(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0009】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0010】
(実施の形態1)
以下、
図1〜5を用いて、実施の形態1を説明する。
【0011】
[1−1.構成]
[1−1−1.全体構成]
図1は、プロジェクタ100の使用形態を示す外観斜視図である。プロジェクタ100は、スクリーン110に映像を投影する。プロジェクタ100は、外装パネル112と、照明部115と、映像生成部150と、投写レンズ170とを有する。外装パネル112は、照明部115、映像生成部150および投写レンズ170を収納する。投写レンズ170の一部は、外装パネル112の投影方向の面に設けられた開口部から露出している。プロジェクタ100は、投写型表示装置の一例である。
【0012】
図2は、プロジェクタ100の構成を示す模式図である。照明部115は、映像を生成するための赤色光、緑色光および青色光を生成し、映像生成部150へ出射する。映像生成部150は、外部から入力される映像信号に基づいて、照明部115が生成した各色光から映像を生成する。生成された映像は、投写レンズ170を介し、スクリーン110に投影される。
【0013】
照明部115は、光源部120と、コリメートレンズ121と、集光レンズ122と、拡散板123と、凹レンズ124と、ダイクロイックミラー125と、集光レンズ126と、蛍光体ホイール130と、リレーレンズ131と、ミラー132と、ミラー133と、ミラー134と、集光レンズ135と、フィルターホイール140と、ロッドインテグレータ141と、リレーレンズ142と、を備える。光源部120は、青色光を発するレーザー光源を複数備える。光源部120は、青色光を出射する。青色光は、コリメートレンズ121により平行光にされた後、集光レンズ122により拡散板123に向けて集光される。拡散板123は、青色光を適度に拡散させ、明るさの分布をより均一に近づける。凹レンズ124は、拡散板123を通過した青色光を再び平行光にする。
【0014】
ダイクロイックミラー125は、青色光を反射する一方、他の色の光を通過させる。ダイクロイックミラー125は、凹レンズ124からの青色光を反射させ、進行方向を90度曲げる。集光レンズ126は、ダイクロイックミラー125からの青色光を蛍光体ホイール130に向けて集光する。
【0015】
蛍光体ホイール130は、モータ130aにより所定の角速度で回転する。蛍光体ホイール130は、所定の角度毎に分割された赤セグメント、緑セグメント、および青セグメント(図示せず)を備える。赤セグメントは、光の入射側の面に、青色光で励起されて赤色光を発する蛍光体を備えている。赤セグメントは、赤色光を入射方向に出射する。緑セグメントは、光の入射側の面に、青色光で励起されて緑色光を発する蛍光体を備えている。緑セグメントは、緑色光を入射方向に出射する。青セグメントには貫通穴が設けられており、入射した青色光をそのまま通過させる。蛍光体ホイール130は回転することにより、入射する青色光を時分割で赤色光、緑色光に変換する。
【0016】
蛍光体ホイール130を通過した青色光は、リレーレンズ131により平行光にされた後、ミラー132、ミラー133およびミラー134により再びダイクロイックミラー125に導かれる。ダイクロイックミラー125は、ミラー134からの青色光を反射させ、進行方向を90度曲げる。
【0017】
一方、蛍光体ホイール130にて励起された赤色光および緑色光は、再び集光レンズ126を先ほどとは逆向きに通過して平行光となり、ダイクロイックミラー125に入射する。ダイクロイックミラー125は、入射する赤色光および緑色光を通過させる。
【0018】
ダイクロイックミラー125にて反射された青色光、ダイクロイックミラー125を通過した赤色光および緑色光は、光軸が一致する平行光であり、時分割で集光レンズ135に入射する。集光レンズ135は、入射する各色光をフィルターホイール140に向けて集光する。
【0019】
フィルターホイール140は、モータ140aにより、蛍光体ホイール130と同じ角速度で回転する。フィルターホイール140は、所定の角度毎に分割された赤セグメント、緑セグメント、および青セグメント(図示せず)を備える。蛍光体ホイール130とフィルターホイール140とは、互いの同色のセグメントが対応するように位相を同期させて回転する。すなわち、蛍光体ホイール130からの各色光が、フィルターホイール140の同色のセグメントに入射する。赤セグメントおよび緑セグメントは、入射する赤色光および緑色光に対し、通過させる波長の範囲を制限するカラーフィルターである。青セグメントは透明なガラス等で構成され、入射する青色光をそのまま通過させる。
【0020】
フィルターホイール140からの各色光は、ロッドインテグレータ141に入射する。ロッドインテグレータ141は、入射光の照度を均一化して出射する。リレーレンズ142は、ロッドインテグレータ141からの光を映像生成部150に導く。
【0021】
映像生成部150は、フィールドレンズ155、TIR(Total Internal Reflection:内部全反射)プリズム157、およびDMD(Digital Micromirror Device)160を備える。TIRプリズム157は、フィールドレンズ155を通過して入射する光を全反射してDMD160に導く。DMD160は、平面上に2次元的に配置された複数個のマイクロミラーを有する。DMD160は、プロジェクタ100に入力される映像信号に応じ、また、入射する各色光に同期して各マイクロミラーを偏向させることにより、投写レンズ170に入射させる光、すなわち映像と、投写レンズ170の有効範囲外へ反射する光とに分離する。映像は、TIRプリズム157を透過して投写レンズ170に入射する。このようにして映像生成部150に入射した光から映像が生成される。
【0022】
最後に、生成された映像は、投写レンズ170を介し、スクリーン110に投影される。投写レンズ170は、入射する映像の光軸に対し、垂直な方向に移動可能である。投写レンズ170を移動させることにより、投写レンズ170から投影される映像の投影方向を調整することができる。
【0023】
[1−1−2.投写レンズ周辺の構成]
図3は、プロジェクタ100の投写レンズ170周辺の構成を示す図である。
図3は、投写レンズ170およびその周辺部の、光軸を含みA−B方向に平行な平面における断面図、および、光軸方向の後方から(映像を投写する向きに)見た背面図を示している。ここで、投写レンズ170の光軸に垂直な方向のうち、プロジェクタ100の設置面に対して垂直な方向をA−B方向とする。A−B方向において、プロジェクタ100の上面側へ向かう向きをAの向き、底面側へ向かう向きをBの向きとする。以下、光軸とは投写レンズ170の光軸を指すものとする。光軸は投写レンズ170に対して位置関係が固定されており、投写レンズ170と共に変位する。投写レンズ170は光軸に垂直な方向に移動可能であるため、A−B方向にも移動可能である。なお、以下の説明では便宜上、主に投写レンズ170が図の断面上をA−B方向に移動する場合について説明する。
【0024】
枠体200は、外装パネル112の内側に配置されている。枠体200は、前面200bおよび規制部200cを有する。前面200bは、少なくともその裏面のうち第2防塵壁220と接する部分が光軸と垂直な平面となっている。ここで表面を、映像が投写されるスクリーン110と対向する面と定義し、裏面をその反対側の面と定義する。前面200bは、開口部200aを有している。ここで開口部200aは、実質的な開口部を指すものとする。実質的な開口部とは、投写レンズ170が開口部200a内を移動するときに、開口していることにより実質的に投写レンズ170が移動可能となる領域を指すものとする。例えば、(本実施の形態とは異なり)開口部が矩形であり、投写レンズの断面が円形である場合、矩形の四隅の領域は投写レンズの移動可能範囲に寄与しない。したがってこの部分は実質的な開口部には含まれない。開口部と隣接する部分の寸法についても、実質的な開口部の端部からの寸法を指すものとする。本実施の形態では便宜上、実質的な開口部と実際の開口部とが等しいものとして説明する。また、開口部220aの開口幅D(後述)や投写レンズ170の幅L(後述)についても、同様の考え方で定義されるものとする。開口部200aの、A−B方向における開口幅をEとする。上記の通り開口部200aは実質的な開口部を指す。このため、開口幅も実質的な開口部の幅を指すものとする。すなわち開口幅Eは、投写レンズ170が開口部200a内で最もA側に移動したときの、開口部200a内におけるA側の外周部から、最もB側に移動したときの、開口部200a内におけるB側の外周部までの距離を指すものとする。開口部200aは、第1開口部の一例である。開口幅Eは、第1開口幅の一例である。枠体200の開口部200aの位置は、光軸方向に見たときに、外装パネル112の開口部112aの位置と重なっている。外装パネル112の開口部112aは、投写レンズ170の移動を妨げないような形状となっている。投写レンズ170は、枠体200の開口部200aおよび外装パネル112の開口部112aから一部が露出するように設けられている。投写レンズ170は、枠体200の開口部200a内を移動可能である。
【0025】
規制部200cは、枠体200の側面の内周面に設けられており、遮蔽部205の第2防塵壁220(後述)の外周部と当接することにより、移動範囲を規制する。図示していないが、規制部200cは第2防塵壁220のA−B方向における移動範囲だけでなく、第2防塵壁220の移動可能な全方向においてその移動範囲を規制するように設けられる。
【0026】
投写レンズ170は、投写レンズ170に接続された操作部(図示せず)により、光軸と垂直な平面上を自在に移動することができる。すなわち、プロジェクタ100はレンズシフト機能を有している。A−B方向は、第1軸方向の一例である。
【0027】
遮蔽部205は、枠体200と投写レンズ170との隙間を遮蔽する。言い換えると、遮蔽部205は、投写レンズ170と共に枠体200の開口部200aを遮蔽する。これにより、外部から枠体200の内側への塵等の異物の侵入を抑制する。枠体200と、遮蔽部205と、規制部200cとを備えた構成は、投写型表示装置用筐体の一例である。
【0028】
遮蔽部205は、第1防塵壁210と、第2防塵壁220とを有している。第1防塵壁210は、平板状のスポンジで構成される。第1防塵壁210は、表面と裏面とを貫通する開口部(図示せず)を備えている。第1防塵壁210は、枠体200の内部、すなわち枠体200の前面200bの裏面側に、表面が光軸と垂直となるように配置される。投写レンズ170において第1防塵壁210が配置される箇所の、光軸に垂直な面における断面形状は円形であり、断面のA−B方向における幅、すなわち投写レンズ170の当該断面のA側の外周面からB側の外周面までの距離はLである。幅Lは、第7幅の一例である。第1防塵壁210の開口部は、この断面形状と同形状の円形である。第1防塵壁210の開口部の内側面は、投写レンズ170の外周面に対し、隙間なく接するように固定される。第1防塵壁210において、投写レンズ170の外周面から、光軸と垂直な方向のうち一方(図においてAの向き)に向けて突出する幅を第1防塵幅a1、反対向き(図においてBの向き)に向けて突出する幅を第1防塵幅a2とする。第1防塵幅a1は、第1幅の一例である。第1防塵幅a2は、第8幅の一例である。
【0029】
第2防塵壁220は、平板状のプラスチック板で構成される。第2防塵壁220は、表面と裏面を貫通する開口部220aを備えている。開口部220aの、A−B方向における開口幅をDとする。開口部220aは、第2開口部の一例である。開口幅Dは、第2開口幅の一例である。投写レンズ170は、第2防塵壁220の開口部220aを貫通するように設けられる。第2防塵壁220は、光軸方向における枠体200の前面200bと第1防塵壁210との間でかつ、投写レンズ170の外周部に、表面および裏面が光軸と垂直となるように配置される。第2防塵壁220の表面は、前面200bの裏面と隙間なく接している。また、第2防塵壁220の裏面は、第1防塵壁210の表面と隙間なく接している。つまり、光軸方向のスクリーン110側から、枠体200の前面200b、第2防塵壁220、および第1防塵壁210が順に、互いに密着して配置されている。
【0030】
第2防塵壁220の開口部220aの開口幅Dは、投写レンズ170における第2防塵壁が配置される箇所の、光軸に垂直な面における断面の幅Lよりも大きい。またこの開口幅Dは、枠体200の開口部200aの開口幅Eよりも小さい。したがって、第2防塵壁220は、投写レンズ170の外周部と間隔を隔てて配置可能である。また、第2防塵壁220は、光軸と垂直な平面上を、規制部200cと投写レンズ170の外周部とで規制される範囲内で、前面200bおよび第1防塵壁210に対して摺動可能である。したがって、第2防塵壁220は、A−B方向に摺動可能であると言える。
【0031】
図の断面において、第2防塵壁220の外周部のA側の端部が、規制部200cが規制する範囲内で最もA側に移動したときの位置と、枠体200の開口部200aにおけるA側の端部との距離をf1とする。距離f1は、投写レンズ170が最もA側に位置しているときの、第2防塵壁220のA−B方向に移動可能な範囲の幅を示している。このとき、第2防塵壁220の外周部のA側の端部が、規制部200cが規制する範囲内で最もA側に移動したときの位置と、枠体200の開口部200aにおけるB側の端部との距離は、距離f1と開口幅Eとの和となる。距離f1は、第6幅の一例である。
【0032】
また、第2防塵壁220の外周部のB側の端部が、規制部200cが規制する範囲内で最もB側に移動したときの位置と、枠体200の開口部200aにおけるB側の端部との距離をf2とする。距離f2は、投写レンズ170が最もB側に位置しているときの、第2防塵壁220のA−B方向に移動可能な範囲の幅を示している。このとき、第2防塵壁220の外周部のB側の端部が、規制部200cが規制する範囲内で最もB側に移動したときの位置と、枠体200の開口部200aにおけるA側の端部との距離は、距離f2と開口幅Eとの和となる。
【0033】
第2防塵壁220における、投写レンズ170に対してA側に対応する部分の幅を第2防塵幅b1、B側に対応する部分の幅を第2防塵幅b2とする。第2防塵幅b1は、第2幅の一例である。
【0034】
ここで説明の便宜上、投写レンズ170が第1位置にあり、第2防塵壁220が第2位置にあるものとする。第2防塵壁220が、第2位置からAの向きに移動可能な距離(規制部200cに当接するまでの移動距離)をc1、Bの向きに移動可能な距離(規制部200cに当接するまでの移動距離)をc2とする。投写レンズ170の外周部と第2防塵壁220とのA−B方向の隙間における、A側に対応する部分の距離をd1、B側に対応する部分の距離をd2とする。投写レンズ170の外周部と枠体200とのA−B方向の隙間における、A側に対応する部分の距離をe1、B側に対応する部分の距離をe2とする。距離c2は、第3幅の一例である。距離d1は、第4幅の一例である。距離e1は、第5幅の一例である。
【0035】
距離c1、距離d1、距離e1、距離c2、距離d2および距離e2は、投写レンズ170および第2防塵壁220がある位置に存在する場合の、光軸を含みA−B方向に平行な平面での断面における、A−B方向の各部の寸法を示している。投写レンズ170や第2防塵壁220の移動に応じて、これらの値は変化する。一方、第1防塵幅a1、第1防塵幅a2、第2防塵幅b1、第2防塵幅b2、開口幅D、開口幅E、幅L、距離f1および距離f2は、プロジェクタ100の設計時に決まる各部の寸法であり、投写レンズ170や第2防塵壁220の位置に関わらず不変である。
【0036】
このとき、投写レンズ170がBの向きに移動しても、遮蔽部205が枠体200と投写レンズ170との間の隙間を遮蔽できるための条件は、以下の通りである。投写レンズ170において、第1防塵幅a1は、距離d1以上である(条件1−1)。さらに、第2防塵幅b1は、距離e1から距離d1を引いた長さ以上である(条件2−1)。さらに、第2防塵幅b1と距離d1との和から距離e1を引いた長さは、距離c2以上である(条件3−1)。
【0037】
同様に、投写レンズ170がAの向きに移動しても、遮蔽部205が枠体200と投写レンズ170との間の隙間を遮蔽できるための条件は、以下の通りである。投写レンズ170において、第1防塵幅a2は、距離d2以上である(条件1−2)。さらに、第2防塵幅b2は、距離e2から距離d2を引いた長さ以上である(条件2−2)。さらに、第2防塵幅b2と距離d2との和から距離e2を引いた長さは、距離c1以上である(条件3−2)。
【0038】
このようにプロジェクタ100は、A−B方向において、上述の6つの条件を満たすように構成されている。これらを式で表すと以下のようになる。
【0039】
a1≧d1 (条件1−1)
b1≧e1−d1 (条件2−1)
b1+d1−e1≧c2 (条件3−1)
a2≧d2 (条件1−2)
b2≧e2−d2 (条件2−2)
b2+d2−e2≧c1 (条件3−2)
条件1−1は、投写レンズ170の外周部と第2防塵壁220との隙間(距離d1)を、幅が第1防塵幅a1である第1防塵壁210が遮蔽できるための寸法の条件である。条件1−2も同様である。
【0040】
条件2−1は、投写レンズ170と枠体200の前面200bとの隙間(距離e1)を、第1防塵壁210と第2防塵壁220とが遮蔽できるための寸法の条件である。第1防塵壁210と第2防塵壁220とを合わせた実質的に遮蔽できる長さは、第2防塵幅b1と距離d1との和となる。したがって、条件2−1の通りとなる。条件2−2も同様である。
【0041】
条件3−1については、次の通りである。第2防塵壁220が例えば第2位置にあるときに、第2防塵壁220と枠体200の前面200bとの間にA−B方向の隙間ができない範囲で、第2防塵壁220がBの向きに移動可能な距離は、第2防塵幅b1と距離d1の和から距離e1を引いたものとなる。一方、第2防塵壁220がBの向きに移動して枠体200の規制部200cに当接するまでの移動可能な距離は、距離c2である。したがって、規制部200cが第2防塵壁220の移動範囲を規制することにより、第2防塵壁220と枠体200の前面200bとの間に隙間ができないようにするための寸法の条件は、条件3−1の通りとなる。条件3−2も同様である。
【0042】
また、別の観点から、投写レンズ170がBの向きに移動しても、遮蔽部205が枠体200と投写レンズ170との間の隙間を遮蔽できるための条件は、以下の通りである。第2防塵壁220のA−B方向における外径、すなわち第2防塵幅b1と第2防塵幅b2と開口幅Dとの和は、距離f1と開口幅Eとの和以上である(条件4−1)。さらに、投写レンズ170の幅Lと第1防塵幅a2との和は、開口幅D以上である(条件5−1)。
【0043】
同様に、投写レンズ170がAの向きに移動しても、遮蔽部205が枠体200と投写レンズ170との間の隙間を遮蔽できるための条件は、以下の通りである。第2防塵壁220のA−B方向における外径、すなわち第2防塵幅b1と第2防塵幅b2と開口幅Dとの和は、距離f2と開口幅Eとの和以上である(条件4−2)。さらに、投写レンズ170の幅Lと第1防塵幅a1との和は、開口幅D以上である(条件5−2)。
【0044】
このようにプロジェクタ100は、A−B方向において、上述の4つの条件を満たすように構成されている。これらを式で表すと以下のようになる。
【0045】
b1+b2+D≧f1+E (条件4−1)
L+a2≧D (条件5−1)
b1+b2+D≧f2+E (条件4−2)
L+a1≧D (条件5−2)
すなわち、投写レンズ170がA―B方向において移動しても、遮蔽部205が枠体200と投写レンズ170との間の隙間を遮蔽できるための条件は、条件4−1、条件5−1、条件4−2および条件5−2をすべて満たすことである、とも言うことができる。
【0046】
プロジェクタ100は、投写レンズ170が移動可能なすべての方向において、上記と同様の条件を満たすように構成される。したがって、投写レンズ170および第2防塵壁220が、移動可能な範囲でどのような位置にあったとしても、第2防塵壁220と枠体200の前面200bとの間に、光軸に垂直な方向における隙間は生じない。また、第2防塵壁220と第1防塵壁210との間に、光軸に垂直な方向における隙間は生じない。すなわち、第2防塵壁220は、投写レンズ170がどのような位置にあったとしても、第1防塵壁210と、枠体200との隙間を塞ぐように構成されている。つまり、遮蔽部205は、枠体200と投写レンズ170との間の隙間を遮蔽している。言い換えると、遮蔽部205は、投写レンズ170と共に枠体200の開口部200aを遮蔽している。
【0047】
[1−2.動作]
[1−2−1.レンズシフト動作]
図4は、プロジェクタ100の投写レンズ170周辺の構成を示す図である。
図4は
図3と同様、投写レンズ170およびその周辺部の、光軸を含む平面における断面図、および、光軸方向の後方から見た背面図を示している。
図3は、投写レンズ170が可動範囲のほぼ中央に位置する状態を示しているが、
図4は、投写レンズ170が可動範囲のうちAの向きの端部まで移動した状態を示している。
【0048】
以下、
図4を用いて、投写レンズ170が
図3に示す状態からレンズシフトを行い、光軸と垂直な平面上を移動した状態について説明する。
【0049】
投写レンズ170のレンズシフト機能により、投写レンズ170は、光軸と垂直な平面上を自在に動くことが可能である。
【0050】
図4は、投写レンズ170が、枠体200の前面200bに接するまで(開口部200aの端部まで)、Aの向き(プロジェクタ100の設置面に対して上面側の向き)にレンズシフトされた状態を示している。このため、距離e1が0(mm)となっている。なお、本実施の形態では前面200bの幅と第2防塵壁220の第2防塵幅b2とが等しい例を示している。このため、
図4に示す断面において投写レンズ170が前面200bに接する位置にあるとき、第2防塵壁220は規制部200cおよび投写レンズ170の外周部に共に接している。
【0051】
第1防塵幅a1、第1防塵幅a2、第2防塵幅b1、第2防塵幅b2、距離c1、距離c2、距離d1、距離d2、距離e1、および距離e2は、上述した条件を満たすように構成されている。このため、投写レンズ170が枠体200の前面200bに接するまで、Aの向きにレンズシフトされた状態であっても、枠体200の開口部200aは、投写レンズ170と共に遮蔽部205により遮蔽することができる。
【0052】
[1−3.効果]
以上のように説明した構成により、枠体200の開口部200aから内部への塵等の侵入を抑制することができる。また、遮蔽部を1枚の防塵壁で構成する場合と比較して、投写レンズ170のシフト可能な距離を同等に保ちつつ、プロジェクタ100の寸法を小型化することができる。または、プロジェクタ100の寸法を同等に保ちつつ、投写レンズ170のシフト可能な距離を拡大することができる。
【0053】
以下、この効果を奏する理由について、
図5Aおよび
図5Bを用いて説明する。
【0054】
図5Aおよび
図5Bは、本実施の形態におけるプロジェクタ100の効果を説明する図である。
図5Aは、遮蔽部が1枚の防塵壁820により構成されている場合の、投写レンズ170と、枠体200との関係を示す図である。
図5Aにおいて、防塵壁820における、A側の幅を防塵幅b’1、B側の幅を防塵幅b’2とする。防塵壁820が、ある位置(第3位置)からAの向きに移動可能な距離をc’1とする。防塵壁820が、第3位置からBの向きに移動可能な距離をc’2とする。投写レンズ170の外周部と枠体200とのA−B方向の隙間における、A側の距離をe’1とする。投写レンズ170の外周部と枠体200とのA−B方向の隙間における、B側の距離をe’2とする。
【0055】
図5Bは、本実施の形態として説明したように、遮蔽部205が、2枚の防塵壁、すなわち第1防塵壁210および第2防塵壁220により構成されている場合の、投写レンズ170と、枠体200との関係を示す図である。
【0056】
図5Aに示す防塵壁1枚の構成において、枠体200を防塵する、すなわち投写レンズ170の可動範囲内において、枠体200と投写レンズ170との隙間を防塵壁820が遮蔽するために必要な条件は、以下の通りである。
【0057】
e’1+e’2≦b’1
e’1+e’2≦b’2
一方、
図5Bにおいて、枠体200を防塵する、すなわち投写レンズ170の可動範囲内において、枠体200と投写レンズ170との隙間を遮蔽部205が遮蔽するために必要な条件は、以下の通りである。
【0058】
e1+e2≦d1+d2+b1
e1+e2≦d1+d2+b2
ここで、具体的な数値をあてはめて説明を行う。以下の条件の場合の、b’2と、b2に必要な長さを求める。
【0059】
e’1=e1=e’2=e2=20(mm)
(すなわち、e1+e2=40(mm)、e’1+e’2=40(mm))
d1+d2=10(mm)
上述の数値であって、先に説明した条件を満たすためには、b’1およびb’2は、40(mm)以上の長さが必要である。また、b1およびb2は、30(mm)以上の長さが必要である。このように、b1およびb2は、b’1およびb’2より短い長さで構成可能である。
【0060】
したがって、本実施の形態の、遮蔽部が2枚の防塵壁を備える構成は、遮蔽部が1枚の防塵壁で構成される場合と比較して、投写レンズ170のシフト可能な距離を同等に保ちつつ、プロジェクタ100の寸法を小型化することができる。または、プロジェクタ100の寸法を同等に保ちつつ、投写レンズ170のシフト可能な距離を拡大することができる。また、枠体200の開口部200aから一部が露出するように設けられた投写レンズ170は、第1防塵壁210と、第2防塵壁220とにより、枠体200の内部に塵等が入ることを抑制することができる。このため、塵侵入による光透過率の低下を抑えることができる。
【0061】
[1−4.まとめ]
本実施の形態にかかる投写型表示装置用筐体は、開口部200aを有し、開口部200a内に投写レンズ170がA−B方向に移動可能に配置された枠体200と、枠体200に対してA−B方向に移動可能であり、投写レンズ170と共に開口部200aを遮蔽する遮蔽部205と、遮蔽部205の移動を規制する規制部200cと、を備える。遮蔽部205は、投写レンズ170の外周部に接するように配置され、投写レンズ170と一体に移動可能であり、投写レンズ170の外周部からA−B方向のうちAの向きに向けて突出する幅が第1防塵幅a1である第1防塵壁210と、開口部200aと第1防塵壁210との間に投写レンズ170の外周部と間隔を隔てて配置され、規制部200cで規制される範囲内でA−B方向に摺動可能であり、A側に対応する部分の長さが第2防塵幅b1である第2防塵壁220と、を有する。投写レンズ170が第1位置にあり、第2防塵壁220が第2位置にあるときにおいて、第2防塵壁220の、投写レンズ170に対してBの向きに第2位置から移動可能な長さを距離c2とし、投写レンズ170の外周部と第2防塵壁220との隙間におけるA側に対応する部分の長さを距離d1とし、投写レンズ170の外周部と枠体200との隙間におけるA側に対応する部分の長さを距離e1とする。このとき、第1防塵幅a1は、距離d1以上であり、第2防塵幅b1は、距離e1から距離d1を引いた長さ以上であり、第2防塵幅b1と距離d1との和から距離e1を引いた長さは、距離c2以上である。
【0062】
また、本実施の形態にかかる投写型表示装置用筐体は、開口部200aを有し、開口部200a内に投写レンズ170がA−B方向に移動可能に配置された枠体200と、枠体200に対してA−B方向に移動可能であり、投写レンズ170と共に開口部200aを遮蔽する遮蔽部205と、遮蔽部205の移動を規制する規制部200cと、を備える。遮蔽部205は、投写レンズ170の外周部に接するように配置され、投写レンズ170と一体に移動可能であり、投写レンズ170の外周部からA−B方向のうちBの向きに向けて突出する幅が第1防塵幅a2である第1防塵壁210と、開口部200aと第1防塵壁210との間に配置され、開口部220aを有し、開口部220a内に投写レンズ170が配置され、規制部200cで規制される範囲内でA−B方向に摺動可能である第2防塵壁220と、を有する。開口部200aのA−B方向の開口幅をEとし、開口部220aのA−B方向の開口幅をDとし、第2防塵壁220の外周部のA側の端部が、規制部200cが規制する範囲内で最もA側に移動したときの位置と、開口部200aにおけるA側の端部との距離をf1とし、投写レンズ170のA−B方向の幅をLとする。このとき、第2防塵壁220のA−B方向における外径は、距離f1と開口幅Eとの和以上であり、幅Lと第1防塵幅a2との和は、開口幅D以上である。
【0063】
以上説明した構成により、枠体200の開口部200aから内部への塵等の侵入を抑制することができる。また、投写レンズ170のシフト可能な距離を同等に保ちつつ、プロジェクタ100の寸法を小型化することができる。または、プロジェクタ100の寸法を同等に保ちつつ、投写レンズ170のシフト可能な距離を拡大することができる。すなわち、投写型表示装置用筐体は、筐体の寸法を比較的小さく抑えつつ、筐体内部を防塵可能である。
【0064】
(実施の形態2)
[2−1.概要]
以下、
図6を用いて、実施の形態2を説明する。
図6は、実施の形態2におけるプロジェクタの投写レンズ周辺の構成を示す図である。
【0065】
実施の形態1においては、第2防塵壁220の摺動は、枠体200の規制部200cにより規制される例を説明した。実施の形態2においては、第2防塵壁620の摺動が、規制部630により規制される例を説明する。他の構成や動作については実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0066】
実施の形態2における投写型表示装置用筐体は、第2防塵壁220の代わりに、第2防塵壁620を備えている。
【0067】
第2防塵壁620は、平板状のプラスチック板であって、表面と裏面とを貫通する開口部620aを備えている。また、第2防塵壁620の側面は切り欠き部635を有している。投写レンズ170は、第2防塵壁620の開口部620aを貫通するように設けられる。第2防塵壁620は、光軸方向における枠体200の前面200bと第1防塵壁210との間でかつ、投写レンズ170の外周部に配置される。第2防塵壁620の表面は、前面200bの内面と隙間なく接している。また、第2防塵壁620の裏面は、第1防塵壁210の表面と隙間なく接している。すなわち、第2防塵壁620は、第1防塵壁210と、枠体200との隙間を塞ぐように設けられている。
【0068】
規制部630は、光軸と平行に突出する円柱状の突起であり、枠体200に接続されている。規制部630は、金属、樹脂等により構成される。
【0069】
本実施の形態において、レンズシフトに伴って第2防塵壁620が摺動すると、切り欠き部635が規制部630に当接するように構成されている。このため第2防塵壁620は、規制部630により移動が規制される。第2防塵壁620が、例えば図示するような位置から投写レンズ170に対してAの向きに移動可能な距離(規制部630に当接するまでの移動距離)をc1とする。第2防塵壁620が、同様に投写レンズ170に対してBの向きに移動可能な距離(規制部630に当接するまでの移動距離)をc2とする。
【0070】
実施の形態1のプロジェクタ100においては、枠体200の内周面に設けられた規制部200cが第2防塵壁220の外周部と当接することにより、第2防塵壁220の移動範囲を規制した。これに対し実施の形態2では、枠体200の内周部以外に設けられた規制部630が、第2防塵壁620の切り欠き部635と当接することにより、第2防塵壁620の移動範囲を規制している。この構成により、枠体200の内周部に設けた規制部での規制が不要となるため、枠体200、ひいては枠体200を収める外装パネルの設計自由度が向上する。
【0071】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1〜2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用可能である。
【0072】
そこで、以下、他の実施の形態をまとめて説明する。
【0073】
実施の形態1においては、第1防塵壁210が、スポンジで構成されている例を用いて説明を行った。第1防塵壁は、投写レンズの外周部に接するように配置され、投写レンズと一体に移動可能であり、投写レンズと第2防塵壁と共に枠体の開口部を遮蔽するものであればよい。例えば、第1防塵壁は樹脂等で構成されていてもよい。また、第1防塵壁210と、投写レンズ170とは、接着剤により接着されていてもよい。また、第1防塵壁210の外周部に、第1防塵壁が一体的に構成されていてもよい。
【0074】
実施の形態1において、枠体200は外装パネル112とは別の部材で構成される例を用いて説明を行った。しかしながら、枠体と外装パネルとは一体に構成されていてもよい。また、規制部が外装パネルと一体に構成されていてもよい。
【0075】
実施の形態1において、第1防塵壁210および第2防塵壁220は、投写レンズ170の周囲を囲む形状、すなわち環状であるとして説明した。ある方向における投写レンズの可動範囲に応じて、その方向における防塵壁に必要な幅は変化する。したがって、ある方向においては投写レンズが移動しないような構成であれば、他の部分を適切に構成することにより、その方向における防塵壁の幅をゼロ、すなわちその部分において切り欠きのある非環状の形状としてもよい。
【0076】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0077】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0078】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。