【実施例】
【0012】
図1は、本実施例に係る光パケット送信装置を含むネットワークの全体構成の一例を示す図である。
図1に示すネットワークは、光パケット送信装置10、光パケットスイッチ装置20、WDM(Wavelength Division Multiplexing)ネットワーク30及び光パケット受信装置40を有する。
【0013】
光パケット送信装置10は、例えばIPパケットを光パケットに変換して送信するノード装置である。光パケット送信装置10から送信された光パケットは、光パケットスイッチ装置20でスイッチングされて、WDMネットワーク30又は光パケット受信装置40に転送される。なお、光パケット送信装置10の構成については、後に説明する。
【0014】
光パケットスイッチ装置20は、光パケットヘッダから光パケットのスイッチ方路を決定し、決定した方路へ光パケットをスイッチし、スイッチされた光パケットをポートを介してWDMネットワーク30又は光パケット受信装置40へ出力する。
【0015】
WDMネットワーク30は、光パケット送信装置10、光パケットスイッチ装置20及び光パケット受信装置40をWDMネットワーク30内の他のノード装置と接続する。WDMネットワーク30は、他のノード装置から出力される光パケットを光パケットスイッチ装置20に転送し、光パケットスイッチ装置20から出力される光パケットを他のノード装置に転送する。
【0016】
光パケット受信装置40は、光パケットを受信し、受信した光パケットをIPパケットに変換するノード装置である。光パケット受信装置40は、光パケットをIPパケットに変換する際に、光信号である光パケットをO/E変換することにより、電気信号を取得する。光パケット受信装置40は、光パケットから変換された電気信号の波形に基づいて、データの判定を行う。例えば、光パケット受信装置40は、電気信号の波形が所定の領域より大きい場合に、データが「1」であると判定し、電気信号の波形が所定の領域より小さい場合に、データが「0」であると判定する。
【0017】
次に、
図1に示した光パケット送信装置10の構成について説明する。
図2は、本実施例に係る光パケット送信装置の構成を示す機能ブロック図である。本実施例に係る光パケット送信装置10は、パケット受信部11、光パケット生成部12、パケット存在率計測部13、計測値記憶部14、比較部15、抵抗値記憶部16及び抵抗制御部17を有する。
【0018】
パケット受信部11は、例えば10Gのイーサネットから入力される光信号であるIPパケットを受信し、受信したIPパケットを電気信号に変換し、変換後の電気信号を光パケット生成部12の電気信号分割部121に出力する。IPパケットは、入力パケットの一例である。
【0019】
また、パケット受信部11は、受信したIPパケットに含まれるパケット長及びIFGの情報を検出する。IFGとは、IPパケットとIPパケットとの間のIPパケットが存在しない期間であるフレーム間ギャップである。また、パケット受信部11は、受信したIPパケットに含まれる宛先IPアドレスの情報を抽出する。そして、パケット受信部11は、パケット長及びIFGの情報をパケット存在率計測部13に出力し、宛先IPアドレスの情報を電気信号分割部121に出力する。
【0020】
光パケット生成部12は、電気信号分割部121、バッファ部122、複数の正相成分/逆相成分生成部123、複数のE/O変換部124、波長多重部125及び複数の可変抵抗部126を有する。
【0021】
電気信号分割部121は、IPパケットから変換された電気信号(以下単に「電気信号」という)の入力をパケット受信部11から受け付ける。電気信号分割部121は、電気信号を分割する。電気信号分割部121は、分割した電気信号をバッファ部122に出力する。なお、電気信号分割部121は、分割した電気信号の先頭に宛先IPアドレスをヘッダとして付加する。
【0022】
バッファ部122は、電気信号の入力を電気信号分割部121から受け付ける。バッファ部122は、所定の読み出しアドレスごとに電気信号を一時保持する。バッファ部122は、後述する電気信号読み出し許可信号を抵抗制御部17から受け付けるまで電気信号の一時保持を継続する。すなわち、バッファ部122は、電気信号読み出し許可信号を受け付けていない場合には、各正相成分/逆相成分生成部123による電気信号の読み出しを禁止する。そして、バッファ部122は、電気信号読み出し許可信号を抵抗制御部17から受け付けると、電気信号の一時保持を解除し、各正相成分/逆相成分生成部123による電気信号の読み出しを許可する。バッファ部122は、保持部の一例である。
【0023】
各正相成分/逆相成分生成部123は、自身に対応する読み出しアドレスごとにバッファ部122に保持された電気信号を読み出し、読み出した電気信号から正相成分及び逆相成分を生成する。例えば、各正相成分/逆相成分生成部123は、電気信号である600MHz×16bitのパラレルデータを10Gbpsのシリアルデータに変換することにより、電気信号から正相成分及び逆相成分を生成する。正相成分/逆相成分生成部123は、P(Parallel)/S(Serial)変換器とも呼ばれる。正相成分及び逆相成分は、それぞれポジティブ(Positive)信号及びネガティブ(Negative)信号とも呼ばれる。各正相成分/逆相成分生成部123は、生成した正相成分及び逆相成分を各E/O変換部124に出力する。正相成分/逆相成分生成部123は、生成部の一例である。
【0024】
各E/O変換部124は、正相成分及び逆相成分の入力を各正相成分/逆相成分生成部123から受け付ける。各E/O変換部124と各正相成分/逆相成分生成部123とは、各E/O変換部124に正相成分及び逆相成分を入力させるAC結合により結合されている。各E/O変換部124は、正相成分と逆相成分との電位差を用いて電気信号を電位差に応じた波形を有する光信号に変換する。なお、各E/O変換部124には、固有の波長が割り当てられており、各E/O変換部124から出力される光信号の波長は、互いに異なる。各E/O変換部124は、互いに異なる波長の光信号を波長多重部125に出力する。E/O変換部124は、電気/光変換部の一例である。
【0025】
波長多重部125は、各E/O変換部124から互いに異なる波長の光信号の入力を受け付ける。波長多重部125は、光信号を波長多重し、光信号が波長多重されて得られた光パケットを光パケットスイッチ装置20にポートを介して出力する。
【0026】
各可変抵抗部126は、各E/O変換部124の前段、より詳細には、各E/O変換部124に正相成分を入力させる伝送路に配置されている。各可変抵抗部126は、各E/O変換部124に入力される正相成分の電位の中間値を変動させる抵抗を正相成分に付与する。可変抵抗部126によって正相成分に付与される抵抗の値を、以下では適宜「可変抵抗部126の抵抗値」と呼ぶ。可変抵抗部126の抵抗値が小さいほど、各E/O変換部124に入力される正相成分の電位の中間値が小さくなる。逆に、可変抵抗部126の抵抗値が大きいほど、各E/O変換部124に入力される正相成分の電位の中間値が大きくなる。可変抵抗部126の抵抗値は、抵抗制御部17による制御に基づいて、変更される。可変抵抗部126の抵抗値を変更する抵抗値制御処理については、後に詳細に説明する。
【0027】
パケット存在率計測部13は、IPパケットの存在する期間である存在期間と、存在期間以外の期間である非存在期間との和に対する存在期間の比率(以下「パケット存在率」という)を計測する。存在期間は、例えば、IPパケットのパケット長に相当し、非存在期間は、例えば、IPパケットとIPパケットとの間のIPパケットが存在しない期間であるIFGに相当する。具体的には、パケット存在率計測部13は、パケット長及びIFGの入力をパケット受信部11から受け付ける。そして、パケット存在率計測部13は、パケット長/(パケット長+IFG)を演算することにより、パケット存在率を計測する。パケット存在率計測部13によって今回計測されたパケット存在率を、以下では適宜「今回のパケット存在率」という。なお、パケット存在率の詳細については、後に詳細に説明する。パケット存在率計測部13は、計測部の一例である。
【0028】
また、パケット存在率計測部13は、今回のパケット存在率を比較部15に出力するとともに、計測値記憶部14に格納する。
【0029】
ここで、
図3を用いて、パケット存在率について説明する。
図3は、パケット存在率を説明するための図である。
図3では、パケット存在率が異なる二つのケースA及びBを例示している。
図3に示すケースAは、ケースBと比較して、パケット存在率が低い状態を示している。つまり、ケースAでは、パケット受信部11に入力されるIPパケットのパケット長が、ケースBと比較して短く、かつ、IPパケットとIPパケットとの間のIFGが、ケースBと比較して長い。
【0030】
また、パケット存在率が相対的に低いケースAでは、パケット受信部11よりも後段側に位置する正相成分/逆相成分生成部123に対して入力される電気信号が存在しない期間が、ケースBと比較して長くなる。電気信号が存在する期間には、正相成分/逆相成分生成部123とE/O変換部124とを結合するAC結合のコンデンサのインピーダンスが0に近くなり、正相成分の電位の中間値と逆相成分の電位の中間値とが一致する。言い換えると、パケット長に対応する期間には、正相成分の電位の中間値と逆相成分の電位の中間値とが一致する。これに対して、電気信号が存在しない期間には、正相成分/逆相成分生成部123とE/O変換部124とを結合するAC結合のコンデンサのインピーダンスが無限大となり、E/O変換部124に入力される正相成分の電位の中間値と逆相成分の電位の中間値とが離反する。言い換えると、IFGに対応する期間には、E/O変換部124に入力される正相成分の電位の中間値と逆相成分の電位の中間値とが離反する。パケット存在率と正相成分及び逆相成分の挙動との関係を、以下の
図4〜
図6を用いて説明する。
【0031】
図4は、パケット存在率と正相成分及び逆相成分の挙動との関係を説明するための図(その1)である。
図4では、パケット存在率が相対的に低い場合の、E/O変換部124に入力される正相成分及び逆相成分の時間変動を示している。
図4に示すように、パケット存在率が相対的に低い状態が継続すると、正相成分の電位の中間値と逆相成分の電位の中間値とが離反する。
【0032】
図5は、パケット存在率と正相成分及び逆相成分の挙動との関係を説明するための図(その2)である。
図5では、パケット存在率が相対的に低い値から相対的に高い値に遷移した場合の、E/O変換部124に入力される正相成分及び逆相成分の時間変動を示している。
図5に示すように、パケット存在率が相対的に低い値から相対的に高い値に遷移すると、正相成分の電位の中間値と逆相成分の電位の中間値とが近づき、同一の値となる。
【0033】
図6は、パケット存在率と正相成分及び逆相成分の挙動との関係を説明するための図(その3)である。
図6では、パケット存在率が相対的に低い値から相対的に高い値に遷移し、その後、相対的に低い値に遷移した場合の、E/O変換部124に入力される正相成分及び逆相成分の時間変動を示している。
図6に示すように、パケット存在率が相対的に低い値から相対的に高い値に遷移し、その後、相対的に低い値に遷移すると、正相成分及び逆相成分の挙動は、以下の挙動となる。すなわち、正相成分の電位の中間値と逆相成分の電位の中間値とが近づき、同一の値となり、その後、パケット存在率の低下に伴って、正相成分の電位の中間値と逆相成分の電位の中間値とが再び離反する。E/O変換部124に入力される正相成分の電位の中間値と逆相成分の電位の中間値とが離反した場合の問題点を、以下の
図7を用いて説明する。
【0034】
図7は、E/O変換部に入力される電気信号のアイパターンとE/O変換部から出力される光信号のアイパターンとの関係を示す図である。
図7の上段及び下段において、左側のアイパターンは、E/O変換部124に入力される電気信号のアイパターンであり、右側のアイパターンは、E/O変換部124から出力される光信号のアイパターンである。
【0035】
図7の上段の左側のアイパターンに示すように、E/O変換部124に入力される正相成分の電位の中間値と逆相成分の電位の中間値とが一致している場合には、E/O変換部124から出力される光信号のアイパターンは良好な波形となる。すなわち、E/O変換部124から出力される光信号のアイパターンは、
図7の上段の右側のアイパターンに示すように、クロスポイントが比較的に中心に近い位置に存在し、いわゆる目の開いた波形となる。このような光信号をO/E変換して得られる電気信号の波形を用いる場合、光パケット受信装置40は、データ判定処理を高精度に行うことができる。
【0036】
一方、
図7の下段の左側のアイパターンに示すように、E/O変換部124に入力される正相成分の電位の中間値と逆相成分の電位の中間値とが離反した場合には、E/O変換部124から出力される光信号のアイパターンは劣化した波形となる。すなわち、E/O変換部124から出力される光信号のアイパターンは、
図7の下段の右側のアイパターンに示すように、クロスポイントが
図7に示したアイパターンと比較して中心からずれた位置にあり、歪んだ波形となる。このような光信号をO/E変換して得られる電気信号の波形を用いる場合、光パケット受信装置40は、光信号から変換された電気信号の波形が所定の領域より大きいか否かの判定が困難となるため、データの判定を誤る可能性がある。
【0037】
図2の説明に戻る。計測値記憶部14は、パケット存在率計測部13によって前回計測されたパケット存在率を記憶する。パケット存在率計測部13によって前回計測されたパケット存在率を、以下では「前回のパケット存在率」という。計測値記憶部14は、パケット存在率計測部13によって今回のパケット存在率が格納される度に、前回のパケット存在率を比較部15に出力する。
【0038】
比較部15は、今回のパケット存在率の入力をパケット存在率計測部13から受け付ける。比較部15は、前回のパケット存在率の入力を計測値記憶部14から受け付ける。比較部15は、今回のパケット存在率と前回のパケット存在率との比較を行う。比較部15は、今回のパケット存在率と前回のパケット存在率とが一致しない場合には、今回のパケット存在率と前回のパケット存在率とが一致しない旨を示す比較結果を抵抗制御部17に出力する。一方、比較部15は、今回のパケット存在率と前回のパケット存在率とが一致する場合には、今回のパケット存在率と前回のパケット存在率とが一致する旨を示す比較結果を抵抗制御部17に出力する。今回のパケット存在率と前回のパケット存在率とが一致するとは、今回のパケット存在率と前回のパケット存在率とが完全に一致することに加えて、今回のパケット存在率と前回のパケット存在率との差が予め定められた閾値よりも小さいことも含む。また、比較部15は、比較結果とともに今回のパケット存在率を抵抗制御部17に転送する。
【0039】
抵抗値記憶部16は、パケット存在率と、可変抵抗部126の抵抗値とを対応付けて記憶する。
図8は、本実施例における抵抗値記憶部のデータ構造例を示す図である。
図8に示すように、抵抗値記憶部16は、パケット存在率(%)と、抵抗値(Ω)とを対応付けて記憶する。例を挙げると、抵抗値記憶部16は、パケット存在率「100」%と、可変抵抗部126の抵抗値「50」Ωとを対応付けて記憶する。また、抵抗値記憶部16は、パケット存在率「90」%と、可変抵抗部126の抵抗値「40」Ωとを対応付けて記憶する。また、抵抗値記憶部16は、パケット存在率「0」%と、可変抵抗部126の抵抗値「0」Ωとを対応付けて記憶する。本実施例の抵抗値記憶部16では、
図8に示すように、パケット存在率が低下するほど、可変抵抗部126の抵抗値が小さくなっている。換言すれば、各E/O変換部124に入力される正相成分の電位の中間値と逆相成分の電位の中間値とが離反するほど、該正相成分の電位の中間値を小さい値に変動させる可変抵抗部126の抵抗値が抵抗値記憶部16に記憶されている。
【0040】
抵抗制御部17は、パケット存在率計測部13によって計測されたパケット存在率に基づいて、非存在期間に離反する正相成分の電位の中間値と逆相成分の電位の中間値とが近づくように、可変抵抗部126の抵抗値を制御する。具体的には、抵抗制御部17は、比較結果と今回のパケット存在率との入力を比較部15から受け付ける。抵抗制御部17は、比較結果が今回のパケット存在率と前回のパケット存在率とが一致しない旨を示す場合には、今回のパケット存在率に対応する可変抵抗部126の抵抗値を抵抗値記憶部16から取得する。そして、抵抗制御部17は、取得した抵抗値に向けて可変抵抗部126の抵抗値を変更する制御を行う。すなわち、抵抗制御部17は、パケット存在率が低下するほど可変抵抗部126の抵抗値を小さい値に変更する制御を行う。一方、抵抗制御部17は、比較結果が今回のパケット存在率と前回のパケット存在率とが一致する旨を示す場合には、可変抵抗部126の抵抗値の制御を中止する。抵抗制御部17は、制御部の一例である。
【0041】
また、抵抗制御部17は、可変抵抗部126の制御を完了した後に、各正相成分/逆相成分生成部123による電気信号の読み出しを許可する電気信号読み出し許可信号をバッファ部122に通知する。
【0042】
ここで、
図9の例を用いて、可変抵抗部126の抵抗値を変更する抵抗値制御処理を説明する。
図9は、可変抵抗部の抵抗値を変更する抵抗値制御処理を説明するための図である。
図9の上段では、パケット存在率の低下に伴って、E/O変換部124に入力される正相成分の電位の中間値C1と、逆相成分の電位の中間値C2とが離反した状況を示している。
図9の上段に示した状況において、抵抗制御部17は、パケット存在率が低下するほど可変抵抗部126の抵抗値を小さい値に変更する制御を行う。すると、E/O変換部124に入力される正相成分の電位の中間値C1は、
図9の下段に示すように、逆相成分の電位の中間値C2に近づき、最終的に逆相成分の電位の中間値C2に重なる。その結果、E/O変換部124から出力される光信号のアイパターンは、
図7の上段で示したような良好な波形のアイパターンとなる。つまり、入力パケットの存否に起因して劣化する信号波形を改善することが可能となる。
【0043】
なお、上述したパケット存在率計測部13、比較部15及び抵抗制御部17等は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及び該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現される。或いは、パケット存在率計測部13、比較部15及び抵抗制御部17等は、FPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて実現しても良い。また、上述した計測値記憶部14及び抵抗値記憶部16等は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)、ハードディスク及び光ディスク等を用いて実現される。
【0044】
次に、
図10を用いて、本実施例に係る光パケット送信装置10の処理手順を説明する。
図10は、本実施例に係る光パケット送信装置の処理手順を示すフローチャートである。
【0045】
図10に示すように、光パケット送信装置10のパケット受信部11は、例えば10GのイーサネットからIPパケットを受信していない場合には(ステップS101;No)、待機する。一方、パケット受信部11は、IPパケットを受信すると(ステップS101;Yes)、受信したIPパケットを電気信号に変換し、変換後の電気信号を電気信号分割部121に出力する(ステップS102)。また、パケット受信部11は、受信したIPパケットに含まれるパケット長及びIFGの情報を検出し、検出したパケット長及びIFGの情報をパケット存在率計測部13に出力する。
【0046】
電気信号分割部121は、電気信号を分割し、分割した電気信号をバッファ部122に出力し、バッファ部122は、所定の読み出しアドレスごとに電気信号を一時保持する(ステップS103)。
【0047】
パケット存在率計測部13は、パケット存在率を計測する(ステップS104)。例えば、パケット存在率計測部13は、パケット長/(パケット長+IFG)を演算することにより、パケット存在率を計測する。パケット存在率計測部13は、今回のパケット存在率を比較部15に出力するとともに、計測値記憶部14に格納する。計測値記憶部14は、今回のパケット存在率が格納されたので、前回のパケット存在率を比較部15に出力する。
【0048】
比較部15は、今回のパケット存在率と前回のパケット存在率との比較を行う(ステップS105)。比較部15は、比較結果とともに今回のパケット存在率を抵抗制御部17に転送する。
【0049】
抵抗制御部17は、今回のパケット存在率と前回のパケット存在率とが一致しない場合には(ステップS106;No)、以下の処理を行う。すなわち、抵抗制御部17は、今回のパケット存在率に基づいて、非存在期間に離反する正相成分の電位の中間値と逆相成分の電位の中間値とが近づくように、可変抵抗部126の抵抗値を制御する(ステップS107)。
【0050】
抵抗制御部17は、抵抗値の制御が完了していない場合には(ステップS108;No)、待機する。
【0051】
一方、抵抗制御部17は、今回のパケット存在率と前回のパケット存在率とが一致する場合には(ステップS106;Yes)、抵抗値の制御を中止し(ステップS109)、処理をステップS110に移行する。
【0052】
抵抗制御部17は、抵抗値の制御を完了した後に(ステップS108;Yes)、或いは、抵抗値の制御を中止した後に(ステップS109)、以下の処理を行う。すなわち、抵抗制御部17は、各正相成分/逆相成分生成部123による電気信号の読み出しを許可する電気信号読み出し許可信号をバッファ部122に通知する(ステップS110)。
【0053】
バッファ部122は、電気信号読み出し許可信号を抵抗制御部17から受け付けると、電気信号の一時保持を解除し、各正相成分/逆相成分生成部123による電気信号の読み出しを許可する。各正相成分/逆相成分生成部123は、自身に対応する読み出しアドレスごとにバッファ部122に保持された電気信号を読み出し、読み出した電気信号から正相成分及び逆相成分を生成し、生成した正相成分及び逆相成分を各E/O変換部124に出力する。
【0054】
その後、各E/O変換部124は、正相成分と逆相成分との電位差を用いて電気信号を電位差に応じた波形を有する光信号に変換する(ステップS111)。
【0055】
波長多重部125は、光信号を波長多重し、光信号が波長多重されて得られた光パケットを光パケットスイッチ装置20にポートを介して出力する(ステップS112)。
【0056】
上述してきたように、光パケット送信装置10は、パケット存在率を計測し、計測されたパケット変換率に基づいて、E/O変換部124に入力される正相成分の電位の中間値と逆相成分の電位の中間値とが近づくように、可変抵抗部126の抵抗値を制御する。このため、いわゆる目の開いた良好な波形のアイパターンを有する光信号をE/O変換部124から出力させることができる。結果として、入力パケットの存否に起因して劣化する信号波形を改善することが可能となる。
【0057】
また、本実施例によれば、光パケット送信装置10は、今回計測されたパケット変換率と前回計測されたパケット変換率との比較を行う。そして、光パケット送信装置10は、比較の結果、今回計測されたパケット存在率と前回計測されたパケット存在率とが一致する場合には、可変抵抗部126の抵抗値の制御を中止する。このため、可変抵抗部126の抵抗値の制御を前回行ってから今回行うまでの間にパケット存在率の変動がない場合には、可変抵抗部126の抵抗値の制御を無駄に行うことを防止することが可能となる。結果として、処理負荷の増大を抑えつつ、入力パケットの存否に起因して劣化する信号波形を改善することが可能となる。
【0058】
また、本実施例によれば、光パケット送信装置10は、可変抵抗部126の抵抗値の制御を完了した後に、電気信号読み出し許可信号をバッファ部122に通知する。このため、可変抵抗部126の抵抗値の制御が未完了である状況の下で、電位の中間値が離反した正相成分及び逆相成分がO変換部124に入力することを回避することができる。
【0059】
なお、上記の実施例では、光パケット送信装置10が、パケット変換率に基づいて、E/O変換部124に入力される正相成分の電位の中間値と逆相成分の電位の中間値とが近づくように、正相成分に付与される可変抵抗部126の抵抗値を制御する例を説明した。しかしながら、開示技術はこれに限定されるものではない。例えば、光パケット送信装置10が、パケット変換率に基づいて、逆相成分に付与される抵抗値を制御するようにしても良い。この場合には、可変抵抗部126は、各E/O変換部124に逆相成分を入力させる伝送路に配置され、各E/O変換部124に入力される逆相成分の電位の中間値を変動させる抵抗を逆成分に付与する。そして、抵抗制御部17は、パケット存在率が低下するほど可変抵抗部126の抵抗値を大きい値に変更する制御を行う。これにより、E/O変換部124に入力される逆相成分の電位の中間値は、正相成分の電位の中間値に近づき、最終的に正相成分の電位の中間値に重なる。その結果、E/O変換部124から出力される光信号のアイパターンは、
図7の上段で示したような良好な波形のアイパターンとなる。つまり、入力パケットの存否に起因して劣化する信号波形を改善することが可能となる。