(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
絶縁性の壁面で内部領域を形成する第1のハウジング部、及び前記内部領域の壁面から前記第1のハウジング部の外部に向かって延びた導電性の部材である第1のコンタクトを有する第1のコネクタと、
前記第1のハウジング部の内部領域に少なくとも一部が配置される絶縁性の壁面からなる第2のハウジング部、及び前記第2のハウジング部の壁面から前記第2のハウジング部の外部に向かって延びた導電性の部材である第2のコンタクトを有する第2のコネクタと、を備え、
前記第1のハウジング部と前記第2のハウジング部とを嵌合させることで、前記第1のコンタクトと前記第2のコンタクトとが電気的に接続される電気コネクタであって、
一方のハウジング部の外壁面から前記一方のハウジング部の外部に向かって突出した突出部材と、
他方のハウジング部の外壁面から前記他方のハウジング部の外部に向かって突出した一対の部材で構成され、前記一対の部材同士で前記突出部材を挟むことで、前記一方のハウジング部と前記他方のハウジング部とを嵌合させる際、前記一方のハウジング部が前記他方のハウジング部に対して前記一対の部材の対向方向に移動することを制限する制限部材と、
を備え、
前記突出部材は、前記制限部材の一対の部材に挟まれたときに前記一対の部材に対向する位置に、係止部材を備え、
前記制限部材は、前記一対の部材で前記突出部材を挟んだときに前記突出部材に対向する位置に、前記係止部材と係止可能に構成された被係止部材を備え、
前記係止部材と前記被係止部材とは、前記一方のハウジング部と前記他方のハウジング部とが嵌合されると、互いに噛みあうことで係止状態になる、
電気コネクタ。
前記当接部材は、前記制限部材の一対の部材の対向方向に対して軸が平行になるように配置された、前記主部材を挟んだ一対の突起状の部材であり、前記規制部材と当接する部分の形状が前記規制部材の外形に適合する、
請求項2に記載の電気コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている電気コネクタでは、フックの引っ掛かりだけでは、コネクタの短手方向の位置を定めることができない。
【0007】
このため、作業者は、コネクタの短手方向の位置を調整してから、コネクタ同士を嵌合させる必要があり、作業が面倒で煩雑であり、その結果、組み立て効率も低いものとなってしまう。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、容易に組み立て可能な電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明に係る電気コネクタは、
絶縁性の壁面で内部領域を形成する第1のハウジング部、及び前記内部領域の壁面から前記第1のハウジング部の外部に向かって延びた導電性の部材である第1のコンタクトを有する第1のコネクタと、
前記第1のハウジング部の内部領域に少なくとも一部が配置される絶縁性の壁面からなる第2のハウジング部、及び前記第2のハウジング部の壁面から前記第2のハウジング部の外部に向かって延びた導電性の部材である第2のコンタクトを有する第2のコネクタと、を備え、
前記第1のハウジング部と前記第2のハウジング部とを嵌合させることで、前記第1のコンタクトと前記第2のコンタクトとが電気的に接続される電気コネクタであって、
一方のハウジング部の外壁面から前記一方のハウジング部の外部に向かって突出した突出部材と、
他方のハウジング部の外壁面から前記他方のハウジング部の外部に向かって突出した一対の部材で構成され、前記一対の部材同士で前記突出部材を挟むことで、前記一方のハウジング部と前記他方のハウジング部とを嵌合させる際、前記一方のハウジング部が前記他方のハウジング部に対して前記一対の部材の対向方向に移動することを制限する制限部材と、
を備え
、
前記突出部材は、前記制限部材の一対の部材に挟まれたときに前記一対の部材に対向する位置に、係止部材を備え、
前記制限部材は、前記一対の部材で前記突出部材を挟んだときに前記突出部材に対向する位置に、前記係止部材と係止可能に構成された被係止部材を備え、
前記係止部材と前記被係止部材とは、前記一方のハウジング部と前記他方のハウジング部とが嵌合されると、互いに噛みあうことで係止状態になる。
【0010】
また、前記突出部材は、
前記一方のハウジング部と前記他方のハウジング部とを嵌合させる際に、前記制限部材に挟まれる主部材と、
前記主部材に連接される、前記制限部材の一対の部材同士の間隔よりも長い部分を有する部材であり、前記主部材が前記一対の部材に挟まれたときに、前記制限部材に当接する当接部材と、を備え、
前記制限部材は、前記当接部材に当接することで、前記当接部材が前記突出部材の突出方向に移動することを規制する規制部材を備える、
ものでもよい。
【0011】
また、前記当接部材は、前記制限部材の一対の部材の対向方向に対して軸が平行になるように配置された、前記主部材を挟んだ一対の突起状の部材であり、前記規制部材と当接する部分の形状が前記規制部材の外形に適合する、
ものでもよい。
【0013】
また、前記突出部材は、
弾性変形が可能な部材で構成されており、
前記一方のハウジング部と前記他方のハウジング部とが嵌合している場合に、前記制限部材の一対の部材による挟み込みを解除する力が加えられると、弾性変形して、前記係止部材と前記被係止部材との係止状態を解除する、
ものでもよい。
【発明の効果】
【0014】
制限部材は、一対の部材同士で突出部材を挟むことで、第1のハウジング部と第2のハウジング部とを嵌合させる際、一方のハウジング部が他方のハウジング部に対して一対の部材の対向方向に移動することを制限する。よって、本発明によれば、容易に組み立て可能である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る電気コネクタ10を、図面を参照して説明する。なお、各図において、電気コネクタ10の短手方向をx軸方向、長手方向をy軸方向、厚さ方向をz軸方向とする直交座標系を設定し、適宜参照する。
【0017】
図1、
図2に示すように、電気コネクタ10は、リセプタクルコネクタ20と、リセプタクルコネクタ20に嵌合されるプラグコネクタ30とを備える。電気コネクタ10は、プラグコネクタ30を、リセプタクルコネクタ20の内部領域に収容する。
【0018】
リセプタクルコネクタ20は、
図3、
図4に示すように、略矩形状のリセプタクル用ハウジング部21を有する。リセプタクル用ハウジング部21は、樹脂等の絶縁体から構成され、プラグコネクタ30の少なくとも一部を収容するための凹状の内部領域SPを備える。
【0019】
リセプタクル用ハウジング部21には、y軸方向に所定のピッチで複数のリセプタクル用コンタクト22が配列されている。各リセプタクル用コンタクト22は、金属等の導電性材料から形成され、
図2に示すA−A線での断面図である
図7に示すように、一端部22aが内部領域SPの壁面21c(
図3参照)から露出し、他端部22bがリセプタクル用ハウジング部21の天面21bの端部から外部に向かって延在する構成を有する。
【0020】
リセプタクル用コンタクト22の一端部22aは、リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30とが嵌合した状態で、プラグコネクタ30の後述するプラグ用コンタクト32に接触する。一方、リセプタクル用コンタクト22の他端部22bは、例えば、柔軟性が低い剛性の回路基板等の電極端子にハンダ付けされる。
【0021】
また、リセプタクルコネクタ20は、
図3、
図4に示すように、例えば金属製の平板が折り曲げられて形成された基板接続部25を備えている。基板接続部25は、リセプタクル用ハウジング部21の長手方向(y軸方向)に位置する2つの端部のうち、一方の端部に固着されている。基板接続部25は、内部領域SPの壁面21cから、リセプタクル用ハウジング部21の天面21b及び外壁面21aに沿い、外部に向かって延在している。外部に向かって延在している部分は、例えば、柔軟性が低い回路基板等の表面上の金属面にハンダ付けされ、回路基板等とリセプタクルコネクタ20との接続を強固なものとする。
【0022】
基板接続部25は、
図3の平面図に示すように、突起26を備えている。突起26は、リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30とが嵌合されると、プラグコネクタ30に設けられている後述する穴部37に収容され、穴部37と係合する。
【0023】
また、リセプタクルコネクタ20は、
図1,3,4に示すように、リセプタクル用ハウジング部21の長手方向(y軸方向)に位置する2つの端部のうち、他方の端部に配置された制限部材23を備えている。制限部材23は、リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30とを嵌合させる際及び嵌合を解除する際に、プラグコネクタ30の位置ずれを規制すると共に、プラグコネクタ30の回動動作の支点となる部材として機能する。
【0024】
制限部材23は、
図1、
図3に示すように、リセプタクル用ハウジング部21の長手方向(y軸方向)に位置する2つの端部のうち、他方の端部の外壁面21aの中央部に、所定の間隔Lを置いて配置されている一対の部材である。
【0025】
制限部材23は、リセプタクル用ハウジング部21と樹脂等で一体成形されている。また、制限部材23は、側面視でJ字状を成し、基端部23aと、基端部23aに連接されている先端部23bとを備えている。基端部23aと先端部23bとの接続部分には、曲面状の窪み23cが形成されている。なお、先端部23bは、特許請求の範囲に記載の規制部材に対応する。
【0026】
基端部23aは、
図3に示すように、x軸方向に略一定の厚さを有する。また、基端部23aは、
図4に示すように、側面視において、基端が広く、先端に向かって−z方向に傾斜する上面とy軸に略平行な下面とを有する。基端部23aは、全体として略台形形状を有する。
【0027】
先端部23bは、基端部23aに連接され、z方向に延在する。基端部23aと先端部23bとは滑らかな曲面状の窪み23cを形成する。
【0028】
先端部23bは、
図1、
図3に示すように、プラグコネクタ30の後述する係止部材35と係止可能に構成された、被係止部材24を備えている。被係止部材24は、一対の先端部23bの対向方向に突出した突起状の部材である。また、被係止部材24は、一対の先端部23bの対向面に設けられている。具体的には、被係止部材24は、プラグコネクタ30の後述する突出部材34を一対の先端部23bで挟んだときに突出部材34に対向する位置に設けられている。
【0029】
一方、プラグコネクタ30は、
図5に示すように、直方体状のプラグ用ハウジング部31と平板状の天板33とを備え、絶縁性の部材(例えば、プラスチック等)により一体成形されている。
【0030】
プラグ用ハウジング部31は、樹脂等の絶縁体から構成されている。プラグ用ハウジング部31は、リセプタクル用ハウジング部21の内部領域SP内に一部が収容可能な形状とサイズを有する。
【0031】
また、天板33は、プラグ用ハウジング部31の一主面に配置され、プラグ用ハウジング部31から張り出すように形成されている。
【0032】
また、プラグ用ハウジング部31には、y軸方向に所定のピッチで、複数のプラグ用コンタクト32が配列されている。各プラグ用コンタクト32は、金属等の導電性材料から形成され、
図7に断面で示すように、一端部32aがプラグ用ハウジング部31の側壁面31aに露出し、他端部32bが天板33を貫通して外部に向かって延在する構成を有する。
【0033】
各プラグ用コンタクト32の一端部32aは、リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30とが嵌合した状態で、リセプタクルコネクタ用コンタクト22の一端部22aに接触する。一方、各プラグ用コンタクト32の他端部32bは、例えば、柔軟性が高いフレキシブル回路基板等の電極端子にハンダ付けされる。
【0034】
また、プラグコネクタ30は、
図5に示すように、例えば金属製の平板が折り曲げられて形成された基板接続板38を備える。基板接続板38は、プラグ用ハウジング部31の長手方向(y軸方向)に位置する2つの端部うち、一方の端部に固着されている。基板接続板38は、例えば、フレキシブル基板等の表面上の金属面にハンダ付けされ、フレキシブル基板等とプラグコネクタ30との接続を強固なものとする。
【0035】
基板接続板38には、基板接続部25に設けられている突起26を収める穴部37が設けられている。基板接続板38に設けられた穴部37に突起26が収容される瞬間、突起26と穴部37とは、クリック感を、作業者(電気コネクタ10の組立者)に与える。
【0036】
プラグコネクタ30は、
図1,5,6に示すように、プラグ用ハウジング部31の長手方向(y軸方向)に位置する2つの端部のうち、他方の端部の外壁面31aからy軸方向に延在する突出部材34を備える。
【0037】
突出部材34は、プラグ用ハウジング部31及び天板33と一体成形されている。
【0038】
突出部材34は、直方体状の直方体部材34aと、弾性部材で構成された曲面部材34bと、支軸34cと、から構成される。直方体部材34aと曲面部材34bとは、特許請求の範囲に記載の主部材に対応する。また、支軸34cは、特許請求の範囲に記載の当接部材に対応する。
【0039】
直方体部材34aは、プラグ用ハウジング部31の長手方向(y軸方向)に位置する端部のうち、他方の端部の外壁面31aに連接されている。曲面部材34bは、直方体部材34aの先端の下部に連接されており、その先端に、操作を容易にするための、突起状の爪部36が形成されている。
【0040】
直方体部材34aと曲面部材34bとの間には空間が設けられている。直方体部材34aと曲面部材34bとは、リセプタクルコネクタ20の制限部材23の間隔Lに等しいか僅かに小さいx軸方向の幅を有し、
図1に示すように、制限部材23の間に収容可能である。
【0041】
支軸34cは、直方体部材34aの先端の一方の側面からx方向に突出し、直方体部材34aの先端の他方の側面から−x方向に突出した突起状の部材である。言い換えれば、支軸34cは、直方体部材34aに連接され、直方体部材34aと曲面部材34bとをx軸方向に挟んだ一対の部材である。
【0042】
支軸34cの周面の曲率は、リセプタクルコネクタ20の基端部23aと先端部23bとの連接部分(窪み23cの最も深い部分)の曲率と略等しい。つまり、支軸34cは、基端部23a及び先端部23bに当接する部分の形状が、基端部23a及び先端部23bの外形に適合している。なお、窪み23cの表面には、鏡面化処理を施す、潤滑剤を塗布する等の低摩擦化処理が施されている。
【0043】
曲面部材34bの両側面には、
図8に示すように、リセプタクルコネクタ20の被係止部材24と係止可能に構成された係止部材35が設けられている。係止部材35は、直方体部材34aと曲面部材34bとが一対の先端部23bに挟まれたときに、その先端部23bに対向する位置に設けられている。
【0044】
係止部材35は、曲面部材34bの両側面に形成された凹部(切り欠き部)から構成される。係止部材35と、リセプタクルコネクタ20に設けられている被係止部材24とは、互いに噛み合った際に、噛み合い音を、あるいは嵌合を完了したことを示すクリック感を、作業者に与えることができる。
【0045】
上述した構成を有するリセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30とを嵌合させる手順、即ち、電気コネクタ10の組立手順を説明する。
【0046】
まず、作業者は、
図8に示すように、例えばフレキシブル基板Kbに実装されたプラグコネクタ30を、例えば回路基板Kaに実装されたリセプタクルコネクタ20に正対させる。
【0047】
次に、作業者は、
図9に示すように、制限部材23の間に、直方体部材34aと曲面部材34bとを挿入し(直方体部材34aと曲面部材34bとを制限部材23で挟み)、さらに、支軸34cを制限部材23の窪み23cに押し当てる。
【0048】
ここで、制限部材23のx軸方向の間隔Lが、突出部材34を構成する直方体部材34a及び曲面部材34bのx軸方向の幅と等しいか僅かに大きい。このため、制限部材23と突出部材34とは、一方のハウジング部が他方のハウジング部に対して制限部材23の対向方向(x軸方向)に移動することを制限する。よって、リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30とのx軸方向への位置のずれやがたつきは発生しない。
【0049】
また、各支軸34cは、制限部材23の対向方向に対して軸が平行になるように配置されている。そして、一方の支軸34cの端部から他方の支軸34cの端部までの間隔は、制限部材23のx軸方向の間隔Lよりも長い。
【0050】
よって、各支軸34cは、直方体部材34a及び曲面部材34bが制限部材23の間に挟まれても、制限部材23の間に挟まれずに、制限部材23に当接する。
【0051】
次に、作業者は、y方向及び−z方向の力を支軸34cに加えたまま、支軸34cを回転軸として、プラグコネクタ30(回路基板Kb)を回動させる。このとき、y方向の力に対しては、先端部23bが支軸34cのストッパとして機能し(支軸34cの移動を規制し)、−z方向の力に対しては、基端部23aの上面が支軸34cのストッパとして機能する(支軸34cの移動を規制する)。よって、支軸34cのy軸方向(突出部材34の突出方向)及びz軸方向への位置ずれも発生しない。
【0052】
また、支軸34cの外周面の曲率と窪み23cの最も深い位置の曲率とが略等しいため、支軸34cは、窪み23cの表面を滑らかに回転し、がたつくこともない。また、窪み23cが低摩擦化処理されているため、支軸34cが摩擦力により転がって移動したりしない。従って、プラグコネクタ30(回路基板Kb)を安定して回動させることができる。
【0053】
なお、直方体部材34a及び曲面部材34bが制限部材23の間に挟まれ、支軸34cが窪み23cに押し当てられた場合、その後、プラグコネクタ30(回路基板Kb)が回動すると、リセプタクル用ハウジング部21とプラグ用ハウジング部31とが位置合わせをすることなく合致するように、制限部材23及び突出部材34は配置されている。
【0054】
よって、作業者は、プラグコネクタ30(回路基板Kb)を回動させるだけで、
図10に示すように、プラグ用ハウジング部31を、リセプタクル用ハウジング部21の内部領域SPに押し込んで収容でき、リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30とを嵌合させることができる。
【0055】
押し込みが完了した位置で、穴部37に突起26が収容されるので、穴部37と突起26とは、作業者にクリック感を与える。
【0056】
なお、上述した様に作業者は、y方向及び−z方向の力を支軸34cに加えたまま、支軸34cを回転軸として、プラグコネクタ30(回路基板Kb)を回動させ、リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30とを嵌合させた。しかし、例えば、作業者が与えるz方向の力が不足して、リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30とが、係止部材35と被係止部材24との噛み合いよりも先に嵌合したとしても、作業者は、爪部36をz方向に押圧することによって、係止部材35と被係止部材24とを噛み合わせることができる。その際、係止部材35と被係止部材24とは、噛み合い音、あるいはクリック感を、作業者に与えることができる。このように、部材の嵌合の順序が異なったとしても、作業者は、リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30とを正しく嵌合させることができる。
【0057】
リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30とが嵌め合わされると、リセプタクル用ハウジング部21の内部領域SPにプラグ用ハウジング部31の一部が配置され、
図7に示すように、リセプタクル用コンタクト22の一端部22aとプラグ用コンタクト32の一端部32aとが接触する。よって、リセプタクル用コンタクト22とプラグ用コンタクト32とが電気的に接続される。これにより、電気コネクタ10は、リセプタクルコネクタ20が実装された基板Kbとプラグコネクタ30が実装された基板Kaとを電気的に接続する。
【0058】
次に、嵌合したリセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30とを引き離す抜去の作業手順を説明する。
【0059】
まず、作業者は、
図12に示すように、制限部材23による挟み込みを解除する力(−y方向への力)Faを爪部36に加え、曲面部材34bを弾性変形させて、被係止部材24と係止部材35との係止状態を解除する。
【0060】
そして、作業者は、挟み込みを解除する力Faを継続して爪部36に加え、更には、爪部36をz方向に持ち上げることで、
図13に示すように、リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30とを引き離すことができる。
【0061】
ここで、作業者は、片方の手でリセプタクルコネクタ20が実装された基板Kaを持ち、もう片方の手の例えば人差し指一本を爪部36に引っかけ、その指一本で、リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30とを引き離すことができるので、リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30との引き離しが容易である。
【0062】
上述した通り、制限部材23と突出部材34とは、リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30とを嵌合する際、x,y,zの全ての方向の位置ずれを制限する。この制限により、リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30との位置ずれの有無の確認、位置ずれの調整の時間等を削減できる。よって、電気コネクタ10の組み立てがより容易となり、効率も向上する。
【0063】
また、支軸34cを回転軸として、リセプタクルコネクタ20を滑らかに回動させることが可能である。よって、作業者は、組立作業をスムーズに行うことができる。
【0064】
また、嵌合の瞬間、突起26と穴部37とは、クリック感を作業者に与える。これによっても、作業者は、リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30との嵌合が完了したことを把握できる。従って、リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30との嵌合完了を確認する時間を削減可能である。
【0065】
また、上述したように、リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30とは、部材の嵌合の順序に関係なく、嵌合可能である。よって、部材の嵌合の順序に関係なく、係止部材35と被係止部材24とは、噛み合い音、あるいはクリック感を、作業者に与えることができる。
【0066】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、この発明は上記の実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
【0067】
例えば、上述した実施の形態の電気コネクタ10と異なり、リセプタクルコネクタ20が、突出部材34と係止部材35と爪部36とを備え、プラグコネクタ30が、制限部材23と被係止部材24とを備えていてもよい。この構成の場合にも、上述した電気コネクタ10と同様、容易に組み立て可能である。
【0068】
また、リセプタクルコネクタ20は、制限部材23のみを備えていてもよい。また、プラグコネクタ30は、直方体部材34aのみを備えていてもよい。この構成の場合でも、リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30とを嵌合させる際、制限部材23は、直方体部材34aを挟むことで、一方のハウジング部が他方のハウジング部に対して制限部材23の対向方向にずれることを防止できる。
【0069】
その他にも、リセプタクルコネクタ20は、被係止部材24を備えない制限部材23を備えていてもよい。また、プラグコネクタ30は、係止部材35を備えない突出部材34を備えていてもよい。この構成の場合でも、リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30とを嵌合させる際、制限部材23は、突出部材34を挟むことで、一方のハウジング部が他方のハウジング部に対して制限部材23の対向方向にずれることを防止できる。
【0070】
なお、この構成の場合、電気コネクタ10は、被係止部材24と係止部材35とを備えないので、抜去の際、作業者は、被係止部材24と係止部材35との噛み合わせを解除する必要がない。よって、突出部材34(曲面部材34b)は、弾性変形が可能な部材で構成されていなくてもよい。
【0071】
また、電気コネクタ10では、被係止部材24が凸状の部材であり、係止部材35が凹状の部材であったが、これに限られるものではない。即ち、被係止部材24が凹状の部材であり、係止部材35が凸状の部材であってもよい。
【0072】
また、爪部36は、作業者の便宜性を向上させるために設けられている。よって、電気コネクタ10は、爪部36を備えなくてもよい。この構成の場合、作業者は、抜去の際、突出部材34を摘んで、リセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30とを引き離せばよい。
【0073】
また、電気コネクタ10では、制限部材23は、リセプタクル用ハウジング部21の長手方向に位置する2つの端部のうち、他方の端部に配置されていた。そして、突出部材34は、プラグ用ハウジング部31の長手方向に位置する2つの端部のうち、他方の端部に配置されていた。しかし、これに限られるものではない。制限部材23が、リセプタクル用ハウジング部21の短手方向に位置する2つの端部のうちの、一方の端部に配置されていてもよい。そして、突出部材34が、プラグ用ハウジング部31の短手方向に位置する2つの端部のうちの、一方の端部に配置されていてもよい。この構成の場合にも、上述した電気コネクタ10と同様、容易に組み立て可能である。
【0074】
また、電気コネクタ10では、直方体部材34aと曲面部材34bとは、リセプタクルコネクタ20の制限部材23の間隔Lに等しいか僅かに小さいx軸方向の幅を有していたが、これに限られるものではない。一方のハウジング部の他方のハウジング部に対するx軸方向のずれが許容の範囲内を実現できる条件の下で、直方体部材34aと曲面部材34bとのx軸方向の幅を、制限部材23の間隔Lよりも更に小さくしてもよい。
【0075】
なお、この場合、2つの制限部材23のうちの一方と、直方体部材34a及び曲面部材34bとを当接させたとき、その後、プラグコネクタ30が回動すると、リセプタクル用ハウジング部21とプラグ用ハウジング部31とが位置合わせをすることなく合致するように、一方の制限部材23と直方体部材34a及び曲面部材34bとを配置することが好ましい。
【0076】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、上述した実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。