特許第6244537号(P6244537)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6244537LED表示器とこのLED表示器を備える加熱調理器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244537
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】LED表示器とこのLED表示器を備える加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/32 20160101AFI20171204BHJP
   F24C 7/02 20060101ALI20171204BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20171204BHJP
   G09G 3/14 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   G09G3/32 A
   F24C7/02 301E
   G09G3/20 611E
   G09G3/14 K
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-221974(P2012-221974)
(22)【出願日】2012年10月4日
(65)【公開番号】特開2014-74791(P2014-74791A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100170494
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩夫
(72)【発明者】
【氏名】中下 潔
【審査官】 西村 直史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−013904(JP,A)
【文献】 特開2009−250564(JP,A)
【文献】 特開2000−206937(JP,A)
【文献】 特開2000−047637(JP,A)
【文献】 特開昭47−41325(JP,A)
【文献】 特開平9−90906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G3/12−3/14
3/30−3/3291
F24C7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示部と、前記複数の表示部にそれぞれ設けられたLED素子と、前記LED素子の点灯周期を制御するマイクロコンピュータと、を備え、
前記複数の表示部は、第1の表示部および第1の表示部よりも表示面積の大きい第2の表示部を有し、
前記マイクロコンピュータは、前記第1の表示部に設けられた前記LED素子の点灯周期を、前記第2の表示部に設けられた前記LED素子の点灯周期よりも長くするとともに、輝度が高い前記表示部のLED素子は、輝度が低い前記表示部のLED素子より、点灯周期を短くするLED表示器。
【請求項2】
被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室に設けられた開閉ドアと、前記加熱室内の被加熱物を加熱する加熱手段と、前記加熱手段を制御する主制御回路と、ユーザが調理設定等を行うための入力手段と、請求項1に記載のLED表示器と、を備える加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロコンピュータを用いたLED表示器とそれを搭載した加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子レンジで使用されるLED表示器の1つとして、1つのLED素子の光が周囲に漏れないように遮光ケースに格納して、表示したいピクト、文字などの形に光が遮断されないようにし、LED素子がONしたときに、そのピクト等が光っていることを認識できる構成となっているものがある。また、その制御方法としては、LED素子をマトリクス状に配列して、マトリクスの縦列は常時時分割でドライブし、マトリクスの横列はその配列状態に応じて設けられたスイッチとしてのトランジスタ素子を適宜オン・オフすることにより、前記のLED素子を選択的に点灯するいわゆるダイナミック駆動方式が知られている。
【0003】
一方、LED表示器の輝度調節として、例えば、特許文献1や特許文献2に示されているように、マトリクスの縦列に接続しているONしたいLED素子がドライブされているときに、マトリクスの横列の制御パルスのデューティを設定することにより、所望のLED素子のONする長さを制御できるので、輝度調整を行える。
【0004】
また、例えば、特許文献3に示されているように、パソコン等の1フレームの画面を複数回表示させるN倍速(N=2、3、…の自然数)表示を行うことにより、LED素子の消灯している間隔が短くなり、人間の目はLEDの消灯を感知しなくなる。これにより、フリッカーが解消される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−287680号公報
【特許文献2】特開平4−306050号公報
【特許文献3】特開平11−161230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電子レンジで使用されるLED素子の発光色の違いやLED表示器のピクトやkg,h,minといった各表示部は表示面積が違うので各LED素子の輝度が同じ場合、その表示部の輝度が違ってしまい、さらにそれによりフリッカー現象が起きやすいという課題を有していた。つまり同一の輝度でのLED素子でも発光色が違うと、人間の目はLED素子の消灯を感知する感覚が変化し、フリッカー現象を感じやすくなる場合がある。例えば緑色のLED素子と白色のLED素子とでは白色のLED素子の方が明るい色であるので、消灯したときに相対的な感覚によりフリッカーを感知しやすくなる。また輝度が高くなればなるほど、消灯したときとの相対的な感覚によりフリッカーを感知しやすくなる。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、LED素子の1回にONする時間を制限するとともに、n回周期(n=1、2、3、…の自然数)の時間内にONしたいLED素子を最大n回ONし、かつLED素子毎にnの数値を変更することにより、輝度調整を行える構成としたLED表示器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明のLED表示器は、複数の表示部と、前記複数の表示部にそれぞれ設けられたLED素子と、前記LED素子の点灯周期を制御するマイクロコンピュータと、を備え、前記複数の表示部は、第1の表示部および第1の表示部よりも表示面積の大きい第2の表示部を有し、前記マイクロコンピュータは、前記第1の表示部に設けられた前記LED素子の点灯周期を、前記第2の表示部に設けられた前記LED素子の点灯周期よりも長くするとともに、輝度が高い前記表示部のLED素子は、輝度が低い前記表示部のLED素子より、点灯周期を短くすることを特徴としたものである。
【0009】
これによって、各表示部のLED素子のOFF期間の間隔を調整でき、フリッカーを解消できる。
【0010】
また、本発明の加熱調理器は、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室に設けられた開閉ドアと、前記加熱室内の被加熱物を加熱する加熱手段と、前記加熱手段を制御する主制御回路と、ユーザが調理設定等を行うための入力手段と、上記LED表示器と、を備えたものである。
【0011】
これによって、加熱調理器に搭載するLED表示器の各表示部のLED素子のOFF期間の間隔を調整でき、フリッカーを解消できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のLED表示器は、LED素子が1回にONする幅を制限し、n回周期に1回〜n回LED素子をONすることにより、LED表示器のフリッカーの解消ができる。また各表示部の輝度調整を行えるので、例えば、minと0の表示のように、表示面積の違いにより表示部の明るさが違ってしまう場合にでも、明るさを同等に調整できる。
【0013】
また、本発明の加熱調理器は、LED表示器を搭載することにより、LCD表示器に比べ長寿命となり、交換することが非常に手間となる、ビルトインレンジのタイプや天井から吊るして使用するレンジのタイプに搭載した場合に、寿命が長い分交換する機会が減るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態1におけるLED表示器とマイクロコンピュータとのブロック図
図2】本発明の実施の形態1におけるLED表示器の詳細構成図
図3】本発明の実施の形態1における加熱調理器の構成図
図4】本発明の実施の形態1におけるLED表示器のタイミングチャート
図5】本発明の実施の形態2におけるLED表示器のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の発明のLED表示器は、複数の表示部と、前記複数の表示部にそれぞれ設けられたLED素子と、前記LED素子の点灯周期を制御するマイクロコンピュータと、を備え、前記複数の表示部は、第1の表示部および第1の表示部よりも表示面積の大きい第2の表示部を有し、前記マイクロコンピュータは、前記第1の表示部に設けられた前記LED素子の点灯周期を、前記第2の表示部に設けられた前記LED素子の点灯周期よりも長くするとともに、輝度が高い前記表示部のLED素子は、輝度が低い前記表示部のLED素子より、点灯周期を短くすることを特徴としたものである。
これによって、加熱調理器に搭載するLED表示器の各表示部のLED素子のOFF期間の間隔を調整でき、フリッカーを解消できる。
【0016】
第2の発明は、輝度が高い前記表示部のLED素子は、輝度が低い前記表示部のLED素子より、点灯周期を短くするものである。
これによって、各LED表示部の輝度に応じてLED素子のOFF期間の間隔を調整でき、フリッカーを解消できる。
【0017】
の発明の加熱調理器は、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室に設けられた開閉ドアと、前記加熱室内の被加熱物を加熱する加熱手段と、前記加熱手段を制御する主制御回路と、ユーザが調理設定等を行うための入力手段と、第1または第2の発明のLED表示器と、を備えるものである。
【0018】
これによって、加熱調理器に搭載するLED表示器の各表示部の輝度とLED素子のOFF期間の間隔を調整でき、フリッカーを解消できる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるLED表示器1のブロック図を示すものである。
【0021】
図1において、マイクロコンピュータ2(以下、マイコンと称す)とLED表示器1との接続は、マイコンの6本のピンからトランジスタで構成された走査ライン出力回路部3を通じてLED表示器1のCOM側(マトリクスの縦列)に接続されている。また、マイコン2の7本のピンからトランジスタで構成された表示データ出力回路部4を通じてLED表示器1のSEG側(マトリクスの横列)に接続されている。
【0022】
図2は、図1のLED表示器1の詳細例を示す図、図3は、本発明の第1の実施の形態における図1のLED表示器を搭載した加熱調理器の接続図を示すものである。
【0023】
図3において、マイコン2は主制御回路12を用いて加熱手段11を制御し、入力手段13よりインプットされた情報を元に、マイコン2で管理している状態(OFF、調理中、設定中など)が変化し、その状態に応じてLED表示器に表示する構成になっている。
【0024】
以上のように構成された加熱調理器について、以下にその動作、作用を説明する。
【0025】
まず、入力手段13よりメニューを選択し、時間設定行われる場合、LED表示器1には、0表示とmin表示の表示が行われる。0表示を表示するための7セグメントの表示部上5、表示部右上6、表示部右下7、表示部下8、表示部左下9、及び表示部左上10は、COM4のSEG1〜SEG6に対応されている。例えば、7セグメントで「表示部上5」の部分を光らせるためには、COM4のスキャン中にSEG1をONすればよい。同様に「表示部右上6」の部分はCOM4のスキャン中にSEG2をONする、といった具合である。
【0026】
また、COM5のスキャン中にSEG6をONすれば、min表示の表示が行われる。
【0027】
ところで、図4に示すように、COMのスキャンは500μsec毎に切換が行われ、最初にCOM1に接続されているマイコンのピンからHi信号を出力すると、走査ライン出力回路部のトランジスタがONするため、COM1のラインがHi状態になる。これを500μsec間保持し、次の500μsecで、COM1に接続されているマイコンのピンからLow信号を出力すると、走査ライン出力回路部のトランジスタがOFFするため、COM1のラインがLow状態になり、続いてCOM2のラインをHi状態にする。次の500μsec後には、COM2のラインをLow状態にし、COM3のラインをHi状態にする。同様に、500μsec毎にCOM4、COM5、COM6とHi状態にしていき、COM6がHi状態のとき500μsec間保持後にCOM6がLow状態になった後、COM1へ戻りそれを繰り返す。
【0028】
このとき、図2LED表示器1のmin表示の輝度をレベル5(一番高い)、7セグメントの表示部5〜10の輝度を全てレベル3に設定したい場合、COMのスキャンを5周期分行うことで1つの表示処理を行うという構成をとる。そして、図4に示すように
COMのスキャンの5周期のうち、1周期目、3周期目、5周期目のCOM4がHi状態のときに、SEG1〜SEG5をONさせる。すると0表示が光って表示される。また、COMのスキャンの1周期〜5周期目でCOM5がHi状態のときに、SEG6をONさせる。するとmin表示が光って表示される。このときmin表示は、図2に示される7セグメントの一部である「表示部上5」等よりも面積が広いので、輝度をレベル5にする必要があり、7セグメントは、レベル3にすると、7セグメントとmin表示とが同じくらいの明るさに見えるようになる。さらに、7セグメントとmin表示が消灯している時間は5.5msecと2.5msecであるので、人間の目には感知できず、フリッカー現象は起こらない。
【0029】
次に、輝度レベル1(一番低い)を設定する場合を考えてみる。レベル1の場合は、LED素子を消灯する時間が15msecと長くなりフリッカーを感知しやすい条件となるが、輝度が低いのでOFFしたときとの相対的な感覚により、人間の目は感知できずフリッカー現象は起こらない。もし消灯する時間が同じ15msecであり、COMのONする時間が500μsecではなく、2.5msecであったなら人間の目で感知できてしまい、フリッカー現象は起きてしまう。
【0030】
以上のように、本実施の形態において、LED素子が1回ONする時間を500μsecとし、COMのスキャンを5周期分行うことで1つの表示処理という構成を取ることにより、各表示部の輝度の調整およびフリッカー現象を解消できる。
【0031】
(実施の形態2)
図5は、本発明の第2の実施の形態のLED表示器のフローチャートである。なお、実施例1と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【0032】
まず、マイコン2はステップS1にて、COM No.を1にし、周期No.を1に設定する。COM No.はCOM1〜COM6のどの状態でHiを出すのかを管理するカウンタである。周期No.は5周期分の周期の1番目〜5番目のどの状態なのかを管理するカウンタである。
【0033】
次に、ステップS2では、マイコンはCOM1〜COM6を一旦Low状態にするために全てのCOMにLow信号を送信し、ステップS3でCOM No.に従ったCOMにHi信号を送信する。この場合ではCOM1にHi信号を送信する。
【0034】
ステップS4ではマイコンで管理している表示するべきデータからCOM No.と周期 No.に対応したONすべきSEGをステップS5にてONさせる。例えば、0min表示を表示させる場合、1周期目のCOM4のときにはSEG1〜SEG5をONさせる。1周期目のCOM5のときにはSEG6だけをONさせる。
【0035】
ステップS6では500μsec間何もせずに待つ。ステップS7ではCOM No.をカウントアップさせる。この場合ではCOM2にする。
【0036】
ステップS8ではCOM7以上になったかどうか判定し、COM7以上でないならステップS2に戻る。COM7以上であるなら次のステップに進む。
【0037】
ステップS9ではCOM No.を1に戻し、ステップS10で周期No.をカウントアップする。この場合では2周期目となる。
【0038】
次に、ステップS11では、周期No.が6以上かどうか判定し、6周期目以上でないならステップS2に戻る。6周期目以上なら1周期目に戻し、ステップS2に戻り初めか
らやり直す。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明のLED表示器は、ソフトウェアの構成の変更のみで実現可能なため、容易に加熱調理器のみならず他の電気製品への展開も図れる。
【符号の説明】
【0040】
1 LED表示器
2 マイコン(マイクロコンピュータ)
3 走査ライン出力回路部
4 表示データ出力回路部
5 表示部上
6 表示部右上
7 表示部右下
8 表示部下
9 表示部左下
10 表示部左上
11 加熱手段
12 主制御回路
13 入力手段
図1
図2
図3
図4
図5