(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の最良の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0017】
<インプリントシステム>
(第1の実施形態)
本発明の一実施形態に係るインプリントシステム2は、
図1に示すように、インプリント処理ユニット10と、親水化処理ユニット60と、判定処理ユニット70と、成膜処理ユニット80と、を備えている。
【0018】
インプリント処理ユニット10は、
図2に示すように、インプリント材料5の液滴を転写基板15に吐出する吐出ユニット20と、凹凸パターン25aが形成された型材(以下、「モールド25」と称する。)を用いてインプリント材料5を成型し、本願の転写基材として機能する転写基板15上に凹凸パターン25aを転写させる転写ユニット30と、を備える。
【0019】
吐出ユニット20は、例えば、インクジェットヘッド17のノズル17aから転写基板15の表面にインプリント材料5の液滴が吐出される。なお、吐出ユニット20は、本実施形態のようにインクジェット方式に限定されるものではなく、例えば、スピンコート等を用いて転写基板15上にインプリント材料5を濡れ拡げる態様としても構わない。
【0020】
また、インプリント材料5には、例えば、熱可塑性樹脂組成物や熱硬化性樹脂組成物、あるいは光硬化性樹脂組成物が用いられ、例えば、光硬化性樹脂組成物を用いた場合には当該インプリント材料5は所定の光Lを照射することで硬化する。
【0021】
転写ユニット30は、転写基板15を支持して水平方向に駆動可能なステージ32と、モールド25を転写基板15と対峙させて支持する支持体34と、
図2中の矢印に示すように、モールド25を下方に移動してこのモールド25を転写基板15に供給されたインプリント材料5に接触させるとともに、当該モールド25を上方に移動してインプリント材料5から引き離す移動ユニット(図示せず)と、表面にインプリント材料5の液滴が供給された転写基板15にモールド25を接触させた際にインプリント材料5を硬化させるための光Lを照射する照射ユニット35と、を備えている。
【0022】
そして、この転写ユニット30では、ステージ32が吐出ユニット20の下方を移動し、吐出ユニット20から適宜にインプリント材料5が吐出されることでインプリント材料5が転写基板15の面上に得られる。例えば、インクジェット方式を用いた場合にはインプリント材料5の液滴が配列された転写基板15に対して、モールド25を接触させ、毛管力などを利用してインプリント材料5がモールド25と転写基板15との間に充填される。
【0023】
さらに、この状態でモールド側から照射ユニット35によってインプリント材料5に光Lを照射することでインプリント材料5が硬化して成型され、凹凸パターン25aを転写基板15に転写させる。なお、転写基板15はインプリント材料5が成型された後にモールド25が離間することで外部に取り出される。
【0024】
なお、インプリント処理ユニット10の吐出ユニット20及び転写ユニット30は一般的な機構を採用することができ、各構成の詳細な説明は省略するものとする。
【0025】
図1に示すように、親水化処理ユニット60は、モールド25や転写基板15の親水化処理を行うものであって、例えば、インプリント処理ユニット10によるインプリントの後や、初期にモールド15や転写基板25を設置する際に行う。
【0026】
インプリントを安定して行うために、モールド25に離型層を形成する場合や転写基板15に密着層を形成する場合には、親水化処理ユニット60により親水化処理が行われた上で成膜処理ユニット80により成膜処理が実行される。
【0027】
親水化処理ユニット60は、本願の対象物として機能するモールド25又は転写基板15の表面を所定の方式によって親水化処理を行う第1親水化処理部62(第1の処理手段)と、当該モールド25又は転写基板15の表面を第1の親水化処理とは異なる方式によって親水化処理を行う第2親水化処理部64(第2の処理手段)と、を備えている。なお、「親水化」とは、水などの液滴を垂らしたときに水滴にならずに広がり、液滴の接触角が0°に近くなる状態をいう。親水化処理は、例えば、表面の有機物除去や表面改質などの処理を含むものである。
【0028】
また、親水化処理ユニット60は、モールド25又は転写基板15の表面の接触角を低下させるものであって、第1親水化処理部62による接触角の低下量は、第2親水化処理部64による接触角の低下量よりも大きくなるように構成してもよい。例えば、第1親水化処理部62による接触角の低下量を70〜100°とし、第2親水化処理部64による接触角の低下量を20〜30°とすることができる。接触角は、例えば、マイクロシリンジから水滴を滴下して30秒後に接触角測定器(協和界面科学(株)製 CA−Z型)を用いて測定される。
【0029】
具体的には、第1親水化処理部62は、酸やアルカリ等の溶剤を用いたウェット処理によって親水化を図るものであり、第2親水化処理部64は、UV照射やプラズマ照射などのオゾン処理又はプラズマ処理を用いたドライ処理によって親水化を図るものである。
【0030】
ウェット処理では、例えば、酸又はアルカリ等の薬剤をモールド25又は転写基板15の表面に接触させた後、純水等で水洗いして薬液を除去し、その後乾燥させる。この処理方式では、薬液中にモールド25又は転写基板15を浸水させる浸漬法のほか、薬液をモールド25又は転写基板15の表面に吹き付けるスプレー法等一般的に公知の技術を適用して行われる。
【0031】
一方、ドライ処理では、例えば、UV等の光をモールド25又は転写基板15の表面に照射したり、モールド25又は転写基板15の表面をプラズマに曝したりする。この処理方式では、上述した光照射装置のほか、プラズマ照射装置等一般的に公知の技術を適用して行われる。
【0032】
光照射装置は、例えば、10〜400nmの波長域を含む光を照射するものであり、この波長域のうち好ましい範囲としては、170〜260nmである。170nmより小さい波長域の光を利用すると特別な防護設備が必要となる虞があり、260nmより大きい波長域の光を利用するとモールド25又は転写基板15に付着する有機物によっては除去しにくくなる虞があるからである。
【0033】
プラズマ装置は、例えば、真空チャンバー内にモールド25や転写基板15を載置して、酸素やフッ素、あるいは不活性ガス等を含む混合気体を供給し、高周波電流を印加してプラズマを発生させ、モールド25や転写基板15の表面に成膜された層をアッシングして除去するものであり、例えば、酸素ガスを用いた酸素プラズマ照射により実施されるが、連続処理に向く窒素ガスや酸素ガスを用いた大気圧プラズマ照射が好ましい。
【0034】
判定処理ユニット70は、第1親水化処理部62によるウェット処理後のモールド25又は転写基板15の表面状態に基づいて成膜処理やインプリントを適切に実行可能か否かを判定する。
【0035】
この判定処理ユニット70は、
図1に示すように、第1親水化処理部62において親水化処理されたモールド25又は転写基板15の表面状態を測定する表面状態検出部72(検出手段)と、その測定結果に基づいて成膜処理又はインプリントを適切に実行可能か否かを判定する判定部74(比較手段)と、を備えている。
【0036】
表面状態検出部72は、モールド25又は転写基板15の親水化の度合いを測定する装置を備える。具体的には、この親水化の度合いは、例えば、接触角を測定することで求められ、液滴を滴下して、その液滴の像を側面から撮影して、液滴の接触角を求める。液滴の接触角が小さいほど親水化の度合いは高く、液滴の接触角が大きいほど親水化の度合いは低い。表面状態検出部72としては、上述の協和界面科学(株)製のCA−Z型の接触角計を用いることができる。
【0037】
判定部74は、予め規定された表面状態(接触角)の閾値を示す大小2つの基準値を用いて所定の処理を実施するための判定がなされる。この閾値は、親水化の度合いを判断するための値であって、一方の閾値は、例えば、成膜処理を行う上で最適な接触角の上限値であり、この閾値以下であれば、親水性の度合いが良好であることを示す。他方の閾値は、ドライ処理を実施してもウェット処理後の接触角の値以下に戻らない接触角の値である。すなわち、測定値が一方の閾値と他方の閾値の間であれば、ドライ処理により親水性の度合いを良好にでき、他方の閾値を超える場合は、ウェット処理を再度行う必要があることを示す。
【0038】
なお、一例として、一方の閾値(本願の閾値)は、5°であり、他方の閾値は、25〜35°である。
【0039】
また、本実施形態の判定部74では2つの閾値を用いているが、一方の閾値のみを用いてもよい。1つの閾値を用いて判定を行う際には、測定値が一方の閾値よりも大きい場合、ウェット処理により処理された対象物の測定値と閾値との差が、ドライ処理により親水性の度合いを良好に処理できる値(25〜35°以下)であるか、ドライ処理により親水性の度合いを良好に処理できない値(25〜35°を超える場合)であるか判定する。
【0040】
そして、判定部74では、測定された測定値(検出値)と2つの閾値とを比較し、測定された測定値が、一方の閾値以下、他方の閾値以上、2つの閾値の間のいずれであるかを判定する。
【0041】
そして、この判定結果において、測定値が一方の閾値以下であれば、成膜処理ユニット80により成膜処理され、測定値が他方の閾値以上であれば、親水化処理ユニット60の第1親水化処理部62において再度、ウェット処理された上で、再度、判定部74にて判定される。
【0042】
この判定結果において、測定値が2つの基準値の間であれば、対象物にほとんどダメージを与えることなくドライ処理により親水化することができるので親水化処理ユニット60の第2親水化処理部64においてドライ処理された上で、成膜処理ユニット80により成膜処理される。
【0043】
この判定結果において、測定値が他方の閾値以上であれば、対象物にほとんどダメージを与えることなくドライ処理により親水化することが難しくなるので親水化処理ユニット60の第1親水化処理部62において再度ウェット処理された上で、成膜処理ユニット80により成膜処理される。
【0044】
この判定部74では、親水化処理後の時間の経過にしたがって欠陥が増加すること、ウェット処理では、単位時間における親水化処理能力がドライ処理よりも高いものの、一連の処理が煩雑であって時間を要すること、ドライ処理では、短時間の親水化処理とするのが好ましいこと、を鑑みて、ウェット処理後の時間経過によって低下する接触角を測定し、この接触角の値によって成膜処理やインプリントを行うための適切な処理を行うための判定を行うものである。具体的には、上述したように、ウェット処理後の測定値が一方の閾値以下である場合には、そのまま成膜処理又はインプリントを実施する一方で、ウェット処理後、測定値が他方の閾値を超えている場合には、成膜処理又はインプリントの実施を行わずに、再度、ウェット処理を行った上で成膜処理またはインプリントの実施を行うか否かを判定する。さらに、ウェット処理後、2つの閾値の範囲(多少の汚れなどがあるものの、ドライ処理によって十分親水化処理が可能)である場合には、ドライ処理を行ったうえで、成膜処理又はインプリントを実施する。
【0045】
このように処理することで、成膜処理又はインプリント実施前のモールド25又は転写基板15等の対象物の表面の親水性が良好となるため、安定して且つ良好に成膜処理又はインプリントを実施することが可能となる。
【0046】
なお、本実施形態の表面状態検出部72は、対象物の表面を測定することにより実施されているが、対象物の表面を予測することにより実施する態様としても構わない。具体的には、ウェット処理後の経過時間を取得する時間情報取得装置と、親水化処理後の経過時間に対するパターン形成の欠陥数を示すデータベースを備え、判定部74では、この経過時間情報と、このデータベースを参照して求められる閾値とを比較することで表面状態を予測(推測)し、判定する態様としてもかまわない。
【0047】
このデータベースは、ウェット処理後に、処理後の経過時間を変えてインプリントを実行した際の欠陥数を表したものであり、経過時間が長くなるほど、その表面の親水性が低下し、欠陥数が増加する傾向にあることを示すものである。したがって、この欠陥数の数に基づいて大小2つの閾値が設定され、この閾値に基づいて判定され、適切な処理がなされる。なお、この閾値は、例えば、ウェット処理後の経過時間であり、一方の閾値は、ウェット処理後の親水性が変化しない限界時間であり、他方の閾値は、ドライ処理を実施してもウェット処理後の親水性以下に戻らない時間を規定すればよい。
【0048】
図1に示すように、成膜処理ユニット80は、親水化処理ユニット60によって親水化処理されたモールド25の表面を成膜処理する離型層形成処理部82と、転写基板15の表面を成膜処理する密着層形成処理部84と、を備えている。
【0049】
離型層形成処理部82は、例えば、インプリント材料5との付着力の低減を図るためにモールド25の表面に離型剤を塗布して成膜することによって離型層を形成するものであり、密着層形成処理部84は、例えば、転写基板15の表面とのインプリント材料5の付着力を高めるために密着剤を塗布して成膜することによって密着層を形成するものである。
【0050】
この離型剤や密着剤は、例えば、シリル基を有するシランカップリング剤が用いられる。
【0051】
なお、離型剤や密着剤の処理方式は、ノズル等による噴射処理、又は処理剤中にモールド25や転写基板15を浸水させる浸漬処理等によって実行される。
【0052】
このようなインプリントシステム2によれば、ウェット処理後の経過時間の管理を厳密に行った上でインプリントが適切に実行される。具体的には、ウェット処理後の経過時間によって、インプリント又は成膜処理の実行が可能か否かを判断し、実行不可と判断した際に適した処理(ウェット処理又はドライ処理)を行った上で、成膜処理を実行する。よって、ウェット処理後のモールド25又は転写基板15の表面の状態に応じて、適切な処理が行われた上で良好に成膜処理が行われるので、離型処理あるいは密着処理が安定化するため、安定してインプリントを実行することができる。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、インプリントシステム2の他の態様を示す実施形態を説明する。なお、本実施形態は、上述した実施形態と判定手法のみが異なり、その他の構成は基本的に同じである。したがって、上述したインプリントシステム2との相違点のみを説明し、上記実施形態で示した同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
【0054】
第1の実施形態では、2つの閾値を用いて判定する手法を説明したが、本実施形態は、1つの閾値を用いて判定する手法である点で異なる。
【0055】
具体的に、判定部74は、予め規定された表面状態(経過時間)の閾値を示す1つの基準値を用いて所定の処理を実施するための判定がなされる。この閾値は、例えば、ウェット処理後の経過時間であり、閾値は、ウェット処理後の親水性が変化しない限界時間である。
【0056】
そして、判定部74では、表面状態検出部72によって測定された測定値(検出値)と閾値とを比較し、測定された測定値が、閾値以下、又は閾値以上のいずれであるかを判定する。
【0057】
そして、この判定結果において、測定値が閾値以下であれば、成膜処理ユニット80により成膜処理される。
【0058】
一方、測定値が閾値以上である場合であって、測定値と閾値との差が、第2親水化処理部64の処理により想定される接触角の低下量以下である場合には、第2親水化処理部64においてドライ処理された上で、成膜処理ユニット80により成膜処理される。
【0059】
また、測定値が閾値以上である場合であって、測定値と閾値との差が、第2親水化処理部64の処理により想定される接触角の低下量よりも大きい場合には、親水化処理ユニット60の第1親水化処理部62において再度、ウェット処理された上で、再度、判定部74にて判定される。
【0060】
このように本実施形態では、対象物の表面をウェット処理した後、成膜処理又はインプリントの実行前に、ウェット処理後の経過時間を測定し、この測定値が閾値以下であれば、そのまま成膜処理又はインプリントを実施する判定をする一方で、ウェット処理後長時間経過している場合であって、第2親水化処理部64の処理によって、対象物の表面の接触角をウェット処理後の親水性以下にすることができる場合には、ドライ処理を行った上で、成膜処理又はインプリントを実施し、対象物の接触角をウェット処理後の親水性以下にすることができない場合には、成膜処理又はインプリントの実施を行わずに、再度、ウェット処理を行った上で成膜処理またはインプリントの実施を行う。
【0061】
このように処理することで、成膜処理又はインプリント実施前のモールド25又は転写基板15等の対象物の表面の親水性が良好となるため、安定して且つ良好に成膜処理又はインプリントを実施することが可能となる。
【0062】
<インプリント方法>
次に、第1の実施形態の手法を用いた基本的なインプリント方法を説明する。
【0063】
まず、対象となるモールド25又は転写基板15(以下、「対象物」と称する。)を準備する。そして、対象物の表面を第1親水化処理部62にてウェット処理する(ステップS101)。
【0064】
次に、判定処理ユニット70では、ウェット処理された対象物の接触角を測定し(ステップS102)、この測定結果に基づいて推測される対象物の表面状態からその後の処理を行うための判定を行う。この判定は、大小2つの閾値を用いて、測定値とこれらの閾値とが比較されて判定される。
【0065】
まず、測定値が一方の閾値よりも小さい場合には(ステップS103)、親水化処理後の時間が短時間であり、親水性は良好であると判断され、成膜処理ユニット80に搬送される。
【0066】
一方で、測定値が2つの閾値の範囲内である場合(ステップS103、ステップS104)には、親水化処理後、多少時間は経過しているものの、ドライ処理で十分に親水性を良好にすることが可能であると判断され、第2親水化処理部64に搬送され、ドライ処理された後に(ステップS105)、成膜処理ユニット80に搬送される。
【0067】
また、測定値が他方の閾値よりも大きい場合には(ステップS104)、親水化処理後、長時間経過しており、ドライ処理では親水性を良好にできないと判断され、第1親水化処理部62に搬送され(ステップS101)、ウェット処理された上で、再度、接触角が測定されて判定処理ユニット70において判定される。
【0068】
次に、成膜処理ユニット80では、対象物が成膜処理され(ステップS106)、インプリント処理ユニット10に搬送され、インプリントが実行される。対象物がモールド25である場合には、例えば、離型剤が成膜され、対象物が転写基板15である場合には、例えば、密着剤が成膜される。
【0069】
このインプリント処理部10では、まず、転写基板15にインプリント材料5をインクジェットヘッド17のノズル17aから滴下して供給する(
図4(a))。
【0070】
次に、転写基板15にモールド25を近接させ、このインプリント材料5に凹凸パターン25aが表面に形成されたモールド25を接触させ、転写基板15とモールド25との間にインプリント材料5を充填する。なお、必要に応じて、インプリント材料5にモールド25を接触させた後に、更にモールド25に力を加えてインプリント材料5に対して圧力を加えても構わない(
図4(b))。
【0071】
次に、転写基板15に対するモールド25の位置を保持しつつ、照射ユニット35を用いてインプリント材料5を硬化させる光Lをインプリント材料5に照射することで、インプリント材料5を硬化させる(
図4(c))。
【0072】
次に、転写基板15からモールド25を離間させ、転写基板15上に樹脂パターン5Aを形成する(
図4(d))。
【0073】
そして、必要に応じてエッチング等によって、樹脂パターン5Aの残膜5aを除去する(
図4(e))。なお、必要に応じて更に樹脂パターン5Aをもとに転写基板15を加工し、レプリカモールド、磁気記録媒体、半導体装置等を作製してもよい。また単に硬化したインプリント材料5によって凹凸構造を得たいだけの場合には、残膜5aの除去は必ずしも要しない。例えば反射防止膜やホログラム等の光学部材の製造や、ランダム構造の形成等を目的とした偽造防止加工などに適用することが出来る。
【0074】
また、本実施形態では、成膜処理の前段階としてステップS101に示すように、対象物の表面をウェット処理した後に、ステップS102に示すように、その対象物の表面の接触角を測定して、親水化の度合いが適正であれば、成膜処理を行い、適正でなければその親水化の度合いに対して適切な処理(ウェット処理又はドライ処理)を行うようになっているが、対象物を準備した後、ステップS101の処理を行わずに、ステップS102に示すように、その対象物の表面の接触角を測定して、成膜処理を行うために適切な処理(ウェット処理又はドライ処理)を行うための判定を行うようにしてもかまわない。このような処理により、成膜処理を行う際の対象物の表面の親水性を良好にできる。
【0075】
このようなインプリント方法によれば、ウェット処理後の経過時間の管理を厳密に行った上でインプリントが適切に実行される。具体的には、ウェット処理後の経過時間によって、インプリント又は成膜処理の実行が可能か否かを判断し、実行不可と判断した際に適した処理(ウェット処理又はドライ処理)を行った上で、成膜処理を実行するため、成膜処理が適切に行われて、離型処理あるいは密着処理が安定化するため、安定してインプリントを実行することができる。