(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スピーカ筐体と、前記ヘッドバンドと、は、前記ヘッドバンドの中心軸を鉛直方向とした場合に、前記中心軸方向と前記イヤーパッドの長軸方向とが、所定の角度を有して連結されている、
請求項3に記載のヘッドフォン。
前記連結部は、前記利用者の前方向へ移動した場合は相対的に位置が上がり、後方向へ移動した場合は相対的に位置が下がる、略直線状に可動可能な状態で、前記スピーカ筐体と連結する、
請求項1に記載のヘッドフォン。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0012】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0013】
(実施の形態1)
図1〜6は、本実施の形態で説明するヘッドフォン100の正投影図である。
図1はヘッドフォン100の正面図、
図2はヘッドフォン100の背面図、
図3はヘッドフォン100の左側面図、
図4はヘッドフォン100の右側面図、
図5はヘッドフォン100の平面図、
図6はヘッドフォン100の底面図である。また、
図7は、ヘッドフォン100の別の右側面図である。
【0014】
ヘッドフォン100は、ヘッドバンド110と、スピーカ筐体120a、120bと、連結部130a、130bと、ピンジャック140を備える。
【0015】
ヘッドバンド110は、ヘッドフォン100を装着する利用者の左右の耳に配置されるスピーカ筐体120aと、120bを支持する。ヘッドバンド110は、利用者の上方である頭頂部に沿うように、実質的には円弧形状を有している。
【0016】
スピーカ筐体120a、120bは、ヘッドバンド110の両端に接続される。スピーカ筐体120aはヘッドフォン100を装着する利用者の左耳に配され、スピーカ筐体120bはヘッドフォン100を装着する利用者の右耳に配される。スピーカ筐体120a、120bは、それぞれ内部に音を出力する図示しないスピーカユニットを有している。また、スピーカ筐体120aの利用者の耳と接触する部分にはイヤーパッド150aが設けられ、スピーカ筐体120bの利用者の耳と接触する部分にはイヤーパッド150bが設けられている。以下、特に左右のスピーカ筐体120a、120bを区別しない場合は、スピーカ筐体120と表現する。同様に、イヤーパッド150a、150bの区別をしない場合はイヤーパッド150と表現する。
【0017】
連結部130a、130bは、ヘッドバンド110のそれぞれ異なる端部に配置されている。連結部130aは、ヘッドバンド110とスピーカ筐体120aとを接続し、連結部130bは、ヘッドバンド110とスピーカ筐体120bとを接続する。以下、特に左右の連結部130a、130bの区別をしない場合は、連結部130と表現する。
【0018】
ピンジャック140は、図示しない入力プラグを含むコードを有し、入力プラグを再生機器に接続し、再生機器によって音楽が再生され、再生された音楽がヘッドフォン100へ出力される。
【0019】
図4、
図7に示すようにヘッドフォン100は、その形状が一部変化する。具体的には、連結部130aと、スピーカ筐体120aが利用者の前後方向に所定の範囲で調整可能である。連結部130aを基準とすると、スピーカ筐体120aの位置が、
図4で示す最前方と、
図7で示す最後方との範囲で可動である。その結果、ヘッドフォン100全体としての形状が変化する。
【0020】
ヘッドフォン100は、連結部130aとスピーカ筐体120aの連結状態で位置関係が変化する。具体的には、連結部130aとスピーカ筐体120aが、
図4と
図7に点線で示す直線方向に、相互の連結位置が変化する。スピーカ筐体120aは、連結部130aとの連結面に沿う略直線方向に、その連結位置を変化させることが可能である。
図4、
図7における直線方向は、ヘッドフォン利用者の前方上方と、後方下方と、を結ぶ方向である。
【0021】
連結部130aを基準とすると、スピーカ筐体120aは、前方向、すなわち図では左方向、へ移動すれば相対的にスピーカ筐体120aの鉛直方向の位置が上がり、後方向、すなわち図では右方向、へ移動すれば相対的にスピーカ筐体120aの鉛直方向の位置が下がる。反対に、スピーカ筐体120aを基準とすると、連結部130aが前方向へ移動すれば、ヘッドバンド110は相対的に鉛直方向の位置が上がり、連結部130aが後方向へ移動すれば、ヘッドバンド110は相対的に鉛直方向の位置が下がる。
【0022】
また、
図4、
図7で示すように、連結部130aとスピーカ筐体120aとの前後方向の位置関係を変更することで、ヘッドバンド110とスピーカ筐体120aとの前後方向の位置関係も調整できる。
【0023】
ヘッドバンド110とスピーカ筐体120aとの略前後方向の位置関係を調整することで、ヘッドフォン100をより好適に利用者に装着することが可能となる。
【0024】
なお、ヘッドフォン100の右側面図を用いてヘッドフォン100の形状の変化を説明したが、ヘッドフォン100の左側面においても同様に連結部130bとスピーカ筐体120bとの前後方向の位置関係を変更できる。
【0025】
図8A、
図8Bは、イヤーパッド150の形状と利用者の耳との関係を示す図である。イヤーパッド150は、スピーカ筐体120が、ヘッドフォン100を装着する利用者の耳を包み込むように覆う部分である。イヤーパッド150が利用者の耳を覆い、利用者の耳をイヤーパッド150が囲む空間内に格納する。これによりスピーカユニットと利用者の耳とを含む空間を、隙間の少ない閉空間、すなわち密閉空間、へとより近づけることができる。
【0026】
図8Aに示すイヤーパッド151は、真円に近い形状を有している。これは、イヤーパッド151の角度を考慮することなくヘッドフォン100を装着できるという利点がある。つまり利用者がヘッドフォン100を使用する際に、イヤーパッド151を用いれは、イヤーパッド150の方向を考慮しなくともよい。しかし、その反面、いずれの角度でも好適に耳を覆うためにはイヤーパッド150の大きさを比較的大きくしておく必要がある。イヤーパッド150が大きくなるとヘッドフォン100そのものの大きさも大きくなる。
【0027】
そのため、ヘッドフォン100の大きさをコンパクトにするためにはイヤーパッド150の形状を小さくすることも、一つの要素として求められる。本実施の形態ではより好ましい例として、イヤーパッド150の形状をよりコンパクトな構成を示す。
【0028】
図8Bに示すイヤーパッド152は、コンパクトな形状を有している。一般的に耳は、長軸方向と短軸方向とを有している。そのため、イヤーパッド152も長軸方向と短軸方向を有する形状とする。
図8Bの一例では、イヤーパッド152を
図8Aのイヤーパッド151と比較して小型な形状としつつも、より多くの人に使いやすいように楕円形状としている。ここでイヤーパッド152の楕円形状は完全な楕円である必要は無く、実質的に楕円形状であればよい。イヤーパッド152は、利用者の耳の長軸方向と楕円形状の長軸方向とが実質的に一致するように、装着されることが好ましい。
【0029】
このように構成することで、イヤーパッド150の形状を真円とする場合と比較して、イヤーパッド150の形状をよりコンパクトにすることが可能となる。しかし、利用者はヘッドフォン100を使用する際にイヤーパッド150が好適に耳と接する、つまりイヤーパッド150が耳を包み込むように覆う方向に調整して、ヘッドフォン100を装着する必要が生じる。
【0030】
また、イヤーパッド150が
図8Aで示した真円に近い形状を有する場合でも、スピーカ筐体120が利用者の耳と接する角度を調整する機能を有している場合、この角度調整ができる方向の制約、例えば、角度調整の軸方向の制約等、によって、イヤーパッド150を利用者の耳に装着する角度が実質的に制約を受ける場合が有る。このような場合も、同様に、イヤーパッド150が耳と所定の角度を有してヘッドフォン100を装着する必要が生じる。
【0031】
つまり、イヤーパッド150の形状が真円に近い形状を有する場合でも、イヤーパッド150が利用者の耳に対して、
図8Aの平面に対して垂直な回転軸に対して回転して装着できない場合がある。このような場合にもイヤーパッド150の方向等を調整してヘッドフォン100を装着する必要が生じる。形状、機能等に係わらずイヤーパッド150が装着方向の制約を有する場合に、ヘッドフォン100を使用する場合にはこれらの方向を調整して装着する必要が生じる。ここで「装着方向」とは、上述の通りヘッドフォン100を利用者が装着する場合に、利用者の耳に対してスピーカ筐体120の方向を意味する。また「装着方向の制約を有する」とは、「装着方向」が特定の方向に限定して使用されるべきであることを意味する。
【0032】
なお、スピーカユニットと利用者の耳を含む空間をより密閉空間に近づけるため、スピーカユニットから出力された音が、スピーカ筐体120の外へ漏れ出る量を抑制する材質であることが好ましい。具体的には、イヤーパッド150やその他のスピーカ筐体120の材質を空気透過性の低い材質である。このような材質には、ナイロンや合成皮革が一例としてあげられる。
【0033】
一般にスピーカユニットから出力される音は、空気を振動することで伝搬する。イヤーパッド150等の素材が空気透過率の比較的高いものであると、その素材を透過してスピーカユニットから出力された音がスピーカ筐体120外部へ漏れてしまう。同時に外部の音も入り込む。これらの現象は、ヘッドフォンで視聴する音の品質を低下させる要因となる。
【0034】
図9は、スピーカ筐体120とヘッドバンド110との取り付けについて説明する図である。
【0035】
スピーカ筐体120のイヤーパッド150は既に説明したように、ヘッドフォン100をコンパクトにするには、実質的に楕円形状とすることが好ましい。しかしその場合には、イヤーパッド150と利用者の耳との相対的な位置関係について制約を受ける場合がある。具体的には利用者の耳の長軸方向とイヤーパッド150の長軸方向と、利用者の耳の短軸方向とイヤーパッド150の短軸方向とを、それぞれ実質的に一致させる必要がある。
【0036】
一般的に人の耳は、耳長軸方向が鉛直方向と一致せず、
所定の角度α(0<α<45:αは実数)を有している。そのため、スピーカ筐体120が利用者の耳に好適に装着される場合、ヘッドバンド110が利用者の頭頂部方向に実質的に鉛直上向きとなるためにはこの角度αを考慮して、ヘッドバンド110とスピーカ筐体120とが連結されることが必要となる。つまり、ヘッドバンド110は、その中心軸が鉛直方向と実質的に一致する角度αでスピーカ筐体120と連結する。
【0037】
このようにすることで、イヤーパッド150をよりコンパクトにできるとともに、ヘッドフォン100を使用する際に、コンパクトになったイヤーパッド152でも利用者の耳を好適に覆うことができる。
【0038】
図10は、
図1の10−10断面図であり、連結部130aの具体的な構成の一例を示す図である。
図10は、
図1の10−10断面図は利用者の左耳側の断面図であるが、利用者の右耳側も同様であるため、連結部130として説明する。連結部130は、連結軸310と、ストッパ320と、可動子330と、連結部筐体340を有する。
【0039】
連結軸310は、物理的に、連結部130とスピーカ筐体120を接続する。連結軸310は、図示していないが、内部は中空である。スピーカユニットへの配線等は、この中空部分を通る。連結軸310は、スピーカ筐体120に設けられた挿入用の貫通穴121を通る。
【0040】
ストッパ320は、連結軸310のスピーカ筐体120側の端部に設けられる。ストッパ320は、スピーカ筐体120が連結軸310から下落するのを防ぐ。そのため、ストッパ320の長手方向の断面は、スピーカ筐体120に設けられた貫通穴121の長手方向の断面よりも大きくなる。ストッパ320は、貫通穴121を通過した連結軸310とスピーカ筐体120の内部側から結合される。
【0041】
可動子330は、連結軸310の連結部130側の端部に設けられる。可動子330は、連結部筐体340の内部に配置されている。可動子330は、連結軸310、ストッパ320、及びスピーカ筐体120が、連結部130から下落するのを防ぐ。可動子330は、連結部筐体340に設けられた開口部分341の大きさよりも大きい形状を有する。
【0042】
また、可動子330は連結部筐体340内部を移動する。この移動により、スピーカ筐体120が、ヘッドバンド110に対して相対的な位置の変化となる。つまりヘッドフォン100において、スピーカ筐体120が所定の前後方向に移動して調整される。この可動子330の連結部筐体340内部での可動範囲の大きさが、スピーカ筐体120と連結部130の調整する量の大きさとなる。
【0043】
連結部筐体340は、可動子330を格納する筐体である。連結部筐体340の内部は、上述の通り、可動子330が連結部筐体340の内部を移動するため、可動子330の形状よりも大きい空間が必要である。さらに、連結部筐体340の下部には、連結軸310を貫通させるため、開口部分341がある。
【0044】
なお、連結軸310を中心軸として、スピーカ筐体120は回転するものであってもよい。回転する場合は、スピーカ筐体120は、イヤーパッド150を利用者の耳の接触面の角度に応じて、回転方向を調整することが可能となる。
【0045】
また、連結部筐体340の内壁と、可動子330の外周部に波状の形状を設けてもよい。可動子330が連結部筐体340内部を移動する際に、この波状の凸部が接触する部分では、一定力以上の抵抗となる。そのため、スピーカ筐体120を前後移動させる場合に、利用者は一定以上の抵抗感を得ることができる。可動子330が連結部筐体340の内部を移動する度に、この波状の凸部が接触する部分では、一定力以上の抵抗となる。
【0046】
同様に、連結部筐体340内部の空間には、例えば所定以上の粘性を有するグリス等を挿入しておいてもよい。可動子330が連結部筐体340内部を移動する際に、このグリスが移動に対する抵抗となる。そのため、スピーカ筐体120を前後移動させる場合に、利用者は一定以上の抵抗感を得ることが可能となる。
【0047】
上記の抵抗感を設ける理由は、ヘッドフォン100を装着した利用者が多少動いても、調整されたヘッドバンド110や、スピーカ筐体120が、好適な状態を容易に崩してしまうことを防ぐためである。調整済のヘッドバンド110やスピーカ筐体120の位置関係が崩れると、ヘッドフォン100の利用者が聞いている音の品質が低下することに繋がる。利用者が動いた場合でもヘッドフォン100の装着性を保つためには、各種の調整部分において調整した内容がしっかり保持されることが必要となる。そこで、上記のようにスピーカ筐体120の位置を保持することを目的として、所定の抵抗感を生じさせるような構成を入れてもよい。
【0048】
これとは反対に、例えばスピーカ筐体120を、連結軸310を中心に回転させる部分において、利用者の動きに追随して回転角度が変化するものであっても良い。そういう部分では、抵抗感を比較的小さくするため、上記の様な構成は不要である。
【0049】
上述したように、ヘッドフォン100の各部の調整内容に応じて、それぞれの抵抗感を異なるものとするものであって良い。本実施の形態で説明した、連結部130における部分では、上記の通り比較的大きめの抵抗感が好ましいと考えられる。
【0050】
図11Aは、本実施の形態のヘッドフォン100を利用者が装着した場合の一例を示す図である。
図11Bは、本実施の形態のヘッドフォン100を利用者が装着した場合の別の一例を示す図である。
【0051】
図11Aは、連結部130aを基準とすると、スピーカ筐体120aの位置が、最前方に調整した一例である。連結部130aとスピーカ筐体120aの位置を変更せず、利用者がヘッドフォン100を装着し、好適な条件で装着できる。利用者は、ヘッドフォン100により、品質の高い状態でヘッドフォン100が出力する音を楽しむことができる。
【0052】
図11Bは、連結部130aを基準とすると、スピーカ筐体120aの位置が、最後方に調整した一例である。
【0053】
連結部130aとスピーカ筐体120aの位置を調整する。調整の手順として具体的には、最初にスピーカ筐体120を利用者の耳に好適な状態で装着させる。その後、スピーカ筐体120aの位置を保持しながら、ヘッドバンド110をスピーカ筐体120aに対して移動させながら、ヘッドバンド110を最も安定して装着する場所を探し、その部分でヘッドバンド110を装着する。これにより、好適な条件でヘッドフォン100を装着することが可能となる。その結果、利用者は、ヘッドフォン100が出力する音を品質の高い状態で楽しむことが可能となる。
【0054】
特にイヤーパッド150が楕円形状のイヤーパッド152であり、スピーカユニットから出力された音がスピーカ筐体120外部へ漏れる量を所定量以下に抑えるタイプのヘッドフォン100の場合には,イヤーパッド152の位置は、利用者の耳の場所、方向によりほぼ決定される。その位置を基準として、ヘッドバンド110の位置を調整する際に、スピーカ筐体120に対して、ヘッドバンド110の前後方向の位置を調整することは、より好適に装着できる。
【0055】
なお、ヘッドフォン100の使用時にスピーカユニットから出力された音をスピーカ筐体120外部へ漏れ出る量を所定量以下にするヘッドフォン100を一般的に「密閉形ヘッドフォン」と称することもあるが、ここで「密閉形」とは完全な「密閉」を意味するのでは無く、漏れ出る量が所定量以下であることも含めて「密閉形」と理解されている。本開示においても、「密閉形ヘッドフォン」と称する場合には、このような意図で用いている。
【0056】
なお、上記の説明において、利用者の耳の位置と、頭頂部の位置との関係を例に、本実施の形態で説明したヘッドフォン100の効果を説明したが、ヘッドフォン100の装着性は上記の例に限らず、それ以外の要素に依存するものであってもよい。
【0057】
以上により、本実施の形態で説明したヘッドフォン100では、連結部130とスピーカ筐体120との位置関係を利用者の前後方向に移動可能とするものである。この移動性により、ヘッドフォン100の装着性を向上させることができる。
【0058】
図11A、
図11Bの一例では、ヘッドバンドとスピーカ筐体との移動量が0の場合と、最大の場合とを例示したが、本実施の形態の内容はこれに限定されるものではない。つまり、移動量が最少の0〜最大の量の間であれば、いずれの移動量でヘッドフォン100を装着できるものであっても良い。つまり、本実施の形態のヘッドフォン100は、連結部130とスピーカ筐体120を利用者の前後方向に連続的にオフセット可能な状態で連結するものである。
【0059】
また、ヘッドバンド110とスピーカ筐体120との位置関係の調整は、利用者自身がヘッドバンド110とスピーカ筐体120とを手動操作して調整するものであってもよいし、連結部130にさらにモータ等のアクチュエータ等を設け、アクチュエータの動力で位置関係を調整するものであっても良い。アクチュエータで操作する場合、ヘッドフォン100にメモリとコントローラを設け、利用者毎にヘッドバンドとスピーカ筐体120の位置関係を記録しておき、利用者毎に好適な位置関係を再現できるものであってもよい。
【0060】
なお、本実施の形態では
図4、
図7で例示したように、ヘッドバンド110を基準としてスピーカ筐体120を可動部分と見なした場合に、スピーカ筐体120が最前方向にある場合に、ヘッドバンド110とスピーカ筐体120との移動量であるオフセット量が0となり、スピーカ筐体120が最後方にある場合に、オフセット量が最大となる場合を例として図示し、説明した。しかし、本開示のヘッドフォンはこれに限定されるものではない。最前方でオフセット量が最大、最後方向でオフセット量が0となるものであってもよい。また、最前方、最後方いずれのときもオフセット量が生じるものであってもよい。
【0061】
ただ、本実施の形態で説明したように最前方、又は最後方の一方でオフセット量が0となるような位置関係とすることで、デザイン上どの位置が基準となるかがわかりやすい等の利点が有る。
【0062】
さらに、連結部130とスピーカ筐体120との位置関係を利用者が目視できるようにしてもよい。
【0063】
図12は、本実施の形態のヘッドフォン200の左側面図であり、
図13は、本実施の形態のヘッドフォン200の右側面図であり、
図14は、本実施の形態のヘッドフォン200の別の右側面図である。
【0064】
ヘッドフォン200は、ヘッドバンド110と、スピーカ筐体220a、220bと、連結部230a、230bと、ピンジャック140を備える。ヘッドフォン100と異なる点は、スピーカ筐体220a、220bと、連結部230a、230bに、調整した量が目視できるように、目盛りを有している点である。目盛りを有していることで、利用者の左右の耳の調整が同じように調整できているか否かを目盛りの位置で確認できる。
【0065】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1と相違する部分を中心に説明をする。
【0066】
図15Aは、本実施の形態のヘッドフォン1500の斜視図であり、
図15Bは、本実施の形態のヘッドフォン1500の別の斜視図である。
【0067】
ヘッドフォン1500は、ヘッドバンド上部1510と、ヘッドバンド下部1511a、1511bと、連結部1530a、1530bと、スピーカ筐体120a、120bと、ピンジャック140を備える。
【0068】
ヘッドバンド上部1510は、利用者の上方である頭頂部に沿うように、実質的には円弧形状を有している。
【0069】
ヘッドバンド下部1511a、1511bは、ヘッドフォン1500を装着する利用者の左右の耳に配置されるスピーカ筐体120aと、120bを支持する。
【0070】
スピーカ筐体120aが利用者の耳と接触する部分にはイヤーパッド150aが設けられ、スピーカ筐体120bが利用者の耳と接触する部分にはイヤーパッド150bが設けられている。
【0071】
連結部1530aは、ヘッドバンド上部1510とヘッドバンド下部1511aとを接続し、連結部1530bは、ヘッドバンド上部1510とヘッドバンド下部1511bとを接続する。
【0072】
本実施の形態で説明するヘッドフォン1500は、連結部1530a、1530bがヘッドバンド上部1510と、ヘッドバンド下部とが、移動可能とする点である。
【0073】
実施の形態1では、ヘッドバンド110とスピーカ筐体120の間の連結部130で、スピーカ筐体120の移動機能も同時に実現する構成をとっていた。本実施の形態では、連結部1530a、1530bの移動機能と、ヘッドバンド下部1511aとスピーカ筐体120aとの連結機能、ヘッドバンド下部1511bとスピーカ筐体120bとの連結機能と、が異なる構成となっている。このことは、一つの構成に複数の機能を持たせる構成と比較して、個々の構成部位を比較的簡単な機構で実現できる利点がある。
【0074】
また、本実施の形態のヘッドフォン1500を装着した場合、装着性を調整するための操作がそれぞれ異なる機構を制御することで実現しているため、比較的調整しやすいという利点がある。
【0075】
(実施の形態3)
本実施の形態の説明でも、実施の形態2の場合と同様に、実施の形態1と相違する部分を中心に説明する。
【0076】
図16は、本実施の形態で説明するヘッドフォン1600のヘッドバンド1610とスピーカ筐体1620との接続部分を説明する図である。
【0077】
ヘッドフォン1600は、ヘッドバンド1610と、連結部1630と、スピーカ筐体1620と、ピンジャック140を備える。
【0078】
ヘッドバンド1610は、ヘッドフォン1600を装着する利用者の左右の耳に配置されるスピーカ筐体1620を支持する。ヘッドバンド1610は、利用者の上方である頭頂部に沿うように、実質的には円弧形状を有している。
【0079】
スピーカ筐体1620は、ヘッドバンド1610の両端に接続される。スピーカ筐体1620はヘッドフォン1600を装着する利用者の左右の耳に配される。スピーカ筐体1620は、それぞれ内部に音を出力する図示しないスピーカユニットを有している。また、スピーカ筐体1620が利用者の耳と接触する部分にはイヤーパッド150が設けられている。
【0080】
連結部1630は、ヘッドバンド1610の端部に配置されている。連結部1630は、ヘッドバンド1610とスピーカ筐体1620とを接続する。
【0081】
本実施の形態のヘッドフォン1600は、ヘッドバンド1610が、スピーカ筐体1620を覆う位置まで下端が伸び、スピーカ筐体1620を覆った位置で連結部1630と、スピーカ筐体1620とが連結している点である。つまり、本実施の形態のヘッドフォン1600では、ヘッドバンド1610とスピーカ筐体1620とが側面方向から見た場合、重なり合った位置関係で連結している。
【0082】
本実施の形態の場合には、ヘッドバンド1610と、連結部1630とが別の構成となっていても良いし、連結部1630がヘッドバンド1610に一体として構成されている場合のいずれであっても良い。
【0083】
実施の形態1と同様に、連結部1630がヘッドバンド1610に対するスピーカ筐体1620の前後移動機能を併せ持つ。ヘッドフォン1600の利用者は、スピーカ筐体1620の調整をこの部分で集中して調整することが可能となる。
【0084】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1〜3とは異なる構成で、利用者の耳に好適に装着できるヘッドフォンについて説明する。
【0085】
図17は、本実施の形態のヘッドフォン1700の斜視図であり、
図18は、本実施の形態のヘッドフォン1700の右側面図であり、
図19は、本実施の形態のヘッドフォン1700の別の右側面図であり、
図20は、本実施の形態のヘッドフォン1700のさらに別の右側面図であり、
図21Aは、本実施の形態のヘッドフォン1700の別の斜視図であり、
図21Bは、本実施の形態のヘッドフォン1700のさらに別の斜視図である。
【0086】
ヘッドフォン1700は、ヘッドバンド1710と、ヘッドパッド1720と、スピーカ筐体120a、120bと、ピンジャック140を備える。
【0087】
ヘッドバンド1710は、ヘッドフォン1700を装着する利用者の左右の耳に配置されるスピーカ筐体120a、120bを支持する。ヘッドバンド1710は、利用者の上方である頭頂部に沿うように、実質的には円弧形状を有している。
【0088】
スピーカ筐体120a、120bは、ヘッドバンド1710の両端に接続される。スピーカ筐体120a、120bはヘッドフォン1700を装着する利用者の左右の耳に配置される。スピーカ筐体120a、120bは、それぞれ内部に音を出力する図示しないスピーカユニットを有している。また、スピーカ筐体120a、120bが利用者の耳と接触する部分にはイヤーパッド150a、150bが設けられている。
【0089】
ヘッドパッド1720は、ヘッドバンド1710が利用者の頭頂部付近と接する部分に設けられている。ヘッドパッド1720が利用者の頭部と実際に接する。ヘッドパッド1720は、ヘッドバンド1710の前後方向の幅よりも広い幅を有している。
【0090】
ヘッドパッド1720は、ヘッドバンド1710に対して、前後方向にその位置を変更できる。
図19は、ヘッドパッド1720を前側に移動した状態を示し、
図20は、反対に、ヘッドパッド1720を後側に移動した状態を示している。同様に、
図21Aは、ヘッドパッド1720を前側に移動した状態を示し、
図21Bは、ヘッドパッド1720を後側に移動した状態を示している。
【0091】
図22Aは、ヘッドフォン1700のヘッドバンド1710とヘッドパッド1720の内部構造の一例を示す図であり、
図22Bは、
図22Aの22B−22B断面図である。
【0092】
ヘッドバンド1710は、凸型突起1710aを有し、ヘッドパッド1720は、凸型溝1720aを有しており、凸型突起1710aを、凸型溝1720aに嵌めこみ、スライドさせることにより、ヘッドパッド1720は、ヘッドバンド1710に対して、前後方向にその位置を変更する。
【0093】
このヘッドパッド1720の位置を、ヘッドバンド1710に対して前後方向に調整することで、ヘッドフォン1700を利用者に装着する際の、ヘッドフォン1700と利用者の頭部との接触点を前後方向に変更することができる。つまり、本実施の形態のヘッドフォン1700では、スピーカ筐体120a、120bを利用者の耳に好適な状態で装着し、ヘッドバンド1710はそれに従って利用者の頭部に対して位置が決定される。しかし、そのままでは利用者によっては、安定してヘッドフォン1700を装着できない可能性がある。そこで、ヘッドバンド1710と利用者の頭部との間にヘッドパッド1720を設け、このヘッドパッド1720の位置を前後方向に移動可能とする。
【0094】
これにより、実施の形態1〜3の場合とは異なり、本実施の形態のヘッドバンド1710はスピーカ筐体120a、120bを支持する機能が主となり、ヘッドフォン1700を利用者に装着する機能はヘッドパッド1720が担う。ヘッドパッド1720は、ヘッドバンド1710に対して前後方向に移動可能とすることで、ヘッドフォン1700を装着する際の位置を前後方向に調整できる。これにより、イヤーパッド150a、150bを好適に装着することと、ヘッドフォン1700を安定して装着することの両者が実現できる。
【0095】
つまり、本実施の形態で説明したヘッドフォン1700は、スピーカユニットを有するスピーカ筐体120a、120bと、スピーカ筐体120a、120bを支持するヘッドバンド1710と、ヘッドフォン1700の利用者の頭部と接しヘッドバンド1710に前後方向に移動可能に取り付けられたヘッドパッド1720と、を備える。
【0096】
以上により、本実施の形態で説明したヘッドフォン1700において、利用者の耳に好適に装着できる。
【0097】
なお、上記の説明では説明を簡単にするために、実施の形態1〜3で説明した、ヘッドバンド1710とスピーカ筐体120a、120bの前後方向の位置調整がないことを前提として説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。実施の形態1〜3で説明した内容と、本実施の形態で説明した内容とを組み合わせるものであっても良い。
【0098】
(その他変形例)
実施の形態1〜4では、利用者の左右の耳にスピーカ筐体を設けるヘッドフォンについて説明したが、本開示で開示する内容はこれに限定されない。例えば、スピーカユニットを有するスピーカ筐体が左右一方の片側にのみ設けられるようなヘッドフォンであっても良い。