(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記係止部は、前記光学部材の周囲部分に沿って直線的に延びるリブを有し、前記制限部は、一対の凸条部に挟まれるように設けられて前記リブを受容する溝を有する、請求項10に記載の虚像表示装置。
前記光学部材は、前記映像素子である映像表示素子からの映像の光を内部で反射させつつ観察者の眼に導くプリズム状の導光部を有する、請求項1から14までのいずれか一項に記載の導虚像表示装置。
前記導光部は、映像の光を導光するとともに外界の光の透視を可能にするプリズムと、当該プリズムに連結され外界の光の透視機能を補う光透過部材とを有する、請求項15に記載の虚像表示装置。
前記映像素子は、2次元的に走査される信号光を射出し、前記光学部材は、前記映像表示素子からの光を反射させて観察者の眼に導く、請求項1から16までのいずれか一項に記載の導虚像表示装置。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で軽量化を図りつつ画像表示用の装置部分の支持強度を向上させることができる虚像表示装置を提供することを目的とする。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る虚像表示装置は、映像素子と、映像素子からの光を観察者の眼に向けて画像を視認させる光学部材と、光学部材が観察者の眼前に配置されるように、映像素子と光学部材とを支持する枠部とを備え、枠部は、当該枠部に対して部分的に固定されている光学部材の変位を機械的に制限する制限部を有する。
【0009】
上記虚像表示装置では、制限部が枠部に対して部分的に固定されている光学部材の変位を制限するので、光学部材に過度の応力がかけられたり光学部材が変形したりすることを防止できる。つまり、制限部を補助的に用いることで光学部材の支持強度を向上させることができる。なお、光学部材は、枠部に対して部分的に固定されており、締結部及び部品点数が減少して小型化が容易になるとともに虚像表示装置を軽量化しやすくなる。さらに、光学部材が枠部に対して部分的に固定されているので、光学部材と枠部との間に熱膨張率の差があっても、枠部に対して光学部材の膨張等が許容され、光学部材に歪み、変形、破損が生じることをより確実に防止できる。
【0010】
本発明の具体的な側面では、上記虚像表示装置において、制限部は、光学部材に隣接して変位先に配置されることによって光学部材の変位を阻止する。この場合、制限部が光学部材の隣接空間を占有し光学部材の変位が制限される。
【0011】
本発明の別の側面では、光学部材は、長円状の輪郭を有し、制限部は、光学部材の長手方向の変位を許容しつつ光学部材の延びる面に垂直な方向の変位を制限する凸条部を有する。ここで、長円状の輪郭とは、楕円や円を直線的に移動させた軌跡のような図形等を含む。この場合、光学部材の長手方向に関する膨張や伸縮が許容されつつも、光学部材の撓みや歪みの発生が抑制される。
【0012】
本発明の別の側面では、枠部は、金属材料で形成され、光学部材は、樹脂材料で形成されている。この場合、この場合、枠部については、これを高精度かつ高剛性とすることができ、映像素子と光学部材との組付けの信頼性を高めることができる。また、光学部材については、これを軽量にしつつその形状の自由度を高めることができる。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、制限部は、光学部材に弾性的に当接している。この場合、制限部によって光学部材が損傷することを防止できる。
【0014】
本発明のさらに別の側面では、光学部材は、制限部に係止される係止部を有する。ここで、制限部に係止されるとは、制限部に係わって機械的に止められることを意味し、凹凸の嵌め合わせに限らず、留め具による連結、移動阻止用の1つ以上の突起の設置、移動を特定方向に関して制限するガイド等の様々な手段を広く含む。この場合、本体を直接係止する場合に比較して、制限部による光学部材の変位制限が確実となり、光学部材の光学的性能を劣化させるような影響も抑えることができる。
【0015】
本発明のさらに別の側面では、係止部は、凹部及び凸部の係合を利用して制限部に係止される。ここで、凹部及び凸部の係合とは、凹部及び凸部が密着する嵌合に限らず、凹部及び凸部が互いに離間しつつも一定の限界以上の移動を制限する場合が含まれるものとする。
【0016】
本発明のさらに別の側面では、係止部は、光学部材の周囲部分に沿って直線的に延びるリブを有し、制限部は、一対の凸条部に挟まれるように設けられてリブを受容する溝を有する。この場合、制限部によって光学部材の周囲部分を比較的広範囲に亘って係止することができ、光学部材の変位制限をより確実にできる。
【0017】
本発明のさらに別の側面では、制限部は、リブと凹部との隙間に配置された弾性部材をさらに有する。この場合、隙間によって遊びを持たせつつ緩衝材としての弾性部材によって光学部材を保護することができる。
【0018】
本発明のさらに別の側面では、枠部は、光学部材の一部に連結されることにより光学部材を枠部に対して固定する固定部を有する。この場合、光学部材は、取付部を介して固定部に連結され、枠部に固定されることになる。
【0019】
本発明のさらに別の側面では、固定部と制限部とは、互いに離間して配置されている。この場合、固定部等に過度の応力的負荷がかかることを抑制できる。
【0020】
本発明のさらに別の側面では、枠部は、固定部を有するフレームと、フレームに固定されるとともに光学部材の周囲部分の少なくとも一部を保護するプロテクターとを有する。この場合、フレームとプロテクターとによって光学部材の周囲を囲むように保護することができ、虚像表示装置を落下させた場合のようにランダムな方向からの強い衝撃に対する耐久性を高めることができる。
【0021】
本発明のさらに別の側面では、制限部は、フレームに沿っての中央側に設けられ、光学部材を枠部に対して固定する固定部は、フレームの側方に設けられる。
【0022】
本発明のさらに別の側面では、光学部材は、映像素子である映像表示素子からの映像の光を内部で反射させつつ観察者の眼に導くプリズム状の導光部を有する。この場合、導光部内に中間像を形成して映像を観察することになり、映像表示素子等の大型化を回避しつつ映像表示素子等の配置の自由度を高めることができる。
【0023】
本発明のさらに別の側面では、導光部は、映像の光を導光するとともに外界の光の透視を可能にするプリズムと、当該プリズムに連結され外界の光の透視機能を補う光透過部材とを有する。この場合、この場合、導光部を眼鏡のレンズ部に似た形状とすることができるので、視界を良好なものとでき、かつ、外観の自由度も高めることができる。
【0024】
本発明のさらに別の側面では、映像素子は、2次元的に走査される信号光を射出し、光学部材は、映像表示素子からの光を反射させて観察者の眼に導く。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第1実施形態〕
以下、
図1等を参照しつつ、本発明に係る虚像表示装置の第1実施形態について詳細に説明する。
【0027】
図1に示すように、本実施形態の虚像表示装置100は、眼鏡のような外観を有するヘッドマウントディスプレイであり、この虚像表示装置100を装着した観察者又は使用者に対して虚像による画像光を視認させることができるとともに、観察者に外界像をシースルーで視認又は観察させることができる。虚像表示装置100は、観察者の眼前を透視可能に覆う第1及び第2光学部材101a,101bと、両光学部材101a,101bを支持する枠部102と、枠部102の左右両端から後方のつる部分(テンプル)104にかけての部分に付加された第1及び第2像形成本体部105a,105bとを備える。ここで、図面上で左側の第1光学部材101aと第1像形成本体部105aとを組み合わせた第1表示装置100Aは、右眼用の虚像を形成する部分であり、単独でも虚像表示装置として機能する。また、図面上で右側の第2光学部材101bと第2像形成本体部105bとを組み合わせた第2表示装置100Bは、左眼用の虚像を形成する部分であり、単独でも虚像表示装置として機能する。
【0028】
図2は、虚像表示装置100の外観と内部とを対比した図であり、
図2(A)は、虚像表示装置100の全体を示し、
図2(B)は、虚像表示装置100の内部構造を示している。なお、
図3は、
図2(B)の左半分に対応し、虚像表示装置100の第1表示装置100A側を部分的に拡大した斜視図である。
【0029】
図示のように、虚像表示装置100に設けた枠部102は、上側に配置されるフレーム107と下側に配置されるプロテクター108とを備える。枠部102のうち、上側のフレーム107は、U字状に折れ曲がった細長い板状の部材であり、左右の横方向(X方向)に延びる正面部107aと、前後の奥行き方向(Z方向)に延びる一対の側面部107b,107cとを備える。フレーム107、すなわち正面部107aと側面部107b,107cとは、アルミダイカストその他の各種金属材料で形成された金属製の一体部品である。正面部107aの奥行き方向(Z方向)の幅は、第1及び第2光学部材101a,101bに対応する導光部20の厚み又は幅よりも十分に厚いものとなっている。フレーム107の左側方、具体的には正面部107aにおける向かって左端部から側面部107bにかけての部分である側方端部65aには、第1光学部材101aと第1像形成本体部105aとがアライメントされネジ止めよって直接固定されることによって支持されている。また、フレーム107の右側方、具体的には正面部107aにおける向かって右端部から側面部107cにかけての部分である側方端部65bには、第2光学部材101bと第2像形成本体部105bとがアライメントされネジ止めによって直接固定されることによって支持されている。なお、第1光学部材101aと第1像形成本体部105aとは、嵌合によって互いにアライメントされ、第2光学部材101bと第2像形成本体部105bとは、嵌合によって互いにアライメントされる。
【0030】
プロテクター108は、アンダーリム状の部材であり、フレーム107に固定されている。プロテクター108の中央部108gは、フレーム107の中央部107gに嵌合及びネジ止めによって固定されている。プロテクター108は、2段のクランク状に折れ曲がった細長い板状の部材であり、金属材料又は樹脂材料で形成された一体部品である。プロテクター108の奥行き方向(Z方向)の幅は、導光部20の厚み又は幅程度となっている。プロテクター108の第1先端部108iは、第1像形成本体部105aに対して嵌合によって固定され、プロテクター108の第2先端部108jは、第2像形成本体部105bに対して嵌合によって固定される。より具体的には、プロテクター108の第1先端部108iは、第1像形成本体部105aを覆うカバー状の外装部材105dのうち外部材105eに設けた凹部105iに嵌合した状態で固定される。また、プロテクター108の第2先端部108jは、第2像形成本体部105bを覆うカバー状の外装部材105dのうち外部材105eに設けた凹部105jに嵌合した状態で固定される。
【0031】
フレーム107は、第1及び第2像形成本体部105a,105bを支持するだけでなく、外装部材105dと協働して第1及び第2像形成本体部105a,105bの内部を保護する役割を有する。プロテクター108は、第1及び第2像形成本体部105a,105bに連結される第1及び第2光学部材101a,101b又は導光部20の側辺部や下辺部を保護する役割を有する。具体的には、プロテクター108の縦部分63aは、導光部20の周囲部分A0のうち鼻に近い内側の側辺部を使用環境下に存在する周囲の様々な物体から保護し、プロテクター108の横部分63bは、導光部20の周囲部分A0のうち下側の下辺部を使用環境下にある周囲の様々な物体から保護する。つまり、フレーム107やプロテクター108が十分な強度を有すれば、虚像表示装置100が周囲の他の物体と衝突等しても、第1及び第2像形成本体部105a,105bや第1及び第2光学部材101a,101b、特に露出する導光部20において損傷や位置ずれが発生する可能性を低減できる。
【0032】
プロテクター108の中央部108gに近い一対の縦部分63aには、パッド状の鼻当て部材108aがそれぞれ形成されている。プロテクター108の縦部分63aや横部分63bは、第1及び第2像形成本体部105a,105bに連結される根元側を除いた導光部20の長円状の周囲部分A0と離間するか又は緩く接している。なお、導光部20の周囲部分A0は、フレーム107の正面部107aとも離間するか又は緩く接している。このように、第1及び第2光学部材101a,101b又は導光部20は、根元側を除いたC字状の周囲部分A0でフレーム107及びプロテクター108に近接するが、フレーム107及びプロテクター108に固定されていない。このため、中央の導光部20と、フレーム107及びプロテクター108を含む枠部102との間に熱膨張率の差があっても、枠部102内での導光部20の膨張が許容され、導光部20に歪み、変形、破損が生じることを防止できる。
【0033】
図3に示すように、第1表示装置100Aは、見方を変えれば、投影用の光学系である投射透視装置70と、映像光を形成する画像表示装置80とを備える。投射透視装置70は、第1像形成本体部105aによって形成された画像を虚像として観察者の眼に投射する役割を有する。投射透視装置70は、導光及び透視用のプリズム10と、透視用の光透過部材50と、結像用の投射レンズ30とを備える。
【0034】
図4に示すように、プリズム10と光透過部材50とは、互いに固定されて一体的な導光部20を構成している。導光部20は、映像の光を内部で反射させつつ観察者の眼に導くプリズム状の部材である。導光部20のうち周囲部分A0に囲まれた本体部分は、長円状の輪郭を有する。ここで、光透過部材50は、プリズム10の先端側、すなわち射出側又は光射出側の第1プリズム部分11に連結するようにその延長方向に配置され、接着剤を利用した接合によって第1プリズム部分11に固定されている。投射透視装置70のうちプリズム10及び光透過部材50を組み合わせた導光部20は、
図1における第1光学部材101aに相当し、投射透視装置70の投射レンズ30と表示用の画像パターンを形成する画像表示装置80とは、
図1における第1像形成本体部105aに相当する。導光部(光学部材)20の周囲部分A0のうち、フレーム107に近い上辺側には、第1のリブ10nが形成され、プロテクター108に近い下辺側には、第2のリブ10oが形成されている。上辺側の第1のリブ10nは、複数のリブ部分(凸部)10pと複数の拡幅部(凸部)10qとを交互に連結した構造を有し、全体として導光部20の縁に沿って直線的に細長く延びている。このうち、前者のリブ部分(凸部)10pは、第1プリズム部分11及び光透過部材50に付随して設けられており、これらの部材のアライメント等を可能にする。後者の拡幅部10qは、第1プリズム部分11及び光透過部材50を射出成形するための金型のゲートに相当する部分である。拡幅部10qについては、ゲートに限らず、第1プリズム部分11及び光透過部材50に対して特別の形状として転写・成形したものとすることもできる。第1のリブ10nは、詳細は後述するが、フレーム107に設けられている制限部107nに係止される係止部であり、この第1のリブ(係止部)10nの存在により、導光部20の奥行き方向(Z方向)に関する変位が制限される。
【0035】
図5(A)及び5(B)等を参照して、第1表示装置100Aのフレーム107への組付けについて説明する。第1像形成本体部105aを構成する投射レンズ30は、その鏡筒39に埋め込むように形成された取付部39gを利用してフレーム107の側方端部65aに設けた第1固定部61fに直接固定されている。このような固定の際、第1固定部61fの裏面68fと取付部39gの上端面39f等とが当接してアライメントが達成され、ネジ孔61sを介してネジ61tを取付部39gにねじ込むことで着脱可能で確実な固定が可能になる。この際、フレーム107のボス孔61xに鏡筒39に設けたボス39xが嵌合して鏡筒39の回転が規制され回転に関する位置決めも行われる。一方、第1光学部材101aである導光部20は、そのネック部に形成された突起状の取付部10gを利用して、フレーム107の側方端部65aに設けた第2固定部61eに直接固定されている。取付部10gは、導光部20の入射側又は光入射側の部分、具体的には第1プリズム部分11と第2プリズム部分12との境界周辺において周囲に拡張するように立設されている。このような固定の際、第2固定部61eの前側部分に設けた突当て面68eと取付部10gの裏面10kとが当接してアライメントが達成され、ネジ孔61uを介してネジ61vをネジ孔10uにねじ込むことで着脱可能で確実な固定が可能になる。なお、
図5等に示す画像表示装置80は、投射レンズ30の鏡筒39の後端に嵌め込むようにして固定される。
【0036】
導光部20は、プリズム10の第2プリズム部分12側の先端部12jが投射レンズ30の鏡筒39の前端側に設けられて開口する矩形枠状の係止部材39aに嵌合することで投射レンズ30に対して位置決めされた状態で係止される。つまり、導光部20に設けたプリズム10をフレーム107の第2固定部61eに固定する際に、第2プリズム部分12側の先端部12jを鏡筒39の係止部材39a内に嵌合するように挿入する。この際、先端部12jの側面12mが係止部材39aの内面39mと当接してアライメントが達成される。
【0037】
図5(B)に示すように、フレーム107の正面部107aの下面107mにおいて、第2固定部61eから適宜離間した中央側には、ストッパーとして溝状の制限部107nが設けられている。制限部107nは、フレーム107の正面部107aに沿って延びる一対の対向する凸条部107rを有し、両凸条部107rに挟まれるように設けられて正面部107aに沿って延びる溝107sを有する。溝107sは、複数の溝部分(凹部)107pと複数の拡幅部(凹部)107qとを交互に連結した構造を有する。第1光学部材101a又は導光部20の組み付け後において、制限部107nには、導光部20の上端部に設けた突起状のリブ10nが僅かな隙間を有する遊嵌状態で挿入される。これにより、リブ(係止部)10nは、溝107sに受容され、凹部及び凸部の係合を利用して溝107sを挟む一対の凸条部107rを含む制限部107nに係止される。この際、
図6(A)及び6(C)に示すように、制限部107nの各溝部分107pにリブ10nの各リブ部分10pが挿入され、制限部107nの各拡幅部107qにリブ10nの各拡幅部10qが挿入される。また、
図6(B)及び6(C)に示すように、制限部107nの溝部分(凹部)107pとリブ10nのリブ部分(凸部)10pとの間には十分な隙間GAが存在する。制限部107nの拡幅部107qとリブ10nの拡幅部10qとの間にも十分な隙間GAが存在する。この結果、第1光学部材101a又は導光部20の先端側の変位をフレーム107の奥行き方向EF(導光部20の延びる面に垂直な方向であり、
図2(B)に示すZ方向に相当する)に関して制限することができる。つまり、導光部(光学部材)20の先端は或る程度変位するが、導光部20に過度の応力がかけられたり導光部20が復帰できない程度に変形したりすることを防止できる。一方、導光部20のリブ10nとフレーム107の制限部107nとは、左右の横方向GH(X方向)に延びており、リブ10nと制限部107nの溝107sの内壁との間に奥行き方向EF及び横方向GHに関して隙間GAが存在するので、導光部20のフレーム107に対する非固定状態が確保されている。以上のように、制限部107nによるリブ10nの係合は、左右の横方向GH(X方向)に関してのみとなっており、制限部107nによるリブ10nの係止も、左右の横方向GH(X方向)に関してのみとなっている。なお、導光部20は、プロテクター108と僅かに離間しており、プロテクター108との関係でも非固定状態とされている。これにより、導光部20とフレーム107との間に熱膨張率の差があっても、フレーム107に対して導光部20の膨張等が許容される。
【0038】
図7(A)及び7(B)は、
図6(B)及び6(C)等に示す制限部107nの変形例を示す。制限部107nは、ゴムその他のエラストマー、シリコーン樹脂等の弾性部材EBを有する。弾性部材EBは、制限部107nの溝107sとリブ10nとの隙間GAであって、リブ10nに対応する部位に充填されている。これにより、導光部(光学部材)20の先端は殆ど変位しなくなる。一方、制限部107nとリブ10nとは、完全には固定されておらず、弾性的に当接している。つまり、制限部107nとリブ10nとは、弾性部材EBによって弾性的に連結されるのみであり、フレーム107に対して導光部20の膨張、伸縮等が許容される。
【0039】
以上までの工程によって、フレーム107と投射透視装置70とのアセンブリー(
図2(B)参照)を得ることができる。
【0040】
図2(A)及び2(B)等を参照しつつ、フレーム107への外装部材105dの組付けについて説明する。まず、外装部材105dのうち外部材105eをフレーム107及び投射透視装置70のアセンブリーに固定する。外部材105eは、フレーム107や投射レンズ30との嵌合、投射レンズ30の取付部39gに対してのネジ締結等によって固定される。この際、フレーム107に既に固定されているプロテクター108の先端部108i,108jを外部材105eに形成された凹部105iに嵌合させて固定することになる。次に、内部材105fを外部材105eに嵌合させ、ネジ止めによって外部材105eに固定する。これにより、内部材105fと外部材105eとに挟まれた空間内に第1像形成本体部105aを構成する投射レンズ30、第1像形成本体部105a等と、投射透視装置70とフレーム107の側面部107b,107cとが収納される。
【0041】
図2(A)等に戻って、つる部分104は、フレーム107に設けた一対の側面部107b,107cの先端に形成された孔107tに固定されている。つる部分104と側面部107b,107cとの連結部は、ヒンジ構造を有するものとでき、この場合、つる部分104の折畳みが可能になる。
【0042】
なお、
図1に示す第2表示装置100Bは、第1表示装置100Aと同様の構造を有し、第1表示装置100Aを左右対称に反転させただけであるので、第2表示装置100Bの構造、機能、組立て等についての説明は省略する。
【0043】
図8を参照して、投射透視装置70等の機能、動作等の詳細について説明する。投射透視装置70のうち、導光部20の一部であるプリズム10は、平面視において顔面に沿うように湾曲した円弧状の部材である。プリズム10のうち、第1プリズム部分11は、鼻に近い中央側つまり光射出側に配置され、光学的な機能を有する側面として、第1面S11と、第2面S12と、第3面S13とを有し、第2プリズム部分12は、鼻から離れた周辺側つまり光入射側に配置され、光学的な機能を有する側面として、第4面S14と、第5面S15と、第6面S16とを有する。このうち、第1面S11と第4面S14とが隣接し、第3面S13と第5面S15とが隣接し、第1面S11と第3面S13との間に第2面S12が配置され、第4面S14と第5面S15との間に第6面S16が配置されている。
【0044】
プリズム10において、第1面S11は、Z軸に平行な射出側光軸AXOを中心軸とする自由曲面であり、第2面S12は、XZ面に平行な基準面(図示の断面)に含まれZ軸に対して傾斜した光軸AX1を中心軸とする自由曲面であり、第3面S13は、射出側光軸AXOを中心軸とする自由曲面である。第4面S14は、XZ面に平行な上記基準面に含まれZ軸に対して傾斜した一対の光軸AX3,AX4の2等分線を中心軸とする自由曲面であり、第5面S15は、XZ面に平行な上記基準面に含まれZ軸に対して傾斜した一対の光軸AX4,AX5の2等分線を中心軸とする自由曲面であり、第6面S16は、XZ面に平行な上記基準面に含まれZ軸に対して傾斜した光軸AX5を中心軸とする自由曲面である。なお、以上の第1〜第6面S11〜S16は、水平(又は横)に延びXZ面に平行で光軸AX1〜AX5等が通る基準面(図示の断面)を挟んで、鉛直(又は縦)のY軸方向に関して対称な形状を有している。
【0045】
プリズム10のうちプリズム本体10sは、可視域で高い光透過性を示す樹脂材料で形成されており、例えば金型内に熱可塑性樹脂を注入・固化させることにより成形する。なお、プリズム本体10sの材料としては、例えばシクロオレフィンポリマー等を用いることができる。プリズム本体10sは、一体形成品とされているが、プリズム10は、第1プリズム部分11と第2プリズム部分12とに分けて考えることができる。第1プリズム部分11は、映像光GLの導波及び射出を可能にするとともに、外界光HLの透視を可能にする。第2プリズム部分12は、映像光GLの入射及び導波を可能にする。
【0046】
第1プリズム部分11において、第1面S11は、映像光GLを第1プリズム部分11外に射出させる屈折面として機能するとともに、映像光GLを内面側で全反射させる全反射面として機能する。第1面S11は、眼EYの正面に配されるものであり、観察者に対し凹面形状を成している。なお、第1面S11は、プリズム本体10sの表面に施されたハードコート層27によって形成される面である。
【0047】
第2面S12は、プリズム本体10sの表面であり、当該表面にハーフミラー層15が付随している。このハーフミラー層15は、光透過性を有する反射膜(すなわち半透過反射膜)である。ハーフミラー層(半透過反射膜)15は、第2面S12の全体ではなく、第2面S12を主にY軸に沿った鉛直方向に関して狭めた部分領域PA上に形成されている。ハーフミラー層15は、プリズム本体10sの下地面のうち部分領域PA上に、金属反射膜や誘電体多層膜を成膜することにより形成される。ハーフミラー層15の映像光GLに対する反射率は、シースルーによる外界光HLの観察を容易にする観点で、想定される映像光GLの入射角範囲において10%以上50%以下とする。具体的な実施例のハーフミラー層15の映像光GLに対する反射率は、例えば20%に設定され、映像光GLに対する透過率は、例えば80%に設定される。
【0048】
第3面S13は、映像光GLを内面側で全反射させる全反射面として機能する。第3面S13は、眼EYの正面に配されるものであり、第1面S11と同様に観察者に対し凹面形状を成しており、第1面S11と第3面S13とを通過させて外界光HLを見たときに、視度が略0になっている。なお、第3面S13は、プリズム本体10sの表面に施されたハードコート層27によって形成される面である。
【0049】
第2プリズム部分12において、第4面S14は、映像光GLを内面側で全反射させる全反射面として機能する。なお、第4面S14は、プリズム本体10sの表面に施されたハードコート層27によって形成される面である。
【0050】
第2プリズム部分12において、第5面S15は、既述のように、プリズム本体10sの表面上に無機材料で形成される光反射膜RMを成膜することで形成され、反射面として機能する。
【0051】
第6面S16は、映像光GLを第2プリズム部分12内に入射させる屈折面として機能する。なお、第6面S16は、プリズム本体10sの表面に施されたハードコート層27によって形成される面である。
【0052】
光透過部材50は、既述のようにプリズム10と一体的に固定され1つの導光部20となっている。光透過部材50は、プリズム10の透視機能を補助する部材(補助プリズム)であり、光学的な機能を有する側面として、第1透過面S51と、第2透過面S52と、第3透過面S53とを有する。ここで、第1透過面S51と第3透過面S53との間に第2透過面S52が配置されている。第1透過面S51は、プリズム10の第1面S11を延長した曲面上にあり、第2透過面S52は、当該第2面S12に対して接着層CCによって接合され一体化されている曲面であり、第3透過面S53は、プリズム10の第3面S13を延長した曲面上にある。このうち第2透過面S52とプリズム10の第2面S12とは、薄い接着層CCを介しての接合によって一体化されるため、略同じ曲率の形状を有する。
【0053】
光透過部材(補助プリズム)50は、可視域で高い光透過性を示し、光透過部材50の本体部分は、プリズム10のプリズム本体10sと略同一の屈折率を有する熱可塑性樹脂材料で形成されている。なお、光透過部材50は、本体部分をプリズム10のプリズム本体10sに接合した後、接合された状態でプリズム本体10sとともにハードコートによる成膜がなされて形成されるものである。つまり、光透過部材50は、プリズム10と同様、本体部分の表面にハードコート層27が施されたものとなっている。つまり、第1透過面S51と第3透過面S53とは、本体部分の表面に施されたハードコート層27によって形成される面である。
【0054】
画像表示装置80は、2次元的な照明光SLを射出する照明装置81と、透過型の空間光変調装置である映像表示素子82と、照明装置81及び映像表示素子82の動作を制御する駆動制御部84とを有する。
【0055】
画像表示装置80の照明装置81は、赤、緑、青の3色を含む光を発生する光源81aと、光源81aからの光を拡散させて矩形断面の光束にするバックライト導光部81bとを有する。映像表示素子82は、例えば液晶表示デバイスで形成される映像素子であり、照明装置81からの照明光SLを空間的に変調して動画像等の表示対象となるべき画像光を形成する。駆動制御部84は、光源駆動回路84aと、液晶駆動回路84bとを備える。光源駆動回路84aは、照明装置81の光源81aに電力を供給して安定した輝度の照明光SLを射出させる。液晶駆動回路84bは、映像表示素子(映像素子)82に対して画像信号又は駆動信号を出力することにより、透過率パターンとして動画や静止画の元になるカラーの映像光又は画像光を形成する。なお、液晶駆動回路84bに画像処理機能を持たせることができるが、外付けの制御回路に画像処理機能を持たせることもできる。
【0056】
以下、虚像表示装置100における映像光GL等の光路について説明する。映像表示素子(映像素子)82から射出された映像光GLは、投射レンズ30によって収束されつつ、プリズム10に設けた比較的強い正の屈折力を有する第6面S16に入射する。
【0057】
プリズム10の第6面S16を通過した映像光GLは、収束しつつ進み、第2プリズム部分12を経由する際に、比較的弱い正の屈折力を有する第5面S15で反射され、比較的弱い負の屈折力を有する第4面S14で反射される。
【0058】
第2プリズム部分12の第4面S14で反射された映像光GLは、第1プリズム部分11において、比較的弱い正の屈折力を有する第3面S13に入射して全反射され、比較的弱い負の屈折力を有する第1面S11に入射して全反射される。なお、映像光GLは、第3面S13を通過する前後において、プリズム10中に中間像を形成する。この中間像の像面IIは、映像表示素子82の像面OIに対応するものである。
【0059】
第1面S11で全反射された映像光GLは、第2面S12に入射するが、特にハーフミラー層15に入射した映像光GLは、このハーフミラー層15を部分的に透過しつつも部分的に反射されて第1面S11に再度入射して通過する。なお、ハーフミラー層15は、ここで反射される映像光GLに対して比較的強い正の屈折力を有するものとして作用する。また、第1面S11は、これを通過する映像光GLに対して負の屈折力を有するものとして作用する。
【0060】
第1面S11を通過した映像光GLは、観察者の眼EYの瞳に略平行光束として入射する。つまり、観察者は、虚像としての映像光GLにより、映像表示素子(映像素子)82上に形成された画像を観察することになる。
【0061】
一方、外界光HLのうち、プリズム10の第2面S12よりも−X側に入射するものは、第1プリズム部分11の第3面S13と第1面S11とを通過するが、この際、正負の屈折力が相殺されるとともに収差が補正される。つまり、観察者は、プリズム10越しに歪みの少ない外界像を観察することになる。同様に、外界光HLのうち、プリズム10の第2面S12よりも+X側に入射するもの、つまり、光透過部材50に入射したものは、これに設けた第3透過面S53と第1透過面S51とを通過する際に、正負の屈折力が相殺されるとともに収差が補正される。つまり、観察者は、光透過部材50越しに歪みの少ない外界像を観察することになる。さらに、外界光HLのうち、プリズム10の第2面S12に対応する光透過部材50に入射するものは、第3透過面S53と第1面S11とを通過する際に、正負の屈折力が相殺されるとともに収差が補正される。つまり、観察者は、光透過部材50越しに歪みの少ない外界像を観察することになる。なお、プリズム10の第2面S12と光透過部材50の第2透過面S52とは、略同一の曲面形状をともに有し、略同一の屈折率をともに有し、両者の隙間が略同一の屈折率の接着層CCで充填されている。つまり、プリズム10の第2面S12や光透過部材50の第2透過面S52は、外界光HLに対して屈折面として作用しない。
【0062】
ただし、ハーフミラー層15に入射した外界光HLは、このハーフミラー層15を部分的に透過しつつも部分的に反射されるので、ハーフミラー層15に対応する方向からの外界光HLは、ハーフミラー層15の透過率に弱められる。その一方で、ハーフミラー層15に対応する方向からは、映像光GLが入射するので、観察者は、ハーフミラー層15の方向に映像表示素子(映像素子)82上に形成された画像とともに外界像を観察することになる。
【0063】
プリズム10内で伝搬されて第2面S12に入射した映像光GLのうち、ハーフミラー層15で反射されなかったものは、光透過部材50内に入射するが、光透過部材50に設けた不図示の反射防止部によってプリズム10に戻ることが防止される。つまり、第2面S12を通過した映像光GLが光路上に戻されて迷光となることが防止される。また、光透過部材50側から入射してハーフミラー層15で反射された外界光HLは、光透過部材50に戻されるが、光透過部材50に設けた上述の不図示の反射防止部によってプリズム10に射出されることが防止される。つまり、ハーフミラー層15で反射された外界光HLが光路上に戻されて迷光となることが防止される。
【0064】
以上の説明から明らかなように、第1実施形態の虚像表示装置100によれば、制限部107nが枠部102に対して部分的に固定されている光学部材101a,101bの変位を制限するので、光学部材101a,101bに過度の応力がかけられたり光学部材101a,101bが変形したりすることを防止できる。つまり、制限部107nを補助的に用いることで光学部材101a,101bの支持強度を向上させることができる。なお、光学部材101a,101bは、枠部102に対して部分的に固定されており、締結部及び部品点数が減少して小型化が容易になるとともに虚像表示装置100を軽量化しやすくなる。さらに、光学部材101a,101bが枠部102に対して部分的に固定されているので、光学部材101a,101bと枠部102との間に熱膨張率の差があっても、枠部102に対して光学部材101a,101bの膨張等が許容され、光学部材に歪み、変形、破損が生じることをより確実に防止できる。
【0065】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態の虚像表示装置について説明する。なお、本実施形態の虚像表示装置は、第1実施形態の虚像表示装置100の変形例であり、特に説明しない場合、
図1等に示す虚像表示装置100と同様であるものとする。
【0066】
以下、
図9(A)及び9(B)を参照して、本実施形態の虚像表示装置200について説明する。図示のように、本実施形態の虚像表示装置200は、観察者の眼前を透視可能に覆う第1及び第2光学部材201a,201bと、両光学部材201a,201bを支持するフレーム107と、フレーム107の左右両端から後方にかけての部分に固定された第1及び第2駆動部205a,205bと、2次元的に走査される信号光を射出する第1及び第2映像素子206a,206bとを備える。図面上で左側の第1光学部材201aと第1駆動部205aと第1映像素子206aとを組み合わせた第1表示装置100Aは、右眼用の虚像を形成する部分であり、単独でも虚像表示装置として機能する。また、図面上で右側の第2光学部材201bと第2駆動部205bと第2映像素子206bとを組み合わせた第2表示装置100Bは、左眼用の虚像を形成する部分であり、第1表示装置100Aの左右を反転させただけであり、第1表示装置100Aと同じ機能を有する。
【0067】
第1表示装置100Aにおいて、第1映像素子206aは、強度変調された信号光を形成するとともに当該信号光を走査光TLとして射出する。第1光学部材201aは、第1映像素子206aからの走査光TLを反射することによって画像光GLを形成する被照射部材であるが、画像光GLを眼EYに導く機能を有する。第1駆動部205aは、第1映像素子206aに対して不図示の光ファイバー等を介して照明光を供給する光源、それらの動作の制御回路等を含む本体部分280を有する。
【0068】
第1映像素子206aは、鼻当て部材108aに組み付けられており、フレーム107に対して間接的に固定されている。第1映像素子206aは、本体部分280からの照明光を制御信号に基づいて変調する信号光変調部281と、信号光変調部281を経た信号光を走査しつつ射出させる走査光学系282とを有する。ここで、走査光学系282は、MEMSミラー等で構成され、信号光変調部281による信号光の変調に同期させて姿勢を変化させることにより、信号光の光路を調整することで第1光学部材201aの内面への光線の射出角度を縦横に変化させる2次元走査を行う。
【0069】
第1光学部材201aは、第1映像素子206aの前方又は光射出方向において装着者の眼EYの前方を覆うように配置されている。第1光学部材201aは、走査光の照射を受ける半透過膜である半透過反射膜285と、半透過反射膜285を支持固定する支持部材286とを有している。これにより、装着者の眼EYには、虚像のみならず、外界からの光も入ることになり、虚像表示装置200は、双方を重畳して観察可能にするシースルーの構成となっている。なお、半透過反射膜285は、ハーフミラーとすることもできるが、ホログラムその他の回折型の光学素子とすることもできる。
【0070】
第1光学部材201aは、第1実施形態の第1光学部材101aのような内部伝搬型の導光部ではないが、第1実施形態の場合と同様に眼前を覆う薄い楕円形状を有し、外周の一部である周囲部分A0に取付部10gとリブ10nとを有する。なお、フレーム107は、第2固定部61eとリブ10nとを有する。
【0071】
第1光学部材201aのフレーム107への組付けについて説明する。第1光学部材101aは、周囲部分A0に形成された突起状の取付部10gを利用して、フレーム107の側方にある側方端部65aに設けた第2固定部61e直接固定されており、第1映像素子206a等に対してアライメントされた状態となっている。フレーム107には、ストッパーとして溝状の制限部107nが設けられている。第1光学部材201aの組み付け後において、制限部107nには、第1光学部材201aの上端部に設けた突起状のリブ10nが僅かな隙間を有する遊嵌状態で挿入される。これにより、第1光学部材201aの先端側の変位をフレーム107の奥行き方向に関して制限することができる。なお、第1光学部材201aのうち取付部10gを除いた部分は、フレーム107及びプロテクター108と僅かに離間しており、フレーム107及びプロテクター108との関係で非固定状態とされている。
【0072】
以下、画像形成の動作について説明する。まず、第1映像素子206aのうち、信号光変調部281は、画像を構成する画素の輝度に対応して照明光を変調した信号光を形成し射出する。信号光変調部281から射出された信号光は、スキャン部である走査光学系282に入射する。走査光学系282は、信号光を走査光TLとして第1光学部材101aに向けて射出する。第1光学部材101aにおいて、走査光TLを入射させることで、ここでの反射光としての画像光GLによって虚像が形成され、この虚像を観察者が眼EYで捉えることで、画像が認識される。
【0073】
以上、実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0074】
上記第1実施形態では、フレーム107と投射レンズ30とが別体でネジ止めによって投射レンズ30をフレーム107に固定しているが、投射レンズ30の鏡筒39をフレーム107と一体成形することもできる。鏡筒39をフレーム107と一体成形する方法として、アウトサート成形、ダイカスト一体成形後の鏡筒部削り出し等の手法がある。
【0075】
導光部20又は投射レンズ30については、ネジ止めによる締結に限らず、様々な手法でフレーム107に固定することができる。
【0076】
上記の説明では、制限部107nやリブ10nが細長く延びるとしたが、これらを短くすることができ、さらに複数組の制限部107nやリブ10nを設けることもできる。また、リブ10nにおいて拡幅部10qは不要であり、この拡幅部10qを省略する場合、制限部107nの溝107sにおいて、拡幅部107qを省略することもできる。さらに、制限部107nは、溝107sのような凹部に限らず、例えばリブ10nに沿って互い違いに配置された突起又は凸条とすることもできる。
【0077】
上記の説明では、フレーム107に制限部107nを設けているが、これに代えて或いはこれとともに、プロテクター108にプリズム10の変形、ぶれ等を防止するための制限部を設けることもできる。プロテクター108側に形成された制限部は、下のリブ10oを例えば遊嵌によって係止する。
【0078】
上記の説明では、フレーム107にプロテクター108を取り付けているが、プロテクター108についてはこれを省略することができる。この場合、
図2(B)等に示すフレーム107を元の形状のままに維持して、フレーム107の中央部107gに鼻当て部材108aを設けた補助部材を連結することもできるが、補助部材を一体的に設けたフレーム107を予め準備することもできる。かかる補助部材は、プロテクター108の縦部分63aと同様に導光部20を保護する部材として用い得る。なお、フレーム107とプロテクター108とを一体的に作製することもできる。
【0079】
上記第1実施形態では、プリズム10の光入射側に投射レンズ30を配置しているが、投射レンズ30を省略して、プリズム10自体に結像機能を持たせることができる。また、投射レンズ30に代えて結像機能を有する別のプリズム10を配置することもできる。
【0080】
上記第1実施形態では、投射レンズ30の鏡筒39に導光部20との係止部材39aを設けているが、導光部20側に例えば鏡筒39を挟むように鏡筒39と嵌合する係止部材を設けることができる。
【0081】
上記第1実施形態では、ハーフミラー層(半透過反射膜)15が横長の矩形領域に形成されるとしたが、ハーフミラー層15の輪郭は用途その他の使用に応じて適宜変更することができる。また、ハーフミラー層15の透過率や反射率も用途その他に応じて変更することができる。
【0082】
上記第1実施形態では、ハーフミラー層15が単なる半透過性の膜(例えば金属反射膜や誘電体多層膜)であるとしたが、ハーフミラー層15は、平面又は曲面のホログラム素子に置き換えることができる。
【0083】
上記第1実施形態では、映像表示素子82における表示輝度の分布を特に調整していないが、位置によって輝度差が生じる場合等においては、表示輝度の分布を不均等に調整することができる。
【0084】
上記第1実施形態では、画像表示装置80として、透過型の液晶表示デバイス等からなる映像表示素子82を用いているが、画像表示装置80としては、透過型の液晶表示デバイス等からなる映像表示素子82に限らず種々のものを利用可能である。例えば、反射型の液晶表示デバイスを用いた構成も可能であり、液晶表示デバイス等からなる映像表示素子82に代えてデジタル・マイクロミラー・デバイス等を用いることもできる。また、画像表示装置80として、LEDアレイやOLED(有機EL)などに代表される自発光型素子を用いることができる。
【0085】
上記第1実施形態では、透過型の液晶表示デバイス等からなる画像表示装置80を用いているが、これに代えて走査型の画像表示装置を用いることもできる。
具体的には
図10に示すように、虚像表示装置としての第1表示装置100Aは、導光部20と画像表示装置380とを備える。導光部20は、第1実施形態として説明したものと同一であり、ここでは説明を省略する。一方、画像表示装置380は、第2実施形態の第1映像素子206aに相当するものであり、信号光形成部381と走査光学系282とを有する。信号光形成部381は、光源も備えており、信号光LLを形成し射出する。走査光学系282は、信号光形成部381の変調に併せて姿勢を変化させて光路を調整することにより、映像光GLとなるべき走査光TLを導光部20に入射させるとともに第2面S12のうちハーフミラー層15が形成される部分領域の全体をスキャンさせる。図示の第1表示装置100Aの動作について説明すると、画像表示装置380のうち、信号光形成部GGから射出された信号光LLは、走査光学系282に入射する。走査光学系282は、信号光LLを、走査光TLとして導光部20に向けて射出する。導光部20は、走査光TLを全反射等により内部に導光させ、ハーフミラー層15に到達させる。この際、ハーフミラー層15の面上において走査光TLが走査されることで、走査光Tlの軌跡としての画像光GLによって虚像が形成され、この虚像を装着者が眼EYで捉えることで、画像が認識される。なお、図示の場合では、導光部20のうち光入射面である第6面S16は、走査光TLの光軸に対して垂直な平面となっている。また、第5面S15及び第4面S14も平面となっている。
【0086】
上記の説明では、一対の表示装置100A,100Bを備える虚像表示装置100について説明しているが、単一の表示装置とできる。つまり、右眼及び左眼の双方に対応して、一組ずつ投射透視装置70及び画像表示装置80を設けるのではなく、右眼又は左眼のいずれか一方に対してのみ投射透視装置70及び画像表示装置80を設け、画像を片眼視する構成にしてもよい。この場合、フレーム107やつる部分104は、例えば
図1等に示すままで左右対称に配置する形状とする。
【0087】
上記の説明では、一対の表示装置100A,100BのX方向の間隔について説明していないが、両表示装置100A,100Bの間隔は固定に限らず、機械機構等によって間隔の調整が可能である。つまり、フレーム107に伸縮機構等を設けるならば、両表示装置100A,100BのX方向の間隔を、着用者の眼幅等に応じて調整することができる。
【0088】
上記第1実施形態では、プリズム10の第1面S11及び第3面S13において、表面上にミラーやハーフミラー等を施すことなく空気との界面により映像光を全反射させて導くものとしているが、本願発明の虚像表示装置100における全反射については、第1面S11又は第3面S13上の全体又は一部にミラーコートや、ハーフミラー膜が形成されてなされる反射も含むものとする。例えば、映像光の入射角度が全反射条件を満たした上で、上記第1面S11又は第3面S13の全体又は一部にミラーコート等が施され、実質的に全ての映像光を反射する場合も含まれる。また、十分な明るさの映像光を得られるのであれば、多少透過性のあるミラーによって第1面S11又は第3面S13の全体又は一部がコートされていてもよい。
【0089】
上記の説明では、プリズム10等が眼EYの並ぶ横方向に延びているが、プリズム10を縦方向に延びるように配置することもできる。この場合、プリズム10は、例えば上部での片持ち状態によって支持される。