(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244766
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】匣鉢
(51)【国際特許分類】
F27D 3/12 20060101AFI20171204BHJP
F27B 9/30 20060101ALI20171204BHJP
C04B 35/64 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
F27D3/12 S
F27B9/30
C04B35/64
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-193749(P2013-193749)
(22)【出願日】2013年9月19日
(65)【公開番号】特開2015-59697(P2015-59697A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100103056
【弁理士】
【氏名又は名称】境 正寿
(72)【発明者】
【氏名】南 大介
【審査官】
田口 裕健
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭57−077900(JP,U)
【文献】
実開昭52−158751(JP,U)
【文献】
特開平05−312480(JP,A)
【文献】
特開2014−122783(JP,A)
【文献】
実開平02−116698(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 3/12
C04B 35/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被焼成物を載せる底部と、前記底部の縁に設けられる二対のそれぞれ対向する側壁部とを有する匣鉢であって、
少なくとも一対の対向する前記側壁部のそれぞれの外側面には、少なくとも1個の突起が設けられており、
前記突起は、複数の匣鉢を一列に並べて隣接させた際に、一方の匣鉢の前記突起と他方の匣鉢の前記側壁部の外側面とが接触し、かつ、一方の匣鉢の前記突起と他方の匣鉢の前記突起とが互いに接触しない位置に設けられ、
前記突起は、各々が同じ突出寸法を有しており、前記匣鉢の上面から見たときの形状が、前記突起の配置されている側壁部と平行な仮想線に点接触する形状であることを特徴とする匣鉢。
【請求項2】
前記突起は、前記匣鉢を上面から見たときに点対称となる位置に配置されている、請求項1記載の匣鉢。
【請求項3】
前記突起は、前記匣鉢の上面から見たときの形状が、円弧または三角形である、請求項1または2記載の匣鉢。
【請求項4】
前記匣鉢の底部裏面は、前記匣鉢の載置面と部分的に接触するように形成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の匣鉢。
【請求項5】
前記底部裏面における前記載置面との接触部は、前記匣鉢の底面の縁部に設けられている、請求項4記載の匣鉢。
【請求項6】
熱処理炉内のレーンに沿って複数の匣鉢を並べて搬送する際の匣鉢の設計方法であって、
前記匣鉢は、請求項1から5のいずれか一項に記載の匣鉢であって、
前記突起は、搬送方向に垂直な側壁部の外側面にも設けられており、
前記レーンの幅寸法と、前記突起を含む前記匣鉢の幅方向の寸法との差をDとし、
前記幅方向において、搬送方向に垂直な前記側壁部の外側面から、搬送方向に突起した前記突起までの距離をdとしたとき、d>Dとすることを特徴とする匣鉢の設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、匣鉢に関し、詳しくは、セラミック電子部品の製造に用いられるセラミック素体などを熱処理する場合に用いられる匣鉢に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック電子部品などの製造に用いられるセラミック素体を焼成する場合の焼成工程において、セラミック素体は、通常、匣鉢と呼ばれる焼成用の容器に入れた状態で熱処理に供される。この種の匣鉢の一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、匣鉢の強度向上を図ることを目的として、焼成すべき成形体を載せる底部と、この底部の縁から立ち上げられる側壁部と、側壁部の側面から壁外方向に突出される凸部とから構成される匣鉢が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3−37396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術では、縦積みでの使用を想定した匣鉢の強度向上を図ったものである。例えば、匣鉢を横に並べて焼成炉に搬送する場合、隣接する匣鉢間で温度差が生じることがあるが、このような状態で匣鉢同士が接触することで、匣鉢内で温度のばらつきが発生し、この温度差に起因した熱衝撃によって匣鉢が割れてしまうという問題点がある。このように、横並べで使用する場合には、縦積みで使用する際には顕在化しなかった問題点が発生する。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するものであり、焼成用道具材である匣鉢を横に並べて搬送する場合であっても、前記匣鉢の内部での温度ばらつき、および、前記温度ばらつきに起因した熱衝撃による破損を防止することが可能な匣鉢を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の匣鉢は、被焼成物を載せる底部と、前記底部の縁に設けられる二対のそれぞれ対向する側壁部とを有する匣鉢であって、少なくとも一対の対向する側壁部のそれぞれの外側面には、少なくとも1個の突起が設けられており、
前記突起は、複数の匣鉢を一列に並べて隣接させた際に、一方の匣鉢の前記突起と他方の匣鉢の前記側壁部の外側面とが接触し、かつ、一方の匣鉢の前記突起と他方の匣鉢の前記突起とが互いに接触しない位置に設けられ、
前記突起は、各々が同じ突出寸法を有して
おり、前記匣鉢の上面から見たときの形状が、前記突起の配置されている側壁部と平行な仮想線に点接触する形状であることを特徴とする。
【0008】
また、前記突起は、匣鉢を上面から見たときに点対称となる位置に配置されていることが好ましい。
【0009】
本発明の匣鉢において、前記突起は、前記匣鉢の上面から見たときの形状が
、円弧または三角形であることが好ましい。
【0010】
本発明の匣鉢の選択方法は、熱処理炉内のレーンに沿って複数の匣鉢を並べて搬送する際の匣鉢の設計方法であって、前記匣鉢は、前記本発明の匣鉢であって、前記突起は、搬送方向に垂直な側壁部の外側面にも設けられており、前記レーンの幅寸法と、前記突起を含む前記匣鉢の幅方向の寸法との差をDとし、前記幅方向において、搬送方向に垂直な前記側壁部の外側面から、搬送方向に突起した前記突起までの距離をdとしたとき、d>D
とすることを特徴とする。
【0011】
本発明の匣鉢において、前記匣鉢の底部裏面は、前記匣鉢の載置面と部分的に接触するように(全面で接触しないように)形成されていることが好ましい。また、前記底部裏面における前記設置面との接触面は、前記匣鉢の底面の縁部に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、匣鉢等の匣鉢を横に並べて搬送する場合であっても、前記匣鉢の内部での温度ばらつき、および、前記温度ばらつきに起因した熱衝撃による前記匣鉢の破損を防止することが可能な匣鉢を提供することができる。
【0013】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る匣鉢10を表側から見た際の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る匣鉢10を裏側から見た際の概略構成を示す斜視図である。
【
図3】
図3(a)は、本発明の第1の実施形態に係る匣鉢10の正面図である。
【
図4】
図4(a)、
図4(b)および
図4(c)は、本発明の第1の実施形態に係る匣鉢10の変形例(10A、10B、10C)を示す正面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る匣鉢10が、複数移送される際の状態を示す図である。
【
図6】
図6は、
図4(b)に示す変形例に係る匣鉢10Bが、複数移送される際の状態を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の匣鉢の搬送方法を示す図である。
【
図8】
図8(a)、
図8(b)および
図8(c)は、複数の匣鉢10−1、10−2の搬送時の状態を示す図である。
【
図9】
図9(a)は、本発明の第2の実施形態に係る匣鉢20を裏側から見た際の概略構成を示す斜視図である。
図9(b)は、前記第2の実施形態に係る匣鉢20を、
図9(a)においてI−I方向に見た断面図である。
図9(c)は、載置面69を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下の例に限定および制限されない。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る匣鉢10を表側から見た際の概略構成を示す斜視図である。
図2は、匣鉢10を裏側から見た際の概略構成を示す斜視図である。
図3(a)は、匣鉢10の正面図である。この匣鉢10は、連続焼成炉内の搬送レールやローラーなどに載置して移送されながら、収納した多数のセラミック成形体(被焼成物)の焼成を行うものである。匣鉢10は、アルミナ質セラミックなどからなる。匣鉢10は、被焼成物を載せる底部11および底部11の縁に設けられる側壁部12(12A、12B、12C、12D)を含む形状(升形状)に形成されている。一対の側壁部12Aおよび12Bは互いに対向しており、一対の側壁部12Cおよび12Dも互いに対向している。匣鉢10には、焼成すべき多数のセラミック成形体を収納すべく、上面のみが開口した収納凹部が設けられている。
【0017】
そして、匣鉢10の少なくとも一対の対向する側壁部12における各側壁部12の外側面には、少なくとも1個の突起13が設けられている。この突起13は、各々が同じ突出寸法を有しており、匣鉢10を上面から見たときの中心Pに対し、点対称の位置に配置されている。点対称の位置に突起13が配置されることで、匣鉢10自体の重さバランスが良好になることから、搬送時の振動などの影響を軽減し、搬送安定性を向上されることができる。なお、本発明において、「点対称」とは、厳密な点対称の位置に限定されず、匣鉢10の搬送時の振動などの影響を軽減して搬送安定性を達成できる点対称の位置付近の範囲を含むことを意味している。本実施形態に係る匣鉢10においては、二対の対向する側壁部(12Aおよび12B、12Cおよび12D)の各側壁部12の外側面に各1個の突起13が設けられている。
【0018】
本実施形態において、突起13は、匣鉢10の上面から見たときの形状が、匣鉢10の側壁部と平行な仮想線Lに点接触する形状である。このような形状であると、匣鉢10を一列に複数並べて移送させる際に、隣接する匣鉢10に突起13が点接触する(
図5参照)。匣鉢10は並べられた状態で、熱処理炉に導入され、加熱されるが、その際に隣接する匣鉢10と接触することで、熱伝導が起こる。熱処理炉の内部に入っている匣鉢10と入り口付近の匣鉢10とでは、温度差があるため、仮に隣接する匣鉢間の接触面積が大きいと、熱衝撃に起因する匣鉢の破損が発生することがある。そこで、本実施形態のように匣鉢10の側壁部12の外側面に突起13を設け、匣鉢10間の接触面積を小さくすることで、匣鉢10の割れが抑制される。また、匣鉢10間での熱移動も抑制されるので、匣鉢10内での温度のばらつきも改善することができる。
【0019】
突起13の突出寸法(匣鉢10の側壁部12と仮想線Lとの距離に相当)は、0.5mm〜1mmであることが好ましい。突起13の突出寸法が大きすぎると、熱処理炉に導入することのできる匣鉢10の個数が少なくなるからである。
【0020】
なお、本実施形態において、匣鉢10の各側壁部12の上端面には、凹状溝14が設けられている。凹状溝14は、いわゆる火溝としての機能を果たすことができる。また、複数の匣鉢10を高さ方向に重ねる際に、例えば45度ずつ回転させて溝の形状に合わせて互い違いに重ねると、複数の匣鉢10を重ねて搬送する場合に安定させることができる。
【0021】
図4(a)、(b)および(c)は、本実施形態に係る匣鉢10の変形例(それぞれ匣鉢10A、匣鉢10B、匣鉢10C)を示す正面図である。
図4(b)に示す匣鉢10Bのように、突起13は、一対の対向する側壁部12の外側面のみに設けてもよい。一対の対向する側壁部12にのみ突起13が設けられる場合、後述する搬送方向に対して垂直となる位置の側壁部12に突起13がくるように匣鉢10Bを並べて載置するとよい(
図6参照)。突起13の形状としては、接触面積を小さくするため、上面から見たときに匣鉢10間の接触が点接触になるような形状であることが好ましい。突起13の形状は、円弧(
図3、
図4(b)および(c))または三角形(
図4(a))であると、点接触も可能であり、突起13の成形も行いやすく、破損しにくい。本実施形態では、突起13は高さ方向に柱状に形成されているが、側壁部12の外側面の高さ方向全体に突起13があることは必須ではなく、例えば半球状や三角錐状の突起13が設けられていてもよい。また、
図4(c)に示すように、匣鉢10Cの形状は、長方形であってもよい。
【0022】
次に、本発明の匣鉢を用いて、熱処理炉で熱処理を行う場合の動作について説明する。
図7は、匣鉢10の搬送方法を示す図である。匣鉢10は、セラミック素体を入れた状態で、搬送レール61上に載置される。そして、プッシャー(匣鉢搬送手段)62により、炉本体の熱処理エリアに送り込まれる。同図において、矢印は搬送方向T(匣鉢10の進行方向)を示している。そして、熱処理エリアにおいて、セラミック素体に含まれるバインダーの燃焼、分解が行われ、セラミック素体が焼結される。
【0023】
プッシャー62は、2本のロッド63Aおよびロッド63Bを有しており、これらロッドで匣鉢10を押して移動させる。ロッド63Aおよびロッド63Bは長さの調節がそれぞれ可能である。ここでは、匣鉢10に設けられた突起13の大きさに合わせたオフセットSをロッド長さ方向に設け、ロッド63Bで突起13を押すようにしている。なお、ロッド63A、63Bの長さを同じにし、互いの間隔を狭めてロッド63A、63Bにより匣鉢10の側壁部12を押してもよい。また、ロッド63A、63Bの長さを同じにしたうえで、匣鉢10の突起13の形成位置をロッド63A、63Bの位置から外した位置となるように設計してもよい。
【0024】
搬送レール61には、搬送方向Tに対して垂直方向の匣鉢10の動きを軽減するための一対のガイド64が設けられている。匣鉢10は、このガイド64に沿って搬送レール61上を搬送される。匣鉢10に設けられる突起13は、搬送方向Tに垂直な側壁部12の外側面に少なくとも設けられているが、搬送方向Tに平行な側壁部12の外側面にも設けることで、ガイド64と匣鉢10との接触面積を小さくすることができる。こうすることで、ガイド64からの熱伝導に起因する匣鉢10内の温度むらを軽減することができる。
【0025】
図8(a)、
図8(b)および
図8(c)は、複数の匣鉢10−1および10−2の搬送時の状態を示す図である。同図において、矢印は搬送方向T(匣鉢10−1および10−2の進行方向)を示している。搬送レール61には、匣鉢10の底部11を接触させながら搬送するレーン67がある。レーン67の幅は、一対のガイド64により規定され、突起13を含む匣鉢10の幅よりも広めになるように、クリアランスDが設けられている。このとき、
図8に示すように、隣り合って搬送される匣鉢10−1および匣鉢10−2は、搬送時の振動等によってレーン67の幅方向に動くことがある。
図8(a)では、匣鉢10−1および10−2の突起13が、互いに近づく方向にクリアランスD分だけ動いている。一方、
図8(b)では、匣鉢10−1および10−2の突起13が、互いに遠ざかる方向にクリアランスD分だけ動いている。匣鉢10−1と匣鉢10−2とが互いに突起13が遠ざかる方向に動いた場合、突起13が匣鉢10の端部(角付近)に設けられていると、
図8(c)に示すように、搬送時に突起13が隣接する匣鉢10の側壁部12に接触せずにずれてしまうことが想定される。したがって、突起13は、端部ではなく、外側面の幅方向の内側(端部から離れた位置)に設けることが好ましい。また、クリアランスDが大きすぎても、搬送時に突起13が隣接する匣鉢10の側壁部12に接触せずにずれてしまうことが想定される。したがって、クリアランスDは大きすぎないことが好ましい。ここで、クリアランス(レーン67の幅寸法と、突起13を含む匣鉢10の幅方向の寸法との差)をDとし、レーン67の幅方向において、搬送方向Tに垂直な側壁部12の外側面から、搬送方向Tに突出した突起13までの距離をdとすると、d>Dの関係にあることが好ましい。これにより、突起13が隣接する匣鉢10の側壁部12に接触せずに匣鉢10がずれてしまうという問題を防ぐことができる。
【0026】
また、突起13を外側面の幅方向の中心付近に設けると、隣接する匣鉢10の突起13同士が当たってしまうので、外側面の幅方向の中心部から離れた位置に配置することが好ましい。クリアランスDおよび距離dの関係がd>Dを満たす範囲において、突起13間の距離は大きいが、搬送時の直進安定性が向上するため、好ましい。
【0027】
(第2の実施形態)
図9(a)は、本発明の第2の実施形態に係る匣鉢20を裏側から見た際の概略構成を示す斜視図である。
図9(b)は、匣鉢20を、
図9(a)においてI−I方向に見た断面図である。本実施形態の匣鉢20は、底部裏面21aに凹みが設けられており、匣鉢20とレーン67の載置面69とは全面では接触せず、部分的に接触するように形成されている。なお、載置面69とは、レーン67上に匣鉢20が載置される領域であり、
図9(c)において、太破線で示した領域である。
【0028】
匣鉢20と載置面69との接触面積を小さくすることで、急な昇温が抑制されて匣鉢20の破損が防止される。さらに、匣鉢20と載置面69との接触面積が変動しにくく、匣鉢20内での温度のばらつきが改善される。仮に、匣鉢の底部裏面が平坦であると、異物の存在や、載置面の傷などが生じた場合に、接触面積の変動が大きくなり、匣鉢内で温度分布が発生してしまうおそれがある。本実施形態では、匣鉢20の底部裏面21aと載置面69との接触面積を小さくすることで、このようなリスクも軽減できる。また、匣鉢20の搬送に起因する載置面69の摩耗劣化を軽減することもできる。
【0029】
載置面69との接触部23は、連続線形状であると移送時に引っ掛かり等が発生しにくく好ましく、匣鉢20の縁部を一周囲むように設けることがより好ましい。また、
図9に示すような正方形の匣鉢20の場合、どの側壁部12が搬送方向Tになるように配置されても匣鉢20内における温度ばらつきが起こらないよう、全周に接触部23を有することが好ましい。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、搬送レール61の形状に応じて、底部21の縁部に接触部23を部分的に設ける等の形状とすることもできる。接触部23は、匣鉢20の表側の側壁部12と対応する位置に設けると、熱伝導の観点から好ましい。
【0030】
本実施形態において、匣鉢20の底部裏面21aは凹部を設ける方法で作製されるが、本発明はこれに限られず、底部裏面21aを平坦面で形成しておき、後に凸部を設ける方法で作製することもできる。凹部の深さ(または凸部の高さ)は、0.1〜1mm程度であることが好ましく、0.5〜1mmの範囲であることがより好ましい。
【符号の説明】
【0031】
10、10A、10B、10C、10−1、10−2、20 匣鉢
11、21 底部
12、12A、12B、12C、12D 側壁部
13 突起
14 凹状溝
21a 底部裏面
61 搬送レール
62 プッシャー
63A、63B ロッド
64 ガイド
67 レーン
69 載置面
P 匣鉢の中心
L 仮想線
T 搬送方向
S オフセット
d 突起の端部からの距離
D クリアランス