(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
<第1の実施の形態>
図1〜
図4は、第1の実施の形態に係るLEDランプ1の構成を示す図であり、
図1は斜視図、
図2は側面図、
図3は平面図、
図4は分解斜視図である。
LEDランプ1は、
図1に示すように、発光素子の一例たるLED20を光源に用いた口金型のランプであり、口金10を既設のソケットに装着して使用できる。LEDランプ1は、HIDランプ(放電ランプ)の発光管と同様に棒状に延び周囲の全体から略均等に放射光が放射され、なおかつHIDランプのような高出力タイプの既存の放電ランプの代わりに用いることができる程度の光出力を有する。
【0011】
ただし、放電ランプは交流電力で点灯するが、LEDなどの発光素子は直流電力で点灯する。したがって、LED20を光源としたLEDランプ1を交流の商用電源で点灯させる場合には、商用電源を直流電力に変換する電源回路を通じてLEDランプ1に直流電力を供給することとなる。本実施形態のLEDランプ1は電源回路を内蔵せずに、ソケットの側に電源回路を設け、当該ソケットから口金10を通じて直流電力が入力される構成となっている。換言すれば、このLEDランプ1を既設の放電ランプ用の灯具に装着する場合には、灯具が備える安定器を電源回路に置き換えて使用する。
【0012】
次いで、LEDランプ1の構成について詳述する。
LEDランプ1は、
図1〜
図4に示すように、上記口金10と、一端に口金10が取り付けられる筒状の取付体11と、取付体11の他端に連結される筒状の支持体12と、支持体12を周囲から囲むように配置されて支持体12に支持される複数(本実施形態では3つ)の光源ユニット13と、各光源ユニット13を互いに結合させる結合部材14とを備えている。LEDランプ1は、棒状に延びる細長いランプであり、各光源ユニット13は、LEDランプ1の棒形状の中心を通る軸線Cを周囲から囲むように配置される。軸線Cは、口金10の中心軸に略一致する。
口金10は、例えばE26タイプやE39タイプ等の一般的にE型口金と呼ばれるねじ込み式(回しこみ式)のものであり、既存のサイズに合わせて構成され、既設のソケットに螺合して装着可能になっている。口金10には、図示せぬソケットを通じて点灯電源からの直流電流が供給され、各光源ユニット13が点灯される。なお、口金10には差し込み式を用いても良い。
【0013】
図5は、光源ユニット13の一つを取り外した状態のLEDランプ1の斜視図である。
図4及び
図5に示すように、支持体12は、取付体11に連結される筒状部15と、軸線Cを周囲から囲むように筒状部15の端面に立設される複数の取付部16とを備える。支持体12は、電気絶縁性を備えた樹脂材料によって構成されている。
取付部16には、光源ユニット13の一端部13aが取り付けられる。取付部16は、光源ユニット13に対応した位置に設けられており、本実施の形態では、筒状部15の周方向に等間隔(120°間隔)で3箇所に設けられる。各取付部16は、軸線Cに重なる位置に設けられる結合部16aによって一体に結合されている。
【0014】
各取付部16の外周面16bには、取付部16の内側に連通する導入孔17が形成されている。導入孔17には、光源ユニット13のリード線(不図示)が通され、このリード線は、導入孔17から支持体12及び取付体11の内部を通り、口金10に接続される。
外周面16bにおいて導入孔17の下方には、ねじ孔部18が形成されている。光源ユニット13は、長手方向の一端部13aに固定孔部19を有しており、固定孔部19に挿通されてねじ孔部18に締結されるねじ45によって、各取付部16の外周面16bに固定される。すなわち、各光源ユニット13は、一端部13aが取付部16に支持され、軸線Cを囲うように軸線Cに沿って上方に延びており、支持体12に対しては、片持ちで支持されている。
光源ユニット13が軸線Cを囲うように配置されることで、光源ユニット13よりも内方側には、空気が流通可能な空間Rが形成されている。
【0015】
図3〜
図5に示すように、光源ユニット13の長手方向の他端部13bは、結合部材14によって互いに結合される。結合部材14は、板状の蓋体であり、空間Rの軸線C方向の端を塞ぐ。本実施の形態では、結合部材14は、空間Rの平面視における形状に合わせて略正三角形状に形成されている。結合部材14は、電気を絶縁する絶縁材により構成され、例えば、絶縁性プラスチックにより構成される。このように、結合部材14によって光源ユニット13の他端部13b同士を連結する構成とすることで、LEDランプ1の剛性を効果的に確保しながら、空間Rを大きく確保できる。
【0016】
図6は、光源ユニット13の分解斜視図である。
図7は光源ユニット13を示す図であり、(a)は光源ユニット13を裏面から見た正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は側面図である。
光源ユニット13は、LED20を光源として放射光を放射するものであり、軸線Cに沿って延びる矩形状にモジュール化して構成されている。光源ユニット13は、その幅方向よりも軸線C方向に長く形成されており、正面視では、長方形状に形成されている。
【0017】
本実施形態のLEDランプ1では、3つの光源ユニット13を備え、これらの光源ユニット13が各基体22の裏面22dを内側に向け、なおかつ、軸線Cと同一方向に延びる姿勢で、軸線Cの周囲に等間隔に環状に配列され、支持体12によって支持されている。これにより、軸線Cの全周囲に亘る範囲に光が放射されることとなる。
これら光源ユニット13は、全て同一構造、及び形状となっており、光出力が異なるLEDランプ1を構成する際には、所望の光出力に応じた数の光源ユニット13が支持体12の周囲に配列される。
また、LEDランプ1では、光源ユニット13を軸線Cの周りに配置するに際し、隣り合う光源ユニット13の間に隙間G1が設けられている。隙間G1を設けることで、外部の空気を隙間G1を介して空間Rに取り込み、光源ユニット13を冷却できる。
【0018】
光源ユニット13は、LED20が実装された実装基板21と、実装基板21が取り付けられる基体22と、実装基板21を覆うカバー30とを備える。
実装基板21は、略矩形板状のプリント配線基板であって、その表面には、複数のLED20と、上記リード線が半田付けされて充電部を構成する電極パターン21aとが設けられている。電極パターン21aは、実装基板21の端部に形成され、図示を省略したプリント配線を通じて各LED20に直列又は並列に電気的に接続されている。
LED20は、多数のLED素子を、例えば格子状に平面視略矩形の範囲内に配列し、その表面を樹脂材で薄い厚みでモールドして成るものであり、その略全面が発光する。この実装基板21には、
図6に示すように、複数(図示例では2つ)のLED20が略隙間無く軸線C方向に直列に配列されており、これらLED20によって線状の発光が得られるようになっている。
【0019】
基体22は、例えばアルミニウム等の高熱伝導性を有する金属材を成形して細長い矩形板状に構成したものであり、実装基板21をパッケージする基体、並びにLED20の発熱を受けて放熱するヒートシンクとして機能する。
さらに詳述すると、
図6に示すように、基体22は、実装基板21を内部に収容可能な大きさの薄板状(表裏が平面な板状)に形成され、その表面22cには、実装基板21を略面一に収める凹部としての実装部22fが形成されている。実装部22fは、実装基板21と密着可能なように平面状に形成されており、実装基板21から基体22への伝熱性が高められている。また、実装基板21は、シート状の電気絶縁部材等を介さずに、実装部22fに直付けされている。このため、実装基板21の熱を効率良く基体22に伝達できる。
【0020】
基体22の長手方向の一端部22aには、基体22を貫通する略矩形の導出孔23が設けられており、上記リード線は、導出孔23を通って裏面22d側に引き出される。裏面22dには、導出孔23の周縁部から立設される断面矩形状の筒部24が形成されている。また、裏面22dにおいて筒部24の両側方には、軸線C方向に延びる突起25が形成されている。固定孔部19は、筒部24よりも一端側に形成されている。さらに、一端部22aには、ねじ45により固定される固定孔部22gが設けられている。
基体22は、筒部24が導入孔17(
図5)に差し込まれるとともに、一対の突起25が取付部16の両側面部16c(
図5)に嵌まることで位置決めされ、ねじ45によって固定される。
【0021】
基体22の長手方向の他端部22bの裏面22dには、軸線Cに向かって突出する棒状の連結ステー部26が立設されている。連結ステー部26は、基体22の幅方向の中央部に設けられるとともに、基体22の他端部22b側の長手方向の端面27から結合部材14の厚さに略相当する分だけ一端部22a側に移動した位置に設けられている。連結ステー部26の先端には、ねじ孔26aが形成されており、結合部材14は、ねじ孔26aに締結される結合部材固定ねじ28によって連結ステー部26に固定される。
【0022】
基体22の裏面22dには、板状の放熱フィン29が複数立設されている。放熱フィン29は、実装基板21の熱を効率良く放熱できるように、実装部22fの裏側に形成されている。放熱フィン29は、基体22の幅方向の全体に亘って設けられるとともに、長手方向では、連結ステー部26と筒部24との間の区間に亘って設けられている。
放熱フィン29は、軸線Cに対して傾斜して配置されている。すなわち、放熱フィン29は、基体22の長手方向に対し平行ではなく、所定の角度だけ傾斜して設けられている。各放熱フィン29の傾斜角度は、同一であり、各放熱フィン29の高さ及び厚さはその全長に亘り同一である。また、各放熱フィン29は、互いに等間隔且つ平行に直線的に延びて設けられている。なお、各放熱フィン29の傾斜角度は同一でなくてもよく、全ての放熱フィン29を平行に形成しなくても構わない。また、各放熱フィンは等間隔でなくともよい。
【0023】
カバー30は、基体22の表面22c側を覆い、防水構造を構成する。カバー30は、表面22cの形状に対応して正面視で矩形状に形成されて表面22cの略全体を覆うカバー本体部31と、カバー本体部31の周縁部の全体から立設された外周面カバー部32とを備える。カバー本体部31には、LED20に対応する位置に、断面半円形状に形成されたドーム状の膨出部31aが形成されている。ここで、カバー30は、その全体が、透光性及び電気絶縁性を備えた樹脂材料によって構成されている。
外周面カバー部32は、基体22の外周部22eに沿うように形成されており、カバー30が取り付けられた状態では、外周面カバー部32の内面が、基体22の外周部22eに嵌合する。
【0024】
外周面カバー部32において軸線Cと平行に延びる一対の長手側外周部32aには、側方に突出する板状の鍔部33が形成されている。鍔部33は、外周面カバー部32の突出方向の先端に設けられるとともに、カバー30の長手方向の略全体に亘って設けられている。
カバー30と基体22との間には、防水パッキン(不図示)が介装される。カバー30は、ねじ45が挿通される座部31bをカバー本体部31に備える。カバー本体部31及び基体22は、ねじ45によって取付部16に共締めされる。
【0025】
ここで、放熱フィン29について詳細に説明する。
本実施の形態では、隣接する光源ユニット13間には、周方向に隙間G1が設けられており、隙間G1や光源ユニット13と支持体12との隙間から空間Rに流入した空気の一部は、各放熱フィン29の間の通風路35を通り、放熱フィン29を冷却する。
図2に示すように、LEDランプ1を軸線Cが鉛直となるように鉛直配置した場合、基体22の幅方向の一側が通風路35を流れる気流Wの流入口35a(
図7)となり、幅方向の他側が気流Wの排出口35bとなる。光源ユニット13によって暖められた空気は、上方へ流れるため、低い位置にある各流入口35aから、より高い位置にある各排出口35bに流れる流れが支配的となる。
【0026】
光源ユニット13は、幅方向よりも軸線C方向に長く形成されているため、各放熱フィン29を軸線Cに対して傾斜して配置することで、各放熱フィンを軸線Cと平行に配置した場合に比して、通風路35の距離が短くなっている。このため、気流を通風路35に効率良く流すことができ、光源ユニット13の熱を効率良く放熱できる。また、放熱フィン29が軸線Cに対して傾斜しているため、光源ユニット13の下部側の放熱フィン29を通る気流は、上下の中間部の排出口35bから排出され、下部側の熱が上部の放熱フィン29に影響することを抑制できる。このため、上部の放熱フィン29に熱が集中することを防止でき、効率良く光源ユニット13を冷却できる。さらに、各放熱フィンを軸線Cと平行に配置した場合には、気流の流入方向が上下方向に限定されてしまうが、放熱フィン29を傾斜させることで、上下方向及び側方からの気流を利用できる。このため、通風路35に効率良く気流を流すことができ、光源ユニット13を効率良く冷却できる。
図5に示すように、隣り合う光源ユニット13は、同一の部品であり、放熱フィン29の傾斜方向も、隣り合う光源ユニット13同士で同一である。
【0027】
図8は、放熱フィン29の角度S(傾斜角度)と光源ユニット13の温度との相関の一例を示す図表である。
図8は、LEDランプ1を鉛直配置した場合の結果であり、本発明者らが行った試験の結果を示している。ここで、
図8では、放熱フィン29の角度Sは、軸線Cに直交する基準線L(
図7)に対する角度が示されている。
図8に示すように、放熱フィン29の角度Sを0°、すなわち軸線Cに直交する角度とした場合、光源ユニット13の温度は最も高くなった。これは、通風路35に気流が流れ難いためであると考えられる。
【0028】
放熱フィン29の角度Sを15°とした場合、光源ユニット13の温度は、角度Sが0°の場合よりも低くなった。これは、通風路35に気流が流れ易くなったためであると考えられる。
放熱フィン29の角度Sを90°、すなわち軸線Cに平行な角度とした場合、光源ユニット13の温度は、角度Sを15°にした場合よりも低くなった。これは、角度Sを15°とした場合よりも通風路35に気流が流れ易いためであると考えられる。
放熱フィン29の角度Sを0°、15°及び90°とした場合における光源ユニット13の温度の値は、近似直線A1で結ぶことができ、放熱フィン29の角度Sと光源ユニット13の温度とは線形の関係にあることが分かる。
【0029】
放熱フィン29の角度Sを30°とした場合、光源ユニット13の温度は、角度を15°とした場合よりも大幅に低くなり、近似直線A1から予測される温度よりも大幅に低い。また、放熱フィン29の角度Sを30°とした場合の光源ユニット13の温度は、放熱フィン29の角度Sを90°とした場合よりも低くなっている。これは、軸線Cに対して放熱フィン29を傾けることで、通風路35に効率良く気流を流すことができる効果が得られ、この効果が、角度Sを30°とすることで顕著に発生したためであると考えられる。
【0030】
放熱フィン29の角度Sを45°とした場合、光源ユニット13の温度は、角度Sを30°とした場合よりも低く、近似直線A1から予測される温度よりも大幅に低い。
放熱フィン29の角度Sを60°とした場合、光源ユニット13の温度は、最も低くなり、近似直線A1から予測される温度よりも大幅に低い。
放熱フィン29の角度Sを75°とした場合、光源ユニット13の温度は、角度Sを45°とした場合と同等となり、近似直線A1から予測される温度よりも大幅に低い。
【0031】
放熱フィン29の角度Sを0°、30°、45°、60°、75°及び90°とした場合における光源ユニット13の温度の値は、近似曲線A2で結ぶことができる。近似曲線A2は、放熱フィン29の角度Sが60°の場合に光源ユニット13の温度が最も低くなる略2次曲線となっている。
この実験結果から、放熱フィン29の角度Sが25°から85°の範囲の場合、近似直線A1から予測される結果に対する優位な差が見られることが明らかとなった。放熱フィン29の角度Sを25°から85°の範囲とすることで、放熱フィン29によって光源ユニット13を効果的に冷却することができる。さらに、放熱フィン29の角度Sを45°から75°の範囲とすることで、光源ユニット13の温度を大きく低下させることができ、より好ましい。
【0032】
図9は、放熱フィン29の間隔と光源ユニット13の温度との相関の一例を示す図表である。
図9は、放熱フィン29の角度Sを60°とし、LEDランプを鉛直配置した場合の結果であり、本発明者らが行った試験の結果を示している。ここで、
図9では、放熱フィン29の間隔は、隣接する放熱フィン29の対向する面の間の距離である。
図9に示すように、光源ユニット13の温度は、放熱フィン29の間隔を3mmとした場合よりも12mmとした場合の方が高くなった。放熱フィン29の間隔を、3mm及び12mmとした場合における光源ユニット13の温度の値は、近似直線B1で結ぶことができる。
放熱フィン29の間隔を3mmから12mmの間で変化させた場合、3mmから間隔が大きくなるに連れて光源ユニット13の温度は低くなり、6mmで最も低くなった。また、光源ユニット13の温度は、放熱フィン29の間隔が6mmから大きくなるに連れて高くなり、12mmで最も高くなった。放熱フィン29の間隔を6mmとすることで、通風路35に効率良く気流を流すことができると考えられる。
【0033】
この実験結果から、放熱フィン29の間隔を4mmから11mmの範囲とすることで、近似直線B1から予測されるよりも、光源ユニット13の温度を低下させることができることが明らかとなった。さらに、放熱フィン29の間隔を5mmから9mmの範囲とすることで、光源ユニット13の温度を大きく低下させることができ、より好ましい。
【0034】
本実施の形態では、LEDランプ1の外側から基体22及び放熱フィン29に指が触れることがないように、感電防止構造が設けられている。以下、感電防止構造について説明する。
図6及び
図7に示すように、カバー30の外周面カバー部32は、基体22の外周部22eよりも高く形成されており、
図7(a)のように、光源ユニット13を裏面22d側から見た場合、外周部22eは外周面カバー部32よりも一段低くなっている。また、
図7(c)に示すように、側面視では、外周部22eは外周面カバー部32によって完全に覆われており、外側に露出していない。外周面カバー部32は、カバー30に一体に形成されており、絶縁材で構成されている。
外周面カバー部32は、カバー30の内方に突出する爪部34を先端部に複数有し、爪部34が基体22の外周部22eの端に引っかかることで、カバー30は基体22に固定される。
【0035】
図1〜
図3に示すように、LEDランプ1では、基体22がカバー30の外周面カバー部32によって覆われているため、作業者等が基体22に直接触れてしまうことがなく、基体22に触れることによる感電が防止される。
各光源ユニット13は、その内側に略正多角形(本実施の形態では略正三角形)の空間Rを形成するように配置されており、隙間G1は、上記略正多角形の各頂点部の位置に形成される。隙間G1は、隣接する各光源ユニット13間に形成されるLEDランプ1の周方向の隙間であり、カバー30から隙間G1に鍔部33を延ばすことで、その大きさが調整されている。
【0036】
すなわち、隙間G1は、隣接する鍔部33の先端間の隙間である。隙間G1の大きさは、人間の指を想定して形成された所定形状の試験指Tが、空間R内に所定の深さまでしか入らないように設定されている。詳細には、上記所定の深さは、空間Rに入った試験指T(
図3)が放熱フィン29に接触することがない深さである。このため、隙間G1から空気を取り込んで放熱フィン29を冷却する構成としながら、作業者等の指が空間Rに入って放熱フィン29に触れてしまうことを鍔部33によって防止することができる。
【0037】
図3〜
図5に示すように、結合部材14は、空間Rの略正多角形形状よりも一回り小さい略正多角形形状に形成された板状の蓋であり、光源ユニット13の他端部13bが区画して作る開口を塞ぐ。
結合部材14は、その略正多角形形状の各頂点部に通風孔40を備えるとともに、軸線Cに重なる中央部にも中央孔41を備える。
また、結合部材14は、結合部材固定ねじ28が挿通される座部42を、隣接する各通風孔40の間に備える。
結合部材14の表面14aは孔の部分を除き平坦である。結合部材14の裏面において各座部42に対応する位置には、空間R側に突出する受け部43がそれぞれ形成されている。
【0038】
結合部材14は、受け部43が連結ステー部26上に載置され、座部42に挿通された結合部材固定ねじ28がねじ孔26aに締結されることで各光源ユニット13に連結される。すなわち、各光源ユニット13の他端部13bは、結合部材14を介して一体に結合されるとともに、空間Rの上端は結合部材14によって塞がれる。
結合部材14の表面14aは、光源ユニット13のカバー30の上端面30a(先端面)と略面一に設けられている。このため、結合部材14を設けて光源ユニット13の剛性を向上させた構成であったとしても、LEDランプ1を小型化できる。
【0039】
結合部材14は空間Rの略正多角形形状よりも一回り小さいため、結合部材14の外周面と光源ユニット13との間には、上部隙間G2(
図10)が形成されている。このように、結合部材14側には、上部隙間G2、通風孔40及び中央孔41が設けられているため、空気が上部隙間G2、通風孔40及び中央孔41から空間Rに出入りでき、放熱フィン29によって効果的に放熱できる。
上部隙間G2は、隙間G1よりも小さく、試験指Tが上部隙間G2を通って放熱フィン29に触れることがない大きさに設定されている。このため、作業者等の指が放熱フィン29に触れることが防止される。
また、結合部材14の通風孔40及び中央孔41は、試験指Tが通風孔40及び中央孔41を通って放熱フィン29に触れることがない大きさに設定されている。このため、作業者等の指が放熱フィン29に触れることが防止される。
【0040】
図10は、LEDランプ1を上方から見た斜視図である。
図10では、一つの光源ユニット13が取り外された状態が示されている。
図10に示すように、結合部材14の略正多角形形状の頂点部と隙間G1の上端との間には、比較的大きな角部隙間G3が形成されている。角部隙間G3は、試験指Tが角部隙間G3を通って放熱フィン29に触れることがない大きさに設定されている。このため、角部隙間G3から空間Rに空気を出入りさせる構成としながら、作業者等の指が放熱フィン29に触れることを防止できる。
また、一端部13a側では、支持体12と隙間G1の下端との間に、比較的大きな角部隙間G4が形成されている。角部隙間G4は、試験指Tが角部隙間G4を通って放熱フィン29に触れることがない大きさに設定されている。このため、角部隙間G4から空間Rに空気を出入りさせる構成としながら、作業者等の指が放熱フィン29に触れることを防止できる。
【0041】
以上説明したように、本発明を適用した第1の実施の形態によれば、LEDランプ1は、LED20が実装される実装基板21を基体22の表面22cに有する複数の光源ユニット13を備え、これら複数の光源ユニット13は、各基体22の裏面22dを内側に向けるとともに互いに隙間G1を開けてLEDランプ1の軸線Cの周囲に配置され、基体22の裏面22dには、軸線Cの軸方向に対して傾斜して配置される放熱フィン29が設けられる。これにより、放熱フィン29の流路である通風路35に、LEDランプ1の軸線C方向及び軸線Cの方向とは異なる方向から気流を流すことができ、気流を放熱フィン29の通風路35に効率良く流すことができるため、LEDランプ1の熱を放熱フィン29によって効率良く放熱できる。また、光源ユニット13の下部側の放熱フィン29を通る気流が、上下の中間部の排出口35bから排出されるため、上部の放熱フィン29に熱が集中することを防止でき、効率良く光源ユニット13を冷却できる。
【0042】
また、光源ユニット13は、その幅方向よりも軸線Cの方向に長く形成され、複数のLED20が軸線Cの方向に並べて配置されている。これにより、放熱フィン29に沿う気流の通風路35の距離を短くでき、気流を放熱フィン29の通風路35に効率良く流すことができるため、LEDランプ1の熱を放熱フィン29によって効率良く放熱できる。
また、軸線Cに直交する基準線Lに対する放熱フィン29の角度Sは、25°から85°の範囲であるため、気流を放熱フィン29の通風路35に効率良く流すことができ、LEDランプ1の熱を放熱フィン29によって効率良く放熱できる。
また、放熱フィン29の間隔を4mmから11mmの範囲とすることで、効率良く放熱できる。
【0043】
また、本発明を適用した第1の実施の形態によれば、LEDランプ1は、LED20が実装される実装基板21を略平板状の金属製の基体22の表面22cに有する複数の光源ユニット13と、絶縁物からなり複数の光源ユニット13を支持する支持体12とを備え、光源ユニット13は、実装基板21と基体22の外周部22eとを覆う絶縁材からなるカバー30を備え、その一端部13aが支持体12を周囲から覆うように取り付けられるとともに、各基体22の裏面22dを内側に向けてLEDランプ1の軸線Cの周囲に配置され、LEDランプ1は、複数の光源ユニット13の他端部13bが作る開口を塞ぐ絶縁材からなる結合部材14を備えた。このため、基体22の外周部22eを覆う絶縁材からなるカバー30によって、外周部22eに指が触れてしまうことを防止できる。また、光源ユニット13の他端部13bが作る開口が絶縁材からなる結合部材14で塞がれるため、他端部13bが作る開口に指が入ることを絶縁材からなる結合部材14によって防止でき、指が放熱フィン29に接触してしまうことを防止できる。これにより、カバー等でLEDランプ1の全体を覆う必要もなくなるため、LEDランプ1の放熱性を確保でき、且つ、感電を防止できる。
【0044】
また、外周部22eを覆うカバー30及び結合部材14を設けたため、基体22の裏面22dの放熱フィン29に指が触れてしまうことを防止できる。
また、結合部材14には通風孔40が形成されているため、感電を防止しつつ、良好な放熱性を得られる。
【0045】
さらに、光源ユニット13の間の隙間G1に突出する鍔部33が設けられるため、隙間G1に指が入ることを鍔部33で防止して感電を防止できるとともに、隙間G1から放熱できる。
また、実装基板21は、基体22に直付けされているため、実装基板21から効率良く基体22に熱が伝わる。このため、放熱フィン29を介して効率良く放熱できる。実装基板21を基体22に直付けした構成であっても、上記感電防止構造によって、指が基体22に触れることが防止される。
【0046】
また、結合部材14は、他端部13bを互いに結合し、他端部13bの上端面30aに対して略面一に設けられている。このため、他端部13bを結合する結合部材14を利用して簡単な構成で感電を防止できるとともに、結合部材14が出っ張らない分だけLEDランプ1をコンパクト化できる。
【0047】
なお、上記第1の実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記第1の実施の形態に限定されるものではない。
上記第1の実施の形態では、隙間G1は、隣接する鍔部33の先端間の隙間であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、鍔部33を設けずに、外周面カバー部32の厚さを調整することで、隙間G1の大きさを設定してもよい。
また、上記第1の実施の形態では、LEDランプ1は、軸線Cが鉛直となるように鉛直配置されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、LEDランプ1を寝かして配置してもよい。例えば、軸線Cが水平方向に指向する水平配置も可能であり、この場合においても、上下方向の気流に対して放熱フィン29が傾斜するため、各光源ユニット隙間G1から空気を取り込むことができ、LED20からの熱で温められた空気は反対側の隙間G1から外部に抜けるため効率良く放熱できる。
【0048】
また、上記第1の実施の形態では、絶縁材からなるカバー30が、実装基板21と基体22の外周部22eとを覆うものとして説明したが、カバー30は一体でなくともよい。例えば、外周面カバー部32とカバー本体部31とを別体で構成し、外周面カバー部32を絶縁物としてもよい。
また、上記第1の実施の形態では、光源ユニット13は、その内側に略正三角形の空間Rを形成するように配置されているものとして説明したが、これに限らず、例えば、光源ユニット13は、内側に略正四角形の空間を形成するように配置されてもよい。この場合、上記空間の形状に合わせて、結合部材14も略正四角形に形成される。
また、上記第1の実施の形態では、各放熱フィン29は、直線的に延びて設けられているものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。各放熱フィン29は、流路を全体的に見て、流入口35aと排出口35bとの間で軸線Cに対して傾斜していれば良く、例えば、流入口35aと排出口35bとの間で湾曲していても良い。
【0049】
<第2の実施の形態>
以下、
図11を参照して、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
上記第1の実施の形態では、各放熱フィン29の高さは、その全長に亘り同一であるものとして説明したが、第2の実施の形態は、放熱フィン29の高さがその長さ方向に変化している点が、上記第1の実施の形態と異なる。
【0050】
図11は、第2の実施の形態の光源ユニット113を裏面側から見た斜視図である。
光源ユニット113は、基体122及びカバー30を備える。基体122は、放熱フィン129の形状以外は、基体22と同一である。
放熱フィン129は、その高さが、気流Wの流入口35a側から排出口35bに行くほど徐々に高くなるように形成されている。
本第2の実施の形態によれば、放熱フィン129に整流されて気流が整うことで効率良く放熱できる排出口35b側の放熱フィン129の部分を流入口35a側の部分よりも高くするため、放熱フィン129の放熱性を確保しつつ、放熱フィン129を軽量化できる。
【0051】
<第3の実施の形態>
以下、
図12を参照して、本発明を適用した第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
上記第1の実施の形態では、隣り合う光源ユニット13は、同一の部品であり、放熱フィン29の傾斜方向も、隣り合う光源ユニット13同士で同一であるものとして説明した。第3の実施の形態は、放熱フィン29の傾斜方向が、隣り合う光源ユニット13同士で異なる点が、上記第1の実施の形態と異なる。
【0052】
図12は、第3の実施の形態の光源ユニット13及び光源ユニット213を示す平面図である。ここで、
図12では、光源ユニット13及び光源ユニット213をLEDランプ1から取り外したままの向きで平面に展開した状態が示されている。
光源ユニット213は、軸線Cを基準に光源ユニット13に対して対称に形成されている。光源ユニット13及び光源ユニット213は左右対称であるため、ここでは、各部に同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
光源ユニット13及び光源ユニット213は、流入口35a同士が隣接して配置されており、排出口35bは互いに遠い位置にある。
本第3の実施の形態によれば、隣り合う光源ユニット13及び光源ユニット213の放熱フィン29は、軸線Cを基準に略対称に形成されているため、隣り合う一方の光源ユニット13の放熱フィン29の排出口35bから排出される温められた気流Wが、他方の光源ユニット213の放熱フィン29の流入口35aに流れることを防止できる。このため、隣接する光源ユニットからの熱の影響を受けにくく放熱フィン29によって効率良く放熱できる。