、一般物体認識(generic object recognition)の技術を採用する。一般物体認識とは、対象となる物品(オブジェクト)をカメラで撮像した画像データから当該物品の種別等を認識する技術である。コンピュータは、画像データからこの画像に含まれる物品の外観特徴量を抽出する。そしてコンピュータは、認識辞書ファイルに登録された基準画像の特徴量データと照合して類似度を算出し、この類似度に基づいて当該物品の種別等を認識する。画像中に含まれる物品を認識する技術については、下記の文献に解説されている。
柳井 啓司,“一般物体認識の現状と今後”,情報処理学会論文誌,Vol.48,No.SIG16[平成22年8月10日検索],インターネット< URL: http://mm.cs.uec.ac.jp/IPSJ-TCVIM-Yanai.pdf >
また、画像をオブジェクト毎に領域分割することによって一般物体認識を行う技術については、下記の文献に解説されている。
Jamie Shottonら,“Semantic Texton Forests for Image Categorization and Segmentation”,[平成22年8月10日検索],インターネット< URL: http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.145.3036&rep=repl&type=pdf >[第1の実施形態]
図1は、本実施形態に係る商品認識装置1の外観図である。会計カウンタ2の卓面2A上に設置される商品認識装置1は、板状のボディ部11Aと庇部11Bとを含む。ボディ部11Aは、正面が手前側を向くように卓面2Aの奥側の縁に沿って立設される。庇部11Bは、ボディ部11Aの正面上端部から、上記正面に対して略直交する方向に突出する。このため庇部11Bの下面は、卓面2Aと対向する。
【0009】
庇部11Bは、撮像部12を内蔵する。また庇部11Bは、下面に読取窓(不図示)を形成する。撮像部12は、エリアイメージセンサであるCCD(Charge Coupled Device)撮像素子及びその駆動回路と、撮像領域の画像をCCD撮像素子に結像させるための撮像レンズとを備える。撮像領域とは、上記読取窓から撮像レンズを通してCCD撮像素子のエリアに結像する画像の領域を指す。撮像部12は、撮像レンズを通ってCCD撮像素子に結像した撮像領域の画像を出力する。なお、撮像部12は、CCD撮像素子を用いたものに限定されるものではなく、例えばCMOS(complementary metal oxide semiconductor)イメージセンサを用いたものであってもよい。
【0010】
商品認識装置1は、さらに操作パネル13とICカードリーダ・ライタ(以下、カードRWと略称する)18とを含む。操作パネル13は、ボディ部11Aの頂部に取り付けられる。操作パネル13は、ボディ部11Aの正面側を操作面とする。そして操作パネル13は、上記操作面に、キーボード14、タッチパネル15及びレシート発行口16を配置する。レシート発行口16は、操作パネル13内に内蔵されたレシートプリンタ17で印字されたレシートを発行する。
【0011】
カードRW18は、操作パネル13の一側面に取り付けられる。カードRW18は、ICカードに対してデータの読み取り及び書き込みを実施する。ICカードは、固有のユーザIDと電子マネーデータとを記憶する。すなわちICカードは、ユーザID機能と電子マネー機能とを有する。食堂施設を利用するユーザ(社員、学生等)は、自己のICカードを携帯する。
【0012】
卓面2Aにおけるボディ部11Aの手前側の領域2Bは、商品である料理が盛り付けられた容器30を載置するためのスペースとなる。この領域2Bは、前記撮像部12の撮像領域に含まれる。すなわち撮像部12は、料理が盛り付けられた容器30を撮影する。なお、
図1では容器30として楕円状の1枚のトレイを例示しているが、容器30の形状や数は特に限定されるものではない。要は、食堂施設の利用者が予め用意された料理を盛り付けて会計カウンタ2まで持ってくることができる食器またはトレイであり、かつ、領域2Bの範囲内に置くことができればよい。
【0013】
図2は、商品認識装置1の要部構成を示すブロック図である。商品認識装置1は、コンピュータの主体をなすCPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23及び補助記憶部24を備える。そして商品認識装置1は、アドレスバス,データバス等のバスライン25を介して、CPU21と、ROM22、RAM23及び補助記憶部24とを接続する。
【0014】
また商品認識装置1は、バスライン25に通信インターフェース26を接続する。そして商品認識装置1は、この通信インターフェース26を介して、ユーザデータベース40を備えるデータベースサーバ41とアクセスする。ユーザデータベース40は、各ユーザのユーザIDに関連付けて、性別,年齢等の個人情報や、当該食堂施設の利用履歴に関する情報等を記憶する。
【0015】
さらに商品認識装置1は、図示しない入出力回路を介して、撮像部12、キーボード14、タッチパネル15、レシートプリンタ17及びカードRW18を接続する。タッチパネル15は、パネル表示部151と、この表示部151の画面上に重ねて配置されたタッチパネルセンサ152とからなる。
【0016】
CPU21は、商品認識装置1の主制御部を構成する。ROM22は、プログラムや設定データ等の固定的データを記憶する。RAM23は、可変的なデータを記憶するための種々のメモリエリアを有する。補助記憶部24は、プログラムや大容量のデータファイル等を記憶する媒体であり、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等が用いられる。商品認識装置1は、補助記憶部24にて認識辞書ファイル50を保存する。
【0017】
図3は、認識辞書ファイル50のデータ構造を示す模式図である。認識辞書ファイル50は、当該食堂施設でユーザに提供される料理品目毎の認識辞書データを記憶する。認識辞書データは、メニューID、メニュー名称、価格、熱量及び外観特徴パラメータの各項目を含む。メニューIDは、料理品目を個々に識別するコードである。メニュー名称は、対応するメニューIDで識別される料理品目の固有名称である。価格は、対応するメニューIDで識別される料理品目の1単位量当たりの販売価格(円)である。熱量は、対応するメニューIDで識別される料理品目の標準分量に対して導出されるパラメータである。及び熱量(Kcal)外観特徴パラメータは、対応するメニューIDで識別される料理品目の標準的な形状、表面の色合い、模様、凹凸状況等の外観の特徴をパラメータ化したものである。
【0018】
かかる構成の商品認識装置1は、
図5に示すように、画像取込手段61、画像表示手段62、枠線表示手段63、認識手段64、出力手段65、入力受付手段66、終了宣言受付手段67及び消去手段68としての機能を有する。
【0019】
画像取込手段61は、撮像部12で撮影された画像を取り込む。画像表示手段62は、撮像部12から取り込んだ画像を、タッチパネル15のパネル表示部151に表示させる。枠線表示手段63は、パネル表示部151に表示された画像上の任意の1乃至複数箇所に、商品(料理品目)を囲うための枠線を表示させる。認識手段64は、枠線によって囲われた領域内の画像の特徴量から、枠線内に存在する商品(料理品目)を認識する。出力手段65は、認識された商品(料理品目)の情報を出力する。
【0020】
入力受付手段66は、パネル表示部151に表示された画像上の任意の箇所への選択入力を受け付ける。前記枠線表示手段63は、入力受付手段66により入力を受け付けた箇所に枠線を表示させる。
【0021】
終了宣言受付手段67は、商品(料理品目)の認識終了宣言を受け付ける。消去手段68は、パネル表示部151に表示された枠線を消去する。画像取込手段61は、枠線表示手段63によって画像に枠線が表示されるまでは画像の取込みを繰り返す。そして枠線が表示されると、画像取込手段61は、画像の取込みを停止する。その
後、消去手段68により画像から全ての枠線が消去されると、画像取込手段61は、画像の取込みを再開する。
【0022】
かかる機能を実現するために、商品認識装置1は、ROM22または補助記憶部24に商品認識プログラムを記憶する。また商品認識装置1は、
図4に示すように、RAM23に品数カウンタ71と明細メモリ72とを形成する。明細メモリ72は、枠線番号、削除マーク座標(X0,Y0)、メニューID、メニュー名称、価格、熱量からなる明細レコードを蓄積する領域721と、合計価格及び合計熱量を記憶する領域722とを有する。枠線番号及び削除マーク座標(X0,Y0)についは後述する。
【0023】
商品認識プログラムが起動すると、CPU21は、
図6〜
図8の流れ図に示す手順の処理を開始する。先ずCPU21は、カードRW18で前記ICカードが読み取られるのを待機する(ST1)。ICカードが読み取られるまでは(ST1にてNO)、ステップST2の処理に進まない。ICカードが読み取られると(ST1にてYES)、CPU21は、品数カウンタ71を“0”にリセットする(ST2)。
【0024】
次いでCPU21は、撮像部12で撮影されている画像(フレーム画像)を取り込む(ST3:画像取込手段61)。そしてCPU21は、この撮影画像をタッチパネル15のパネル表示部151に表示させる(ST4:画像表示手段62)。
【0025】
図10は、撮影画像81が表示されたパネル表示部151の一画面例である。図示するように画面には、撮影画像81の他に、合計金額欄82、総カロリー欄83、確定ボタン84及び取消ボタン85が表示される。
【0026】
パネル表示部151の画面に撮影画像81が表示されると、CPU21は、その画面がタッチされたか否かを確認する(ST5)。タッチパネルセンサ152からの信号が変化していないと、画面がタッチされていない。この場合(ST5にてNO)、CPU21は、品数カウンタ71を調べる(ST6)。品数カウンタ71が“0”にリセットされていると(ST6にてNO)、CPU21は、ステップST3の処理に戻る。すなわちCPU21は、撮像部12から次の撮影画像を取込み(ST3)、パネル表示部151に表示させる(ST4)。
【0027】
CPU21は、画面がタッチされるまで撮影画像の取込みと表示とを繰り返す。画面がタッチされると(ST5にてYES)、CPU21は、画面のどの領域がタッチされたかを確認する(ST7,ST8)。確定ボタン84または取消ボタン85の領域でなく(ST7にてNO)、撮影画像81の領域でもない場合には(ST8にてNO)、CPU21は、ステップST5の処理に戻る。すなわちCPU21は、画面がタッチされたか否かを確認し(ST5)、タッチされていない場合には(ST5にてNO)、CPU21は、品数カウンタ71を調べる(ST6)。そして品数カウンタ71が“0”にリセットされている場合には(ST6にてNO)、CPU21は、ステップST3の処理に戻る。
【0028】
撮影画像81の領域がタッチされた場合(ST8にてYES)、CPU21は、タッチ位置座標(X,Y)を検出する。タッチ位置座標(X,Y)は、基準点、例えば撮影画像81の領域の左下角を二次元座標の原点(0,0)とし、この原点(0,0)から右方向をX方向、上方向をY方向と定義する。そしてCPU21は、原点(0,0)からタッチ位置までのX方向の距離とY方向の距離とを求め、座標(X,Y)に変換する(ST9)。
【0029】
CPU21は、画面に表示された撮影画像がタッチ入力されたことを検出すると、画像取込み処理を停止する。取込み処理が停止すると、撮影画像81が動画から静止画像に切り替わる。オペレータは、撮影画像81が静止画になったことにより、画像の取込みが行われていないことがわかる。なお、取込んだ画像を表示せずに破棄することで、撮影画像81を静止画としてもよい。
【0030】
CPU21は、品数カウンタ71を調べる(ST10)。品数カウンタ71が“0”にリセットされている場合(ST10にてNO)、CPU21は、画像の認識領域を決定し、その領域を囲う枠線91を、撮影画像81の領域内に表示する。すなわちCPU21は、
図11に示すように、タッチ位置座標(X,Y)を中心として、縦の長さがaで横の長さがbの四角形の枠線91を表示させる(ST11:枠線表示手段)。
【0031】
CPU21は、画面認識処理を実行する(ST12)。
図9は、画面認識処理の具体的手順を示す流れ図である。先ず、CPU21は、枠線91で囲われた枠内の画像から、輪郭形状、表面の色合い、模様、凹凸状況等の外観特徴量を抽出する(ST41)。次いでCPU21は、認識辞書ファイル50に登録されている全てのメニュー品目のレコードについて、上記特徴量が当該レコードの外観特徴パラメータとどの程度類似しているかを示す類似度を算出する。
【0032】
全メニュー品目に対して類似度が算出されたならば、CPU21は、最大類似度が確定閾値Lを超えるか否かを確認する(ST43:認識手段64)。確定閾値Lは、最大類似度が当該閾値を超える場合に、認識領域内の画像に映し出されている物品が最大類似度を有するメニュー品目であると確定できる類似度の最小値である。
【0033】
最大類似度が確定閾値Lを超えない場合(ST43にてNO)、CPU21は、ステップST44〜ST45の処理を実行する。このステップST44〜ST45の処理の手順は、特に限定されるものではない。ステップST44では、CPU21は、パネル表示部151に認識不可を意味する所定のメッセージを表示させる。ステップST45では、CPU21は、画面から枠線91を消去する。以上で、画像認識処理は終了する。
【0034】
これに対し、最大類似度が確定閾値Lを超える場合には(ST43にてYES)、CPU21は、ステップST46〜ST48の処理を実行する。このステップST46〜ST48の処理の手順は、特に限定されるものではない。ステップST46では、CPU21は、品数カウンタ71を“1”だけカウントアップする。ステップST47では、CPU21は、最大類似度を有するメニュー品目の情報(メニューID、メニュー名称、価格及び熱量)を認識辞書ファイル50から取得する。ステップST48では、枠線91の右上角の座標を削除マーク座標(X0,Y0)として算出する。
【0035】
ステップST46〜ST48の処理が終了すると、CPU21は、明細メモリ72の枠線番号n(nは品数カウンタ71のカウント値)の明細レコードに、上記削除マーク座標(X0,Y0)とメニュー品目情報とをセットする(ST49)。次いでCPU21は、
図12に示すように、削除マーク座標(X0,Y0)のポジションに削除マーク92を表示させる。また、CPU21は、枠線91内に当該メニュー品目情報のメニュー名称、価格及び熱量を表示させる(ST50:出力手段(個別出力手段)65)。さらにCPU21は、明細メモリ72のデータから合計金額と合計熱量とを算出し、画面の合計金額欄82と総カロリ欄83とにそれぞれ表示させる(ST51:出力手段(全体出力手段)65)。以上で、画像認識処理は終了する。
【0036】
画像認識処理が終了すると、CPU21は、ステップST5の処理に戻る。すなわちCPU21は、パネル表示部151の画面がタッチされたか否かを確認する(ST5)。そして、画面がタッチされていない場合には(ST5にてNO)、CPU21は、品数カウンタ71を調べる(ST6)。
【0037】
このとき、品数カウンタ71が“0”にリセットされている場合には(ST6にてNO)、CPU21は、ステップST3の処理に戻る。しかし、品数カウンタ71がカウントアップされている場合には(ST6にてYES)、CPU21は、ステップST5の処理に戻る。
【0038】
したがって、品数カウンタ71が“0”にリセットされている場合には、CPU21は、新たな撮影画像を取り込む。しかし、品数カウンタ71がカウントアップされている場合には、CPU21は、撮影画像の取り込みを行わない。すなわちCPU21は、画像の取込みを停止する。その結果、パネル表示部151には、前回取り込んだ撮影画像が静止画として表示される。
【0039】
また、ステップST10にて品数カウンタ71がカウントアップされている場合には(ST10にてYES)、CPU21は、削除マーク92がタッチされたか否かを確認する(ST13)。すなわちCPU21は、タッチ位置座標(X,Y)を明細メモリ72に格納されている各明細レコードの削除マーク座標(X0,Y0)と照合する。その結果、削除マーク92がタッチされていない場合には(ST13にてNO)、CPU11は、前述したステップST11〜ST12の各処理を実行する。
【0040】
削除マーク92がタッチされた場合(ST13にてYES)、CPU31は、タッチ位置座標(X,Y)に相当する削除マーク座標(X0,Y0)を含む明細レコードから枠線番号を検出する(ST21)。そしてCPU21は、この枠線番号で識別される枠線91を画面から消去する(ST22:消去手段68)。またCPU21は、明細メモリ72から当該枠線番号のレコードを消去する(ST23)。さらにCPU21は、明細メモリ72のデータから合計金額と合計熱量とを再計算し、合計金額欄82と総カロリー欄83の表示を更新する(ST24)。
【0041】
CPU21は、品数カウンタ71を“1”だけカウントダウンプする(ST25)。そしてCPU21は、品数カウンタ71のカウント値nが“0”であるか否かを確認する(ST26)。カウント値nが“0”でない場合(ST26にてNO)、CPU21は、ステップST5の処理に戻る。しかし、カウント値nが“0”になった場合には(ST26にてYES)、CPU21は、ステップST3の処理に戻る。
【0042】
したがって、カウント値nが“0”でない場合には、CPU21は、新たな撮影画像の取り込みを行わない。このためパネル表示部151に表示されている撮影画像は変化しない。しかし、カウント値nが“0”になった場合には、CPU21は、撮影画像の取り込みを再開する。このため、パネル表示部151に表示される撮影画像が最新の画像に更新される。
【0043】
ボタン画像がタッチされた場合(ST7にてYES)、CPU21は、確定ボタン84または取消ボタン85のどちらがタッチされたかを確認する(ST31)。確定ボタン84がタッチされた場合(ST31にて「確定」:終了宣言受付手段67)、ステップST32〜ST34の各処理を実行する。
【0044】
ステップST32では、CPU21は、電子マネーによる決済処理を実行する。すなわちCPU21は、カードRW18を介してICカードの電子マネーデータから合計価格分のデータを減じる。ステップST33では、CPU21は、明細メモリ72のデータに基づいてレシートデータを編集する。そしてCPU21は、レシートデータをプリンタ17に出力して、レシートの発行を制御する。ステップST34では、CPU21は、明細メモリ72のデータとICカードのユーザIDとでユーザ履歴情報を編集する。そしてCPU21は、通信インターフェース26を介してユーザ履歴情報をデータベースサーバ41に送信する。データベースサーバ41では、ユーザデータベース40にユーザ履歴情報がユーザID別に蓄積される。
【0045】
ステップST32〜ST34の処理が終了すると、CPU21は、パネル表示部151の画面を初期化する(ST35)。またCPU21は、明細メモリ72をクリアする(ST36)。
【0046】
これに対し、取消ボタン85がタッチされた場合には(ST31にて「取消」)、CPU21は、上記ステップST32〜ST34の処理を実行しない。CPU21は、パネル表示部151の画面を初期化する(ST35)。またCPU21は、明細メモリ72をクリアする(ST36)。以上で、1ユーザに対する商品認識プログラムの処理が終了する。
【0047】
本実施形態の商品認識装置1が設置されたカフェテリア形式の食堂施設では、ユーザは、料理が盛り付けられた容器30を会計カウンタ2の領域2B内に置く。そしてユーザは、自らのICカードのデータをカードRW18に読み取らせる。そうすると、
図10に示すように、タッチパネル15の画面に撮影画像81が表示されるので、ユーザは、容器30に盛り付けられた料理の画像に1品ずつタッチする。
【0048】
今、ユーザが容器30の左上に盛られた料理の画像にタッチしたとする。そうすると、
図11に示すように、タッチ位置
座標(X,Y)を中心とする枠線91が撮影画像81上に表示される。そして商品認識装置1では、この枠線91内の料理の認識処理が実行される。
【0049】
例えばタッチ位置が料理の端の方であり、枠線91内の画像では料理を認識できなかった場合、枠線91が消去される。また、認識不可を示すメッセージがパネル表示部151に表示される。この場合、ユーザは、料理画像の別の箇所をタッチして、認識処理をやり直しさせる。
【0050】
枠線91内の画像から料理が認識された場合、
図12に示すように、枠線91内に認識された料理品目の名称、価格、熱量が表示される。また、枠線91には削除マーク92が表示される。認識された料理の合計金額及び総カロリも更新される。
【0051】
ユーザは、枠線91内の表示が正しいかどうかを確認する。正しくない場合、削除マーク92にタッチする。そうすると、枠線91が消去される。そこでユーザは、料理画像の別の箇所をタッチして、認識処理をやり直しさせる。
【0052】
枠線91内の表示が正しい場合、ユーザは2品目の画像にタッチする。例えばユーザが容器30の中央上側に盛られた料理の画像にタッチしたとする。そうすると、
図13に示すように枠線91aが撮影画像81上に表示される。そして商品認識装置1では、この枠線91a内の料理の認識処理が実行される。その結果、料理が認識された場合、
図14に示すように、枠線91a内に認識された料理品目の名称、価格、熱量が表示される。また、枠線91には削除マーク92が表示される。認識された料理の合計金額及び総カロリも更新される。
【0053】
ユーザは、容器30に盛り付けられた全ての料理が認識されるまで、上述したタッチ操作を繰り返す。そして、全ての料理が認識されたならば、ユーザは確定ボタン84にタッチする。そうすると、容器30に盛り付けられた料理に対して電子マネーによる決済処理が実行され、発行口16からレシートが発行される。また、商品認識装置1からデータベースサーバ41にユーザ履歴情報が送信されて、データベース40に保存されている当該ユーザの利用履歴情報が更新される。
【0054】
このように商品認識装置1は、料理が盛り付けられた容器30を認識するのではなく、容器30に盛り付けられた料理を1品目ずつ認識する。したがって、容器30と料理とを1対1で対応させたり、容器30に格別な情報媒体を付したりする等の制約が不要となるため、カフェテリア形式の食堂施設が効率よく運用される。
【0055】
また、商品認識装置1は、容器に盛られた料理を認識するだけでなく、その料理の価格を合計して合計金額を算出する。そして商品認識装置1は、カードRW18で読み取ったICカードの電子マネーデータを用いて、認識された料理の代金を自動精算する。したがって、料理の認識だけでなく代金の精算まで含めて、カフェテリア形式の食堂施設が効率よく運用される。
【0056】
また、商品認識装置1は、容器に盛られた料理を認識するだけでなく、その料理の熱量を合計して総カロリを算出する。そして商品認識装置1は、カードRW18で読み取ったICカードのユーザIDに関連付けて総カロリを含むユーザ履歴情報をデータベースサーバ41に送信する。したがって、ユーザ毎に栄養管理するサービスが容易に実現される。
【0057】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、容器30に盛り付けられた料理の認識処理が完了しているか否かに係らず、確定ボタン84がタッチされると、決済処理が実行される。第2の実施形態では、容器30に盛り付けられた料理の認識処理が完了しないと、決済処理が実行されない。このような第2の実施形態について、
図15〜
図17を用いて説明する。なお、第2の実施形態も、商品認識装置1の外観及び内部構成は第1の実施形態と同様なので、共通する部分には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0058】
図15は、メニュー品目数メモリ73を示す模式図である。第2の実施形態では、商品認識装置1は、前記品数カウンタ71及び明細メモリ72に加えて、メニュー品目数メモリ73をRAM23に形成する。
【0059】
図16は、商品認識プログラムの起動によりCPU21が実行する情報処理手順の要部を示す流れ図である。すなわち第2の実施形態では、CPU21は、ステップST3の処理で取り込んだ撮影画像をパネル表示部151に表示させた後、その画像を解析して、容器30に盛り付けられている料理の品目数Mを検出する(ST61:品目数検出手段)。
【0060】
具体的には、予め料理が盛り付けられていない容器30の画像が背景画像として補助記憶部24に記憶されている。CPU21は、撮影画像と背景画像との差分から料理が盛り付けられている領域の輪郭を認識する。CPU21は、輪郭の形状から料理の品目数Mを検出する。品目数Mは、メニュー品目数メモリ73に格納される。
品目数Mが検出されると、CPU21は、第1の実施形態のステップST5の処理に進む。
【0061】
図17は、ステップST7の処理にてボタン画像がタッチされたことを検知した後のCPU21の情報処理手順を示す流れ図である。すなわち第2の実施形態では、CPU21は、タッチされたボタン画像が確定ボタン84の画像であることを確認すると(ST31にて「確定」)、CPU21は、品目数計数手段である品数カウンタ71のカウント値nがメニュー品目数メモリ73の値Mと一致するか否かを確認する(ST71:比較手段)。一致する場合(ST71にてYES)、CPU21は、ステップST32の決済処理に進む。
【0062】
これに対し、品数カウンタ71のカウント値nがメニュー品目数メモリ73の値Mと一致しない場合には(ST71にてNO)、CPU21は、料理品目の認識が完了していないことを警告するメッセージを、パネル表示部151に表示させる(ST72)。しかる後、CPU21は、ステップST5の処理に戻る。
【0063】
したがって、第2の実施形態の商品認識装置1によれば、品数カウンタ71のカウント値nがメニュー品目数メモリ73の値Mと一致しない限り、決済を行うことができない。このため、容器30に盛り付けられた料理の認識処理が完了する前に決済処理が実行される不具合を未然に防止できる。
【0064】
なお、本発明は、前記第1,第2の実施形態に限定されるものではない。例えば、商品認識装置1の設置場所やハードウェア構成は、種々変形して実施することが可能である。
【0065】
また前記実施形態では、電子マネー決済に対応した商品認識装置1を例示したが、決済方法は特に限定されるものではなく、クレジットカード決済や現金決済に対応したものであってもよい。あるいは、商品認識装置1から決済機能を省略してもよい。この場合、商品認識装置1は、POS(Point Of Sales)端末等の決済端末を通信回線で接続する。そして商品認識装置1は、認識された料理品目の情報をPOS端末に送信出力すればよい。
【0066】
また、前記実施形態では、商品認識装置1の補助記憶部24にて認識辞書ファイル50を記憶したが、認識辞書ファイル50の記憶場所は補助記憶部24に限定されるものではない。例えば、商品認識装置1に外付けされた記憶装置に認識辞書ファイル50を記憶させ、必要に応じてCPU21が記憶装置にアクセスすることで、認識辞書ファイル50のデータを検索してもよい。
【0067】
また、前記実施形態では、枠線91を縦の長さがaで横の長さがbの四角形としたが、枠線91のサイズ及び形状は特に限定されるものではない。また、パネル表示部151に表示された枠線のサイズや大きさを、変更する機能を付加してもよい。この機能を持たせることにより、料理の画像を正しく枠線で囲うことができるので、認識率が高まる効果を期待できる。
【0068】
また、前記実施形態では、削除マーク92がタッチされた場合に枠線91を削除したが、削除マーク92を含む枠線91がタッチされたことを検出して、当該枠線91を削除するようにしてもよい。
【0069】
また、前記実施形態では、商品の標準分量に対して導出されるパラメータとして熱量を例示したが、パラメータは熱量に限定されるものではない。例えばたんぱく質、脂質、カルシウム等の栄養成分等であってもよい。
【0070】
また、前記実施形態では、画像取込手段61は、画像に枠線91が表示されるまでは画像の取込みを繰り返し、枠線91が表示されると画像の取込みを停止したが、取り込んだ画像を破棄することで表示画像を静止画とする場合も、画像取込手段61の一形態として含まれる。
【0071】
また、第2の実施形態では、品数カウンタ71のカウント値nがメニュー品目数メモリ73の値Mと一致しない場合の警告手段としてメッセージを表示させる手段を例示したが、警告手段はこれに限定されるものではない。例えば音声手段により警告を発するようにしてもよい。
【0072】
また前記実施形態は、装置内部のプログラム記憶部であるROM22または補助記憶部24に発明の機能を実現させる制御プログラムが予め記録されているものとした。しかしこれに限らず、同様のプログラムがネットワークから装置にダウンロードされてもよい。あるいは、記録媒体に記録された同様のプログラムが、装置にインストールされてもよい。記録媒体は、CD−ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。また、プログラムのインストールやダウンロードにより得る機能は、装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。また、本実施形態のプログラムを、通信機能を有する携帯電話やいわゆるPDAのような携帯情報端末に組み込んで、その機能を実現させるものであってもよい。
【0073】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。