(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一局面に係る衣類処理装置は、衣類を収容する収容槽と、該収容槽へ蒸気を供給する蒸気供給機構と、を備え、
該蒸気供給機構は、給水弁と、蒸気発生部と、を含み、
該蒸気発生部は、
下面を含む壁面により規定される前記蒸気を発生させるためのチャンバと、前記チャンバを加熱するヒータと、前記下面に設けられ、前記チャンバに水を出射する流入口と、
前記下面に設けられ、前記チャンバ内から蒸気を排出する排気口と、を含み、前記流入口から前記排気口までの蒸気流動経路における
前記下面に多角形状の凹凸形状を有し
、前記蒸気流動経路は、凹凸形状を連続して配列することを特徴
とする。
【0011】
上記構成によれば、チャンバ内に供給する水が硬水の場合、チャンバ内の熱収縮することによって発生する不純物(スケール)の剥離片を小型化することができる。蒸気流動経路が平坦であると、不純物は大きく形成されやすい。凹凸形状を有することにより、排気口から不純物が排出されやすくなり、不純物を詰まりにくくすることができる。
【0013】
上記構成によれば、凹凸形状が連続しているため、不純物の小型化がさらに促される。よって、排気口に不純物を詰まりにくくすることができる。
【0014】
上記構成によれば、前記蒸気流動経路において、流入口に近い側は、排気口に近い側に比べて凹凸形状の数が多くなるように構成されてもよい。
【0015】
これにより、上流側では不純物の小型化を促し、下流側では小型化され不純物の排出を促すことができる。よって、小型化したスケールが経路に引っかかることなく排気口外に排出することができる。
【0016】
以下、図面を参照しつつ、衣類処理装置として例示される洗濯機が説明される。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、衣類処理装置の原理を何ら限定するものではない。また、衣類処理装置の原理は、衣類を洗濯及び乾燥する能力を有する装置や衣類を乾燥する装置にも適用可能である。
【0017】
(実施の形態1)
<洗濯機>
図1は、第1実施形態の洗濯機100の概略的な縦断面図である。
図1を用いて、洗濯機100が説明される。
【0018】
洗濯機100は、筐体110と、筐体110内で衣類を収容する収容槽200と、を備える。収容槽200は、回転軸RXを取り囲む略円筒形状の周壁211を有する回転ドラム210と、回転ドラム210を収容する水槽220と、を含む。
【0019】
筐体110は、収容槽200へ衣類を投入するための投入口が形成された前壁111と、前壁111とは反対側の後壁112と、を備える。回転ドラム210及び水槽220は、前壁111に向けて開口する。
【0020】
洗濯機100は、前壁111に取り付けられた扉体120を更に備える。扉体120は、前壁111に形成された投入口を閉塞する閉位置と投入口を開放する開位置との間で回動する。使用者は、扉体120を開位置に回動させ、前壁111の投入口を通じて、衣類を収容槽200へ投入することができる。その後、使用者は、扉体120を閉位置に移動させ、洗濯機100に衣類を洗濯させることができる。尚、
図1に示される扉体120は、閉位置に存する。
【0021】
回転ドラム210は、前壁111と後壁112との間で延びる回転軸RX周りに回転する。収容槽200に投入された衣類は、回転ドラム210の回転に伴って回転ドラム210内を移動し、洗い、すすぎ及び/又は脱水といった様々な処理を受ける。
【0022】
回転ドラム210は、閉位置にある扉体120に対向する底壁212を含む。水槽220は、回転ドラム210の底壁212及び周壁211の一部を取り囲む底部221と、底部221と扉体120との間で、回転ドラム210の周壁211の他の部分を取り囲む前部222と、を備える。
【0023】
収容槽200は、回転ドラム210の底壁212に取り付けられた回転シャフト230を含む。回転シャフト230は、回転軸RXに沿って、後壁112に向けて延びる。回転シャフト230は、水槽220の底部221を貫通し、水槽220と後壁112との間に現れる。
【0024】
洗濯機100は、水槽220の下方に据え付けられたモータ231と、水槽220の外に露出した回転シャフト230に取り付けられたプーリ232と、モータ231の動力をプーリ232に伝達するためのベルト233と、を更に備える。モータ231が作動すると、モータ231の動力は、ベルト233、プーリ232及び回転シャフト230に伝達される。この結果、回転ドラム210は、水槽220内で回転する。
【0025】
洗濯機100は、水槽220の前部222と扉体120との間に配設されたパッキン構造130を更に備える。閉位置に回動された扉体120は、パッキン構造130を圧縮する。この結果、パッキン構造130は、扉体120と前部222との間で水密シール構造
を形成する。
【0026】
筐体110は、前壁111と後壁112との間で略水平に延びる筐体天壁113と、筐体天壁113とは反対側の筐体底壁114と、を含む。洗濯機100は、蛇口(図示せず)に接続される給水口140と、給水口140を介して導入された水を分配するための分配部141と、を更に備える。給水口140は、筐体天壁113上に現れる。分配部141は、筐体天壁113と収容槽200との間に配設される。
【0027】
洗濯機100は、洗剤が収容される洗剤収容部(図示せず)及び収容槽200へ蒸気を噴射する蒸気供給機構300(後述される)を更に備える。分配部141は、収容槽200、洗剤収容部及び蒸気供給機構300に選択的に水を供給するための複数の給水弁を備える。尚、
図1において、収容槽200及び洗剤収容部への給水経路は示されていない。収容槽200及び洗剤収容部への給水に対して、既知の洗濯機に用いられている技術が好適に適用される。
【0028】
<蒸気供給機構>
図2は、洗濯機100の概略的な透視斜視図である。
図3は、筐体110に収容された蒸気供給機構300の概略的な斜視図である。
図2及び
図3において、筐体110は点線で表されている。
図3において、収容槽200は、示されていない。
図3中の矢印は、給水経路を概略的に表す。
図1乃至
図3を用いて、蒸気供給機構300が説明される。
【0029】
蒸気供給機構300は、分配部141の一部として用いられる給水弁310と、収容槽200の下方に配置された貯水槽320と、を備える。給水弁310は、貯水槽320への給水を制御するために用いられる。給水弁310が開くと、給水口140から貯水槽320へ水が供給される。給水弁310が閉じると、貯水槽320への給水は停止される。
【0030】
蒸気供給機構300は、貯水槽320に取り付けられたポンプ330と、ポンプ330から吐出された水を受ける蒸気発生部400と、を更に備える。ポンプ330は、蒸気発生部400に間欠式に或いは連続的に給水動作を行う。間欠式の給水動作の間、ポンプ330は、瞬間的な蒸気発生が生ずるように調整された適量の水を蒸気発生部400に供給する。ポンプ330が蒸気発生部400に連続的に給水を行うならば、蒸気発生のために用いられた水に含まれる不純物(スケール)が蒸気発生部400から洗い流される。蒸気発生部400は、後述される。
【0031】
図2に示される如く、蒸気供給機構300は、蒸気発生部400から下方に延びる蒸気導通管340を更に備える。
図1に示される如く、水槽220の前部222は、回転ドラム210の周壁211を取り囲む周壁部223と、パッキン構造130と協働して水密シール構造を形成する環状部224と、を含む。蒸気導通管340は、周壁部223へ接続される。蒸気発生部400が発生させた蒸気は、蒸気導通管340を通じて、収容槽200へ供給される。尚、蒸気導通管340は収容槽200を回転させた場合の振動を蒸気発生部400に伝達しないようにするために、蛇腹形状とするのが好ましい。
【0032】
ポンプ330が貯水槽320から蒸気発生部400内の蒸気発生器420に強制的に給水を行うので、蒸気発生器420は貯水槽320より上方に配置することができる。ポンプ330を設けずに、貯水槽320から蒸気発生器420に給水を行う場合には、貯水槽320の水を重力の作用で蒸気発生器420に送らねばならないので、蒸気発生器420は貯水槽320より必ず下位に配置しなければならない。これに比べ、ポンプ330を配置することによって、水は、ポンプ330の圧力で強制的に貯水槽320から蒸気発生器420へ供給されるので、蒸気発生器420と貯水槽320との配置に伴う相互の上下関係の制約が生じにくい。貯水槽と蒸気発生器との配置に自由度が増すので、筐体110内
のスペースを有効活用できる。
【0033】
図2のように、蒸気発生器420は、貯水槽320よりも上方に配置されるが、ポンプ330により貯水槽320から蒸気発生器420へ問題なく水が供給される。
【0034】
不慮の故障等の要因で蒸気発生器に水が不用意に流れ込むと、必要外に蒸気が発生することになる。しかしながら、ポンプ330の配設の結果、貯水槽320は、蒸気発生器420より下方に配置可能となる。ポンプ330が故障による不具合で停止して蒸気発生器420への水の供給が制御できなくなってしまった場合でも、貯水槽320及びポンプ330と蒸気発生器420とを連通するホース内に滞留する水が、蒸気発生器420に不用意に流れ込むことはない。前述のように、ポンプ330を設けなかった場合には、蒸気発生器420は貯水槽320より必ず下位に配置しなければならない。例えば、貯水槽320から蒸気発生器420へ水の供給を制御するために設けた開閉弁といった制御部品が故障した場合には、蒸気発生器420への水の供給が制御できなくなり、重力の作用により貯水槽320から蒸気発生器420へ不用意に水が供給されてしまう。これに比べ、ポンプ330が配置されるので、蒸気発生器420へ貯水槽320から不用意に水を供給してしまうような事態は未然に回避される。
【0035】
図2のように、蒸気発生器420は、収容槽200よりも上方に配置される。このとき蒸気発生器420に供給する水に含有される不純物が、気化時に主片423の外チャンバ壁431、内チャンバ壁432、上面429、および蓋片424の下面434といったチャンバ空間430を形成する壁面に付着或いは析出する。不純物がチャンバ空間430を形成する壁面に付着或いは析出し、堆積すると、壁面と供給された水との間で熱伝達が適切に行われなくなり、蒸発しにくくなってしまう。しかしながら、蒸気発生器420が収容槽200よりも上方に配置されるならば、この付着或いは析出した不純物は、気化時の圧力や重力の作用により、蒸気発生器420の下方へ排出或いは落下される。したがって、不純物は、チャンバ空間430内から収容槽200へ容易に排出される。この結果、蒸気発生器420のチャンバ内で付着或いは析出した不純物の堆積は防止される。また、不純物の堆積による気化能力の低下は未然に防止される。
【0036】
図2に示される如く、貯水槽320は、筐体110の左下の空間に配置される。蒸気発生器420は、筐体110の右上の空間に配置される。このように蒸気発生器420及び貯水槽320は、収容槽200の中心軸(回転軸RX)に対して、略対称の位置に配置される。
【0037】
一般的な洗濯機の場合、洗剤が収容される洗剤収容部は、筐体の上部前方の左側及び右側のうち一方に配設される。洗剤収容部が占める位置を除いた略円筒形の収容槽200外の空間は、貯水槽320と蒸気発生器420をそれぞれ配置するために有効に活用される。例えば、洗剤収容部が筐体110の上部前方の左側に配置されているならば、
図2に示される如く、貯水槽320は、筐体110の左側下方の後方に配置される。このとき、蒸気発生器420が筐体110の右側上方の前方に配置されるならば、略矩形箱状の筐体110の内面並びに略円筒形の収容槽200外面との間の内部空間は、貯水槽320と蒸気発生器420を配置するために有効に活用される。この結果、貯水槽320及び蒸気発生器420は、許容された空間内で最大限に大きく設計されてもよい。
【0038】
また、洗剤収容部が前述のような位置にある場合において、貯水槽320が収容槽200の中心軸(回転軸RX)に対して洗剤収容部と略対称の位置に配置され、且つ、蒸気発生器420が、収容槽200の回転軸RXを含む水平面HPに対して、貯水槽320と略対称な位置に配置されるならば、前述と同様に筐体110内部の空間は有効に活用される。
【0039】
また、洗剤収容部が前述のような位置にある場合において、貯水槽320を洗剤収容部の下方に配置されるならば、蒸気発生器420は、貯水槽320より上方に配置されてもよい。このとき、蒸気発生器420は、収容槽200の回転軸RXを含む鉛直面に対して、貯水槽320と略対称な位置に配置されてもよい。この結果、前述と同様に筐体110内部の空間は有効に活用される。
【0040】
また、収容槽200の回転軸RXが、筐体110の前後方向に傾斜している場合(例えば、回転ドラム210の回転軸RXが、後壁112から前壁111に向けて上方に傾斜しているような場合)、貯水槽320及び蒸気発生器420は、収容槽200の回転軸RX或いは回転軸RXを含む水平面HPに対して、略対称な位置に配置されてもよい。貯水槽320及び蒸気発生器420が筐体110の前後方向の略中心を通る鉛直面に対し略対称な位置に配置されるならば、筐体110の内面と収容槽200の外面との間の内部空間は、貯水槽320と蒸気発生器420とを配置するために有効に活用される。
【0041】
図4は、蒸気発生部400の概略的な斜視図である。
図3乃至
図4を用いて、蒸気発生部400が説明される。
【0042】
蒸気発生部400は、略矩形箱状のケース410と、ケース410内に収容された蒸気発生器420と、を備える。ケース410は、蒸気発生器420を収容するための容器部411と、容器部411を覆う蓋部412と、を備える。
【0043】
蒸気発生器420は、接続管421及びチューブ(図示せず)を用いて、ポンプ330に接続される。また、蒸気発生器420は、排気管422を用いて、蒸気導通管340に接続される。容器部411は、開口部413が形成された底壁部414を含む。接続管421及び排気管422は、開口部413を通じて下方に突出する。
【0044】
図5は、蓋部412と筐体110とを接続するための取付構造の概略的な斜視図である。
図3、
図4及び
図5を用いて、蓋部412と筐体110との間の取付構造が説明される。
【0045】
図3に示される如く、筐体110は、前壁111と後壁112との間で立設された右壁115と、右壁115とは反対側の左壁116と、を備える。筐体110は、右壁115の上縁に沿って配設された第1補強フレーム117と、前壁111の上縁に沿って配設された第2補強フレーム118と、を更に備える。
【0046】
蓋部412は、略矩形状の上壁415と、上壁415の縁部から下方に突出する蓋部周壁416と、蓋部周壁416から前方に突出する突出片417と、を含む。洗濯機100は、第1補強フレーム117と上壁415とに接続される第1取付片151と、第2補強フレーム118と突出片417とに接続される第2取付片152と、を更に備える。第1取付片151及び第2取付片152は、蓋部412から上方に突出し、筐体天壁113と蒸気発生部400とを離間させる。この結果、蒸気発生部400から筐体110への熱伝達は緩和される。本実施形態において、第1取付片151及び第2取付片152は、保持部として例示される。
【0047】
図6は、蒸気発生器420の概略的な斜視図である。
図6を用いて、蒸気発生器420が説明される。
【0048】
蒸気発生器420は、略矩形状の主片423と、主片423上に配設される蓋片424と、主片423に配設される線状のヒータ425と、を備える。本実施形態において、主
片423及び蓋片424は、アルミニウムから形成される。したがって、主片423及び蓋片424は、ヒータ425によって適切に加熱される。
【0049】
蒸気発生器420は、サーミスタ426を更に備える。上述の接続管421、排気管422及びヒータ425に加えて、サーミスタ426も主片423に取り付けられる。ヒータ425は、サーミスタ426を用いて、サーミスタ426によって得られる温度情報により制御される。したがって、主片423及び蓋片424の温度は、略一定に保たれる。尚、サーミスタ426の代わりに、所定の温度でヒータ425の入切を制御するサーモスタットを用いても同様の効果が得られる。
【0050】
図7は、主片423の概略的な斜視図である。
図6及び
図7を用いて、主片423が説明される。
【0051】
主片423は、接続管421、排気管422及びサーミスタ426が取り付けられる主片下面427と、ヒータ425が配設される周面428と、主片下面427とは反対側の上面429と、を含む。主片423は、上面429から蓋片424に向けて立設し、略三角形状のチャンバ空間430を規定する外チャンバ壁431と、チャンバ空間430内で蒸気に流動経路を規定する略J字形状の内チャンバ壁432と、を更に備える。
【0052】
チャンバ空間430を囲む壁面には凹凸形状が設けられている。例えば、連続的に、チャンバ空間430の底面442には四角錐440が設けられる。チャンバ空間430の外周側壁443には三角柱441が設けられる。このように構成されることにより、金型構成上、製造が容易でなる。なお、凹凸形状は三角柱や四角錐に限られず、三角錐であったり突起形状であってもよい。
【0053】
三角柱441および四角錐440の凹凸形状は、蒸気流動経路において、流入口437に近い側の方が、排気口438に近い側に比べて多く設けられている。すなわち、チャンバ空間430において、流入口437に近い上流側は、底面442及び外周側壁443の全面に凹凸形状が形成される。チャンバ空間430は、経路の途中から排気口438に近づくにつれて、減少もしくは局部的に凹凸形状が設けられていないように構成されている。
【0054】
図8は、蒸気発生器420の概略的な展開斜視図である。
図9は、蓋片424の概略的な斜視図である。
図3、
図6乃至
図9を用いて、蒸気発生器420が説明される。
【0055】
蓋片424には、主片423のチャンバ空間430を囲む底面442と同様に、下面434に四角錐440が設けられている。下面434に設けられた四角錐440は、例えば連続的に配列される。
【0056】
蒸気発生器420は、外チャンバ壁431を取り巻くように主片423に取り付けられるパッキンリング433を備える。パッキンリング433は、耐熱性ゴムから形成される。
【0057】
蓋片424は、主片423に対向する下面434と、外チャンバ壁431と略同形状の外シールド壁435と、を備える。蓋片424は、主片423に押しつけられる。この結果、外シールド壁435は、パッキンリング433を圧縮し、チャンバ空間430を気密に保つ。
【0058】
主片423には、接続管421を通じて供給された水がチャンバ空間430内に流入するための流入口437が形成される。チャンバ空間430の略中央に形成された流入口4
37は、内チャンバ壁432に取り囲まれる。ポンプ330が所定量の水を蒸気発生器420に供給するならば、接続管421及び流入口437を通じて、水が上向きに射出される。この結果、水は、内チャンバ壁432、内チャンバ壁432によって囲まれた主片423の上面429及び/又は流入口437の上方に位置する蓋片424の下面434に衝突する。蒸気発生器420は、ヒータ425によって加熱され(例えば、約200℃)、高い熱エネルギを有する。間欠式の給水動作を行うポンプ330は、蒸気発生器420が有する熱エネルギに対して、適量の水を供給する(例えば、約2cc/回)。この結果、流入口437から上向きに出射された水は、瞬時に蒸発する。本実施形態において、蒸気を発生させるために用いられるチャンバ空間430は、チャンバとして例示される。流入口437を通じて供給された水が衝突する内チャンバ壁432、内チャンバ壁432によって囲まれた主片423の上面429及び/又は流入口437の上方に位置する蓋片424の下面434は、壁面として例示される。接続管421が取り付けられる流入口437は、取付部として例示される。
【0059】
水の瞬時の蒸発の結果、チャンバ空間430の内圧は急激に上昇する。これにより、蒸気発生器420に供給する水に含有される不純物が、気化時にチャンバ空間430を形成する壁面に付着あるいは堆積する。流入口437から排気口438までの蒸気流動経路が平坦であると、不純物は大きく形成されやすい。不純物が大きいと、排気口438から排出されにくくなり、排気口438が詰まる虞がある。
【0060】
そこで、本実施の形態において、蒸気流動経路は凹凸形状に形成されている。付着あるいは堆積した不純物は、凹凸形状の凹部分に特に集中して堆積する。四角錐440や三角柱441で形成される凹部分は多数存在し、かつ1つ1つの大きさが小さい。このため、一ヶ所に集中せずに分散して不純物は付着あるいは堆積する。このため、大きさの比較的小さい不純物が付着あるいは堆積する。さらに、四角錐あるいは三角柱は鋭角部を持つために、凹部が鋭角状に形成される。このため、付着あるいは堆積した不純物は、脆く壊れやすい。このため、大きさの比較的小さい不純物が付着あるいは堆積する。このように、不純物は、四角錐440及び三角柱441により排気口438の直径以下に小型化された剥離片となり、小型化される。このため気化時の圧力の作用を受け、容易に流動経路を流れることができ、チャンバ空間430より排出口を通って外部へ容易に排出される。
【0061】
また、凹凸形状の数は、蒸気流動経路において、流入口437に近い上流側の方が、排気口438に近い下流側に比べて多い。流入口437に近い側は、底面442及び外周側壁443のほぼ全面に凹凸形状が形成される。チャンバ空間430の経路途中から排気口438に近づくにつれ、凹凸形状の数は減少もしくは局部的にないように構成される。このため、流入口437から排気口438までの蒸気流動経路において、上流側では不純物の小型化を促し、下流側では小型化した不純物の排出を促すことができる。このため、不純物がひっかかりにくくなり、スムーズに排出できる。
【0062】
図10は、主片423の概略的な平面図である。
図6及び
図10を用いて、主片423が説明される。
【0063】
ヒータ425は、主片423内で略U字状の経路に沿って延びる。この結果、ヒータ425は、接続管421が取り付けられた流入口437を取り囲む。この結果、内チャンバ壁432及び内チャンバ壁432に取り囲まれた領域は、チャンバ空間430内で最も高温となる。したがって、流入口437を介して出射された水は瞬時に蒸発する。
【0064】
外チャンバ壁431によって規定されるチャンバ空間430内で略J字形状の内チャンバ壁432が延出するので、チャンバ空間430は渦巻き状の流動経路を描く。主片423には、流動経路の終端に形成された排気口438が形成される。内チャンバ壁432に
取り囲まれる空間内で生じた蒸気は、チャンバ空間430の内圧の増加に伴って、排気口438へ向かう。排気口438には、排気管422が取り付けられる。排気口438に到達した蒸気は、排気管422を通じて、下向きに排気される。
【0065】
ヒータ425は、渦巻き状の流動経路のうち外側の経路に沿って、U字状に延びる。したがって、内チャンバ壁432に取り囲まれる空間内で生じた蒸気は、加熱されながら、排気管422に向かう。したがって、高温の蒸気が排気されることとなる。
【0066】
蒸気発生器420は、加熱された壁面に水を出射し瞬時に蒸発させるので、水中に浸されたヒータで蒸気を発生させる従来技術に比べ、同じ蒸気量を発生させるに要する消費電力は少なくて済む。
【0067】
図11は、給水機構500の概略図である。
図11を用いて、給水機構500が説明される。
【0068】
<給水機構>
蒸気発生器420のチャンバ空間430へ水を出射する給水機構500は、上述の給水弁310、貯水槽320、ポンプ330及び接続管421を含む。給水機構500は、貯水槽320内の水位を測定するための水位センサ321を更に備える。給水弁310は、水位センサ321によって検出された水位に応じて、貯水槽320へ給水或いは貯水槽320への給水停止を行ってもよい。本実施形態において、水位センサ321は、第1検出素子として例示される。
【0069】
ポンプ330の作動時間及び/又は動作パターン(間欠式の給水動作及び/又は連続的な給水動作)に応じて、給水弁310が制御されてもよい。例えば、ポンプ330の動作が終了したときに、貯水槽320が空になるように給水弁310からの給水量が調整されてもよい。この結果、貯水槽320内の水の凍結は生じにくくなる。
【0070】
ポンプ330は、貯水槽320内に貯められた水を、接続管421を通じて、チャンバ空間430に供給する。ポンプ330の間欠式の給水動作は、チャンバ空間430内に出射された水が瞬時に蒸発するように調整される。
【0071】
チャンバ空間430内での水の蒸発の結果、水に含有する不純物がチャンバ空間430内で堆積することもある。ポンプ330の連続的な給水動作は、堆積した不純物が押し流されるのに十分な流速で水がチャンバ空間430に流入するように調整される。
【0072】
排気管422は、蒸気導通管340に接続される。ポンプ330の間欠式の給水動作によってチャンバ空間430内で発生した蒸気及びポンプ330の連続的な給水動作によってチャンバ空間430内に流入した水は、排気管422及び蒸気導通管340を通じて収容槽200に流入する。
【0073】
<収容槽への蒸気及び水の供給>
図12は、収容槽200の前部222の概略的な背面図である。
図1、
図11及び
図12を用いて、収容槽200への蒸気及び水の供給が説明される。
【0074】
図1に示される如く、前部222の環状部224は、回転ドラム210に対向する内面225と筐体110の前壁111に対向する外面226と、を含む。
図12は、内面225を主に示す。
【0075】
蒸気供給機構300は、内面225に取り付けられた分岐管351及びノズル352を
備える。蒸気供給機構300は、分岐管351とノズル352とを接続する蒸気チューブ353を更に備える。蒸気導通管340は、周壁部223を介して、分岐管351に接続される。
【0076】
チャンバ空間430内で発生した蒸気は、チャンバ空間430内での圧力増加に伴い、排気管422を通じて、蒸気導通管340に流入する。その後、蒸気は、蒸気導通管340から分岐管351に至る。ノズル352は、分岐管351より上方に配設される。分岐管351に到達した蒸気は、高温であるので、蒸気チューブ353に案内され、ノズル352に至る。最終的に、蒸気は、ノズル352から下方に噴射される。本実施形態において、排気管422、蒸気導通管340、分岐管351及び蒸気チューブ353は、チャンバ空間430内で発生した蒸気をノズル352へ案内する。したがって、排気管422、蒸気導通管340、分岐管351及び蒸気チューブ353は、案内管として例示される。
【0077】
上述の如く、間欠式の給水動作を行うポンプ330は、高温のチャンバ空間430に適量の水を出射するので、水は瞬時に蒸発する。この結果、チャンバ空間430の内圧は急激に増大する。したがって、蒸気は、ノズル352から高圧で噴射され、収容槽200の内部空間を上下に横切ることとなる。回転ドラム210の下端付近には、重力によって衣類が集まりやすい。収容槽200の上部に取り付けられたノズル352から噴射された蒸気は、回転ドラム210の下端付近に到達するので、蒸気は衣類に効率的に供給されることとなる。
【0078】
分岐管351は、蒸気導通管340に接続される親管354と、親管354から上方に屈曲する上子管355と、親管354から下方に屈曲する下子管356と、を備える。親管354には、蒸気導通管340を通じて、蒸気又は水が流入する。上子管355は、蒸気チューブ353に接続され、蒸気がノズル352に向かう上向きの経路を規定する。本実施形態において、上子管355及び蒸気チューブ353によって規定される上向きの経路は、第1経路として例示される。親管354は、流入管として例示される。上子管355は、第1管として例示される。
【0079】
下子管356は、上子管355とは異なり、下向きの経路を規定する。ポンプ330が連続的な給水動作を行っている間、蒸気導通管340を通じて分岐管351に流入した水は、重力作用によって、下子管356を通じて、流下する。本実施形態において、下子管356によって規定される下向きの経路は、第2経路として例示される。下子管356は、第2管として例示される。
【0080】
図12には、親管354と上子管355との間の挟角θ1が示されている。また、
図12は、親管354と下子管356との間の挟角θ2も示す。挟角θ1は、鈍角である一方で、挟角θ2は鋭角である。挟角θ2は鋭角であるので、親管354から下子管356への流動損失は比較的大きい。したがって、親管354に流入した蒸気は、下子管356へほとんど流れず、上子管355へ主に流れる。一方、上子管355は上向きの流動経路を規定するので、親管354へ流入した水は、重力の作用により、上子管355へほとんど流れず、下子管356へ主に流れる。したがって、蒸気の流動経路と水の流動経路とが適切に分離される。
【0081】
<間欠的なポンプの動作>
図13は、ポンプ330の間欠動作とチャンバ空間430内の温度との関係を概略的に表すグラフである。
図8、
図11及び
図13を用いて、ポンプ330の間欠動作が説明される。
【0082】
図13に示される如く、ポンプ330が作動している期間(ON期間)は、ポンプ33
0が停止している期間(OFF期間)と比べて短く設定される。この結果、適量の水がチャンバ空間430内に出射される。
【0083】
ON期間において、チャンバ空間430に所定量の水が供給される。この結果、水は蒸発し、蒸気となる。水から蒸気への相変化に起因する気化熱によって、チャンバ空間430の温度は一時的に低下する。上述の如く、OFF期間は比較的長く設定されているので、ヒータ425は、OFF期間の間にチャンバ空間430を十分に昇温することができる。したがって、ポンプ330が間欠動作を行っている間、高圧の蒸気が収容槽200に供給され続ける。特に、OFF期間の間にチャンバ空間430が十分に昇温され、ON期間において、チャンバ空間430を含む蒸気発生器420が有する熱エネルギに対して、瞬時に蒸発する適量の水が供給される(例えば、約2cc/回)ことで、良好に高圧の蒸気が収容槽200に供給され続けることなる。
【0084】
<洗い工程における蒸気の利用>
図14は、洗い工程において水槽220に供給された水の温度の変化を概略的に表すグラフである。
図1、
図8、
図11及び
図14を用いて、洗い工程において用いられる蒸気の効果が説明される。
【0085】
図1に示される如く、水槽220の下部には、温水ヒータ160が配設される。温水ヒータ160は、水槽220内に供給された水を加熱するために用いられる。本実施形態において、温水ヒータ160は、第2ヒータとして例示される。
【0086】
図14に示される如く、洗い工程が開始されると、水槽220に水が供給される。この間、水槽220内の衣類に含まれる水の温度は、略一定である。その後、温水ヒータ160を用いて、水槽220内の水が加熱される。温水ヒータ160は、大きな熱量を発するので、水槽220内の衣類に含まれる水の温度は急速に上昇する。その後、所定の温度に到達すると、水槽220内の水の加熱は停止される。
【0087】
図14において、加熱停止後の点線は、温水ヒータ160による加熱が停止され、且つ、蒸気の供給がないときの衣類に含まれる水の温度の変化を表す。加熱停止後の実線は、温水ヒータ160による加熱が停止され、且つ、蒸気が収容槽200に供給されているときの衣類に含まれる水の温度の変化を表す。
【0088】
収容槽200へ供給される蒸気は、上述の如く、高温であり、また、衣類に向けて直接的に供給されるので、水槽220内の衣類に含まれる水の温度低下は緩和される。蒸気発生器420に用いられるヒータ425は、水槽220に取り付けられた温水ヒータ160よりも少ない電力を消費する。したがって、温水ヒータ160を用いた水槽220内の水の保温と比べて、蒸気供給による保温は、少ない消費電力量を達成することができる。したがって、ポンプ330は、温水ヒータ160の停止後、間欠式の給水動作をすることが好ましい。
【0089】
<脱水工程における蒸気の利用>
図1、
図11及び
図12を用いて、脱水工程において用いられる蒸気の効果が説明される。
【0090】
脱水工程において、回転ドラム210は、高速で回転される。
図1に示される如く、回転ドラム210の周壁211には、多数の小孔219が形成されている。回転ドラム210内に収容された衣類は、回転ドラム210の回転によって生じた遠心力により周壁211に押しつけられる。この結果、衣類に含まれる水分は、小孔219を通じて、回転ドラム210外へ放出される。かくして、衣類は、適切に脱水される。
【0091】
脱水された衣類の繊維は、互いに水素結合しやすい。繊維同士の水素結合は、衣類の皺に帰結する。回転ドラム210内に蒸気が供給されるならば、蒸気は繊維間の水素結合を解除する。この結果、衣類の皺が低減される。したがって、衣類が脱水処理を受けている間、ポンプ330が間欠式の給水動作を実行することが好ましい。間欠式の給水動作の結果、ノズル352から高圧で蒸気が回転ドラム210内に噴射される。上述の如く、ノズル352から噴射された蒸気は、収容槽200を横切るので、蒸気は、周壁211に張り付いて回転する衣類に満遍なく吹き付けられる。この結果、回転ドラム210内の衣類全体に亘って、皺が生じにくくなる。
【0092】
図15は、脱水工程中における蒸気供給のタイミングを表す概略的なタイミングチャートである。
図1、
図15を用いて、蒸気供給のタイミングが説明される。
【0093】
図15に示される如く、蒸気供給機構300は、脱水工程の開始から所定期間(T1)を経過した後、蒸気の供給を開始してもよい。この場合、衣類が含む水分が少ないので、衣類は、蒸気の熱量及び水分によって効率的に湿潤される。
図15に示される如く、蒸気供給機構300は、脱水工程の開始に同期して、蒸気の供給を開始してもよい。この場合、衣類は、脱水工程の初期に昇温されるので、衣類は効果的に高温で湿潤されることとなる。
図15に示される如く、蒸気供給機構300は、脱水工程の一部の期間に蒸気を供給してもよい。蒸気供給機構300が蒸気を供給する期間は、脱水工程の開始から終了までの期間に一致してもよい。
【0094】
<蒸気発生器の冷却>
図8及び
図11を用いて、蒸気発生器420の冷却工程が説明される。
【0095】
蒸気を用いた衣類の処理の終了に伴い、蒸気発生器420は冷却されることが好ましい。蒸気発生器420が冷却されるならば、高温蒸気の不必要な収容槽200内への噴射が防止される。
【0096】
蒸気発生器420の冷却のためにヒータ425への電力供給が停止される。その後、ポンプ330は、連続的な給水動作を開始する。この結果、貯水槽320から水が連続的にチャンバ空間430内へ流入する。チャンバ空間430内へ流入した水は、蒸気発生器420から熱を奪い、収容槽200へ流入する。したがって、蒸気発生器420は、短期間で冷却される。
【0097】
図16は、蒸気発生器420の温度に基づく、扉体120に対する制御を概略的に表すブロック図である。
図1、
図6及び
図16を用いて、扉体120に対する制御が説明される。
【0098】
洗濯機100は、扉体120を閉位置でロックするロック機構121と、ロック機構121のロック及びロック解除を制御するための制御部122と、を備える。ロック機構121の機械的及び電気的な機構は、既知の洗濯機に利用される構造であってもよい。
【0099】
図6に示される如く、蒸気発生器420は、サーミスタ426を備える。サーミスタ426は、主片423の温度を検出し、検出された温度に応じた信号を制御部122へ出力する。本実施形態において、サーミスタ426は、第2検出素子として例示される。
【0100】
制御部122は、サーミスタ426から出力された信号が所定の値以下の温度を指し示すまで、ロック機構121による扉体120のロックを維持する。この結果、蒸気発生器420が所定の温度以下となるまで、収容槽200の内部空間は外部から隔離される。し
たがって、洗濯機100は、非常に安全になる。
【0101】
(実施の形態2)
図17は、第2実施形態の衣類処理装置として例示される洗濯機に用いられる蒸気発生器420Aの概略的な展開斜視図である。第2実施形態の洗濯機は、蒸気発生器420の構造を除いて、第1実施形態の洗濯機100と同様の構造を有する。したがって、第1実施形態との相違点が、以下に説明される。以下の相違点を除いて、第1実施形態の説明は、第2実施形態の洗濯機に適用される。また、第1実施形態と同一の要素に対して、同一の符号が付されている。したがって、第1実施形態の説明は、同一の符号が付された要素に対しても適用される。
【0102】
蒸気発生器420Aは、主片423Aと、蓋片424Aと、主片423Aと蓋片424Aとに挟まれるパッキンリング433と、を備える。第1実施形態に関連して説明された主片423とは異なり、主片423Aには、ヒータは取り付けられていない。一方、蓋片424Aには、ヒータ425Aが取り付けられる。
【0103】
図18は、蓋片424Aの概略的な斜視図である。
図17及び
図18を用いて、ヒータ425Aの取付構造が説明される。
【0104】
蓋片424Aは、外シールド壁435に取り囲まれた内シールド壁436を備える。内シールド壁436は、主片423Aの内チャンバ壁432と略同形状である。内シールド壁436は、内チャンバ壁432に重なりあう。この結果、チャンバ空間430内に渦巻き状の流動経路が形成される。内シールド壁436に取り囲まれた下面434の領域は、主片423Aに形成された流入口437に対向するので、以下の説明において、「対向領域439」と称される。ヒータ425Aは、対向領域439を取り囲むように、蓋片424A内に取り付けられる。流入口437から流入した水が蓋片424Aに到達するように、水の流速が調整されるならば、対向領域439は特に高温となっているので、瞬時の蒸発が達成される。