特許第6244504号(P6244504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244504
(24)【登録日】2017年11月17日
(45)【発行日】2017年12月6日
(54)【発明の名称】金管楽器用消音器
(51)【国際特許分類】
   G10D 9/06 20060101AFI20171127BHJP
   G10D 7/10 20060101ALI20171127BHJP
【FI】
   G10D9/06
   G10D7/10
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-84635(P2016-84635)
(22)【出願日】2016年4月20日
(65)【公開番号】特開2017-194562(P2017-194562A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2016年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】516119140
【氏名又は名称】佐藤 陵一
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 陵一
【審査官】 鈴木 圭一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−044826(JP,A)
【文献】 特開平08−194473(JP,A)
【文献】 特開2015−018143(JP,A)
【文献】 特開2008−096498(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 7/00−9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金管楽器のベルに挿嵌される金管楽器用消音器であって、
略紡錘体状を呈し、内部が空洞の本体を備え、
前記ベルに挿嵌される前記本体の一の端部は開放され、
前記本体の前記一の端部と反対側の他の端部は閉塞され、
前記他の端部から前記本体の内部へ向けて突出する筒状部材が設けられ、
前記筒状部材は前記他の端部において開口して前記本体の内部と前記本体の外部を連通させ、
前記他の端部において前記筒状部材の開口を囲むように制振材が配され
前記制振材は円板状部材からなり、前記制振材の周縁部は、前記他の端部の質量をより演奏者側とは反対側へ偏らせることができ、振動を抑制するための慣性力をさらに増すために、前記制振材の外径が演奏者側から演奏者側とは反対側に向けて増加するようにテーパ形状を呈することを特徴とする金管楽器用消音器。
【請求項2】
前記制振材は発泡樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の金管楽器用消音器。
【請求項3】
前記筒状部材の前記他の端部から前記本体の内部への突出量は5cm以上且つ6cm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の金管楽器用消音器。
【請求項4】
前記筒状部材は樹脂又は金属から構成されることを特徴とする請求項記載の金管楽器用消音器。
【請求項5】
前記筒状部材を構成する樹脂はABS樹脂又はアクリルであることを特徴とする請求項記載の金管楽器用消音器。
【請求項6】
前記筒状部材を構成する金属は真鍮、銅又はステンレスであることを特徴とする請求項記載の金管楽器用消音器。
【請求項7】
前記本体は樹脂から構成されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の金管楽器用消音器。
【請求項8】
前記本体の前記一の端部に巻回される吸音材をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の金管楽器用消音器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランペットやトロンボーン等の金管楽器に用いられる金管楽器用消音器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自宅等において金管楽器の演奏を練習する際、金管楽器の演奏音の音量を低下させるために消音器(ミュート)が用いられる。ミュートは、金管楽器のベルに一部が挿嵌可能な本体を備え、金管楽器から放出される演奏者の呼気を本体の内部へ導入し、さらに、導入された呼気を比較的小径の穴を介して本体の外部へ放出することにより、外部へ漏れ出る演奏音の音量を低下させる。
【0003】
ところで、ミュートは自宅での練習だけでなく、本演奏直前における舞台袖での試演奏でも用いられるが、この場合、本演奏において演奏者に違和感を感じさせないことを目的として、ミュートを金管楽器から外したときの吹奏感と同等の吹奏感が求められる。これに対応して、近年、消音性能だけなく好適な吹奏感を実現するための構造を有するミュートが提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。これらの特許文献1,2に係るミュートはいずれも略紡錘体状の本体を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4114171号
【特許文献2】特許第4986091号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1,2に係るミュートでは、好適な吹奏感を実現するために、本体の内部において演奏者の呼気の流れを整えることを目的として、本体におけるベルへの挿嵌側(演奏者側)、及び本体における演奏者側とは反対側のいずれにおいても、本体の中心軸に沿い且つ本体の内部へ突出する筒状部材(パイプや調整筒)を有する。すなわち、本体の両端からそれぞれ内部へ向けて筒状部材が突出するという複雑な構造を有する。その結果、ミュートの生産性が低下し、コストが上昇するという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、好適な吹奏感を実現しつつ構造を簡素化することができる金管楽器用消音器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の金管楽器用消音器は、金管楽器のベルに挿嵌される金管楽器用消音器であって、略紡錘体状を呈し、内部が空洞の本体を備え、前記ベルに挿嵌される前記本体の一の端部は開放され、前記本体の前記一の端部と反対側の他の端部は閉塞され、前記他の端部から前記本体の内部へ向けて突出する筒状部材が設けられ、前記筒状部材は前記他の端部において開口して前記本体の内部と前記本体の外部を連通させ、前記他の端部において前記筒状部材の開口を囲むように制振材が配され、前記制振材は円板状部材からなり、前記制振材の周縁部は、前記他の端部の質量をより演奏者側とは反対側へ偏らせることができ、振動を抑制するための慣性力をさらに増すために、前記制振材の外径が演奏者側から演奏者側とは反対側に向けて増加するようにテーパ形状を呈することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ベルに挿嵌される本体の一の端部は開放され、本体の他の端部から本体の内部へ向けて突出する筒状部材が設けられる。すなわち、本体の内部へ突出する筒状部材は他の端部のみに設けられるので、金管楽器用消音器の構造を簡素化することができる。また、閉塞される本体の他の端部において筒状部材の開口を囲むように制振材が配される。これにより、他の端部の質量が増して慣性力が増加し、本体が不必要に振動せず、安定した音色や音程を実現することできるとともに、他の端部に設けられた筒状部材も不必要に振動せず、本体の内部において演奏者の呼気の流れが乱れるのを抑制することができる。その結果、好適な吹奏感を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る金管楽器用消音器としてのプラクティスミュートが装着されるトランペットの側面図である。
図2図1におけるプラクティスミュートの外観を示す演奏者と反対側から眺めた斜視図である。
図3図1におけるプラクティスミュートの外観を示す側面図である。
図4図1におけるプラクティスミュートの外観を示す演奏者から眺めた正面図である。
図5図1におけるプラクティスミュートの外観を示す演奏者とは反対側から眺めた背面図である。
図6】トランペットのベルへプラクティスミュートの演奏者側端部が挿嵌される様子を説明するための断面図である。
図7図1におけるプラクティスミュートの変形例の外観を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る金管楽器用消音器としてのプラクティスミュートが装着されるトランペットの側面図である。
【0012】
図1において、トランペット10は、演奏者側とは反対側に設けられて演奏音を放出するベル11と、演奏者側に設けられベル11から放出される音を発生させる呼気口であるマウスピース12とを備える。ベル11にはプラクティスミュート13が挿嵌される。
【0013】
図2乃至図5は、図1におけるプラクティスミュートの外観を示す図であり、図2は演奏者と反対側から眺めた斜視図であり、図3は側面図であり、図4は演奏者から眺めた正面図であり、図5は演奏者とは反対側から眺めた背面図である。
【0014】
図2乃至図5において、プラクティスミュート13は、略紡錘体状を呈し、内部が空洞の樹脂、例えば、ポリエチレンからなる本体14を備える。本体14の両端はそれぞれ、本体の中心軸Cに関して垂直に切り落とされて演奏者側の端部15(以下、「演奏者側端部15」という。)(一の端部)、及び演奏者とは反対側(以下、「観客側」という。)の端部16(以下、「観客側端部16」という。)を構成する。本体14の最大径Rは本体14の中心軸Cに関する中心Gよりも観客側端部16側に存在し、本体14の中心Gよりも演奏者側端部15側の部分(以下、「演奏者側部分」という。)は、本体14の中心Gよりも観客側端部16側の部分より、全体的に細身に形成される。特に、演奏者側部分の演奏者側端部15近傍の径は、ベル11の内径とほぼ同じになるように設定される。本体14は樹脂、例えば、ポリエチレンから構成されるが、本体14を構成する材料はこれに限られず、金属等であってもよい。
【0015】
本体14の演奏者側端部15は開放される一方、本体14の観客側端部16は閉塞される。また、観客側端部16には円板状の樹脂、例えば、発泡樹脂からなる制振プレート17(制振材)が設けられる。制振プレート17は中心軸Cに関して垂直に配置され、制振プレート17の中心は中心軸Cと一致する。さらに、制振プレート17の外径が演奏者側から観客側に向けて増加するように、制振プレート17のエッジ18(周縁部)はテーパ形状を呈する。さらに、本体14における演奏者側端部15の近傍には吸音材19が巻回される。吸音材19を構成する材料としては、柔軟材、例えば、ゴム、樹脂、コルクや布製部材が該当する。
【0016】
図6は、トランペットのベルへプラクティスミュートの演奏者側端部が挿嵌される様子を説明するための断面図である。
【0017】
図6において、演奏者側端部15は、本体14の中心軸Cがベル11の中心軸と一致するように、ベル11へ挿嵌される。このとき、演奏者側端部15の近傍の吸音材19はベル11の内壁に押圧されて変形し、ベル11の内壁及び本体14の間の隙間を埋める。
【0018】
ここで、プラクティスミュート13は、観客側端部16から本体14の内部へ向け、中心軸Cに沿って突出する呼気排出パイプ20(筒状部材)を備える。呼気排出パイプ20は、例えば、樹脂又は金属からなり、観客側端部16において開口して本体14の内部と本体14の外部を連通させる。また、呼気排出パイプ20は演奏者側から観客側に掛けて同一の内径及び外径を有する。上述したように、呼気排出パイプ20は中心軸Cに沿うため、呼気排出パイプ20は制振プレート17の中心において開口する。演奏者がプラクティスミュート13をトランペット10に取り付けて試演奏する際、演奏者側端部15の開放口から導入された演奏音の音波を、比較的小さい空間である呼気排出パイプ20の内部を通して本体14の外部へ放出することにより、音波の伝播を抑制して演奏音の音量を低下させる。
【0019】
上述したプラクティスミュート13によれば、ベル11に挿嵌される本体14の演奏者側端部15は開放され、観客側端部16から本体14の内部へ向けて突出する呼気排出パイプ20が設けられる。すなわち、本体14の内部へ突出する呼気排出パイプ20は観客側端部16のみに設けられ、演奏者側端部15には本体14の内部へ突出する筒状部材が設けられないので、プラクティスミュート13の構造を簡素化することができる。また、閉塞される観客側端部16において呼気排出パイプ20の開口を囲むように制振プレート17が配される。これにより、観客側端部16の質量が増して慣性力が増加し、本体14が不必要に振動せず、安定した音色や音程を実現することできるとともに、観客側端部16に設けられた呼気排出パイプ20も不必要に振動せず、本体14の内部において演奏者の呼気の流れが乱れるのを抑制することができる。その結果、好適な吹奏感を実現することができる。
【0020】
また、プラクティスミュート13では、制振プレート17が円板状部材からなり、制振プレート17の外径が演奏者側から観客側に向けて増加するように、エッジ18がテーパ形状を呈するので、観客側端部16の質量をより観客側へ偏らせることでき、振動を抑制するための慣性力をさらに増すことができる。
【0021】
さらに、プラクティスミュート13では、制振プレート17は発泡樹脂からなるので、制振プレート17そのものが振動や音を吸収する。その結果、本体14の振動の発生を確実に抑制することができるとともに、プラクティスミュート13から漏れ出る演奏音の音量を確実に低下させることができる。
【0022】
上述したプラクティスミュート13では、本体14はポリエチレンから構成されるので、本体14そのものも振動の発生を抑制することができ、好適な吹奏感の実現に貢献することができる。また、プラクティスミュート13は、本体14の演奏者側端部15に巻回される吸音材19を備えるので、演奏者側端部15がトランペット10のベル11に挿嵌された際、吸音材19はベル11の内壁及び本体14の間の隙間を埋める。その結果、トランペット10の演奏音が上記隙間から漏れ出るのを確実に防止することができる。さらに、吸音材19は柔軟材からなるので、トランペット10の振動を吸収し、トランペット10の振動がプラクティスミュート13の本体14へ伝播されず、本体14が不必要に振動するのを防止することができる。
【0023】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【0024】
例えば、上述したプラクティスミュート13では、制振プレート17のエッジ18がテーパ形状を呈したが、図7に示すように、演奏者側から観客側に掛けて制振プレート17の径は変わらなくてもよい。また、上述したプラクティスミュート13はトランペット10に用いられたが、トランペット以外のベルを有する金管楽器であれば用いることができ、例えば、トロンボーンやホルンの演奏音の音量を低下させるために用いることができる。さらに、本体14はポリエチレンで構成されるが、ポリエチレン以外の振動を抑制する材料で構成してもよく、例えば、振動を抑制することが可能であれば、本体14を金属によって構成してもよい。
【0025】
(実施例)
次に本発明の実施例について説明する。
【0026】
まず、本発明者は制振プレート17の好適な材料、大きさ、形状を見出すために、直径が2cm、2.5cm、3cm、3.5cm、4cmの発泡樹脂である発泡塩化ビニルからなる制振プレート17を準備し、それぞれについてエッジ18がテーパ形状を呈するもの(以下、「テーパ有」という。)と、エッジ18がテーパ形状を呈さずに制振プレート17の径が変わらないもの(以下、「テーパ無」という。)を準備した。さらに、準備した各制振プレート17を、観客側端部16から本体14の内部への突出量である長さL(図6参照)が5cmであって、真鍮からなる外径が6mm且つ内径が5mmの呼気排出パイプ20(以下、「仕様1」という。)、長さLが10cmであって、ステンレスからなる外径が7mm且つ内径が6mmの呼気排出パイプ20(以下、「仕様2」という。)、長さLが5cmであって、ABS樹脂からなる外径が8mm且つ内径が6mmの呼気排出パイプ20(以下、「仕様3」という。)、長さLが5cmであって、真鍮からなる外径が8mm且つ内径が7mmの呼気排出パイプ20(以下、「仕様4」という。)及び長さLが5cmであって、ステンレスからなる外径が8mm且つ内径が7mmの呼気排出パイプ20(以下、「仕様5」という。)のそれぞれと組合せた複数のプラクティスミュート13を準備した。そして、準備した各プラクティスミュート13を用いてトランペット10の吹奏感の官能評価を行った。下記表1は各プラクティスミュート13を用いた吹奏感の官能評価の結果を示す。表1では好適な吹奏感が得られた場合を「○」で示し、最適な吹奏感が得られた場合を「◎」で示す。
【0027】
【表1】
【0028】
表1に示すように、全体的な傾向から制振プレート17はテーパ有が好ましいことが分かった。なお、制振プレート17の直径が変わっても吹奏感には顕著な差が見られなかった。したがって、制振プレート17はエッジ18がテーパ形状を呈するのが好ましいことが分かった。
【0029】
なお、本発明者は、制振プレート17を発泡塩化ビニル以外の材料、例えば、真鍮、銅、ステンレス、ニッケル、アルミ、MDF、アクリル、硬質塩化ビニルを用いて構成し、上述した評価と同様の評価を実施したが、いずれの材料においても好適な吹奏感を得ることができなかった。したがって、制振プレート17は発泡塩化ビニルで構成するのが好ましいことが分かった。
【0030】
次に、本発明者は呼気排出パイプ20の好適な材料、長さや外径を見出すために、まず、材料や外径が異なる複数の呼気排出パイプ20を準備した。具体的には、外径が6mm且つ内径が4mmであって、ABS樹脂からなる呼気排出パイプ20(以下、「仕様6」という。)、外径が6mm且つ内径が5mmであって、真鍮からなる呼気排出パイプ20(以下、「仕様7」という。)、外径が6mm且つ内径が5mmであって、銅からなる呼気排出パイプ20(以下、「仕様8」という。)、外径が6mm且つ内径が5mmであって、ステンレスからなる呼気排出パイプ20(以下、「仕様9」という。)、外径が6mm且つ内径が4mmであって、アルミからなる呼気排出パイプ20(以下、「仕様10」という。)、外径が7mm且つ内径が6mmであって、真鍮からなる呼気排出パイプ20(以下、「仕様11」という。)、外径が7mm且つ内径が6mmであって、銅からなる呼気排出パイプ20(以下、「仕様12」という。)、外径が7mm且つ内径が6mmであって、ステンレスからなる呼気排出パイプ20(以下、「仕様13」という。)、外径が7mm且つ内径が5mmであって、アルミからなる呼気排出パイプ20(以下、「仕様14」という。)、外径が8mm且つ内径が6mmであって、ABSからなる呼気排出パイプ20(以下、「仕様15」という。)、外径が8mm且つ内径が7mmであって、真鍮からなる呼気排出パイプ20(以下、「仕様16」という。)、外径が8mm且つ内径が7mmであって、銅からなる呼気排出パイプ20(以下、「仕様17」という。)、外径が8mm且つ内径が7mmであって、ステンレスからなる呼気排出パイプ20(以下、「仕様18」という。)、外径が8mm且つ内径が6mmであって、アルミからなる呼気排出パイプ20(以下、「仕様19」という。)、外径が10mm且つ内径が6mmであって、ABSからなる呼気排出パイプ20(以下、「仕様20」という。)、外径が10mm且つ内径が8mmであって、ABSからなる呼気排出パイプ20(以下、「仕様21」という。)及び外径が10mm且つ内径が7mmであって、アクリルからなる呼気排出パイプ20(以下、「仕様22」という。)を準備した。
【0031】
さらに、各仕様6〜22において、呼気排出パイプ20の長さLを変更し(具体的には、長さLを1cm、2cm、3cm、4cm、5cm、6cm、7cm、8cm、9cm及び10cmに変更し)、各長さLに対応する複数のプラクティスミュート13を準備した。そして、準備した各プラクティスミュート13を用いてトランペット10の吹奏感や音程の官能評価を行った。下記表2〜18は各プラクティスミュート13を用いた吹奏感や音程の官能評価の結果を示す。表2〜18では好適な吹奏感や音程が得られた場合を「○」で示す。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【0037】
【表7】
【0038】
【表8】
【0039】
【表9】
【0040】
【表10】
【0041】
【表11】
【0042】
【表12】
【0043】
【表13】
【0044】
【表14】
【0045】
【表15】
【0046】
【表16】
【0047】
【表17】
【0048】
【表18】
【0049】
表2〜18に示すように、各仕様において呼気排出パイプ20の長さLが5cmや6cmの場合において好適な奏感や音程が得られ易いことが分かった。また、呼気排出パイプ20が樹脂からなる場合、樹脂がABS樹脂及びアクリルのいずれであっても、呼気排出パイプ20の長さLが5cmであれば、好適な奏感や音程が得られ易いことが分かった。さらに、呼気排出パイプ20が金属からなる場合、金属が真鍮、銅及びステンレスであれば、呼気排出パイプ20の長さLが5cmや6cmのときに、好適な奏感や音程が得られ易いことが分かった。したがって、呼気排出パイプ20の長さLを5cm以上且つ6cm以下とし、呼気排出パイプ20をABS樹脂、アクリル、真鍮、銅又はステンレスで構成するのが好ましいことが分かった。
【符号の説明】
【0050】
10 トランペット
11 ベル
13 プラクティスミュート
14 本体
15 演奏者側端部
16 観客側端部
17 制振プレート
18 エッジ
19 吸音材
20 呼気排出パイプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7