特許第6244491号(P6244491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6244491
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】光ファイバ切断装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/25 20060101AFI20171127BHJP
【FI】
   G02B6/25
【請求項の数】13
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-42168(P2017-42168)
(22)【出願日】2017年3月6日
【審査請求日】2017年3月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】川西 紀行
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一美
【審査官】 下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−137445(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/066544(WO,A1)
【文献】 特開2006−251034(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/088370(WO,A1)
【文献】 特開2001−322086(JP,A)
【文献】 米国特許第04790464(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0075982(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B6/25
B26D1/20
B26D3/16
B26D7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部に対して蓋部が回動可能に取り付けられ、前記基部側に備わる第1の下側把持部と、前記蓋部側に備わる第1の上側把持部とによって、光ファイバの一方を把持し、前記基部側に備わる第2の下側把持部と、前記蓋部側に備わる第2の上側把持部とによって、光ファイバの他方を把持することができる装置本体と、
前記第1の下側把持部と前記第2の下側把持部の間把持され前記光ファイバの長手方向を横断する方向に移動し、前記光ファイバの表面に前記基部側から加傷する刃部材と 前記刃部材により加傷された前記光ファイバを切断のために押圧する押圧部と
を備え、
前記装置本体は、
前記第1又は第2の前記下側把持部のうちの少なくとも1つを回動可能下側把持部として回動支点を中心に回動させ、これによって前記回動可能下側把持部上の前記光ファイバに対する前記刃部材の高さを調整可能な把持部材を有し、
前記回動可能下側把持部と対となる前記上側把持部の回動支点は、前記回動可能下側把持部の回動支点と同一中心線上である、
光ファイバ切断装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の下側把持部と、前記第1及び第2の下側把持部に共通の回動中心となる回動支点とが、1つの部材に構成されてなる把持部材を有する、
請求項に記載の光ファイバ切断装置。
【請求項3】
前記把持部材は、基端部側に前記回動支点を有し、
前記基部は、前記把持部材の前記基端部とは反対側の先端部側に、前記先端部を上下に変位させる変位機構を有する、
請求項に記載の光ファイバ切断装置。
【請求項4】
1つの前記下側把持部と、前記下側把持部の回動中心となる回動支点とが、1つの部材に構成されてなる把持部材を、2組有する、
請求項に記載の光ファイバ切断装置。
【請求項5】
2組の前記把持部材の各々は、基端部側に前記回動支点を有し、
前記基部は、2組の前記把持部材の各々に対して、前記基端部とは反対側の先端部側に、前記先端部を上下に変位させる2つの変位機構を有する、
請求項に記載の光ファイバ切断装置。
【請求項6】
2組の前記把持部材の各々は、基端部側に前記回動支点を有し、
前記基部は、前記基端部とは反対側の先端部側に、2組の前記把持部材の前記先端部を連動して上下に変位させる変位機構を有する、
請求項に記載の光ファイバ切断装置。
【請求項7】
2組の前記把持部材に備わる各々の前記回動支点は、同一中心線上に配置されている、 請求項に記載の光ファイバ切断装置。
【請求項8】
2組の前記把持部材に備わる各々の前記下側把持部は、連動して回動可能である、
請求項に記載の光ファイバ切断装置。
【請求項9】
2組の前記把持部材の各々は、前記下側把持部に対向する前記上側把持部を備え、
2つの前記上側把持部が、連動して回動可能である、
請求項に記載の光ファイバ切断装置。
【請求項10】
前記押圧部は、前記蓋部とは別部材で構成され、前記押圧部と前記上側把持部と前記下側把持部とは、同一中心線上にある回動支点を中心に回動可能である、
請求項1に記載の光ファイバ切断装置。
【請求項11】
前記基部に対して前記蓋部が回動可能とする回動支点が、前記上側把持部及び前記下側把持部の回動支点と同一中心線上に配置されている、
請求項1に記載の光ファイバ切断装置。
【請求項12】
(1)2つの前記下側把持部を有する把持部材、
1つまたは2つの前記上側把持部を有する把持部材、
)前記押圧部を有する押圧部材、
の中から選択される2以上の部材を有し、前記2以上の部材を回動支点の部分で連結することにより、相互に回動可能な状態で一体化することが可能であり、かつ、前記2以上の部材が、前記基部及び前記蓋部から着脱可能である、
請求項1に記載の光ファイバ切断装置。
【請求項13】
回動支点を中心に回動可能な前記把持部材は、前記基部から着脱可能である、
請求項1に記載の光ファイバ切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを切断するための刃部材を内蔵した光ファイバ切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ切断装置には、様々な種類がある。特許文献1〜4には、次の構成を備える光ファイバ切断装置が記載されている。
【0003】
(1)光ファイバ切断装置は、基部と蓋部とを備える。
(2)蓋部は基部に対して回動可能に取り付けられている。
(3)基部に備わる下側把持部と、蓋部に備わる上側把持部とによって、光ファイバを把持することができる。
(4)下側把持部と上側把持部とを備える把持機構が2箇所あり、光ファイバを長手方向の2箇所で把持することができる。
【0004】
(5)長手方向の2箇所の把持機構のおよそ中間部には、可動式の刃部材が設けられている。
(6)刃部材を光ファイバの表面に接触させることで、光ファイバに加傷することができる。
(7)加傷された光ファイバを、蓋部に備わる押圧部材で押圧することにより、光ファイバを切断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2850910号公報
【特許文献2】特許第5877144号公報
【特許文献3】特許第5200064号公報
【特許文献4】特許第5065800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、光ファイバは硬質のガラス製であることから、切断の際に光ファイバに接触する刃部材としては超硬合金やダイヤモンド等を用いた工具が用いられている。従来、刃部材の交換等の作業時には、刃部材と光ファイバ又は把持部との位置関係を調整するため、複雑な工程が必要であった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、刃部材と光ファイバ又は把持部との位置関係を調整する作業を容易にすることが可能な光ファイバ切断装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、基部に対して蓋部が回動可能に取り付けられ、前記基部側に備わる第1の下側把持部と、前記蓋部側に備わる第1の上側把持部とによって、光ファイバの一方を把持し、前記基部側に備わる第2の下側把持部と、前記蓋部側に備わる第2の上側把持部とによって、光ファイバの他方を把持することができる装置本体と、前記第1の下側把持部と前記第2の下側把持部の間把持され前記光ファイバの長手方向を横断する方向に移動し、前記光ファイバの表面に前記基部側から加傷する刃部材と 前記刃部材により加傷された前記光ファイバを切断のために押圧する押圧部とを備え、前記装置本体は、前記第1又は第2の前記下側把持部のうちの少なくとも1つを回動可能下側把持部として回動支点を中心に回動させ、これによって前記回動可能下側把持部上の前記光ファイバに対する前記刃部材の高さを調整可能な把持部材を有し、前記回動可能下側把持部と対となる前記上側把持部の回動支点は、前記回動可能下側把持部の回動支点と同一中心線上である、光ファイバ切断装置である。
【0010】
の発明は、前記第1及び第2の下側把持部と、前記第1及び第2の下側把持部に共通の回動中心となる回動支点とが、1つの部材に構成されてなる把持部材を有する、第の発明の光ファイバ切断装置である。
【0011】
の発明は、前記把持部材は、基端部側に前記回動支点を有し、前記基部は、前記把持部材の前記基端部とは反対側の先端部側に、前記先端部を上下に変位させる変位機構を有する、第の発明の光ファイバ切断装置である。
【0012】
の発明は、1つの前記下側把持部と、前記下側把持部の回動中心となる回動支点とが、1つの部材に構成されてなる把持部材を、2組有する、第の発明の光ファイバ切断装置である。
【0013】
の発明は、2組の前記把持部材の各々は、基端部側に前記回動支点を有し、前記基部は、2組の前記把持部材の各々に対して、前記基端部とは反対側の先端部側に、前記先端部を上下に変位させる2つの変位機構を有する、第の発明の光ファイバ切断装置である。
【0014】
の発明は、2組の前記把持部材の各々は、基端部側に前記回動支点を有し、前記基部は、前記基端部とは反対側の先端部側に、2組の前記把持部材の前記先端部を連動して上下に変位させる変位機構を有する、第の発明の光ファイバ切断装置である。
【0015】
の発明は、2組の前記把持部材に備わる各々の前記回動支点は、同一中心線上に配置されている、第の発明の光ファイバ切断装置である。
【0016】
の発明は、2組の前記把持部材に備わる各々の前記下側把持部は、連動して回動可能である、第の発明の光ファイバ切断装置である。
【0017】
の発明は、2組の前記把持部材の各々は、前記下側把持部に対向する前記上側把持部を備え、2つの前記上側把持部が、連動して回動可能である、第の発明の光ファイバ切断装置である。
【0018】
第1の発明は、前記押圧部は、前記蓋部とは別部材で構成され、前記押圧部と前記上側把持部と前記下側把持部とは、同一中心線上にある回動支点を中心に回動可能である、第1の発明の光ファイバ切断装置である。
【0019】
第1の発明は、前記基部に対して前記蓋部が回動可能とする回動支点が、前記上側把持部及び前記下側把持部の回動支点と同一中心線上に配置されている、第1の発明の光ファイバ切断装置である。
【0020】
第1の発明は、(1)2つの前記上側把持部を有する把持部材、(1つまたは2つの前記上側把持部を有する把持部材、()前記押圧部を有する押圧部材、の中から選択される2以上の部材を有し、前記2以上の部材を回動支点の部分で連結することにより、相互に回動可能な状態で一体化することが可能であり、かつ、前記2以上の部材が、前記基部及び前記蓋部から着脱可能である、第1の発明の光ファイバ切断装置である。
【0021】
第1の発明は、回動支点を中心に回動可能な前記把持部材は、前記基部から着脱可能である、第1の発明の光ファイバ切断装置である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、刃部材と光ファイバ又は把持部との位置関係を調整する作業を容易にすることできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】光ファイバ切断装置の第1実施形態の斜視図である。
図2】光ファイバ切断装置の第1実施形態の断面図である。
図3】光ファイバ切断装置の第1実施形態の断面図である。
図4】光ファイバ切断装置の第1実施形態の斜視図である。
図5】刃部材等の一例を示す分解斜視図である。
図6】変位機構の一例を示す拡大断面図である。
図7】変位機構の一例を示す部分正面図である。
図8】光ファイバ切断装置の第1実施形態の分解状態の斜視図である。
図9】光ファイバ切断装置の第2実施形態の斜視図である。
図10】把持機構部材の別の一例を示す斜視図である。
図11】(a)〜(b)は、光ファイバに対する刃の高さの説明図である。
図12】(a)〜(c)は、刃が低い場合の接触長さの説明図である。
図13】(a)〜(c)は、刃が高い場合の接触長さの説明図である。
図14】(a)〜(b)は、不適切な把持を例示する説明図である。
図15】(a)〜(b)は、不適切な把持を例示する説明図である。
図16】(a)把持部を例示する斜視図、(b)把持機構を例示する断面図である。
図17】不適切な把持を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
【0025】
図1〜8に、光ファイバ切断装置の第1実施形態を示す。本実施形態の光ファイバ切断装置10は、基部12に対して蓋部13が回動可能に取り付けられた装置本体11と、基部12に内蔵された可動式の刃部材20とを備えている。
【0026】
図1に示すように、刃部材20により切断処理を受ける光ファイバ80は、例えば光ファイバ心線82の先端部において、被覆81の除去により露出された裸光ファイバである。光ファイバ心線82は、例えばファイバホルダ83に保持されてもよい。例示したファイバホルダ83は、光ファイバ心線82が載置されるベース板84と、ベース板84上に開閉可能に設けられたカバー板85とを備える。
【0027】
光ファイバは、単心光ファイバでもよいし、多心の光ファイバでもよい。多心の光ファイバは、テープ心線でもよい。光ファイバは、クラッドの断面内に1のコアを有するシングルコアファイバでもよく、クラッドの断面内に複数のコアを有するマルチコアファイバでもよい。光ファイバの直径は、特に限定されないが、例えば50〜1000μm等が挙げられる。
【0028】
例えばベース板84側に形成された溝部86上に光ファイバ心線82を載置し、光ファイバ心線82上にカバー板85を被せることにより、光ファイバ心線82を把持固定することができる。ベース板84とカバー板85との間は、例えば溝部86と平行な側面にヒンジ部87を設けて、ヒンジ部87を中心にカバー板85を回動可能に構成することができる。
【0029】
ファイバホルダ83に光ファイバ心線82を固定する方式は特に限定されないが、例えばベース板84の溝部86以外の箇所に不図示の永久磁石を設け、磁気に吸引可能な磁性体をカバー板85に設ける方式が挙げられる、これにより、ベース板84とカバー板85との間に作用する磁気吸引力によって、光ファイバ心線82を把持するための押圧を発生させる。
【0030】
基部12の筐体14上には、ファイバホルダ83が載置されるホルダ載置台15が形成されている。筐体14は、ホルダ載置台15の刃部材20側に、ファイバホルダ83の前面88に接触可能なストッパ15a(図4参照)を有する。
ファイバホルダ83の前面88から光ファイバ80が突出する距離は、ファイバホルダ83をストッパ15aにより位置決めした際に、光ファイバ80の切断予定箇所が刃部材20上に位置するように調整される。
【0031】
ホルダ載置台15は、ストッパ15aとは反対側に、装置本体11の側方からファイバホルダ83を受け入れ可能な導入部15bを有する。ファイバホルダ83の移動方向は、導入部15bからストッパ15aに向かう方向である。この移動方向と交差する幅方向においても、ファイバホルダ83の軌道が案内される案内部15cをホルダ載置台15に設けることが好ましい。案内部15cとしては、例えば、ホルダ載置台15の両側部がファイバホルダ83の両側面89を案内する機構であってもよい。あるいは、ホルダ載置台15上に移動方向に平行なレール状の構造物を設けてもよい。
【0032】
ファイバホルダ83により保持された光ファイバ80を装置本体11に対して位置決めする際には、導入部15bからストッパ15aに向けてファイバホルダ83をスライド移動させればよい。これにより、移動方向及びそれに交差する方向において、刃部材20に対し光ファイバ80が高精度に位置決めされる。
【0033】
図1及び図2に示すように、光ファイバ切断装置10は、光ファイバ80を把持する把持機構30を備える。把持機構30は、基部12側に備わる下側把持部40と、蓋部13側に備わる上側把持部50とを有する。互いに対向する下側把持部40と上側把持部50との間に光ファイバ80を把持することができる。
下側把持部40は、回動軸部材16を中心にして回動可能な下側把持部材41に設けられている。下側把持部材41は、下側把持部40を支持する部材であり、本実施形態の下側把持部材41は、アーム状の部材である。
上側把持部50は、回動軸部材16を中心にして回動可能な上側把持部材51に設けられている。上側把持部材51は、上側把持部50を支持する部材である。本実施形態の上側把持部材51は、アーム状の部材である。
【0034】
下側把持部40及び上側把持部50は、光ファイバ80の長手方向の2箇所に設けられている。このため、互いに対向する下側把持部40及び上側把持部50を含む把持機構30は、光ファイバ80の長手方向に2組構成される。下側把持部材41は、2箇所の下側把持部40を含む一体化された部材で構成されている。上側把持部材51は、2箇所の上側把持部50を含む一体化された部材で構成されている。
【0035】
2箇所の下側把持部40の間には、刃部材20が配置されている。2箇所の上側把持部50の間には、押圧部60が配置されている。蓋部13側に備わる押圧部60は、光ファイバ80の切断のために、光ファイバ80を押圧することができる。押圧部60は、回動軸部材16を中心にして回動可能な押圧部材61に設けられている。押圧部材61は、押圧部60を支持する部材である。本実施形態の押圧部材61は、アーム状の部材である。
【0036】
刃部材20は、被覆81が除去された光ファイバ80に加傷することができればよい。刃部材20により、基部12側から光ファイバ80の表面に加傷される。押圧部60は、光ファイバ80の下側の表面に形成された傷に対して、傷の反対側となる上側の表面に押し当てられる。押圧部60が光ファイバ80を押圧することにより、傷が劈開のように一定の方向に誘導され、長手方向に略垂直な切断面が得られる。
【0037】
光ファイバ80に刃部材20で加傷される方向は、長手方向に対し、必ずしも正確に略垂直である必要は無い。光ファイバ80はガラス製であり、結晶材料の劈開のような異方性はガラス材料に内在されていないが、押圧部60で光ファイバ80を押し曲げる際に、傷を所定の方向に誘導することができる。
【0038】
刃部材20の形状や、刃部材20の動作方法は特に限定されないが、図2に示すように、刃部材20は可動式であり、光ファイバ80の長手方向を横断する方向に動作可能である。例えば刃部材20を支持する刃台21を弾性力により移動させるスプリング22が、筐体14に内蔵されてもよい。スプリング22の両端は、刃台21側と筐体14側のスプリング保持部22a,22bに保持されている。
【0039】
図示例のスプリング22は引きバネであり、伸長したスプリング22が収縮方向に回復する際に、刃部材20を高速で移動させることができる。スプリングとして押しバネを用いることも可能である。この場合は、収縮したスプリングが伸長方向に回復する際に、刃部材20を高速で移動させることができる。
【0040】
図2には、基部12に対して蓋部13が開いた状態を示すが、図3では、基部12に対して蓋部13が閉じた状態を示す。蓋部13は、回動軸部材16を中心にして、基部12に対して回動可能である。スプリング22の弾性力によって刃台21を移動する構成においては、基部12側の刃台21を蓋部13の動作に連動して操作することで、スプリング22の伸縮を制御することができる。
【0041】
蓋部13の回動に連動して刃台21の後端部21aには、押し込み突起部23が設けられている。蓋部13が開く際、押し込み突起部23が刃台21の後端部21aを押し込むことにより、スプリング22に弾性力が付与される方向に刃台21が移動する。基部12には、係止部24が設けられており、スプリング22に弾性力が付与された状態で、刃台21の動作を停止させることができる。
【0042】
下側把持部40上に光ファイバ80が載置されて、切断の準備が整った後の動作としては、作業者が、基部12に対して蓋部13を閉じるように回動させるだけでよい。
【0043】
基部12に対して蓋部13が閉じると、蓋部13に備わる上側把持部50が光ファイバ80に接触して、光ファイバ80の切断予定箇所の長手方向両側が、下側把持部40と上側把持部50との間に把持される。
また、押圧部材61に備わる位置決め部64と、刃台21に備わる位置決め部21c(図1参照)とが接触することにより、押圧部60が光ファイバ80の上方で位置決めされる。
【0044】
また、蓋部13側の解除突起部25が係止部24に接触して、刃台21に対する係止部24の係止が解除される。これにより、スプリング22が弾性変形から回復し、刃台21上の刃部材20が高速で移動する。移動中の刃部材20と接触することにより、光ファイバ80の切断予定箇所の表面に加傷される。
【0045】
さらに、刃台21に伴い位置決め部21cが移動することにより、刃台21に対する位置決め部64の接触が解除される。押圧部60の背後のバネ13cの弾性力により、押圧部60が光ファイバ80に接触すると、光ファイバ80の傷が成長して、光ファイバ80が切断される。押圧部60による切断のタイミングは、刃台21に対する位置決め部64の接触解除のタイミングを変更することで、調整することができる。
【0046】
光ファイバ80の把持、加傷、押圧、切断の過程は、基部12に対して蓋部13を閉じるだけで、一連の動作として実現される。上側把持部材51と蓋部13の背面部13aとの間には、バネ13bが設けられている。バネ13bの弾性力により、下側把持部40と上側把持部50との間に把持された光ファイバ80に対する把持力を確保することができる。また、押圧部材61と蓋部13の背面部13aとの間には、バネ13cが設けられている。バネ13cの弾性力により、押圧部60による光ファイバ80に対する押圧力を調整することができる。バネ13b,13cは、例えば圧縮コイルバネであるが、特にこれに限定されるものではない。バネ13b,13cの弾性力に差異を設けてもよい。
【0047】
蓋部13の端部には、バネ13bの付勢力に抗して上側把持部材51の先端部52を蓋部13に係止するための係止部13dが設けられている。これにより、上側把持部材51が蓋部13に回動可能に連結されている状態では、上側把持部材51の先端部52が蓋部13の背面部13aと係止部13dとの範囲内に収容され、上側把持部材51の飛び出しが抑止される。また、基部12に対して蓋部13を開く際に、係止部13dの係止により上側把持部材51が蓋部13に追随して持ち上げられる。
【0048】
上側把持部材51と押圧部材61とは、それぞれ独立して回動が可能であり、バネ13bによる上側把持部材51の変位と、バネ13cによる押圧部材61の変位は、それぞれ独立になし得る。
【0049】
上側把持部材51の先端部52には、前方規制部55(図1参照)が設けられている。基部12に対して蓋部13を開く際に、前方規制部55の係止により押圧部材61が上側把持部材51に追随して持ち上げられる。
また、後述する把持機構部材31,33(図8図10参照)を蓋部13から取り外す際に、押圧部材61が直接には蓋部13に係止されていないため、回動軸部材16を抜いた後、蓋部13の係止部13dに対する上側把持部材51の係止を解除すれば、上側把持部材51及び押圧部材61を一括して蓋部13から取り外すことができる。
前方規制部55は必ずしも上側把持部材51に設ける必要はなく、位置、形状、構成等も適宜変更が可能である。
【0050】
下側把持部40を備える下側把持部材41は、基部12とは別部材として構成されている。また、下側把持部40は、回動支点を中心に回動可能である。図2に示すように、基部12の筐体14に対して、下側把持部材41を回動することにより、下側把持部40を刃部材20から引き離すことができる。
従来、刃部材の交換等の作業時には、刃部材が光ファイバ切断装置の内部に収納されているため、複雑な工程が必要であった。
図4に示すように、下側把持部材41を上方に跳ね上げると、刃部材20の周囲に広い開口部18が形成されるので、刃部材20の交換等の作業が容易になる。また、開口部18において、刃部材20の状態を目視等で容易に確認することができる。
【0051】
開口部18は、筐体14の側部に設けられた覆い部17(図1参照)により覆ってもよい。覆い部17は、筐体14側の固定穴17bに対してネジ等の固定部材17aを用いることにより、筐体14に対して着脱可能に固定することができる。図1に示すように、下側把持部材41を下げると刃部材20の周囲が覆われるため、筐体14側の覆い部17を省略してもよい。
【0052】
図5に、刃台21に対する刃部材20の取付構造の一例を示す。刃部材20を刃台21と押さえ部材26との間に挟み込み、ネジ等の固定部材27により固定してもよい。図示例では、刃部材20の全周を16等分し、16分の1周に相当する区間の範囲内で光ファイバ80に加傷することができる。なお、16等分に限らず、刃部材20の周囲を任意の数の区間に分割可能である。各区間を区別するため、刃部材20に目盛20aを設けてもよい。刃部材20の平面形状は、例えば円形、多角形等であるが、特に限定されない。
【0053】
ピン21bを刃部材20の係止穴20bに差し込む位置を変更することで、刃部材20の異なる区間を加傷に用いることができる。刃部材20を繰り返し使用する場合に、刃先の摩耗が特定の区間に偏ることを抑制することができる。これにより、1枚の刃部材20の寿命の範囲内で、光ファイバ80の切断に使用する回数を適切に管理し、刃部材20の長寿命化を図ることができる。もとの刃部材20を刃台21に取り付ける作業は、新しい刃部材20に交換する場合と同様に行うことができる。刃台21に対する刃部材20の着脱作業は、上述したように、基部12から下側把持部材41を上方に跳ね上げた状態で、容易に行うことができる。
【0054】
図6に変位機構70の拡大断面図を示し、図7に、変位機構70の部分の正面図を示す。本実施形態の変位機構70は、図1及び図2に示すように、下側把持部材41の先端部42側に設けられている。ここで、先端部42とは、回動軸部材16側である基端部43とは反対側の端部である。例えば、変位機構70は、上下に移動可能なネジ等からなる上下部材71と、上下部材71を操作する操作ノブ72を備える。上下部材71の先端部71aの上下に連動して、下側把持部材41が上下し、刃部材20と下側把持部40との相対的な高低差が変化する。これにより、下側把持部40上の光ファイバに対する刃部材20の高さを精度よく調整することができる。特に刃先が摩耗した場合、刃部材20の高さを上げることで、光ファイバ80のクラッド表面の傷の大きさを回復し、摩耗した刃部材20を再使用することが可能になる。刃部材20の交換等の作業が完了した後で刃部材20の高さ調整を行う場合も、容易に作業が可能である。
また、上述したように、下側把持部40は、回動支点を中心に回動可能である。下側把持部40と対となる上側把持部50の回動支点は、下側把持部40の回動支点と同一中心線上である。このため、下側把持部40は、上側把持部50と対向する経路に沿って変位する。これにより、基部12に対する下側把持部40の高さを任意に調整しても、把持機構30を構成する下側把持部40と上側把持部50とを高精度に合わせて接触させることができる。
【0055】
筐体14の側面には、操作ノブ72の周囲に開放された凹部73を有する。これにより、手指等による操作ノブ72の操作が容易になる。操作ノブ72の回転による下側把持部40の上下の変化を容易に把握するため、高さの表示を設けることが好ましい。図7に示す例では、凹部73に設けたマーク73aを、操作ノブ72の表示部72aと対照することで、異なる高さを数値や記号等として区別することができる。
【0056】
変位機構70は、基部12に対して刃部材20の高さを調整する構造ではなく、基部12に対して下側把持部材41の高さを調整する構造である。このため、変位機構70を基部12の表面に配置することができる。
変位機構70は、簡易な構成で高精度の高さ調整が可能であるため、操作ノブ72を大きく、凹部73を広くすることにより、操作性を向上することができる。また、操作ノブ72の外径が大きいことにより、上下部材71の回転量が小さくても、操作ノブ72の操作量が大きくなり、高精度な高さ調整をより確実に行うことができる。
【0057】
上下部材71又は操作ノブ72を回転する際には、例えばマーク73aと表示部72aとの位置が整合したときに、操作ノブ72の回転に対する微小な抵抗力(クリック感)を付与する機構や、音が鳴る機構などを設けてもよい。具体例としては、上下部材71又は操作ノブ72と筐体14側との間に、凹凸、ラチェット等の機構を設けることが挙げられる。これにより、変位機構70の操作性を向上することができる。
【0058】
下側把持部材41が自重によって常に基部12側である下方に押し付けられる。光ファイバ80を切断する際も、上側把持部50によって下側把持部40が下方に押し付けられる。しかし、下側把持部材41の先端部42が変位機構70から浮き上がることを防止するため、変位機構70の上方にカバー部材75を設けてもよい。カバー部材75は、光ファイバ80の長手方向に沿った軸部材75aを中心にして、基部12の筐体14に対して回動可能である。
【0059】
カバー部材75の下面と下側把持部材41の上面との間には隙間76があり、カバー部材75が下側把持部材41に直に接触することが抑制されている。下側把持部材41の先端部42とカバー部材75との間には、押さえ用の弾性部材77が設けられている。弾性部材77の弾性力により、下側把持部材41の下面が上下部材71の先端部71aに接触した状態を保持することができる。
【0060】
カバー部材75は、ネジ等の固定部材78により、筐体14に対して固定することができる。弾性部材77は伸縮可能であるため、カバー部材75を筐体14に固定したまま、下側把持部材41の高さ調整が可能である。弾性部材77としては、圧縮バネ、トーションバネ等が挙げられる。図示例では、弾性部材77として圧縮コイルバネが採用され、下側把持部材41の先端部42には、バネ受け42aが設けられている。
【0061】
なお、図4には、筐体14に対してカバー部材75を開き、下側把持部材41を上側把持部材51側まで跳ね上げた様子が示されている。筐体14の上面には、下側把持部材41の先端部42を収容する凹所14a、基端部43が配置される凹所14bが形成されてもよい。
【0062】
また、図7における変位機構70の上方には、カバー部材75を外した様子が示されている。ここには、カバー部材75の軸部材75aを受ける軸受け75b、固定部材78が締結される固定穴78aが示されている。軸受け75b及び固定穴78aは、それぞれ凹所14aの両側に配置されている。
【0063】
図8に、光ファイバ切断装置10の分解状態を示す。ここでは、筐体14からカバー部材75が開かれ、覆い部17が外されている。また、回動軸部材16を装置本体11から取り外すことにより、下側把持部材41及び上側把持部材51を含む把持機構部材31が装置本体11の基部12及び蓋部13から取り外されている。把持機構部材31は、基部12及び蓋部13から着脱可能である。把持機構部材31の着脱により、回動支点を中心に回動可能な下側把持部材41が、基部12から着脱可能となる。また、把持機構部材31の着脱により、上側把持部材51及び押圧部材61が蓋部13から着脱可能となる。
【0064】
把持機構部材31には、上述した光ファイバ80の長手方向2箇所の把持機構30(図2参照)及び押圧部材61が一体化されている。すなわち、把持機構部材31は、2つの下側把持部40に対応する2つの下側把持部材41、2つの上側把持部50に対応する2つの上側把持部材51、押圧部60に対応する押圧部材61を含む。
【0065】
把持機構部材31には、下側把持部材41、上側把持部材51及び押圧部材61の回動中心を規定する回動軸部材16aが設けられている。これにより、把持機構部材31が装置本体11から取り外された状態においても、把持機構部材31において、下側把持部材41、上側把持部材51及び押圧部材61が相互に回動可能に一体化されている。回動軸部材16aは、カシメ変形等により、下側把持部材41と上側把持部材51との分解が困難となるように構成されてもよい。
【0066】
また、装置本体11には、基部12と蓋部13との回動中心を規定する回動軸部材16bが設けられている。これにより、装置本体11から把持機構部材31が取り外された状態においても、装置本体11において基部12と蓋部13とが相互に回動可能に一体化されている。
【0067】
把持機構部材31の回動軸部材16aは円筒状であり、内部に回動軸部材16を挿入することができる。同様に、装置本体11の回動軸部材16bは円筒状であり、内部に回動軸部材16を挿入することができる。
【0068】
回動軸部材16を取り外すだけで、下側把持部材41、上側把持部材51及び押圧部材61が一体化された把持機構部材31を、一括して装置本体11から取り外すことができる。また、回動軸部材16a,16bの内側に回動軸部材16を差し込むことにより、把持機構部材31と装置本体11とを一体化することができる。その際、基部12又は蓋部13に対する下側把持部材41及び上側把持部材51の位置調整は一切不要である。
【0069】
ただし、下側把持部材41、上側把持部材51及び押圧部材61は、共通の回動軸部材16aを介して連結する必要は無い。下側把持部材41、上側把持部材51及び押圧部材61のそれぞれに別の回動軸部材を設けて個々に交換可能にしてもよい。
上側把持部材51と押圧部材61を共通の軸部材で連結して、下側把持部材に別の軸部材を設けてもよい。下側把持部材41と上側把持部材51とを共通の軸部材で連結して、押圧部材61に別の軸部材を設けてもよい。下側把持部材41と押圧部材61を共通の軸部材で連結して、上側把持部材51に別の軸部材を設けてもよい。
【0070】
上側把持部材51は、回動軸部材16a側に基端部53を有し、基端部53の反対側に先端部52を有する。また、押圧部材61は、回動軸部材16a側に基端部63を有し、基端部63の反対側に先端部62を有する。把持機構部材31の回動軸部材16aは、下側把持部材41、上側把持部材51及び押圧部材61の各基端部43,53,63を軸方向に重ねて相互に連結している。
【0071】
下側把持部材41は、基端部43における回動軸部材16aの中心仮想軸線上に、下側把持部40の回動支点を有する。下側把持部材41は、1つ又は2つ以上の下側把持部40と、下側把持部40の回動中心となる回動支点とが、1つの部材に構成されてなる把持部材である。下側把持部40は、回動支点を中心に回動可能である。下側把持部材41は、基部12及び蓋部13とは別体に構成されている。下側把持部材41の材質は特に限定されないが、例えば樹脂、金属等が挙げられる。
【0072】
図示例では、各1つの下側把持部40を有する下側把持部材41が連結されて、2つの下側把持部40を有する下側把持部材41が1つの部材として構成されている。把持機構部材31の構成は、これに限定されず、各1つの下側把持部40を有する2つの下側把持部材41,41が、回動軸部材16aに対して、独立的に回動可能でもよい。
【0073】
上側把持部材51は、基端部53における回動軸部材16aの中心仮想軸線上に、上側把持部50の回動支点を有する。上側把持部材51は、1つ又は2つ以上の上側把持部50と、上側把持部50の回動中心となる回動支点とが、1つの部材に構成されてなる把持部材である。上側把持部50は、回動支点を中心に回動可能である。上側把持部材51は、基部12及び蓋部13とは別体に構成されている。上側把持部材51の材質は特に限定されないが、例えば樹脂、金属等が挙げられる。
【0074】
図示例では、各1つの上側把持部50を有する上側把持部材51が連結されて、2つの上側把持部50を有する上側把持部材51が1つの部材として構成されている。把持機構部材31の構成は、これに限定されず、各1つの上側把持部50を有する2つの上側把持部材51,51が、回動軸部材16aに対して、独立的に回動可能でもよい。
【0075】
把持機構30において互いに対向する上側把持部50と下側把持部40とは、同一中心線上にある回動支点を中心に回動可能に構成することが好ましい。これにより、上側把持部50と下側把持部40とが同一中心線の周りで回動する経路をとるので、上側把持部50と下側把持部40とを高精度に合わせて接触させることができる。2つの把持機構30が異なる把持部材に構成されている場合、各把持機構30の回動支点を通る中心線がずれていてもよい。2つの把持機構30が1つの把持機構部材31に構成されている場合、各把持機構30の回動支点を通る中心線の位置が同一であることが好ましい。
【0076】
押圧部材61は、基端部63における回動軸部材16aの中心仮想軸線上に、押圧部60の回動支点を有する。押圧部材61は、押圧部60と、押圧部60の回動中心となる回動支点とが、1つの部材に構成されてなる部材である。押圧部材61は、基部12及び蓋部13とは別体に構成されている。押圧部材61の材質は特に限定されないが、例えば樹脂、金属等が挙げられる。
【0077】
図9に、光ファイバ切断装置の第2実施形態を示す。本実施形態では、下側把持部40を有する下側把持部材41と、回動支点を有する基端部43とが、連結部44,45を介して着脱可能とされている。その他の構成は、第1実施形態と同様でよい。図示例の連結部44,45は、角柱状の連結部44を角筒状の連結部45に嵌合する構成であるが、十分な精度の連結が可能であれば、連結機構は特に限定されない。
【0078】
本実施形態の場合、筐体14の上面には、下側把持部材41の先端部42を収容する凹所14a、基端部43が配置される凹所14bが形成されている。凹所14bには、連結部44,45が配置されている。下側把持部材41を基部12の上方に回動させた状態で、連結部44,45の着脱により、下側把持部材41を基部12から着脱することができる。
【0079】
図10に、把持機構部材の別の一例を示す。図8に示す把持機構部材31では、弾性部材からなる下側把持部40と、下側把持部40を補強する枠部材46とを一体化し、ネジ等の固定部材47により、枠部材46を下側把持部材41に固定した構成である。
図10に示す把持機構部材33では、下側把持部40が下側把持部材41に接着剤等で固定されている。例えば弾性部材からなる下側把持部40と、成形樹脂からなる下側把持部材41との組み合わせで接着剤を選択してもよい。下側把持部材41を成形樹脂から構成する場合、一体成形で構成することも可能である。
【0080】
下側把持部40に限らず、上側把持部50についても、図8又は図10の構成を採用することができる。図8に示す把持機構部材31では、弾性部材からなる上側把持部50と、上側把持部50を補強する枠部材56とを一体化し、ネジ等の固定部材57により、枠部材56を上側把持部材51に固定した構成である。
図10に示す把持機構部材33では、上側把持部50が上側把持部材51に接着剤等で固定されている。例えば弾性部材からなる上側把持部50と、成形樹脂からなる上側把持部材51との組み合わせで接着剤を選択してもよい。上側把持部材51を成形樹脂から構成する場合、一体成形で構成することも可能である。
【0081】
図8及び図10の場合、上側把持部材51に対する上側把持部50の固定構造が、下側把持部材41に対する下側把持部40の固定構造と同様に構成されている。ただし、把持機構において、上側把持部50の固定構造が、下側把持部40の固定構造と異なっていてもよい。
図8に示す場合において、下側把持部40又は上側把持部50を下側把持部材41又は上側把持部材51に取り付ける際には、下側把持部40又は上側把持部50が固定された枠部材46,56を、固定部材47,57により下側把持部材41又は上側把持部材51に取り付けてもよい。固定部材47,57が下側把持部材41又は上側把持部材51に対して着脱可能であると、例えば光ファイバ切断装置10の製造組立工程等において、修正作業が容易になる。
【0082】
下側把持部40又は上側把持部50を交換する際には、弾性部材等からなる下側把持部40又は上側把持部50のみを取り外すのではなく、2箇所に下側把持部40を備える下側把持部材41又は2箇所に上側把持部50を備える上側把持部材51を丸ごと交換することも可能である。あるいは、下側把持部材41と上側把持部材51を備える把持機構部材31,33を丸ごと交換することも可能である。把持機構部材31,33において、下側把持部材41と上側把持部材51とを連結する回動軸部材16aを着脱可能にして、下側把持部材41又は上側把持部材51の片方のみの交換を可能にすることもできる。
【0083】
次に、光ファイバ切断装置における把持部又は刃部材の交換等について、より詳しく説明する。
【0084】
光ファイバ切断装置10の切断性能を左右するのは、光ファイバ80の表面に形成される傷の大きさである。傷が大き過ぎると、傷が切り込まれた方向の延長上に傷が成長しやすく、長手方向に略垂直な切断面を得にくくなる。一方、傷が小さすぎると、傷が形成された光ファイバ80を押圧部60で押し曲げても、傷が一定の方向に成長しにくく、光ファイバ80が引き千切られたような不規則に荒れた切断面になりやすい。そこで、光ファイバ80に対する刃部材20の高さを適切に設定し、傷の大きさを適正な水準に調整することが好ましい。
【0085】
光ファイバ80の切断を繰り返すうちに、刃部材20の刃先が摩耗する。図11〜13に、光ファイバ80に対する刃部材20の刃先の高さの違いを説明する模式図を示す。図12及び図13は、円形の刃部材20を水平移動させながら、光ファイバ80のクラッド表面に接触する様子を、(a)、(b)、(c)の順に示している。
【0086】
図11(a)に示すように、刃先の摩耗と共に、光ファイバ80に対する刃部材20の高さが低くなると、光ファイバ80に加傷される傷の大きさは小さくなり、垂直な切断面が得られにくくなる。また、図12に示すように、刃部材20の高さが低いと、光ファイバ80のクラッド表面に対する刃先の接触部分28の長さが短くなる。
【0087】
刃先が摩耗した場合、図11(b)に示すように、刃部材20の高さを上げることにより、図13に示すように、光ファイバ80のクラッド表面に対する刃先の接触部分28の長さが長くなる。これと共に、クラッド表面に対する刃の接触圧が上がり、傷の大きさを回復することができる。
【0088】
このため、光ファイバ切断装置10の刃の高さの調整が可能であることが好ましい。通信用の光ファイバの場合、クラッドの直径の規格値が125μmであるため、刃の高さ調整はμmオーダーの精度が必要となる。刃の高さを調整するには、刃の高さを変更する方法と、把持部の高さを変更する方法の2つがある。
【0089】
従来の光ファイバ切断装置における刃の高さ調整の方式は、刃の高さ変更が一般的であり、把持部の高さ変更は一般的でなかった。その理由の1つは、把持部の高さを上下方向に高精度に調整することの困難さである。
【0090】
図14(a)には、光ファイバ80の長手方向の2箇所において下側把持部40と上側把持部50とにより把持された箇所の高さがずれた様子を例示する。
図14(b)には、光ファイバ80の長手方向の2箇所のうち、片側の下側把持部40と上側把持部50との把持面を合わせたときに、もう片側の下側把持部40と上側把持部50との把持面が不一致となった様子を例示する。
【0091】
図15(a)には、光ファイバ80の長手方向の2箇所において下側把持部40と上側把持部50とにより把持された箇所が傾いた様子を例示する。
図15(b)には、光ファイバ80の長手方向に垂直な面において、下側把持部40と上側把持部50とが片側の端部同士で接触したときに、下側把持部40と上側把持部50との反対側の端部同士が接触せず、把持面が不一致となった様子を例示する。
【0092】
図14〜15の各図に示すような不具合が発生すると、下側把持部40と上側把持部50との間に把持された光ファイバ80に対して不適切な方向に曲げ応力が印加される、光ファイバ80の把持力が低下する、垂直な切断角度が得られない、等の問題が発生する。
【0093】
図16に、基部12側に備わる下側把持部40と、蓋部13側に備わる上側把持部50とを有する把持機構30の一例を示す。図16(a)には、下側把持部40又は上側把持部50の斜視図を示す。図16(b)には、下側把持部40と上側把持部50との間に光ファイバ80を把持した様子の断面図を示す。
【0094】
光ファイバ80に対する接触面積を増やして把持力を高めるために、下側把持部40及び上側把持部50には、弾性部材を用いることが好ましい。弾性部材の取り扱いを容易にするため、弾性部材の周囲に金属等の枠部材46,56を設けることが好ましい。さらに枠部材46,56は、下側把持部40及び上側把持部50が光ファイバ80を把持したときに、弾性部材の過度の変形を防ぐためのストッパとして機能することが好ましい。
【0095】
図16に示す例においては、枠部材46,56は、光ファイバ80の長手方向に垂直な両端部において、下側把持部40及び上側把持部50の上面と略同一面上に上端を有するガイド部46a,56aを有する。ガイド部46a,56aは、光ファイバ80に接触しない位置に設けられている。
【0096】
下側把持部40及び上側把持部50を構成する各弾性部材の表面は、高精度に平行に加工されている。また、枠部材46,56の底面46b,56bも、高精度に平行加工されている。ガイド部46a,56aの高さ及び弾性部材の表面と枠部材の底面との距離も、部品ごとのバラツキがないように高精度に管理されている。
【0097】
下側把持部40及び上側把持部50の硬度は通常同等であり、把持された光ファイバ80は、下側把持部40と上側把持部50との境界に正確に位置することができる。光ファイバ80に接触した下側把持部40及び上側把持部50が変形する深さを、上下に均等にすることができる。
【0098】
従来の光ファイバ切断装置においては、基部に下側把持部が固定される。基部に備わる下側把持部の固定構造は、長手方向2箇所の把持部が同一平面上となるように高精度に加工されている。また、蓋部に備わる上側把持部は、基部に対して蓋部を閉じて、上下の把持部を合致させたときに、上下の把持面が一致するように蓋部に固定されている。すなわち、高精度に加工された下側把持部を、高精度に加工された基部に固定することで、光ファイバの把持に関する基準平面が構成される。これにより、光ファイバに曲げ応力がかからない把持機構を実現することができる。
【0099】
しかし、刃部材が摩耗した際に、刃部材の高さを変更する必要がある。従来は、刃部材が光ファイバ切断装置の内部に収納されているため、把持部の高さを変更する方式では、刃の摩耗に応じた高さの調整が容易ではない。基部の隙間や穴からネジを回して刃の高さをμm単位で調整する必要がある。さらに、光ファイバに加傷する際に刃部材が移動する方式である場合、刃の繰り返しの移動により、刃の高さがずれる場合がある。刃の高さの調整が正しく行われないと、光ファイバの切断性能が低下する。
【0100】
また、刃先が摩耗した刃部材は、交換する必要がある。しかし、従来は、刃部材が光ファイバ切断装置の内部に収納されているため、刃部材の交換は容易ではない。下側把持部を固定する基部の受け面は、光ファイバの把持に関する基準面となっているため、基準面の狂いを回避して刃部材を交換するためには、光ファイバ切断装置を分解して、底部側から刃を取り出す必要がある。
【0101】
また、上下の把持部が弾性材料から構成されている場合、弾性材料の変形、摩耗等により、把持部を定期的に交換する必要がある。しかし、従来のように、上側把持部を蓋部に、下側把持部を基部に固定している場合、上下左右で4箇所の把持部を取り外し、交換した後に、上下の把持面がズレなく合致させることは容易ではない。例えば図17に示すように、下側把持部40及び上側把持部50の把持面が合致していない場合、押圧部で光ファイバ80を押圧した際に、光ファイバ80に左右非対称の応力が加わり、光ファイバの切断性能が悪化する。
【0102】
そこで、上述の実施形態の光ファイバ切断装置においては、下側把持部材41又は把持機構部材31,33が、基部12とは別部材により構成され、基部12の上面に対して着脱可能である。また、下側把持部40が回動支点を中心にして回動可能である。また、基部12には、基部12に対する下側把持部40の高さを調整する変位機構70が設けられている。また、本実施形態においては、上側把持部50の回動支点は、下側把持部40の回動支点と同一中心線上にある。また、下側把持部40及び上側把持部50の回動支点は、基部12と蓋部13とを回動可能に連結する箇所の回動支点と同一中心線上にある。
【0103】
ただし、上側把持部50及び下側把持部40の回動支点は、基部12と蓋部13とを回動可能に連結する箇所の回動支点と同一中心線上になくてもよい。例えば、上側把持部50及び下側把持部40を有する把持機構部材31,33と、基部12及び蓋部13を有する装置本体11との間で、バネ等の弾性部材を設けることにより、回動支点の不一致による距離の変化を吸収させることが可能である。
【0104】
下側把持部材41の高さ調整によって、下側把持部40上の光ファイバ80と刃部材20の刃先との位置関係を調整することが可能になる。このため、刃部材20を上下させる高さ調整機構を設ける必要がない。また、光ファイバ80を切断するたびに刃部材20の移動が繰り返されても、刃部材20の高さ調整が徐々にずれることがない。
【0105】
従来のように、光ファイバ切断装置の内部に刃部材が収容される場合、刃の高さ調整は容易ではなかったが、本実施形態によれば、回動可能な下側把持部材41が基部12の上面に位置するため、基部12に対して下側把持部材41を回動させることで、容易に刃部材20の高さ調整が可能である。
【0106】
刃部材20に対する下側把持部40の高さは、下側把持部材41の回動によって調整されるため、下側把持部材41を上下に変位させても、下側把持部40の上面が光ファイバ80の長手方向に傾くことはない。
下側把持部材41を大きく回動させて、基部12の上面から跳ね上げることにより、刃部材20の交換が容易になる。
【0107】
回動支点を構成する回動軸部材16を外す等の作業を行い、下側把持部材41又は把持機構部材31,33を一部品として交換することにより、下側把持部40を構成する弾性部材が摩耗した際の交換が容易に実施可能である。下側把持部40の交換後に、基部12に対する下側把持部40の高さ調整作業も不要である。
【0108】
下側把持部40の回動支点と上側把持部50の回動支点は同一中心線上にある場合、下側把持部40を上下に変位させても、常に上側把持部50と合致する。
回動支点を構成する回動軸部材16を外す等の作業を行い、上側把持部材51又は把持機構部材31,33を一部品として交換することにより、上側把持部50を構成する弾性部材が摩耗した際の交換が容易に実施可能である。上側把持部50の交換後に、蓋部13に対する上側把持部50の位置調整作業も不要である。
【0109】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。改変としては、例えば構成要素の付加、省略、変更、異なる2以上の実施形態の構成要素同士の組み合わせが挙げられる。
【0110】
上述の把持機構部材31,33は、2つの下側把持部40を有する下側把持部材41と、2つの上側把持部50を有する上側把持部材51とを回動可能に一体化された構成であるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、1つの下側把持部40を有する下側把持部材41と、1つの上側把持部50を有する上側把持部材51とを回動可能に一体化された把持機構部材が、2組以上設けられてもよい。
【0111】
把持機構部材が2組以上設けられる場合、各把持機構部材において、下側把持部40の回動支点と上側把持部50の回動支点とが同一中心線上に配置されていてもよい。装置本体に組み付けた状態において、各把持機構部材の回動支点を含む各中心線が、同一中心線上に配置されていてもよい。
【0112】
1つの下側把持部40と、下側把持部40の回動中心となる回動支点とが、1つの部材に構成されてなる下側把持部材41が、2組以上設けられてもよい。装置本体に組み付けた状態において、各下側把持部材41の回動支点を含む各中心線が、同一中心線上に配置されていてもよい。各下側把持部材41に含まれる各下側把持部40が連動して回動可能であってもよい。
【0113】
1つの上側把持部50と、上側把持部50の回動中心となる回動支点とが、1つの部材に構成されてなる上側把持部材51が、2組以上設けられてもよい。装置本体に組み付けた状態において、各上側把持部材51の回動支点を含む各中心線が、同一中心線上に配置されていてもよい。各上側把持部材51に含まれる各上側把持部50が連動して回動可能であってもよい。
【0114】
2組の下側把持部材41が互いに独立して回動可能である場合、各々の下側把持部材41に対して、変位機構70を設けてもよい。例えば、2組の下側把持部材41のうち、片方である第1の下側把持部材41の先端部42のみを上下に変位させる第1の変位機構70と、もう片方である第2の下側把持部材41の先端部42のみを上下に変位させる第2の変位機構70とを設けてもよい。
【0115】
互いに独立して回動可能な2組以上の下側把持部材41に対して、各下側把持部材41の高さを1つの変位機構により連動して調整可能な構成でもよい。例えば、1つの変位機構70が、第1の下側把持部材41の先端部42と、第2の下側把持部材41の先端部42とを、連動して上下変位させてもよい。
【0116】
光ファイバ切断装置は、(1)1つの下側把持部40を有する下側把持部材41、(2)2つ以上の下側把持部40を有する下側把持部材41、(3)1つの上側把持部50を有する上側把持部材51、(4)2つ以上の上側把持部50を有する上側把持部材51、(5)押圧部60を有する押圧部材61、の中から選択される2以上の部材を有してもよい。これらの2以上の部材を回動支点の部分で連結することにより、相互に回動可能な状態で一体化することが可能であり、かつ、2以上の部材が、基部12から、又は蓋部13から、又は装置本体11から着脱可能である。
(1)〜(2)の部材は、基部12から着脱可能としてもよく、装置本体11から着脱可能としてもよい。(3)〜(5)の部材は、蓋部13から着脱可能としてもよく、装置本体11から着脱可能としてもよい。
【0117】
光ファイバ切断装置が(1)〜(5)の中から選択される2以上の部材を有する場合において、少なくとも1つの部材が基部12又は蓋部13に対して着脱可能であってもよく、少なくとも1つの部材が基部12又は蓋部13に対して回動可能であってもよく、少なくとも1つの部材が基部12又は蓋部13に対して固定又は一体化されていてもよい。
(1)〜(5)に挙げられる下側把持部材41、上側把持部材51、押圧部材61は、それぞれ1つの部材が1部品として形成されてもよく、1つの部材が2以上の部品から構成されてもよい。2以上の部品が相互に固定又は連結されて、一体化された1つの部材を構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明の光ファイバ切断装置は、光ファイバの融着接続、検査等において、光ファイバを切断するために利用することができる。
【符号の説明】
【0119】
10…光ファイバ切断装置、11…装置本体、12…基部、13…蓋部、20…刃部材、30…把持機構、40…下側把持部、41…下側把持部材、42…下側把持部材の先端部、43…下側把持部材の基端部、50…上側把持部、51…上側把持部材、52…上側把持部材の先端部、53…上側把持部材の基端部、60…押圧部、61…押圧部材、62…押圧部材の先端部、63…押圧部材の基端部、70…変位機構、72…操作ノブ、75…カバー部材、80…光ファイバ。
【要約】
【課題】刃部材と光ファイバ又は把持部との位置関係を調整する作業を容易にすることが可能な光ファイバ切断装置を提供する。
【解決手段】基部12に対して蓋部13が回動可能に取り付けられ、基部12側に備わる下側把持部40と、蓋部13側に備わる上側把持部50によって、光ファイバ80を把持することができる装置本体11と、下側把持部40と上側把持部50の間に把持される光ファイバ80の表面に基部12側から加傷する可動式の刃部材20と、刃部材20により加傷された光ファイバ80を切断のために押圧する押圧部60とを備え、少なくとも1つの下側把持部40は、基部12とは別部材の把持部材に構成され、回動支点を中心に回動可能である。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17