特許第6244818号(P6244818)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6244818
(24)【登録日】2017年11月24日
(45)【発行日】2017年12月13日
(54)【発明の名称】燃料ポンプモジュール
(51)【国際特許分類】
   F02M 37/18 20060101AFI20171204BHJP
   F02M 37/04 20060101ALI20171204BHJP
   F02M 37/10 20060101ALI20171204BHJP
【FI】
   F02M37/18 A
   F02M37/04 B
   F02M37/10 H
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-224101(P2013-224101)
(22)【出願日】2013年10月29日
(65)【公開番号】特開2015-86742(P2015-86742A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】大橋 正治
(72)【発明者】
【氏名】岡薗 哲郎
【審査官】 堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−147043(JP,A)
【文献】 特開平11−166460(JP,A)
【文献】 実開昭62−090996(JP,U)
【文献】 特開2007−247581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/00−37/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク(2)の燃料を内燃機関に供給する燃料ポンプモジュール(1)であって、
前記燃料タンク内に設けられるサブタンク(10)と、
前記サブタンクに収容され、前記サブタンク内の燃料を加圧し吐出する燃料ポンプ(20)と、
前記燃料ポンプが吐出する燃料に含まれる異物を除去する燃料フィルタ(30)と、
前記サブタンクとは別体に形成され、前記燃料ポンプが吐出する燃料の一部が流れる導入孔(66)を有する前記サブタンクの外壁(121)に接続されている状態で前記導入孔から導入される燃料が旋回する旋回室(600)を形成し、前記旋回室に連通するよう形成される噴射孔(65)から噴射される燃料によって前記燃料タンク内の燃料を前記サブタンク内に導入するジェットポンプ形成部材(61)と、
を備え
前記ジェットポンプ形成部材は、前記旋回室の一部となる内部空間(622)を有する有底筒部(62)、及び、前記有底筒部と一体に形成され前記サブタンクの外壁が有する溝(122)に圧入固定可能な接続部(64)を有し、
前記内部空間の前記導入孔側の開口(621)を形成する端部(624)を前記溝を形成する内壁(123)に当接させた状態で前記旋回室を形成することを特徴とする燃料ポンプモジュール。
【請求項2】
前記旋回室は、前記旋回室における燃料の旋回流の回転中心(φ)に対して垂直な断面形状が角丸長方形状となるよう形成されることを特徴とする請求項1に記載の燃料ポンプモジュール。
【請求項3】
前記噴射孔は、前記旋回室における燃料の旋回流の回転中心から視て前記ジェットポンプ形成部材の前記サブタンクの外壁に接続する側とは反対側に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料ポンプモジュール。
【請求項4】
記接続部は、径方向に突出する突起(642)が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の燃料ポンプモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ポンプモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料タンク内の燃料をサブタンク内に導入し、サブタンクが収容する燃料ポンプによって内燃機関に燃料を吐出する燃料ポンプモジュールが知られている。特許文献1には、燃料ポンプが吐出する燃料の一部を利用して燃料タンク内の燃料をサブタンク内に導入するジェットポンプを備える燃料ポンプモジュールが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−247581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の燃料ポンプモジュールでは、ジェットポンプは、燃料の旋回流を形成する円柱状の旋回室を有している。旋回室は、旋回室の径方向から旋回室に燃料を導入する導入孔と、旋回室の中心軸方向へ旋回室の燃料を噴射する噴射孔とに連通している。旋回室を有するジェットポンプを備える燃料ポンプモジュールでは、旋回流となっている燃料を噴射孔から噴射すると燃料が適度に拡散し、サブタンクから燃料タンクへの燃料の逆流を防止する。特許文献1に記載の燃料ポンプモジュールが備えるジェットポンプは、底部に噴射孔及び筒部に導入孔を有する有底筒状の第1樹脂部材と、第1樹脂部材に形成されている底部とは反対側の開口を塞ぐ第2樹脂部材とから形成されており、構成が複雑である。また、これらの樹脂部材を接続した後サブタンクの外壁に固定するため、製造に必要な工数が多くなる。
【0005】
本発明の目的は、簡素な構成によりサブタンクから燃料タンクへの燃料の逆流を防止する燃料ポンプモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、燃料タンク(2)の燃料を内燃機関に供給する燃料ポンプモジュール(1)であって、燃料タンク内に設けられるサブタンク(10)と、サブタンクに収容されサブタンク内の燃料を加圧し吐出する燃料ポンプ(20)と、燃料ポンプが吐出する燃料に含まれる異物を除去する燃料フィルタ(30)、ジェットポンプ形成部材(61)と、を備える。ジェットポンプ形成部材は、サブタンクとは別体に形成され燃料ポンプが吐出する燃料の一部が流れる導入孔(66)を有するサブタンクの外壁(121)に接続されている状態で導入孔から導入される燃料が旋回する旋回室(600)を形成し旋回室に連通するよう形成される噴射孔(65)から噴射される燃料によって燃料タンク内の燃料をサブタンク内に導入する。また、ジェットポンプ形成部材は、旋回室の一部となる内部空間(622)を有する有底筒部(62)、及び、有底筒部と一体に形成されサブタンクの外壁が有する溝(122)に圧入固定可能な接続部(64)を有する。本発明の燃料ポンプモジュールでは、内部空間の導入孔側の開口(621)を形成する端部(624)を溝を形成する内壁(123)に当接させた状態で旋回室を形成する。
【0007】
本発明の燃料ポンプモジュールでは、ジェットポンプが有する旋回室は、サブタンクの外壁とジェットポンプ形成部材とから形成される。ジェットポンプ形成部材が接続するサブタンクの外壁には燃料ポンプが吐出する燃料の一部が流れる導入孔が形成されている。ジェットポンプ形成部材をサブタンクの外壁に接続すると、旋回室と導入孔とが連通する。また、ジェットポンプ形成部材は、旋回室に連通し旋回室を旋回する燃料を噴射する噴射孔を有している。これにより、本発明の燃料ポンプモジュールは、一つの部材から形成される旋回室を有するジェットポンプを備えることができる。したがって、本発明の燃料ポンプモジュールは、簡素な構成のジェットポンプによりサブタンクから燃料タンクへの燃料の逆流を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態による燃料ポンプモジュールの断面図である。
図2図1の矢視IIの拡大図である。
図3図2のIII−III線断面図である。
図4】本発明の一実施形態による燃料ポンプモジュールの底面図である。
図5図2のV−V線断面図である。
図6図2のVI−VI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
【0010】
(一実施形態)
本発明の一実施形態による燃料ポンプモジュールを図1に示す。
燃料ポンプモジュール1は、燃料タンク2に設けられている。燃料ポンプモジュール1は、燃料タンク2内の燃料を図示しない内燃機関に供給する。燃料ポンプモジュール1は、サブタンク10、サクションフィルタ15、燃料ポンプ20、燃料フィルタ30、燃料供給管35、プレッシャレギュレータ40、蓋部材50、ジェットポンプ60などから構成されている。なお、図1、2において、紙面の上側を「天」側、紙面の下側を「地」側とする。また、図2、3において、矢印F2、F3は、燃料の流れを示す。
【0011】
サブタンク10は、有底筒状に形成されている樹脂部材である。サブタンク10は、燃料タンク2内に設置されている。サブタンク10は、サクションフィルタ15、燃料ポンプ20、燃料フィルタ30、プレッシャレギュレータ40などを収容している。また、サブタンク10の地側の外壁にはジェットポンプ60が設けられている。ジェットポンプ60が設けられるサブタンク10の外壁の詳細な形状は後述する。
【0012】
サクションフィルタ15は、サブタンク10内の地側に設けられる。サクションフィルタ15は、袋状のエレメントを有している。サクションフィルタ15は、燃料ポンプ20が吸引するサブタンク10内の燃料に含まれる異物を除去する。
【0013】
燃料ポンプ20は、例えば、ブラシレスモータによりインペラを回転させる電動式のポンプである。燃料ポンプ20は、地側においてサクションフィルタ15と接続し、天側において燃料フィルタ30に接続している。燃料ポンプ20は、サクションフィルタ15を通った燃料を加圧し吐出する。吐出された燃料は、燃料フィルタ30に導入される。
【0014】
燃料フィルタ30は、フィルタケース31、及び、図示しないフィルタエレメントとから構成される。フィルタケース31はフィルタエレメントを収容している。燃料フィルタ30は、フィルタエレメントを用いて燃料ポンプ20が吐出する燃料に含まれる異物を除去する。また、フィルタケース31の地側には、プレッシャレギュレータ40を支持するホルダ41が形成されている。
【0015】
プレッシャレギュレータ40は、燃料フィルタ30を通った燃料の圧力を調整する。プレッシャレギュレータ40によって圧力を調整された燃料は、可撓性を有する燃料供給管35を通って蓋部材50に送られる。
【0016】
蓋部材50は、略円板状に形成されている樹脂部材である。蓋部材50は、燃料タンク2の開口3を塞ぐよう設けられている。蓋部材50には、燃料吐出管51および電気コネクタ52が設けられている。燃料吐出管51は、燃料供給管35と接続し、燃料ポンプ20が昇圧した燃料を内燃機関に供給する。電気コネクタ52は、電気配線53により燃料ポンプ20および図示しない燃料計と電気的に接続されている。電気コネクタ52は、燃料ポンプ20に供給される電力を外部から受電するほか、燃料計が検出した燃料タンク2の燃料の残量に応じた電気信号を外部に出力する。
【0017】
蓋部材50とサブタンク10とは、複数のスプリング54及びスプリング54の内部に挿通されている複数のシャフト55により連結されている。スプリング54は、一端を蓋部材50に接続し、他端をサブタンク10に接続している。スプリング54は、蓋部材50とサブタンク10とを離す方向に付勢する。シャフト55は、一端が蓋部材50に接続し、他端が蓋部材50とサブタンク10との距離を変更可能なようサブタンク10に連結している。これにより、サブタンク10は、蓋部材50に対してシャフト55が形成されている方向に移動可能となっている。燃料タンク2内において、サブタンク10の底部11は、スプリング54の付勢力によって燃料タンク2の地側の壁面4に当接している。
【0018】
ジェットポンプ60は、図4に示すように、サブタンク10の底部11に形成されている凹み12に設けられている。ジェットポンプ60は、燃料ポンプ20が吐出する燃料の一部が流れる導入孔66、導入孔66を流れる燃料が旋回する旋回室600、及び、旋回室600の燃料が流れる噴射孔65を有している。ジェットポンプ60は、旋回室600において旋回流となっている燃料をサブタンク10の底部11に設けられているスロートパイプ13の開口131に向けて噴射する。ジェットポンプ60は、ジェットポンプ形成部材61及びサブタンク10の凹み12を形成する外壁121から形成されている。
【0019】
ジェットポンプ形成部材61は、略有底筒状に形成される樹脂部材である。ジェットポンプ形成部材61は、サブタンク10の外壁121に固定される。ジェットポンプ形成部材61は、有底筒部62、及び、接続部64などから構成され、これらが一体となって形成されている。
【0020】
有底筒部62は、略有底筒状に形成されている。有底筒部62は、底壁623が曲面状に形成されている内部空間622を有している。内部空間622は、ジェットポンプ形成部材61がサブタンク10の外壁121に接続すると、サブタンク10の外壁121に凹状に形成される内部空間125と組み合わされ、一つの空間を形成する。この空間は、図3に示すように、当該一つの空間を流れる燃料の流れを示す矢印F3の回転中心φに対して垂直な断面形状が、二つの等しい長さの平行線と当該平行線の両端にそれぞれ接続する二つの半円形とから形成される角丸長方形状となる旋回室600を形成する。このとき、内部空間622は、有底筒部62の矢印F3の回転中心φに対して垂直な断面形状が、二つの等しい長さの平行線と当該平行線の同じ側にある一端に接続する一つの半円形とからなる略U字状となっている。また、内部空間622の開口621は、略矩形状に形成されており、内部空間622の天地方向に垂直な断面形状は略矩形状となっている。
【0021】
また、有底筒部62は、ジェットポンプ形成部材61が外壁121に組み付けられるとスロートパイプ13の方向に位置し内径が比較的小さい孔を有している。当該孔は、スロートパイプ13の開口131に向かって旋回室600の燃料を噴射する噴射孔65となる。噴射孔65は、有底筒部62において矢印F3の回転中心φから視て地側に形成されている。
【0022】
接続部64は、有底筒部62の開口621を形成する端部624の外側に略筒状に設けられている。接続部64は、その内径が有底筒部62の端部624の外径より大きくなるよう形成されている。接続部64の有底筒部62と接続する側の端部641は、有底筒部62の端部624と接続している。接続部64の有底筒部62側とは反対側の端部642は、ジェットポンプ形成部材61がサブタンク10に組み付けられるとき、サブタンク10の外壁121に形成されている環状の溝122に圧入固定される。端部642には、図6に示すように、径内方向に突出する突起643が形成されている。突起643は、溝122を形成する径方向内側の内壁123に係合する。
【0023】
ジェットポンプ形成部材61が接続する外壁121の内部側、すなわち、サブタンク10の内部側には、燃料ポンプ20が吐出する燃料の一部が流れる燃料通路14が設けられている。燃料通路14を形成する燃料通路形成部材141は、外壁121の内部側において外壁121に形成されている凹部124にシール部材142を介して嵌合している。燃料通路14は、外壁121の内部側に形成されている燃料通路126と連通している。
【0024】
ジェットポンプ形成部材61が接続する外壁121の外部側、すなわち、サブタンク10の外部側には、溝122の径内方向に凹状の内部空間125が形成されている。内部空間125の底壁127は曲面状に形成されている。内部空間125は、矢印F3の回転中心φに対して垂直な断面形状が、図3に示すように、半円形状となっている。
【0025】
内部空間125を形成するサブタンク10の外壁121には、燃料通路126と内部空間125とを連通する孔が形成されている。当該孔は、燃料通路14、126を流れる燃料を内部空間125、すなわち、旋回室600に導入する導入孔66となる。導入孔66は、ジェットポンプ形成部材61が外壁121に組み付けられたとき、噴射孔65が設けられる位置から離れた位置であって、図5に示すように、燃料の旋回流の回転中心φに対してずれた位置に設けられる。これにより、導入孔66から導入された燃料は、旋回室600の内壁に沿って流れ、燃料の旋回流が形成される。
【0026】
次に、燃料ポンプモジュール1の作用について説明する。
電気コネクタ52を介して燃料ポンプ20に電力が供給されると、燃料ポンプ20がサブタンク10内の燃料がサクションフィルタ15を介して燃料ポンプ20の内部に吸引する。燃料ポンプ20の内部に吸引された燃料は加圧され、燃料フィルタ30に吐出する。吐出される燃料は燃料フィルタ30を通ることで異物が除去され、プレッシャレギュレータ40、燃料供給管35及び燃料吐出管51を介して内燃機関に送られる。また、燃料ポンプ20で加圧された燃料の一部は、燃料通路14、126、導入孔66を通ってジェットポンプ60の旋回室600に導入される。
【0027】
導入孔66から旋回室600に導入される燃料は、図3の矢印F3に示すように、旋回室600を形成する内壁に沿って流れ旋回流を形成する。旋回流となった燃料は、噴射孔65からスロートパイプ13の開口131に向かって噴射される。このとき、旋回流となっている燃料は、図2の矢印F2に示すように拡散する。これにより、スロートパイプ13から燃料タンク2への燃料の逆流を防止しつつジェットポンプ60近傍の燃料をサブタンク10内に導入する。サブタンク10内に導入された燃料は、サクションフィルタ15を介して燃料ポンプ20に吸引される。
【0028】
第1実施形態による燃料ポンプモジュール1では、旋回室600を有するジェットポンプ60は、有底筒状のジェットポンプ形成部材61とサブタンク10の外壁121とにより形成される。二つの異なる方向に向かって形成される導入孔66及び噴射孔65と連通する旋回室600は、導入孔66を有する外壁121が形成する内部空間125と噴射孔65を有するジェットポンプ形成部材61が形成する内部空間622との組み合わせにより形成される。これにより、一つの部材によって旋回室600を有するジェットポンプ60を形成することができる。したがって、簡素な構成のジェットポンプ60によってサブタンク10から燃料タンク2への燃料の逆流を防止することができる。
【0029】
また、特許文献1に記載の燃料ポンプモジュールでは、ジェットポンプは、底部に噴射孔及び筒部に導入孔を有する有底筒状の第1樹脂部材と、第1樹脂部材に形成されている底部とは反対側に形成されている開口を塞ぐ第2樹脂部材とから形成されている。第1樹脂部材及び第2樹脂部材は、いずれも熱可塑性樹脂であり、超音波溶着により接続された第1樹脂部材と第2樹脂部材とをサブタンクの外壁に超音波溶着により接続することでジェットポンプを形成する。しかしながら、超音波溶着の条件によっては、第1樹脂部材をサブタンクに接続するとき第1樹脂部材に割れが発生したり、使用中に旋回室に導入される燃料の圧力によって第2樹脂部材が第1樹脂部材から脱落したりするおそれがある。また、これらの不具合が発生しないよう超音波溶着の条件を厳しく管理する必要がある。
一方、第1実施形態による燃料ポンプモジュール1では、ジェットポンプ形成部材61は、サブタンク10の外壁121に形成されている溝122に圧入固定されている。これにより、比較的簡単な製造条件によって旋回室600を有するジェットポンプ60を形成することができる。したがって、燃料ポンプモジュール1の製造コストを低減することができる。
【0030】
燃料ポンプモジュール1では、旋回室600は、矢印F3の回転中心φに対して垂直な断面形状が、二つの等しい長さの平行線と当該平行線の両端にそれぞれ接続する二つの半円形とからなる角丸長方形状となるよう形成されている。このとき、旋回室600の一部となる内部空間622は、矢印F3の回転中心φに対して垂直な断面形状が二つの等しい長さの平行線と当該二つの平行線の同じ側の一端に接続する一つの半円形とから形成される略U字状となるようジェットポンプ形成部材61に形成される。一方、旋回室600の他の一部となる内部空間125は、矢印F3の回転中心φに対して垂直な断面形状が半円状となるよう外壁121に形成される。これにより、燃料ポンプモジュール1の製造段階において、ジェットポンプ形成部材61及び外壁121の加工が比較的容易になる。したがって、燃料ポンプモジュール1の製造コストをさらに低減することができる。
【0031】
また、旋回室600の燃料を噴射する噴射孔65は、有底筒部62において矢印F3の回転中心φから視て地側に形成されている。これにより、サブタンク10の外壁121に噴射孔65を形成する場合に比べ加工が容易となる。したがって、燃料ポンプモジュール1の製造コストをさらに低減することができる。
【0032】
サブタンク10の溝122に圧入固定されるジェットポンプ形成部材61の接続部64には、径内方向に突出する突起643が形成されている。突起643は溝122を形成する内壁123に係合する。これにより、ジェットポンプ形成部材61がサブタンク10に対して回転することを防止し、噴射孔65がスロートパイプ13の開口131に向かうよう固定される。したがって、ジェットポンプ60が噴射する燃料が確実に開口131に向かうため、燃料タンク2内の燃料をサブタンク10内に確実に導入することができる。
【0033】
(その他の実施形態)
(ア)上述の実施形態では、ジェットポンプ形成部材は、サブタンクの外壁に圧入固定されるとした。しかしながら、ジェットポンプ形成部材がサブタンクの外壁に接続される方法はこれに限定されない。
【0034】
(イ)上述の実施形態では、旋回室の旋回流の中心軸に対して垂直な断面形状は、角丸長方形状となるよう形成されているとした。しかしながら、旋回室の断面形状はこれに限定されない。矩形状であってもよいし、円形状や楕円形状のように一部の内壁が曲面状であってもよい。旋回室を形成する一部の内壁が曲面状である場合、旋回室の内壁に沿って燃料が滞留することなく流れることができる。
【0035】
(ウ)上述の実施形態では、噴射孔は、有底筒部の比較的地側に形成されるとした。しかしながら、噴射孔が形成される位置はこれに限定されない。スロートパイプの開口に向かうよう設けられればよい。
【0036】
(エ)上述の実施形態では、接続部に回転防止用の突起が設けられるとした。しかしながら、突起は設けられなくてもよい。接続部が環状以外の形状をなしており、サブタンクの外壁の溝に圧入固定されると回転不能となるように設けられてもよい。
【0037】
(オ)上述の実施形態では、接続部の突起は径内方向に突出するよう形成されるとした。しかしながら、接続部の突起は、径外方向に突出するよう形成されてもよい。
【0038】
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 ・・・燃料ポンプモジュール、
2 ・・・燃料タンク、
10 ・・・サブタンク、
121 ・・・外壁、
20 ・・・燃料ポンプ、
30 ・・・燃料フィルタ、
600 ・・・旋回室、
62 ・・・ジェットポンプ形成部材、
65 ・・・噴射孔、
66 ・・・導入孔。
図1
図2
図3
図4
図5
図6