(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光ファイバに前記紫外線硬化型樹脂を塗布して初期線掛けを行う場合は、塗布しない場合に対して、前記錘の重さを変える、請求項1または請求項2に記載の光ファイバの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような光ファイバの線引工程、或いは着色・オーバーコート工程において、最初に手作業でキャプスタンまで線掛けする必要があるが(初期線掛け)、この際にも、光ファイバに樹脂を塗布し、UV炉で樹脂を硬化させる場合がある。
【0005】
ところが、UV炉に光ファイバを通し、キャプスタンまで線掛けする初期線掛け時に、UV炉内のパージガスや室内空調の風や光ファイバの曲がりなどの影響で、光ファイバに未硬化の樹脂が塗布された状態でUV炉内の石英管の内面に接触することがある。このとき、石英管の内面に未硬化の樹脂が付着したりすると、UV炉の熱でその樹脂が焦げるなどして、UVランプから光ファイバへの紫外線の照射を妨げたり、製品(光ファイバ)への異物付着の要因となる。
【0006】
また、ガラスは軽く、帯電しやすいので、静電気の影響などを受けやすい。このため、線引工程の初期線掛け時に、特に裸光ファイバの状態で(樹脂を塗布せずに)UV炉内に線掛けする場合は、UV炉の石英管内の静電気などの影響もあり、裸光ファイバが石英管の内面に付着してうまく通過しない場合がある。また、裸光ファイバの残線が石英管の内面に残った場合は、残線が製品に接触し、被覆の外観不良などの要因となる。
また、初期線掛け時に、光ファイバをUV炉の石英管の内面に接触させないようにするためには、石英管内に手で光ファイバを少しずつ送る作業が必要になり、作業性も悪い。
【0007】
そこで、本発明の目的は、光ファイバの線引工程、或いは着色・オーバーコート工程において、初期線掛け時に、光ファイバを紫外線照射装置内の石英管の内面に接触させずに、作業性よく線通しすることができる、光ファイバの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することのできる本発明の光ファイバの製造方法は、光ファイバをダイスに通して紫外線硬化型樹脂を塗布し、紫外線照射装置で前記紫外線硬化型樹脂を硬化させて光ファイバを製造する光ファイバの製造方法であって、
初期線掛け時に、前記ダイスに光ファイバを通した後、前記光ファイバの先端に錘を付け、前記紫外線照射装置内を通過させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光ファイバの線引工程、或いは着色・オーバーコート工程において、初期線掛け時に、光ファイバを紫外線照射装置内の石英管の内面に接触させずに、作業性よく線通しすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本願発明の実施形態の説明]
本願発明の実施形態に係る光ファイバの製造方法は、
(1) 光ファイバをダイスに通して紫外線硬化型樹脂を塗布し、紫外線照射装置で前記紫外線硬化型樹脂を硬化させて光ファイバを製造する光ファイバの製造方法であって、
初期線掛け時に、前記ダイスに光ファイバを通した後、前記光ファイバの先端に錘を付け、前記紫外線照射装置内を通過させる。
初期線掛け時に光ファイバの先端に錘を付けて紫外線照射装置内を通過させることにより、光ファイバが線振れすることなく、紫外線照射装置の石英管の中心に光ファイバを通過させることができる。これにより、未硬化の樹脂が石英管の内面に付着したり、光ファイバの残線が石英管内に残ったりすること無く線掛けできる。スムースに紫外線照射装置の石英管内を線通しできるので、作業性も向上する。
【0012】
(2) 前記錘の落下速度を0.3m/sec以上1.0m/sec以下の範囲とする。
落下速度が0.3m/sec以上1.0m/sec以下の範囲となるように錘の重さが調整されているので、光ファイバが紫外線照射装置の石英管を通過する際に、落下速度が遅すぎて紫外線照射装置内で光ファイバが焦げたり、逆に速く落下しすぎて、作業者が続けてキャプスタンまで線掛けすることができず(錘が落下してから拾うまでの時間が掛かる)、紫外線照射装置内に同一箇所の光ファイバが留まることにより光ファイバが焦げたりすることが無い。また、錘が軽すぎないので、錘の効果が十分にあり(途中で止まったり、光ファイバが揺れて石英管の内面に接触することがない)、かつ、錘が重すぎないので、例えば紫外線照射装置の直下にあるガイドローラ等に錘が当たってこれを傷つけたり、石英管の内面を傷つけたりする可能性が低い。
【0013】
(3) 前記光ファイバに前記紫外線硬化型樹脂を塗布して初期線掛けを行う場合は、塗布しない場合に対して、前記錘の重さを変える。
初期線掛け時に光ファイバに紫外線硬化型樹脂を塗布しない場合と塗布する場合とで、ダイスを通過する光ファイバに対する抵抗が異なる。錘の重さを変えることで、塗布しない場合および塗布する場合のそれぞれに適した落下速度で、紫外線照射装置の石英管内を線通しできる。
【0014】
(4) 前記錘の少なくとも下方先端部がフッ素系樹脂である。
錘の下方先端部が比較的柔らかく、かつ耐熱性のある素材であるフッ素系樹脂であるので、例えば紫外線照射装置の直下にあるガイドローラ等に錘が当たったとしても、ガイドローラ等を傷つける虞がない。また、錘の下方先端部が紫外線照射装置の石英管の内面に当たったとしても、石英管内面を傷つける虞がない。また、錘の下方先端部は耐熱性があるので、紫外線の照射により高温になっても、溶融したりすることがない。
【0015】
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る光ファイバの製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。
なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る光ファイバの製造方法で使用する線引装置の一例を示す概略構成図である。
線引装置1は、線引炉2、冷却器3、ダイス4、紫外線照射装置5、ガイドローラ6、キャプスタン装置7、巻取ボビン8を備えている。
【0017】
線引炉2は、光ファイバ用プリフォーム9を加熱溶融し、光ファイバ10を紡糸する。冷却器3は、紡糸された光ファイバ10が通過する際に光ファイバ10を冷却する。ダイス4は紫外線硬化型樹脂を貯えており、光ファイバ10がダイス4を通過することにより、光ファイバ10の外周に紫外線硬化型樹脂が塗布される。
【0018】
紫外線照射装置5は、光ファイバ10が通過する間に、紫外線を照射することで、光ファイバ10に塗布された紫外線硬化型樹脂を硬化させる。
ガイドローラ6は、紫外線照射装置5を通過した光ファイバ10の方向を変えて、キャプスタン装置7に向けて光ファイバ10をガイドする。キャプスタン装置7は、光ファイバ10をキャプスタンホイール7aとキャプスタンベルト7bとの間に把持し、光ファイバ10を巻取ボビン8に送る。巻取ボビン8は、送られてきた光ファイバ10を巻き取る。
【0019】
次に、上記紫外線照射装置5について、
図2を参照して説明する。
図2に示すように、紫外線照射装置5は、石英管51、紫外線光源52、不活性ガスパージ部53を備えている。
石英管51は、例えば円筒状の管であり、光ファイバ10はその内部を通過する。石英管51の外側には、石英管51を通過する光ファイバ10に対して紫外線を照射する紫外線光源52が設けられている。なお、紫外線硬化型樹脂は一般に酸素の存在下で硬化させると、酸素により硬化反応が阻害され、硬化不十分となる。このため、石英管51中に窒素等の不活性ガスをパージするための不活性ガスパージ部53が設けられており、酸素のない状態で紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂を硬化させる。
【0020】
[光ファイバの製造方法]
次に、本発明の実施形態に係る光ファイバの製造方法について、
図1〜
図4を参照しつつ説明する。
まず、
図1に示す線引装置1を使用した線引工程において本発明を適用する場合について、以下に説明する。
光ファイバ10を製造する線引工程では、光ファイバ用プリフォーム9を溶融して光ファイバ10を紡糸するが、最初にキャプスタン装置7まで線掛けする際は、光ファイバ用プリフォーム9の先端部を溶融してガラス塊を落下させ、その先端を細径にし、ダイス4に通して紫外線硬化型樹脂を塗布した後、キャプスタン装置7まで光ファイバ10の先端を線掛けする必要がある。この一連の作業を初期線掛けと称する。
【0021】
線引工程における初期線掛けでは、細径にした光ファイバ10をダイス4に通過させた後、光ファイバ10の先端を作業者が手で把持するなどして、紫外線照射装置5の上部端から、石英管51内に挿入し線通しする。
【0022】
そして、紫外線照射装置5の下部端から出てきた光ファイバ10の先端を、作業者が、紫外線照射装置5の直下に設置されたガイドローラ6に掛け、さらに光ファイバ10の先端をキャプスタン装置7のキャプスタンホイール7aとキャプスタンベルト7bとの間を通し、巻取ボビン8に巻き取らせる。
【0023】
以上のような初期線掛け後、線引炉2は光ファイバ10の紡糸を続け、紡糸された光ファイバ10は、冷却器3を通過して冷却された後、ダイス4を通過して紫外線硬化型樹脂が塗布される。ダイス4を通過した光ファイバ10は、紫外線照射装置5(の石英管51)内を通過して紫外線硬化型樹脂が硬化する。紫外線照射装置5を通過した光ファイバ10は、ガイドローラ6によって方向を変えられた後、キャプスタン装置7のキャプスタンホイール7aとキャプスタンベルト7bとの間に把持された状態で引っ張られ、巻取ボビン8に巻き取られていく。
以上のようにして、線引きされて、紫外線硬化型樹脂で被覆された光ファイバ10を定常的に製造する。
【0024】
ところが、従来の一般的な初期線掛けの方法では、以下のような課題がある。
紫外線照射装置5の石英管51内のパージガスや室内空調の風や光ファイバの曲がりなどの影響により、光ファイバ10に未硬化の紫外線硬化型樹脂が塗布された状態で石英管51の内面に接触することがあり、その場合、石英管51の内面に未硬化の紫外線硬化型樹脂が付着する。石英管51の内面に付着した紫外線硬化型樹脂は、紫外線光源52の熱で焦げて石英管51の内面に残るため、紫外線光源52から光ファイバ10への紫外線の照射を妨げたり、光ファイバ10への異物付着の要因となる。
【0025】
また、初期線掛け時に、光ファイバ10を石英管51の内面に接触させないようにするためには、石英管51内に作業者が手で光ファイバ10を少しずつ送る作業が必要になり、作業性も悪い。
【0026】
本実施形態に係る光ファイバの製造方法では、上記のような従来の一般的な初期線掛けの方法における課題を解決するため、以下のような初期線掛けを行う。
本実施形態に係る線引工程における初期線掛けについて、
図1、
図3、
図4を参照して説明する。
【0027】
本実施形態の初期線掛けでは、光ファイバ10の先端10aをダイス4に通過させた後、光ファイバ10の先端10aに、錘11を取り付ける(
図3および
図4参照)。
【0028】
図3に示すように、例えば錘11は、光ファイバ固定部12と、下方先端部13とを備えている。この錘11は、例えば円柱状の金属からなる光ファイバ固定部12に、フッ素系樹脂(例えば、テフロン(登録商標))で形成された下方先端部13を取り付けた構成となっている。
【0029】
錘11を光ファイバ10に取り付ける方法としては、例えば
図4に示すように、錘11の円柱状の光ファイバ固定部12に対して、光ファイバ10の先端10a近傍を沿わせてその上から耐熱テープ14を巻くことにより固定させる。上記のようにして、光ファイバ10の先端10aに錘11を取り付けて、紫外線照射装置5の上部端から、錘11を石英管51内に落下させて、光ファイバ10を線通しさせる。
【0030】
次に、紫外線照射装置5の下部端から出てきた光ファイバ10の先端10aから錘11を外す。そして、光ファイバ10の先端10aを紫外線照射装置5の直下に設置されたガイドローラ6に掛け、さらに光ファイバ10の先端10aをキャプスタン装置7のキャプスタンホイール7aとキャプスタンベルト7bとの間を通し、巻取ボビン8に巻き取らせる。
【0031】
以上のような本実施形態の初期線掛けは、線引工程に限らず、着色・オーバーコート工程でも採用できる。
【0032】
なお、線引工程および着色・オーバーコート工程における初期線掛けでは、いずれの工程においても、光ファイバ10に紫外線硬化型樹脂を塗布して初期線掛け行う場合と、塗布しないで初期線掛けを行う場合とがある。
本実施形態の上記の錘11を使用した初期線掛けでは、いずれの工程および場合においても良好に初期線掛けすることができる。
【0033】
特に、線引工程において光ファイバ10に紫外線硬化型樹脂を塗布しないで初期線掛けを行う場合は、光ファイバ10が裸ガラス状態であるため、静電気などの影響により石英管51の内面に付着してうまく通過しなかったり、光ファイバ10(裸光ファイバ)の残線が石英管51の内面に残ったりする虞がある。このような場合対しても、本実施形態の錘11を使用した初期線掛けによる方法では、良好に初期線掛けすることができる。
【0034】
以上詳述した、本願発明の実施形態に係る光ファイバの製造方法は、初期線掛け時に、ダイス4に光ファイバ10を通した後、光ファイバ10の先端10aに錘11を付け、紫外線照射装置5内を通過させるので、紫外線照射装置5内のパージガスや室内空調の風や光ファイバ10の曲がりなどの影響で線振れすることなく、紫外線照射装置5の石英管51の中心に光ファイバ10を通過させることができる。
【0035】
これにより、未硬化の紫外線硬化型樹脂が石英管51の内面に付着すること無く、あるいは、光ファイバ10が石英管51の内面に付着したり、光ファイバ10の残線が石英管51内に残ったりすること無く線掛けできる。このように、スムースに紫外線照射装置5の石英管51内を線通しできるので、作業性も向上する。
【0036】
また、初期線掛け時に、錘11を付けた光ファイバ10が紫外線照射装置5内を通過するとき、錘11の落下速度を0.3m/sec以上1.0m/sec以下の範囲とすることが好ましい。
【0037】
錘11を付けた光ファイバ10の落下速度が0.3m/sec以上1.0m/sec以下の範囲となるように錘11の重さが調整されているので、光ファイバ10が紫外線照射装置5の石英管51を通過する際に、落下速度が遅すぎて紫外線照射装置5内で光ファイバ10が焦げたり、逆に速く落下しすぎて、作業者が続けてキャプスタン装置7まで線掛けすることができず、紫外線照射装置5内に同一箇所の光ファイバ10が留まることにより光ファイバ10が焦げたりすることが無い。
【0038】
また、錘11を付けた光ファイバ10の落下速度が0.3m/sec以上となるように錘11の重さが調整されているので、錘11が軽すぎず、錘11の効果が十分にある(途中で止まったり、光ファイバ10が揺れて石英管51の内面に接触することがない)。また、落下速度が1.0m/sec以下となるように錘11の重さが調整されているので、錘11が重すぎず、紫外線照射装置5の直下にあるガイドローラ6に当たったとしてもこれを傷つけたり、石英管51の内面を傷つけたりする可能性が低い。
【0039】
また、紫外線硬化型樹脂を塗布して光ファイバ10を初期線掛けする場合と、光ファイバ10に紫外線硬化型樹脂を塗布しない場合とでは、錘11の重さを変えるようにするとよい。
【0040】
初期線掛け時に光ファイバ10に紫外線硬化型樹脂を塗布しない場合と塗布する場合とで、ダイス4を通過する光ファイバ10に対する抵抗が異なる。錘11の重さを変えることで、塗布しない場合および塗布する場合のそれぞれに適した落下速度で、紫外線照射装置5の石英管51内を線通しできる。
【0041】
また、錘11の少なくとも下方先端部13がフッ素系樹脂とすることが好ましい。錘11の下方先端部13が比較的柔らかく、かつ耐熱性のある素材であるフッ素系樹脂であるので、紫外線照射装置5の直下にあるガイドローラ6に、錘11の下方先端部13が当たったとしてもガイドローラ6を傷つける虞がない。また、錘11の下方先端部13が紫外線照射装置5の石英管51の内面に当たったとしても、石英管51の内面を傷つける虞がない。また、耐熱性があるので、紫外線の照射により高温になっても、溶融したりすることがない。