(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態の屋外型の精米設備について、以下説明する。
建屋1内を機械室2と客室3とに仕切壁5で仕切る。
客室3側には利用者が持参した穀物(玄米)を投入する投入ホッパ4の投入口4aを臨ませる。また、仕切壁5の正面側には利用者用の操作盤6及び料金投入口28を設ける。また、精米処理した精白米を収容する白米タンク7の取出口7aと、後述する糠パックPを収容する糠パック収容室8を設けている。
【0013】
投入ホッパ4内には穀物の有無を検出する穀物有無検出センサ9を設け、投入ホッパ4の底部には穀物を繰り出すロータリバルブ10を設けている。
機械室2内にはロータリバルブ10で繰り出された穀物を揚穀する第一昇降機11と、石抜き処理する石抜機12と、石抜機12で選別された穀物を揚穀する第二昇降機13と、第二昇降機13で揚穀された穀物を精米する精米機14を備える。
【0014】
また、機械室2内には精米機14で精米処理され発生した糠を搬送する糠搬送ファン15と、糠搬送ファン15で搬送された糠をパック詰めする糠パック装置16と、糠パック装置16でパック詰めされた糠パックPを客室3側へ搬送する糠パック搬送コンベア17を備える。なお、糠搬送ファン15で搬送された糠はサイクロン18で空気と糠とに分離され、糠は糠パック装置16か糠収容容器19のいずれかに正逆転可能な糠搬送ラセンコンベア20で搬送する構成である。
【0015】
糠パック装置16はロール状の透明のフィルムシート21(ビニルシート)から切断具22やフィルム溶着具23で袋状とし、上部を開口して順次搬送される糠を受け、設定糠量になる頃を見計らってパック詰め処理し、パック詰めした糠パックPを放出シュート24で糠パック搬送コンベア17に落下供給する構成としている。そして、糠パック搬送コンベア17の搬送終端側には糠パックPを糠パック収容室8内に案内する糠パック案内シュート42を設けている。
【0016】
本実施の形態では糠パック1袋につき、約1kg収容できる構成としている。
操作盤6には精白度を選択する精白度選択スイッチ25を設ける。精白度スイッチは1分搗き・3分搗き・5分搗き・8分搗き・標準・上白・無洗米を選択可能に構成している。
【0017】
操作盤6の裏側には機械室2内の各装置を駆動制御する制御部26が内蔵されており、精米設備の管理者が任意に制御内容を設定可能に構成している。糠パックの作成を有料にするか無料にするかを選択する有料・無料選択スイッチ29を操作盤6の裏側、すなわち管理者が操作する側に設けている。
【0018】
客室3側には糠パック持ち帰り用スイッチ27を設ける。本実施の形態の糠パック持ち帰り用スイッチ27は糠をパック詰めして持ち帰ることを希望する利用者が操作すると糠パックPが作成される構成である。
【0019】
次に、精米運転について説明する。
利用者は、料金投入口28へ料金を投入し、持参穀物を投入ホッパ4へ投入する。そして精白度選択スイッチ25で所望の精白度を選択すると投入料金(例えば玄米10kgあたり100円)に応じた運転時間、精米運転が開始される。
【0020】
投入ホッパ4内の穀物はロータリバルブ10で繰り出され、第一昇降機11・石抜機12・第二昇降機13を通過し、精米機14で精米処理され、白米タンク7に収容される。利用者は白米取出口7aから白米を取り出す。
【0021】
利用者が糠パック持ち帰り用スイッチ27を操作している場合には、精米運転で発生した糠は糠搬送ファン15で空気搬送され、サイクロン18を通過し、糠搬送ラセンコンベア20で糠パック装置16側へ順次搬送され、設定糠量(糠1kg毎)毎に糠パックPが作成される。作成された糠パックPは放出シュート24及び糠パック搬送コンベア17で搬送され、客室3側に設ける糠パック収容室8内へ糠パック案内シュート42で案内される。そして、利用者は糠パックPを取り出して持ち帰る。
【0022】
例えば、精白度を標準とした場合、玄米10kgにつき約1kgの糠が発生する。すなわち、一回の運転で30kgの玄米を精米したら糠パックPが3袋順次作成されることになる。
【0023】
なお、発生する糠量はロータリバルブ10の回転数で換算される玄米量と選択した精白度の関係から換算することが可能である。あるいは、設定した精白度と精米機14による連続精米運転時間の関係から換算することも可能である。
【0024】
糠の発生量は精白度によって異なる。すなわち、例えば精白度が標準なら玄米10kgにつき発生する糠量は約1kgであるが、5分搗きの場合には玄米10kgにつき発生する糠量は約500gである。本実施の形態の糠パックPは1パックにつき、糠を約1kg収容できる構成としているため、糠をパックするタイミングは標準時よりも5分搗きの場合のほうがタイミングを長くしている。すなわち、標準の場合には玄米10kgの精米処理毎に糠パックPを1袋作成することになるが、5分搗きの場合には20kgの精米処理毎に糠パックPを1袋作成することになる。
【0025】
利用者が糠パック持ち帰り用スイッチ27を操作しない場合には、精米運転で発生した糠は糠搬送ファン15で空気搬送され、サイクロン18を通過し、糠搬送ラセンコンベア20で糠収容容器19へ収容される。
【0026】
次に、管理者が糠パックPの作成を有料に設定した場合の糠パックP作成の特徴について説明する。
利用者は、料金投入口28へ料金を投入し、持参穀物を投入ホッパ4へ投入する。そして、糠パック持ち帰り用スイッチ27を選択し、精白度選択スイッチ25を選択すると精米運転が開始される。このとき、有料の場合には、投入料金から精米運転のための料金とは別に糠パックPに要する料金が必要となる。本実施の形態の糠パックPの料金は、糠パック1袋を作成する毎に差し引かれるのではなく、持参穀物量にかかわらず一回の精米運転につき特定の料金(例えば50円)が必要となる構成としている。
【0027】
例えば、玄米30kgを精米運転及び糠パックPの作成をする場合には、精米運転が10kgにつき100円で1回の精米運転での糠パックPの料金が50円となるので350円が必要である。玄米20kgの場合には250円となる。
【0028】
糠パック持ち帰り用スイッチ27は精米運転の開始前までに操作可能に構成し、精米運転開始後は糠パック持ち帰り用スイッチ27の操作を規制する。有料の場合には、利用者の持参穀物から発生する全ての糠を利用者に提供するのが望ましいためである。
【0029】
次に、管理者が糠パックPの作成を無料に設定した場合の糠パックP作成の特徴について説明する。
無料の場合には、糠パック持ち帰り用スイッチ27を精米運転開始後でも操作可能とする。但し、穀物有無検出センサ9が穀物無しを検出すると、糠パック持ち帰り用スイッチ27の操作を規制する構成としている。穀物有無検出センサ9が穀物無しを検出した後では発生糠量が少なくなり、糠パックPの充填量が少なくなり、糠パックPの姿勢が安定せず、搬送し難くなるのを防止するためである。
【0030】
次に、糠パックPの作成を有料に設定した場合、無料に設定した場合のいずれにも共通する特徴について説明する。
糠パック持ち帰り用スイッチ27を操作して糠パックPを持ち帰ることのできる精白度を設定精白度以上とする。例えば、5分搗き以上は糠パックの作成を可能とし、5分搗き未満(3分搗き・1分搗き)は糠パックPの作成を規制する。これは、前述に記載しているように、発生する糠量が少ないと、糠パックPの充填量が少なくなり、糠パックPの姿勢が安定せず、搬送し難くなるのを防止するためである。
【0031】
具体的には、糠パック持ち帰り用スイッチ27を選択すると設定精白度以上の精白度選択スイッチ25を選択可能とし、それ以外の精白度選択スイッチ25の選択を規制する。
あるいは、持ち帰りのできない精白度の精白度選択スイッチ25を選択すると糠パック持ち帰り用スイッチ27の操作を規制する。
【0032】
糠パックPは精米運転中に設定間隔毎に作成され、糠パック搬送コンベア17で搬送されるため、利用者が糠パック収容室8から取り出さないと糠パック収容室8が糠パックPで詰ってしまう。そこで、糠パックPを作成毎に、利用者に音声で「糠パックを取り出して下さい」との報知を行う。
【0033】
糠パック収容室8はスペースに限りがあるため、本実施の形態では連続して糠パックPを作成できるのを3袋までに設定している。通常、利用者は1回の精米運転で持参する穀物量は30kg前後であることが多いためである。
【0034】
図9のフローチャートは糠パックの作成を有料時の精米運転を示しているが、無料についても略共通しており、相違点は精米運転開始後以降でも穀物有無検出センサ9が穀物無しを検出するまでは、糠パック持ち帰り用のスイッチの操作が可能であるという点である。
【0035】
穀物有無検出センサ9が穀物の無しを検出した後の糠パックPの作成について
図10に基づいて説明する。
精米運転中に穀物有無検出センサ9が穀物無しを検出すると、第一昇降機11から精米機14までに残留している穀物量及び発生する糠量を換算する。
【0036】
そして、作成途中の糠パックP2と最後に作成する糠パックP3の双方に、糠パックにするのに最低必要な糠量を収容できるように糠パック詰めのタイミングを制御する。
糠パックを作成するのに最低必要な糠量とは、前述の糠パックPを安定した姿勢で円滑に搬送するため(糠パックPの搬送不良防止)の糠量であり、本実施の形態の糠袋は例えば400g以上の糠を充填する必要があるとしている。
【0037】
標準で精米運転中に、作成途中の糠パックP2に200g収容されていると換算し、残留している玄米量が10kgと換算した場合に、玄米5kg分の糠(500g)は現在作成中の糠パックP2に収容することで700gの糠パックP2を作成し、残りの玄米5kg分の糠(500g)は最後の糠パックP3に収容して500gの糠パックP3を作成する。すなわち、残留する玄米を適宜按分した分の糠を作成中の糠パックP2と最後の糠パックP3にそれぞれ供給して糠パックPを作成する。
【0038】
このように、作成途中の糠パックP2内に残留する玄米から発生する糠を収容できないと判定した場合には、作成途中の糠パックP2と最後の糠パックP3それぞれがいずれも最低必要な充填量を得るように制御するものである。
【0039】
精米設備を設置している場所の外気温度や外気湿度に応じた糠パック作成について説明する。
まず、外気温度について説明する。
【0040】
冬場等に外気温度が低いとフィルムの溶着がし難くなり、糠を充填した糠パックが破れて糠が散乱する場合が生じる。そこで、機械室2内に外気温度センサ40を設け、外気温度センサ40が設定温度以下(例えば5℃)を検出すると、利用者が糠パック持ち帰り用スイッチ27を選択しても糠パック装置16による糠パックPの作成を規制するよう構成する。具体的には音声で利用者に「外気温度が低いので糠パックを作成致しません」と報知する。この場合には、精米運転で発生した糠は糠搬送ファン15で空気搬送され、サイクロン18を通過し、糠搬送ラセンコンベア20で糠収容容器19へ収容される。
【0041】
あるいは、糠パック装置16の内部(近傍でも良い)に糠パック装置用の加温装置41を設け、外気温度センサ40が設定温度以下(5℃)を検出すると糠パック装置用の加温装置41が作動を開始し、糠パック装置16の周囲の温度を上昇させることで、利用者が糠パック持ち帰り用スイッチ27を選択すると糠パックPの作成をする構成にしても良い。
【0042】
別の構成として、外気温度が設定温度以下(例えば−5℃)の場合には、糠パック装置16による糠パックPの作成を規制し、外気温度が設定温度範囲(例えば5℃以下〜−5℃未満)の場合には加温装置41を作動させて糠パックPの作成を行うことができる構成にしても良い。すなわち、精米運転が可能とされるマイナス5℃を上回る気温の場合には、加温装置41を作動させることで糠パックPの作成を可能にして利用者の要望に対応することを可能とすると共に、精米運転が困難になるマイナス5℃を下回る極寒冷状態では糠パックの作成を規制するものである。
【0043】
次に、外気湿度について説明する。
外気湿度が高いと糠パックPを案内する糠パック案内シュート42の表面に湿気が生じ、糠パックPがシュートの表面に付着して糠パック収容室8内に円滑に落下供給できない場合が生じる。機械室2内に外気湿度センサ43を設け、設定以上の外気湿度(例えば95%以上)を利用者が糠パック持ち帰り用スイッチ27を選択しても糠パック装置16による糠パックPの作成を規制するよう構成する。具体的には音声で利用者に「外気湿度が高いので糠パックを作成致しません」と報知する。この場合には、精米運転で発生した糠は糠搬送ファン15で空気搬送され、サイクロン18を通過し、糠搬送ラセンコンベア20で糠収容容器19へ収容される。
【0044】
あるいは、糠パック案内シュート42の近傍に加温装置44を設け、外気湿度センサ43が設定湿度(95℃以上)を検出すると糠パック案内シュート42用の加温装置44が作動を開始し、糠パック案内シュート42の案内面の湿気を除去することで、利用者が糠パック持ち帰り用スイッチ27を選択すると糠パックPの作成をする構成にしても良い。
【0045】
あるいは、設定範囲の湿度(85%〜95%未満)の場合に加温装置44を作動させ、設定以上の湿度(95%以上)の場合には糠パックPの作成を規制する構成としても良い。
【0046】
外気湿度が高いと放出シュート24の表面も湿気が生じて糠パックPが放出し難くなる場合がある。この場合に、糠パック装置用の加温装置41により加温してシュート表面の湿気を除去する構成としても良い。
【0047】
糠パック装置16用の加温装置41又は加温装置44はヒータでも良いし、温風を供給するタイプのいずれでも良い。
外気温度や外気湿度に応じて糠パックPの作成を規制するか否かは、予め精米設備の管理者が制御部26に手動で入力できる構成にしても良い。