(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年の遠心送風機では接続されるダクト配管の複雑化、建物の高気密化等により機器の高静圧化が求められている。従来の片吸込み型遠心送風機の高静圧化に関しては、舌部近傍でかつ羽根車のブレードの内周部側に配置され、羽根車の径方向に沿って延びる乱流抑制板を供えたものが知られている。
【0003】
以下、その従来例について
図5を参照しながら説明する。
【0004】
図5に示すように、片吸込み型遠心送風機101は、ケーシング102とこのケーシング102に内蔵された羽根車103とで構成される。ケーシング102は、吸込口104を備えた吸込側板105と、渦巻状のスクロール106と、モータ107を固定したモータ固定側板108で構成されている。ケーシング102は、舌部109から羽根車103の回転方向110に向って流路断面積(羽根車の外周側とスクロールの内側と側板で囲まれた領域における径方向断面積)を徐々に拡大するように、螺旋形状をしている。
【0005】
羽根車103はモータ107に固定されており、モータ107の駆動により羽根車103が回転すると吸込み気流111が吸込口104より羽根車103を介してケーシング102内に流入する。この羽根車103から吹き出した空気は、螺旋形状のケーシング102内で昇圧され、動圧から静圧へと変換されて吐出口112から吐出気流113となって流出される。
【0006】
ダクト配管の複雑化、建物の高気密化等により遠心送風機に高い静圧が加わった場合、すなわち性能(PQ:静圧(Pressure)−風量(Quantity))曲線上で締め切り側にて機器を使用した場合、吐出気流113がきれいに流出されず、舌部109付近でケーシング102内から羽根車103の内部側に向って逆流する舌部乱流114が発生する。遠心送風機は舌部109から始まる螺旋形状のケーシング102によって気流を昇圧させるが、一般的な片吸込み型遠心送風機の場合、この舌部乱流114によって舌部109付近の昇圧開始位置の気流が乱され、昇圧開始位置が遅らされることとなる。その結果、螺旋形状のケーシング102で十分に昇圧されず、締め切り側の性能(静圧)が低下するといった課題があった。特許文献1記載の片吸込み型遠心送風機101においては、
図5に示すように、舌部109近傍でかつ羽根車103のブレード115の内周部側に乱流抑制板116が配置されている。乱流抑制板116はケーシング102に固定され、ブレード115に近接した状態で羽根車103の径方向に沿って延びる形状となっている。この乱流抑制板116により機器に高い静圧が加わった場合に発生する舌部乱流114を羽根車103の中心部に向う気流117へと気流方向を変換している。すなわち舌部乱流114が、舌部付近の昇圧開始位置に流入することを抑え、昇圧開始位置が遅らされることを抑制している。その結果、螺旋形状のケーシング102で十分に昇圧され、締め切り側の性能(静圧)が増加することとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような従来の片吸込み型遠心送風機101では、締め切り側の性能(静圧)を増加させることができるものの、乱流抑制板116を風路に配置しているため、性能(PQ)曲線上で開放側、すなわち流出風量が多い場合において、乱流抑制板116に気流が衝突することによる気流騒音が発生しやすくなる。また乱流抑制板116と羽根車103のブレード115を近接して配置するため、部品の加工精度や組立て精度が必要になり加工費や組立て工数がアップするといった課題があった。
【0009】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、製品に乱流抑制板等の部品を追加することなく、性能(PQ)曲線上で締め切り側において高静圧化した片吸込み型遠心送風機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の片吸込み型遠心送風機は、上記目的を達成するために、
モータと、渦巻状のスクロールを備えたケーシングと、前記ケーシングに内蔵した複数のブレードを具備した羽根車と、前記羽根車には前記ブレードを固定する羽根車主板とを備え、前記ケーシングは、吸込口を有した吸込側板と、
前記モータを固定したモータ固定側板を備え、前記モータに前記羽根車主板の中心部を固定した片吸込み型遠心送風機であって、前記羽根車主板は前記ブレードと前記中心部との間に主板開口を備え、前記モータ固定側板側にある前記ブレードの端部を通る平面であって、前記モータの回転軸に垂直な平面をブレード端部仮想平面として仮想し、前記ブレード端部仮想平面と前記モータ固定側板との
前記回転軸に平行な方向における距離が、前記主板開口と前記ブレードとの間で狭くなる狭窄部
を備え、前記狭窄部は、
前記モータ固定側板の一部を突部曲げ加工により前記ブレード端部仮想平面の方向に突出させることによってこの突出の先端と前記羽根車主板との間に設けられ、前記狭窄部から前記モータ固定側板の方向に向けて前記モータの回転軸を囲むように設けられ、前記狭窄部を通じて前記ケーシングとつながり、前記主板開口を通じて前記羽根車の内部とつながる空間を備え、前記空間は、前記片吸込み型遠心送風機に高い静圧が加わった場合には前記ケーシング内の気体を前記狭窄部を通して導き入れるとともに、前記空間内の気体を前記主板開口を通して前記羽根車内に流入させたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、
モータと、渦巻状のスクロールを備えたケーシングと、前記ケーシングに内蔵した複数のブレードを具備した羽根車と、前記羽根車には前記ブレードを固定する羽根車主板とを備え、前記ケーシングは、吸込口を有した吸込側板と、
前記モータを固定したモータ固定側板を備え、前記モータに前記羽根車主板の中心部を固定した片吸込み型遠心送風機であって、前記羽根車主板は前記ブレードと前記中心部との間に主板開口を備え、前記モータ固定側板側にある前記ブレードの端部を通る平面であって、前記モータの回転軸に垂直な平面をブレード端部仮想平面として仮想し、前記ブレード端部仮想平面と前記モータ固定側板との
前記回転軸に平行な方向における距離が、前記主板開口と前記ブレードとの間で狭くなる狭窄部
を備え、前記狭窄部は、
前記モータ固定側板の一部を突部曲げ加工により前記ブレード端部仮想平面の方向に突出させることによってこの突出の先端と前記羽根車主板との間に設けられ、前記狭窄部から前記モータ固定側板の方向に向けて前記モータの回転軸を囲むように設けられ、前記狭窄部を通じて前記ケーシングとつながり、前記主板開口を通じて前記羽根車の内部とつながる空間を備え、前記空間は、前記片吸込み型遠心送風機に高い静圧が加わった場合には前記ケーシング内の気体を前記狭窄部を通して導き入れるとともに、前記空間内の気体を前記主板開口を通して前記羽根車内に流入させた。これにより、羽根車主板とモータ固定側板の間にモータの回転軸を囲むように狭窄部を通じてケーシング内とつながっている空間が形成される。羽根車主板に設けた主板開口により空間は羽根車と通じており、羽根車の回転により空間内の気体は羽根車側に引っ張られるため、空間内の気圧はマイナス圧となっている。機器に高い静圧が加わった場合、すなわち性能(PQ)曲線上の締め切り側で使用された場合、羽根車とケーシングにて昇圧され、ケーシング内に流出した気体の一部は、気圧がプラス圧のケーシング内からマイナス圧の空間へと狭窄部を通って導かれる。狭窄部を通って空間に流入した気体は、主板開口を通って羽根車内に流入し、羽根車とケーシングで再度昇圧されることとなる。これにより性能(PQ)曲線上の締め切り側で使用された場合の静圧を増加させることができる。
【0012】
また、ケーシング内と空間の間に設けた狭窄部により、ケーシング内の流速の速い気体が一気に空間内に流入することを防ぐことができるため、空間内の気流は乱されることなくスムーズに羽根車に流入できるという作用も有する。
【0013】
これにより製品に乱流抑制板等の部品を追加することなく、性能(PQ)曲線上の締め切り側で使用された場合において高静圧化できるといった効果を有する片吸込み型遠心送風機を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の請求項1記載の片吸込み型遠心送風機は、渦巻状のスクロールを備えたケーシングと、前記ケーシングに内蔵した複数のブレードを具備した羽根車と、前記羽根車には前記ブレードを固定する羽根車主板とを備え、前記ケーシングは、吸込口を有した吸込側板と、モータを固定したモータ固定側板を備え、前記モータに前記羽根車主板の中心部を固定した片吸込み型遠心送風機であって、前記羽根車主板は前記ブレードと前記中心部との間に主板開口を備え、前記モータ固定側板側にある前記ブレードの端部を通る平面であって、前記モータの回転軸に垂直な平面をブレード端部仮想平面として仮想し、前記ブレード端部仮想平面と前記モータ固定側板との距離が、前記主板開口と前記ブレードとの間で狭くなる狭窄部を設けたものであり、羽根車主板とモータ固定側板の間にモータの回転軸を囲むように狭窄部を通じてケーシング内とつながっている空間が形成される。羽根車主板に設けた主板開口により空間は羽根車と通じており、羽根車の回転により空間内の気体は羽根車側に引っ張られるため、空間内の気圧はマイナス圧となっている。機器に高い静圧が加わった場合、すなわち性能(PQ)曲線上の締め切り側で使用された場合、羽根車とケーシングにて昇圧され、ケーシング内に流出した気体の一部は、気圧がプラス圧のケーシング内からマイナス圧の空間へと狭窄部を通って導かれる。狭窄部を通って空間に流入した気体は、主板開口を通って羽根車内に流入し、羽根車とケーシングで再度昇圧されることとなる。これにより性能(PQ)曲線上の締め切り側で使用された場合の静圧を増加させることができる。
【0016】
また、ケーシング内と空間の間に設けた狭窄部により、ケーシング内の流速の速い気体が一気に空間内に流入することを防ぐことができるため、空間内の気流を乱すことなく、スムーズに羽根車に流入させることができる。
【0017】
また、前記羽根車主板に前記モータ固定側板側から前記吸込口側に向かって突出する羽根車主板凸部を設け、前記羽根車主板の前記中心部は、前記羽根車主板凸部に設けられ、前記羽根車主板凸部は前記モータ固定側板側から前記吸込口側に向かって断面積を徐々に小さくしていく凸形状とし、前記凸形状の傾斜部に前記主板開口を設けたという構成にしてもよい。傾斜部に主板開口を設けることで、空間から羽根車内に流入する気流の向きをブレード側に向けることができる。すなわち羽根車内で気流が引っ張られる方向と空間から羽根車内に流入する気流の向きを同じ向きとすることができる。これにより空間から羽根車内にスムーズに気流が流れ、さらに静圧をあげることができる。
【0018】
また、前記凸形状は、円錐形状という構成にしてもよい。これにより、空間から羽根車内にさらにスムーズに気流が流れ、さらに静圧をあげることができる。
【0019】
また、前記主板開口はモータの回転軸を中心とした円周上に等配分されているという構成にしてもよい。これにより、主板開口加工時の製造バラつきによる羽根車のバランスの狂いを抑えることができる。
【0020】
また、前記狭窄部は前記ブレードの前記端部の近傍に設けられたという構成にしてもよい。
【0021】
また、前記狭窄部の幅が1〜10mmであるという構成にしてもよい。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1に示すように、本実施の形態の片吸込み型遠心送風機1は、ケーシング2とこのケーシング2に内蔵された複数のブレード3を具備した羽根車4とで構成される。
【0024】
ケーシング2は、吸込口5を備えた吸込側板6と、渦巻状のスクロール7と、モータ8を固定したモータ固定側板9で構成されている。ケーシング2は、舌部10から羽根車4の回転方向11に向って流路断面積を徐々に拡大するよう渦巻形状をしている。
【0025】
羽根車4は、モータ8の回転軸12に固定された羽根車主板13と、羽根車主板13の外周側に立設した複数枚のブレード3と、ブレード3の先端(羽根車主板13に固定された端部と反対側)に固定された補助リング14とで構成されている。
【0026】
補助リング14は、その名前の通り、中心部分を開口し、この開口は、吸込口5と連通した羽根車吸込口となっている。
【0027】
羽根車主板13はブレード3のモータ8側に設けられ、羽根車主板13の中心部はモータ8に固定されている。
【0028】
そして、モータ8の駆動により羽根車4が回転すると吸込み気流15が吸込口5より羽根車4を介してケーシング2内に流入し、渦巻形状のケーシング2内で昇圧され、動圧から静圧へと変換されて吐出口16から吐出気流17となって流出される。
【0029】
羽根車主板13には、ブレード3からモータ8の回転軸との固定部分までの間に主板開口18が設けられている。言い換えれば、羽根車主板13には、ブレード3と羽根車主板13の中心部との間に主板開口18が設けられている。
【0030】
ここで、モータ固定側板9側にあるブレード3の端部19を通る平面であって、モータ8の回転軸12に垂直な平面をブレード端部仮想平面20として仮想する。
【0031】
モータ固定側板9は、ブレード端部仮想平面20の方向へ突出した部分を除いて、ブレード端部仮想平面20と略平行に固定されている。
【0032】
ブレード端部仮想平面20とモータ固定側板9との距離が、主板開口18とブレード3との間で、小さくなる狭窄部21をブレード端部仮想平面20とモータ固定側板9との間に設けてある。
【0033】
ここで、ブレード端部仮想平面20とモータ固定側板9との距離とは、回転軸12に平行な方向の距離であって、ブレード端部仮想平面20とモータ固定側板9との距離を言う。
【0034】
また、狭窄部21が設けられた主板開口18とブレード3との間とは、ブレード3よりも回転軸12側(内側)の領域であって、主板開口18よりも回転軸12と反対側(外側)の領域を言う。
【0035】
また、狭窄部21は、モータ固定側板9の一部がブレード端部仮想平面20の方向に突出することによって主板開口18とブレード3との間に形成されている。
【0036】
狭窄部21を設けたことにより羽根車主板13とモータ固定側板9との間にモータ8の回転軸12を囲むように狭窄部21を通じてケーシング2とつながっている空間22(斜線部分)が形成される。
【0037】
羽根車主板13に設けた主板開口18により空間22は羽根車4の内部とつながっている。
【0038】
上記構成による作用・効果について説明する。
【0039】
羽根車4を回転させると空間22内の気体は羽根車4側に引っ張られ、空間22内の気圧はマイナス圧となる。機器に高い静圧が加わった場合、すなわち性能(PQ)曲線上の締め切り側で使用された場合、羽根車4とケーシング2によって昇圧され、ケーシング2内に流出された気体の一部は、気圧がプラス圧となっているケーシング2内からマイナス圧となっている空間22へと狭窄部21を通って導かれる。空間22に流入した気体は、主板開口18を通って羽根車4内に流入する気流23となり、羽根車4とケーシング2で再度昇圧されることとなる。
【0040】
狭窄部21の羽根車4の径方向の位置を羽根車主板13の主板開口18からブレード3までの間とすることで、ケーシング2から直接主板開口18を通り羽根車4内に流入する気流を防ぐことができる。また、ケーシング2内と空間22の間に設けた狭窄部21により、ケーシング2内の流速の速い気体が一気に空間22内に流入することを防ぐことができるため、空間22内の気流は乱されることなくスムーズに羽根車4に流入できることとなる。
【0041】
性能(PQ)曲線上で開放側、すなわち流出風量が多い側で使用された場合、羽根車4とケーシング2によって昇圧され、ケーシング2内に流出された気体は、吐出口16から吐出気流17となってケーシング2外へスムーズに流出される。そのためケーシング2内の気圧はプラス圧にはならず、また狭窄部21を設けることによってケーシング2と空間22が仕切られていることもあり、ケーシング2内から空間22に気流が流入しにくい構成となっている。すなわち締め切り側で使用される場合は、開放側で使用される場合に対して、空間22の分ケーシング2の使用体積を増加させることができることとなる。
【0042】
一般的な遠心送風機では、性能(PQ)曲線上で締め切り側にて機器を使用した場合、吐出気流17がきれいに流出されず、舌部10付近でケーシング2内から羽根車4の内部側に向って逆流する舌部乱流(
図5の114)が発生する。
【0043】
本発明では、締め切り側で使用される場合に、空間22の分ケーシング2の使用体積を増加させることでケーシング2内の気流の詰まりを抑え、舌部乱流(
図5の114)の発生を抑制できることとなる。
【0044】
なお、本実施の形態では主板開口18を円形状としているが、羽根車4の内側と通じている形状であれば、楕円でも多角形でもどんな形状でも良い。
【0045】
また、本実施の形態では狭窄部21をモータ固定側板9に凸部曲げ加工を設けることで形成しているが、リング状に加工した別部品をモータ固定側板9に固定して形成しても良い。この場合、モータ固定側板9に固定された別部品は、モータ固定側板の一部とみなす。
【0046】
また、
図2に示すようにモータ固定側板9に曲げ加工部24を設け狭窄部21を形成しても良い。
【0047】
また、
図1または
図2において、狭窄部21の幅、すなわち狭窄部21におけるブレード端部仮想平面20とモータ固定側板9との距離であって、回転軸12に平行な方向の距離は、1〜10mmが好ましい。ただし、狭窄部21の幅は1〜10mm以外であっても本発明の効果を得ることは可能である。
【0048】
また、本実施の形態では、狭窄部21はブレード3の端部19の近傍に設けられて、ブレード3の端部19の近傍とモータ固定側板9との間が狭窄部21となったが、狭窄部21は主板開口18とブレード3との間に設ければ、ブレード3の端部19の近傍以外に設けられてもよい。
【0049】
図3に(a)一般的な片吸込み型遠心送風機(乱流抑制板なし)、(b)従来例の片吸込み型遠心送風機(乱流抑制板あり)、(c)主板開口のみを設けた片吸込み型遠心送風機、(d)本発明の片吸込み型遠心送風機(主板開口+空間)、のPQ(静圧−風量)特性の比較グラフを示す。
【0050】
主板開口18のみを設けた片吸込み型遠心送風機(c)は、一般的な片吸込み型遠心送風機(a)より締め切り側の静圧が高くなっており、乱流抑制板を設けた片吸込み型遠心送風機(b)とは同等の静圧特性となっている。
【0051】
主板開口18と空間22を設けた片吸込み型遠心送風機(d)では、さらに締め切り側の静圧が増し、主板開口18のみを設けた遠心送風機よりも高い静圧特性となっているのが確認できる。
【0052】
このように本発明の実施の形態1の片吸込み型遠心送風機によれば、製品に乱流抑制板等の部品を追加することなく、性能(PQ)曲線上の締め切り側で使用された場合において高静圧化できるといった効果を有する片吸込み型遠心送風機を提供することができる。
【0053】
(実施の形態2)
図4を用いて、本発明の第2の実施の形態の片吸込み型遠心送風機について説明する。第1の実施の形態と同じ構成については、同一の番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0054】
図4に示す片吸込み型遠心送風機1は、羽根車主板13にモータ固定側板9側から吸込口5側に向かって突出する羽根車主板凸部25が設けられている。
【0055】
モータ8に固定される羽根車主板13の中心部は、羽根車主板凸部25に設けられている。
【0056】
羽根車主板凸部25はモータ固定側板9側から吸込口5側に向かってその断面積(回転軸12に垂直な方向の断面積)を徐々に小さくしていく凸形状となっている。そして羽根車主板凸部25の凸形状の傾斜部26に主板開口18が設けられている。
【0057】
なお、羽根車主板凸部25の凸形状は円錐形状であることが好ましい。
【0058】
また、主板開口18はモータ8の回転軸12を中心とした円周上に等配分されている。
【0059】
上記構成による作用・効果について説明する。
【0060】
羽根車主板凸部25により空間22をより大きくすることができるので、締め切り側で使用された場合に、ケーシング2の使用体積をさらに増加させることができる。
【0061】
また、傾斜部26に主板開口18を設けることで、空間22から羽根車4内に流入する気流の向きをブレード3側に向けることができる。すなわち羽根車4内で気流が引っ張られる方向と空間22から羽根車4内に流入する気流の向きを同じ向きとすることができる。これにより空間22から羽根車4内にスムーズに気流が流れ、さらに静圧をあげることができる。
【0062】
また、主板開口18をモータ8の回転軸を中心とした円周上に等配分することで、主板開口18加工時の製造バラつきによる羽根車4のバランスの狂いを抑えることができる。
【0063】
このように本発明の実施の形態2の片吸込み型遠心送風機によれば、製品に乱流抑制板等の部品を追加することなく、性能(PQ)曲線上の締め切り側で使用された場合において、羽根車のアンバランス調整を簡単にしながら、さらに高静圧化できるといった効果を有する片吸込み型遠心送風機を提供することができる。
【0064】
また、本実施の形態において、狭窄部21の幅、すなわち狭窄部21におけるブレード端部仮想平面20とモータ固定側板9との距離であって、回転軸12に平行な方向の距離は、1〜10mmが好ましい。ただし、狭窄部21の幅は1〜10mm以外であっても本発明の効果を得ることは可能である。
【0065】
また、本実施の形態では、狭窄部21はブレード3の端部19の近傍に設けられて、ブレード3の端部19の近傍とモータ固定側板9との間が狭窄部21となったが、狭窄部21は主板開口18とブレード3との間に設ければ、ブレード3の端部19の近傍以外に設けられてもよい。
【0066】
また、主板開口18はモータ8の回転軸12を中心とした円周上に等配分されている構成は、実施の形態1の
図1、
図2において適用しても、本実施の形態と同様の効果が得られるため好ましい。