【実施例1】
【0037】
図2は、
図1に示される概念が具体的に構成された実施例1を示す。
【0038】
実施例1に示されるトリチウム放射能量測定装置100は、呼気バッグ1と、ネブライザー部21、デニューダ管22、気液分離筒23、水導入系統24、トリチウムを含む呼気を捕集する呼気バッグ1とトリチウム放射能強度計測装置3とを結ぶ呼気導排出系統4、からなる。デニューダ管22及びネブライザー部21は、デニューダ・ネブライザー方式装置を構成する。ネブライザー部21に水導入系統24が接続される。
水導入系統24は、供給される水を貯蔵する水容器25と水導入ポンプ26とこれらとネブライザー部21とを結ぶ配管27から構成される。
【0039】
気液分離筒23には、分離された水を導出する配管31が接続され、この配管31には、水回収ポンプ32、三方弁33及び三方弁33の開口部にそれぞれ接続された回収容器34及び廃液容器36が設けられる。また、気液分離筒23には、廃棄系統4Bが接続され、廃棄系統4Bには、吸引ポンプ41が設けられる。
【0040】
このような構成において、デニューダ・ネブライザー方式装置によってトリチウム捕集手段2が形成される。
【0041】
図3は、デニューダ・ネブライザー方式装置によってトリチウム捕集手段2が形成される様子を示す図である。
【0042】
呼気バッグ1からの呼気11は、吸引ポンプの吸引によってネブライザー部21に導入される。ネブライザー部21では、水導入ポンプ26により導入された水20によって水滴30が形成され、水滴30は、呼気11と共にデニューダ管22に行く。この場合に、水20と呼気中の水分とによって水滴30を形成するようにしてもよい。
【0043】
デニューダ管22の内部には、表面にフッ素加工したガラス繊維22Aが通っており、これにより呼気と水滴との接触面積が増大され、呼気中のトリチウムの取り込み効率が上げられる。
【0044】
呼気は、デニューダ管22内を移動中に水滴に接触して冷却され、呼気中の水蒸気が凝結する。水滴と水滴が分離された呼気とは、気液分離筒23にて気液分離される。気液分離された水滴は、水回収ポンプ32によって吸引され、回収容器34に回収され、捕集水35となる。廃液容器36に廃液37が回収される。
【0045】
この形態によれば、呼気バッグ1からの呼気中に水滴が形成され、水滴中にトリチウムが取り込まれる。形成される水滴の量は、水導入ポンプ6の吸引によって任意に変えられ、呼気中のトリチウムを効率よく回収することができる。
【0046】
また、この形態によれば、トリチウムを含む呼気バッグ1が、呼気バッグごとに呼気導排出系統4に着脱自在に取り付けられ、トリチウム捕集手段2が、呼気バッグからの呼気中に水滴を形成する水滴形成手段11と、呼気バッグからの呼気と当該水滴とを接触させて水滴中にトリチウムを取り込むトリチウム取り込み手段12と、トリチウムを取り込んだ水滴を集合して捕集水とする回収容器34からなる捕集水生成手段13と、から形成され、回収容器34からなる捕集生成手段13が、呼気バックごとに呼気導排出系統4に着脱自在に取り付けられ得る。
【0047】
本例によれば、水滴形成手段が、水滴供給手段とガラス繊維を内蔵したデニューダ管とから形成されて、呼気バッグからの呼気が、デニューダ管を移動中に水滴に接触させて冷却させ、呼気中の水蒸気を凝結させ、前記水滴に、混合、一体化することができる。
【0048】
トリチウム放射能強度計測装置3による計測準備操作は、捕集水に液体シンチレータ(LCS)を加えることでなされる。
【0049】
この捕集原理によって水滴捕集を行うことで、呼気量が少なくて済み、被験者の負担が少ない。かつ捕集した捕集水の量が微量であるため、使用する液体シンチレータ3の使用量を少ないものとすることができ、従来例と比べると、例えば次のようになる。
【0050】
従来技術の場合⇒10mlの液体シンチレータを使用
本例の場合⇒2.5mlの液体シンチレータを使用することで計測可能であり、廃液が少なくて済む。
【0051】
図4は、捕集水35に液体シンチレータを加えることで、液体シンチレータを含有した捕集水38を形成して、捕集水容器39に収納した状態を示す。
【0052】
トリチウム放射能強度計測装置3が、形成された捕集水38中のトリチウム放射能強度すなわちトリチウム放射能量を測定する。トリチウム放射能量が測定されると、放射能被ばく量は容易に求められる。
【0053】
被験者ごとに洗浄用水蒸気発生装置(図示せず)で発生した水蒸気を用いて呼気導排出系統4を洗浄して、次の計測に備える。
【実施例2】
【0054】
図5は、本発明の第2の実施例の構成を示す図である。
【0055】
図1、
図2に示される構成と同一の構成については、同一の番号を用い、
図1、
図2での説明を援用する。
【0056】
図5において、52は電磁三方弁、53は金属ケース、54は固体シンチレータ(PSペレット)を収納した呼気捕集バイアル、55は断熱材形成の樹脂カバー、56はペルチェ素子、57はファン、58は呼気捕集バイアル温度センサ2、59は圧力センサ、60は電磁弁、61はポンプ、62は積算流量センサ、63は装置内温度センサ1、64は装置筺体、65は冷却ファン、66は洗浄用水蒸気発生装置、67は洗浄用水蒸気発生装置66を電磁三方弁52に接続する配管、68は金属ケース蓋を示す。呼気導排出系統4は、呼気11Aの導入・排出・洗浄に用いられる流路である。
【0057】
呼気捕集バイアル54は、呼気11Aからトリチウムを含んだ水滴を捕集することで、計測手段14(
図1参照)に提供するもので容器形態をなし、
図7に示される固体シンチレータ、すなわちペレット状の固体シンチレータ(PSペレットという)81を多数収納する。集合体としたシンチレータ材が形成される。この例では、測定用のバイアルには、廃液の発生しない「プラスチックシンチレータ」が収納され、用いられる。例えば、LSC-LB7を用いる。LSC-LB7は20mlバイアルの他、100ml、145mlのバイアルに使用可能である。これらの容量に限定されない。
【0058】
図6は、一対の呼気バッグ1の取付け状況及び捕集水生成手段13の取付け状況を示す図であり、
図6(a)が、呼気バックごとに呼気導排出系統4に着脱自在に取り付けられ得る状態、
図6(b)が、回収容器34からなる捕集水生成手段13が、呼気バックごとに呼気導排出系統4に着脱自在に取り付けられ得る状態を示す。
【0059】
図6(a)において、呼気バッグ1には、弁付きカプラ71が取付け可能とされ、被験者5は、その呼気を呼気バッグ1に吐き出して、一方のメス型の弁カプラを取り付け、呼気バック1から吐き出した呼気を呼気バッグ1に保持する。呼気導排出系統4には、他方のオス型の弁カプラが取り付けてある。呼気バッグ1は、着脱自在に呼気導排出系統4に取り付けられ、弁カプラ内蔵の弁体を操作することで、呼気バッグ1と呼気導排出系統4とは連通状態となる。
【0060】
図6(b)において、呼気捕集バイアル54には、一方のメス型の着脱部材76が取り付けられ、呼気捕集バイアル54を内蔵する金属ケース53には、他方のオス型の着脱部材77が取り付けられ、一方の着脱部材76を他方の着脱部材に嵌合することで呼気捕集バイアル54の着脱部75が形成される。呼気捕集バイアル54で形成された捕集水生成手段13が着脱自在に呼気導排出系統4に取り付けられ、呼気捕集バイアル54で形成された捕集水生成手段13と呼気導排出系統4とは連通状態となる。
【0061】
このような構成において、呼気バッグ1が加熱される。加熱温度は、35〜40℃にすれば十分である。装置筐体64の内部温度は、温度センサ1(63)によって計測される。収集された呼気を加熱することで、呼気中の水分が十分に水蒸気とされる。この水蒸気を含む呼気Aを、ポンプ61を使用して呼気捕集バイアル54に着脱部75を介して導入する。
【0062】
図7において、導入された呼気11Aは、PSペレット81に接触することにより、接触面の呼気中の水蒸気の温度が低下し水蒸気は凝結する。PSペレット81、例えば
図7に示されるように、円柱形態をなす。この凝結によって、PSペレット表面に水分が付着、集合して、捕集水82となる。
【0063】
呼気バッグからの呼気11Aと当該水滴とが接触することで、水滴中にトリチウムを取り込まれる。
【0064】
この例にあっても、トリチウム捕集手段2が、呼気バッグ1から、呼気中の水蒸気の水分を利用して、呼気11A中に水滴を形成する水滴形成手段11と、呼気バッグからの呼気11Aと当該水滴とを接触させて水滴中にトリチウムを取り込むトリチウム取り込み手段12と、トリチウムを取り込んだ水滴を集合して捕集水とするPSペレット81からなる捕集水生成手段13と、から形成される。
【0065】
このように、水滴形成手段が、呼気バッグからの呼気を加熱して水蒸気を生成する手段と冷却された固体シンチレータが充填された容器とから形成されて、水蒸気が固体シンチレータに接触することで凝固され、水滴が固体シンチレータ表面に生成される。
【0066】
計測手段14は、PSペレット81の固体シンチレータ表面に水滴形態で生成された捕集水について固体シンチレータによって直接的にトリチウム放射能強度を計測する。
【0067】
被験者ごとに洗浄用水蒸気発生装置66で発生した水蒸気を用いて呼気導排出系統4及び呼気捕集バイアル54を洗浄して、次の計測に備える。
【0068】
装置の操作手順は、次の様になる。
1)呼気捕集バイアル54及び呼気バイアル1を装置に設置。5分程待機。
↓
2)呼気バッグ周囲の温度が34℃以上、呼気捕集バイアル周囲を5℃に達したら、ポンプ61にて呼気11Aを回収。
↓
3)積算流量センサ62にて吸気量をカウント。
↓
4)設定吸気量に達したら電磁三方弁(AV−1)52を切替。
↓
5)圧力センサ59が設定値に達したら電磁弁(AV−2)60を閉止。
↓
6)呼気捕集バイアル54及び呼気バイアル1を装置から回収し、ダミーの容器を設置。
↓
7)電磁三方弁(AV−1)52、電磁弁(AV−2)60を切替。
↓
8)洗浄を5分程度行う。
【0069】
捕集効率の見積り:34℃飽和水蒸気を5℃で捕集すると、おおよそ捕集効率は、80%になる。減圧操作時(−20kPa想定)の除去分を考慮すると64%程度の捕集効率になる。
【0070】
捕集水分量の見積り:例えば10リットル呼気中の水分量は、約0.38g、
捕集効率を64%とすると、呼気捕集バイアル54中の水分量
は、おおよそ0.24gとなり、十分に計測ができる量が捕集
される。
【0071】
この例は、PSペレットで構成される固体シンチレータを用いて、トリチウムをPSペレット81の面に直接捕集するものであり、液体シンチレータを使用することを要さず、使用後の液体シンチレータを廃棄処理することを要しない、環境負荷の低減を図るメリットがある。また、直接的に計測できるために、計測に要する時間の短縮につながるとともに、ランニングコストを低減することができる。
【0072】
図8は、本例によるトリチウム放射能強度計測の例を示す。
【0073】
図8は、100mlバイアル中にPSペレットを充填し、各トリチウム濃度のトリチウム水をバイアルに入れ、放射線強度を測定した結果である。縦軸を強度、横軸をトリチウム濃度としときに直線性があることから、トリチウム濃度に対して十分な定量性があるといえる。このことより、PSペレットを使用してトリチウムの濃度測定を行うことができる。
【0074】
本例によれば、次のようなメリットが得られる。
1)個々の被験者の呼気中放射能物質濃度を実測可能である
2)被験者に負担を掛けない、少ない量で計測できる。
3)呼気バッグと計測手段との連結が可能になった。
4)PSペレットを用いての高感度計測が可能になった。
5)結果を得るまでの時間を短縮できる。
6)測定に伴う放射性有機廃液の発生がゼロである。
7)PSペレットは、容易に再使用が可能であり、経済的であり、かつ環境に優しい。
【0075】
以上のトリチウム放射能強度測定装置を用いることで、呼気バッグと、トリチウムのトリチウム放射能強度計測定装置と、トリチウムを含む呼気を捕集する呼気バッグとトリチウム放射能強度計測装置とを結ぶ呼気導排出系統からなり、トリチウムを含む呼気バッグが、被験者ごとに呼気導排出系統に着脱自在に取り付けられ、トリチウムを捕集するトリチウム捕集手段が、呼気バックごとに呼気導排出系統に着脱自在に取り付けられ、呼気導排出系統を流過する水滴中に呼気バッグ中のトリチウムを取り込み、トリチウム放射能強度計測装置が、トリチウム捕集手段に捕集された捕集水中のトリチウム放射能強度を計測することで、多数の呼気バッグについてトリチウム放射能強度を連続して測定することを特徴とする被験者のトリチウムによる放射能量の測定装置が構成される。
【0076】
また、水滴形成手段が、水滴供給手段とガラス繊維を内蔵したデニューダ管とから形成されて、呼気バッグからの呼気が、デニューダ管を移動中に水滴に接触させて冷却させ、呼気中の水蒸気を凝結させ、前記水滴に一体化することを特徴とする被験者のトリチウムによる放射能量の測定装置が構成される。
【0077】
また、トリチウム放射能強度計測装置が、捕集水に液体シンチレータが加えられた液体についてトリチウム放射能強度を計測することでトリチウム放射能強度を計測することを特徴とする被験者のトリチウムによる放射能量の測定装置が構成される。
【0078】
また、水滴形成手段が、呼気バッグからの呼気を加熱して水蒸気を生成する手段と冷却された固体シンチレータが充填された容器とから形成されて、水蒸気が固体シンチレータに接触することで凝固され、水滴が固体シンチレータ表面に生成されることを特徴とする被験者のトリチウムによる放射能量の測定装置が構成される。
【0079】
また、固体シンチレータ表面に水滴形態で生成された捕集水について固体シンチレータによって直接的にトリチウム放射能強度を計測することを特徴とする被験者のトリチウムによる放射能量の測定装置が構成される。
【0080】
また、呼気バッグと、トリチウムのトリチウム放射能強度計測装置と、トリチウムを含む呼気を捕集する呼気バッグとトリチウム放射能強度計測装置とを結ぶ呼気導排出系統と、からなり、トリチウム捕集手段が、呼気バッグからの呼気中に水滴を形成する水滴形成手段と、呼気バッグからの呼気と当該水滴とを接触させて水滴中にトリチウムを取り込むトリチウム取り込み手段と、トリチウムを取り込んだ水滴を集合して捕集水とする捕集水生成装置と、から形成される被験者のトリチウムによる放射能量の測定装置に用いられる一対の呼気バッグとトリチウムを含有可能な捕集水生成装置であって、トリチウム放射能強度計測装置が、トリチウム捕集手段に捕集された捕集水中のトリチウム放射能強度を測定する、被験者のトリチウムによる放射能量の計測装置に用いられる一対の呼気バッグとトリチウムを含有する捕集水生成装置であって、
トリチウムを含む呼気バッグが、呼気バッグごとに呼気導排出系統に着脱自在に取り付けられ得て、捕集水生成装置が、呼気バックごとに呼気導排出系統に着脱自在に取り付けられ得ることを特徴とする一対の呼気バッグとトリチウムを含有可能な捕集水生成装置が構成される。