特許第6244657号(P6244657)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244657
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】ハイブリッド電動車両
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/16 20160101AFI20171204BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20171204BHJP
   B60L 11/14 20060101ALI20171204BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20171204BHJP
   B60K 6/54 20071001ALI20171204BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20171204BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20171204BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20171204BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20171204BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   B60W20/16
   B60W10/06 900
   B60L11/14ZHV
   B60K6/48
   B60K6/54
   B60W10/08 900
   F02D45/00 312H
   F02D45/00 312R
   F01N3/08 B
   F02D45/00 312M
   F01N3/24 R
   F01N3/28 301C
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-107313(P2013-107313)
(22)【出願日】2013年5月21日
(65)【公開番号】特開2014-227005(P2014-227005A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 治雄
(72)【発明者】
【氏名】小泉 芳久
【審査官】 ▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−351381(JP,A)
【文献】 特開2008−302774(JP,A)
【文献】 特開2005−048630(JP,A)
【文献】 特開2005−006378(JP,A)
【文献】 特開2007−285212(JP,A)
【文献】 特開2005−061234(JP,A)
【文献】 特開2000−097063(JP,A)
【文献】 特開2011−194926(JP,A)
【文献】 特開2007−276510(JP,A)
【文献】 特開2007−055348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 − 20/50
B60K 6/20 − 6/547
B60L 11/00 − 11/18
F01N 3/00 − 3/38
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン及び走行モータの少なくとも一方を駆動源とするハイブリッドシステムと、前記エンジンの排気管に介設されたNOx吸蔵還元触媒からなる排ガス浄化システムとを備えたハイブリッド電動車両であって、
前記ハイブリッドシステム及び排ガス浄化システムを制御する制御手段は、
前記ハイブリッド電動車両の運転に必要な負荷が予め設定された高負荷領域にあって、かつ前記NOx吸蔵還元触媒の温度が該NOx吸蔵還元触媒の活性化温度の下限値よりも低いときは、前記エンジンの駆動力の一部を前記走行モータの駆動力で代替させて、前記ハイブリッド電動車両の運転状態を、前記高負荷領域のうち、エンジントルクの大きさで当該高負荷領域を区分した場合の中央部に存在し、かつ前記エンジンの排ガス温度が前記NOx吸蔵還元触媒の温度を活性化温度域に維持する領域である最適排ガス温度運転領域において一定にし
前記ハイブリッド電動車両の運転に必要な負荷が、予め設定された低負荷領域にあって、かつ前記NOx吸蔵還元触媒の温度が前記下限値よりも低いときは、前記エンジンの駆動力の一部により前記走行モータを駆動して発電させ、
前記NOx吸蔵還元触媒の温度が該NOx吸蔵還元触媒の活性化温度の上限値よりも高いときは、前記エンジンの駆動力の一部を前記走行モータの駆動力で代替させることを特徴とするハイブリッド電動車両。
【請求項2】
前記制御手段は、前記ハイブリッド電動車両の運転状態を前記最適排ガス温度運転領域の状態にしているときに前記NOx吸蔵還元触媒の温度が前記下限値以上になった場合には、前記エンジンの駆動力の一部を前記走行モータの駆動力で代替させることを停止することで、エンジントルクを増加させて、前記ハイブリッド電動車両の運転状態を前記最適排ガス温度運転領域の状態よりもエンジントルクの高い高負荷領域の状態へ移行させる請求項1に記載のハイブリッド電動車両。
【請求項3】
前記制御手段は、前記高負荷領域にあって、かつ前記NOx吸蔵還元触媒の温度が前記下限値よりも低いときに前記エンジンの駆動力の一部を前記走行モータの駆動力で代替させる際には、前記エンジンの駆動力の一部を前記走行モータの駆動力で代替させることを開始したときのエンジントルクを、前記エンジンの駆動力の一部を前記走行モータの駆動
力で代替させることを終了するまで維持する請求項1又は2に記載のハイブリッド電動車両。
【請求項4】
前記制御手段は、前記低負荷領域にあって、かつ前記NOx吸蔵還元触媒の温度が前記下限値よりも低いときは、前記NOx吸蔵還元触媒の温度が前記下限値以上になるまで、前記エンジンの駆動力の一部により前記走行モータを駆動して発電させる請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハイブリッド電動車両に関し、更に詳しくは、NOxの浄化率を低下させることなく、燃費を改善することができるハイブリッド電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、燃費向上と環境対策などの観点から、内燃機関が発生する駆動力の一部を、バッテリーを電源とする走行モータで代替するハイブリッド電動車両(以下「HEV」という。)が注目されている。
【0003】
このHEVにおける内燃機関にディーゼルエンジンを用いる場合には、従来の車両と同じく、ディーゼルエンジンの排ガスに含有される粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)などの有害物質を除去するための浄化システムが必要となる。前者のPMについては、セラミックス製のハニカム状多孔体のフィルタによりPMを捕集するPM捕集フィルターなどが実用化されている。また、後者のNOxについては、NOx吸蔵還元触媒が注目されている。
【0004】
このNOx吸蔵還元触媒を用いた排ガス浄化システムは、排気ガス中のNOxを、空燃比がリーン状態のときにNOx吸蔵材(KやBaなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属)に一旦吸蔵させ、定期的に排ガスをリッチ状態にすることで吸蔵されたNOxを放出させて三元機能により還元する再生操作を行うものである。ディーゼルエンジンの排気ガスをリッチ状態にするには、ポスト噴射や排気管内への直接噴射により排気ガス中に未燃燃料を供給する。
【0005】
しかし、上記のNOx吸蔵還元触媒は、触媒温度が活性化温度(例えば、200〜500℃)の範囲外になるとNOxの浄化率が低下するため、排ガス中のNOxの大部分が浄化されずに大気中に放出されるおそれがある。
【0006】
ここで、一般にディーゼルエンジンにおいては、NOxの発生量の減少と燃費とはトレードオフの関係にあることが知られている。そのため、上記のようなNOx吸蔵還元触媒におけるNOxの浄化率の低下に応じて、ディーゼルエンジンのNOxの発生量を減少させようとすると、燃費が悪化してしまうことになる。
【0007】
このような問題を解決するために、HEVの発電要求時において、エンジンを有害物質の排出が少なくなる動作範囲内に規制し、かつその範囲内で得られた電力をエンジンの出力アシストに利用することで、排気組成及び燃費を改善する制御装置が提案されている(特許文献1を参照)。
【0008】
しかしながら、上記の制御装置では、HEVの発電要求時にのみ制御を行うため、NOxの排出量の低減及び燃費の改善にかかる効果は十分なものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−37008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、燃費を悪化させることなく、NOxの浄化率を向上することができるハイブリッド電動車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成する本発明のハイブリッド電動車両は、エンジン及び走行モータの少なくとも一方を駆動源とするハイブリッドシステムと、前記エンジンの排気管に介設されたNOx吸蔵還元触媒からなる排ガス浄化システムとを備えたハイブリッド電動車両であって、前記ハイブリッドシステム及び排ガス浄化システムを制御する制御手段は、前記ハイブリッド電動車両の運転に必要な負荷が予め設定された高負荷領域にあって、かつ前記NOx吸蔵還元触媒の温度が該NOx吸蔵還元触媒の活性化温度の下限値よりも低いときは、前記エンジンの駆動力の一部を前記走行モータの駆動力で代替させて、前記ハイブリッド電動車両の運転状態を、前記高負荷領域のうち、エンジントルクの大きさで当該高負荷領域を区分した場合の中央部に存在し、かつ前記エンジンの排ガス温度が前記NOx吸蔵還元触媒の温度を活性化温度域に維持する領域である最適排ガス温度運転領域において一定にし、前記ハイブリッド電動車両の運転に必要な負荷が、予め設定された低負荷領域にあって、かつ前記NOx吸蔵還元触媒の温度が前記下限値よりも低いときは、前記エンジンの駆動力の一部により前記走行モータを駆動して発電させ、前記NOx吸蔵還元触媒の温度が該NOx吸蔵還元触媒の活性化温度の上限値よりも高いときは、前記エンジンの駆動力の一部を前記走行モータの駆動力で代替させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のハイブリッド電動車両によれば、ディーゼルエンジンのエンジントルクを、車両の運転に必要な負荷とNOx吸蔵還元触媒の温度に応じて、走行モータを用いて低下又は増加させることにより、NOx発生量に対してNOx吸蔵還元触媒の温度を適正に制御して、NOxの排出量を減少させるようにしたので、ハイブリッド電動車両におけるNOxの浄化率を向上することができる。また、ディーゼルエンジンのエンジントルクを増加させた時には、その増加分に相当するエネルギーを電力としてバッテリに蓄えるので、車両の燃費の悪化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態からなるハイブリッド電動車両の構成図である。
図2】本発明の実施形態からなるハイブリッド電動車両の制御方法を説明するフロー図である。
図3】車両の運転領域の区分の例を模式的に示すグラフである。
図4】本発明の実施形態からなるハイブリッド電動車両の構成図の別の例である。
図5】本発明の実施形態からなるハイブリッド電動車両の構成図の更に別の例である。
図6】NOx還元吸蔵触媒の温度が活性化温度の下限値未満であって、かつハイブリッド電動車両への要求負荷が高負荷領域にある場合の実施例におけるハイブリッド電動車両の運転領域の変位を模式的に示すグラフである。
図7図6における経時変化を示すグラフである。
図8】NOx還元吸蔵触媒の温度が活性化温度の下限値未満であって、かつハイブリッド電動車両への要求負荷が低負荷領域にある場合の実施例におけるハイブリッド電動車両の運転領域の変位を模式的に示すグラフである。
図9図8における経時変化を示すグラフである。
図10】NOx還元吸蔵触媒の温度が活性化温度の上限値超である場合の実施例におけるハイブリッド電動車両の運転領域の変位を模式的に示すグラフである。
図11図10における経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態からなるハイブリッド電動車両を示す。このハイブリッド電動車両(以下、「HEV」という。)1Aは、左右一対の駆動輪2、2に駆動力を伝達する出力軸3に、変速機4を介して連結するディーゼルエンジン5及び走行モータ6と、その走行モータ6にインバータ7を通じて電気的に接続するバッテリー8とを有するハイブリッドシステム9を備えている。変速機4とディーゼルエンジン5との間には、湿式多板クラッチ10及び流体継手11が順に設けられている。また、変速機4と走行モータ6との間には、駆動力を断接するモータ用クラッチ12が介設されている。
【0017】
更に、このHEV1Aは、ディーゼルエンジン5の排ガスGが流れる排気管13の途中に介設された触媒コンバータ14と、その触媒コンバータ14の上流側に設置された未燃燃料の噴射ノズル15とを有する排ガス浄化システム16を備えている。太径の触媒コンバータ14内には、γアルミナ等で形成されたモノリスハニカムのセルの担持体の表面に、触媒金属及びNOx吸蔵材を担持させて構成したNOx吸蔵還元触媒17が格納されている。触媒金属としてはPtやPdが用いられる。またNOx吸蔵材としては、K、Na、Li、Cs等のアルカリ金属や、Ba、Ca等のアルカリ土類金属のうちのいずれか1つ又は組み合わされた複数が用いられる。なお、噴射ノズル15の代わりに、ディーゼルエンジン5の気筒への燃料噴射におけるポスト噴射を用いることもできる。
【0018】
この排ガス浄化システムにおいては、通常は、ディーゼルエンジン5と噴射ノズル15との間に、酸化触媒(DOC)及び/又はPM捕集フィルター(図示せず)を設けるようにする。
【0019】
そして、排ガス浄化システム16における触媒コンバータ14の入口近傍には、排ガスGの温度を測定する温度センサ18が設けられている。この温度センサ18の測定値から、直接的な測定が困難であるNOx吸蔵還元触媒17の温度を推定することが可能である。
【0020】
上記のハイブリッドシステム9、排ガス浄化システム16及び温度センサ18は、制御手段であるECU19に信号線(一点鎖線で示す)を通じて接続されている。
【0021】
このようなHEV1AにおけるECU19による制御方法を、図2に基づいて以下に説明する。
【0022】
ECU19は、温度センサ18からNOx吸蔵還元触媒17の測定温度Tを取得し(S10)、その測定温度TがNOx吸蔵還元触媒17の活性化温度の下限値(例えば、約200℃)であるかを判定する(S12)。
【0023】
測定温度Tが下限値未満である場合には、HEV1Aに要求されている運転に必要な負荷(以下、「要求負荷」という。)の程度をマップを参照して確認する(S14)。このマップとして、ディーゼルエンジン5のエンジン回転数とエンジントルクとをパラメータとして、HEV1Aの運転領域を模式的に区分したものを図3に例示する。この図3における高負荷領域は、HEV1Aの発進時などのアクセルを大きく踏み込む場合が該当し、また低負荷領域は、HEV1Aの緩やかな加速時などのアクセルをわずかに踏む込む場合が該当する。更に、回生領域は、HEV1Aの制動時などが該当し、回生エネルギーで走行モータ6が発電し、この発電された電力でインバータ7を通じてバッテリー8が充電される。
【0024】
そして、HEV1Aへの要求負荷が高負荷領域にある場合には、走行モータ6を回転駆動し、かつモータ用クラッチ12を接続することで、ディーゼルエンジン5の駆動力の一部を走行モータ6の駆動力でアシストする(S16)。この操作により、ディーゼルエンジン5のエンジントルクが減少するため、燃料消費が抑制されるとともに、NOxの発生量が低下する。このようにディーゼルエンジン5におけるNOxの発生量が低下することで、HEV1Aの発進時などでNOx吸蔵還元触媒17の温度が低くても、NOxの排出量を低減できるので、全体としてNOxの浄化率を向上することができる。
【0025】
この走行モータ6による駆動力のアシストは、HEV1Aが一定走行の状態に移行したときにNOx吸蔵還元触媒17の温度が低い状態のままにならないように、測定温度Tが下限値以上になると停止される(S22)。
【0026】
一方で、HEV1Aへの要求負荷が低負荷領域にある場合には、モータ用クラッチ12を接続し、かつ走行モータ6を発電機として使用してインバータ7を通じてバッテリー8を充電する(S24)。この操作により、ディーゼルエンジン5のエンジントルクが増加するため、燃料消費が促進されるとともに、排ガスGの温度が上昇する。排ガスGの温度が上昇するとNOx吸蔵還元触媒17の温度も上昇するので、HEV1Aの緩やかな加速時などでエンジントルクが増加してNOxの発生量が増加しても、NOxの浄化率を向上することができる。なお、ディーゼルエンジン5における燃料消費の増加分に相当するエネルギーは、電力となってバッテリー8に蓄えられるので、車両の燃費が悪化することはない。
【0027】
上記のステップS12において、NOx吸蔵還元触媒17の測定温度Tが下限値以上である場合には、更に測定温度TがNOx吸蔵還元触媒17の活性化温度の上限値(例えば、約500℃)超であるかを判定する(S26)。
【0028】
測定温度Tが上限値超であるときには、走行モータ6を回転駆動し、かつモータ用クラッチ12を接続することで、ディーゼルエンジン5の駆動力の一部を走行モー6タの駆動力でアシストする(S28)。この操作により、ディーゼルエンジン5のエンジントルクが減少するため、燃料消費が抑制されるとともに、排ガスGの温度が下降する。排ガスGの温度が下降するとNOx吸蔵還元触媒17の温度も下降するため、NOxの浄化率を向上することができる。
【0029】
以上のようなECU19による制御を行うことで、車両の燃費を悪化させることなく、排ガス浄化システム16におけるNOxの浄化率を向上することができるのである。
【0030】
なお、上記のHEV1Aでは、ディーゼルエンジン5と走行モータ6とを並列に配置ししているが、車両の構成はこれに限るものではなく、例えばディーゼルエンジン5と走行モータ6とを直列に配置したHEV1B(図4を参照)や、走行モータ6を一対の駆動輪2、2にそれぞれ直接的に接続したHEV1C(図5を参照)などでも良い。なお、図4、5のような、モータ用クラッチ12が不要となる構成の場合には、ECU19はモータ用クラッチ12を断接する代わりに走行モータ6の駆動力を入切する制御を行うことになる。
【実施例】
【0031】
本発明の実施形態からなるハイブリッド電動車両の制御方法(実施例)と、従来技術の制御方法(比較例)との比較を図6〜11に示す。なお、これらの図においては、実施例を実線で、比較例を点線で、それぞれ示す。
【0032】
(1)測定温度TがNOx還元吸蔵触媒の活性化温度の下限値未満であって、かつ要求負荷が高負荷領域にある場合
図6に示すように、HEV1Aへの要求負荷が低負荷領域内の出発点(四角印)から高負荷領域内上部の到着点(丸印)へ上昇する場合を想定する。
【0033】
図7に示すように、時刻t0〜t2にかけてアクセルが大きく踏み込まれると、比較例ではエンジントルクが上昇するに伴って触媒温度が上昇し、かつNOx発生量が増加する。しかし、このときの触媒温度は活性化温度の下限値よりも低いため、NOx還元吸蔵触媒におけるNOxの浄化率は低くなり、HEV1Aから外気へのNOx排出量は増加する。触媒温度は、時刻t2近傍において下限値以上となるため、その後のNOx排出量は低下する。
【0034】
これに対して実施例では、時刻t1において走行モータ6によるアシストが開始されて、時刻t4までエンジントルクが比較例よりも低い状態でエンジントルクが一定となるため、触媒温度の上昇率が低下し、かつNOx発生量は一定となる。そのため、触媒温度が下限値未満であるにもかかわらず、比較例よりもNOx排出量が低下する。触媒温度は、比較例よりも遅い時刻t3近傍において下限値以上となるため、その後のNOx排出量は減少する。
【0035】
時刻t4〜t5にかけては、触媒温度が下限値以上になっているため、走行モータ6によるアシストを停止するので、実施例ではNOx発生量が増加し、NOx排出量が増加する。しかし、触媒温度が下限値以上であるため、SCR触媒17においてNOxは浄化され続けることになる。
【0036】
このときのディーゼルエンジン5の運転状態の移行は、図6に示すように、実施例では、走行モータ6によるアシストを行うことで、HEV1Aの運転状態が、高負荷領域の中央部に存在するディーゼルエンジン5の排ガス温度が触媒温度を活性化温度域に維持する領域(以下、「最適排ガス温度運転領域」という。)に、比較例よりも長く維持されるようになる。
【0037】
(2)測定温度TがNOx還元吸蔵触媒の活性化温度の下限値未満であって、かつ要求負荷が低負荷領域にある場合
図8に示すように、HEV1Aへの要求負荷が低負荷領域内の出発点(四角印)から高負荷領域内下部の到着点(丸印)へ上昇する場合を想定する。
【0038】
図9に示すように、時刻t0〜t1にかけてアクセルが緩やかに踏み込まれた後にアクセル開度が一定になると、比較例ではエンジントルクが時刻t1まで上昇した後に一定となる。そのため、触媒温度は緩やかに上昇し、かつNOx発生量は増加後に一定となる。しかし、このときの触媒温度は活性化温度の下限値よりも低いため、NOxの浄化率は低下し、HEV1Aから外気へのNOx排出量は高いレベルで一定となる。触媒温度は、時刻t4近傍において下限値以上となるため、その後のNOx排出量は緩やかに低下する。
【0039】
これに対して実施例では、時刻t1において走行モータ6による発電が開始されてエンジントルクが上昇し続けるため、触媒温度の上昇率が比較例よりも大きくなり、かつNOx発生量も増加後に比較例よりも高いレベルで一定となる。しかし、触媒温度が比較例よりも早く下限値以上となるため、NOx発生量の増加にもかかわらずNOxの浄化率が向上するので、NOx排出量は著しく低下する。時刻t2〜t4間で触媒温度が一定になると、NOx排出量は比較例よりも低いレベルで一定となる。
【0040】
時刻t4〜t5にかけて走行モータ6による発電が停止されると、エンジントルクが減少してNOxの発生量が低下するので、NOx排出量も低下する。
【0041】
このときのディーゼルエンジン5の運転状態の移行は、図8に示すように、実施例では、走行モータ6による発電を行うことで、HEV1Aの運転状態が最適排ガス温度運転領域を経由するようになる。
【0042】
(3)測定温度TがNOx還元吸蔵触媒の活性化温度の上限値超である場合
図10に示すように、HEV1Aへの要求負荷が最適排ガス温度運転領域内の出発点(四角印)から到着点(丸印)へ移行する場合を想定する。
【0043】
図11に示すように、時刻t0〜t1にかけて一定走行を行い、その後にアクセルが踏み込まれると、比較例ではエンジントルクが時刻t1後に上昇するに伴って触媒温度が上昇し、かつNOx発生量が増加する。しかし、このときの触媒温度は活性化温度の上限値よりも高いため、NOxの浄化率は低くなり、HEV1Aから外気へのNOx排出量は増加する。触媒温度は、時刻t2以降は上昇が抑えられるため、その後のNOx排出量は一定となる。
【0044】
これに対して実施例では、時刻t1において走行モータ6によるアシストが開始されてエンジントルクは一定のままとなるため、触媒温度の上昇が抑えられ、かつNOx発生量は一定となる。また、触媒温度が上限値を大きく超えることを防止できるので、NOxの浄化率を維持することができるため、比較例のようにNOx排出量が増加するのを回避できる。
【0045】
時刻t4〜t5にかけてアクセルが戻されると、要求負荷が時刻t0〜t1のレベルに戻るので、走行モータ6によるアシストを停止する。この状態では、エンジントルクは一定のままで、かつ触媒温度が活性化温度帯にあるため、NOx排出量が増加することはない。
【0046】
このときのディーゼルエンジン5の運転状態は、図10に示すように、実施例では、走行モータ6によるアシストを行うことで、HEV1Aの運転状態が最適排ガス温度運転領域に、比較例よりも長く維持されるようになる。
【符号の説明】
【0047】
1A〜1C HEV
5 ディーゼルエンジン
6 走行モータ
9 ハイブリッドシステム
12 モータ用クラッチ
13 排気管
15 噴射ノズル
16 排ガス浄化システム
17 NOx吸蔵還元触媒
18 温度センサ
19 ECU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11