特許第6244627号(P6244627)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6244627画像表示装置、プロジェクター、および画像表示装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244627
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】画像表示装置、プロジェクター、および画像表示装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20171204BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20171204BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20171204BHJP
   G09G 5/377 20060101ALI20171204BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20171204BHJP
   G09G 5/38 20060101ALI20171204BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20171204BHJP
   G06F 3/0346 20130101ALI20171204BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20171204BHJP
   G06F 3/042 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   G09G5/00 550C
   G03B21/00 D
   G03B21/14 Z
   G09G5/00 510H
   G09G5/36 520L
   G09G5/00 530H
   G09G5/36 520G
   G09G5/38 A
   G09G5/00 510B
   H04N5/74 Z
   G06F3/0346 422
   G06F3/041 630
   G06F3/041
   G06F3/042 473
   G06F3/041 510
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-1588(P2013-1588)
(22)【出願日】2013年1月9日
(65)【公開番号】特開2014-134613(P2014-134613A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2015年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100164633
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(72)【発明者】
【氏名】本田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】小沢 孝
【審査官】 斎藤 厚志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−209579(JP,A)
【文献】 特開2007−322704(JP,A)
【文献】 特表2007−535733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00
G03B 21/00
G03B 21/14
G06F 3/0346
G06F 3/041
G06F 3/042
G09G 5/36
G09G 5/377
G09G 5/38
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部を有する画像表示装置であって、
前記表示部によって表示された表示画像内において、指示体が指示する位置を検出する位置検出部と、
前記指示体が指示する位置に応じて前記表示画像内に描画を行う描画部と、
前記画像表示装置の使用者の身長の高さを検出する高さ検出部と、
前記高さ検出部が検出した前記使用者の身長の高さに応じて、前記表示部が表示する前記表示画像の形状または表示位置の少なくとも一方を変更させる表示変更部と、
を備え、
前記高さ検出部が、所定の高さ未満の身長の前記使用者がいることを検出してから所定の第1の時間の間に、前記使用者の身長の高さに変化があったか否かの判定を行い、前記判定の結果、前記使用者の身長の高さに変化がなく、前記第1の時間経過後に、前記表示変更部は、前記高さ検出部が検出した前記使用者の身長の高さに応じて、前記表示部が表示する前記表示画像の形状または表示位置の少なくとも一方を変更させ、
前記高さ検出部が、前記使用者がいないことを検出してから所定の第2の時間の間、前記使用者がいないことを検出した場合、前記第2の時間経過後に、前記表示変更部は、変更させた前記表示画像を、デフォルトの形状および表示位置に戻すことを特徴とすることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記表示変更部は、前記表示画像の形状を縮小させることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像表示装置であって、
前記表示変更部は、前記表示画像の形状を高さ方向に縮小させることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記表示変更部は、前記表示画像の表示位置を下方向に移動させることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像表示装置であって、
前記位置検出部が、前記表示画像の所定の領域に対する前記指示体による指示を検出した場合、前記表示変更部は、前記所定の領域内の指示された位置に応じて、前記表示部が表示する前記表示画像を変更させることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像表示装置であって、
前記位置検出部が、前記表示画像の所定の位置に対する前記指示体による指示を検出した場合、前記表示変更部は、変更させた前記表示画像を、デフォルトの形状および表示位置に戻すことを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
光源から射出された光を画像情報に応じて画像光に変調して投写する画像投写部を有するプロジェクターであって、
前記画像投写部によって投写された表示画像内において、指示体が指示する位置を検出する位置検出部と、
前記指示体が指示する位置に応じて前記表示画像内に描画を行う描画部と、
前記プロジェクターの使用者の身長の高さを検出する高さ検出部と、
前記高さ検出部が検出した前記使用者の身長の高さに応じて、前記画像投写部が投写する前記表示画像の形状または表示位置の少なくとも一方を変更させる表示変更部と、
を備え、
前記高さ検出部が、所定の高さ未満の身長の前記使用者がいることを検出してから所定の第1の時間の間に、前記使用者の身長の高さに変化があったか否かの判定を行い、前記判定の結果、前記使用者の身長の高さに変化がなく、前記第1の時間経過後に、前記表示変更部は、前記高さ検出部が検出した前記使用者の身長の高さに応じて、前記画像投写部が表示する前記表示画像の形状または表示位置の少なくとも一方を変更させ、
前記高さ検出部が、前記使用者がいないことを検出してから所定の第2の時間の間、前記使用者がいないことを検出した場合、前記第2の時間経過後に、前記表示変更部は、変更させた前記表示画像を、デフォルトの形状および表示位置に戻すことを特徴とすることを特徴とするプロジェクター。
【請求項8】
画像を表示する表示部を有する画像表示装置の制御方法であって、
前記表示部によって表示された表示画像内において、指示体が指示する位置を検出する位置検出ステップと、
前記指示体が指示する位置に応じて前記表示画像内に描画を行う描画ステップと、
前記画像表示装置の使用者の身長の高さを検出する高さ検出ステップと、
前記高さ検出ステップで、所定の高さ未満の身長の前記使用者がいることを検出してから所定の第1の時間の間に、前記使用者の高さに変化があったか否かの判定を行う判定ステップと、
前記判定ステップの前記判定の結果、前記使用者の身長の高さに変化がなく、前記第1の時間経過後に、前記高さ検出ステップによって検出された前記使用者の身長の高さに応じて、前記表示部が表示する前記表示画像の形状または表示位置の少なくとも一方を変更させる表示変更ステップと、
前記使用者がいないこと検出してから所定の第2の時間の間、前記使用者がいないことを検出した場合、前記第2の時間経過後に、前記表示変更ステップで変更させた前記表示画像を、デフォルトの形状および表示位置に戻すステップと、
を備えることを特徴とする画像表示装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、プロジェクター、および画像表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピューター等から出力される画像信号に基づく画像を、プロジェクター等の表示装置によってスクリーン等に表示するとともに、電子ペンを用いて投写画像に対して行ったユーザーの操作を、表示装置(プロジェクター)が検出し、ユーザーの操作に関する情報に基づく画像を生成して表示させる電子黒板システム(インタラクティブシステム)が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−140154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなインタラクティブシステムにおいて、ユーザー(使用者)が、電子ペン等による入力操作を行う際に、投写(表示)画面の上部に手が届かない場合があった。つまり、ユーザーが、投写画面の上部に入力操作を行うことができない場合があった。このような場合には、ユーザーが台等に乗ることで、対応することも可能ではあるが、不便であった。また、インタラクティブシステムのプロジェクターを動かして、投写画面の位置を移動させる(低くさせる)ことも考えられるが、作業に手間が掛かる上、スクリーンから遠い位置にいる視聴者が、投写画面を視認しにくくなるという問題があった。このため、投写画面の上部にも、容易に入力操作が可能なインタラクティブシステムを実現するプロジェクターが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係る画像表示装置は、画像を表示する表示部を有する画像表示装置であって、前記表示部によって表示された表示画像内において、指示体が指示する位置を検出する位置検出部と、前記指示体が指示する位置に応じて前記表示画像内に描画を行う描画部と、前記画像表示装置の使用者の身長の高さを検出する高さ検出部と、前記高さ検出部が検出した前記使用者の身長の高さに応じて、前記表示部が表示する前記表示画像の形状または表示位置の少なくとも一方を変更させる表示変更部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
このような画像表示装置によれば、位置検出部は、指示体が指示する位置を検出する。描画部は、指示体が指示する位置に応じて表示画像内に描画を行う。高さ検出部は、画像表示装置の使用者の身長の高さを検出する。表示変更部は、使用者の身長の高さに応じて、表示画像の形状または表示位置の少なくとも一方を変更させる。これにより、使用者は、身長の高さに応じた表示画像に、描画操作を行うことが可能になる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に係る画像表示装置において、前記表示変更部は、前記表示画像の形状を縮小させることを特徴とする。
【0009】
このような画像表示装置によれば、表示変更部は、表示画像の形状を縮小させる。これにより、身長の高さに応じて表示画像が縮小されるため、身長の低い使用者でも、表示画像に描画操作を行うことが可能になる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に係る画像表示装置において、前記表示変更部は、前記表示画像の形状を高さ方向に縮小させることを特徴とする。
【0011】
このような画像表示装置によれば、表示変更部は、表示画像の形状を高さ方向に縮小させる。これにより、身長の高さに応じて表示画像が縮小されるため、身長の低い使用者でも、表示画像の上部に描画操作を行うことが可能になる。
【0012】
[適用例4]上記適用例に係る画像表示装置において、前記表示変更部は、前記表示画像の表示位置を下方向に移動させることを特徴とする。
【0013】
このような画像表示装置によれば、表示変更部は、表示画像の表示位置を下方向に移動させる。これにより、身長の高さに応じて表示画像が下方向に移動されるため、身長の低い使用者でも、表示画像の上部に描画操作を行うことが可能になる。
【0014】
[適用例5]上記適用例に係る画像表示装置において、前記高さ検出部が、前記使用者がいないことを検出した場合、前記表示変更部は、変更させた前記表示画像を、デフォルトの形状および表示位置に戻すことを特徴とする。
【0015】
このような画像表示装置によれば、高さ検出部が、使用者がいないことを検出した場合、表示変更部は、表示画像をデフォルト(初期状態)の形状および表示位置に戻す。これにより、変更された表示画像を元の状態に戻すことができる。
【0016】
[適用例6]上記適用例に係る画像表示装置において、前記位置検出部が、前記表示画像の所定の領域に対する前記指示体による指示を検出した場合、前記表示変更部は、前記所定の領域内の指示された位置に応じて、前記表示部が表示する前記表示画像を変更させることを特徴とする。
【0017】
このような画像表示装置によれば、位置検出部が、所定の領域に対する指示体による指示を検出した場合、表示変更部は、指示された位置に応じて、表示画像を変更させる。これにより、使用者は、指示体によって指示した位置に応じた表示画像に、描画操作を行うことが可能になる。
【0018】
[適用例7]上記適用例に係る画像表示装置において、前記位置検出部が、前記表示画像の所定の位置に対する前記指示体による指示を検出した場合、前記表示変更部は、変更させた前記表示画像を、デフォルトの形状および表示位置に戻すことを特徴とする。
【0019】
このような画像表示装置によれば、位置検出部が、表示画像の所定の位置に対する指示体による指示を検出した場合、表示変更部は、表示画像をデフォルト(初期状態)の形状および表示位置に戻す。これにより、変更された表示画像を元の状態に戻すことが可能になる。
【0020】
[適用例8]本適用例に係るプロジェクターは、光源から射出された光を画像情報に応じて画像光に変調して投写する画像投写部を有するプロジェクターであって、前記画像投写部によって投写された表示画像内において、指示体が指示する位置を検出する位置検出部と、前記指示体が指示する位置に応じて前記表示画像内に描画を行う描画部と、前記プロジェクターの使用者の身長の高さを検出する高さ検出部と、前記高さ検出部が検出した前記使用者の身長の高さに応じて、前記画像投写部が投写する前記表示画像の形状または表示位置の少なくとも一方を変更させる表示変更部と、を備えることを特徴とする。
【0021】
このようなプロジェクターによれば、使用者は、身長の高さに応じた表示画像に、描画操作を行うことが可能になる。
【0022】
[適用例9]本適用例に係る画像表示装置の制御方法は、画像を表示する表示部を有する画像表示装置の制御方法であって、前記表示部によって表示された表示画像内において、指示体が指示する位置を検出する位置検出ステップと、前記指示体が指示する位置に応じて前記表示画像内に描画を行う描画ステップと、前記画像表示装置の使用者の身長の高さを検出する高さ検出ステップと、前記高さ検出ステップによって検出された前記使用者の身長の高さに応じて、前記表示部が表示する前記表示画像の形状または表示位置の少なくとも一方を変更させる表示変更ステップと、を備えることを特徴とする。
【0023】
このような画像表示装置の制御方法によれば、使用者は、身長の高さに応じた表示画像に、描画操作を行うことが可能になる。
【0024】
また、上述した画像表示装置、プロジェクターおよび画像表示装置の制御方法が、画像表示装置やプロジェクターに備えられたコンピューターを用いて構築されている場合には、上記形態および上記適用例は、その機能を実現するためのプログラム、あるいは当該プログラムを前記コンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体等の態様で構成することも可能である。記録媒体としては、フレキシブルディスクやHDD(Hard Disk Drive)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu−ray Disc(登録商標)、光磁気ディスク、不揮発性メモリーカード、画像表示装置やプロジェクターの内部記憶装置(RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体メモリー)、および外部記憶装置(USB(Universal Serial Bus)メモリー等)等、前記コンピューターが読み取り可能な種々の媒体を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1の実施形態に係るインタラクティブシステムの使用形態を示す説明図であり、(a)は、通常の使用形態を示す説明図、(b)は、投写画像を縮小した使用形態を示す説明図。
図2】第1の実施形態に係るプロジェクターの構成を示すブロック図。
図3】プロジェクターがユーザーとの距離を測定する態様の説明図。
図4】画像データの縮小についての説明図であり、(a)は、通常の画像データの説明図、(b)は、縮小した画像データの説明図。
図5】画像データを元のサイズに戻す際の説明図であり、(a)は、画像データが縮小された状態の説明図、(b)は、画像データを元のサイズに戻した状態の説明図。
図6】プロジェクターの状態遷移図。
図7】プロジェクターの通常投写状態における処理のフローチャート。
図8】プロジェクターの縮小投写状態における処理のフローチャート。
図9】第2の実施形態のプロジェクターの画像データの説明図であり、(a)は、通常の画像データの説明図、(b)は、縮小した画像データの説明図。
図10】プロジェクターの画像縮小処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態として、ユーザー(使用者)の身長の高さを測定して、当該高さに応じて画像を縮小して投写する画像表示装置としてのプロジェクター、およびインタラクティブシステムについて説明する。
【0027】
図1は、第1の実施形態に係るインタラクティブシステムの使用形態を示す説明図であり、(a)は、通常の使用形態を示す説明図、(b)は、投写画像を縮小した使用形態を示す説明図である。
図1では、ユーザーHがプレゼンテーションを行っている態様を表している。図1に示すように、本実施形態のインタラクティブシステム1は、プロジェクター100と、光信号を発信する指示体としての発光ペン200と、パーソナルコンピューター(PC)300と、発光ペン200を保持したユーザーHと、ホワイトボード等の投写面Sとが表されている。
【0028】
プロジェクター100は、取付部材90によって投写面Sの上方の壁面に取り付けられており、投写面Sに画像を投写する。プロジェクター100は、投写レンズ(図1では図示せず)と、CCD(Charge Coupled Device)センサー等からなる撮像部(図1では図示せず)とを有している。投写レンズから投写された投写画像は、投写面Sに投写される。図1では、投写画像光は破線で表している。撮像部は、投写画像を含む範囲を撮像する。
【0029】
プロジェクター100は、ケーブルC1を介してPC300と接続されている。そして、PC300は、プロジェクター100に画像信号を供給する。本実施形態では、ケーブルC1は、アナログRGBのケーブルとするが、他の種別のケーブルとしてもよい。例えば、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)ケーブルやUSBケーブル等としてもよい。
【0030】
ユーザーHが、発光ペン200によって、投写面Sに入力操作(描画操作)を行うと、プロジェクター100の撮像部が撮像して入力操作された位置を検出し、その位置に基づいて、プロジェクター100の描画メモリー(図示せず)に描画データを記憶させる。そして、プロジェクター100は、描画データを画像情報に合成して投写することができる。
【0031】
図1(a)では、ユーザーHは、高さL1の投写画像の略中央部に入力操作をしているが、投写画像の上部には手が届かないため、入力操作を行うことができない。図1(b)では、投写画像を高さ方向に縮小して、高さL2の部分に投写している。ここで、縮小された高さL2の投写画像は、縮小される前の高さL1の投写画像の下端は動かさず、高さ方向に縮小されている。このため、縮小された高さL2の投写画像の上端は、縮小される前の高さL1の投写画像の上端よりも低くなっている。この低くなった部分をL3としている。そして、上部L3の部分は、画像の投写を行わない。このようにすることで、ユーザーHは、縮小された投写画像の上部に入力操作をすることができる。以降、このように投写画像を縮小するプロジェクター100について説明する。
【0032】
図2は、第1の実施形態に係るプロジェクター100の構成を示すブロック図である。
図2には、プロジェクター100に加えて、指示体としての発光ペン200、PC300、および投写面Sが表されている。これらによって、インタラクティブシステム1が実現される。
【0033】
プロジェクター100は、表示部としての画像投写部10、制御部20、操作受付部21、高さ検出部22、画像信号入力部31、画像処理部32、位置検出部としての撮像検出部50等を備えて構成されている。
【0034】
画像投写部10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12B、投写光学系としての投写レンズ13、ライトバルブ駆動部14等を含んでいる。画像投写部10は、光源11から射出された光を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bで変調して画像光を形成し、この画像光を投写レンズ13から投写して投写面S等に表示する。
【0035】
光源11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R,12G,12B側に反射するリフレクター11bとを含んで構成されている。光源11から射出された光は、図示しないインテグレーター光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色R、緑色G、青色Bの各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに入射する。
【0036】
液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R,12G,12Bには、マトリクス状に配列された複数の画素(図示せず)が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。ライトバルブ駆動部14が、入力される画像情報に応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを透過することによって変調され、画像情報に応じた画像が色光毎に形成される。形成された各色の画像は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラー画像となった後、投写レンズ13から投写される。
【0037】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)、各種データの一時記憶等に用いられるRAM、および、マスクROMやフラッシュメモリー、FeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリー)等の不揮発性のメモリー等(いずれも図示せず)を備えている。制御部20は、CPUが不揮発性のメモリーに記憶されている制御プログラムに従って動作することにより、プロジェクター100の動作を統括制御する。また、制御部20は計時を行うタイマー(図示せず)を有している。
【0038】
操作受付部21は、ユーザーからの入力操作を受け付けるものであり、ユーザーがプロジェクター100に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。操作受付部21が備える操作キーとしては、電源のオン・オフを切り換えるための電源キー、各種設定を行うためのメニュー画像の表示・非表示を切り換えるメニューキー、メニュー画像におけるカーソルの移動等に用いられるカーソルキー、各種設定を決定するための決定キー等がある。ユーザーが操作受付部21の各種操作キーを操作(押下)すると、操作受付部21は、この入力操作を受け付けて、ユーザーの操作内容に応じた操作信号を制御部20に出力する。
【0039】
なお、操作受付部21として、遠隔操作が可能なリモコン(図示せず)を用いた構成としてもよい。この場合、リモコンは、ユーザーの操作内容に応じた赤外線等の操作信号を発信し、図示しないリモコン信号受信部がこれを受信して制御部20に伝達する。
【0040】
高さ検出部22は、距離センサー(測距モジュール)等を有して構成され、ユーザーHの身長を測定する。本実施形態では、測距モジュールは赤外線LED(Light Emitting Diode)と光位置センサーを使用して、非接触でプロジェクター100とユーザーHとの距離を測定する。測定した距離の情報は、制御部20に入力される。なお、距離センサーは、赤外線によるものに限定するものではなく、レーザー光や超音波等を用いた距離センサーとしてもよい。
【0041】
図3は、プロジェクター100がユーザーHとの距離を測定する態様の説明図である。
図3に示すように、プロジェクター100の高さ検出部22は、破線で示すように赤外線を発光し、ユーザーHの頭部からの反射を受光することで、プロジェクター100とユーザーHとの距離HTを測定する。そして、プロジェクター100の設置高さから当該距離HTを減算することで、ユーザーHの身長の高さを算出することが可能になる。なお、身長がゼロ、即ちプロジェクター100とユーザーHとの距離がプロジェクター100と床面との距離と同じときは、ユーザーHがいないと判定する。
【0042】
図2に戻り、画像信号入力部31には、PC300とケーブルC1を介した接続を行うための入力端子(図示せず)が備えられており、PC300から画像信号が入力される。画像信号入力部31は、入力される画像信号を、画像処理部32で処理可能な形式の画像情報に変換して、画像処理部32に出力する。
【0043】
画像処理部32は、画像縮小部32a、OSD処理部32b等を含んで構成されている。画像処理部32は、画像信号入力部31から入力される画像情報を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの各画素の階調を表す画像データに変換し、ライトバルブ駆動部14に出力する。ここで、変換された画像データは、R,G,Bの色光別になっており、各液晶ライトバルブ12R,12G,12Bのすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものであり、この画素値によって、各画素から射出する光の強弱(階調)が規定される。また、画像処理部32は、制御部20の指示に基づき、変換した画像データに対して、明るさ、コントラスト、シャープネス、色合い等を調整するための画質調整処理等を行う。
【0044】
画像縮小部32aは、制御部20の指示に基づいて画像データを縮小する。具体的には、画像データの下端は動かさず、画像データから画素値の間引きを行って、高さ方向(縦方向)の圧縮を行う。このときの縮小率は、高さ検出部22から入力されたプロジェクター100とユーザーHとの距離HTに基づくユーザーHの身長の高さに基づいて、制御部20が決定し、画像縮小部32aに伝達される。また、縮小された画像データの上部の画素(即ち画像データが縮小されたため、画素値がなくなった領域の画素)については、黒色の画素値、つまり、光透過率が最小となる画素値に設定する。
【0045】
また、制御部20から縮小しない旨の指示を受けた場合、画像縮小部32aは、画像データの縮小は行わない。従って、制御部20から縮小する旨の指示を受けて、画像データを縮小した後、縮小しない旨の指示を受けた場合は、画素値の間引き処理を停止して、画像データを元(デフォルト)のサイズに戻す。画像縮小部32aが、表示変更部に相当する。
【0046】
図4は、画像データの縮小についての説明図であり、(a)は、通常の画像データの説明図、(b)は、縮小した画像データの説明図である。
図4(a)の画像データG1では、入力画像に相当する画像データとして、高さL1の画像領域に円と正方形の図形が表されている。図4(b)の画像データG2では、入力画像に相当する画像データが縮小されて、高さL2の領域に表されている。このとき、高さ方向に縮小されることで、円は楕円となり、正方形は長方形となっている。そして、縮小された画像データの上部(高さL3)の領域の画素は、黒色の画素値となっている。
【0047】
図2に戻り、OSD処理部32bは、制御部20の指示に基づいて、入力された画像データに基づく画像(以降、「入力画像」とも呼ぶ。)上に、メニュー画像やメッセージ画像等のOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を重畳して表示するための処理を行う。OSD処理部32bは、図示しないOSDメモリーを備えており、OSD画像を形成するための図形やフォント等を表すOSD画像情報を記憶している。制御部20が、OSD画像の重畳を指示すると、OSD処理部32bは、必要なOSD画像情報をOSDメモリーから読み出し、入力画像上の定められた位置にOSD画像が重畳されるように、画像情報にこのOSD画像情報を合成する。
【0048】
また、画像処理部32は、撮像検出部50が検出した発光ペン200の位置情報に基づく制御情報を、制御部20から入力する。発光ペン200によって描画を行う描画モードにおいては、画像処理部32は、発光ペン200の描画操作(入力操作)がなされた位置に基づいて、描画メモリー(図示せず)に描画データを記憶させる。そして、画像処理部32のOSD処理部32bは、描画メモリーの描画データを、画像信号入力部31から入力され、画像縮小部32aで縮小処理および黒色画素値の設定処理がなされた画像データに合成する。このときの画像処理部32が描画部に相当する。
【0049】
また、画像データが縮小された状態で描画データが合成された後に、画像データを元(デフォルト)のサイズに戻す際、つまり拡大する際には、画像処理部32は、描画データを同様な拡大率で拡大して、合成を行う。これにより、画像データが縮小された状態で描画された描画データを、拡大後も、画像データと同様の比率のサイズで表示させることができる。
【0050】
図5は、画像データを元のサイズに戻す際の説明図であり、(a)は、画像データが縮小された状態の説明図、(b)は、画像データを元のサイズに戻した状態の説明図である。
図5(a)の画像データG3では、入力画像に相当する画像データが縮小されて、高さL2の領域に表されている。そして、発光ペン200によって描画された描画データOS1が合成されて表示されている。そして、縮小された画像データの上部(高さL3)の領域の画素は、黒色の画素値となっている。図5(b)の画像データG4では、画像データが高さL1の元(デフォルト)のサイズに戻されている。このとき、描画データOS1は、画像データの拡大率に応じて拡大されて合成される。
【0051】
図2に戻り、ライトバルブ駆動部14が、画像処理部32から入力される画像データに従って液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動すると、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、画像データに応じた画像を形成し、この画像が投写レンズ13から投写される。
【0052】
撮像検出部50は、撮像部51、画像解析部52、位置情報検出部53を含んで構成されている。撮像検出部50は、制御部20によって制御される。撮像検出部50は、投写面Sを撮像し、画像解析して、発光ペン200の位置情報を検出する。
【0053】
撮像部51は、CCDセンサー、或いはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー等からなる撮像素子等(図示せず)と、撮像対象から発せられた光を撮像素子上に結像させるための撮像レンズ(図示せず)を備えている。撮像部51は、プロジェクター100の投写レンズ13の近傍に配置され、投写面Sに投写された画像(以降、「投写画像」とも呼ぶ。)を含む範囲を制御部20の指示に基づいて撮像する。そして、撮像部51は、撮像した画像(以降、「撮像画像」とも呼ぶ。)を表す画像情報(撮像画像情報)を順次生成し、画像解析部52に出力する。
【0054】
画像解析部52は、画像解析用の処理装置やメモリー等(いずれも図示せず)を有して構成されている。画像解析部52は、撮像部51から入力された撮像画像情報の解析を行う。画像解析部52は、解析結果を位置情報検出部53に出力する。なお、画像解析部52は、撮像画像上の位置情報から画像信号に基づく画像上の位置情報への変換を行う。
【0055】
位置情報検出部53は、画像解析部52の解析結果に基づいて、発光ペン200の位置情報を検出する。位置情報検出部53は、発光ペン200の位置情報を制御部20に出力する。
【0056】
制御部20の不揮発性のメモリーには、発光ペン200を描画デバイスまたは操作デバイスとして利用するためのソフトウェア(デバイスドライバー)が記憶されている。そして、このソフトウェアが起動した状態では、画像処理部32は、撮像検出部50から制御部20を介して入力される位置情報(制御情報)に基づいて、投写画像内で発光ペン200の操作がなされた位置をそれぞれ認識する。そして、描画デバイスとして利用されている場合は、画像処理部32は、描画メモリーに描画データを記憶させる。また、操作デバイスとして利用されている場合は、発光ペン200の操作に基づいて、画像処理部32は、画像処理を行う。
【0057】
発光ペン200は、ペン状の本体の先端部(ペン先)に、押圧ボタン(押圧スイッチ)と、赤外光を発する発光ダイオードとを備えている。そして、ユーザーが発光ペン200のペン先を投写面Sに押しつける操作(押圧操作)を行って、押圧ボタンを押圧すると、発光ダイオードが発光するようになっている。
【0058】
本実施形態のプロジェクター100は、上述したように、プロジェクター100とユーザーHとの距離HTを測定し、ユーザーHの身長の高さに応じて、入力画像に基づく画像データを縮小して投写することができる。次に、プロジェクター100の画像縮小の際の状態遷移について説明する。
【0059】
図6は、プロジェクター100の状態遷移図である。
図6に示すように、プロジェクター100は、通常投写状態ST0、縮小投写状態ST1に遷移可能となっている。
【0060】
通常投写状態ST0は、プロジェクター100が通常に入力画像を投写している状態である。そして、プロジェクター100は、ユーザーHとの距離HTを測定している。つまり、ユーザーHの身長を測定している。通常投写状態ST0において、ユーザーHの身長が所定の高さ未満になると、距離HTに応じて、入力画像を縮小して投写する縮小投写状態ST1となる。
【0061】
縮小投写状態ST1は、プロジェクター100が入力画像を縮小して投写している状態である。そして、プロジェクター100は、ユーザーHの身長を測定している。プロジェクター100は、縮小投写状態ST1において、身長を測定していて、ユーザーHがいなくなったと判断すると、入力画像の縮小を停止して通常に投写する通常投写状態ST0となる。
【0062】
次に、プロジェクター100の通常投写状態ST0における処理について説明する。
図7は、プロジェクター100の通常投写状態ST0における処理のフローチャートである。
【0063】
通常投写状態ST0では、制御部20は、撮像検出部50によって検出される発光ペン200による入力操作(描画操作)が行われているか否かを判断する(ステップS101)。入力操作が行われていれば(ステップS101:YES)、ステップS101に戻る。
【0064】
入力操作が行われていなければ(ステップS101:NO)、制御部20は、高さ検出部22の検出領域内に、所定の高さ未満の身長のユーザーHがいるか否かを判断する(ステップS102)。所定の高さ未満の身長のユーザーHがいない場合(ステップS102:NO)、ステップS101に戻る。
【0065】
所定の高さ未満の身長のユーザーHがいる場合(ステップS102:YES)、制御部20は、タイマーをスタートする(ステップS103)。制御部20は、所定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS104)。本実施形態では、所定の時間は3秒とするが、3秒に限定するものではない。
【0066】
所定の時間が経過した場合(ステップS104:YES)、制御部20は、タイマーを停止する(ステップS105)。制御部20は、ユーザーHの身長の高さに基づいて、画像の高さを決定する(ステップS106)。具体的には、制御部20は、プロジェクター100とユーザーHとの距離HTに基づいて身長を算出し、画像の高さを決定する。本実施形態では、画像の高さは、ユーザーHの身長の高さとする。
【0067】
そして、制御部20は、画像の高さに応じて、画像縮小部32aに指示を出して、入力画像を縮小した画像(画像データG2)を生成させる(ステップS107)。そして、制御部20は、プロジェクター100を、縮小投写状態ST1に遷移させる(ステップS108)。そして、通常投写状態ST0における処理を終了する。
【0068】
所定の時間が経過していない場合(ステップS104:NO)、制御部20は、ユーザーHの身長の高さに変化があったか否かを判定する(ステップS109)。つまり、ユーザーが入れ替わったり、居なくなったりしたか否かを判定する。
【0069】
ユーザーHの身長の高さに変化がない場合(ステップS109:NO)、ステップS104に移行する。ユーザーHの身長の高さに変化があった場合(ステップS109:YES)、タイマーを停止する(ステップS110)。そして、ステップS101に移行する。
【0070】
次に、プロジェクター100の縮小投写状態ST1における処理について説明する。
図8は、プロジェクター100の縮小投写状態ST1における処理のフローチャートである。
【0071】
縮小投写状態ST1では、制御部20は、撮像検出部50によって検出される発光ペン200による入力操作(描画操作)が行われているか否かを判断する(ステップS201)。入力操作が行われていれば(ステップS201:YES)、ステップS201に戻る。
【0072】
入力操作が行われていなければ(ステップS201:NO)、制御部20は、高さ検出部22の検出領域内に人(ユーザーH)がいるか否かを判断する(ステップS202)。具体的には、制御部20は、高さ検出部22による身長の検出結果に基づいて、人がいるか否かを判断する。検出領域内に人がいる場合(ステップS202:YES)、ステップS201に戻る。
【0073】
検出領域内に人がいない場合(ステップS202:NO)、制御部20は、タイマーをスタートする(ステップS203)。制御部20は、所定の時間が経過したか否かを判定する(ステップS204)。本実施形態では、所定の時間は3秒とするが、3秒に限定するものではない。
【0074】
所定の時間が経過した場合(ステップS204:YES)、制御部20は、タイマーを停止する(ステップS205)。そして、制御部20は、画像の高さを最大(デフォルトの高さ)にする(ステップS206)。
【0075】
制御部20は、画像縮小部32aに指示を出して、デフォルトの高さに応じた画像を生成させる。即ち、入力画像を縮小しない画像(画像データG1)を生成する(ステップS207)。そして、制御部20は、プロジェクター100を、通常投写状態ST0に遷移させる(ステップS208)。そして、縮小投写状態ST1における処理を終了する。
【0076】
所定の時間が経過していない場合(ステップS204:NO)、制御部20は、検出領域内に人(ユーザーH)がいるか否かを判定する(ステップS209)。つまり、ユーザーHが戻ってきたり、別のユーザーが来たりしていないかを判定する。
【0077】
検出領域内に人がいない場合(ステップS209:NO)、ステップS204に移行する。検出領域内に人がいる場合(ステップS209:YES)、タイマーを停止する(ステップS210)。そして、ステップS201に移行する。
【0078】
このように、プロジェクター100は、高さ検出部22の検出領域内に、所定の高さ未満の身長のユーザーHがいるか否かによって、画像データ、つまり投写画像を縮小して、投写画像の高さを低くしたり、デフォルトのサイズに戻したりすることができる。
【0079】
上述した第1の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)プロジェクター100は、高さ検出部22によって、ユーザーHの身長の高さを検出する。制御部20および画像縮小部32aは、ユーザーHの身長の高さに応じて、入力画像に基づく画像データを高さ方向に縮小する。これにより、ユーザーが手動で操作することなく、身長の高さに応じて投写画像が縮小されるため、身長の低いユーザーHや車椅子のユーザーHでも、投写画像の上部にインタラクティブ機能による描画操作を行うことが可能になり、利便性が向上する。
【0080】
(2)プロジェクター100は、高さ検出部22の検出領域内に人(ユーザーH)がいなくなると、画像データをデフォルト(初期状態)のサイズに戻す。これにより、ユーザーが手動で操作することなく、一旦縮小された投写画像を、元のサイズに戻すことができるため、利便性が高い。
【0081】
(3)プロジェクター100は、ユーザーHが描画等の入力操作中の場合には、画像の縮小を行わない。これにより、入力操作中に投写画像のサイズが変化してしまい、ユーザーHが戸惑う事態を避けることができる。例えば、ユーザーHが描画操作中に、高さ検出部22の検出領域内に、他の人が入ってきた場合等に有効である。
【0082】
(4)プロジェクター100は、ユーザーHの身長の高さを検出し、所定の時間(3秒)が経過した後に、画像の縮小を行う。これにより、投写画像のサイズの急激な変化を抑制することができる。例えば、高さ検出部22の検出領域内に、ユーザーHが出入りした場合等に有効である。
【0083】
(5)プロジェクター100は、高さ検出部22の検出領域内に人(ユーザーH)がいないことを検出し、所定の時間(3秒)が経過した後に、画像のデフォルトのサイズに戻す。これにより、投写画像のサイズの急激な変化を抑制することができる。例えば、高さ検出部22の検出領域内から、ユーザーHが出て戻った場合等に有効である。
【0084】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、ユーザー(使用者)Hが、発光ペン200を用いて、画像を縮小する高さを、手動で指定可能な画像表示装置としてのプロジェクター、およびインタラクティブシステムについて説明する。
【0085】
第2の実施形態に係るプロジェクター150の構成は、第1の実施形態のプロジェクター100と同様(図2参照)である。また、第2の実施形態に係るインタラクティブシステム2の構成も第1の実施形態のインタラクティブシステム1と同様(図2参照)である。よって、説明は省略する。
【0086】
まず、発光ペン200を用いて、画像(画像データ)を縮小する手段について説明する。
図9は、第2の実施形態のプロジェクター150の画像データの説明図であり、(a)は、通常の画像データの説明図、(b)は、縮小した画像データの説明図である。
【0087】
図9(a)の画像データG5では、高さL1の画像領域に円と正方形の図形が表されている。さらに、画像データG5の右端には、高さ指示バーBAおよびサイズ復元ボタンB1が表されている。高さ指示バーBAは、画像を縮小する位置を発光ペン200によって指示するための領域である。サイズ復元ボタンB1は、縮小した画像をデフォルトのサイズに戻すためのボタンである。このような画像データG5に基づく画像が投写された状態で、ユーザーは、投写面S上で発光ペン200を使用して、高さ指示バーBAやサイズ復元ボタンB1を指示操作(押圧操作)することにより、プロジェクター150は、操作位置を認識して、画像データの縮小やサイズの復元を行うことが可能になる。高さ指示バーBAが、所定の領域に相当し、サイズ復元ボタンB1が、所定の位置に相当する。
【0088】
図9(b)の画像データG6では、入力画像に相当する画像データが縮小されて、高さL2の領域に表されている。具体的には、縮小された高さL2の画像データは、縮小される前の高さL1の画像データの下端は動かさず、高さ方向に縮小されている。このため、縮小された高さL2の画像データの上端は、縮小される前の高さL1の画像データの上端よりも低くなっている。この低くなった部分をL3としている。そして、縮小された画像データの上部(高さL3)の領域の画素は、黒色の画素値となっている。さらに、画像データG5と同様に、画像データG6の右端には、高さ指示バーBAおよびサイズ復元ボタンB1が表されている。また、画像データG6が投写された場合に、高さ指示バーBA上を指示する発光ペン200が表されている。このように画像データが縮小されて投写されている状態で、ユーザーが、発光ペン200をサイズ復元ボタンB1上で押圧操作すると、画像データのサイズが復元され、画像データG5のような画像となる。
【0089】
次に、プロジェクター150の画像の縮小処理について説明する。
図10は、プロジェクター150の画像縮小処理のフローチャートである。
【0090】
プロジェクター150が画像を投写している状態において、制御部20は、撮像検出部50から伝達される情報に基づいて、発光ペン200によって高さ指示バーBA上で指示(押圧操作)が行われたか否かを検出する(ステップS301)。高さ指示バーBA上で指示が行われていれば(ステップS301:YES)、制御部20は、指示された高さに基づいて、画像の高さを決定する(ステップS302)。本実施形態では、発光ペン200によって指示された高さを、画像の高さとする。
【0091】
制御部20は、画像の高さに応じて、画像縮小部32aに指示を出して、入力画像に基づく画像データを縮小した画像(画像データG6)を生成させる(ステップS303)。なお、高さ指示バーBA上での指示位置によっては、縮小した画像データを拡大することも可能である。そして、ステップS301に移行する。
【0092】
高さ指示バーBA上で指示が行われていなければ(ステップS301:NO)、制御部20は、撮像検出部50から伝達される情報に基づいて、発光ペン200によってサイズ復元ボタンB1の押圧操作がなされたか否かを判断する(ステップS304)。サイズ復元ボタンB1の押圧操作がなされていれば(ステップS304:YES)、画像の高さをデフォルトの高さとして決定する(ステップS305)。そして、ステップS303に移行し、画像をデフォルトの高さに拡大させる。
【0093】
サイズ復元ボタンB1の押圧操作がなされていなければ(ステップS304:NO)、ステップS301に移行する。
【0094】
このように、プロジェクター150は、発光ペン200によって、画像データ、つまり投写画像を縮小したり、デフォルトのサイズに戻したりすることができる。
【0095】
上述した第2の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)プロジェクター150は、発光ペン200による高さ指示バーBA上での指示を検出した場合、指示された高さに応じて、入力画像に基づく画像データを高さ方向に縮小する。これにより、ユーザーHや他のユーザーが、投写画像の高さを所望の高さに縮小することができるため、身長の低いユーザーHや車椅子のユーザーHでも、投写画像の上部にインタラクティブ機能による描画操作を行うことが可能になり、利便性が向上する。
【0096】
(2)プロジェクター150は、発光ペン200によるサイズ復元ボタンB1上での押圧操作を検出した場合、画像データをデフォルト(初期状態)のサイズに戻す。これにより、ユーザーが所望のタイミングで、縮小された投写画像を元のサイズに戻すことができるため、利便性が高い。
【0097】
なお、上述した実施形態に限定されず、種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0098】
(変形例1)上記実施形態では、画像縮小部32aが画像(画像データ)を縮小する際には、縦方向に縮小するものとしたが、縦方向に加えて横方向にも縮小してもよい。この場合、元の画像のアスペクト比を保った状態で縮小することが好ましい。こうすれば、画像上に表示されている文字や図形等が歪むことを回避することができる。また、ユーザーHの横方向の位置も検知して、ユーザーHが指示しやすい場所に画像が表示されるように、横方向の縮小を行ってもよい。
【0099】
(変形例2)上記実施形態では、画像縮小部32aが画像(画像データ)を縮小するものとしたが、画像を縮小せずに、下方向に移動させてもよい。この場合、入力画像に基づく画像データを下方向にシフトさせることが好ましい。画像データを下方向にシフトさせると、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの画素領域からはみ出てしまう事態が発生する可能性もあるが、ユーザーHがいなくなるか、サイズ復元ボタンB1が押圧されることで、画像をデフォルトの位置に戻すことができる。
【0100】
(変形例3)上記実施形態では、プロジェクター100,150の位置情報検出部53で、発光ペン200の位置情報を検出し、制御部20で位置情報に応じた処理を行うものとした。しかし、インタラクティブシステム1,2は、プロジェクター100,150からPC300に制御信号を送信するケーブル(図示せず)を有するものとし、発光ペン200の位置情報や、高さ検出部22が検出するユーザーHの身長の高さの情報を、PC300に送信してもよい。そして、PC300は、ユーザーHの身長の高さ情報や発光ペン200の位置情報に基づいて画像データを縮小し、その画像信号をプロジェクター100,150に送信して表示させてもよい。
【0101】
(変形例4)上記第1の実施形態では、高さ検出部22が検出したユーザーHの身長の高さに応じて、入力画像に基づく画像データを高さ方向に縮小するものとしたが、ユーザーが複数人の場合には、最も身長の低いユーザーに合わせて画像データを縮小して、投写するものとしてもよい。
【0102】
(変形例5)上記実施形態では、縮小された画像データの上部の画素(即ち画像データが縮小されたため、画素値がなくなった領域の画素)については、黒色の画素値を設定するものとした。しかし、画像データの上部の画素の領域に、文字やイラスト等を表示してもよい。例えば、「入力を容易にするため、低い位置に画像を表示しています。」といった旨の表示を行ってもよい。
【0103】
(変形例6)上記実施形態では、指示体は、赤外光を発する発光ペン200としたが、このような発光ペンに限定するものではない。例えば、可視光を発する指示体としてもよいし、無線通信用電波等を利用するようにしてもよい。また、指示体は、ユーザーの指であってもよい。
【0104】
(変形例7)上記第2の実施形態では、発光ペン200によって、高さ指示バーBAおよびサイズ復元ボタンB1を操作して、画像を縮小したり、デフォルトのサイズに戻したりするものとしたが、撮像検出部50が、ユーザーのジェスチャーを検出するものとして、プロジェクター150は、ジェスチャーの種別に応じて画像データを縮小したり、デフォルトのサイズに戻したりしてもよい。
【0105】
(変形例8)上記実施形態では、高さ検出部22が検出したユーザーHの身長の高さや、高さ指示バーBA上で指示された高さに応じて、入力画像に基づく画像データを高さ方向に縮小するものとしたが、縮小する縮小率は、固定値としてもよい。また、画像データの縮小率をプロジェクター100,150のメニュー機能によって設定可能としてもよい。例えば、プロジェクター100,150のメニュー機能に、ウィザード形式(対話形式)の画像の高さ設定機能を設けてもよい。こうすれば、高さ指示バーBA上での指示方法等を知らないユーザーも、縮小する画像データの高さを容易に設定することができる。
【0106】
(変形例9)上記第1の実施形態では、ユーザーHが高さ検出部22の検出範囲内にいることを確定させる時間、および検出範囲内にいないことを確定させる時間を、所定の時間として3秒としているが、所定の時間をユーザーが変更可能としてもよい。例えば、プロジェクター100,150のメニュー機能によって、設定可能としてもよい。
【0107】
(変形例10)上記実施形態では、画像信号はPC300から入力されるものとしたが、PCに限定するものではなく、他の画像供給装置としてもよい。例えば、ビデオ再生装置等としてもよい。
【0108】
(変形例11)上記実施形態では、プロジェクター100,150は、PC300とケーブルC1を介して画像信号の入力を行うものとしたが、電波等による無線通信によって画像信号の入力を行ってもよい。
【0109】
(変形例12)上記実施形態では、インタラクティブ機能を有するプロジェクター100,150を例にして説明しているが、プロジェクターに限定するものではない。ユーザーHの身長の高さを検出する高さ検出部22に相当する検出装置や、表示される画像に対する入力操作を検出するタッチパネル等を有する画像表示装置であれば、適用することが可能である。例えば、透過型のスクリーンを一体的に備えたリアプロジェクター、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等に適用することも可能である。
【0110】
(変形例13)上記実施形態では、光源11は、放電型の光源ランプ11aを有して構成されているが、LED光源やレーザー等の固体光源や、その他の光源を用いることもできる。
【0111】
(変形例14)上記実施形態では、プロジェクター100,150は、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源から射出した光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
【符号の説明】
【0112】
1,2…インタラクティブシステム、10…画像投写部、11…光源、11a…光源ランプ、11b…リフレクター、12R,12G,12B…液晶ライトバルブ、13…投写レンズ、14…ライトバルブ駆動部、20…制御部、21…操作受付部、22…高さ検出部、31…画像信号入力部、32…画像処理部、32a…画像縮小部、32b…OSD処理部、50…撮像検出部、51…撮像部、52…画像解析部、53…位置情報検出部、90…取付部材、100,150…プロジェクター、200…発光ペン、300…PC、C1…ケーブル、S…投写面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10