特許第6244649号(P6244649)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244649
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60C 5/14 20060101AFI20171204BHJP
   B60C 13/00 20060101ALI20171204BHJP
   B29D 30/00 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   B60C5/14 Z
   B60C13/00 A
   B60C13/00 C
   B29D30/00
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-92469(P2013-92469)
(22)【出願日】2013年4月25日
(65)【公開番号】特開2014-213717(P2014-213717A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 秀樹
【審査官】 岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−170105(JP,A)
【文献】 特開2000−075794(JP,A)
【文献】 特開平10−222070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 5/14,13/00
B29D 30/16,30/30,30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ表面に配置された複数層のフィルム層と該フィルム層の下側に配置された下地ゴム層とを含む積層体からなるインナーライナー層をタイヤ内壁に備え、前記フィルム層を熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーとをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から構成すると共に、前記積層体においてタイヤ表面に露出する最外側のフィルム層をその下側に隣接するフィルム層とは異なる色に着色し、前記最外側のフィルム層にレーザー加工による複数の開口部を形成し、これら開口部を介して前記最外側のフィルム層の下側に隣接するフィルム層を露出させたことを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記開口部が文字、図形、記号又は数字からなる情報表示要素を形成することを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記開口部が会社のロゴマーク、タイヤのブランド、バーコード、タイヤサイズ、製造情報、使用条件又は使用上の注意事項からなる情報表示物を構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記積層体をトレッド部に埋設されたベルト層に対応するベルト内側領域に配置し、該ベルト内側領域に前記開口部を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
タイヤ表面に配置された複数層のフィルム層と該フィルム層の下側に配置された下地ゴム層とを含む積層体からなるインナーライナー層をタイヤ内壁に備え、前記フィルム層を熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーとをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から構成すると共に、前記積層体においてタイヤ表面に露出する最外側のフィルム層をその下側に隣接するフィルム層とは異なる色に着色した空気入りタイヤを加硫した後、前記最外側のフィルム層にレーザー加工により複数の開口部を形成し、これら開口部を介して前記最外側のフィルム層の下側に隣接するフィルム層を露出させることを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
【請求項6】
前記開口部が文字、図形、記号又は数字からなる情報表示要素を形成することを特徴とする請求項に記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項7】
前記開口部が会社のロゴマーク、タイヤのブランド、バーコード、タイヤサイズ、製造情報、使用条件又は使用上の注意事項からなる情報表示物を構成することを特徴とする請求項又はに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項8】
前記積層体をトレッド部に埋設されたベルト層に対応するベルト内側領域に配置し、該ベルト内側領域に前記開口部を形成することを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の情報を表示するようにした空気入りタイヤ及びその製造方法に関し、更に詳しくは、必要に応じて任意の情報を表示することが可能であり、表示された情報の視認性に優れると共に、情報表示物の脱落を回避することを可能にした空気入りタイヤ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤには、メーカー、ブランド、タイヤサイズ、使用条件等が表示されているが、これら情報表示物は金型に刻設された凹凸が転写されたものであって、タイヤそのものと同じ黒色であるため見え難いという欠点がある。
【0003】
一方、生産情報としてビルダーマーク等のシールをタイヤに貼り付けること(例えば、特許文献1〜3参照)が行われており、この場合、情報表示物の色を任意に選択することが可能である。しかしながら、加硫後の空気入りタイヤにシールを貼り付けた場合、そのシールが脱落することがあり、必要な情報を長期間にわたって確実に表示することができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−129219号公報
【特許文献2】特開平10−129220号公報
【特許文献3】特開平10−129221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、必要に応じて任意の情報を表示することが可能であり、表示された情報の視認性に優れると共に、情報表示物の脱落を回避することを可能にした空気入りタイヤ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ表面に配置された複数層のフィルム層と該フィルム層の下側に配置された下地ゴム層とを含む積層体からなるインナーライナー層をタイヤ内壁に備え、前記フィルム層を熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーとをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から構成すると共に、前記積層体においてタイヤ表面に露出する最外側のフィルム層をその下側に隣接するフィルム層とは異なる色に着色し、前記最外側のフィルム層にレーザー加工による複数の開口部を形成し、これら開口部を介して前記最外側のフィルム層の下側に隣接するフィルム層を露出させたことを特徴とするものである。
【0007】
また、上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤの製造方法は、タイヤ表面に配置された複数層のフィルム層と該フィルム層の下側に配置された下地ゴム層とを含む積層体からなるインナーライナー層をタイヤ内壁に備え、前記フィルム層を熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーとをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から構成すると共に、前記積層体においてタイヤ表面に露出する最外側のフィルム層をその下側に隣接するフィルム層とは異なる色に着色した空気入りタイヤを加硫した後、前記最外側のフィルム層にレーザー加工により複数の開口部を形成し、これら開口部を介して前記最外側のフィルム層の下側に隣接するフィルム層を露出させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、空気入りタイヤが少なくとも1層のフィルム層と下地ゴム層とを含む積層体を備え、フィルム層を熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー組成物から構成すると共に、タイヤ表面に露出する最外側のフィルム層にレーザー加工による複数の開口部を形成し、これら開口部を介して最外側のフィルム層の下側に隣接する層を露出させることにより、開口部の形状又は配置に基づいて任意の情報を表示することが可能である。また、最外側のフィルム層はその下側に隣接する層とは異なる色に着色されているので、表示された情報の視認性に優れている。しかも、積層体はタイヤに対して一体的に成形することが可能であるため、情報表示物の脱落を回避し、必要な情報を長期間にわたって確実に表示することができる。
【0009】
本発明において、開口部は文字、図形、記号又は数字からなる情報表示要素を形成することが好ましい。そして、開口部は会社のロゴマーク、タイヤのブランド、バーコード、タイヤサイズ、製造情報、使用条件又は使用上の注意事項からなる情報表示物を構成することが好ましい。これら情報表示要素又は情報表示物を開口部に基づいて表示することは極めて有用である。
【0010】
積層体は複数層のフィルム層を含み、タイヤ表面に露出する最外側のフィルム層をその下側に隣接するフィルム層とは異なる色に着色し、開口部を介して最外側のフィルム層の下側に隣接するするフィルム層を露出させることが好ましい。この場合、露出させるフィルム層の色を任意に選択することができる。
【0011】
積層体はタイヤ内壁又はサイドウォール部の外壁に配置することが好ましい。特に、積層体をタイヤ内壁に配置する場合、その積層体をトレッド部に埋設されたベルト層に対応するベルト内側領域に配置し、該ベルト内側領域に開口部を形成することが好ましい。これにより、タイヤ内壁において良好な視認性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
図2図1の空気入りタイヤにおけるフィルム層と下地ゴム層とからなる積層体を示す断面図である。
図3】フィルム層に開口部を形成する工程を示す断面図である。
図4】フィルム層と下地ゴム層とからなる積層体の変形例(参考例)を示す断面図である。
図5】開口部により描写される情報表示物の一例を示す平面図である。
図6】開口部により描写される情報表示物の他の例を示す平面図である。
図7】開口部により描写される情報表示物の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1図3は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものである。図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2,2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3,3とを備えている。
【0014】
一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
【0015】
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。ベルト層7の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層8が配置されている。ベルトカバー層8の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。また、タイヤ内壁にはカーカス層4に沿ってインナーライナー層9が配設されている。
【0016】
なお、上述したタイヤ補強構造は空気入りタイヤにおける代表的な例を示すものであるが、これに限定されるものではない。
【0017】
上記空気入りタイヤにおいて、インナーライナー層9は、図2に示すように、タイヤ表面に配置された2層のフィルム層11,12と該フィルム層11,12の下側に配置された下地ゴム層14とを含む積層体10(10A)から構成されている。積層体10Aにおいて、下地ゴム層14はカーカス層4とフィルム層11,12との間に介在するタイゴム層である。これとは別に、サイドウォール部2の外壁には、タイヤ表面に配置された2層のフィルム層11,12と該フィルム層11,12の下側に配置された下地ゴム層14とを含む積層体10(10B)が付加されている。積層体10Bにおいて、下地ゴム層14は積層体10Bに隣接するゴム層とフィルム層11,12との間に介在するタイゴム層である。
【0018】
上述したフィルム層11,12はいずれも熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーとをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から構成されている。これらフィルム層11,12の厚さは特に限定されるものではないが、例えば10μm〜200μmの範囲に設定することが望ましい。タイヤ表面に露出する最外側のフィルム層11はその下側に隣接するフィルム層12とは異なる色に着色されている。そして、最外側のフィルム層11にはレーザー加工による複数の開口部15が形成され、これら開口部15を介して最外側のフィルム層11の下側に隣接するフィルム層12が露出している。
【0019】
このような空気入りタイヤを製造する場合、先ず、上述の如く積層されたフィルム層11,12と下地ゴム層14とを含む積層体10を備えた空気入りタイヤを加硫する。その後、図3に示すように、レーザー照射装置の加工ヘッド21からフィルム層11に対してレーザー光22を照射し、その照射部分を除去することにより、最外側のフィルム層11に複数の開口部15を形成し、これら開口部15を介してフィルム層12を露出させる。
【0020】
レーザー光22の照射は、加工ヘッド21を移動させながら連続的に行っても良く、或いは、加工ヘッド21を移動させながら間欠的に行っても良い。加工ヘッド21の移動速度やレーザー光22の強度を調整することにより、形成すべき開口部15の深さを適宜調整することができる。レーザーとしては、例えば、赤外線レーザー、CO2(炭酸ガス)レーザー、YAGレーザーを使用することができるが、中でもCO2(炭酸ガス)レーザーを用いることが加工性の良さや制御性の点で好ましい。また、レーザー光による加工の被処理幅(線幅)は例えば0.2mm〜1.0mmの範囲に設定すると良い。
【0021】
上述のようにして得られる空気入りタイヤは、タイヤ表面に配置されたフィルム層11,12と下地ゴム層14とを含む積層体10を備え、熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー組成物からなるフィルム層11にレーザー加工による複数の開口部15を形成し、これら開口部15を介してフィルム層12を露出させているので、開口部15の形状又は配置に基づいて任意の情報を表示することが可能である。また、最外側のフィルム層11はその下側に隣接するフィルム層12とは異なる色に着色されているので、表示された情報の視認性に優れている。しかも、積層体10はタイヤに対して一体的に成形することが可能であるため、従来のようなシールを貼り付ける場合とは異なって、情報表示物の脱落を回避し、必要な情報を長期間にわたって確実に表示することができる。
【0022】
特に、上記空気入りタイヤでは、積層体10が複数層のフィルム層11,12を含み、開口部15を介してフィルム層12を露出させるので、フィルム層12を最外側のフィルム層11とは異なる色に着色することにより、開口部15を介して露出させる色を任意に選択することができる。
【0023】
なお、図4に示すように、積層体10をタイヤ表面に配置された1層のフィルム層11と該フィルム層11の下側に配置された下地ゴム層14とから構成することも可能である。この場合、タイヤ表面に露出する最外側のフィルム層11をその下側に隣接する下地ゴム層14とは異なる色に着色し、最外側のフィルム層11にレーザー加工による複数の開口部15を形成し、これら開口部15を介して最外側のフィルム層11の下側に隣接する下地ゴム層14を露出させた構造とする。
【0024】
図4の積層構造を採用した場合においても、図2の積層構造と同様に、開口部15の形状又は配置に基づいて任意の情報を表示することができ、表示された情報の視認性に優れると共に、情報表示物の脱落を回避することができる。但し、開口部15を介して下地ゴム層14を露出させたときに現れる色は、下地ゴム層14が持つ色(即ち、黒色)に限定されることになる。
【0025】
上記空気入りタイヤにおいて、積層体10はタイヤ内壁やサイドウォール部2の外壁に配置されている。積層体10をタイヤ内壁に配置する場合、その積層体10を少なくともトレッド部1に埋設されたベルト層7に対応するベルト内側領域Xに配置し、該ベルト内側領域Xに開口部15を形成すると良い。これにより、タイヤ内壁において良好な視認性を確保することができる。なお、開口部15はタイヤ内壁のベルト内側領域Xに配置することが好ましいが、サイドウォール部2やビード部3の内壁に開口部15を形成することも可能である。また、積層体10はタイヤ内壁の全域に形成しても良いが、ベルト内側領域Xだけに選択的に形成することも可能である。
【0026】
図5図7はそれぞれ開口部により描写される情報表示物を例示するものである。これら図5図7に示すように、開口部15は文字、図形、記号又は数字からなる情報表示要素17を形成することができる。そして、開口部15は会社のロゴマーク、タイヤのブランド、バーコード、タイヤサイズ、製造情報、使用条件又は使用上の注意事項からなる情報表示物18を構成することができる。これら情報表示物18を開口部15に基づいて表示した場合、情報表示物18について優れた視認性を確保し、かつ情報表示物18の脱落を回避することができる。
【0027】
以下、本発明においてフィルム層に使用される熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーとをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物について説明する。
【0028】
本発明で使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂〔例えば、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体〕及びそれらのN−アルコキシアルキル化物〔例えば、ナイロン6のメトキシメチル化物、ナイロン6/610共重合体のメトキシメチル化物、ナイロン612のメトキシメチル化物〕、ポリエステル系樹脂〔例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル〕、ポリニトリル系樹脂〔例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、(メタ)アクリロニトリル/スチレン共重合体、(メタ)アクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体〕、ポリメタクリレート系樹脂〔例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル〕、ポリビニル系樹脂〔例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体〕、セルロース系樹脂〔例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース〕、フッ素系樹脂〔例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)〕、イミド系樹脂〔例えば、芳香族ポリイミド(PI)〕等を好ましく用いることができる。
【0029】
本発明で使用されるエラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴム及びその水添物〔例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR、高シスBR及び低シスBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム〔例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー〕、含ハロゲンゴム〔例えば、Br−IIR、CI−IIR、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレンゴム(M−CM)〕、シリコンゴム〔例えば、メチルビニルシリコンゴム、ジメチルシリコンゴム、メチルフェニルビニルシリコンゴム〕、含イオウゴム〔例えば、ポリスルフィドゴム〕、フッ素ゴム〔例えば、ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム〕、熱可塑性エラストマー〔例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー〕等を好ましく使用することができる。
【0030】
前記した特定の熱可塑性樹脂とエラストマーとの相溶性が異なる場合は、第3成分として適当な相溶化剤を用いて両者を相溶化させることができる。ブレンド系に相溶化剤を混合することにより、熱可塑性樹脂とエラストマーとの界面張力が低下し、その結果、分散相を形成しているゴム粒子径が微細になることから両成分の特性はより有効に発現されることになる。そのような相溶化剤としては、一般的に熱可塑性樹脂及びエラストマーの両方又は片方の構造を有する共重合体、或いは熱可塑性樹脂又はエラストマーと反応可能なエポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基、アミノ基、オキサゾリン基、水酸基等を有した共重合体の構造をとるものとすることができる。これらは混合される熱可塑性樹脂とエラストマーの種類によって選定すればよいが、通常使用されるものには、スチレン/エチレン・ブチレンブロック共重合体(SEBS)及びそのマレイン酸変性物、EPDM、EPM、EPDM/スチレン又はEPDM/アクリロニトリルグラフト共重合体及びそのマレイン酸変性物、スチレン/マレイン酸共重合体、反応性フェノキシン等を挙げることができる。かかる相溶化剤の配合量には特に限定はないが、好ましくは、ポリマー成分(熱可塑性樹脂とエラストマーとの合計)100重量部に対して、0.5〜10重量部がよい。
【0031】
熱可塑性エラストマー組成物において、特定の熱可塑性樹脂とエラストマーとの組成比は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連続相として分散した構造をとるように適宜決めればよいが、好ましい範囲は重量比90/10〜15/85である。
【0032】
本発明において、熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマー組成物には、必要特性を損なわない範囲で前記した相溶化剤などの他のポリマーを混合することができる。他のポリマーを混合する目的は、熱可塑性樹脂とエラストマーとの相溶性を改良するため、材料の成型加工性をよくするため、耐熱性向上のため、コストダウンのため等があり、これに用いられる材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS、SBS、ポリカーボネート(PC)等を例示することができる。また、一般的にポリマー配合物に配合される充填剤(炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ等)、カーボンブラック、ホワイトカーボン等の補強剤、軟化剤、可塑剤、加工助剤、顔料、染料、老化防止剤等を必要特性を損なわない限り任意に配合することもできる。
【0033】
また、エラストマーは熱可塑性樹脂との混合の際、動的に加硫することもできる。動的に加硫する場合の加硫剤、加硫助剤、加硫条件(温度、時間)等は、添加するエラストマーの組成に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。
【0034】
加硫剤としては、一般的なゴム加硫剤(架橋剤)を用いることができる。具体的には、イオウ系加硫剤としては粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等を例示でき、例えば、0.5〜4phr〔本明細書において、「phr」は、エラストマー成分100重量部あたりの重量部をいう。以下、同じ。〕程度用いることができる。
【0035】
また、有機過酸化物系の加硫剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が例示され、例えば、1〜20phr程度用いることができる。
【0036】
更に、フェノール樹脂系の加硫剤としては、アルキルフェノール樹脂の臭素化物や、塩化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナーとアルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋系等が例示でき、例えば、1〜20phr程度用いることができる。
【0037】
その他として、亜鉛華(5phr程度)、酸化マグネシウム(4phr程度)、リサージ(10〜20phr程度)、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン(2〜10phr程度)、メチレンジアニリン(0.2〜10phr程度)が例示できる。
【0038】
また、必要に応じて、加硫促進剤を添加してもよい。加硫促進剤としては、アルデヒド・アンモニア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオ酸塩系、チオウレア系等の一般的な加硫促進剤を、例えば、0.5〜2phr程度用いることができる。
【0039】
具体的には、アルデヒド・アンモニア系加硫促進剤としては、ヘキサメチレンテトラミン等、グアジニン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアジニン等、チアゾール系加硫促進剤としては、ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)、2−メルカプトベンゾチアゾール及びそのZn塩、シクロヘキシルアミン塩等、スルフェンアミド系加硫促進剤としては、シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアマイド(CBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアマイド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアマイド、2−(チモルポリニルジチオ)ベンゾチアゾール等、チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジサルファイド(TMTD)、テトラエチルチウラムジサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラサルファイド等、ジチオ酸塩系加硫促進剤としては、Zn−ジメチルジチオカーバメート、Zn−ジエチルジチオカーバメート、Zn−ジ−n−ブチルジチオカーバメート、Zn−エチルフェニルジチオカーバメート、Te−ジエチルジチオカーバメート、Cu−ジメチルジチオカーバメート、Fe−ジメチルジチオカーバメート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等、チオウレア系加硫促進剤としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア等を挙げることができる。
【0040】
また、加硫促進助剤としては、一般的なゴム用助剤を併せて用いることができ、例えば、亜鉛華(5phr程度)、ステアリン酸やオレイン酸及びこれらのZn塩(2〜4phr程度)等が使用できる。
【0041】
熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、予め熱可塑性樹脂とエラストマー(ゴムの場合は未加硫物)とを2軸混練押出機等で溶融混練し、連続相(マトリックス)を形成する熱可塑性樹脂中に分散相(ドメイン)としてエラストマーを分散させることによる。エラストマーを加硫する場合には、混練下で加硫剤を添加し、エラストマーを動的加硫させてもよい。また、熱可塑性樹脂またはエラストマーへの各種配合剤(加硫剤を除く)は、上記混練中に添加してもよいが、混練の前に予め混合しておくことが好ましい。熱可塑性樹脂とエラストマーの混練に使用する混練機としては、特に限定はなく、スクリュー押出機、ニーダ、バンバリミキサー、2軸混練押出機等が使用できる。中でも熱可塑性樹脂とエラストマーの混練およびエラストマーの動的加硫には、2軸混練押出機を使用するのが好ましい。更に、2種類以上の混練機を使用し、順次混練してもよい。溶融混練の条件として、温度は熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であればよい。また、混練時の剪断速度は1000〜7500sec-1であるのが好ましい。混練全体の時間は30秒から10分、また加硫剤を添加した場合には、添加後の加硫時間は15秒から5分であるのが好ましい。上記方法で製作されたポリマー組成物は、射出成形、押出し成形等、通常の熱可塑性樹脂の成形方法によって所望の形状にすればよい。
【0042】
このようにして得られる熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連続相として分散した構造をとる。かかる構造をとることにより、フィルム層に十分な柔軟性と連続相としての樹脂層の効果により十分な剛性を併せ付与することができると共に、エラストマーの多少によらず、成形に際し、熱可塑性樹脂と同等の成形加工性を得ることができる。
【0043】
熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマー組成物のJIS K7100により定められるところの標準雰囲気中におけるヤング率は、特に限定されるものではないが、好ましくは1〜500MPa、より好ましくは50〜500MPaにするとよい。
【0044】
上記熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー組成物はシート又はフィルムに成形して単体で用いることが可能であるが、隣接するゴムとの接着性を高めるために接着層を積層しても良い。この接着層を構成する接着用ポリマーの具体例としては、分子量100万以上、好ましくは300万以上の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレンメチルアクリレート樹脂(EMA)、エチレンアクリル酸共重合体(EAA)等のアクリレート共重合体類及びそれらの無水マレイン酸付加物、ポリプロピレン(PP)及びそのマレイン酸変性物、エチレンプロピレン共重合体及びそのマレイン酸変性物、ポリブタジエン系樹脂及びその無水マレイン酸変性物、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、フッ素系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性樹脂などを挙げることができる。これらは常法に従って例えば樹脂用押出機によって押し出してシート状又はフィルム状に成形することができる。接着層の厚さは特に限定されないが、タイヤ軽量化のためには厚さが少ない方がよく、5μm〜150μmが好ましい。
【実施例】
【0045】
タイヤサイズが235/40R18 91Wであり、所定の部位にタイヤ表面に配置された少なくとも1層のフィルム層と該フィルム層の下側に配置された下地ゴム層とを含む積層体を設け、フィルム層を熱可塑性樹脂とエラストマーとをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から構成すると共に、タイヤ表面に露出する最外側のフィルム層をその下側に隣接する層とは異なる色に着色した空気入りタイヤを加硫した後、最外側のフィルム層にレーザー加工により複数の開口部を形成し、これら開口部を介して最外側のフィルム層の下側に隣接する層を露出させることにより、開口部が文字及び記号を含む情報表示物を構成するようにした参考例1〜2及び実施例1〜2のタイヤを作製した。
【0046】
参考例1のタイヤは、インナーライナー層を図4に示す積層体から構成し、タイヤ表面に露出する最外側のフィルム層を白色とし、その下側に隣接する下地ゴム層を黒色とし、最外側のフィルム層にレーザー加工による複数の開口部を形成し、これら開口部を介して最外側のフィルム層の下側に隣接する下地ゴム層を露出させたものである。
【0047】
参考例2のタイヤは、サイドウォール部の外壁に図4に示す積層体を付加し、タイヤ表面に露出する最外側のフィルム層を白色とし、その下側に隣接する下地ゴム層を黒色とし、最外側のフィルム層にレーザー加工による複数の開口部を形成し、これら開口部を介して最外側のフィルム層の下側に隣接する下地ゴム層を露出させたものである。
【0048】
実施例1のタイヤは、インナーライナー層を図2に示す積層体から構成し、タイヤ表面に露出する最外側のフィルム層を黒色とし、その下側に隣接するフィルム層を白色とし、最外側のフィルム層にレーザー加工による複数の開口部を形成し、これら開口部を介して最外側のフィルム層の下側に隣接するフィルム層を露出させたものである。
【0049】
実施例2のタイヤは、サイドウォール部の外壁に図2に示す積層体を付加し、タイヤ表面に露出する最外側のフィルム層を黒色とし、その下側に隣接するフィルム層を白色とし、最外側のフィルム層にレーザー加工による複数の開口部を形成し、これら開口部を介して最外側のフィルム層の下側に隣接するフィルム層を露出させたものである。
【0050】
フィルム層を構成する熱可塑性エラストマー組成物としては、表1に示す配合を有する基礎材料を用意し、これに1重量%の酸化チタン(TiO)又は0.1重量%のカーボンブラックを添加することで白色又は黒色とした。また、各フィルム層の厚さは約80μmとした。一方、下地ゴム層となるタイゴム層としては、表2に示す配合を有するゴム組成物を用いた。
【0051】
【表1】
備考:a)臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体
b)無水マレイン酸変性エチレン−エチルアクリレート共重合体
【0052】
【表2】
【0053】
上述した参考例1〜2及び実施例1〜2のタイヤについて、開口部により描写された情報表示物を確認したところ、いずれのタイヤにおいても文字及び記号を鮮明に認識することができ、視認性が良好であった。また、参考例1〜2及び実施例1〜2のタイヤにおいては、空気入りタイヤの加硫後に必要に応じて任意の情報を表示することが可能であり、その情報表示物の脱落を回避することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
10 積層体
11,12 フィルム層
14 下地ゴム層
15 開口部
17 情報表示要素
18 情報表示物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7